古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。


 

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 古村治彦です。

 今回は、大変面白い音源を見つけましたので、皆様にご紹介したいと思います。

 インターネットの動画サイトYou Tubeにアップされていたもので、舛添要一氏がラジオ番組に出演して、キャロライン・ケネディ駐日米大使の着任の政治的意義について語っています。

 「キャロライン・ケネディ大使は日米両国に対する発信力が強いので、日本の政治家たちは舌禍を起こさないように口にチャックし、中途半端に英語ができるからと得意がって英語で話すのではなく、慎重に日本語で話してちゃんと通訳に訳してもらえ」と言っていたのが印象的でした。

 都知事選挙の情勢についての私の考えは昨日書きました。お読みいただければわかりますが、舛添氏もまさか自分がその政治的重要性について解説した相手に邪魔をされることになるとはという思いに駆られます。「一寸先は闇」「好事魔多し」ですね。





アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12


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 古村治彦です。



 今回は、2014年1月21日(全国の書店に行きわたるのに2日ほどかかります)に刊行いたします、私の2冊目の単著となります『ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側』(古村治彦著、PHP研究所、2014年)を皆様に宣伝をさせていただきます。



 本日(2014年1月10日)、見本(発売前に小数部の完成品ができます)ができ、私にも送られてきました。写真を見ていただくと分かりますが、この本のカヴァーの色は、赤っぽい色になっています。これは、「クリムゾン(crimson)」という色で、ハーヴァード大学のスクールカラー、シンボルカラーです。更に言うと、昨シーズン、日本のプロ野球で大旋風を巻き起こし、所属するパシフィック・リーグで初優勝し、その勢いのまま、日本シリーズで読売ジャイアンツを破って初の日本一に輝いた東北楽天ゴールデンイーグルスのシンボルカラーであり、もっと言えば、楽天グループのシンボルカラーです。このクリムゾンという色が本書のキーワードです。



 本書『ハーヴァード大学の秘密』は4部構成になっています。第一部は、「アメリカの代理人」養成所としてのハーヴァード大学、第二部は、アメリカの大学で学ぶということ、第三部は、ハーヴァード大学の知的パワーを象徴する学者たち、第四部は、ハーヴァード大学で真に教えたいこと、となっています。著者の私が言うのもなんですが、本書の肝となるのは最初の第一部と第四部です。





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【目次】



副島隆彦の推薦文



第一部 「アメリカの代理人」養成所としてのハーヴァード大学

第一章 ハーヴァード大学出身者の日本における人脈・最新版

    ―「クリムゾン・クラブ(Crimson Club)」が動かす現在の日本

第二章 ハーヴァード大学と日本

    ―戦前から戦後にかけて日本を動かしたハーヴァード大学人脈



第二部 アメリカの大学で学ぶということ

第三章 日本からアメリカへの留学の実態

    ―一大産業である留学

第四章 アメリカの大学の授業や制度、生活について

    ―これだけは読んでから、留学して欲しい



第三部 ハーヴァード大学の知的パワーを象徴する学者たち

第五章 サミュエル・ハンチントン

    ―リベラル派に喧嘩を売り続けた人生

第六章 ジョセフ・ナイ

    ―「アメリカの理想」に忠実なリベラル派



第四部 ハーヴァード大学で真に教えたいこと

第七章 共同体優先主義

    ―個人至上主義への危険な反発

第八章 合理的選択論(Rational Choice Theory

    ―自分が損をしないこと



あとがき



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第一部では、日本を動かす最高エリート層を形成する日本人ハーヴァード出身者たちのネットワークについて書いています。私はこれを「クリムゾン・クラブ(Crimson Club)」

