古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

 古村治彦です。

 2022年5月9日はロシアでは対ナチス・ドイツ戦争(大祖国戦争)勝利記念日(ベルリン陥落)だった。ウラジミール・プーティン大統領の演説に注目が集まったが、激しい言葉遣いはなかった。ウクライナ戦争については、西側諸国からの高度な武器供与を批判しながらも、対ナチス・ドイツ戦争、第二次世界大戦で連合諸国だったアメリカ、イギリス、フランス、中国に対する感謝の言葉もあった。抑制的な内容だった。

 ウクライナ戦争によって秋からになったのは、世界における深刻な分断である。この分断は「西側諸国とそれ以外の世界」というものだ。日本は先進諸国(民主政治体制)で構成される西側諸国に含まれている。西側諸国、特にアメリカが世界を主導するという構図が冷戦終結後に続いてきた訳だが、今回のウクライナ戦争によってこの構図が崩れつつあるということが明らかになった。国連の場でこれまで3回にわたりロシアを非難する決議が出されたが、これらに対して反対、棄権する国々も多く出た。それらの国々は「BRICs(ブリックス)」を中心とする、アジア、南米、中東、アフリカ諸地域にある非西側諸国だ。

 これらの国々はロシアと経済的、軍事的に緊密な関係を結んでおり、今回の戦争でそうした関係を崩したくないという意向を持っている。更に言えば、アメリカに対する不信感、アメリカが主導する西側諸国に対する不信感を持っている。

 世界の構造は変化している。昔であれば西側先進諸国の言うことは全てが正しく、これらの国々のようになりたいというのが当たり前だった。日本人である私も戦後の日本に生まれたことは幸運だったなぁと思うことは多かった。特に外国に行けばそう感じた。
 しかし、それが変化しつつあるのだ。私たちはウクライナ戦争を通じて、そのことを目撃している。現在の世界一の富豪であるイーロン・マスクは日本が消滅するという発言を行った。世界の認識はこれである。戦後西側諸国の「優等生」であった日本の衰退・没落から消滅へという流れは世界の流れを象徴している、そのように感じられる。毛沢東の大戦略である「農村が都市を包囲する」という言葉を援用するならば「それ以外の世界が西側を包囲する」ということになり、西側諸国全体の衰退・没落が始まっていくのだろう。世界は大きく変化する。

(貼り付けはじめ)

西側vsそれ以外の世界(The West vs. the Rest
-21世紀版冷戦の時代にようこそ

アンジェラ・スタント筆

2022年5月2日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/05/02/ukraine-russia-war-un-vote-condemn-global-response/

ロシアのウラジミール・プーティン大統領は、ウクライナへの侵攻を開始する前に4つの大きな誤算をしている。ロシアの軍事的な能力と効果を過大評価し、ウクライナ人の抵抗の意志と反撃の決意を過小評価した。また、ロシアの攻撃に直面して混乱した西側諸国が政治的に団結することは不可能であり、ヨーロッパやアメリカのアジアの同盟諸国がロシアに対する広範囲な金融、貿易、エネルギー制裁を支持することは決してないと考えたことも間違いであった。

しかし、プーティンは1つだけ間違っていなかった。それは、私が「それ以外(the Rest)」と呼ぶ非西側世界がロシアを非難したり、制裁を科したりしないだろうということをプーティンは正しく予測していた。戦争が始まった日、ジョー・バイデン米大統領は、西側諸国はプーティンが「国際舞台から排除される人物(pariah on the international state)」とするだろうと言ったが、世界の多くの人々にとって、プーティンは排除される人物とはなっていない。

ロシアはこの10年間、1991年のソ連崩壊後に撤退した中東、アジア、中南米、アフリカの国々との関係を深めてきた。そして、2014年のクリミア併合以降、クレムリンは中国に積極的にアプローチしている。欧米諸国がロシアを孤立させようとすると、北京は「パワー・オブ・シベリア」という大規模なガスパイプラインの契約に署名するなど、モスクワを支援するために歩み寄った。

国連は開戦以来、ロシアの侵攻を非難する決議を2回、人権理事会のメンバーシップ停止決議を1回、計3回行っている。これらの決議は可決された。しかし、棄権や反対票を投じた国々の人口規模を集計すると、世界人口の半分以上にもなる。

簡潔に述べるならば、世界はロシアの侵略を不当とする見解で一致していないし、世界のかなりの国々がロシアの行為を罰することを望んでいないのである。実際、ロシアの現状を利用して利益を得ようとする国々もある。プーティン率いるロシアとの関係を危うくしたくないという意向があり、それによって今だけでなく戦争が終わった後も、同盟諸国などとの関係を管理する欧米諸国の能力を複雑にしていくだろう。

