古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

 古村治彦です。

 新型コロナウイルス感染拡大が続くアメリカで支持を集めているのは最前線での司令官である各州知事や市長たちだ。特に感染拡大の規模が大きいニューヨーク州では、アンドリュー・クオモ知事の支持率が高くなっている。民主党にとっては4年後の大統領選挙の重要な候補者となるだろう。

アンドリュー・クオモ(Andrew Cuomo、1957年-、62歳)は2011年からニューヨーク州知事を務めている。1997年からは二期目のビル・クリントン政権で住宅・都市開発長官を務めた。父であるマリオ・クオモ(Mario Cuomo、1932-2015年、82歳で死去)1983年から1994年までニューヨーク州知事を務めた。

アンドリューは、ジョン・F・ケネディ元大統領の姪で、JFKの弟ロバート・ケネディ元司法長官の娘であるケリーと結婚していたが後に離婚している。クオモ家はニューヨーク民主党の名門ということになる。マリオ・クオモはレーガン大統領が席巻した1980年代のアメリカ政治において民主党の大物として存在感を示した。2015年1月1日に亡くなったが、その時のことを本ブログでも紹介している。

※「元ニューヨーク州知事マリオ・クオモが亡くなりました。彼の1984年の演説は今の日本の状況を話しているかのようです」(2015年1月3日)↓
http://suinikki.blog.jp/archives/19838549.html

連邦政府やトランプ大統領の対応を手厳しく批判し、ホワイトハウスやトランプ大統領から罵られているグレッチェン・ウィットマー(Gretchen Whitmer、1971年―、48歳)は2019年からミシガン州知事を務めている。それまではミシガン州で検察官を務め、後にミシガン州下院議員、ミシガン州上院議員を務めた。カリフォルニア州のゲヴィン・ニューサム知事を筆頭に民主党系の州知事たちは早めの対応を行った。しかし、以下の記事にあるように、アメリカ南部に多い共和党系の知事たちは、トランプ大統領と同様に対応が後手に回った。

 民主党系の知事たちが行っているのは実態把握と思い切った施策、補償だ。日本でもそれを目指して実施しようとしているが、州知事たちほど徹底しているとは言えない。日本でも成功していると評価されているのは検査を徹底して実態把握を行った和歌山県のケースだ。

 リーダーの資質はなかなか分からないものだ。立派な経歴や平時での立派な業績は緊急時には役に立たないことが多い。しかし、緊急事態に強いというアピールはするが、解決策を自ら考えられず、無茶な目標設定をして、自分の責任を下に押し付けて、無理難題を押し付けるだけで成功とする日本的リーダー像ということもここでもう終わりにしなければならない。今回の出来事で私たちはリーダーとはどうあるべきか、ということを考える機会を得たということになる。

 日本には「責任を取ればいいというものではない」と放言する指導者がいる。自分の失敗を下にかぶせて自分はのほほんとしている、信頼を損なうことをしておいて店として恥じない指導者がいる。そうした中でクオモ知事は「責めるなら自分を責めて欲しい、私が責任者だ」と述べた。これだけの指導者を日本人はついに得ることはできなかった。それは私たちが常に指導者や責任について考えこず、旧態依然としたパワーハラスメント型の指導者像しか持ち得てこなかったからだ。その不幸は、上は国政、下は日常の仕事や生活の面にまで貫かれている。日本は不幸な国である。

(貼り付けはじめ)

各州の知事たちがコロナウイルス感染拡大への対応で評価を高め、トランプ大統領をしのいでいる(Governors win high marks for coronavirus response, outpacing Trump

リード・ウィルソン筆

2020年4月2日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/state-watch/490825-governors-win-high-marks-for-coronavirus-response-outpacing-trump

アメリカ国民は、全米で21万6000人以上の感染者が出ているコロナウイルス感染拡大への対応で州の対応をリードする州知事たちに高い評価を与えている。

同時に、各種世論調査によると、トランプ大統領に対する考えを変えるアメリカ国民の数はより少ないということも分かってきた。大統領は連邦政府のコロナウイルス感染拡大への対応について毎日新しい情報を発信するために提示に記者会見を行っている。いくつかの調査の結果によると、各州の知事たちが物資の供給と支援の不足について警告を発するようになり、連邦政府の対応に対して不満を抱くアメリカ国民の数は増えている。