と名付けました。具体的には、楽天の三木谷浩史会長兼社長を中心とする新経済連盟(新経連)に集う人々のネットワークについて書いています。また、今度の東京オリンピック招致成功に絡む人脈についても触れています。具体的には、早稲田大学スポーツ科学大学院教授の平田竹男氏を巡る人脈、そして、三木谷氏と平田氏をつなぐ線について書きました。この「クリムゾン・クラブ」がこれからアメリカの代理人として日本を動かしていくことになると私は考えます。そして、



 第一部では、最新の人脈の他に、戦前から戦後にかけての日本政治におけるハーヴァード大学人脈について書きました。私は、戦前には金子堅太郎を中心とするハーヴァード大学人脈があり、それが次に三木武夫、側近の松本瀧蔵に引き継がれたと考えています。戦後の日本とアメリカの関係で言えば、中曽根康弘・渡邉恒雄とヘンリー・キッシンジャーの関係が有名ですが、もう一つのラインとして三木武夫を中心とする線があったのではないかと考えます。そして、この2本のラインは一緒になり、三木武夫首相・中曽根康弘自民党幹事長のコンビで、アメリカの敵と認定された田中角栄を追い落としたのだというのが私の仮説です。



 第四部では、ハーヴァード大学政治学で教えられているもののうち、重要なものである共同体優先主義(Communitariansim)と合理的選択論(Rational Choice Theory)を取り上げて、説明しています。この2つの政治学上の重要な思想は、実はともに大変ユダヤ的であるということを私は指摘しました。共同体優先主義は、私の師である副島隆彦先生が見抜いたように、イスラエルの共同農場キブツの思想です。また共同体優先主義に分類される学者たちにはユダヤ系も多くいます。その代表が日本でも有名なマイケル・サンデル(Michael Sandel)ハーヴァード大学教授です。合理的選択論は、経済学の想定する経済的人間(economic man)を政治学に応用したもので(これを経済学の政治学に対する侵略と言って、経済学帝国主義と言う人もいます)、人間は「自己利益の最大化」のために行動するという前提で政治現象を分析していくものです。これも大変にユダヤ的な発想と言えます。こういったことを書くと、学問的ではないとして、アカデミックな世界では嫌われてしまいますが、私は敢えて書きました。



拙著『ハーヴァード大学の秘密』は、ハーヴァード大学をキーワードにして、このほかにも数多くのテーマを取り上げています。個々では紹介しきれないことをたくさん書きました。是非、多くの皆様にお読みいただきたいと思います。ここからは、現在の政治状況について書いていきたいと思います。



 私が『ハーヴァード大学の秘密』の最終的な推敲をしている2013年12月6日、キャロライン・ケネディ米大使が、楽天の本社を訪問し、三木谷氏と会談を行ったというニュースが入りました。私はこのことは大変重要だと直感的に思い、無理を言って、このことを本に入れてもらいました。キャロライン大使の動きは大変に重要ですが、そのことは後ほどにまとめて触れます。


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キャロライン・ケネディ大使(左)と三木谷浩史楽天会長兼社長



まず現在の政治状況を考えると、マイケル・グリーンが述べたように(2012年12月13日付東洋経済ONLINE「総選挙が「左派」に最後のとどめを刺す マイケル・グリーン氏が語る日本政治」ピーター・エニス http://toyokeizai.net/articles/-/12101)、「日本のリベラル系が殲滅」され、安晋三首相に抵抗できる勢力がいなくなりました。それで何が起きたかというと、安倍氏とその周辺が、アメリカの戦後世界を支配するための基礎となる正統性(legitimacy)を脅かす動きに出るようになったということです。それが、2013年12月26日の安倍晋三首相の靖国参拝です。靖国神社にA級戦犯として処刑された人々が合祀されたのは1978年、その目的は東京裁判史観を否定することでした。しかし、それは東京裁判を開いた連合国(アメリカがメインですが)に挑戦することでした。


