古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙まで残り2カ月を切った。最終版の戦いを迎える。共和党の現職ドナルド・トランプ大統領と民主党の候補者ジョー・バイデン前副大統領による一対一の討論会が3回、共和党のマイク・ペンス副大統領と民主党のカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)による討論会が1回、これから行われる。

 現職大統領の側は選挙直前の10月にサプライズで、大きなことを仕掛けることも考えられる。これを「オクトーバー・サプライズ(October Surprise)」という。まだ何が起きるか分からない。

 現在の各種世論調査の数字で見ると、大きな流れは、バイデンが大きくリード、である。しかし、これは全国規模の調査の数字である。アメリカ大統領選挙の仕組みは、単純にアメリカ全土での総得票数で当選者が決まるというものではない。各州に選挙人(合計は538名)が配分され、各州での得票で1票で多い方の候補者が選挙人を総取りする、勝者総取り(Winner-Take-All)という方式だ。従って、各州の動向をより細かく見なければ、選挙戦の実態を掴むことはできない。前回の選挙では、選挙直前の段階で、ヒラリー・クリントンがドナルド・トランプに対して、全国規模の世論調査の支持率の数字で約3%の差をつけてリードしていた。また、実際の得票総数でもヒラリーが上回った。しかし、選挙人獲得数でトランプが勝利した。

 選挙人が配分されている全米50州とワシントンDCのうち、約40州はもう結果が見えている。これがレッド・ステイト(Red States)、ブルー・ステイト(Blue States)と呼ばれているものだ。レッド・ステイトとは、共和党のイメージカラーの赤から来ており、共和党優位州であり、ブルー・ステイトは民主党優位州だ。これらの州では大統領選挙に関して言えば、結果は最初から見えている。このレッド・ステイトとブルー・ステイトで見ると、民主、共和両党はほぼ互角、となる。

 問題は激戦諸州(Battleground States)の動向だ。これが約10州ある。これらの州でも7月頃にはバイデンがリードしているところが多かったが、現在は大接戦となっている州が多くなっている。選挙戦全体として、バイデンの勢いが出ず、トランプが盛り返している、という展開である。

 日本でも「バイデン氏が大幅リード」などという報道がなされているが、実態はそうではない。大接戦であり、これからの展開ではトランプ大統領が逆転して勝利ということが考えられる。

(貼り付けはじめ)

各種世論調査によると、バイデンが全国規模の調査でリードしているが、トランプ大統領は激戦諸州で希望を持っている(Polls show national lead for Biden, hope for Trump in battlegrounds

ジョナサン・イーズリー、マックス・グリーンウッド筆

2020年9月2日

https://thehill.com/homenews/campaign/514886-polls-show-national-lead-for-biden-hope-for-trump-in-battlegrounds

最新の各種世論調査によると、民主党の大統領選挙候補者ジョー・バイデンは、党の指名を受けた全国大会以降、全国規模の世論調査でトランプ大統領に対して大きな差をつけている。しかし、激戦諸州での世論調査の結果を見ると、トランプ大統領にとって希望の光がある。各種世論調査の結果を見ると、2020年の大統領両選挙の結果を左右するであろう激戦諸州のいくつかで大接戦が展開されていることが分かる。

民主、共和両党の全国大会後、両候補者共に大きな数字の上昇を見せてはいない。

全国規模では、バイデンはトランプ大統領に対して大量リードをつけている。過去24時間に6つの世論調査で、7ポイントから11ポイントの差をつけている。『USAトゥデイ』紙とサフォーク大学の共同世論調査によると、全国規模ではバイデンが7ポイントの差をつけている。新たに発表された、『エコノミスト』誌とYouGovの共同世論調査と南カリフォルニア大学(USC)の世論調査によると、バイデン前副大統領は11ポイントの差をつけている。キュニピアック大学、CNN、グリンネル・カレッジが実施した各種世論調査では、バイデンが8ポイントから10ポイントの差をつけている。

しかしながら、マンモス大学がペンシルヴァニア州で実施した世論調査によると、トランプ大統領とバイデンの間では統計学上引き分けであった。わずか6週間前の調査では、バイデンが13ポイントの差をつけていた。

ミネソタ州、ウィスコンシン州、フロリダ州、ミシガン州を含むその他の激戦諸州の最近の各種世論調査の結果を見ると、レースは接戦となっていることが分かる。選挙の投開票日まで、両陣営と我が国に残されているのは61日となっているが、それまで激しい戦いが続くだろう。

