古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。

 

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




 古村治彦です。

 

 今回は、東京都知事選挙について、過去のデータを振り返りつつ、妄想していきたいと思います。過去のデータは、ウィキペディアに掲載されているものを使います。

 

※ウィキペディアの「東京都知事選挙」についてのページのアドレスは以下の通りです。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E7%9F%A5%E4%BA%8B%E9%81%B8%E6%8C%99

 

(貼り付けはじめ:少し加工を施しました)

 

2012(平成24)年1216日執行

 

※当日有権者数:10,619,652人 最終投票率:62.60%(前回比:+4.80ポイント)

 

候補者名 年齢 所属党派 新旧別 得票数 得票率 推薦・支持

・猪瀬直樹 66 無所属 4,338,936 65.27% 公明、維新支持・自民支援

・宇都宮健児 66 無所属 968,960 14.58% 日本未来の党、共産、社民、緑の党、

新社会党、東京・生活者ネットワーク支持

・松沢成文 54 無所属 621,278 9.35% なし

 

・笹川堯 77 都民のくらしを守る会 179,180 2.70% なし

・中松義郎 84 無所属 129,406 1.95% なし

・吉田重信 76 無所属 81,885 1.23% なし

・トクマ 46 幸福実現党 47,829 0.72% なし

・マック赤坂 64 スマイル党 38,855 0.58% なし

・五十嵐政一 81 無所属 36,114 0.54% なし

 

2011(平成23)年410日執行

 

※当日有権者数:10,505,848人 最終投票率:57.80%(前回比:+3.45ポイント)

 

候補者名 年齢 所属党派 新旧別 得票数 得票率 推薦・支持

・石原慎太郎 78 無所属 2,615,120 43.40% 都議会自民、公明 推薦

・東国原英夫 53 無所属 1,690,669 28.06% なし

・渡邉美樹 51 無所属 1,013,132 16.81% なし

・小池晃 50 無所属 623,913 10.35% 共産 推薦

 

・ドクター・中松 82 無所属 48,672 0.81% なし

・谷山雄二朗 38 無所属 10,300 0.17% なし

・古川圭吾 41 無所属 6,389 0.11% なし

・杉田健 43 新しい日本 5,475 0.09% なし

・マック赤坂 62 スマイル党 4,598 0.08% なし

・雄上統 69 東京維新の会 3,793 0.06% なし

・姫治けんじ 59 平和党核兵器廃絶平和運動 3,278 0.05% なし

 

2007(平成19)年48日執行[編集]

東京都庁舎前・東京都知事選挙横断幕詳細は「2007年東京都知事選挙」を参照

 

※当日有権者数:10,238,704人 最終投票率:54.35%(前回比:+9.41ポイント)

 

候補者名 年齢 所属党派 新旧別 得票数 得票率 推薦・支持

・石原慎太郎 74 無所属 2,811,486 51.06% 自民、公明 実質支援

・浅野史郎 59 無所属 1,693,323 30.75% 民主、社民、国民 実質支援

・吉田万三 59 無所属 629,549 11.43% 共産 推薦

 

・黒川紀章 73 共生新党 159,126 2.89% なし

・ドクター・中松(中松義郎) 78 無所属 85,946 1.56% なし

・桜金造 50 無所属 69,526 1.26% なし

・内川久美子 49 無所属 21,626 0.39% なし

・外山恒一 36 無所属 15,059 0.27% なし

・高橋満 61 無所属 5,558 0.10% なし

・雄上統 65 無所属 4,020 0.07% なし

・山口節生 57 カント~ 3,589 0.07% なし

・高島龍峰(木村一成) 71 無所属 3,240 0.06% なし

・佐々木崇徳 64 無所属 2,845 0.05% なし

・鞠子公一郎 33 無所属 1,373 0.02% なし

 

(貼り付け終わり)

 

これらのデータで分かることは、まず一応国会に議席を持っている政党の支持、支援がある候補者たちがある程度の票数を獲得していることです。そうではない場合は、圧倒的な知名度があることが必要です。

 

そして、当選するためには最低でも260万票が必要なことです。投票率が上がれば、この数字も上がっていくでしょう。

 

前回の選挙の場合、有権者数は約1060万、投票率は約63%でした。これを掛け合わせると、投票総数は約637万票ということになります。

 

自公維新が推した猪瀬直樹氏が約434万票(約65.3%)、次点の宇都宮健児氏(ほぼ全てのリベラルな野党が推した)が約97万票(約14.6%)、無所属の松沢成文(元民主党所属国会議員、元神奈川県知事で一定の知名度あり)が約62万票(約9.4%)を獲得しました。