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安倍晋三首相の靖国神社参拝


 安倍首相の靖国神社参拝は、私がこのブログ内でも書きました通り(本ブログ2013年12月27日付 「分かっているようで分かっていないということになるのでしょうか」)、「アメリカの意図の読み間違い」であり、「アメリカに対する甘え(アメリカは一時的に怒っても、最後は許してくれる、だって日本は何と言ったってアメリカにとって大事な同盟国だし、ATMなのだから)」が引き起こしたものであると思います。ネオコンだろうがリベラルだろうが、「東条英機をはじめとするA級戦犯が祀ってある靖国神社(遊就館という太平洋戦争はアメリカが日本を圧迫し苛めたから起きたのだということを展示している博物館がある)に参拝するのは良いことでしょうか」と聞いて、「良いことですね」と大歓迎する人はアメリカ政府中枢に近いほどいないのではないかと思います。それは、アメリカの大義と戦後世界支配、世界覇権国の正統性を揺るがすことだからです。



 しかし、安倍首相には国内に対抗できる勢力がいない状況です。「リベラル」と言われた勢力は野党ではほぼ壊滅、自民党内の穏健派や保守本流系も静かになってしまった状況です。その結果、安倍氏と彼の周辺は誰にも実体のある反対や抵抗を受けることがなくなりました。そうして起こしたのが靖国神社参拝です。



 安倍氏を育て、盛り上げてきた、ジャパン・ハンドラーズは困ったことになったと思っているでしょう。安倍氏のために邪魔になるリベラルを黙らしてみたら、彼は自分たちに逆らうような行動をとるのですから(それが意図したものなのか、いわゆる「天然」なのかもよく分からないでしょう)。例えは適切かどうかわかりませんが、原子炉内の温度を適切に管理しようとしているのだが、暴走を抑えるための制御棒をなくしてしまったので、燃料棒が暴走して原子炉内の温度が上昇してしまうということに似ているのではないかと思います。



そこで重要な「制御棒」「対抗勢力」となるのが、昨年(2013年)秋に日本にやってきたキャロライン・ケネディ駐日アメリカ大使です。キャロラインが駐日本アメリカ大使に着任してから、日本政治が少しずつ動いているなという感じを私は持ってきました(結いの党の結党など)。このブログの中でも書きましたが(本ブログ2013年11月17日付 「新しく米駐日大使になったキャロライン・ケネディについて考えたこと」)、王族や貴族がいないアメリカで、ケネディ家は王族のようなものであり(私はボストン・ケネディ王朝と呼んでいます)、キャロライン・ケネディはその王女様(お姫様)です。



話は脱線します。ケネディ家はアイルランドからの移民であって、ボストンに昔からボストン・ブラーミンと呼ばれるWASPの上流階級からは恐らく「成り上がり者」と下に見られているでしょうが、ボストンはアイルランド移民の町でもあります。ボストンにある、アメリカのプロバスケットボールNBAのチームは、ボストン・セルティックス(Boston Celtics)と言いますが、セルティックスとは「ケルト人たち」の意味です。チームカラーはグリーン、クローバーがロゴです。バスケットボールは元々労働者たちが良く見るスポーツでした。そのため、そうしたボストン社会の下層階級を意識した名前がセルティックスなのです。また、昨シーズン、ワールドシリーズを制したボストン・レッドソックス(Boston Redsox、日本人の上原浩治投手、田澤純一投手が大活躍しました)が本拠地フェンウェイ・パーク(Fenway Park)で試合をし、勝ったら流される曲があります。「スウィート・キャロライン(Sweet Caroline)」という曲なのですが、これは幼いキャロライン・ケネディからインスピレーションを得て作られた曲です。この歌は今やボストンを代表する曲になっています。こうして見ると、私がキャロライン大使を王女様と呼ぶのもあながち的外れとは言えないだろうと私は思います。





