古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。

 古村治彦です。

 

 民主党は2016年の大統領選挙での敗北から立ち直ろうとしていますが、党の新しい顔、2020年の大統領選挙のスターはまだ見つけられないでいます。最新の世論調査では、ジョー・バイデン前副大統領、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員が大きな支持を集めているようですが、共に少々年齢を重ねて、しかも古顔という感じです。ここで名前が出てくるカマラ・ハリスは黒人女性で現在52歳、アメリカ初の女性大統領になるのでは、という期待の声も出ています。

 

 民主党はまずは2018年の中間選挙で、連邦議会で議席を増やさねばなりません。そのために、トランプ攻撃を行い、オバマケア廃止による無保険者の増加を材料にして議席獲得を目指すということになります。また、ロシアが選挙戦に介入し、操ったという疑惑や、政権内の人物たちが政権発足前にロシアと交渉したという疑惑も材料にしています。

 

 オバマケア廃止については、連邦下院では可決されましたが、連邦上院ではどのような形になるのかは不透明な状況です。

 

 こうした中で、ジョージア州とサウスカロライナ州の連邦下院議員補欠選挙で、共和党候補者が勝利しました。民主党としてはジョージア州の補選で勝利もしくは惜敗を目指して資金と人材を投入しましたが、敗北してしまいました。これは民主党にとっては痛手となります。

 

 民主党は昨年の大統領選挙でヒラリー・クリントンが一人勝ちするだろうと思われていましたが、民主党所属ではないバーニー・サンダース連邦上院議員が善戦しました。予備選挙中、民主党全国委員会がヒラリーを勝たせようとしていたことを示すメールも出てきて、民主党は分裂しました。ヒラリーが代表する富裕でグローバリズム、インターヴェンショニズムを望む支持者と、サンダースを押し立て、アイソレーショニズムを求め、社会主義とまでは言わないまでも、富の再分配を望む左派的な人々に民主党は分裂状態にあります。

 

 そうした中、ヒラリーが度々公の場に出てきて発言する訳ですが、発言内容が未来志向というよりも、昨年の選挙のこと、しかも他人に敗北の責任を押し付けるものということは既にご紹介しました。こうした状況では民主党も一枚岩で中間選挙に向かうことはできません。

 

 バーニー・サンダースとドナルド・トランプは全く違う姿勢を持っているように思われますが、政策は似ているものが多く、サンダースとヒラリーとの違いよりも小さいのではないかと思われるほどでした。

 

 サンダースを支持したような熱心な有権者たちが、ヒラリーを応援した議員たちを熱心に応援するだろうかというのは大きな疑問であり、その答えは限りなくノーに近いものです。オバマを応援することがそのまま民主党議員たちを応援することになった幸せな時代は過ぎました。ヒラリーはそれだけ大きな傷と分裂を民主党に残しました。

 

 トランプ批判が溢れかえる報道ですが、民主党も決して安泰ではありません。

 

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最新の世論調査で2020年の大統領選挙の民主党候補者希望でバイデンがトップに(Biden tops list of potential 2020 Democrats in new poll

 

ジュリア・マンチェスター筆

2017年6月19日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/338447-biden-tops-2020-dem-in-new-pollhttp://livedoor.blogcms.jp/blog/hfurumura/report/

 

最新の世論調査によると、2020年の大統領選挙の民主党候補者として、ジョー・バイデン前副大統領がリストの第1位となった。

 

月曜日に発表されたモーニング・コンサルトとポリティコの共同世論調査の結果によると、民主党支持者の74%がバイデンを支持した。エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)が51%の支持を集め、バイデンに次いで2位となった。

 

バイデンは先週、NPRの取材に対して、「私は大統領選挙に出馬する意思を持っていないが、私は運命というものに大きな敬意を払っている」と述べた。

 

「私は現在、大統領選挙に出馬する計画を持っていないが、出馬しないと約束することもしない」とも述べた。

 

