古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。




 古村治彦です。



 2014年1月21日、安倍晋三首相をアメリカのマルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州選出、共和党)が訪問し、会談を行いました。下のウォールストリート・ジャーナル紙の記事の日本語版のタイトルは「米有力議員が安倍首相を訪問、揺れる日米関係で助っ人」(http://realtime.wsj.com/japan/2014/01/22/%E7%B1%B3%E6%9C%89%E5%8A%9B%E8%AD%B0%E5%93%A1%E3%81%8C%E5%AE%89%E5%80%8D%E9%A6%96%E7%9B%B8%E3%82%92%E8%A8%AA%E5%95%8F%E3%80%81%E6%8F%BA%E3%82%8C%E3%82%8B%E6%97%A5%E7%B1%B3%E9%96%A2%E4%BF%82%E3%81%A7/)となっています。



 助っ人というと、よくプロ野球の外国人選手に使われる言葉であり、また、やくざ映画などでは、義理と人情を大事にする高倉健さんが弱い方、負けると分かっている方のために戦いに行く時に使われる言葉です。外から援軍としてやって来るという意味のようです。



 それでは、今回のマルコ・ルビオ上院議員の訪問がそうした助っ人行為になるのでしょうか。ルビオ議員の訪問は、靖国神社参拝以来、アメリカ政府、議会関係者では最も上位の人物の訪問ということになります。次の大統領選挙では共和党の候補になり得る人物の一人として注目されています。ルビオ議員は、自衛隊強化(米軍の下請け化)と中国に対する牽制は支持しました。



 しかし、靖国神社参拝については、少なくともこの記事では支持するとも不支持とも書いていません。そこで何も言わなかったということは、米国務省の安倍首相の「失望」に対して、ルビオ議員は何も反対や疑義を持ってはいないということになります。上院議員の発言力は大変なものがありますが、彼はそれを行使して安倍首相の靖国参拝を支持するということはやっていません。これで何か「助っ人行為」になったのでしょうか。



 このブログでもご紹介した、アメリカ大使館の安倍首相による靖国神社参拝に関する声明の中の最後のtake noteの段落が重要になってきます。拙訳では、「安倍首相が過去に対して悔悟の念を表し、日本が平和構築のために関与していくことを改めて表明したことを私たちは注視している」となります。ルビオ議員は、「日本の平和構築のための関与」の部分を確認しに来たのです。



 戦後の世界体制はアメリカが作り上げたものです。アメリカが敵と決めればそれが世界の平和を乱す、世界共通の敵ということになります。そして、戦後世界の平和構築とは、アメリカの意向に沿ったものとなります。安倍首相は靖国神社参拝後、「平和構築に関与する」と発言しています。そうなると、靖国神社参拝で責めながら、同時に「平和構築の努力をするんだよね、ね?」ということで、日本には過度な負担が要求されるようになります。「だってやるって言ったじゃんね?」ということになります。



 ルビオ議員は笑顔のようでした。そして安倍首相も嬉しそうでした。しかし、その裏にあるのは、安倍氏への支持などではありません。自衛隊の米軍下請化、そして、中国への噛み付き犬係の役割の再確認というだけのことなのです。



(新聞記事転載貼り付けはじめ)



Rubio Offers Abe Reprieve From U.S. Diplomacy Woes



January 21, 2014, 5:44 PM

By Yuka Hayashi and Toko Sekiguchi

http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2014/01/21/rubio-offers-abe-reprieve-from-u-s-diplomacy-woes/



Associated PressU.S. Sen. Marco Rubio of Florida, left, shakes hand with Japanese Prime Minister Shinzo Abe before their talks in Tokyo, Jan. 21.

After a few weeks of rough sailing in his diplomatic dealings with Washington, Prime Minister Shinzo Abe received a much-needed reprieve Tuesday from an unlikely American visitor: Sen. Marco Rubio of Florida.



