古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。




アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 2014年12月26日、当選以来無所属を貫いてきた山本太郎参議院議員が生活の党に合流しました。生活の党は名称を「生活の党と山本太郎となかまたち」と変更しました。これによって、前日まで、党所属議員が衆議院議員2名(小沢一郎氏、玉城デニー氏)、参議院議員2名(主濱了氏、谷亮子氏)で、政党助成金を受け取るために必要な政党要件である「国会議員(衆議院議員又は参議院議員)を5人以上有する」、「近い国政選挙で全国を通して2%以上の得票を得たもの」を満たしていなかった生活の党は、政党要件を満たして、政党助成金を受け取ることができるようになりました。

 

 私は生活の党が政党要件を失ったというニュースを受けて、誰か無所属の議員が入党してくれないものかと思っていました。政治にはどうしてもお金がかかるものですし、生活の党には存在感を出してもらうためにも何とか存続できるところまで頑張ってもらいたいと思っていました。これが壊滅的であればそう思いませんが、4名という数字を聞いて、「後1人、誰か何とか入党してもらえないか」と思っていました。

 

 ですから、山本太郎参議院議員が入党したことは嬉しいことですし、良く決断された、して下さったとありがたく思います。しかし、問題は党名です。「生活の党と山本太郎となかまたち」です。政党名に個人名が入ることは党首名や比例区の立候補者名でない限りは問題ないのだそうですが、これはあんまりではないか、ふざけているのではないかと思いました。

 

 名は体を表す、ですが、政党名はその正統の理念を表現するものです。「自由民主」党とは、今では全くもってふざけた名前で、「自由」「民主」という言葉に謝って、「翼賛独裁」党や「米政翼賛」党と名前を変更したら、理念と実際の行動が一致してよいのではないかと思います。それでもまぁ結党の時はその理念も少しはあったのでしょう。

 
 「生活の党」は、元々が民主党にいた方々で、当時の執行部が弊履の如く放棄した「国民の生活が第一」という21世紀の日本政治で最も偉大な路線を堅持すべく、民主党を離党した方が「国民の生活が第一」を党名にしてスタートした政党です。

 

 途中で、「日本未来の党」への合流のために解党となりましたが、これが大失敗であったということは敢えてここでは繰り返しません。日本未来の党の結成から分裂までの過程は、大失敗であったと思います。そして、現在の状況を見ると、民主党からの分裂もなんだったのかという気持ちになります。しかし、それらは既に終わったことですし、現在のことの方が重要です。

 

 生活の党は、「国民の生活が第一」が理念なのですし、元々がこの理念を党名にしていたわけです。その略称が「生活」「生活の党」であって、諸事情で、党名を昔のものに戻せないから、正式な党名を現在は「生活の党」にしているのでしょう。私はこの党名も理念が詰まった素晴らしいものだと思いますし、これ以上、「何も足さない、何も引かない」(ウィスキーのコマーシャルでしたかね)で済むものであると思います。

 

 それにわざわざ夾雑物を入れて、「生活の党と山本太郎と仲間たち」とする必要がどこにあるのでしょうか。生活の党が政党要件を満たすために、党名を売り渡したと思えて仕方がありません。現在、野球場やサッカー場はネーミングライツ売買が盛んです(ヤフードームとかクリネックススタジアムとか)。これは、党名のネーミングライツ(命名権)の売買じゃないかと私は昨日、ニュースを聞いて最初に思います。どうして理念を示す党名に個人名を入れる必要があるのでしょうか?

 

 個人の名前が入った政党名には何の理念も感じませんし、個人の宣伝、顕示欲から出たものではないにしても、私には全く支持する気は起きません。また、そんなことは毛頭ないとは思っていますが、個人崇拝のように感じられて、気持ちが悪いのです。また、蛇足とも言うべき表現をくっつけているのは、山本太郎氏を特別扱い、お客様扱いしているからなのでしょうか。

 

こうした意見は、「社会の発展を阻害する良識派」からの「退嬰的な阻害」として切って捨てられつてしまうようです。しかし、政党である以上、多くの有権者の方々に支持をしてもらって、候補者名や政党名を書いてもらって議席を得て、議政壇上に堂々と論戦を戦わせる必要があります。投票所に行けば、政党名の一覧が貼り出してあります。そこに「生活の党と山本太郎となかまたち(略称:生活の党)」と書かれている訳です。それで、一般の有権者が「この名前に理念を感じるな」と思って一票を投じてくれると思っているようなら、残念ですが、生活の党は浮世離れした集団ということになります。

