古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。




アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12





 つまり、カザフスタンがロシアの作った大きな池の中の小さな魚になるのではなく、自分で作った池の中の大きな魚になることを夢見ていたとしたらどうだろうか?その池とは、旧ソ連だけではなく、自国よりも南にある、国名に「スタン」が付く国々全て構成されるとしたら、この池はまず小さいということはないであろう。この勢力ブロックは少なく見積もっても、カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、キルギスタン、タジキスタン、アフガニスタン、パキスタンの7カ国で構成されることになる。総面積は約210万平方マイル(約544万平方キロ)で、アメリカの約半分の広さとなる。これだと世界で7番目に広い国に相当する。オーストラリア(約3万平方マイル)よりは少し小さいが、インド(約130万平方マイル)よりは大きい。これらが1つになると、中央アジア地域の重要な塊ということになり、更には相互につながる旧世界大陸であるアジア、アフリカ、ヨーロッパで構成される「世界島(
world island)」の中心地となる。


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 カザフスタンが中心となる超国家は、世界において重要な戦略的地位を占めることになる。この超国家によって、ヨーロッパとインド亜大陸がつながるのである。そう、カザフスタンは巨大な国家であり、ヨーロッパの一部と言ってもよいほどである。また、中東と極東という地政学的に懸隔した地域をつなぐ橋梁ともなり得る。アフガニスタンはワハーン回廊(Wakhan Corridor)を持っており、これによって既に橋梁としての役割を果たしているという主張もある。これによって中国をリンクさせているというのである。しかし、ワハーン回廊はその地域と安全性を考えると、理想的なものとは言えない。超国家の主な強みとなるのは、アラビア海を経由する海洋への出口である。これが北部アジアに開発の可能性を与えることになる。パイプライン、鉄道、その他の現在はまだ建設されていない輸送手段を使って、カラチやその他パキスタン国内の港湾へのリンクが形成される。これによって最短距離で、カザフスタンに眠る石油、石炭、天然ガスを市場に送ることができるようになる。

 

 超国家は2013年の年間GDPは合計で6000億ドルに迫る規模となる。これはスイスとスウェーデンの間に入る規模だ。一人あたりのGDP(約5000ドル)となると、世界の下半分に入ってしまうが。カザフスタンの一人あたりのGDPは1万2000ドルで、ハンガリーよりも少し下である。アフガニスタンは5000ドルの7分の1である、700ドルで、これはルワンダより少し高い数字である。その経済力に加えて、超国家は人種と言語の多様性を有する。スラブ、トルコ、ペルシアの影響力が大きいものとなるであろう。しかし、超国家には統一を保つのに重要ないくつかの特性が存在することになるだろう。超国家の国民の圧倒的多数はイスラム教徒となる。そして、シルク・ロードの記憶、チンギス・ハーンの遺産、イラン歴の正月ノウルーズ(Nowruz)といった歴史的、文化的な共通点を持つことになる。「スタン」はペルシア語で「土地」や「国」を意味するが、それぞれの国名に「スタン」が付くのはなにも偶然の産物などではないのである。

 

 超国家の人口は約2億8000万人ということになる。これは、中国、インド、アメリカに次いで世界で4番目ということになる。そして、軍事力の面から言えば、現役将兵の数は約100万ということになり、中国、アメリカ、インド、北朝鮮に次いで世界で5番目ということになり、ロシアを凌駕することになる。超国家における最大都市はパキスタン沿岸の巨大都市カラチで、人口は900万である。しかし、戦略的な見地から首都は別の都市を選ぶことも可能である。1つの可能性としては、タジキスタンの首都ドゥシャンベ(人口75万人)が考えられる。

 