 私はキャロライン大使に関しては王女様なのでお飾りだろうと考えていましたが、どうもそうではないようです。ここの点を私は間違いました。彼女は映画「スターウォーズ」に出てくる、レイア姫やアミダラ女王のように強い意志を持って行動する人物のようです。また、これは私の初めての単著『アメリカ政治の秘密 日本人の知らない世界支配の構造』でも書きましたが、オバマ政権の外交を担っているのは、スーザン・ライス(Susan Rice)大統領補佐官やサマンサ・パワー(Samantha Power)国連大使ヒラリー・クリントン系の女性たちで、いずれ劣らぬ正義感の強い人々です。

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オバマ大統領、スーザン・ライス、サマンサ・パワー


アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




 本ブログでもご紹介しましたが、駐日米大使館は、安倍晋三首相の靖国参拝に関して声明を発表し、その中で「失望した(disappointed)」という言葉を使いました。また、米国務省の報道官もこの言葉を繰り返しました。アメリカ大使館の声明に関して、色々な解釈をする人たちがいましたが、言葉通りに受け取るべきだったのです。キャロライン王女はご不満だったのです。このようなキャロライン王女に悪罵を投げつける人々(実際にアメリカ大使館のFBには異様な数の批判が書き込まれています)は、映画「スターウォーズ」で言えば、レイア姫を苛める銀河帝国軍の兵士たちと同じような存在として受け止められます。



 そして、最新の政治状況では、細川護煕元首相の都知事選挙出馬が最大の関心事となっています。東京の自民党は舛添要一元厚生労働大臣を支援するということになり、リベラル派、共産党と社民党は弁護士の宇都宮健児氏を推すことになりました。そして、軍事評論家で元航空幕僚長・元空将の田母神俊雄氏も出馬ということになり、石原慎太郎元東京都知事が支援することになりました。民主党は舛添氏の支援に回るかと思われましたが、細川氏の出馬で結論を先送りしています。



 私は昨日、細川氏が出馬の意思を固めたという話を聞いて、どうして今さら首相まで務めた人が選挙に出るんだ、学生野球の試合に引退したOBが出るようなものだ、と考えていました。しかし、昨晩ふと、これはアメリカの意向なのではないかと直感的に考えました。キャロライン大使が就任して以降、日本の政治が少しずつ動いていますが、それは安倍氏の支持ではなく、別の方向に動いていると感じていました。そして、細川氏の出馬も、キャロライン大使の意向なのではないかと考えて、それをツイッターでツイートしました。

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細川護煕



 細川氏の都知事選出馬は、かなり高い確率で、キャロライン大使の意向もあるのだということも分かってきました細川氏の奥さまである佳代子さんは、知的発達障害の人たちのためのスポーツ競技大会などを開催しているスペシャルオリンピックス(Special Olympics)を通じてケネディ家とつながりがあります。スペシャルオリンピックスは、ジョン・F・ケネディ(John F. Kennedy)元大統領の妹ユーニス・メリー・ケネディ・シュライバー(Eunice Kennedy Shriver)が1968年に始めました。そして、現在の理事長は、ケネディ元大統領の甥で、キャロライン・ケネディ大使のいとこのティモシー・ペリー・シュライバー(Timothy Perry Shriver)が理事長を務めています。日本のスペシャルオリンピックスは、細川佳代子さんが1993年に立ち上げたスペシャルオリンピックス・熊本が始まりとなっています。このように、細川家とケネディ家は国際的な社会活動を通じて繋がっています。こうした国際的なつながりは大変に重要です。この国際的なつながりとして、ヴァチカン(カトリック)も連なっているという話もあります。ケネディ家はアイルランド移民ですから、カトリックとの関係は深いし、オバマ政権の国連大使サマンサ・パワーはアイルランド生まれです。日本が、何か大きなものに包まれている、いや締められているそんな感じがしてきませんか。