 

 このニュースの発表後、党名に対する賛成、反対それぞれの意見がインターネット上のソーシャルネットワークサーヴィス(SNS)で沸き起こりました。それだけ注目されるニュースであったと言えます。まぁ冗談やちゃかしの対象にもなっていましたが、それは置いておくとして、生活の党関係者は、ひたすら賛意の意見ばかりに反応し、違和感を表明したり、反対をしたりしている意見に関して、「叩く」「disる(disrespect)」といった表現で切って捨てていたことに愕然としました。

 

 「突然のことで、驚かせてしまってごめんなさい。びっくりしますよね。理解できます。今回のことはですね、・・・・・」と経緯と理由を丁寧に説明し、違和感や反対を受け止める、和らげるといった作業がほとんど行われず、「ついてこられない者は今日から支持者ではない、敵だ」「何でも賛成する者のみが支持者で仲間だ」という態度に終始しているように感じました。寛容さも受容性も全くない、硬直したレーニン主義的、上意下達構造になっているのではないかと感じました。

 

 これでどうやって支持を広げていくのでしょうか。一般的に小沢一郎代表の印象は、「怖くて、悪いことをやった人」というものです。そうではないことは自明のことなのですが、多くの一般有権者はそう思っています。そうしたマイナスのスタートからなのに、そうした排他的な、批判を許さないところを見て、「あそこの党はやはりおかしい、批判や懸念を表明したら攻撃される、小沢一郎信者の政党なんだ、危ないんだ」「小沢氏もついにおかしくなったのか、山本太郎なんかと組んじゃって、政治生活も終盤に来て憐れだな」と思われてしまうと私は考えます。

 

 私はこの前の総選挙の前にこのブログで「今回の総選挙は小沢氏にとって城山だ」と書きました。最後の戦いに臨んで、一矢報いるのだが、同時にうまく戦ってくれて野党再編につながる勝利を得てくれるという期待を込めて書きました。しかし、結果は惨敗でありました。私は城山の意味を今はこう言いたいと思います。「アホで間抜けな、政治家に向かない不肖の弟子たちをひとまとめにして、自分が一緒に戦って死んでいく役割を小沢氏が引き受けた」のだと。

 

 SNS上では穏やかなやり取りもあり、このような文章を書くこともないかと思いました。お目汚しである点はお詫びしたいと思います。しかし、私は今でも「生活の党と山本太郎となかまたち」という党名には違和感を感じますし、こうした党名変更には反対です。それで党勢拡大から野党再編への軸になっていく、とはどうしても思えないのです。次の国政選挙は2016年の参議院議員選挙ですが、ここで2名以上の当選者か、2%以上の得票率を得なければ政党要件を再び失ってしまうことになります。

 山本太郎氏が入党したことで、全国にいる山本太郎氏支持者が生活の党に投票してくれるかもしれません。その数はどれほどのものか分かりませんが参院選の東京ブロックで50万以上を集めたことを考えると、100万近くあるのかと思います。しかし、同時に私のように驚いて、幻滅して支持をしないという人たちも出てくることも考えねばなりません。そうなると、どこまで支持が拡大して、それが一般的なところまで浸透するのか疑問を持たねばなりません。端的に言って、これで次の国政選挙である参院選で2名以上の当選者が出なければ、残念ながら失敗であったと言うしかなくなるのです。

 こうした考えに対して、俗論だ、多数派の意見だという批判をいただきました。確かにそうかもしれません。つまらない考えであると思います。立派な意見を言えずに申し訳なく思います。しかし、世の中とは俗論が大きな存在を占め、多くの方々はそれ以上の考えを持てないのではないかと思います。そうした中で、理解されるように努力することなく、「俗論だ、多数派の意見だ」と言っているのは、追い詰められた宗教団体や過激派の論理です。最初から多数の一般庶民に浸透することを拒み続け、最後には暴発して自滅するということは歴史上繰り返されてきました。「自分たちは常に正しいが少数派で弾圧されている」と考えて、カタルシスに恍惚となるのは仲間内では楽しいですが、外から見れば、危なっかしく見えます。