AP通信に依頼されてナショナル・オピニオン・リサーチ・センターが実施した世論調査の結果では、アメリカ国民の57%が自分たちの住む州の州政府によるウイルス感染拡大への対応について評価しているということが分かった。一方、連邦政府の対応について評価したのは38%にとどまった。

それぞれの州で知事たちの多くは毎日メディアと住民向けに記者会見を行っているが、そのために評価が高まっている。

マーケット大学法科大学院が先週実施した世論調査によると、ウィスコンシン州に住む有権者の65%がトニー・エヴァース知事(民主党)の仕事ぶりを評価しており、1カ月でその数字が14ポイントも増加した。エヴァースのパンデミックへの対応を76%の有権者が評価しているという結果が出た。同時に、トランプ大統領の支持率は48%で1カ月前に比べて変化はなかった。そして、大統領のウイルス感染拡大への対応を評価したのは51%にとどまった。

マーケティング・リソース・グループが実施した世論調査の結果では、ミシガン州知事グレッチェン・ウィットマー(民主党)の仕事ぶりへの評価は60%にまで高まった。評価しないと答えたのは22%にとどまった。ミシガン州は大統領選挙の激戦州であるが、ここでウィットマーの支持率はトランプ大統領の支持率の数字に比べて15ポイントも高いという結果が出た。ウィットマー知事が連邦政府からの支援の欠如について不満を述べた際、トランプ大統領はウィットマーについて「ミシガン州のあの女」と否定的に述べた。

ニューヨーク州では、州在住の有権者3分の2がアンドリュー・クオモ知事(民主党)は素晴らしい仕事をしていると評価している。シエナ・カレッジの実施した世論調査で、クオモ自身にとってこれまでで最高の数字を記録した。87%の有権者がウイルスをコントロール下に置くためにクオモ知事が行っている仕事を評価すると答えた。一方、トランプ大統領の仕事を評価すると答えたのは41%にとどまった。

ボールドウィン・ウォレス大学、オークランド大学、オハイオ・ノーザン大学が実施したヨロ調査の結果によると、オハイオ州に住む有権者の80%が、マイク。デワイン知事(共和党)のウイルス感染拡大を止めるための行動を評価しているが、トランプ大統領の仕事を評価していると答えたのは58%にとどまった。

ニューハンプシャー州の有権者の約75%、民主党支持の有権者の61%も含まれているが、クリス・スヌヌ知事(共和党)の対応を評価していると答えた。しかし、トランプ大統領の仕事を評価すると答えたのは41%にとどまった。ニューハンプシャー大学の世論調査の結果で明らかとなった。

カリフォルニア大学サンディエゴ校政治学部長のサッド・コウシアーは次のように述べている。「深刻な自然災害の後に私たちが良く目にしている状況と同じで、各州の知事たちは広範な支持を集めています。それはCOVID-19への政府の対応において知事たちが顔となっているからです」。

それぞれの州で実施した世論調査の結果では、ワシントン州知事ジェイ・インスリー(民主党)、ペンシルヴァニア州知事トム・ウルフ(民主党)、ノースカロライナ州知事ロイ・クーパー(民主党)の行った対応を60%以上の州の有権者は支持している。ワシントン州とペンシルヴァニア州では、トランプ大統領の支持率は40%台で、ノースカロライナ州では53%が大統領の感染拡大への対応を評価すると答えた。

専門家たちは、素早くかつ決然と行動した知事たちは有権者に対して、この状況で有権者を最優先にしているという印象を与えているが、連邦政府はそうではない、と指摘している。

マーケット大学の世論調査担当者チャールズ・フランクリンは次のように述べている。「感染拡大についての懸念と不安が拡大している時期、明確な行動は強力な肯定的な反応を生み出します。ホワイトハウスはその行動とメッセージの点で、より明確さを失っていました」。フランクリンはエヴァース知事の支持率の急上昇を発見した。