 しかし、新国家の首都の場所探しなどは大した問題ではない。最も緊急の問題は戦争である。西側諸国の軍隊がアフガニスタンから撤退している中、カブールにある中央政府は独力でタリバンと対峙しなくてはならなくなっている。これは、暴力はより深刻に、悪い方向に向かっていることを意味している。デュアランド・ラインを超えたパキスタンでは、中央政府は、タリバンの反政府勢力と対峙しているだけでなく、バルチスタンの分離独立運動、そして、インドとの冷戦といった問題を抱えている。民族間の争いと宗教の原理主義は、旧ソ連のスタンが国名に付く国々に不安定をもたらす要素となっている。特に、タジキスタン、ウズベキスタン、キルギスタンが分割しているフェルガナ盆地(Fergana Valley)はそうした不安な要素が存在する地域である。また、貧困も大きな問題である。カザフスタンを除くと、全てのスタンが国名に付く国々の、2013年の一人あたりのGDPは1万ドルを割り込んでいる。

 

 マイナスの指標のリストは長く、その内容は想像通りのものとなっている。①汚職:高い。スタンと付く克明に国々はどこもトランスペレンシー・インターナショナルが毎年実施している汚職認識インデックスで高いスコアを叩きだしている。アフガニスタンは、北朝鮮とソマリアに次いで第3位を記録している。②識字率:低い。人口1億8600万人を誇るパキスタンの識字率は驚くべきことに55%に留まっている。アフガニスタンは28%で世界でも最低の方である。公平を期すために述べておくと、旧ソ連に属していたスタンと付く国々の識字率はこれらの国々に比べて大変高く、ほぼ100%を達成している。③民主政治体制:あやふや。アフガニスタンは失敗ばかりしているが、現在行われている大統領選挙の過程は、国内では戦争状態にありながら、何とか進行している。しかし、ステップ地帯の統治はよく言ってパントマイムのようなものである。「トルクメニスタンの父(Father of the TurkmenTurkmenbashi)」サパルムラト・ニヤゾフ(Saparmurat Niyazov 1940~2006年)大統領の奇妙な個人崇拝と統治を思い出して欲しい。彼は4月という月の名前を自分の母の名前に変えたのである。

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ニヤゾフ 

 

 それでは、最後に、この新国家の国名はどうなるだろうか?もちろん、「中央アジア連邦(Central Asian Federation)」のような誰にでも思いつく、退屈な名前なら私でも書ける。しかし、全ての国が共有する「スタン」を使った国名「スタニスタン(Stanistan)」は、奇妙ではあるが、印象的な国名となることだろう。これは、英語では「国家の中の国家(Country of Countries)」となり、総称的に聞こえるが、ペルシア語だと、簡潔で、一度聞いたら忘れられない美しさがある。

 

(終わり)



野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23



 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 来週、2014年9月16日に民主党の執行部の入れ替えが行われるようです。幹事長には枝野幸男氏、選対委員長には岡田克也氏がそれぞれ就任する予定だそうです。

 

 代表経験もあり、副総理、外相を務めた岡田氏が今さら選対委員長というのは不思議ですが、これはまだ野心があり、地方選挙での勝利を積み重ねて、ポスト海江田狙い、あわよくば総選挙で勝利しての総理就任を目指しているということでしょう。民主党内部では、若手、中堅がこの前の選挙で落選しているために、人材が払底していますが、ベテランがまだ現場に出るというのは、世代交代を阻止するための動きだと思われます。

 


 また、民主党執行部は野党再編の一環として、生活の党との連携を進めていますが、枝野氏や岡田氏が執行部入りすることで、この動きも鈍化すると思われます。

 

 海江田万里代表は挙党態勢を確立するために、海江田執行部に対して反対する動きをしていた人々を執行部に取り込んで、責任を共有させようとしているのだと思います。

 

 しかし、挙党態勢というのは代表の力が強い時には効力を発揮すると思いますが、逆に言うと、反乱分子を執行部に招き入れてしまうということになります。

 


 枝野氏や岡田氏にしてみれば、無役でただ執行部に文句を言っているだけでは、野党にいる以上、何の展望も開けません。ただ不平不満を述べているだけのことです。それなら、

執行部に入った方が良いということになります。

 