 

前回は長く続いた石原都政の継続性と顔が変わるということで投票率も上がりましたが、上がった分が全て猪瀬氏に流れたと思われる程に猪瀬氏への投票が多くなりました。

 

政治学の理論の一つである合理的選択論(Rational Choice Theory)で考えると、有権者は自己利益の最大化を考えます。もし、投票することよりも投票しないことが自分の利益になると考えれば、棄権します。また、投票する一票が死票になって欲しくないと考えます。わざわざ自分が当選するはずもないと考える候補に入れる人はいません。できるだけ、勝ち馬に乗りたいと考えるのが人情という訳です。

 

主義、主張、イデオロギーがはっきりある人たちにとっては、投票を通じての意思表示が自己利益になるのですが、ほとんどの人にはそんな強固な考えはありません。そうではありますが、バランスを取るという行動に出ることもあります。

 

 今回の場合、細川護煕元首相の出馬表明がない段階では、舛添要一元厚労相、宇都宮健児弁護士・元日弁連会長、田母神俊雄元航空幕僚長・元空将・軍事評論家の争いになると考えられていました。舛添氏を自公に民主が支援し、宇都宮氏を共産党、社民党が支援し、田母神氏を石原慎太郎元東京都知事を含む、維新のゾンビ議員たちが支援することになっていました。はっきり申し上げて、この構図では、舛添え氏が圧倒的に有利な状況でした。自公で基礎票が180万から200万。民主党まで入れれば200万は超えてくる数でした。宇都宮氏に各政党が最大限支援しても100万に届かずで、田母神氏はそこまでもないということになったでしょう。

 

 そうなると、勝ち馬に乗りたい普通の有権者たちは舛添氏に投票するか、「もう結果が分かっているのなら」ということで棄権してしまったことでしょう。

 

 ここに細川氏が小泉純一郎元首相と小沢一郎代議士・生活の党代表の支援を受けて出馬表明を行いました。ここでこの安定した構図に波乱が起きました。細川氏、小泉氏、小沢氏はそれぞれ毀誉褒貶が多い人物です。それぞれが批判し合う関係でありました。それが東京都知事選に向けて「脱原発」ということでタッグを組みました。

 

 これで何が起きるかということを思考実験してみます。脱原発(舛添氏も自分なりの脱原発を主張されているようです)系が固まって支援するはずだった宇都宮氏から細川氏へ支援を変える組織や人々が出てきました。これに対して、宇都宮氏を支援する組織や人々はこうした動きに反発して、より支援に力を入れ、宇都宮氏支持に力を入れることになります。舛添氏の方では、足元にくさびを打ち込まれた形になります。

 

自民党と公明党は、党本部を上げて舛添氏支援を行おうとしています。しかし、自民党内部には舛添氏に対するアレルギーがあります。自民党政権時は厚生労働大臣を務めながら、自民党が野党に転落すると除名処分となる離党を強行しました。また、自民党の支持者の中には、田母神氏を支援したいとする人たちがかなりいることも分かってきました。

 

自民党の支持層に細川と田母神でくさびを打ち込んでいく、そして、公明党の支持母体である創価学会の信者の皆さんの中には平和や原発問題についてかなり懸念を持っている方々もいらっしゃると聞いています。安倍氏に対するブレーキ役になるかもしれません。

 

さて、ここで、基礎票について考えてみたいと思います。前回の投票数が約637万でした。舛添氏の基礎票は180万から200万ということで圧倒的に有利な状況は変わりません。数十万票の票数を獲得しそうな候補が4名ですから、過半数を獲得する候補者は出にくいと考えられます。ですから200万台での争いとなるでしょう。

 

宇都宮氏は共産党の支援がありますから大体60万、細川氏は民主、社民などを合わせて恐らく60万くらいではないかと考えます。田母神氏は20万票くらいではないかと考えます。これにはあまり根拠はありませんが、最終的に50万票ほど獲得出来たら御の字ではないかと考えます。

 

宇都宮氏と細川氏はいかにしてそこから200万台に乗せていくかの勝負となります。無党派層への浸透と他陣営の切り崩しが大きなカギとなります。自民、公明から多くを切り離せるのは細川氏であると考えます。宇都宮氏は共産党の党員でもないし、公認候補でもないのですが、自民党の支持者層は宇都宮氏に投票しづらいと考えられます。既に細川氏支持を表明している自民党の地方議員も出ているという話です。