新しいデータが次々と発表される中で、政治不安を示す出来事が次々と起こり、大統領選挙の様相を掴むことを難しくしている。両陣営ともに人種に関する正義をめぐる抗議運動、コロナウイルス感染拡大、景気後退をめぐる新しい事態に日々対応している。

ガイ・セシルは、バイデンの大統領選挙を支援する、トップクラスのスーパーPAC(政治行動委員会)の「プライオリティーズUSA」委員長である。セシルは、大統領選挙は「構造的に接戦」のままであるが、大統領選挙の大きな流れ、とくに注目を集めている激戦諸州については重要な変化が起きている兆候は見られないと主張している。

水曜日にヴィデオを通じての記者会見で、セシルは、重要な激戦諸州での世論調査の結果が発表されたが、選挙戦が大接戦になっていることを示していることを認めた。しかし、セシルは、選挙の投開票日まで残り2カ月に入る段階で、支持率の差が縮まることは予想されていたことだと述べている。そして、どちらの候補者の支持率も劇的に変換することはないだろうと予想していると述べた。

「私たちは接戦を予想しています。そして、私たちは選挙の行方が比較的安定して推移すると予想しています。選挙戦は接戦になると予想しています。しかし、こうしたことは全て、選挙では当たり前のことです。そして、支持基盤となる人々の票固めを行えばそうなるということは既に分かっていたことです」。

南カリフォルニア大学ドーンサイフ記念センター・フォ・ザ・ポリティカル・フューチャーが実施した最新の世論調査の結果によると、2016年の大統領選挙でトランプ大統領に勝利をもたらした重要ないくつかのグループの中で、トランプ大統領の支持率が下がっている。白人、男性、高齢者がそうしたグループである。

この世論調査の結果によると、郊外在住の有権者の間で、バイデンは13ポイントの差をつけている。これはトランプにとって深刻な問題である。2016年の大統領選挙では、トランプ大統領はヒラリー・クリントンと互角の戦いを演じた。

ドーンサイフ記念センターのロバート・シュラムは次のように述べた。「明らかなことは、現在でもまだ選挙の結果を予測するのは早過ぎますし、現在も続いている人種に関する争いとトランプ、バイデン両候補者の対応がもたらす影響と将来の道筋についてまだ分かりません。しかし、一つ明確なことは、ジョージ・HW・ブッシュ以降の現職大統領の中で、トランプ大統領は最も弱い立場から選挙戦をスタートさせているということです」。

全国規模での世論調査の結果ではバイデンは強い立場を維持しているが、ここ数週間で、彼がトランプにつけているリードが縮まっている。リアルクリアポリティックス(RCP)が出している世論調査の平均で見ると、7月末の9.8ポイントが、現在では7.2ポイントになっている。

2016年の大統領選挙の投開票日当日、RCPの全国規模の世論調査の平均で、ヒラリー・クリントンはトランプに3.2ポイントの差をつけていた。ヒラリー・クリントンは全国規模での得票総数で300万票以上の差をつけたが、獲得選挙人数で敗北した。トランプは、激戦諸州で効果的に勝利を収め、ここ数十年で初めてミシガン州、ウィスコンシン州、そしてペンシルヴァニア州を民主党から共和党に奪い返した。

専門家たちは今回の大統領選挙でも全国規模での得票総数でトランプは4、もしくは5ポイントの差をつけられて敗北するが、共和党が持つ選挙人獲得における優位さで再選される可能性があると述べている。

セシルは水曜日、激戦州で非白人もしくは労働者階級の有権者たちが、自分の考えている夜予測よりも少しでも違った行動に出れば、選挙人獲得で大きな変化を引き起こし、ある候補者から別の候補者に勝利者が写ることもあると警告を発した。

2016年ではトランプ大統領が勝利を収め、今回の選挙でも最大の激戦州となっているペンシルヴァニア州を見てみると、水曜日に発表されたマンモス大学の世論調査の結果で、バイデンにとってより懸念される状況になる。7月に実施された前回の世論調査に比べて、トランプ大統領が支持率の数字を9ポイントも上げている。最新の世論調査で、バイデンはトランプに4ポイントの差をつけている。しかし、この数字は世論調査の誤差である4.9ポイントの中に収まっている。

この世論調査ではまた、重要なグループの中におけるバイデンの支持率は下がっている。ペンシルヴァニア州の男性有権者の間で、トランプ大統領は19ポイントの差をつけているが、7月の結果に比べて2ポイント伸ばしている。50歳以下の有権者の間ではバイデンが優位であり、9ポイントの差をつけている。しかし、前回の調査では29ポイントの差をつけていた。