During his stop in Tokyo, the Republican senator visited Mr. Abe at his residence and offered assurances on two issues at the heart of Mr. Abe’s policy agenda: the senator’s support for Mr. Abe’s efforts to bolster Japan’s military and a rebuke of China’s aggressive territorial policy.



Mr. Rubio, the ranking member of the Senate Foreign Relations Committee’s East Asian and Pacific Affairs subcommittee, was the most senior member of the U.S. government to meet Mr. Abe since the Japanese leader’s visit to a controversial war shrine in late December set off the fury of Japan’s neighbors and upset officials in Washington.



I’m encouraged by and personally support your effort to reinvigorate the security capacity of your country, especially in light of illegitimate territorial claims made by some of your more adventurous neighbors,” Mr. Rubio told the prime minister at the beginning of their meeting.



The remarks were probably exactly what Mr. Abe wanted to hear from a prominent American lawmaker after the U.S.’s unusually harsh reaction to Mr. Abe’s shrine visit, describing it as “disappointing,” an action that “exacerbates tensions with Japan’s neighbors.”



Mr. Rubio’s visit comes amid growing interest in Japan among U.S. lawmakers, a phenomenon American officials attribute to rising security tensions in East Asia, as well as stirring of Japan’s economy after a long slump, triggered by Mr. Abe’s aggressive stimulus policy known as Abenomics.  Mr. Rubio’s visit will be followed by a visit later this month by Rep. Ed Royce, a California Republican and chairman of the House Committee on Foreign Affairs.



During last U.S. fiscal year ended Sep. 30, the number of the members of Congress who visited Japan more than doubled from the previous year to 28, according to the U.S. Embassy in Tokyo.



Furthermore, two House lawmakers started the first-ever caucus on Japan earlier this month to press the White House to  pursue Japan-related policies, such as the Trans-Pacific Partnership trade agreement. California Republican Devin Nunes and Texas Democrat Joaquin Castro are seeking other members to expand the bipartisan caucus.



The caucus is a welcome move for Tokyo amid concerns over the dearth of U.S. lawmakers who advocate for Japan. Such worries have grown since the death of Sen. Daniel Inouye in 2012 and the retirement of Sen. Jim Webb last year — two lawmakers who had actively engaged in relations with Japan.



Mr. Rubio is on an official visit to Asia this week, visiting South Korea and the Philippines, in addition to Japan. A little-known figure in Japan, Mr. Rubio was introduced by the local media as a young Republican leader who is among the party’s top candidates for the 2016 presidential race.



During his two-day stay in Japan, Mr. Rubio received a briefing from Japanese coast guard officials on China’s increased maritime activities around disputed islands in the East China Sea, visited the U.S. naval base in Yokosuka and met with Japan’s defense and foreign affairs chiefs.



Mr. Rubio received a briefing from Japanese coast guard officials on China’s increased maritime activities around disputed islands in the East China Sea, visited the U.S. naval base in Yokosuka and met with Japan’s defense and foreign affairs chiefs.



(新聞記事転載貼り付け終わり)



(終わり)


アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12





 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 



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「お控えなすって」と言っているようにも見えるが・・・
 


 


 


 


 


 


 




 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




 古村治彦です。

 

 今回は、東京都知事選挙について、過去のデータを振り返りつつ、妄想していきたいと思います。過去のデータは、ウィキペディアに掲載されているものを使います。

 

※ウィキペディアの「東京都知事選挙」についてのページのアドレスは以下の通りです。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E7%9F%A5%E4%BA%8B%E9%81%B8%E6%8C%99

 

(貼り付けはじめ:少し加工を施しました)

 

2012(平成24)年1216日執行

 

※当日有権者数:10,619,652人 最終投票率:62.60%(前回比:+4.80ポイント)

 