 今回の細川氏の出馬には小泉純一郎元首相の支援があり、また、小沢一郎代議士・生活の党代表の働きかけがあったことが明らかになっています。こうして見ると、今回の細川氏の都知事選挙出馬は、安倍氏にブレーキを掛けるための、リベラル派(アメリカと日本の)の抵抗運動であると言えます。日本では実体のあるリベラルがいなくなってしまったために、戦う姫であるキャロラインが出てきているのだと思います。こうしたアメリカ側の意向が透けて見えるためか、自民党側では動揺が走っているようです。甘利明大臣の「殿ご乱心」発言はその慌てぶりを示しているものと言えまこす。

 私は『ハーヴァード大学の秘密』の第八章で、合理的選択論を取り上げました。この合理的選択論の重要な要素の一つが、プリンシパル(Principal)―エージェント(Agent)理論です。これは、「本人―代理人」理論と訳されます。プリンシパル(本人)は自分たちの利益を最大化するために、エージェント(代理人)を使います。これは政治の場面で色々な関係に見られます。有権者と政治家の場合は、有権者が本人となって、政治家が代理人となります。政治家と官僚(役人)の場合は、政治家が本人となって、官僚が代理人となります。問題は、代理人が本人の意向通りに動かない場合(これをエージェンシー・スラック、agency slackと言います)です。この場合、本人は代理人を変更するか(具体的には馘首)、意向通りに動くように誘導します。



 アメリカと日本の場合、アメリカの対日管理班(ジャパン・ハンドラーズ)が本人、日本の政治家が代理人となります。説明したように、代理人が本人の意向通りに動かないと、代理人は馘首になります。これまでもそうした例はありました。田中角栄は鳩山由紀夫といった人々はアメリカの意向に沿わなかったために潰されました。安倍氏だって例外ではありえません。安倍氏としては、「自分はアメリカの意向に従っている」と思っているかもしれません。しかし、そう考えているようでは、アメリカの複雑さ、大きさを全く理解していないということになります。安倍氏はネオコン派にくっついていれば安心と思っているかもしれませんが、アメリカはそこからシフトしたのです。そして何より、いくらネオコン派と言っても、靖国神社参拝については、安倍氏をそこまで徹底して弁護できないのです。アメリカの正義の前では、ネオコン派もリベラル派も一致しています。



 田中角栄氏はよく「石油問題でアメリカという虎の尾を踏んだのだ」と言われます。安倍氏も実は気づかないうちに「靖国問題でアメリカという虎の尾を踏んだのだ」と言うことになるのだと思います。



 今のうちはまだ、お灸的な感じで、都知事選で邪魔をされて、求心力を少し削がれると言ったところで済むのかもしれませんが、これからよほど自重して慎重に動かないと潰されてしまいます。二度目はないのです。We won’t give you a second!を突きつけられているというのが、私の今の政治状況に関する認識です。




(終わり)

  



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 古村治彦です。

 今回は、2014年1月21日に発売します拙著『ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側』(PHP研究所)をご紹介いたします。

 「あとがき」を皆様にご紹介します。

 


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あとがき

 

 前作『アメリカ政治の秘密』を二〇一二年五月に出版していただいた後、師(ルビ:メンター)である副島隆彦先生から、「君はアメリカで政治学の勉強をしてきたのだし、次はハーヴァード大学の政治学の全体像について書いてみてはどうか」という提案があった。この提案を受けて、私は、本書『ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側』の準備に取り掛かった。構想を練り、準備するのに予想以上の長い時間がかかってしまった。本として出版できるのかという不安を持ちながらの執筆であったが、このように出版していただけることになり、ホッとしている。

 

 本書『ハーヴァード大学の秘密』は、「ハーヴァード大学」をキーワードにして、幅広いテーマを取り上げている。副島先生の提案通りに政治学の全体像を描くことは、私の力不足でできなかったが、ハーヴァード大学で教えられている政治学、ハーヴァード大学の政治学を代表する学者、留学全般に関することを網羅することはできた。多くの読者の皆様に、それぞれの興味関心と重なる部分からお読みいただけたらと思う。