それでも激戦諸州のほとんどでバイデンは優勢ではある。

火曜日に発表されたモーニング・コンサルト社の最新の世論調査の結果によると、先月の民主党と共和党の全国大会以降、11の激戦諸州のうち、9つでバイデンがリードしている。アリゾナ州を見てみると、両党の全国大会開催前、バイデンのリードは7ポイントであったが、それ以降ではバイデンの支持率が52%、トランプの支持率が42%となり、バイデン支持が伸びている。

しかしながら、激戦諸州のほとんどで選挙戦は大接戦になっている。ミシガン州、ウィスコンシン州、フロリダ州でバイデンがつけている大量リードが縮まりつつある。これら3つの州はバイデン優位州から激戦州に変化している。

7月末の時点で、リアルクリアポリティックスが出している、ミシガン州での世論調査の平均の結果では、バイデンが8.4ポイントの差をつけていた。現在ではその差が2.6ポイントになっている。ウィスコンシン州でも同じ状況になっている。7月末の時点では、バイデンは5ポイントの差をつけていたが、それが今週の水曜日には3.5ポイントになっている。フロリダ州では7月の段階では6.2ポイントの差だった者が現在では3.7ポイントになっている。

ノースカロライナ州とアリゾナ州はここ数カ月、接戦となっている。ほとんどの世論調査の結果では、どちらの候補者も2ポイント以上の差をつけられていない。

ミネソタ州では、トランプ大統領はバイデンを追い上げている。1972年以来、共和党の候補者はミネソタ州で勝利を収めることができていない。最近の2つの世論調査の結果では、どちらの候補者も誤差の範囲以上の差をつけられていない。

トランプ選対の上級顧問ジェイソン・ミラーは今週、記者たちに次のように述べた。「私たちはミネソタ州に全ての力を注ぎます。ミネソタ州で私たちは勝利することができると確信しています」。

しかしながら、トランプ大統領はジョージア州、オハイオ州、そしてアイオワ州で守勢に回っている。

WEB-TV2とランドマーク・コミュニケーションズがジョージア州で実施した共同世論調査の結果が水曜日に発表された。その結果によると、トランプ大統領はバイデンに3ポイントの差しかつけていない。2016年にトランプが勝利を収め、今回も前回と結果が異なる可能性があるオハイオ州では、バイデンとトランプ大統領は大接戦を演じている。火曜日に発表されたモーニング・コンサルトの世論調査の結果では、トランプ大統領が5ポイントの差をつけている。「ファイヴサーティエイト」が出している世論調査の結果を平均したものによると、今年6月から比べると選挙戦は大接戦になっている。

プライオリティUSAの会長セシルは水曜日、プライオリティUSAは、ジョージア州を含むいくつかの共和党優位州でもバイデンにとって「プラスとなる動き」が起きていることを確認していると述べた。テキサス州でさえもそうだと述べた。しかし、2020年の大統領選挙における激戦諸州において急激な変化が起きる可能性はないと否定している。セシルは、大統領選挙は次の6州の結果で決まると述べている。その6州とは、アリゾナ州、フロリダ州、ミシガン州、ノースカロライナ州、ペンシルヴァニア州、そして、ウィスコンシン州だ。

セシルは次のように述べている。「選挙の状況は6カ月前、8カ月前とは構造的に変化していません。構造的にこれら6つの州は接戦でなるでしょう。」

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 2020年8月28日、安倍晋三内閣総理大臣が辞任の意思を表明した。午後2時過ぎにマスコミ各社がほぼ一斉に「安倍首相辞任へ」「体調の悪化のために国政に迷惑をかけられない」という速報を出した。昨日は元々午後5時に安倍首相による久しぶりの記者会見が予定されていた。この記者会見をめぐっては、体調悪化のことを説明しつつ、新型コロナウイルス感染拡大と経済対策について発言がある、という憶測や、いや首相辞任の発表だという憶測が飛び交っていた。結局、昨日の記者会見は新型コロナウイルス感染拡大対策のパッケージの概要の説明が冒頭にあり、その後、首相辞任の意思表明が行われた。