その他に名前が挙がったのは、それぞれ民主党所属の連邦上院議員であるアル・フランクリン(ミネソタ州選出)、コーリー・ブッカー(ニュージャージー州選出)、カマラ・ハリス(カリフォルニア州選出)であった。

 

今回の世論調査は6月8日から12日にかけて民主党支持者895名を対象に行われた。誤差は3%である。

 

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(終わり)






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 古村治彦です。

 

 2017年6月15日に改正組織的犯罪処罰法が成立しました。共謀罪(conspiracy)に関する法律で、277の行為がこの行為で犯罪行為として処罰されます。政府と与党(自民党と公明党)は2000年の国連のパレルモ条約批准のためには、共謀罪が必要であり、かつ、2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催のために、テロ防止のためにこの法律が必要だと主張し、最後は、参議院委員会での採決を省略し、本会議で直接採決するという方法で可決しました。

 

 今回の法律改正・共謀罪については以下の本を読むことで理解ができます。


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共謀罪の何が問題か (岩波ブックレット)

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スノーデン 日本への警告 (集英社新書)

 今回の法律改正は、①2000年の国連の組織犯罪に関する条約批准、②2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催のために必要であったということになっています。しかし、2000年の条約(パレルモ条約)は、国際的に活動する組織犯罪、具体的にはマフィアを対象としています。そして、金銭的利益、物質的利益を違法な手段で得ることを防止しようというものです。対テロリズムということは、2001年9月11日の同時多発テロ事件以降、世界的な潮流になりましたが、2000年の段階では国際的組織犯罪、具体的にはマフィアによる麻薬、武器、人身の取引とマネーロンダリングの方が問題でした。

 

 2000年のパレルモ条約は組織犯罪、具体的にはマフィアに対するものですが、日本で言えば、やはり暴力団ということになるでしょう。暴力団対策法施行後、暴力団の構成員の数は減少し、利益も落ちている、そのために最大勢力の山口組も分裂している、ということは報道されています。暴力団の実態については分かりにくいところがありますが、衰退傾向にあることは間違いありません。また、組織犯罪ということで言えば、左右の過激派も思い浮かびますが、彼らに大規模なテロ攻撃を行う力があるでしょうか。また、対テロリズムで言えば、既に多くの法律があります。1970年代以降の左右の過激派のテロリズムによって、この時代から既にテロリズムを防ぐ法律はあります。時代に合わせた改正と運用の改善で十分対処できます。暴力団と左右の過激派の力の衰退が顕著な日本では共謀罪は必要ありません。

 

 今回の巨棒材法案の成立は、国連の条約を使って、警察力を強化し、盗聴やおとり捜査、潜入捜査など捜査方法の拡大を行おうという世界的な流れの一端にあります。国連としては、自分たちを利用してプライヴァシー権などの市民的自由が制限されることについては困惑していると言えます。また、世界各国の官僚、特に治安関係者は、連帯して、捜査手法の拡大や権限の拡大、捜査対象の拡大を目指していると言えます。組織犯罪といえば、マネーロンダリングが付き物ですが、国境を超えて動き回るお金の動きを補足したい、止めたい、そうしておいて税金でがっぽり獲りたいという財務関係者の意図もあるでしょう。

 

 このような必要のない法律を作って、人々を縛る方向に進むというのは、世界的に官僚組織の連帯と強化が共通の認識として行われているということでもあります。また、日本の保守を自称する人々は、これを利用して自分たちに反対する人々を弾圧したいということも考えているでしょう。

 

 平成版の治安維持法でもある悪法は撤廃されねばなりません。

 

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日本は「暴力的な」「欠陥のある」反テロ法を可決(Japan Just Passed a ‘Brutal,’ ‘Defective’ Anti-Terror Law

 

ベンサニー・アレン=エイブラヒマン筆

2017年6月16日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2017/06/16/japan-just-passed-a-brutal-defective-anti-terror-law/

 

