古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。


 

 古村治彦です。


 今回は、米国防総省(U.S. Department of Defense)の発表した声明をご紹介します。年末にチャック・ヘーゲル米国防長官と小野寺五典防衛大臣との間での電話会談がキャンセルになりました。しかし、年が明けてさっそく会談が行われたようです。


 国防総省としては、「沖縄駐留アメリカ軍の再編」が重要な問題であり、そのことで、一歩「前進」となる辺野古沖埋め立てをまず歓迎しているのは当然のことです。それでも、近隣諸国との関係を改善することを求めることでバランスを取っています。


 アメリカとしては、「日米で共通の目的であるアジア(東アジア)地域の平和と安定」のために、日本が更なる努力をすることを期待し、日米同盟の強化、日米防衛ガイドラインの見直しを続けるとこの声明の中で表明しています。


 この日米同盟の強化、そして防衛ガイドラインの見直しというところが重要です。アメリカが求める「アジア地域の平和と安定」のために、日本に更なる「貢献」を求めるというのは字面だけなら結構なことです。


 しかし、そのために、日本がいかなる「前進」や「変革」を求められるのか、ということが問題です。その究極的な目標は憲法改正であり、日米共同運用性(interoperability)の強化という名の自衛隊の米軍下請化であると私は考えます。


 アメリカとしては、現在の段階で日中韓の間で直接的な大規模衝突は望んでいないでしょう。しかし、この多国間関係を管理することは難しいし、「想定外」のことが起これば、直接的な衝突にまで発展することもあります。


このたとえが適切かどうかは分かりませんが、国際関係は、原子炉内の温度管理に似ていると私は考えます。平常時であれば、温度管理はうまくでき、うまく操作し電気を作ることができますで。しかし、一朝「想定外」のことが起きた場合、原子炉内の温度管理は難しく、溶解(メルトダウン)にまで事態が悪化してしまうことは、これまでの原発の事故で起きたことです。


 大きく見れば、2014年に国際関係において大きなシフトが起きることは考えにくいし、現在のままで状況はだらだら続いていくと思います。日本にはフラストレーションがたまることばかりであると思います。ここで事態を急激に変えたいとして、「短気」や「驕り」、「自暴自棄」を起こしてしまうのは得策ではありません。事態をうまく管理するためには、そして忍耐力が必要な「自重」と「対話」が得策であると思います。迂遠ではありますが、これが一番の方法であると私は考えています。


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http://www.defense.gov/news/newsarticle.aspx?id=121431


ニュース


アメリカ軍報道サービス


ヘーゲル国防長官は、普天間基地移設を巡る努力に対して、日本の防衛大臣に謝意を示す

Secretary Thanks Japan's Defense Minister for Futenma Efforts


2014年1月4日付ワシントン発。チャック・ヘーゲル米国防長官は本日、日本の小野寺五典防衛大臣に対して、日本の沖縄にある海兵隊の普天間飛行場の移設のために、キャンプ・シュワブー辺野古の埋め立て許可申請に認可を与えるにあたり、日本政府が行った努力に謝意を示した。


両国の防衛分野の指導者2人の間で電話会談が行われた。会談の内容は要約され、国防総省の報道官であるジョン・カービー米海軍少将が声明として発表した。この声明の中で、カービー少将は、新しい施設(辺野古)について、「沖縄駐留アメリカ軍の再編において重要な、必要不可欠な要素である」と呼んだ。


カービー少将は、ヘーゲル長官が日米両国で日米地位協定に環境関連問題を追加することで交渉を進めていくことで合意に達したことの重要性を指摘した、と述べた。


加えて、カービー少将は、ヘーゲル長官と小野寺大臣は、2013年10月に発表されたイニシアティヴの実行について議論したと述べた。そのイニシアティヴには、TPY-2ミサイル防衛レーダーの日本に対する第二機配備と日米防衛ガイドラインの将来に向けての見直しが含まれていた。日米防衛ガイドラインの見直しにおいて、二国間が透明性を確保しながら交渉を行う重要性を確認した。


ヘーゲル長官は、「近隣諸国との関係を改善し、地域の平和と安定という日米共通の目的を達成するために手段を取ることが重要だと力説した。ヘーゲル長官は、21世紀における安全保障問題に対処するために日米同盟を強化するために二国間で議論を続けていくことを楽しみにしていると語った」と述べた。


(終わり)




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 古村治彦です。


 今回は、日本政治についての私の雑感を書きます。


 私は、日本政治の現実を、「米政翼賛会(U.S. Rule Assistance Association in Japan)」という言葉を使っています。この「米政翼賛会」という言葉は、私の造語です。戦前から戦中にかけて、日本に存在した政治組織「大政翼賛会(Imperial Rule Assistance Association)」をもじって作りました。