 

無党派層への浸透は宇都宮氏の方が一日の長があるように思われますが、小泉氏の動員力(ミーハーですが見てみたいと思う人は多いと思います)と小沢氏とその周辺の選挙活動のうまさはやはり大きなものがあります。

 

そう考えると、200万台に乗せていく力を持つのは細川氏であると考えます。それでも恐らく舛添氏を抜くことは難しいでしょう。舛添氏230万、細川氏200万、宇都宮氏150万、田母神氏50万ということになるでしょう。

 

舛添氏が敗れる場合というのは、投票率の上昇と自公の支持者の投票が低調である時ということになります。しかし、自公に加え、連合東京の支援もあるということで、楽々と200万票を越えてくるということで、舛添氏の有利さは変わらないでしょう。

 

しかし、細川氏の出馬までは、勝利の確立がほぼ100%であったものが、少し引き下げられているのではないかと思います。細川氏の出馬によって「2月9日の投票日までどうなるかは予断を許さない状況です」という表現が少しリアリティを持つようになりました。

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



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 2014年4月にアメリカのオバマ・大統領が東アジアを訪問するという日程になっているようです。二週間前に「12月末の靖国参拝の影響で、4月のオバマ大統領の東アジアツアーで日本には立ち寄らないという話がある」という話を聞いていました。私は「まさかそんな。日本は同盟国ではないか」と思って、聞き流しました。


 そして、1月20日にTBSが以下のように報道しました。オバマ大統領の日本訪問が「国賓待遇」ではなく、「公式実務訪問」になったということです。天皇陛下との謁見や宮中晩餐会は行われないということです。2013年2月の安倍首相の訪米以降、日程の調整が続いていたということにも驚かされますが(アメリカの大統領の日程(一日一日)を貰うというのは大変なことなんだなと思いました)、やはり、昨年末に国賓待遇で調整が進んでいたものが、難しいということにあってレベルが格下げということにも驚かされました。


 前回のオバマ大統領の訪日は、2009年11月、2010年11月にそれぞれ、シンガポール、横浜で開催されたAPEC出席のついでという感じで実現しました。2009年大統領就任後の初来日時は、子供の時以来の鎌倉を訪問し、抹茶アイスを食べるパフォーマンスを行い、東京にあるサントリーホールで演説を行いました。2009年の訪日時は、皇居で午餐会に招かれ、天皇陛下に握手をしながら深々と頭を下げるオバマ大統領の写真が公開され、アメリカでも物議をかもしました。

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 2014年4月の訪日では、日本側がオバマ大統領を何とか国賓待遇で迎えたいとして、色々と動いていたようで、それが実現したところで急に実務訪問ということになり、宮中晩餐会もなく、天皇陛下も謁見なさらないということになりました。これは、駐日アメリカ大使館が出した声明で「失望した(disappointed)」という言葉を使われたことの重さがいみじくも証明されたことになります。こちらが「最高の待遇でお迎えしますのでどうぞいらしてください」とずっと言ってきていて、相手も「そうですか、じゃあお願いしましょうか」という感じであったものが、「いや、やはり結構です」ということになったというのは、やはり靖国神社参拝の影響があったと考えるのは自然です。


 私は、今回の国賓待遇ではない訪日に関して、ミシェル・オバマ夫人も難色を示したのではないかと思います。宮中晩餐会が開かれるとなると、やはり夫人のミシェルさんも大統領と一緒に訪日する必要が出てきます。せっかく夫人がいらっしゃって、今のところ訪日に関して健康面などで条件が合わないようには見えないのですが、訪日を嫌がるというのは、恐らく、頭の切れる弁護士同士であり、同性のキャロライン・ケネディ駐日アメリカ大使とも話をして、安倍晋三首相には会わないということをまず決めたのだと思います。そうなると、自分一人だけ国賓待遇で宮中晩餐会出席というのは天皇陛下・皇后陛下にも失礼になります。

 オバマ政権の特徴は、女性たちが外交の要職についていることです。スーザン・ライス国家安全保障大統領補佐官、サマンサ・パワー国連大使、そして、日本にはキャロライン・ケネディ大使がいます。こうした頭脳の切れが凄まじい女性たち、ミシェル夫人を加えますが、彼女たちに小手先の言辞は通用しませんし、本質を見抜かれてしまいます。彼女たちには安倍政権の本質が既に見抜かれ、日本に対する懸念は大きくなっていると思われます。こうしたことは前著『アメリカ政治の秘密 日本人が知らない世界支配の構造』(PHP研究所、2012年)に書きましたので、是非お読みください。