 

 そして、第1部では、ハーヴァード大学出身の日本人人脈を取り上げた。ハーヴァード大学をキーワードにして、張り巡らされた人脈の地下茎を掘り起こす作業を行った。私は、これを属国日本の政界のたけのこ掘りと呼んでいる。このたけのこ掘り作業を通じて、ハーヴァード大学から送り出された人材たちは、現在に至るまで日本の中枢を形成し、日本を動かしてきたを発見した。正直なことを言えば、ハーヴァード大学出身者たちを中心にして人脈がここまで広く形成されていたことは私にとって大きな驚きであった。私はこれからもたけのこ掘りの作業を続けていく。

 

 ハーヴァード大学は、「合理性(rationality ルビ:ラショナリティ)」の総本山と言うべき存在である。政治学部では、政治学の分野で主流となっている理論である合理的選択論(Rational Choice Theory ルビ:ラショナル・チョイス・セオリー)が教えられている。副島先生が推薦文の中で書いているように、合理性とは、一言で言ってしまえば、「自分が得をする、生き延びる」ために行動するということである。この合理性(ラチオともいう)はユダヤ思想(ユダヤ教)の中心となり、そこから資本主義(Capitalism ルビ:キャピタリズム)と近代(modern ルビ:モダーン)が生まれた、ということである。合理性を身につけることこそが、資本主義社会で成功するためには必要なことだ。ハーヴァード大学で学んだ日本人たちも当然のことながら、この合理性を身につけている。

 

 私が前著『アメリカ政治の秘密』でも指摘したことでもあるが、最近のアメリカの日本管理には鷹揚さがなくなっている。ジャパン・ハンドラーズたちはより露骨に、かつより性急にアメリカの利益追求の姿勢を示すようになっている。アメリカと、そして自分たちの利益追求に一直線に進んでいる。それは、ジャパン・ハンドラーズたちの中で世代交代が起こり、若い世代は合理的選択論を学んだことで、合理性をより重視する姿勢を取るようになっているからだ。管理する側と管理される側を分けるものが「合理性」なのである。

 

 日本管理のジャパン・ハンドラーズが合理性を武器にしているならば、それに対抗するために、私たちも彼らが使っている武器を手に入れて使えるようにするべきだ。そうすることで、ジャパン・ハンドラーズの意図を見抜き、自分たち、そして日本が損をしないように賢く行動できるようにしなくてはならない。本書が読者の皆様にとって、合理性について、そして合理的選択論について学ぶ契機になれば幸いである。

 

 本書刊行にあたり、多くの方々にお世話になりました。

 私の師である副島隆彦先生には、本書に推薦文を寄せていただきました。ハーヴァード大学をテーマとして取り上げたのは、先生からの示唆を受けてのことでした。本として出版できてホッとしています。心からお礼を申し上げます。

私の同僚である中田安彦氏には今回もお世話になりました。中田氏とのやり取りを通じて、多くの刺激を受け、様々なアイディアが生み出すことができました。中田氏のような同僚がいてくれることは私にとって大きな力となっています。感謝しています。

 更に、ここで名前を記すことはできませんが、アメリカの大学教員事情について話してくれた先輩、スポーツビジネスの世界、そして早稲田大学大学院スポーツ科学研究科について多くの有益な情報を提供してくれた友人、そして、東北楽天ゴールデンイーグルスと本拠地である仙台という街に私の関心を向けさせてくれた友人にもお世話になりました。加えて、家族や友人の支えも励みになりました。記して感謝します。

 最後に、本書の刊行にあたって、PHP研究所の大久保龍也氏には、前作同様、お世話になりました。なかなか筆が進まない筆者を、寛容をもって見守り、伴走をしていただきました。心から感謝を申し上げます。

 

 

 

                        二〇一三年一二月

 

                        古村治彦(ルビ:ふるむらはるひこ)


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