候補者名 年齢 所属党派 新旧別 得票数 得票率 推薦・支持

・猪瀬直樹 66 無所属 4,338,936 65.27% 公明、維新支持・自民支援

・宇都宮健児 66 無所属 968,960 14.58% 日本未来の党、共産、社民、緑の党、

新社会党、東京・生活者ネットワーク支持

・松沢成文 54 無所属 621,278 9.35% なし

 

・笹川堯 77 都民のくらしを守る会 179,180 2.70% なし

・中松義郎 84 無所属 129,406 1.95% なし

・吉田重信 76 無所属 81,885 1.23% なし

・トクマ 46 幸福実現党 47,829 0.72% なし

・マック赤坂 64 スマイル党 38,855 0.58% なし

・五十嵐政一 81 無所属 36,114 0.54% なし

 

2011(平成23)年410日執行

 

※当日有権者数:10,505,848人 最終投票率:57.80%(前回比:+3.45ポイント)

 

候補者名 年齢 所属党派 新旧別 得票数 得票率 推薦・支持

・石原慎太郎 78 無所属 2,615,120 43.40% 都議会自民、公明 推薦

・東国原英夫 53 無所属 1,690,669 28.06% なし

・渡邉美樹 51 無所属 1,013,132 16.81% なし

・小池晃 50 無所属 623,913 10.35% 共産 推薦

 

・ドクター・中松 82 無所属 48,672 0.81% なし

・谷山雄二朗 38 無所属 10,300 0.17% なし

・古川圭吾 41 無所属 6,389 0.11% なし

・杉田健 43 新しい日本 5,475 0.09% なし

・マック赤坂 62 スマイル党 4,598 0.08% なし

・雄上統 69 東京維新の会 3,793 0.06% なし

・姫治けんじ 59 平和党核兵器廃絶平和運動 3,278 0.05% なし

 

2007(平成19)年48日執行[編集]

東京都庁舎前・東京都知事選挙横断幕詳細は「2007年東京都知事選挙」を参照

 

※当日有権者数:10,238,704人 最終投票率:54.35%(前回比:+9.41ポイント)

 

候補者名 年齢 所属党派 新旧別 得票数 得票率 推薦・支持

・石原慎太郎 74 無所属 2,811,486 51.06% 自民、公明 実質支援

・浅野史郎 59 無所属 1,693,323 30.75% 民主、社民、国民 実質支援

・吉田万三 59 無所属 629,549 11.43% 共産 推薦

 

・黒川紀章 73 共生新党 159,126 2.89% なし

・ドクター・中松(中松義郎) 78 無所属 85,946 1.56% なし

・桜金造 50 無所属 69,526 1.26% なし

・内川久美子 49 無所属 21,626 0.39% なし

・外山恒一 36 無所属 15,059 0.27% なし

・高橋満 61 無所属 5,558 0.10% なし

・雄上統 65 無所属 4,020 0.07% なし

・山口節生 57 カント~ 3,589 0.07% なし

・高島龍峰(木村一成) 71 無所属 3,240 0.06% なし

・佐々木崇徳 64 無所属 2,845 0.05% なし

・鞠子公一郎 33 無所属 1,373 0.02% なし

 

(貼り付け終わり)

 

これらのデータで分かることは、まず一応国会に議席を持っている政党の支持、支援がある候補者たちがある程度の票数を獲得していることです。そうではない場合は、圧倒的な知名度があることが必要です。

 

そして、当選するためには最低でも260万票が必要なことです。投票率が上がれば、この数字も上がっていくでしょう。

 

前回の選挙の場合、有権者数は約1060万、投票率は約63%でした。これを掛け合わせると、投票総数は約637万票ということになります。

 

自公維新が推した猪瀬直樹氏が約434万票(約65.3%)、次点の宇都宮健児氏(ほぼ全てのリベラルな野党が推した)が約97万票(約14.6%)、無所属の松沢成文(元民主党所属国会議員、元神奈川県知事で一定の知名度あり)が約62万票(約9.4%)を獲得しました。