オバマ大統領が安倍首相に対して「消極的な態度」を示した訳ですが、これでもまだ、そんなに重要なことではないと言えるのかどうか、私は疑問を持っています。



 今のところは、「安倍晋三首相とその周辺」に対しての懸念だけで済んでいるのですが、キャロライン・ケネディ大使のツイッターやアメリカ大使館のfacebookのページにおける見るに堪えない、口汚い罵りの言葉が続いていくと、「日本人は安倍政権を支持している。確かにアメリカのジャパンハンドラーズがそのように仕組んだのだが、薬が効きすぎたようだ。反米がコントロールできなくなるようでは困る」ということになって、日米関係がもっとギクシャクしてしまうことになります。


 ですから、これ以上ギクシャクしないように、冷静になって、合理的な精神で、そして相手の立場に立って(外交は鏡のようなもので相手の態度は自分の態度を映しているものだという考えもあります)、自分たちを冷静に点検することが大事だと思います。それが安倍晋三首相やその周辺に出来るかどうか、私は不安を持っています。


(貼り付けはじめ)


●米大統領来日は国賓待遇にならず、靖国が影響か


2014年1月20日 TBS

http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2107297.html


 4月に予定されているオバマ大統領の来日が、国賓待遇ではなく、宮中晩餐会も行われない方向であることが、JNNの取材で明らかになりました。アメリカ側が想定する日程では国賓待遇としての十分な時間がとれないためで、靖国をめぐる不協和音など、日米関係の昨今のあつれきが浮き彫りになった格好です。


  オバマ大統領の4月の訪日をめぐっては、去年2月、安倍総理が訪米した際、国賓として来日するよう要請し、去年の年末まではその方向で両国間で調整が続いていました。しかし、今回のオバマ大統領の日本滞在時間が当初の想定よりも短くなる見込みとなり、国賓として待遇する際、慣例となっている日本到着時の歓迎式典、天皇陛下との会見、宮中晩餐会などの行事を行うには十分でないとの判断から、国賓よりランクの下がる「公式実務訪問」とすることで最終調整が進められているということです。


 政府関係者によりますと、オバマ大統領のアジア歴訪をめぐっては、韓国にできるだけ長く滞在するよう朴槿恵(パク・クネ)大統領側が強く働きかけているということで、ここでも日韓のせめぎ合いが繰り広げられています。


 安倍総理の靖国参拝に関するアメリカの「失望」コメントやTPPの交渉難航など、日米関係がギクシャクしているだけに、政府としてはできるだけ国賓に準ずる形でオバマ大統領の来日を盛り上げたい考えで、検討が続けられています。(2011:12


(貼り付け終わり)

(終わり)

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




 

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 古村治彦です。


 今回は、ここ最近の政治状況と日米関係について書いてみたいと思います。都知事選挙は2014年1月23日告示ですが、出馬表明をした各氏の動きが活発化しています。特に早めに出馬を表明した宇都宮健児氏と田母神俊雄氏の動きは活発です。舛添要一氏には自公が本腰の支援を行うことに加え、労働組合の連合東京が支援を決定しました。自公と労働組合が一緒の候補を応援するのはなんだか奇妙なものですが、電気総連と東京都職員の自治労系が舛添氏を望んでいるということなのでしょう。彼らは身分の安定した高給取りの人々であって組合などを作っていますが、これは自分たちの要求する条件を通すための方便でしかないということが明らかになりました。彼らにしてみれば至極当然な合理的な行動です。


 細川護煕氏に対する様々な批判や非難、悪罵が投げかけられています。細川氏の出馬はある意味で出来レースであった東京都知事選挙に衝撃を与えたものであったということが言えましょう。青年会議所が主催して開催しようとした候補者討論会は宇都宮市の身が出席で後は欠席ということで、これを材料にして細川氏を攻撃するという動きもあります。しかし、選挙は23日告示です。まだこれから細川氏よりも大物が出馬を表明するかもしれないし、もしかしたら誰かが撤退することだってあります。そうした落ち着かない状況下で、初めての出馬で準備に忙殺されている人に、前回も出て準備万端な人間が、「早く出ないのはおかしい、卑怯だ」などと批判している。これは苛めであり、自分以外のものの行動や考えを認めない、非常に権威主義的な態度であると私は考えます。私はこれを風紀委員的態度と名付けたいと思います。