知事たちは、連邦政府レヴェルの政治家や役人に比べてより党派性が薄いと見られるという点でも優位性を持っている。有権者はアメリカの首都倭信徒でのトランプ政権と民主党が過半数を握っている連邦下院との間の争いに比べて、州都での党派争いについてはあまり認識をしていない。

各州政府は連邦政府に比べて、有権者からの信頼を得ている。特に極度に党派分裂が激しくなっている時代である現在、州政府の方が信頼されている。トランプ大統領は記者会見をして高い視聴率を稼ぎだしているが、ファクトチェックが必要な不正確な情報が記者会見で出てくることで、信頼を損なうことになっている。

グリンネル・カレッジの世論調査はアイオワ州を拠点とする世論調査専門家アン・セルザーが実施した。この世論調査の結果では、72%が自分たちの住む州の知事たちは情報の信頼できる発信元であると答えている。トランプ大統領を信頼できる情報の発信元だと答えたのは46%にとどまった。

トランプ大統領の支持率は通常であれば40%台中盤であったが、ここ数週間で50%に近い水準にまで上がっている。アメリカ人は危機の時期には大統領を中心にしてまとまる。しかし、トランプ大統領は過去の大統領に比べて党派分裂の激しい、党派性の強い大統領である。911事件の後、民主党支持者たちがジョージ・W・ブッシュ大統領を中心にしてまとまったようには、トランプ大統領の場合にはいっていない。

前述のコウシアーは次のように語っている。「州知事たちは党派で見られることが少ないのです。今回の危機が起きる前でも、知事たちは反対党を支持する有権者たちから支持を受ける傾向がありました。特に現在の大統領になってからはそうです。有権者たちは元々州知事たちへの信頼を持っていたのです」。

このポイントは、知事の中には選挙に何とか当選した人たちでも現在高い人気を誇っている人たちがいる、自身の所属政党を支持していない有権者からも人気を得ている、ということで明らかになっている。ウィスコンシン州のエヴァース知事、ニューハンプシャー州のスヌヌ知事、ノースカロライナ州のクーパー知事といった人たちは、選挙は接戦で、何とか勝利した。それが今や高い人気を誇っている。

州知事の中には、ウイルスの感染拡大を阻止するために医療衛生関係の役人たちが実施を求めた劇的な方法を採用することを控えた知事たちもいる。フロリダ州、ジョージア州、ミシシッピ州の知事たちは全員共和党に所属しているのであるが、水曜日になってようやく州民たちに対して在宅することを命じた。その数週間前にはカリフォルニア州のゲヴィン・ニューサム知事(民主党)は全米で最初にこのような徹底した方策を実施した知事となった。

しかし、各種世論調査によると、このような思い聞いた方策は多くの人々の考えから外れたものではないということが分かった。NORCAP通信の共同世論調査の結果では、アメリカ国民の4分の3以上が人々に在宅することを求め、バーやレストランの閉店を支持している。80%以上のアメリカ国民が海外からアメリカに入国した人々の強制的な隔離、人々の集まりの制限、学校の休校措置を支持している。

フランクリンは、悲劇的なパンデミックから経済の落ち込みが起きるということが明らかになれば、状況は変化するだろうと指摘している。有権者たちは決定的な行動を取っている知事たちを支持している。

フランクリンは次のように述べている。「死者数が増加し、同時に経済に対する警鐘が鳴り響く中で、人々の意見がどのように変化するかを予測することは困難です。しかし、現在のところ、知事たちは正しいことをしていると見られています」。

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バイデンはウィットマーを副大統領候補として考えていることを認める(Biden confirms he's considering Whitmer for VP

タル・アクセルロッド筆

2020年4月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/490570-biden-confirms-hes-considering-whitmer-for-vp

ジョー・バイデン前副大統領は今週、ミシガン州知事グレッチェン・ウィットマー(民主党)について、自身が大統領選挙の民主党候補者となる場合に副大統領候補に指名する可能性を持つ女性の一人であり、その可能性について考慮していることを認めた。

バイデンは既に女性を副大統領候補にすると明言し確約している。木曜日の夜、ウィットマーについてここ数か月、副大統領候補に指名する可能性について考慮していると発言した。しかし、同時にバイデンは10名ほどの女性たちについて可能性について考慮しているとも述べた。