ロシアを非難しないことで非西側諸国を率いているのは中国である。中国が何をするにしてもロシアを支援するという理解がなければ、プーティンはウクライナに侵攻することはなかっただろう。プーティンが冬季オリンピック開催中の北京を訪れた際に署名した2月4日の露中共同声明は、「無制限」のパートナーシップと欧米の覇権主義を押し返すという約束を謳ったものである。駐アメリカ中国大使によると、習近平国家主席は北京での会談でプーティンのウクライナ侵攻計画を知らされていなかったということだ。プーティンが習近平に何を言ったか、それが何らかの示唆であったのか、それとももっと明確なものであったのか、それはおそらく誰にも分からない。

しかし、この主張をどう解釈しようとも、中国がロシアによるウクライナ侵略開始以来、ロシアを支持してきたことは否定できない。国連でのロシア非難決議の際には棄権し、人権理事会のロシアのメンバーシップ停止決議には反対票を投じた。中国メディアは、ウクライナの「非ナチ化(denazifying)」と「非軍事化(demilitarizing)」に関するロシアのプロパガンダを忠実に再現し、戦争の責任をアメリカとNATOに押し付けている。ブチャの虐殺がロシア軍によって行われたかどうかを疑問視し、独立した調査を要求している。

しかし、中国の立場にはいささかの迷いがある。また、敵対行為の停止を求め、ウクライナを含む全ての国家の領土保全と主権を信じると繰り返している。中国はウクライナにとって最大の貿易相手国であり、ウクライナは「一帯一路」プロジェクトの一部であるため、ウクライナが経験する経済的荒廃を歓迎することはできない。

しかし、習近平は同じ独裁者であるプーティンと同盟を結び、アメリカ主導の世界秩序に大きな不満を持ち、自分たちの利益をないがしろにしてきたと考える。彼らはポスト欧米の世界秩序を構築することを決意しているが、その秩序がどのようなものであるべきかについては考えが異なっている。

中国にとって、それはルールに基づく秩序であり、中国が現在よりもはるかに大きな役割を果たすことになるだろう。一方、プーティンが考えているのは、ルールの少ない破壊的な世界秩序であろう。中露両国とも、自国の国内制度や人権記録に対する欧米諸国からの批判にアレルギーがある。中国とロシアは、独裁国家にとって安全な世界を実現するために、互いを必要としている。習近平はプーティンが敗北するのを見たくないのだろう。それゆえ、中国はウクライナにおける暴力と残虐行為の規模や、より大規模な戦争へのエスカレーションの危険性に不快感を抱いているにもかかわらず、ロシアに対して発言することを躊躇している。

しかし、中国の大手金融機関はこれまで欧米諸国による制裁に従順だった。欧米諸国との関係における中国の経済的利害はロシアよりはるかに大きいのである。また、欧米諸国によるロシアへの制裁が広範囲に及んでいることから、仮に台湾に侵攻した場合、欧米諸国がどのような反応を示すか、北京は考えているはずである。中国側はこの制裁を慎重に検討しているに違いない。

もう一つ、世界最大の民主政治体制国家であり、アメリカ、日本、オーストラリアとともに「四極安全保障対話(Quadrilateral Security Dialogue)」のパートナーであるインドが、ロシア批判に消極的だ。インドは3つの国連決議に棄権し、ロシアへの制裁を拒否している。インドのナレンドラ・モディ首相は、ウクライナのブチャで起きた民間人に対する残虐行為の報告を「非常に憂慮する」とし、インドの国連大使は「これらの殺害を明確に非難し、独立調査の要請を支持する」と述べたが、モディも国連大使もロシアを非難していない。

インドのスブラマニヤム・ジャイシャンカル外相は、ロシアは「様々な分野で非常に重要なパートナー」であり、インドはロシアの武器と石油を購入し続けていると述べた。実際、インドは兵器の3分の2をロシアから調達しており、モスクワの最大の武器取引先である。冷戦時代、非同盟諸国のリーダーであったインドにこれ以上武器を供給したくないという意向がアメリカにあり、そのことはヴィクトリア・ヌーランド米国務次官も認めている。アメリカは現在、インドとの防衛協力の強化を考慮中だ。

モディ首相がロシアを非難しないのには複数の理由がある。中国がカギとなる。インドはロシアを中国に対する重要なバランサーと見ており、ロシアは2020年のインドと中国の国境衝突の後、インドと中国の緊張を和らげるために行動した。さらに、冷戦時代のインドの伝統である中立性とアメリカに対する懐疑心が、インド国内におけるロシアに対するインド国民のかなりの共感を生んでいる。今後、インドはロシアとの伝統的な安全保障関係とクワッドにおける米国との新たな戦略的パートナーシップのバランスを取る必要がある。

プーティンのこの10年間の外交政策の大きな成功の一つは、ロシアが中東に戻り、ソ連崩壊後に撤退した国々と再び関係を結び、それまでソ連と関係のなかった国々と新たな関係を構築したことである。

現在、ロシアは、サウジアラビアなどのイスラム教スンニ派が率いる国々、イランやシリアなどのイスラム教シーア派が率いる国々、イスラエルなど、この地域の全ての国と対話し、あらゆる紛争の全ての側のグループと関係を持っている唯一の大国である。このような中東諸国との関係の構築の成果は、ロシア・ウクライナ戦争が勃発した時から顕著になった。