 山本太郎氏の参加はそれだけで大きな話題になったであろうに、党名変更までする必要があったのか、しかも蛇足の(と私には思われる)ものをくっつける方向に、生活の党側の姿勢に私は疑問を持ちっています。それなら合流していただかなくてもいいです、と言える人はいなかったかと私は残念に思っています。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「生活に山本氏 党名「生活の党と山本太郎となかまたち」」

 

朝日新聞デジタル 1226()2140分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141226-00000046-asahi-pol

 

 生活の党は26日、無所属の山本太郎参院議員と合流し、名称を「生活の党と山本太郎となかまたち」と変更した。「国会議員5人以上」という政党要件を満たしたことで、来年の政党交付金を受け取れることになった。代表は引き続き小沢一郎氏が務める。

 

 生活の党は、14日の衆院選での当選者が2人にとどまった。衆参あわせての国会議員が計4人になり、政党要件を失った。政党交付金は1月1日を基準日として算出されるため、年内に国会議員を再び5人にすることを目指して、無所属議員の勧誘を続けていた。山本氏は昨年参院選で初当選して以来、無所属で活動していた。

 

●「山本太郎議員、生活の党に入党…政党要件復活」

 

読売新聞 1226()2117分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141226-00050100-yom-pol

 

 無所属の山本太郎参院議員が生活の党に入党した。

 

 これを踏まえ、同党は26日、政治資金規正法に基づき、「国会議員5人以上」の政党要件を満たしたとの届け出を総務相に提出するとともに、党の名称を「生活の党と山本太郎となかまたち」に変更した。党代表は小沢一郎衆院議員が引き続き務める。

 

 生活の党は、先の衆院選で惨敗した結果、所属する国会議員が4人(衆院2人、参院2人)となり、政党要件を失っていた。要件を満たしたことで政党交付金を受け取ることができるようになる。

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

(終わり)








 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 オバマ大統領のキューバとの国交正常化交渉の発表を受けて、共和党内部では論争が起きているようです。2016年の大統領選挙の有力候補者同士であるマルコ・ルビオ連邦上院議員とランド・ポール上院議員の間で批判合戦が起きているとのことです。

 

 2人の批判合戦は、共和党内部にある外交政策に関する2つの大きな考え方を代表していると記事では書かれています。アメリカ政治を理解する上で重要な記事であると思います。

 記事の中に出てくるリバータリアン、アイソレーショニストという言葉については、副島隆彦先生の主著『世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち』(講談社、1993年)をお読みください。
 


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キューバを巡るポール・ルビオ論争は、2016年の米大統領選挙の共和党予備選の外交政策の前哨戦だ

 

フィリップ・ラッカー筆

2014年12月19日

ワシントン・ポスト紙

http://www.washingtonpost.com/politics/in-paul-rubio-feud-over-cuba-a-preview-of-gops-2016-foreign-policy-debate/2014/12/19/41218766-87ab-11e4-a702-fa31ff4ae98e_story.html?tid=sm_fb

 

共和党の大統領有力候補2人が2014年12月19日の金曜日に激しくぶつかった。彼らは、バラク・オバマ大統領が発表した新しい対キューバ政策について論争を行った。このことは共和党内部の外交政策を巡る意見対立を明確にし、2016年の米大統領選挙の前に行われる共和党内の予備選挙にも影響を与えることになる。

 

 ランド・ポール連邦上院議員(ケンタッキー州選出)は、オバマ大統領の共産党が支配するキューバとの国交正常化に向けた動きを支持している。ポール議員は、同僚のマルコ・ルビオ連邦上院議員(フロリダ州選出)を激しく非難した。ポール議員はルビオ議員をキューバとの貿易と外交関係を再開することに対して強硬に反対する「孤立主義者(アイソレーショニスト)」だと批判した。ポール議員はルビオ議員は、「アメリカが国境線の内側まで後退し、濠をめぐらし世界との関係を絶ちたいと考えている」と述べた。

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ランド・ポール

 

 ルビオ議員はキューバ難民の息子として生まれ、オバマ大統領の対キューバ政策に対しては先頭に立って反対を表明している。ルビオ議員はフォックス・ニュースの取材に対して、「オバマ大統領を支持するポール議員は、キューバに関して、自分で何を言っているのか全く分かっていないのだ」と述べた。ポール議員のコメントはルビオ議員の発言を受けて出されたものだ。