 安倍首相は17歳の頃に、潰瘍性大腸炎を発症したということだ。現在65歳であるので、約50年間にわたり、この病気と向き合い、対処してきたということになる。その間にはアメリカ留学、神戸製鋼への就職、父安倍晋太郎議員の秘書への転進、父の地盤を受け継いでの国会議員、小泉純一郎内閣での官房長官、首相を二度務めるという経歴だ。この50年の間には大腸の全摘出も検討されたこともあったそうだが、薬剤の劇的な進歩もあり、コントロールをしながら、仕事や社会生活を営むことができたようだ。この点は、レガシーとして日本社会に定着して欲しい。持病がある人でも、通院しながら、仕事や社会生活を積極的に行える社会になって欲しい。これは甘すぎる考えかもしれないが、病気の治療や検査のために、時に休みを取る、もしくは通院のために1週間のうちに半日でも休みが取れる、それが当然のようになって欲しい。

 安倍首相、安倍政権に関して、私は全く支持してこなかった。選挙のたびに安倍首相が退陣するような結果になることを期待したが、結局国政選挙は6連勝という形で終わった。安倍首相を選挙の結果によって退陣に追い込めなかったのは、安倍首相を支持しない人々や野党にとっては敗北である。今回の辞任表明を私は素直に喜ぶことができない。

 安倍首相は昨日の会見で「政治は結果だ」と述べた。その結果であるが、惨憺たるものだ。一言で言えば、アメリカによる属国化がますます深まり、東アジアの平穏を乱す要因が日本ということになり、北方領土が返還される見込みはほぼなくなり、経済を見ると、実質賃金は上がらず、GDPは拡大せず、中国にはますます置いていかれ、ドイツには迫られる、格差は拡大し、少子高齢化に歯止めがかけられなかったということになる。安倍首相は在任中に雇用を生み出したとは述べたが、デフレ脱却には至らなかったと反省の弁を述べた。8年間でできることは限られていると言えばそれまでだが、好転する兆しすら見えなかった。安倍首相は自著のタイトルにした「うつくしい国」を実現したとは思えない。

 安倍首相の長期政権についてはこれから様々な分析がなされるはずだ。功罪様々なことが言われるだろう。私が思う安倍長期政権のレガシーは「忖度」と「私物化」であり、安倍政権が長期にわたって続いたのは、「惰性」であったと思う。「忖度」と「私物化」はセットである。森友学園問題(安倍晋三記念小学校開学問題)、加計学園岡山理科大学獣医学部開設に絡む問題、公文書保存に関する問題、など、権力の私物化とその後始末のために官僚たちに無駄に労力と気遣いを使わせた形になった。なぜそこまでして安倍政権を守らねばならなかったのか、守られることになったのか、政治史を少しでもかじった人なら不思議であっただろう。全く有能ではなく、成果も挙げていない、そんな人物が何度もスキャンダルや危機をうやむやな形ではあったがやり過ごしてきた。自民党内から反対の動きも出ることなく、国民も無関心という状況が続いたこれまでの8年間だった。

 それはやはり、「現状のままで良いや」「安倍首相以外には考えられない」という「惰性」が続いた結果である。そのために、安倍首相も辞め時を逸したという感さえある。安倍政権下では、成果よりも「道半ば」「うまくいっているがまだ全体に行きわたっていない」という言葉が強調され続けた。「やっていてある程度の成果は出ているが、目指している結果には達していない」ということを言い続けた。それならば、安倍政権が続いていくしかない。しかし、安倍政権が続いても、それらの結果を得ることは不可能である。そのために「道半ば」「いまだ遠し」ということになって、だらだらと政権が続いていくことになった。何かしらの成果が出れば、その時点で辞めるというのは日本のこれまでの首相の身の引き方の一つのモデルである。「一内閣で一つの課題」解決ということだ。しかし、安倍首相は、何事もなさなかったが故に、身を引く機会もなかったということになる。

 また、安倍首相を支える人々はそれぞれ65歳の安倍首相よりも年上、70代後半の麻生太郎財務大臣兼副首相であり、二階俊博自民党幹事長、70代前半の菅義偉官房長官である。以前であれば、それぞれの派閥内部で内部闘争が起き、跡目相続や現在の領袖の追い落としがあった。しかし、長期政権を支える、惰性を言い換えた「安定」のために、これらの人々は世代交代の恐れを抱くことなく、権力をふるうことができた。そして、自分たちの派閥を大きくすることに成功した。しかし、結果として、自民党内部にはニューリーダーは育たず、世代交代もうまくいっていない。また、急激に議員数が増えたために、いわゆる入閣適齢期と言われる議員たちが60名もいる状態で、沈滞ムードである。自民党も日本も惰性の中で、ある種の安眠を貪り続け、活気と成長力を失った。