バイデンはMSNBCの番組に出演し、司会者のブライアン・ウィリアムズに対して次のように語った。「ウィットマー知事を候補者リストに加えたのは2か月前のことです。彼女はそのままリストに残り続けています。いいですか、ブライアン、私は今、副大統領候補になりうる人物のバックグラウンドチェックを行う組織を構成する準備をしています。この組織は4月中旬までに作ります。4月の第2週か3週までにはできます」。

バイデンは続けて次のように述べた。「私は大統領になる準備ができていると考えている女性たちについて考えてきました。そして、私はこうした人たちと協力して仕事を進めることができるし、こうした人々も喜んで協力してくれると思います。こうした女性は6人から10人いますよ」。

ウィットマーは民主党の政治家として人気を急上昇させているスターだ。2018年にミシガン州知事に就任した。これまでバイデンの副大統領候補として考えられていた。ウィットマーは11月にトランプ大統領を倒すために民主党がどうしても奪還しなければならないミシガン州を運営している。そして先月ミシガン州で予備選挙が実施される前にバイデン支持を表明した。バイデンはミシガン州でサンダースに2桁の差をつけて圧勝した。

ウィットマーは全米のマスコミから関心を集め、民主党や民主党支持の有権者からの拍手喝采を受けたのは、ウィットマーがトランプ大統領のコロナウイルスの全国的感染拡大に対して批判を行い、彼女の発言に対してホワイトハウスが叱責を行ったからだ。

バイデンはウィットマーを擁護する内容の声明を発表した。その中で次のように述べた。「今回のパンデミックで、ドナルド・トランプはリーダーシップを放棄することで国家を危機に直面させているが、グレッチェン・ウィットマー知事はミシガン州の各家庭のために勇敢に戦い続けている。ドナルド・トランプはウィットマー知事からいくつかのことを学ぶことができる。スピードが大事、細部が大事、そして、人々が大事、ということだ」。この声明が出たことで、ウィットマーが民主党の副大統領候補になるのではないかという憶測が更に出るようになっている。

ウィットマー以外にも、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)、エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)、ヴァル・デミングス連邦下院議員(フロリダ州選出、民主党)とジョージア州下院少数党(民主党)院内総務を務めたステイシー・エイブラムスなどがバイデンの副大統領候補として名前が挙がっている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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 古村治彦です。

 アメリカでも新型コロナウイルス感染拡大が続いている。死者数は世界で最多となっている。アメリカは人口が3億人を超える大国であり、死者数は多くなってしまう。中国は世界最大の人口を誇るが、アメリカよりも死者数を抑えているというのは、徹底した管理を行ったためだろう。新型コロナウイルスの数字については人口比といった観点からも見ていかなければならない。日本は医療制度の水準の高さや国民の健康管理も行き届いているという理由もあって、死者数は他国に比べて少ない。致死率も低い。感染者は7255名で死者数は102名である(2020年4月13日午前中)。

 さて、アメリカでは危機的状況になると、大統領を中心にまとまるということが起きる。第一次湾岸戦争、911同時多発テロ事件からの第二次湾岸戦争といった危機的状況において、くしくも父子であるジョージ・HW・ブッシュ大統領(共和党)とジョージ・W・ブッシュ大統領(共和党)が最高司令官として指揮を執ることになったが、高い支持率を得た。民主党支持者でも彼ら共和党所属の大統領を支持した。

 現在、ドナルド・トランプ大統領の支持率は「戦時大統領」のようには上がっていない。戦争とは違い華々しい成果ということもないし、日々、患者が病院に運ばれている姿や遺体が病院から運び出される姿がテレビで流されてしまうと、人々の支持は中々得られない。どうしても「政府は何をやっているんだ」「トランプ大統領は何をやっているんだ」ということになる。

 しかし、大事なことはトランプ大統領の支持率は下がっていないということだ。また、民主党の大統領選挙候補者に内定したジョー・バイデン前副大統領との一騎討でも支持率は接戦ということになっている。選挙どころではないということで、大統領選挙に対しての関心も低くなっており、そうなれば現職の大統領が有利となる。