 
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マルコ・ルビオ
 

 2人の論争は、2016年の米大統領選挙の共和党側の有力候補同士が表舞台で行っている論争となり、共和党内に、伝統的なタカ派(ルビオ議員はこちらに含まれるし、これまでの共和党出身の大統領や大統領候補たちもこちらのグループだ)と、党内に出現しつつある、若いリバータリアン・グループ(ポール議員はその代表格である)との間で、世界観が大きく異なることを明確に示している。

 

 長年にわたり、ルビオが取る立場が共和党にとって当然のものであった。しかし、ポールはそうしたこれまでの常識に挑戦している。

 

 共和党のストラティジストであるジョン・フィーフェリーは次のように述べている。「私たちはいまだに冷戦の闘士のままでいるべきでしょうか?それとも外交に関して全く新しい立場を取るべきでしょうか?ルビオ議員の世界観はこうです。私たちの目の前には、キューバがあり、北朝鮮がある。私たちに必要なのは、大胆な、国際主義的な、アメリカが主導する世界なのだ。私たちは悪い奴と戦わねばならない。ランド・ポール議員は父のロン・ポール元下院議員の外交政策を継承し、それを新たな段階に進めようとしています。彼はアメリカが世界に関与するように主張していますが、アメリカが世界の警察官であるべきだという立場を取りません」

 

共和党内のタカ派は、長年にわたり、ランド・ポール議員の求める外交政策は「孤立主義的」だと批判してきた。ポール議員はこうしたレッテル貼りを拒絶している。今週になって始まったキューバ政策を巡る論争の中で、ポール議員は、この「孤立主義」という言葉をルビオ議員に当てはめた。

 

 ポール議員のコメントは個人のサイトによる発信から始まっている。これは異例なことだ。ポール議員はルビオを批判する内容のメッセージをツイッターに複数書いた。その後、彼は自身のフェイスブックのページで、2段にわたりコメントを書いた。ポール議員は次のように書いている。「ルビオ議員は孤立主義者のように行動しています。そして、キューバ系アメリカ人の過半数を代弁しているのではないのです」。

 

 ポール議員は金曜日の午後に『ニューヨーク・タイムズ』紙の論説ページに論稿を発表した。この論稿の中で、ポール議員は自身が共産主義を嫌う環境の中で育ってきたが、「キューバに対する孤立主義政策は間違っており、有効に機能してこなかった」という結論に達したと主張した。彼は、世論は「友好関係の復活(ラプローチメント)」の方向へと変化していて、特に若い人々、その中には若いキューバ系アメリカ人たちも含まれているのだが、彼らは国交正常化を支持しており、アメリカの産業界にとっても製品をキューバで売ることができるので利益になるとも書いている。

 

 ポール議員は次のように書いている。「共産主義は資本主義の魅力の前に生き残ることなどできない。カストロ政権をアイフォン、アイパッド、アメリカの自動車、そしてアメリカの発明によって圧倒しようではないか」

 

 ジェフ・フレイク連邦上院議員(共和党、アリゾナ州選出)は今週、アメリカの外交官たちとキューバを訪問し、キューバに拘留されていた建設業者アラン・グロスの釈放を求めていた。フレイク議員はポール議員の考えに賛成している。フレイク議員は、オバマ大統領の国交正常化に向けた動きを支持し、50年に渡る輸出禁止措置の後、今こそ「何か別のことを始める時期」だと述べている。

 

 金曜日の夜、ルビオ議員はポール議員のコメントに反応した。彼は、保守的なラジオDJであるマーク・レヴィンに対して次のように語った。「ランドがバラク・オバマの対キューバ政策に賛成するのは不幸なことだと思う」

 

 ポール、ルビオ両議員にとって、論争は短期的には彼らにとって利益となる。2016年の大統領選挙の共和党の候補者としてこれまでに10名以上の名前が挙がった。その中で2人はマスコミの関心を集め、政策について2人が先行しているという印象を与えた。こうした様子を大口の寄付者たちや支持者たちは見ているのだ。

 

 二人の論争は、ポール議員の常に戦う姿勢を示している。彼は民主党側の大統領選挙候補者となるであろう前国務長官のヒラリー・ロドハム・クリントンに対して最も攻撃的な人物である。そして金曜日に示したように、自分の同僚である共和党の議員に対しても攻撃することを厭わないことを示したのである。

 

アナ・ナヴァロはマイアミを拠点に活動している共和党のストラティジストであり、ルビオやジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事とも近い。彼女は、今回の論争について、「マスコミにネタがなかったので大きく取り上げられた」に過ぎないと述べている。