国連での最初の決議投票では、アラブ諸国のほとんどがロシアの侵攻を非難する票を投じたが、その後、22カ国からなるアラブ連盟は非難を行わなかった。また、人権理事会におけるロシア非難の投票では、多くのアラブ諸国が棄権した。サウジアラビア、アラブ首長国連邦、エジプト、イスラエルなどアメリカの強固な同盟諸国は、ロシアに制裁を科していない。実際、プーティンとサウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子はウクライナ戦争開戦後、2度にわたって会談を持っている。

イスラエルの立場は、ロシアとイランの両軍が存在するシリアで、アサド政権を支持するロシアによって大きく左右される。イスラエルはロシアと軍事衝突回避(deconfliction、デコンフリクション)協定を結び、シリアにいるイラン軍の攻撃目標を攻撃できるようにした。イスラエルは、ロシアと敵対することで、北部の国境を守る能力が損なわれることを恐れている。イスラエルはウクライナに野戦病院やその他の人道支援を送っているが、武器は送っていない。イスラエルのベネット首相は一時、ロシアとウクライナの仲介役を務めたが、失敗に終わった。

多くの中東諸国にとって、アメリカは信頼できないパートナーであり、これらの国々はアメリカに対して懐疑的だ。自分たちの国の人権を批判するアメリカへの苛立ちも対露姿勢を形成に影響を与えている。唯一、真に親露なのはシリアで、ロシアの軍事支援がなければ、アサド大統領はとっくに失脚していただろう。

近年、ロシアがアフリカに戻り、傭兵のワグネル・グループがアフリカで失脚した指導者たちを支援していることから、アフリカ大陸はロシアへの非難や制裁をほとんど拒否してきた。アフリカ諸国のほとんどは、ロシアの侵略を非難する投票に棄権し、人権理事会からロシアのメンバーシップを停止することに反対票を投じた。新興経済国グループであるブリックス(BRICS)の民主政体国家のメンバーである南アフリカは、ロシアを批判していない。

アフリカ諸国の多くにとって、ロシアは、反植民地闘争の際に支援したソ連の後継者とみなされている。ソ連はアパルトヘイト時代のアフリカ民族会議を支援し、現南アフリカ指導部はロシアに感謝の念を抱いている。中東と同様、アメリカに対する敵意もアフリカのロシアによるウクライナ侵略に対する考えに影響を及ぼしている。

アメリカの裏庭においてさえも、ロシアは応援団を抱えている。キューバ、ヴェネズエラ、ニカラグアは予想通りモスクワを支持したが、他の国々もウクライナ侵攻を非難することを拒否した。ブリックス(BRICS)の一員であるブラジルは「公平」な立場を表明し、ジャイル・ボルソナロ大統領は侵攻直前にモスクワを訪問しプーティンと会談を持ち、「ロシアと連帯する」ことを宣言した。ブラジルは依然としてロシアからの肥料の輸入に大きく依存している。

更に問題なのは、メキシコがアメリカ、カナダと北米共同戦線を張り、ウクライナ侵略を非難しようとしないことである。アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領の率いるモレナ党は、2022年3月に下院でメキシコ・ロシア友好議員連盟を発足させ、ロシア大使を招いて演説会を開いたほどである。1970年代の伝統的な左翼の反米主義が、このようなロシアの受け入れの大きな理由であり、ロシアに西側諸国との不和をもたらす新たな機会を与えているのであろう。

非西側諸国は世界人口の半分以上を占めるが、その半分は貧しい国であり、多くが後進国で構成されている。欧米諸国のGDP、経済力、地政学的な力を合わせると、侵略を非難せず、ロシアに制裁を加えることを拒否した国々の影響力をはるかに凌駕している。

それにもかかわらず、戦争終結後の世界秩序を形成するのは、現在の「西側」と「それ以外」の分断である。その鍵を握るのが中国とインドであり、プーティンが紛争終結後も国際的に孤立することがないようにするためである。実際、11月に開催されるG20サミットのホスト国であるインドネシアは、プーティンの出席を歓迎するとしている。しかし、その一方で、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領も招待している。

この残酷な戦争の後、アメリカはヨーロッパでの軍事的プレゼンスを高め、NATOの東側にある1つ以上の国に軍隊を恒久的に駐留させることになるであろう。プーティンの長年の目標の一つがNATOの弱体化であるとすれば、彼のウクライナとの戦争は目的の正反対を達成した。NATOという同盟を再活性化させただけでなく、アフガニスタン後に新たな目的を与え、スウェーデンやフィンランドが加盟すると見られることから、その拡大も期待できる。NATOは、プーティンが政権を維持している限り、そしておそらくその後も、次のロシアの指導者が誰であるかによって、ロシアに対する封じ込め強化政策に戻るだろう。

しかし、この21世紀版の冷戦では、非西側諸国は、前の冷戦で多くの人々がしたように、どちらかの側につくことを拒否するだろう。冷戦時代の非同盟運動(nonaligned movement)は、新たな形で再登場する。今回は、アメリカと同盟諸国がプーティンを排除しても、非西側諸国はロシアとの関係を維持するだろう。