 2013年から現在にかけて、日本の政治は、アメリカの意向を反映する政治勢力しか存在しない状況にあります。政党は数多くありますが、そのほとんどはアメリカの意向を反映する政党です。こうした状況は、2012年の総選挙、2013年の参議院議員選挙を通して生み出されました。


 現在は、自民党と公明党が連立を組んで与党となっています。民主党、日本維新の会、みんなの党、共産党、生活の党、社民党、結いの党、新党大地といった政党が野党となっています。


 しかし、よく見てみると日本維新の会、みんなの党、結いの党は、与党の補完勢力になっている、半分与党(ゆ党と言うのだそうです)のような存在です。結いの党はできたばかりですから、まだ評価するのは難しいですが。


 私は、自公維み結に加えて民主党の一部が米政翼賛会を形成していると考えています。これはあまりに大雑把な考えである、と批判される方もいらっしゃると思います。しかし、2013年の政界の動きを見てみれば、自公の組み合わせがほころぶことはなく、安倍首相は日本維新の会の橋下徹代表やみんなの党の渡辺喜美代表との関係も悪くなく、特定秘密法案の採決時には協力を取り付けています。


 そして、2013年12月に江田憲司氏が率いる結いの党ができました。これは色合いとしては、ややリベラル的な感じがある政党です。この少し前に、アメリカのジョセフ・バイデン副大統領のアジア歴訪、キャロライン・ケネディ駐日米大使の着任といった出来事がありました。私は、こうした動きに合わせて、結いの党ができたと考えています。右がかった、ナショナリスティックな自維みに対するカウンター、バランスを取る存在としてアメリカが作らせたものと考えています。結いの党を作った江田氏は、日本維新の会の松野頼久代議士、民主党の細野豪志代議士らと「既得権益を打破する会」を作っています。そして、設立の会では、ローソンの新浪剛史社長が講演をしています。私はここら辺の人脈が非常に重要だと考えています。そして、このことを2014年1月21日発売の新刊『ハーヴァード大学の秘密』(古村治彦著、PHP研究所)で書いています。


 結いの党については、色々と批判や懸念があるようですが、私はアメリカの意向もあって、しばらくは堅調に(少しずつではあっても)、党勢を維持し、政界の一部の再編において中心的な存在になるのではないかと思います。日本維新の会の中に分裂があることは既に知られていますが、松野氏らが合流することも考えられます。


 民主党は2012年の州銀議員選挙、2013年の参議院議員選挙で大きく党勢を後退させました。そして、党内には、自民党に移籍した方がすっきりするような議員たちが数多く残るというような状況になっています。民主党が自公に対抗する軸とはならず、分裂もあるのではないかと私は考えています。


 ここまでごちゃごちゃと書きましたが、私が申し上げたいのは、日本の政治状況は、右がかった勢力とそうではない勢力があるが、どちらもアメリカの意向で動いているということです。アメリカの意向で動いているというところから、私は「米政翼賛会」という言葉を考えました。


 これは例えて言うと、アメリカという人形遣いがいて、両手に人形(パペット)をはめて動かしています。人形たちは互いに別個の存在で、争っているように見えますが、要は人形遣いに動かされているだけで、人形遣いの意のままに動いているだけに過ぎません。パペットマペットというお笑い芸人がいますが、その人のネタを思い出していただけると分かりやすいかと思います。



 1942年の第21回総選挙では、大政翼賛会(翼賛政治体制協議会)の推薦候補と非推薦候補 466の定数のうち、推薦候補381、非推薦候補85を獲得しました。非推薦候補の得票は合計すると約35%を得ています。現状の米政翼賛会の議席は、戦時中の大政翼賛会(翼賛政治体制協議会)の議席数よりも大きくなっています。私は現状は戦前、戦中よりも悪くなっていると考えます。


この米政翼賛会にとっての最大の目標は、日本国憲法の改正です。そのためには、衆議院と参議院で共に3分の2以上の賛成を得る必要があります。この数を確実に押さえることが米政翼賛会の目的です。


 この米政翼賛会の中で、憲法改正に直面して、一番動揺しそうなのが公明党です。憲法9条改正に関して賛成に回れるかどうか、はっきり分かりません。ですから、たとえ公明党が脱落しても3分の2以上を両院で押さえることが重要です。


 そのために2016年に衆参ダブル選挙が行われるのではないかと私は考えています。憲法改正、憲法9条改正についてはさすがに国民も慎重だと思いますが、現在の政治状況で、それに確実に反対する政党の勢力が余りにも小さ過ぎます。民主党には自民党や日本維新の会に移籍した方が良いのではないかという議員も結構いますので、確実に反対しそうなのは、共産党、社民党、生活の党、新党大地くらいのものです。これらのうち、共産党を除いて、次の選挙までに確実に存続し、党勢を拡大しているのかどうか分からないという残念な状況です。これは、ジャパン・ハンドラーズの一人、マイケル・グリーンが論文で書いたように、リベラルを存在させないための策動が働いたからです。私は、2012年の総選挙前の日本未来の党、嘉田由紀子氏や飯田哲也氏の動きは実はそうしたグリーンの意向に合わせた動きであったのではないかと今でも疑っています。