2001年9月11日の攻撃以降、テロリズムの恐ろしい幻影のために、アメリカ、フランス、イギリスといった民主政治体制国家において、政府による捜査、収監、その他の手段を拡大することを認める法律が可決されてきた。そして、3度の失敗の後、日本の国会議員たちは上記の国々と同じ本能に従うことになった。一方、市民的自由を求める人々や野党議員たちは非難の声をあげている。

 

国会議員たちがほとんど行われてこなかったメカニズムを用いて反テロ法案を通常の手続きを迂回して国会で可決した木曜日、多くの人々が東京で反対の声をあげていた。新しい法律は犯罪と考えられる数百の行動をリストにしている。その中には共謀が含まれている。しかし、『ガーディアン』紙によると、リストの中には、テロリズムと関係のない行動も含まれている様であり、その中には公的な場での抗議活動も含まれている。

 

法案の支持者たちは正当化のために様々な説明をしている。法案の示している様々な手段は、組織犯罪を対象にしているもので、2000年の国連条約を批准する義務を遂行するためのものであり、2020年に東京で開催されるオリンピックを安全に行うために必要なのだと主張している。

 

法案可決後、安倍晋三首相は「東京オリンピック・パラリンピックまで3年しかない。従って、私は組織犯罪に関する条約を一刻も早く批准したい。そうすることで、私たちはテロリズム防止のために国際社会としっかりと協力できる」と述べた。

 

しかし、抵抗は強力だ。野党の指導者である村田蓮舫は法律を「暴力的」だと非難している。反対する人々の中には、盗聴やそのほかの手段を拡散させるだろうと懸念を持っている人々もいる。

 

今年5月、東京の上智大学の政治学者である中野晃一は『ニューヨーク・タイムズ』紙の取材に対して次のように述べた。「市民社会の動きが鈍い国において、更なる自己検閲を生み出すことになるだろう」。

 

法律は国際的な批判も受けている。プライヴァシー権に関する国連特別報告者ジョセフ・カナタチは5月に安倍首相に書簡を送り、その中で、「法律はプライヴァシー権と表現の自由の制限を助長する」ものになる可能性が高いと警告を発した。カナタチは法案を「欠陥のある法律」と批判した。

 

ボストンを拠点とする犯罪学教授ニコス・パソスは、国連の国際的組織犯罪条約の起草に貢献した人物だ。安倍首相は法律がこの条約を批准することを目的にしていると主張している。パソスは6月13日に『ジャパン・タイムズ』紙とのインタヴューに応じ、その中で、条約はテロリズムと戦うためのより締め付けの厳しい法律を必要としてはいないと述べた。パソスは、条約は「イデオロギーによって引き起こされた犯罪」を除外するという含意を持っていたと述べている。

 

東アジアの民主国家の中で言論の自由を制限しようという動きが続いており、今回のことが初めてのことではない。表現の自由に関する国連特別報告者デイヴィッド・ケイは木曜日に発表した報告書の中で、人々による開かれが議論と出版の自由が日本では制限されつつあると警告を発した。ケイは、メディアによる自主検閲と歴史教科書における日本の戦時中の犯罪行為に関する議論の欠如を例として挙げている。

 

2010年以降、安倍首相は日本の伝統的に防御に徹してきた軍事力の使命を拡大させてきた。彼はまた、日本の平和主義的憲法の改定を目指している。これは今のところ成功してはいない。

 

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市民的自由に対する懸念の中日本は「暴力的な」対テロ法を可決(Japan passes 'brutal' counter-terror law despite fears over civil liberties

 

国連の専門家を含む批判者たちがCritics including UN expert fear legislation passed by Abe government could target ordinary citizens and deter grassroots opposition to government policies

 

ジャスティン・マカリー・ロイター通信(東京発)

2017年6月15日

『ザ・ガーディアン』紙

https://www.theguardian.com/world/2017/jun/15/japan-passes-brutal-new-terror-law-which-opponents-fear-will-quash-freedoms

 