ロシアは経済的に衰退するだろうが、「主権的インターネット」の構築に成功すれば、脱近代化し、中国への依存度はますます高まっていくだろう。しかし、ロシアは、多くの国家がビジネスに満足し、モスクワと敵対しないように細心の注意を払う国であることに変わりはない。

※アンジェラ・ステント:ブルッキングス研究所非常勤研究員。著書に『プーティンの世界:それ以外の世界と共に西側に対抗するロシア』。ツイッターアカウントは@AngelaStent
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 ウクライナ戦争によって、「戦争はどんどんハイテク化しているんだな」ということが私のような軍事面のズブの素人にも強く印象付けられた。昔のように戦車同士が大会戦を行うとか兵士たちがどんどん突撃するということは1990年代の湾岸戦争の頃から既に見なかったが、今や無人偵察機や衛星情報による位置確定などがなされる時代になった。そして、ミサイル兵器などより破壊能力と精密さが上がっている。それらが連動することによって、より効果的にピンポイントで敵側にダメージを与えることができるようになった。それでも戦争は最後はやはり人が行って場所を制圧しなければならないようだ。当たり前のことではあるが。

 ハイテク機器の面に関しては西側がロシアに先んじているということは間違いない。戦争開始当初、ロシア軍は普通に西側諸国の企業の部品が入った携帯電話を使い、連絡を取り合っていてそのために司令官クラスの位置が掴まれてピンポイントで攻撃を受け手戦死することが複数あった。西側諸国の各ハイテク企業は「愛国的な」行動として、そうした位置情報などを提供し、それがウクライナ軍に伝わっているという構図があるようだ。
 また、西側各国の政府や民間企業はウクライナ国内でインターネットが使える状態を維持するために資金と技術を提供している。それによってウクライナ国民もロシア軍に関する情報を提供できる状態になっている。「ハイテク戦」ではロシアは敗北しているということになるだろう。
 ロシア側は現在、そうしたハイテク戦で何とか挽回しようとしているようだ。どこまでできるかは分からないが、ロシアのハッカー技術や偽情報拡散の能力を考えれば、ある程度まで挽回ができるものと思われる。また、西側諸国に対するインターネットを利用した攻撃ということも考えられる。

 戦争のハイテク化を印象付けたウクライナ戦争はいつまで続くことになるか。先の見通しは立っていない。

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中国のドローン・メーカーがロシアとウクライナでの事業を一時停止(Chinese drone-maker suspending operations in Russia, Ukraine

モニク・ビールス筆

2022年4月27日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/3467506-chinese-drone-maker-suspending-operations-in-russia-ukraine/

中国のドローン・メーカー「DJI」は火曜日、ロシアとウクライナでの事業を一時的に停止すると発表した。

DIJは声明の中で「DJIは、様々な管轄区域におけるコンプライアンス要件を社内で再確認作業を行っている。この見直し作業が完了するまで、DJIはロシアとウクライナにおける全ての事業活動を一時的に停止する」と述べた。

DJIは直接、この決定は「現在の敵対行為を考慮し、販売に関するコンプライアンスを見直すための努力を行う」と述べた。

『ワシントン・ポスト』紙は、DJIの広報担当者は中国メディアに対し、一時停止は「今回の声明は特定の国をターゲットにしたものではなく、当社の原則に関するものだ」と述べたと報じた。

ウクライナ政府当局は以前、DJIがウクライナの軍事情報をモスクワにリークしたと非難したが、DJIはこうした主張をきっぱりと否定しているとロイター通信は報じている。

しかしDJIは、自社製品のいかなる軍事利用にも反対しているとCNNは報じた。

ロシアによるウクライナ侵攻からわずか3週間後の3月、ウクライナのミハイロ・フェドロフ副首相は、「ロシア軍がミサイルを誘導するためにDJI製品を使用している」とする書簡を書き公表した。

フェドロフは「あなた方はこの殺人行為の協力者となりたいのか?」とツイートで同社に問いかけた。そして「ロシアがウクライナ人を殺すのを助けているあなたの製品をブロックして欲しい!」と訴えた。

深センに本社を置くDJIは、民生用・産業用ドローンの世界最大のメーカーである。

中国企業DJIがロシアでの事業を停止するという決定は特に珍しいもので、西側諸国がいわれのない攻撃を行ったロシアに強力な制裁を科しても、中国はロシアによるウクライナ侵略の中でモスクワとの関係を強化しようと考えている。

中国の楽友成外務次官は今月初めに声明を発表しその中で、「国際情勢がどのように変化しようとも、中国は引き続きロシアとの戦略的協調を強化し、ウィン・ウィンの協力を目指し、両国の共通の利益を共同で守り、新しいタイプの国際関係と人類が未来を共有する共同体の構築を促進する」と述べた。

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ウクライナ政府へ衛星ネットサービスの端末を大量供与、米国