 

前回は長く続いた石原都政の継続性と顔が変わるということで投票率も上がりましたが、上がった分が全て猪瀬氏に流れたと思われる程に猪瀬氏への投票が多くなりました。

 

政治学の理論の一つである合理的選択論(Rational Choice Theory)で考えると、有権者は自己利益の最大化を考えます。もし、投票することよりも投票しないことが自分の利益になると考えれば、棄権します。また、投票する一票が死票になって欲しくないと考えます。わざわざ自分が当選するはずもないと考える候補に入れる人はいません。できるだけ、勝ち馬に乗りたいと考えるのが人情という訳です。

 

主義、主張、イデオロギーがはっきりある人たちにとっては、投票を通じての意思表示が自己利益になるのですが、ほとんどの人にはそんな強固な考えはありません。そうではありますが、バランスを取るという行動に出ることもあります。

 

 今回の場合、細川護煕元首相の出馬表明がない段階では、舛添要一元厚労相、宇都宮健児弁護士・元日弁連会長、田母神俊雄元航空幕僚長・元空将・軍事評論家の争いになると考えられていました。舛添氏を自公に民主が支援し、宇都宮氏を共産党、社民党が支援し、田母神氏を石原慎太郎元東京都知事を含む、維新のゾンビ議員たちが支援することになっていました。はっきり申し上げて、この構図では、舛添え氏が圧倒的に有利な状況でした。自公で基礎票が180万から200万。民主党まで入れれば200万は超えてくる数でした。宇都宮氏に各政党が最大限支援しても100万に届かずで、田母神氏はそこまでもないということになったでしょう。

 

 そうなると、勝ち馬に乗りたい普通の有権者たちは舛添氏に投票するか、「もう結果が分かっているのなら」ということで棄権してしまったことでしょう。

 

 ここに細川氏が小泉純一郎元首相と小沢一郎代議士・生活の党代表の支援を受けて出馬表明を行いました。ここでこの安定した構図に波乱が起きました。細川氏、小泉氏、小沢氏はそれぞれ毀誉褒貶が多い人物です。それぞれが批判し合う関係でありました。それが東京都知事選に向けて「脱原発」ということでタッグを組みました。

 

 これで何が起きるかということを思考実験してみます。脱原発(舛添氏も自分なりの脱原発を主張されているようです)系が固まって支援するはずだった宇都宮氏から細川氏へ支援を変える組織や人々が出てきました。これに対して、宇都宮氏を支援する組織や人々はこうした動きに反発して、より支援に力を入れ、宇都宮氏支持に力を入れることになります。舛添氏の方では、足元にくさびを打ち込まれた形になります。

 

自民党と公明党は、党本部を上げて舛添氏支援を行おうとしています。しかし、自民党内部には舛添氏に対するアレルギーがあります。自民党政権時は厚生労働大臣を務めながら、自民党が野党に転落すると除名処分となる離党を強行しました。また、自民党の支持者の中には、田母神氏を支援したいとする人たちがかなりいることも分かってきました。

 

自民党の支持層に細川と田母神でくさびを打ち込んでいく、そして、公明党の支持母体である創価学会の信者の皆さんの中には平和や原発問題についてかなり懸念を持っている方々もいらっしゃると聞いています。安倍氏に対するブレーキ役になるかもしれません。

 

さて、ここで、基礎票について考えてみたいと思います。前回の投票数が約637万でした。舛添氏の基礎票は180万から200万ということで圧倒的に有利な状況は変わりません。数十万票の票数を獲得しそうな候補が4名ですから、過半数を獲得する候補者は出にくいと考えられます。ですから200万台での争いとなるでしょう。

 

宇都宮氏は共産党の支援がありますから大体60万、細川氏は民主、社民などを合わせて恐らく60万くらいではないかと考えます。田母神氏は20万票くらいではないかと考えます。これにはあまり根拠はありませんが、最終的に50万票ほど獲得出来たら御の字ではないかと考えます。