 東京都知事選挙は組織票を持つところが舛添氏を支援ということになりましたので、舛添氏が一気に有利な展開ということになりました。しかし、2月9日の投票日までにどういう動きが起きるか分かりません。


 安倍首相の靖国参拝の余波は続いているようです。谷内正太郎国家安全保障局(NSC)局長がワシントンを訪れ、ジョン・ケリー米国務長官、チャック・ヘーゲル米国防長官、スーザン・ライス米大統領補佐官と会談を行ったということです。これを「厚遇」と報道する新聞記事がありましたが、これは、直接の上司による「人品検査」と「お叱り」のための訪問と読み替えるべきです。日本のNSCとアメリカのNSCの間でホットラインが引かれるということは、いざという時にはアメリカ側が直接指揮を執ることができるようになるということです。ケリー国務長官とヘーゲル国防長官は前回の日本訪問時に千鳥ヶ淵戦没者墓苑で献花をしています。靖国問題についてあまり話が漏れて来ていませんが、これは、日本側によほど厳しい言葉があったのだということが推察されます。


 谷内氏もまともな感覚がある人なら、安倍総理の靖国参拝は控えて欲しいと思っていたと思いますので、「なんで俺が、安倍の代わりに怒られなきゃいけないんだ」と思っておられると思いますが、これも給料のうち、身の不幸と思って我慢していただきたいものです。


 安倍総理の側近の質の悪さが知られる報道がなされました。萩生田光一代議士・首相補佐官が党本部で講演し、「共和党政権の時代にこんな揚げ足を取ったことはない。民主党政権だから、オバマ大統領だから言っている」という発言を行ったということです。靖国問題は、アメリカの戦後世界支配の正統性を揺るがすものであり、アメリカ側からすれば重大な挑戦ですらあります。よく「失望」程度で収まったなというのが私の考えです。


この萩生田代議士と衛藤晟一参議院議員・首相補佐官が安倍総理に靖国参拝を進言したということです。この程度の国際感覚と能力で一体何を「補佐」出来るのか分かりませんが、問題はこの程度の人物たちを周辺に置いている安倍首相の能力にも及びます。


 さて、安倍総理に対してですが、少し気になる動きが出てきました。ジェイコブ・ルー米財務長官が「円安に対する懸念」を発表しました。政府や日銀関係者はその意図を測りかねているようですが、それは簡単なことです。アメリカの安倍総理に対する警告なのです。安倍総理は靖国参拝を行ったことで外交上の失点をしてしまいました。となると、もう一つの柱である経済(アベノミクス)に力を入れなければならなくなりました。しかし、4月には消費税増税を控え、その行く先は不透明です。これにアメリカが円安を懸念するという動きが出て円高に動くと、今の株高も頓挫してしまいます。そうなれば、外交もダメ、経済もダメということになると安倍首相に対する批判は党内外から大きくなり、最悪の場合、消費税増税の責任者である財務大臣の麻生太郎氏と共に退くということになります。そうなると、舛添氏の当選が条件ともなりますが、石破茂自民党幹事長にチャンスが巡ってくるということになります。


 アメリカはこうやって安倍さんに警告を出しているのです。”You won’t have a second chance”なのです。


(新聞記事転載貼り付けはじめ)


●「日米NSC、緊密に連携 谷内氏、米閣僚らと会談


2014年1月18日付 日本経済新聞

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS18005_Y4A110C1MM0000/


 【ワシントン=吉野直也】訪米中の谷内正太郎国家安全保障局長は17日、ワシントンでケリー米国務長官、ヘーゲル米国防長官、ライス米大統領補佐官(国家安全保障担当)と相次いで会談した。ライス氏とは日米の国家安全保障会議(NSC)が緊密に連携していくことで一致。ケリー、ヘーゲル両氏とは沖縄県の米軍普天間基地移設や日米防衛協力指針(ガイドライン)再改定の加速を確認した。


 谷内氏は昨年末の安倍晋三首相の靖国神社参拝についても言及した。内容に関して同行筋は「靖国問題を話し合うことが今回の訪米の目的ではなかった」と述べ、具体的なやりとりを明らかにしなかった。首相参拝後に日本政府の要人が米閣僚やホワイトハウス高官と会談するのは初めて。