 

 「目の手術やケンタッキーのバーボンについては、ポール議員(彼は眼科医から政治家になった)も大変詳しいことでしょう。しかし、ルビオ議員をキューバ政策で圧倒しようというのはね、しかも1回で140文字しかかけないツイッターでそれをしようというのは生産的ではないし、立派な大人がやることでもないし、連邦上院議員らしくないですよ」

 

 ポール議員は、共和党の外交政策や人種間関係などについて新しい方向に向けようと努力している。彼は民主党側と協力して薬物犯罪の判決に関するガイドラインの法制化に向けて動いている。

 

ジョージ・W・ブッシュ前大統領の報道官を務めたアリ・フライシャーは次のように述べている。「ポール議員は許容すべき範囲を拡大しようとしています。そして、共和党がこれまでやってこなかった方向で党勢を拡大しようとしているのです。私は、ポール議員の唯一の味方は若い人々であると思います。若い人々以外に彼に味方はおらず、実際に何かをやろうとすると大変な苦労があると思います。共和党の歴史が示しているように、共和党の外交政策は介入主義的で、強硬で、ロナルド・レーガン大統領時代のものを基本的に踏襲しているのです」

 

 ポール議員のスタッフたちは、彼がキューバ政策を党派性に基づいて考えておらず、経済と外交の問題として考えていると語っている。

 

 しかし、共和党の支持者たちの多くはそう思わないだろう。保守派の指導者として長年活躍してきたリチャード・ヴィゲリーは次のように語っている。「保守派の人々の間で、キューバ政策について考え直そうという気運があるのは事実です。しかし、交渉がオバマ大統領によって行われるのです。私たちが信頼を持っていない大統領が交渉を行うのですから、疑念が起きるのは当然です。もしキューバとの交渉が信頼に足る保守的な共和党の政治家によって行われるならば、事態は全く違ったことになるでしょう」

 

 ルビオ議員は連邦上院外交関係委員会の委員であるが、国際問題に関して自分が第一人者であるという印象付けを行おうとしている。水曜日にキューバ政策の転換が発表された直後、ルビオ議員は、個人の経験を絡めながら、オバマ大統領を激しく非難した。ルビオ議員は1950年代にキューバから避難してきた難民の子として生まれ、マイアミで育った。彼は同じキューバ難民、キューバ系アメリカ人たちの中で育ち、彼らを代表してワシントンDCに乗り込んで来た。

 

 ルビオ議員は議事堂の中で木者たちに対して次のように語った。「オバマ政権は、我がアメリカがよって立つ基盤である普遍的なそして不可侵の個人の諸権利を守るのではなく、暴政を敷く体制と妥協を行いました。これはイランに続いて2度目のことです」

 

 2016年の米大統領選挙の共和党側の有力候補者たちのほとんど、ジェブ・ブッシュ、テキサス州知事のリック・ペリー、テッド・クルーズ連邦上院議員(テキサス州選出)、ウィスコンシン州知事のスコット・ウォーカーなどは、キューバ政策についてルビオ議員と似たような内容の声明を発表した。ニュージャージー州知事のクリス・クリスティはキューバについて何か語ってはいないが、ルビオ議員と同じような、いや彼よりもよりタカ派的な世界観を持っていることは既に有名である。

 

 ネオコンの有力者で雑誌『ウィークリー・スタンダード』誌の発行人であるウィリアム・クリストルは、「共和党の有力な大統領選挙候補者たちと議員たちは外交政策に関しては全く同じ考えを持っている」と述べている。

 

 そして、クリストルは次のように語っている。「ランド・ポール議員は共和党内で孤立した、うるさ型なのだ。ポール議員は共和党の支持者たちの気持ちを代弁してはいる。しかし、その割合はどうだろうか、10%?、15%?、20%?、まぁそれくらいのものだ。彼が共和党の外交政策の方向を決めるような人物になるとはとても考えられない」

 

(終わり)









 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23



 古村治彦です。

 

 自民党と言えば、醜い派閥政治と言われた時代が長く続きました。派閥が形成されたのは、第一回の自民党総裁選唐でそれ以前から、自由党系と民主党系でそれぞれいくつかの集団がありました。8個師団と言われた時代から、三角大福中の5大派閥が合従連衡で総理総裁の椅子を争った時代がありました。自由党系が保守本流と呼ばれ、大平派と田中派がこれに属し、民主党系、改進党系が保守傍流と呼ばれ、福田派、中曽根派、三木派がこれに属しました。