日本は議論が分かれていた法律を可決した、法律はテロリズムやそのほかの重大な犯罪のための共謀を対象とするものだ。これに対して、国連が法律は市民的自由を損なうために使用できる可能性があるという懸念を表明した。こうした中で法律は成立した。

 

与党である自民党と連立相手は、議事堂の外で多くの人々が反対する中、参議院で法案を可決した。

 

法案の採決は人々からの反対が強まる中で3度も延期された。そして、国連の専門家が「欠陥のある」法律だと述べた後に採決された。国連の専門家の発言に対して、日本の安倍晋三首相は怒りを持って対応した。

 

日本政府の高官たちは、法律が世界規模の組織犯罪2000年の国連条約の批准に必要だ、2019年のラグビーのワールドカップ、続く年のオリンピックの開催の純部のために、日本の対テロリズム対策の改善が必要だと主張している。

 

安倍首相は記者団に対して次のように述べた。「東京オリンピック・パラリンピックまで3年しかないので、組織犯罪に関する条約を速やかに批准したい。そうすることでテロリズムを防ぐために国際社会と協力できる。これが法律を成立させた理由だ」。

 

法律は共謀と277の「深刻な犯罪」を犯罪化するだろう。

 

しかし、日本弁護士会とその他の批判者たちは、法律が対象としている行為の中には、テロリズムや組織犯罪と関係がないものも含まれていると指摘している。それらにはアパートの建設に反対するための座り込みや音楽のコピーがある。

 

反対者たちはこの法律が安倍首相の国家機関の力を拡大させようというより広範な目的の一部だと考えており、政府は否定しているが、一般市民が標的とされるのではないかと恐れている。

 

野党民進党の党首である村田蓮舫は、安倍政権は「暴力的な」法律を通して思想の自由を脅かそうとしていると述べた。

 

批判者たちは、法律が合法的な盗聴の拡大と裁判所が警察の捜査力の制限を躊躇することで、政府の政策に対する草の根の反対を押さえることになると主張している。

 

法律の成立をスピードアップしようとして、連立与党はこれまでに例のない、反対の多い方法を採用した。それは参議院の委員会での採決を省略して、直接参議院本会議での採決を行うというものであった。

 

プライヴァシー権に関する国連特別報告者ジョセフ・カナタチは、先月安倍首相に書簡を送った。その中で、首相に対して、法律は「プライヴァシー権と表現の自由に対する制限をもたらす」リスクがあることを明らかにするように求めた。

 

安倍首相はカナタチの法案に対する評価を「著しくバランスを欠いた」ものと評し、カナタチの行為は「客観的な専門家のそれとは言い難い」と述べた。

 

カナタチは木曜日、日本政府は「欠陥のある法律」を可決するために、「恐怖心理」を利用したと述べた。

 

カナタチは更に次のように述べた。「日本はプライヴァシー保護を改善する必要がある。まして今回の法律が成立するならなおのことだ」。

 

共謀についての情報を集めるには、警察の捜査能力の拡大が必要であり、この法律は日本版の「思想警察」を生み出すことになると批判者たちは述べている。日本の思想警察は、第二次世界大戦前と戦時中、公共の秩序に対する脅威と見なされた政治グループを捜査するための広範な力を持っていた。

 

共同通信は先月世論調査を実施した。その結果は、法案について有権者は割れており、支持は39.9%、反対は41.4%であった。

 

国会議事堂前には推定5000名の人々が集まり、デモを行った。彼らは新しい法律を「専制的」であり、日本を「監視社会」にすることを防ごうと訴えた。

 

共同通信の取材に対して、54歳の女性ミユキ・マスヤマは次のように答えた。「平和なデモがテロリズムと見なされて禁止されてしまうかもしれません。私たちの表現の自由が脅威にさらされているのです」。

 

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 古村治彦です。

 