 安倍首相は総理の座からは退くが、国会議員は続けるという意向を示した。キングメイカーとして影響力を残すということが一般的に考えられるが、まだ65歳ということを考えると、再登板ということも視野に入れているのではないかと思う。今回は「政権投げ出し」という批判が起きないように、きちんと病気について説明した。病気が絡むと批判がしにくくなることも狙ってのことだろう。心身ともにボロボロになってどうしようもなくなっての退陣という感じは昨日の会見からは受け取れなかった。余力を持って辞めることで、キングメイカー、上皇として院政を敷く、また、再登板も狙うということもある。自民党内部の世代交代が成功しておらず、人材も育っていない現状もある。

 次期自民党総裁、首相選びについては、党員票の比率が高い総裁選挙方式なのか、議員票の比率が高い両院議員総会方式なのか、で割れている。下の記事にあるように、二階幹事長は両院議員総会方式を考慮している

(貼り付けはじめ)

●「自民、後継首相を15日にも選出へ 両院議員総会の方向 石破氏は31日に出馬表明へ」

8/28() 19:58配信 産経新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/8c178f5e2968c38ad65ecba56e4ffc9e201f5367

 自民党は安倍晋三首相(党総裁)の後継を選ぶ総裁選について、手間のかかる党員・党友らの直接投票は行わず、国会議員らの投票で決める両院議員総会で選ぶ方向だ。党幹部は、15日の投開票を軸に調整していることを明らかにした。党内では、首相を一貫して支えてきた菅義偉官房長官の登用を求める声があるほか、知名度の高い石破茂元幹事長は31日に出馬表明する方向だ。首相が本命視してきた岸田文雄政調会長も出馬準備を進めている。

 総裁選の方法は、9月1日の総務会で正式決定する見通しだ。二階俊博幹事長は、今月28日のTBSの番組収録で、「そのときの状況によって緊急の手段を講じていく」と述べ、両院議員総会での選出もあり得るとの見方を示した。

 党則では、総裁が任期中に辞任した場合は、両院議員総会での選出が認められ、選挙人は国会議員と都道府県連の代表3人とされている。任期は前任の期間を引き継ぐ。今回のケースは来年9月までとなる。

 党員投票まで含めた総裁選は、候補者による大規模な全国遊説を行うことが通例で、準備にも一定の時間を要する。逆に、両院議員総会で選ぶ場合は簡素化が可能で、平成20年の総裁選では、福田康夫首相(当時)の辞任表明から麻生太郎新総裁(同)の選出までを約3週間で済ませた。

 ある党幹部は新型コロナウイルス対策も念頭に「党員投票まで含めた総裁選をする余裕はない」と語る。

 後任は、新型コロナ対策に継続性を持たせるため「菅氏をワンポイントリリーフとして登板させればいい」(閣僚経験者)との声がある。岸田氏も、前回の30年総裁選で出馬を見送っただけに、今回は不退転の決意で手を挙げる考えだ。

 ただ、石破派(水月会)幹部は、石破氏が世論調査で高い支持を得ていることから「党員投票も含めた総裁選を行い、堂々と勝った人が首相をやるしかない」と両院議員総会での選出に異論を唱えた。

(貼り付け終わり)

 現在のところ、次期総理総裁の候補者としては、岸田文雄自民党政調会長、石破茂元自民党幹事長、河野太郎防衛大臣の名前が挙がっている。二階氏が主導して両院議員総会方式でということになれば、派閥の意向が大きく影響することになる。現在、自民党の最大派閥は、細田派(実質安倍派)、麻生派、竹下派、二階派、岸田派、石破派、石原派という順番になっている。細田派、麻生派、二階派で岸田氏を擁立して両院議員総会で決めるということが考えられる。石破氏は国民的人気の高さから党員票の割合が高い総裁選挙方式を主張している。麻生氏と二階氏が話しをつけて、両院議員総会で岸田氏選出という形が今のところ考えられる。岸田氏は人と喧嘩をするタイプではなく、派閥の岸田派、宏池会も伝統的に「お公家様集団」と呼ばれるように武闘派は少ない。そうなれば、麻生氏と二階氏の院政ということになる。そうなれば国民的な支持を得られないということになる。そのような古臭い決め方では国民が納得しないだろう。