 

 自民党の派閥は総裁選挙に単独で推薦人20名以上が出せる規模のものを言い、それ以外はグループという言い方をします。田中派分裂で竹下派と分かれた二階堂進氏を中心とする人々は20名いませんでしたので、二階堂グループと呼ばれました。現在で言えば、谷垣禎一幹事長や石原伸晃元幹事長の派閥は20名を有していないので、グループということになります。

 

 自民党の派閥は一つの政党のようなもので、新人の発掘、選挙の支援、当選後の先輩たちによる教育、政治資金の分配、陳情の受付と割り振り、人事(党の役職や政府関係)、人事に絡んでいますが派閥の領袖の総裁選勝利といった機能を果たしていました。これらが機能的に動いていたのが旧田中派から竹下派でした。派閥は「ムラ」と呼ばれ、「ムラに帰って皆に相談します」という言葉が使われ、また派閥の領袖は「オヤジ」と呼ばれていました。派閥間の連絡は事務総長会議があり、これによって人事などが決まることがありました。

 

 1990年代に選挙改革、特に小選挙区制の導入が主張された時に、大きな理由となったのが「派閥の解消」でした。「派閥があり、制度化されているために、政治にお金がかかり、政治腐敗がひどくなる」とか「派閥があるために党の統制が徹底しない。小選挙区になれば党の執行部の力が強くなる」と言われました。確かに橋本龍太郎元首相による行政改革によって官邸機能が強化されたこともあって、党中央の力が強くなり、派閥は弱体化しました。

 

 派閥の領袖になっても総裁・総理に慣れない人たちが多くなりました。小渕恵三首相が病気で倒れ、その後に密室の話し合いで、森派を率いていた森喜朗氏が首相となりましたが、その後は、森派に属しながらも孤高の人であった「変人」小泉純一郎氏が首相になって以降、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎、谷垣禎一、安倍晋三と派閥の領袖ではない、もしくは小派閥の領袖クラスが総裁、総理に座に座りました。派閥の領袖になって苦労をしなくても、総理総裁を目指せることになりました。そうなると、人望だけがあって資金力がない人が世話人的に領袖になるということが多くなりました。そうなると、派閥の政治資金配分機能もうまく機能しなくなって、当選回数の少ない議員たちからすれば、わざわざ派閥に入ることもない、メリットがないということになります。

 

 また、派閥の教育的な機能も低下しました。昔は「雑巾がけ」という言葉もあり、当選回数の少ない議員たちは、上の議員たちに教えられながら、政界の作法を学んでいきました。最初のうちは、朝勉強会に出て、国会に行き、複数の委員会に出席して、採決まで参加して回るということを忙しくやりながら、自分の適性を見つけていく(そして、族議員になっていく)ということがありました。

 

 下に貼り付けた新聞記事にあるように、町村派は安倍派になるということです。森喜朗氏が元気で存命中なために、森派は町村派と看板を掛け変えたのですが、森氏の影響力から逃れることができませんでした。町村氏も重要ポストを多く経験しながら、ついに総理大臣になることはできませんでした。国会議長は上がりのポストです。

 

 安倍氏は父親以来の安倍派、もっと言うと、祖父の岸派を継承したことになります。現在、安倍派は人数がダントツに多く、盤石の体制です。保守本流各派は分裂やスキャンダルで元気がありません。党内政治としても、安倍派に挑戦するところはありませんから安定しています。ポスト安倍と言われている谷垣氏は自身の率いる派閥が小さいので、独自の動きはできないでしょう。他派閥や党外の勢力と連携しなければなりません。石破氏は、自身が派閥に入っていないのですが、無派閥連絡会を作り、党内に一定のネットワークはあるようですが、派閥的な結束の強さはないようです。

 

 安倍派に弱点があるとすれば、安倍氏の次を担える「プリンス」「跡継ぎ」の政治家が存在しないことです。二世、三世になると父や祖父が属していた派閥にそのまま属するものですので、小泉進次郎氏も安倍派に入っていてもおかしくありませんが、彼は既に単独で行動し、若手の中にネットワークを張りつつあります。安倍派の名簿を眺めてみても、なかなこの人が安倍氏の次に派閥を率いていくんだろうと思われるような政治家は見当たりません。どうも裏方が似合う感じの地味な人たちが多いというのが印象です。次世代のリーダー作りができないと安倍派もまた退潮していくんだろうと私は思います。