 イギリス首相テレーザ・メイが総選挙実施を発表した時、野党に対して責任のある行動を取るように求めました。この選挙であなた方は罰を受けるのよ、という感じでした。しかし、実際に罰を受けてしまったのはテレーザ・メイ率いる保守党でした。総選挙実施発表直後は、保守党が大勝するという予想が出ていましたが、その後、過半数は維持するだろうとなり、更には過半数確保は難しいとなっていきました。選挙結果では保守党が勝利し、連立政権を組むことでメイ政権は続くことになりますが、勝利者はイギリス労働党と、時代遅れの社会主義者として冷遇されてきたジェレミー・コービン党首でした。

 

 アメリカではジョージ・W・ブッシュ、日本では小泉純一郎がリーダーであった時代、イギリスではニューレイバー(新しい労働党)を掲げたトニー・ブレアが首相でした。伝統的な労働党の路線を棄て、より中道的な政策へと転換しました。それが新しいものだと考えられてきました。古臭い社会主義の臭いのする政策は失敗だったとヘイリの如く捨てられました。

 

 日本でも新しいリベラル勢力として、一部保守的な政治家も取り込んで、民主党が生まれました。民主党は若い政党としてあっちにぶつかり、こっちにぶつかりしながらもなんとか野党として存在感を出し、参議院では自民党を追い越す議席を獲得することができるようになりました。そして、「国民の生活が第一」を掲げて、総選挙に大勝して、鳩山由紀夫政権が誕生しました。

 

 しかし、民主党内部、そして官僚、自民党からの攻撃の前に、鳩山政権は1年で瓦解し、その後は、自民党とどこが違うのか分からない、中途半端な菅直人政権、野田佳彦政権と続き、財務省の言いなりになり、増税一本槍となり、民主党は政権を失いました。また、国民からの支持も失い、この状況は現在も続いています。

 

 安倍政権がどれほどの失敗やスキャンダルを起こしても、「民進党よりもまし」と思われているというのは、民進党が国民に貢献していないということであって、このことは厳しく糾弾されるべきです。政権獲得から喪失までを分析し、反省しなければなりませんが、この時期に中心的役割を果たした人々が無反省に指導部に居座っているようでは話になりません。

 

 今回のイギリス労働党の躍進は民進党のお手本になるものです。緊縮財政に反対し、対外強硬、排外主義に反対し、「国民の生活が第一」の旗をもう一度掲げるべきです。

 

 また、イギリス労働党の再生(resurrection)は、党内の「異分子」と言われ、冷遇されてきた勢力が中心となったという点は自民党にもお手本になるものと思います。現在、自民党は安倍一強時代と言われています。安倍氏に代わって指導者になれる人材がいない(あれだけ国会議員の数がいるのに)という状況にあり、かつ官邸が力を持ち、異論を許さない状況にあります。そういった意味では、恐怖で支配する「一枚岩」という状況ですが、「一枚岩」は、状況の大きな変化に対応できません。イギリス労働党がブレア路線の人々ばかりであったなら、保守党との差異を打ち出すことができずに、潰れていたことでしょう。それと一緒で、安倍路線で一枚岩では、大きな変化の際に対応できる人材がいないということになります。

 

 ですから、少数派や異論を述べる人々は組織の中で必要とされます。今の自民党では、そのような多様性がないように見えますが、それでも、ジェレミー・コービンのように異論を堂々と語り続けることができる人が出てこなければ、自民党は変化に対応できないということになるでしょう。わが世の春はいつまでもは続かないということは歴史が証明しています。

 

 アメリカやイギリスで起きた動きは、やがて遅れて日本にもやってくるでしょう。日本の有権者や国民は愚かだという言説には私は与しません。変化を感じ取ってそれを行動で示すことができるものと確信しています。

 

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労働党はジェレミー・コービンのものとなった(The Labour Party now belongs to Jeremy Corbyn)―ブレア時代は6月8日に本当の終焉を迎えた

 

『エコノミスト』誌

2017年6月10日

http://www.economist.com/news/britain/21723193-blair-era-truly-ended-june-8th-labour-party-now-belongs-jeremy-corbyn

 