 安倍首相は記者会見の中で、次の方が決まるまではしっかりとやれるということを述べていた。臨時代行(麻生副総理)を置くことなく、最後までやると明言した(この点から私は安倍首相が余力を持って辞めるという印象を受けた)。また、次期総裁選びについても、時間をかけて制作孫朗をしても大丈夫、その間は私がきちんとやれるという発言もあった。私はこの発言から、安倍首相は麻生氏と二階氏をけん制していると感じた。ポスト安倍の動きにおいて、安倍首相自身が影響力を保持しようとしているとも感じた。

 長期政権となった安倍政権と安倍首相を総括すると、惰性という言葉しかない。その間に日本が酷い状況になったが、「安定」という惰性の裏返しの言葉のために、安倍首相は存在し続けた。全くもって無意味な8年間であった。

(終わり)

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 2020年8月13日、イスラエルとアラブ首相国連邦(UAE)が外交関係樹立に向けて動くことに合意したということをアメリカのドナルド・トランプ大統領がホワイトハウスの大統領執務室で発表した。トランプ大統領の後ろには、ジャレッド・クシュナー(トランプ大統領の娘イヴァンカの夫)上級補佐官、スティーヴン・ミュニーシン財務長官が並んで立っていた。このことから、今回の合意を主導したのは、トランプ政権内の関与政策派(現実主義派、穏健派)だということが分かる。
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 今回の合意で、中東地域に「対話」の必要性が認識されるということが述べられている。中東地域では、2つの大国、サウジアラビアとイランが軸となり、そこにイスラエルが絡んで複雑な様相を呈している。加えて、歴史的な経緯から対話など望むべくもない状況であるが、そこにUAEとイスラエルの外交関係樹立というニュースが飛び込んできた。「イスラエルの存在を認めるのか」「イスラエルとの共存を認めるのか」という根本的な問題はある。しかし、現実的に見て、イスラエルを地上から消し去ることはできない。だが、イスラエルがあまりに傲慢に、かつ自己中心的過ぎるほどの行動を続けていくならば、そのことが存在を危うくしてしまうことは考えられる。

 イスラエルによるヨルダン川西岸地区の一部併合は、今回の合意の中では触れられていない。この併合計画はイスラエルの現実主義的なイスラエル労働党の流れではなく、中道から右派、現在のベンヤミン・ネタニヤフ政権による強行的過ぎる計画で、凍結することになるのではないかと私は考える。ジャレッド・クシュナー上級補佐官は、イスラエルの存立のために強硬な計画を凍結させ、その代償でUAEとの関係樹立を進めたということになるのだろうと思う。

 アメリカ大統領選挙に関連しては、今回の合意はあまり大きな影響は与えないだろう。アメリカ国民の関心は完全に内向きになっており、国際関係で言えば、対中脅威論に同調するという程度のことだろう。それでも、今回の合意は大統領選挙で争う、民主党のジョー・バイデンも賛意を示したことでも分かる通り、一歩前進ということになる。

(貼り付けはじめ)

イスラエルとアラブ首長国連邦の外交関係樹立についての5つの論点(5 takeaways from Israel and UAE opening diplomatic ties

ロウラ・ケリー筆

2020年8月13日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/national-security/511944-5-takeaways-from-israel-and-uae-opening-diplomatic-ties

トランプ大統領は、イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)が正式な国交を樹立すると発表した。これは歴史的な外交上の前進である。

しかし、専門家の間では中東地域の変動に対する影響について意見が分かれている。一部の専門家は、これはイランに対抗するための試みの一環として現実を承認した動きだと主張し、別の専門家たちは長期的な戦略というよりも短期的な政治的目標の反映だと述べている。

一方、批判的な人々は、イスラエルがヨルダン川西岸地区の一部の併合計画を凍結することをアメリカが支持していることについて、トランプ大統領のイスラエルとパレスチナとの間の和平プランの重要な部分を損なうものだとして重大な関心を持っている。

これから中東の外交における今回の新しい進展に関する5つの論点を見ていく。

(1)トランプ大統領は外交政策面からの再選に向けた促進材料を獲得(Trump gets pre-election foreign policy boost

トランプ大統領は大統領選挙まで3カ月を切った段階で、外交政策上の勝利を売り込むことができるようになっている。イスラエルとUAEの関係正常化に向けた動きは、イスラエル・パレスチナ紛争の解決のための、トランプ政権の掲げる「繁栄のための平和(Peace to Prosperity)」枠組みの重要は要素となる。