 

==========

※自民党の派閥

 

・旧池田派→旧大平派→旧宮沢派→旧加藤派→旧堀内派→旧古賀派→岸田派(宏池会)

⇒43名(衆:32 参:11)

→旧河野グループ(大勇会)→麻生派(為公会)

⇒37名(衆:30;参:7)

→旧加藤派→谷垣グループ(有隣会)

⇒15名(衆:12名;参:3名)

 

・旧田中派→旧竹下派→旧小渕派→旧橋本派→旧津島派→額賀派(平成研究会)⇒52名(衆:32;参:20)

 

・旧福田派→旧安倍派→旧三塚派→旧森派→旧町村派→安倍(正式には細田)派(清和政策研究会)

⇒92名(衆:59;参:33)

 

・旧中曽根派→旧渡辺派→旧山崎派→石原グループ(近未来政治研究会)

⇒12名(衆:11名;参:1名)

→旧伊吹派→二階派(志帥会)

⇒29名(衆:24名;参:5名)

 

・旧三木派→旧河本派→旧高村派→大島派(番町政策研究所)⇒12名(衆:8名;参:4名)

 

無派閥連絡会石破グループ(山本有二[政策グループのぞみを率いる]、鴨下一郎[政策グループのぞみ]

 

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(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「自民・町村派:細田派に衣替え 事実上の「安倍派」誕生?」

 

毎日新聞 20141223日 2200分(最終更新 1223日 2224分)

http://mainichi.jp/select/news/20141224k0000m010081000c.html?inb=tw

 

◇15年秋の自民党総裁選へ盤石な体制目指す

 

 自民党最大派閥の町村派の会長だった町村信孝元官房長官が24日召集の特別国会で衆院議長に就任することから、町村派は25日の会合で「細田派」に正式に衣替えする。安倍晋三首相(自民党総裁)の出身派閥で、細田博之幹事長代行が首相に近いことから事実上の「安倍派」誕生との見方もある。

 

 首相は22日、佐賀県知事選の推薦状を渡すため党本部を訪れた際、細田氏の部屋に立ち寄り、「会長としてよろしくお願いします」と派閥会長への就任を要請した。

 

 首相は表向きは派閥を離脱しているものの、派内には首相の「応援団議員」が多いのが実態だ。一方で、これまで会長を務めてきた町村氏は2012年総裁選を同じ派閥ながら戦った相手だ。首相が10%への消費増税を先送りする決断をした際も町村氏は異論を唱えた。派内では、安倍首相と距離がある議員を「町村派」、首相に近い議員を「安倍派」と呼んで区分することもあった。

 

 町村氏の衆院議長人事は首相自らが決断し、水面下で調整した。後任会長を細田氏とすることで「実質的に『安倍派』で派内が統一されることになる」(同派関係者)とみられている。

 

 町村派は総裁派閥として勢いづくが、首相は出身派閥に頼るだけではなく、岸田派の岸田文雄外相や額賀派の加藤勝信官房副長官らとも信頼関係を構築。他派閥の支持も拡大させ、来秋の自民党総裁選を事実上、回避できるような盤石な体制を築き、長期政権を目指す考えだ。

 

 衆院選での獲得議席が解散前とほぼ横ばいだったため、各派閥とも勢力に大きな変動はない。さらに、12年衆院選で新人議員が多く誕生したこともあり、今回衆院選での自民党新人議員は15人だけ。派閥による新人獲得合戦も低調だ。

 

 このうち町村派では、ともに父が同派所属だった尾身朝子(比例北関東)、谷川とむ(比例近畿)の両氏の入会が内定。「準会員」の宗清皇一氏(大阪13区)も正式入会する。同派幹部は「4〜5人は確保できそうだ」と自信をのぞかせる。

 

 岸田、麻生、二階の各派はすでに1〜2人を入会させたか内定済み。第2派閥の額賀派も1人確保を目指して交渉中。石原派と大島派は新人入会のめどは立っていない。派閥ではない谷垣禎一幹事長のグループには加藤紘一元幹事長の三女の鮎子氏(山形3区)が参加する予定だ。【影山哲也、宮島寛】

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)









 

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