テレーザ・メイは8週間前に総選挙の実施を発表した時、ジェレミー・コービンは、1983年のマイケル・フット以降、もしくは1935年のジョージ・ランズブリー以来、最弱の指導者であると多くの人々が考えていたコービン氏は番狂わせを演じ、復活した。イギリス議会におけるキングメイカーとなる可能性を持ち、労働党の強力な指導者となっている。

 

コービン氏が連立政権を組むことができる可能性は低い。イギリス国民は保守党に過半数に少し足りない議席を与えた。常識で考えれば、現在の与党が政権に就く第一のチャンスを持つ。しかし、スコットランド民族党と自由民主党といった野党勢力の多くが保守党よりも労働党と条件交渉をして連立政権を作る可能性も存在する。保守党が連立政権を構築できる場合、コービン氏は強力な野党勢力の強力な指導者となるだろう。コービン氏は過半数を少し超えただけの議席しか持たない連立政権率いる首相に圧力をかけ続けることができるだろう。

 

コービン氏はイギリスの左派を革命的に変化させている。1980年代中盤以降、労働党は、中道に進むことが政権獲得のための唯一の方法だと確信してきた。左翼的な政策である産業の国有化や「国家規模での解放の闘争」の支援を取り下げ、市場と西側の同盟諸国を重視する政策を掲げるようになった。コービン氏はこのような主張に反対する少数の議員の一人であった。トニー・ブレアと側近たちはコービン氏を、人々をイラつかせるような、過激な人物として処遇してきた。

 

労働党の国会議員たちの大多数はついこの間までブレアの採用した方法を支持してきた。2015年、コービン氏は労働党党首に選ばれたが、彼が勝つなど誰も考えていなかった。2016年、労働の国会議員の4分の3はコービン氏の留任に反対票を投じたが、このクーデターは失敗した。多くの議員たちにとって、コービン氏は占領軍のようであった。そして、少数の信念を持つ強硬左派の人々によってコービン氏は支えられていると考えられていた。コービン氏の首席ストラティジストである有名なセウマス・ミルンと労働組合連合(UNITE)の指導者レン・マクラスキーがコービン氏を支えてきている。また、最近まで労働党以外に所属していた活動家たちが作る草の根の圧力団体もコービン支援に参加し、勢いが出た。

 

労働党の国会議員たちは根本的に考え直すことになるだろう。コービン氏は可能性の限界を再構築し、可能性を拡大することに成功した。コービン氏は労働党が中道に進むよりも、労働党が真に信じているものを主張することで、選挙でうまくやることができるということを示している。労働党の前党首エド・ミリバンドは2015年の総選挙で敗北した。その理由の一つはミリバンドが弁解や謝罪ばかりしているように見えたからだ。

 

対照的に、コービン氏は常に社会主義者であり続けてきたことに誇りを持ってきた。彼はまた、タブロイド紙が、労働党が恐れるロットワイラー犬ではないということを示した。コービン氏とアイルランド共和国軍との関係についての記事が多く出され、その多くが真実であったが、有権者の多く、特に若い人たちにとってそれは気にするべきことではなかった。 ブレア時代は6月8日に本当に終焉したのだ。

 

コービン氏はこれから厳しい挑戦を受けることになる。労働党が連立政権を構築する場合、コービン氏は連立相手に対して妥協しなければならないだろう。野党である立場を選択する場合、党内から厳しい批判を受けることになる。労働党内部からは、コービン氏以外の指導者であれば選挙に勝てていただろうという声が上がっている。結局のところ、経済は弱いままで、人々は耐乏生活を強いられている。全国健康サーヴィスは繰り返し危機的状況に陥っている。 それにもってきて、テレーザ・メイは最近の歴史の中で、最悪の選挙戦を展開した。

 

こうした条件が揃っていたのだが、それでも労働党の躍進を予測することは難しかった。コービン氏は全ての予測を覆す強力な選挙戦を展開した。彼は選挙に勝てなかったが、保守党の指導者とは異なり、勝利者のオーラを身にまとっている。

 

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(終わり)

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12






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