右派、左派両派に属する多くの人々がこの動きを称賛した。その中には大統領選挙でトランプ大統領と戦う民主党の大統領候補者ジョー・バイデンも含まれている。バイデンは声明の中で、今回の合意は、オバマ政権を含む「これまでの複数の政権の努力」の積み重ねの結果だと主張している。バイデンは、合意の発表を受けて「喜ばしい」と述べた。更に、彼自身と副大統領候補であるカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は今年の11月に当選した暁には、「この前進の上に更に成果を築き上げるために努力する」と述べた。

イスラエル・パレスチナの和平計画はトランプ大統領の外交政策公約の礎石であり、義理の息子で上級補佐官のジャレッド・クシュナーの2年間の努力の成果である。

UAEは今年1月に和平計画が初めて明らかにされた時に、国際社会とアラブ世界の多くの国々が拒絶を表明する中で、積極的に支持を表明した国の一つだった。

しかし、その支持も、イスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相が今年6月にヨルダン川西岸地区を併合しようとした際に、ほぼ取り消される事態となった。これはトランプ大統領による計画に基づいたものであった。

木曜日のアメリカ、イスラエル、UAEの間での発表では、併合については議論をしていないと特に言及された。

ワシントンDCにあるシンクタンク「ファウンデーション・フォ・ディフェンス・オブ・デモクラシーズ(FDD)」の研究担当の副所長を務めるジョナサン・シャンザー「今回の発表は、クシュナー・アプローチにとっての決定的な勝利だと考えられます。地域の利益と地域の平和はヨルダン川西岸地区の一部の併合よりも優先されたということなのです」と述べた。

しかし、ワシントンDCにあるシンクタンク「アラブ・センター」の上級部長ハリリ・ジャウシャンは、今回の合意は、アブダビ(UAE政府)からの強力なプッシュによるもので、それはUAE自身がトランプ大統領への支持を促進することで利益を得ようとする動きの一環であると述べている。

「公開の合意はUAEによる公の試みということが言えるでしょう。UAEはトランプ大統領が危機に瀕していると考えており、それを何とかしようと考えたのでしょう。UAEはトランプに大統領の地位にとどまって欲しいと考えているのです」。

(2)UAEによる前進は他のペルシア湾岸諸国とアラブ諸国についての疑問を持たせることになった(A step forward by the UAE raises questions for other Gulf and Arab states

イスラエルと実効的な平和条約を結んでいるのはエジプトとヨルダンだけだ。その他の全てのアラブ諸国は2002年に、パレスチナ紛争と主権を持つパレスチナ国家樹立の話し合いによる解決が実現するまでイスラエルを承認しないことで合意した。

ジャウシャンは、今回の合意は、UAEによるイスラエル不承認という考えを損なうものだと述べている。

ジャウシャンは次のように述べている。「二国共存による解決という死体を埋葬してくれる人を探してきたようなものなのです。誰もそんなことをしてくれそうにありませんでした。これはもう一つの機能不全に陥った考えにも同様なことなのです。そのもう一つの考えとはアラブ諸国がイニシアティヴを取るというものです」。

「ワシントン・インスティテュート・フォ・ニア―・イースト・ポリシー」の上級研究員ガイス・アル=オマリは、UAEによる大胆なステップはしかしながら、他の湾岸諸国とアラブ諸国からすぐに追随者が出ることはないだろうと述べている。

オマリは次のように述べた。「この種の新たな展開は広範囲の準備と裏での根回しを必要とします。UAEはペルシア湾岸諸国の中で最も活発な外交を展開している国でしょう。そして、リスクを取ることを厭いません」。

オマリは続けて次のように述べている。「今回の動きはリスクがあります。パレスチナ人の多く、カタール、トルコ、そしてイランからの攻撃に晒されることもあるでしょう。その他の湾岸諸国は事態がどのように進展するかを様子見するでしょう。より長期で見れば、追随する2国が出るでしょう。それはバーレーンとオマーンでしょう」。

(3)中東地域の政治的なダイナミクスが変化(A shifting political dynamic in Middle East

オマリは、イスラエルとの関係を樹立するというUAEの決定は、アラブ諸国間に存在する緊張関係を深めることになるだろうが、新しい関係を作り出すことはないだろうと述べた。

オマリは次のように述べている。「実質的にイランの影響を受けた国々(シリアとレバノン)、カタール、アフリカ北部の国々を含む一部のアラブ諸国は、アラブ連合におけるUAEの会員資格をはく奪、もしくは凍結することを目指す可能性があります。しかし、UAEはサウジアラビア、エジプト、ヨルダンなどのアラブの大国グループの一部です。これらの国々は同盟関係が崩れることを望まないでしょう。パレスチナ自治政府は、UAEの動きに対する怒りに任せて動くのではなく、UAEのアラブ諸国中の同盟国に反感を持たせないようにすることが重要です」。