 米側の3氏との個別会談は合わせて1時間半を超えた。連携相手となるライス氏との会談で、谷内氏は「ライス氏と直接連絡がとれるようにしたい」と述べ、ホットラインの開設を検討すると表明。ライス氏は「谷内氏とともにスタッフ間の協力を進めていきたい」と応じた。核開発を進める北朝鮮や海洋進出を活発にする中国など東アジア情勢についても意見交換した。


 米ホワイトハウスは声明で、谷内、ライス両氏が朝鮮半島の非核化に向けた日米の協力拡大の必要性を申し合わせるとともに、日米NSCの緊密な連携が日米関係の強化につながるとの見解で一致したと発表した。


 国防総省は声明で、普天間移設の前提となる名護市辺野古沿岸部の埋め立てを沖縄県知事が承認したことを評価。地域の平和と安定のために日米の役割は一段と大きくなると指摘し、移設計画の推進を求めた。谷内氏はケリー氏とも同様の認識を擦り合わせた。


 谷内氏は政府の外交・安全保障政策の司令塔である日本版NSCの発足を受け、米国を訪問。米国の後に欧州やインドを回り、NSCの目的や安倍政権の外交・安保政策を説明する。


●首相側近の萩生田氏、米政権に反論 靖国批判は「揚げ足取り」(01/18 02:05


2014年1月18日付 北海道新聞電子版

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/515922.html


 安倍晋三首相側近の自民党の萩生田光一総裁特別補佐は17日、党本部で講演し、首相の靖国神社参拝に「失望」を表明したオバマ米政権について「共和党政権の時代にこんな揚げ足を取ったことはない。民主党政権だから、オバマ大統領だから言っている」と反論した。政権中枢に近い与党幹部の発言だけに日米関係に波紋を広げる可能性がある。


 講演は党青年局メンバーの会合で行われた。萩生田氏は青年局長経験者として出席した。メディアには非公開だった。


 萩生田氏は共同通信の取材に対して発言内容を認めた上で「オバマ政権を非難する意図はない。日本の立場を説明する思いからの発言」と述べた。


●「米財務長官の円安けん制発言、日本政府は真意模索」


2014年1月17日付 ロイター通信

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJEA0G00H20140117


[東京 17日 ロイター] -米国のルー財務長官による突然の円安けん制発言を受けて、日本政府関係者は真意を測りかねている。安倍晋三政権発足以来の円安進行について米国は日本経済を強化するものとして支持してきたとみられるためだ。


ただ米国内には過度の円安を警戒する産業界の動きは根強く、同様の発言が繰り返されれば、安倍政権が理想とする緩やかな円安進行と株価上昇の実現に黄信号が灯る可能性がある。


ルー米財務長官は16日、日本について「為替に過度に依存すれば長期的な成長はない」とし、日本の為替政策を「注視し続ける」と述べた。金融市場で日銀の追加緩和観測が広まっているのを踏まえ、急激な円安・ドル高の進行に懸念を示した格好だ。


これに対して、日本の政府関係者は発言の真意について「よくわからない」(高官)とし、米側の本音を探りかねているもよう。


岩田一政・日本経済研究センター理事長(元日銀副総裁)は17日、都内の景気討論会で、ルー財務長官の発言を注視していると指摘。「政治的な発言がなければ、為替レートは緩やかに(ドル/円)110円まで進む」としつつ、為替に関する条項を環太平洋連携協定(TPP)に盛り込むようオバマ政権に求める書簡に、上下院の半数以上の議員が署名した点を挙げ、今後も同様の発言が繰り返されれば、円安があまり進まなくなる可能性もあるとの見解を示した。


米財務省は「日本の金融緩和は国内政策で、為替相場を政策の目標にしない」との日本の主張を理解している立場だが、議会には日本を為替操作国と批判する米自動車業界と近い声があるのも事実だ。


一方、政府内には米国で日本や欧州に金融緩和により世界経済のけん引役を果たすことを期待する声があるとの見方もある。「かつての日独機関車論と同様」(別の政府高官)で、米国は金融緩和の縮小過程に入る中で、日欧に金融緩和の継続を求めているとの解釈だ。実際、日銀は現時点で追加緩和を検討していないが、4月の消費増税などで景気が大きく下振れ、2%の物価目標達成が難しいと判断すれば、追加緩和も辞さない構えだ。


日銀の金融緩和は為替を目的とはしていないため、米高官発言は政策運営の直接の障害とはならない。ただ市場で円安進行が止まるようであれば、政権が期待する円安・株高は実現が難しくなる可能性もありそうだ。


(竹本能文 編集:内田慎一)


(新聞記事転載貼り付け終わり)




 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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