 日常として現状に慣れてしまうとそれが当たり前になってしまいます。今の政治状況が当たり前になってしまうのは大変危険であると私は考えます。それを疑い、自分で考え判断していくことが重要であると考えます。そして、かなり状況が悪くなっていても、それでも諦めずに民主政治体制の中で認められた方法で政治に関わって、状況を変えるべく努力していくことが重要なのだと私は考えています。


(終わり)



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 古村治彦です。

 米外交誌『フォーリン・ポリシー』に掲載された、安倍晋三首相の靖国神社参拝に関して掲載された論文をご紹介いたします。

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安倍晋三の靖国神社参拝はワシントンとの関係を傷つけることになるか?(Will Shinzo Abe's Yasukuni Visit Hurt Relations in Washington?


http://blog.foreignpolicy.com/posts/2013/12/27/turkey_s_economic_enemies_corrupt_politicians_and_the_us_fed

アイザック・ストーン・フィッシュ(Isaac Stone Fish)筆

フォーリン・ポリシー誌

2013年12月28日


2013年12月26日(木)、日本の安倍晋三首相は靖国神社を参拝した。中国と韓国は安倍首相の靖国神社参拝を非難した。そして、東京にある駐日米大使館は厳しい言葉を使った声明を発表した。これは多くの人を驚かせた。米下院外交委員会のアドヴァイザーを務め、現在はSAISの米韓機構の訪問研究員を務めているデニス・ハルピンは、私に14名のA級戦犯が靖国神社に祀られていることは東アジアだけで論争を引き起こしている訳ではないことを次のように説明してくれた。


「東京にある靖国神社にはおよそ250万人の日本の天皇に命を捧げた魂が祀ってある。その中で全てのアメリカ人にとって際立った名前が一つだけある。それは東条英機である。」東条英機は日本帝国陸軍の将軍で戦時中に首相を務めた。彼は真珠湾に対する卑怯な攻撃を行うように命令を出した。この時、約2400名のアメリカ人が亡くなった。この数字は、2001年9月11日まで、アメリカ本土に対する攻撃で亡くなった数で最も大きいものだった。


 真珠湾攻撃は1941年12月7日に起きた。その翌日、フランクリン・ルーズヴェルトは衝撃を受けたアメリカ国民に向けて「今日私たちは屈辱の中で生きている」と語りかけた。その中には歴史的な出来事を忘れてしまう人たちもいるが、アメリカ人は東条英機が何を解放したかを忘れてはいないだろう。アメリカ人の中には真珠湾攻撃について

While they may be too young for Pearl Harbor, 現在を生きるアメリカ人のほとんどは、2001年9月11日の朝に起きた野蛮な攻撃とその後の国民の団結のことを覚えているはずだ。アメリカ人はオサマ・ビン・ラディンに敬意を表するのと同じことである、東条英機に敬意を表することを行う人物をアメリカ人は無視できるだろうか?

 

 「靖国神社に安倍晋三首相の前に参拝した首相は小泉純一郎だ。小泉純一郎は2006年にワシントンを訪問した時に、その代償を支払わされた。小泉はこの時のワシントン訪問の際にアメリカ議会で演説をするという計画を立てていた。私が当時仕えていた、ヘンリー・ハイド(共和党、イリノイ州選出)は米下院外交委員会の委員長を務めていた。ヘンリー・ハイド議員は、小泉がワシントン訪問の後に靖国神社参拝をする計画を持っていることを知った。ハイドは、「小泉がフランクリン・D・ルーズヴェルト大統領が“屈辱の日”演説を行った場所で小泉首相が演説を行い、東京に戻って東条英機に敬意を表することになったら、第二次世界大戦を覚えている世代の懸念を引き起こすことになるだろう」と述べた。小泉の米議会での演説は取り止めになって、小泉はそれを受け入れた。その代りとして、小泉は当時のジョージ・W・ブッシュ大統領と大統領専用機エアフォース・ワンに乗ってグレースランドを訪問した。小泉はエルヴィス・プレスリーの熱狂的なファンであった」


 安倍晋三首相は素晴らしい一年を過ごした。特に経済状況を改善させた。しかし、国際的に見て、安倍晋三首相は彼のナショナリズムで有目になってしまった。安倍首相の靖国神社参拝の決断は、アメリカにおける彼自身の立場を傷つけることになるだろうか?


(終わり)

 

 

 

 

 

 

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