2022.04.07 Thu posted at 17:15 JST

https://www.cnn.co.jp/usa/35186011.html

(CNN) 米政府の援助機関である国際開発局(USAID)は7日までに、ロシア軍の侵攻を受けたウクライナ政府に対し米宇宙企業スペースXが手がける人工衛星経由のインターネットサービス「スターリンク」の端末5000個を供与したと発表した。

ロシア軍がウクライナの通信基盤を妨害する事態などに備え、米政府がこの端末送付の資金面や輸送で支援してもいる。

スターリンクは、世界の遠隔地や紛争地域でインターネットが利用出来る通信環境を提供するもので、端末やテレビ用の小型アンテナに似た装置などを使う。

USAIDは声明で、「プーチン(大統領)による野蛮な侵攻がウクライナの光ファイバー網や移動体通信の接続網を切断したとしても、スターリンクの端末はウクライナの公職者や重要な民生サービスの提供者によるウクライナ国内あるいは世界各地との通信の維持を可能にする」と強調した。

ロシアが軍事侵攻に踏み切った今年2月、スペースXの創業者であるイーロン・マスク氏はウクライナ上空で初めてスターリンクのサービスを起動。ツイッター上でより多くの端末も同国へ向かっているとも発表していた。

マスク氏の行動は、ロシアの侵攻が続けばウクライナのネット接続環境が消滅するとの懸念を示した同国副首相の嘆願に応じたものだった。USAIDが今回の大量な端末供与に踏み切る前、スペースXがウクライナ側に便宜を図っていた端末の数は明らかではない。

スペースXは2019年5月以降、スターリンク用の衛星を2000基以上打ち上げてきた。今後数年間でさらに約4万2000基の配備を計画している。
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ロシアがウクライナのGPSに妨害攻撃か 米宇宙軍が言明

4/25() 17:40配信

ニューズウィーク日本版

https://news.yahoo.co.jp/articles/3ae5fef51a1abb1378df9e20b5536d16bba897b5

──ドローンや救護車両などの運用に欠かせないGPSが、ウクライナで妨害を受けているという。米宇宙軍幹部が明かした

ロシアによるGPS妨害は侵攻以前からたびたび発生していた......

ウクライナ軍および市民は現在、GPS(全地球測位システム)による正確な位置情報を得られていない可能性がある。米宇宙軍で作戦担当副本部長を務めるデイヴィッド・トンプソン将軍が、米NBCの番組に出演し、ロシアによる妨害工作の可能性を明かした。

番組司会者が「ウクライナではGPSが利用不能になっているのですか?」と問いかけると、氏は「その通りです。ロシアはアメリカが提供するGPS信号をウクライナ国内で妨害しています。辺りには妨害工作車が存在し、(GPS信号の)受信と利用を妨げているため、ウクライナの人々はGPSを利用できない可能性があります」と説明した。

GPSが機能不全となれば、戦線への直接的な影響が懸念される。ウクライナでは軍事ドローン「バイラクタルTB2」がロシア戦車を相手に善戦し、市販の小型ドローンも偵察に貢献している。これらの飛行制御はGPSに依存している。

戦禍の国民生活にも悪影響が及びかねない。自動車の車載ナビやスマホの地図などはGPSを前提としており、救助車両の到着の遅れなど市民生活への支障が憂慮される。

GPSは、アメリカ宇宙軍が運用する衛星測位システムだ。ウクライナを含む世界の多くの国で利用されているが、妨害はウクライナ国内に留まるとみられる。衛星測位システムにはGPSのほか、欧州版の「ガリレオ」やロシア版の「GLONASS(グロナス)」などが存在する。

■ 地上の信号を妨害

ロシア側はGPS衛星を直接攻撃することなく、地上の補助的な送信設備をねらった模様だ。

GPSのしくみとして、約30基の衛星が軌道上に配備されている。予備機を除く24基が稼働しており、このうち少なくとも4基の電波を捉えることで現在地を算出するしくみだ。電波には発信時刻と衛星の位置が記録されており、発信から受信までにかかった時間差をもとに各衛星との距離を計算し、現在地を特定する。

ただし、衛星からの電波だけでは、10メートル程度の誤差が生じる。このため、地上のGPS基地局からも並行して電波を受信し、精度向上のヒントとして利用する。今回ロシア側の妨害を受けているのは、この地上局が発する電波だ。

妨害は今回が初というわけではなく、侵攻以前からたびたび発生していた。米シンクタンクの戦略国際問題研究所は、2014年ごろから断続的に行なわれてきたと分析している。宇宙ポータルサイトの『Space.com』によると、ロシア軍は大型トラックのような形状の独自開発の車両を保有しており、ここに妨害装置が搭載されているという。

■ ロシア版GPSは「数年内に崩壊」説も

ウクライへの妨害を活発化するロシアだが、一方で自身の衛星については、かなりお粗末といわざるを得ない状況だ。ロシア版衛星測位システム「GLONASS」を開発したものの、綱渡りの運用が続く。