 そこで綱引きが起きる訳ですが、恐らく、海江田氏が思う通りにはならないでしょう。リベラルの旗で自民党との対立軸を明らかにするというところまではお互いに共通の利益になるから大丈夫でしょう。

 

 そして、自民党に対抗できるだけの状況になってきたら、執行部の中の反海江田の面々は、海江田降ろしを始めて、自分たちが実権を握り、あわよくば政権交代、自分たちが権力を握るということになるでしょう。

 

 海江田執行部に反対していた人々は、ずっと民主党で馬齢を重ねてきた無能な人々ですが、小沢一郎氏をうまく引き込んで、民主党を強化し、政権交代を実現し、自分たちは権力を握りました。他の人たちの力を利用して、棚から牡丹餅で生きてきた人たちです。

 

 今回も少し情勢が変わってきたということを敏感に感じ取り、執行部に入って、うまくいけば苦労せずに権力の座に戻れるかもしれないという計算が合ったことは明らかです。

 

 挙党態勢なんて響きはカッコいいですが、実態はそんなものではないかと思います。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

民主、挙党態勢アピール 幹事長に枝野氏 選対委員長は岡田氏で調整

 

MSN産経ニュース 2014年9月12日

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140912/stt14091221380016-n1.htm

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140912/stt14091221380016-n2.htm

 

 民主党の海江田万里代表が党役員人事で枝野幸男元官房長官を幹事長に充てることが12日、分かった。枝野氏が同日、海江田氏の要請を受諾した。松原仁国対委員長ら執行部の大半を入れ替え、選挙対策責任者には岡田克也前副総理で調整している。党勢の低迷が続く中、要職を歴任した実力者を幹部に据えることで挙党態勢をアピールする狙いがある。

 

 党の新人事案は、16日に盛岡市で行う常任幹事会で提示され、その後の両院議員総会で了承される見通しだ。

 

 枝野氏は12日夜、さいたま市での自身の会合で「民主党が立ち直るための役に立ちたい」と抱負を語った。枝野氏は民主党政権で中核を担った「6人衆」の一員。4年ぶり2回目の幹事長となる。

 

 代表経験者の岡田氏が選対責任者に就けば異例のことだが、来春の統一地方選で党勢を盛り返し、その後の国政選挙につなげるためには岡田氏が適任と判断したもようだ。このため、従来の「選対委員長」ではなく、権限を強化した「選対本部長」とする案も検討している。ただ、岡田氏については参院を中心に反発の声が上がっている。

 

 海江田氏は、大畠章宏幹事長の続投を検討したが、大畠氏が辞意をみせていたことから断念。その後、3日の自民党人事を見極めた上で民主党役員人事に着手する考えを示していた。自民党が前総裁で衆院当選11回の谷垣禎一幹事長、衆院当選10回の二階俊博総務会長という布陣になったことから、海江田氏も重厚な態勢で対抗することにした。

 

枝野氏は党憲法総合調査会会長として3月に集団的自衛権の行使容認に否定的な党見解をまとめた。海江田氏は集団的自衛権の行使容認に反対を打ち出しており、リベラル色が強まる可能性がある。

 

 一方、前原誠司前国家戦略担当相や細野豪志前幹事長ら党内の保守系議員は、集団的自衛権の行使容認を前提とした「安全保障基本法」の制定を求める動きを強めてきた。ただ、執行部の了承なしに法案を出すことはできないため、保守系からは「枝野氏の幹事長起用は障害になりかねない」との懸念があがっている。

 

 枝野氏は、衆院埼玉5区選出で当選7回。平成22年6月の菅直人政権発足に伴い党幹事長に就任したが、同年7月の参院選で民主党は敗北、枝野氏も同年9月に辞任した。その後、官房長官や経済産業相などを歴任した。

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)








 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23



 古村治彦です。

 