 トランプ大統領の現在の任期は2021年1月までである。大統領選挙の投開票日は11月の第一火曜日と連邦法で決まっている。トランプ大統領は再選されても、第2期目においても新型コロナウイルス感染拡大と景気後退への対応に追われる。トランプ大統領は仕方なく赤字国債を発行して対応していくことになるだろうが、金利上昇やインフレといったことにも懸念しながら政権運営を進めていくことになるだろう。

 トランプ大統領は先月、マイク・ペンス副大統領を新型コロナウイルス感染拡大対応の責任者としたが、自身が毎日記者会見を行って陣頭指揮を執っている姿を見せている。しかし、言い換えれば、これはペンス副大統領がトランプ大統領の陰に隠れているということにもなる。ペンスはうまく姿を画して批判を浴びないようにしているようだ。ここに何か裏があるのではないかと私は考えている。

(貼り付けはじめ)

世論調査:経済に対する悲観が大きくなる中、バイデンがトランプに対して10ポイントリードする(Poll: Biden leads Trump by 10 points as economic pessimism grows

ジョナサン・イーズリー筆

2020年3月30日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/490163-poll-biden-leads-trump-by-10-points-as-economic-pessimism-grows

ジョー・バイデン前副大統領は最新の世論調査でトランプ大統領を支持率で10ポイントの差をつけてリードしている。無党派の有権者の間での支持率の高さがこのリードを生み出している。

今回の世論調査の結果はまた経済成長についての悲観論を示している。これによって世論調査の結果でバイデンの支持率は高まり、トランプへの支持が下がった。

ハーヴァードCAPS・ハリス社の共同世論調査の結果によると、バイデンの支持率は55%で、トランプの支持率は45%だった。バイデンは民主党支持の有権者の96%から支持を受け、トランプは共和党支持の有権者の89%を受けている。無党派でバイデン支持54対不支持46に分かれて差がついた。

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)は民主党予備選挙から撤退はしていないが、支持率53%を記録した。トランプ大統領は47%だった。しかしながら、バイデンは獲得代議員数でサンダースに対して既に逆転不可能な大差をつけている。バイデンは全国規模の世論調査で26ポイントの差をつけている。具体的には58%対31%となっている。

トランプ大統領の仕事ぶりの評価は48%が肯定的で、52%が否定的であり、これまでの肯定的の数字の最高は49%である。

コロナウイルスは有権者にとって最大の関心事となっている。有権者の50%がトランプ大統領のコロナウイルス対応を評価していると答えた。

過半数を大きく上回る72%がホワイトハウスの毎日の記者会見を見ていると答えた。この72%の過半数である43%は記者会見によってトランプ大統領に対してより好意的な考えを持つようになっていると答えた。37%は記者会見を見ることでトランプ大統領に対して好意的な考えを持てなくなっていると答えた。

ハーヴァードCAPS・ハリス社の共同世論調査の責任者マーク・ペンは次のように述べている。「経済への見方はどんどん悲観的になっていますが、政治に対しての姿勢はあまり変わっていないようです。トランプ大統領は支持を得ていますが、決定的に重要な要素であるコロナウイルスに対する対応について人々は様子見をしています。大統領選挙の状況は変わっていませんが、現在の段階で重要だとは言えません。民主党予備選挙はバイデンが圧倒的に優位な状況ですが、戦記全体ではまだ流動的です」。

経済に対する見方は急速に悪化している。

経済が悪い方向に向かっていると答えたのは55%だった。先月のこの数字は41%だった。43%が経済はぜい弱だと答えた。先月経済は好調だと答えたのが70%だったことを考えると数字は大きく変化している。55%が近い将来に景気後退が起きると予測しており、また同数の55%がウイルスの感染拡大によって収入が落ち込むだろうと予期していると答えた。