GLONASSでは本来24基の衛星が必要なところ、稼働中の衛星はこれを下回る23基だ。6基前後の豊富な予備機を擁するGPSとの差異が際立つ。さらに、GLONASSには寿命間近の機体も多く、半数ほどはいつ動作不良に陥ってもおかしくない。設計上の数を満たせなくなるとまず一部地域で精度が低下し、その後18基を割った時点でロシア全域をカバーできなくなる。

匿名の専門家は欧州報道機関の『ラジオ・フリー・ヨーロッパ』に対し、「打ち上げの動向を根本的に変えない限り、GLONASSシステムは数年以内に崩壊を迎えるでしょう」との予測を示している。

位置情報のみならず偵察衛星網についても、衛星の数が少なすぎるとの指摘がある。個々の機体としても解像度の低い旧式の技術を採用しているうえ、一部衛星には耐用年数の限界が近づく。これが偵察活動の不調を招き、キーウ陥落作戦の主な失敗要因のひとつになったとの観測すら出ているほどだ。

対するウクライナは、アメリカから偵察衛星の画像提供を受けている。その仔細は明かされていないが、仮に高解像度のスパイ衛星である「キーホール12」シリーズの画像を入手しているとするならば、その解像度は1ピクセルあたり5センチほどだ。面積あたりでは商用衛星の9倍の精度となる。ラジオ・フリー・ヨーロッパは、ロシア車両に描かれた「V」の文字も容易に読めるほどだと述べ、両陣営間の偵察精度の差異を指摘している。

■ 衛星への直接攻撃もあり得る

ただし、ロシア側は乱暴な一手で性能差を詰めてくる可能性がある。アメリカ宇宙軍は、米衛星への直接攻撃も起こりうるとみて監視体制を強化している。

ブルームバーグは、アメリカ国防情報局の最新の見解を報じている。それによると同局は、ロシアが「アメリカの宇宙関連サービスを無力化あるいは阻止する対抗システムを推進している」とみて警戒を強めている。

同局がまとめた報告書は、ロシアがすでに「衛星のセンサーの目を眩ますものを含め、複数の地上レーザーを保有している」との見解を示し、「おそらく2020年代中盤から終盤にかけて、さらに効果的に衛星を損傷するためのレーザーを配備するだろう」と分析している。

ロシア自身の衛星網に抜きん出た点はないものの、妨害の手法は今後も発展する可能性がありそうだ。

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民間衛星がロシア軍の動き「丸裸」に…偽情報拡散に対抗、戦争犯罪疑惑の捜査にも

2022/04/29 13:55

https://www.yomiuri.co.jp/world/20220429-OYT1T50049/

https://www.yomiuri.co.jp/world/20220429-OYT1T50049/2/

 【ワシントン=冨山優介、蒔田一彦】ロシアによるウクライナ侵攻では、米民間企業の人工衛星がロシア軍の動きを細かく捉え、注目を集めている。観測データは、戦争犯罪疑惑の追及でも役割を果たしている。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は21日、ウクライナ南東部マリウポリ郊外を3月から4月上旬に撮影した4枚の衛星画像を掲載した。画像では日ごとに直線的に並んだ穴が増える様子が分かる。記事は、約300に達した穴が「集団墓地とみられる」と分析し、世界で反響を呼んだ。

 撮影したのは米宇宙企業マクサー・テクノロジーズの衛星だ。マクサー社は自社の衛星で撮影した高解像度の画像を、各国政府や報道機関などに販売し、一部は無償提供している。取材に応じた同社幹部のスティーブ・ウッド氏は「報道機関への画像提供は偽情報拡散への対抗に役立つ。侵攻とそれに伴う人道的危機を記録するために画像の共有を続ける」と話す。

 国連によると、1957年以降、衛星などの人工物は世界で計1万2000基以上が打ち上げられ、近年は年間1000基を超えるペースで増えている。その多くが民間企業の衛星だ。

 電子部品の高性能化や小型化に伴い、衛星も小さく、安価で製造することが可能になった。カメラの性能も向上し、民間衛星でも地表の数十センチ大の物を見分けられる精度だ。

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「客観的見方 提供」

 民間衛星のデータは、国際刑事裁判所(ICC)などによるロシア軍の戦争犯罪疑惑を巡る捜査にも活用されている。米紙ポリティコによると、以前は各国の軍や情報機関しか得られなかったようなデータが民間企業から入手できるようになり、捜査すべき場所の特定や証拠の収集がしやすくなっているという。

 マクサー社と同様、衛星を運用し、画像を販売する米宇宙企業プラネット・ラボの広報担当者は「我々のデータは各国政府や人権団体が重要な情報を記録するのに役立つ。進行中の出来事について客観的な見方を提供できるからだ」と意義を強調する。

「攻撃対象」懸念も

 新たな問題も浮上しつつある。米専門家はワシントン・ポスト紙に「交戦国が民間企業から提供されたデータを攻撃に使用すれば、その企業は紛争当事者とみなされる可能性が高い」として、民間衛星が攻撃対象になり得るとの見方を示した。