FDDのシャンザーは、UAEの動きは、イスラエルとヨルダンの関係を強める可能性があると述べている。ヨルダンはヨルダン川西岸地区の併合が進められれば大きな圧力を感じている。

シャンザーは「UAEがイスラエル国内でのヨルダン川西岸地区の併合についての議論を明確に止めたという事実は、ヨルダンとイスラエルの緊張関係を取りぞくことを意味します」とも述べている。

(4)イランはトランプ大統領、アメリカの同盟諸国の動きによって決断する方向に向かう(Iran drives decisions for Trump, allies

イスラエルとUAEの正式な関係樹立はトランプ政権がイランに対する圧力を強める中で起きた。トランプ政権はオバマ政権下でのイランとの核開発をめぐる合意の最後の部分を破壊しようと圧力をかけている。これはイラン政府に対してアメリカが圧力を強めていることを示すシグナルである。

ワシントン・インスティテュートのオマリは「イランは、イスラエルとUAEの間の利益の転換の真ん中にいます。両国はイランを自国の存在に関わる根本的な脅威と見なしています。今回の動きは対イラン枢軸の形成を促すことになるでしょう」と述べている。

大西洋協議会の「フューチャー・オブ・イラン・イニシアティヴ」のディレクターを務めるバーバラ・スラヴィンは、新たな正式な関係は、外交と対話の力を示すものであり、イラン政府はそのことを認識すべきだと述べている。

スラヴィンは次のように述べている。「イランは今回の合理について非難するでしょう。しかし、テヘランにいるイランの最高指導者層は、イスラエルを承認しないことがいかに時代遅れで、非生産的なことかを考えさせられることになるでしょう。中東地域に存在する全ての国々は、すぐに対話を持つ必要があります。特に長年にわたり敵対してきた国々の間での対話は必要です。つまり、今回のUAEとイスラエルの動きを単に“反イラン的”と形容するのは、地域の和解を更に困難にするでしょう」。

(5)しかし今回の合意は有権者の共感と支持を得られるだろうか?(But will it resonate with voters?

木曜日の発表は、ワシントンの外交政策エスタブリッシュメントから興奮をもって受け入れられた。しかし、大統領選挙に対する影響は最小限度のものとなるだろう。

エモリー大学政治学教授アラン・アブラモビッツは「外交政策は現状ではほぼ注目されていません」と述べた。

有権者たちの関心は新型コロナウイルス感染拡大、経済の危機的状況、ジョージ・フロイド殺害事件から人々の意識が高まった人種に関する正義問題に集まっている。

アブラモビッツは「今回の大統領選挙に関しては、外交政策問題は関心リストのかなり下に位置することになります」と述べた。

UAEとイスラエルの関係強化はトランプ大統領の支持基盤を強めることになるだろう。支持基盤の有権者にとって、トランプ大統領はイスラエルにとって最良の米大統領ということになる。しかし、新型コロナウイルス感染拡大と経済状態について関心を持っている、様子見の有権者たちを動かすことはほとんどないだろう。

共和党系の世論調査専門家であるウィット・アイレスは次のように述べている。「イスラエルと近隣諸国との関係についての問題はそれらに関心を持っている人々にとっては重要なのです。しかし、より多くの人々にとって、本当に関心を持っている問題は新型コロナウイルス感染拡大とその結果としての景気後退なのです。それらに加えて、人種をめぐる不正義と都市部での暴動なのです」。

トランプに対する反対者たちにとって、ヨルダン川西岸地域の併合の凍結は歓迎すべき動きだと考えられるが、トランプ大統領が独自のもしくは卓越した外交技術を持つことを示すものではない。更に言えば、進歩主義派は、併合の凍結は、併合という政策自体が破綻していることをトランプ大統領が認めたということになると考えるだろう。進歩主義派は長年にわたり、併合はパレスチナ側との交渉とアラブ諸国との関係改善いう希望を葬り去るものだと主張してきた。

「イスラエル・ポリシー・フォーラム」の政策部長マイケル・コプロウは次のように述べている。「トランプ政権とネタニヤフ首相は併合を推進してきました。しかし、徐々にではあるが、併合はイスラエルと近隣諸国との間の関係正常化を妨げる障害物だということを認識しつつあります。併合を政策から外すことこそがやらねばならないことなのです」。

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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