 日本経団連が5年ぶりに自民党への政治献金を呼びかけることになりました。以前は、経団連総務部次長、事務総長、副会長を歴任した花村仁八郎(はなむらにはちろう 1908~1997年)が「財界政治部長」として、加盟各企業に対して献金のあっせん(金額まで決めてのほぼ命令)をしていました。それから何度か、献金のあっせんは停止されたり、再開されたりを繰り返してきました。

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花村仁八郎 

 


 下に貼り付けた記事では、経団連は安倍氏の経済政策を評価し、全面的に支持するということで、政治献金「呼びかけ」を再開したということです。呼びかけですから、従う義務はありませが、名だたる大企業が何も出さないということはこれからのこともありますから、ある程度の金額が決まっている事実上の「あっせん」なのだと思います。
 

 

 経団連は、昔は輸出大企業ばかりでしたから円安にしてもらうことが環境を整えるということで、支持しやすい政策でした。資源高や輸入品が割高になるというデメリットはありましたが、それを凌駕するほどの経済成長をしているうちはそれでも良かったのです。

 

しかし、現在は小売りや流通、資源輸入といった部門では円高が望ましいし、人々の生活は多く輸入に頼る中で、円安が日本全体の利益になるという単純な構図ではありません。

 

 更に、経団連は安倍首相を全面支持と言っていますが、それでは彼の対外政策はどうでしょうか。これからきちんと付き合っていかねばならない中韓に対する姿勢まで支持するということでしょうか。頭の悪いネット右翼まがいの元幹部自衛官が外務大臣政務官になっていますが、彼のSNSでの発言は驚くばかりです。また、早速、アメリカのユダヤ系団体が高市早苗氏や稲田朋美氏が、ネオナチ思想を喧伝する団体の長と親しげに写真を撮って、それが掲載されているという事実を掴み、懸念を表明しました。

 

 国民生活が良くなっているような、良くなっていないような、そんな状況、結局、消費税と物価だけ上がって、可処分所得が増えていない現状があります。そうした中で、企業に属している人が個人で、自分のお金の中から政治献金をするのはどうぞご自由に、ということになりますが、企業が自民党だけに政治献金をするというのは如何なものか、政治献金の金額などは大企業にしてみれば鼻くそくらいのものでしょうが、それでも、「あれは自分たちが懐を痛めて買った商品の利益から回っている、そんなことをするのなら、もっと別の使い方があるんじゃないのか」という気持ちを人々に持たせてしまうのではないかと思います。

 

 今の経団連、というか大企業経営者も考えてみれば、民僚として育てられてきた人々で、官僚たちと同じです。事なかれ主義で、減点主義、大過なく勤め上げれば主義の人々ですから、自分は民間で、政府や政治家に対して自立する、自分たちの利益と顧客の利益を体を張って守るという感じではなくて、お仲間さんとして従っているだけのことでしょう。しかし、そんな経団連、財界に未来があるのでしょうか?まぁ潰れてしまっても問題があるのだろうかと思ってしまいますが。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

献金呼び掛けを決定=政治と連携強化、5年ぶり-経団連

 

時事通信 2014年9月8日

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201409/2014090800513

 

経団連は8日開いた会長・副会長会議で、会員企業・団体に対し政治献金の実施を呼び掛ける方針を正式に決めた。経団連による献金への関与は5年ぶり。榊原定征会長は同日の記者会見で「今は徹底的に政治と経済が手をつないで、日本経済を立て直さないといけない」と表明。事実上、安倍政権を全面的に支持する姿勢を鮮明にした。

 

 榊原会長は会見の冒頭、「政策本位の政治の実現、民主主義の健全な発展を図る上でクリーンな民間寄付(献金)拡大は重要課題」と強調。2003年の奥田碩会長時代の考え方を基本的に踏襲し、経団連自らはあっせんせず、あくまで企業の自主判断に基づく献金を促す。その一方で、献金対象に関し「日本経済再生のため成長戦略を推進する健全な政党」とし、自民党を念頭に置いていることを示唆した。(2014/09/08-18:01

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

(終わり)








 

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