■増える監視 隠蔽は不可能…米ジョンズ・ホプキンス大上級講師 ジョン・オコナー氏

 民間衛星の画像が注目される現状について、米中央情報局(CIA)で衛星画像分析に携わった米ジョンズ・ホプキンス大上級講師のジョン・オコナー氏(地理空間情報学)に聞いた。(ワシントン 冨山優介)

 現在、ウクライナの特定の地点の画像を得ようと思えば、1日に100回以上の頻度で得ることが可能だ。民間企業と20以上の国々の衛星がカバーしているからで、その間隔は短ければ数分、長くても1時間半程度だ。地上での何かの行為を 隠蔽いんぺい するということは、実質的に不可能だ。

 2001年のアフガニスタン戦争や03年のイラク戦争の当時は、民間衛星は少なく、地球上のどこでも多数の衛星で監視できるような状況ではなかった。かつては国家が独占していた軍事機密に近いような画像も、今は多くの人が目にするようになっている。今回、ロシアも米欧の側も、情報をコントロールすることはできなくなっていると言える。

 ロシア軍の残虐さは国際的にも異質だが、宇宙からは多数の衛星で、地上では市民らがスマホで撮影した写真のSNSへの投稿によって、白日の下にさらされる。今後の紛争や戦争時には、軍隊の司令官はそうした監視の目を意識しなければならなくなるだろう。

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 ウクライナ戦争は「消耗戦(attrition warfare)」に進んでいる。ロシア軍はウクライナ国内の軍事物資生産拠点や輸送拠点を中心に攻撃を行っている。これによってウクライナ国内の生産能力は下がっている。ウクライナは西側諸国からの支援を要請し、西側諸国はその要請に応え、より高度な武器を供給している。一方、ロシアは経済制裁の影響もあり、物資が不足していると指摘されている。ウクライナ戦争が長期戦の様相を呈し、「消耗戦」となっている。
 消耗戦ではロシアが不利であるのはその通りだ。西側諸国による経済制裁によって必要な物資を手に入れることは難しいだろう。そうなれば消耗戦となってしまうとロシアに不利だ。そこで出てくるのが核攻撃とロシアからのエネルギー資源の輸出制限というオプションだ。ヨーロッパ諸国はロシアからの石油と天然ガスに依存している。この供給を止められると国民生活に大打撃ということになる。西側諸国が高度な武器をウクライナに供給するということはロシアから見れば「共闘者による敵対行為」ということになる。そうなれば、攻撃対象となり得るし、エネルギー資源を供給する義理もない。

 消耗戦は不毛な戦いとなる。ロシア側が何らかのカードを切れば、ヨーロッパ諸国にとっても大きな痛手となる。そうなれば敵愾心が燃え上がり、戦争はエスカレートしながら継続することになる。何とも厳しい状況が続くことになる。

(貼り付けはじめ)

ロシア軍はプーティンのウクライナ非武装化命令を文字通りに受け止めている(Russian Troops Are Taking Putin’s Orders to Demilitarize Ukraine Literally

-ロシアの攻撃はウクライナ軍が切実に必要とする重装備を生産する施設に打撃を与えている。

ジャック・デッチ、ロビー・グラマー筆

2022年5月4日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/05/04/russia-demilitarize-ukraine-arms-facilities/

ロシアは火曜日夜にウクライナ全域で大規模なミサイル攻撃を実施した。ロシア軍はウクライナ国内の武器輸送の重要な拠点である西部の都市リヴィウの鉄道分岐点を含むウクライナ全域の攻撃目標にミサイルを叩きつけた。ウクライナ政府関係者や専門家たちによると、ロシアによる大規模なミサイル攻撃はウクライナ全域の最重要な防衛生産地域の目標への攻撃を強化する可能性が高まっていると示唆している。

ロシアの攻撃は、ウクライナ軍の軍事能力を潰し、ウクライナ東部の支配をめぐる戦いでモ苦戦を続けているロシア軍部隊の立場を優位にするため、ウクライナの主要産業基地や防衛産業の重要拠点を標的にしてきた。また、ロシアが攻撃を強化しているため、ウクライナは西側諸国からのハイエンド(高度な)兵器システムへの要望を高めている。

複数のウクライナ政府関係者が本誌に語ったところによると、ロシアはキエフ近郊の対艦ミサイル施設、ハリコフのマリシェフ戦車工場、ハリコフ、マリウポリ、ミコライフの各都市の重工業団地を破壊したり、大きな被害を与えたりしているということだ。特に多連装ロケットシステム、大砲、戦車、装甲兵員輸送車などは、ロシアの攻撃により、ウクライナ側で切実に必要とされている。

前述のウクライナ政府関係者はメディア対応する権限を持っていないために匿名で続けて次のように語った。「ロシアが私たちの施設を全て破壊したため、私たちはそのような重装備が必要だ。この戦争は本格的な戦争なのだ。毎日人員や武器を失っているが、部隊を再完成させるだけのことだ」。