ペンは「私は数十年にわたって世論調査に携わってきていますが、経済に対する満足度の数字がこれほどの落ち込みを見せたのはこれまでに見たことがありません」と答えた。

それでも現在でも54%はトランプ大統領の経済への対応を評価している。

58%は、コロナウイルス感染拡大を阻止することと雇用を維持するためのバランスの取れた方策を支持すると答えた。この数字は支持する党派の違いで分けることができる。民主党支持者の51%は、連邦政府は感染を最小限度に食い止めることだけに注力すべきだと答えた。一方、共和党支持者の67%と無党派の57%は感染拡大防止と経済とのバランスの取れた方策を支持している。

トランプ大統領は経済の再開に熱意を持っており、先週、4月12日までに通常に戻り始めることができるように願っていると述べた。しかし、日曜日、トランプ大統領はアメリカ国民に対して少なくとも4月末まで不要不急の旅行と集まりを避けるように求める連邦政府からのガイドラインを発表した。

有権者の約3分の2は、共和党と民主党がコロナウイルスに関して党派分裂のゲームをしていると考えている。

有権者のうち37%が民主党はコロナウイルスに対する戦いを政治化していると答え、23%が共和党は政治化していると答えた。

有権者の60%が、ナンシー・ペロシ連邦下院議長(カリフォルニア州選出、民主党)は党派的過ぎると答え、トランプ大統領がそうだと答えたのは52%だった。

前述のペンは「ペロシ議長と民主党は、トランプ大統領に比べて党派的な動きをしています。政治家たちは党派性に傾き過ぎないようにしなくてはいけません」と述べた。

今回のハーヴァードCAPS・ハリス社の共同世論調査は、2020年3月24日から26日にかけて2410名の登録済み有権者を対象にして実施された。誤差は2ポイントだ。

結果は、年齢、性別、地域、人種・民族、婚姻状況、世帯規模、収入、雇用、教育、支持政党、政治イデオロギーなど実際の人口比に近づくように調整されて得られたものだ。サンプル選びはオンラインで答える人たちに傾き過ぎないように調整された。

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世論調査:トランプ、バイデンは2020年の大統領選挙に関して接戦(Poll: Trump, Biden in dead heat in 2020 matchup

ジャスティン・ワイズ筆

2020年3月29日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/490030-poll-trump-biden-in-dead-heat-in-2020-matchup

最新の『ワシントン・ポスト』紙とABCニュース共同世論調査の結果によると、トランプ大統領とジョー・バイデン前副大統領は2020年大統領選挙本選挙の一対一の仮定の戦いでデッドヒートを展開している。

日曜日午前中に発表された今回の世論調査の結果によると、登録済み有権者の49%がバイデンを好み、47%がトランプを好んでいる。バイデンは2ポイントの差でリードしているが、この数字は今回の世論調査の誤差3.5ポイントの範囲内に入っている。この数字は2月の同様の調査から大きな変化を示している。2月の段階ではバイデンはトランプ大統領に7ポイントの差をつけてリードしていた。

今回の調査によると、アメリカの全成人の中で、バイデンは50%の支持を集め、トランプ支持は44%だった。

バイデンは2020年米大統領選挙で民主党の指名を獲得する見通しとなっている。彼はテキサス州、フロリダ州、ミシガン州といった各州で決定的な勝利を収めている。民主党支持もしくは民主党寄りの有権者の55%はバイデンを支持し、39%が進歩主義派のバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)を支持すると答えた。

最新の世論調査によると、過半数が医療問題に関してトランプよりもバイデンの方がよりよく対処できると信頼できると答えた。

しかし、経済に関してはトランプの方がバイデンよりもよりよく対処できると信頼できると答えたのは52%だった。経済問題に関してトランプよりもバイデンの方がよりよく対処できると信頼できると答えたのは42%だった。

世論調査の対象者に対してどちらがコロナウイルス感染拡大によりよく対処できると信頼できるかという質問もなされたが、バイデンとトランプはどちらもほぼ同率の支持を受けた。アメリカ国内では10万以上の人々が感染し、2000名以上が死亡している。

バイデンを含む民主党の政治家たちの多くは、トランプの今回の危機に対する対処を批判している。バイデンたちは、トランプが十分な対処を行うための動き出しが遅すぎ、物資の不足に直面している各州に対して十分な支援を行っていないと批判している。