ロシア軍によるウクライナ全域へのミサイル攻撃は、2カ月にわたる戦争において、一連の軍事的失敗が続いた後に行った戦略の転換をいみじくも表している。ウクライナ軍の強固で効果的な抵抗もあり、ロシア軍がキエフを占領してウクライナ政府を転覆させる試みは阻止された。しかし、複数の専門家たちはウクライナの重要な防衛生産拠点を攻撃するという戦略の根本は侵攻初期段階にまで遡ることができると指摘する。ロシアのウラジミール・プーティン大統領は、2月24日にロシアの本格的な侵攻が始まったドンバス地方での軍事作戦を発表した際、ウクライナの「脱ナチス化」と「非軍事化」の意図を宣言した。侵攻早々、ロシアはキエフにあるウクライナの軍用輸送機メーカー、アントノフ社の組立工場に連続攻撃を行い、2名が死亡した。

シンクタンクのCNAのロシア軍専門家マイケル・コフマンは次のように述べている。「ロシアはウクライナ国内で達成すべき目標を設定し、その目標の一部は非軍事化だと考えている。プーティンがウクライナでの2つの目標を脱ナチス化と非武装化と宣言したとき、ロシア軍はそれを文字通り受け止めた。軍産複合体の一部である主要な軍事インフラや施設を攻撃すればいいのだ、と」。

ウクライナはかつてソ連の防衛産業の中心地と考えられた。冷戦時代からの軍事生産施設が大量に残っている。ウクライナの防衛産業は国有企業に統合され、2010年以降は装甲車、固定翼機、国産対戦車兵器の開発など、ウクライナ軍への装備品供給の大部分を担ってきた。ロシア軍はウクライナの燃料基地や生産施設を攻撃する努力を続けてきた。一方、ウクライナ軍はロシア軍に対抗しロシア軍を困らせるために物資を移動させることで挑戦してきた。

CNAのロシア専門家コフマンは、ロシアは主に防衛・航空宇宙部門の一部、戦車の製造・修理、燃料・弾薬の貯蔵施設と確認できるものを攻撃したようだと述べた。あるロシア政府高官は金曜日に、ロシア軍がキエフのアルチョム宇宙ロケット工場を破壊したと主張したが、ある米国防総省高官とウクライナ当局者たちはこれに反論し、ウクライナの首都に対する巡航ミサイル攻撃は工場ではなく住宅地を攻撃し、ジャーナリスト1人が死亡したと指摘した。

ロシアによる大規模な侵攻は、モスクワにとって急速に軍事的な泥沼に陥った。モスクワは、数日のうちにキエフを占領し、ウクライナの抵抗をほとんど受けずに親ロシア政権を樹立することを期待していたと伝えられている。コフマンによれば、ウクライナ人は基本的な機器の修理や点検はできるだろうが、ロシアが占領・包囲している地域の軍事・産業施設にはほとんど対応できない。例えば、アゾフ海沿岸のマリウポリのアゾフスタル製鉄所では、ロシア軍が迷路状の施設を襲撃しているため、数百人の市民が閉じ込められたままになっていると報道されている。

しかし、ロシアがウクライナの防衛産業への攻撃を強化することは、ロシア軍が自国の軍隊、物資、弾薬の在庫を消耗し、西側諸国がロシアの侵略を圧し戻すためにウクライナへの軍事支援を強化する中で、より長引く消耗戦となった戦争を優位に進める意図を示すことにもなる。

米国防総省のある高官は国防総省が定めた基本規則に基づいて匿名を条件で次のように語った。「ロシアがやろうとしていることは、ウクライナが自国の物資を補充し、自国を強化する能力を奪うことだと考えている。例えば、電力施設への攻撃が試みられている。おそらくロシア側は、電力を遮断すれば、列車の移動能力に影響を与えることができると考えているのだろう」。

ロシアは精密誘導弾が不足しており、西側による大規模な制裁によって世界の供給チェインから切り離されているため、ロシア軍の軍需品を補充するのに苦労しているだろう。

元ヨーロッパ駐留アメリカ軍司令官で現在はワシントンにあるシンクタンクのヨーロッパ政策分析センターで戦略研究のパーシング講座を担当するベン・ホッジスは次のように語っている。「ロシアがこの消耗戦の段階に入ると、ロシアの防衛産業は制裁のために精密弾薬を作ることさえできなくなる。少なくとも、ウクライナの新しい軍事物資を生産する能力を低下させようとするだろう」。

ホッジスはまた、ロシアがウクライナの防衛産業を標的にした攻撃を行っても、戦争に決定的な優位性を与えることはないだろうと持述べた。

ホッジスは「この消耗戦では、ロシアがいつまでこれを維持できるかに絞られる。彼らは無限の供給能力を持っているわけではない」。

※ジャック・デッチ:『フォーリン・ポリシー』誌国防総省・国家安全保障記者。ツイッターアカウントは@JackDetsch

※ロビー・グラマー:『フォーリン・ポリシー』誌外交・安全保障担当記者。ツイッターアカウントは @RobbieGramer
(貼り付け終わり)

(終わり)

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