ウイルス感染拡大によって経済は急激に落ち込んでいるが、経済の運営と対処についてトランプを支持すると答えた有権者は57%だった。この数字はトランプ大統領がホワイトハウスに入って以来、最高の数字となった。トランプ大統領の経済運営に不同意だと答えたのは38%だった。

加えて、トランプ大統領は、彼の支持者たちの間で高い熱意を受けている。バイデンに関しては、そこまではない。トランプ大統領の支持者の55%がトランプ大統領を熱意をもって支持すると答えた。一方、バイデンの支持者でバイデンを熱意をもって支持すると答えたのは28%だった。

今回の『ワシントン・ポスト』紙とABCニュース共同世論調査は2020年3月22日から25日にかけて、1003名の成人を対象に実施された。その内の845名は登録済み有権者だった。

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 古村治彦です。

 今回は『象徴天皇制の起源 アメリカの心理戦「日本計画」』をご紹介する。著者の加藤哲郎は一橋大学名誉教授であり、政治思想の分野で浩瀚な業績を残している。本書は、タイトル通り、象徴天皇制についての詳細な研究報告である。
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象徴天皇制の起源―アメリカの心理戦「日本計画」 (平凡社新書)

詳細なという言葉では生ぬるいほどで、詳細過ぎる内容だ。そのために、新書版としては「分かりにくい」ものである。新書版はたいていの場合、専門家が分かりやすく読者に研究成果を紹介するものが多いが、本書は詳細な報告になっている。そのために多くの単語や専門用語が説明不足のままで次々と出てくるので読んでいて、何が何やら分からなくなるほどだ。それでも機密指定解除されたアメリカ政府の文書を丹念に

 「象徴天皇制」とは、日本国憲法第1条の「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」を示す言葉である。大日本帝国憲法では天皇の地位は「大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」とされた。戦前、大日本帝国憲法下では天皇は日本国を統治する大権を掌握し、神聖不可侵の存在であった。戦後の日本国憲法下では、日本国と日本国民統合の象徴の存在へと変化した。

オーストラリアやソ連は天皇という存在については廃止すべきと主張していた。一方、実際に日本占領を主導するアメリカ、連合国最高司令官ダグラス・マッカーサー元帥は天皇の維持を決定した。天皇を利用して円滑に日本占領を実行しようという意図があった。天皇も地位を保全するために必死だった。『』(文春文庫)は極東軍事裁判(東京裁判)に向けた弁明の書であり、英語版も存在した。天皇は公式に「象徴」として生き残った。

 本書は象徴天皇制の起源をできるだけ遡ろうという意欲に満ちた本である。しかし、意欲が勝り過ぎてか、分かりにくい本となってしまったが。

象徴天皇制の起源は1942年6月に作成された陸軍情報部心理戦争課が作成した「日本計画」にまで求められる。この計画にはいくつもの下書きと言うか草稿や覚書、メモが存在した。情報調査局の草案、英米共同計画アウトライン、オスカー・N・ソルバート大佐の草稿などがその基になった。

アメリカは一流の自然科学者や社会科学者たちを総動員して敵国を研究させ、その成果を政策に利用していた。原子爆弾の開発や暗号解読がその成果であることはよく知られている。フォン・ノイマンノイマン、ヘルベルト・マルクーゼ、ウォルター・W・ロストウ、ワシリー・レオンチェフ、タルコット・パーソンズ、ジョン・フェアバンクといった戦後も活躍した学者たちが動員されている。

戦争中の日本研究の成果が有名な『菊と刀』だ。これはコロンビア大学の文化人類学者ルース・ベネディクトが行った日本人捕虜からの聞き取り調査の結果である。ベネディクトは日本を訪問したこともなく、日本語を読み書きできず、日本専門家という訳ではないが、文化人類学の方法論(methodology)を使って、日本人の心性(mentality)と行動(behavior)を分析した。

 戦時中の日本研究の成果として、アメリカ軍は「天皇を攻撃(批判)しない」「日本の天皇を平和のシンボルとして利用する」という方針を固めた。これが戦後も続き、日本国憲法に盛り込まれることになった。「象徴天皇制」を準備したのはアメリカ、というのは戦後を生きる私たちにとっては何とも重たい事実だ。

(終わり)

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