 

宇都宮氏と細川氏はいかにしてそこから200万台に乗せていくかの勝負となります。無党派層への浸透と他陣営の切り崩しが大きなカギとなります。自民、公明から多くを切り離せるのは細川氏であると考えます。宇都宮氏は共産党の党員でもないし、公認候補でもないのですが、自民党の支持者層は宇都宮氏に投票しづらいと考えられます。既に細川氏支持を表明している自民党の地方議員も出ているという話です。

 

無党派層への浸透は宇都宮氏の方が一日の長があるように思われますが、小泉氏の動員力(ミーハーですが見てみたいと思う人は多いと思います)と小沢氏とその周辺の選挙活動のうまさはやはり大きなものがあります。

 

そう考えると、200万台に乗せていく力を持つのは細川氏であると考えます。それでも恐らく舛添氏を抜くことは難しいでしょう。舛添氏230万、細川氏200万、宇都宮氏150万、田母神氏50万ということになるでしょう。

 

舛添氏が敗れる場合というのは、投票率の上昇と自公の支持者の投票が低調である時ということになります。しかし、自公に加え、連合東京の支援もあるということで、楽々と200万票を越えてくるということで、舛添氏の有利さは変わらないでしょう。

 

しかし、細川氏の出馬までは、勝利の確立がほぼ100%であったものが、少し引き下げられているのではないかと思います。細川氏の出馬によって「2月9日の投票日までどうなるかは予断を許さない状況です」という表現が少しリアリティを持つようになりました。

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



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 2014年4月にアメリカのオバマ・大統領が東アジアを訪問するという日程になっているようです。二週間前に「12月末の靖国参拝の影響で、4月のオバマ大統領の東アジアツアーで日本には立ち寄らないという話がある」という話を聞いていました。私は「まさかそんな。日本は同盟国ではないか」と思って、聞き流しました。


 そして、1月20日にTBSが以下のように報道しました。オバマ大統領の日本訪問が「国賓待遇」ではなく、「公式実務訪問」になったということです。天皇陛下との謁見や宮中晩餐会は行われないということです。2013年2月の安倍首相の訪米以降、日程の調整が続いていたということにも驚かされますが(アメリカの大統領の日程(一日一日)を貰うというのは大変なことなんだなと思いました)、やはり、昨年末に国賓待遇で調整が進んでいたものが、難しいということにあってレベルが格下げということにも驚かされました。


 前回のオバマ大統領の訪日は、2009年11月、2010年11月にそれぞれ、シンガポール、横浜で開催されたAPEC出席のついでという感じで実現しました。2009年大統領就任後の初来日時は、子供の時以来の鎌倉を訪問し、抹茶アイスを食べるパフォーマンスを行い、東京にあるサントリーホールで演説を行いました。2009年の訪日時は、皇居で午餐会に招かれ、天皇陛下に握手をしながら深々と頭を下げるオバマ大統領の写真が公開され、アメリカでも物議をかもしました。

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 2014年4月の訪日では、日本側がオバマ大統領を何とか国賓待遇で迎えたいとして、色々と動いていたようで、それが実現したところで急に実務訪問ということになり、宮中晩餐会もなく、天皇陛下も謁見なさらないということになりました。これは、駐日アメリカ大使館が出した声明で「失望した(disappointed)」という言葉を使われたことの重さがいみじくも証明されたことになります。こちらが「最高の待遇でお迎えしますのでどうぞいらしてください」とずっと言ってきていて、相手も「そうですか、じゃあお願いしましょうか」という感じであったものが、「いや、やはり結構です」ということになったというのは、やはり靖国神社参拝の影響があったと考えるのは自然です。


 私は、今回の国賓待遇ではない訪日に関して、ミシェル・オバマ夫人も難色を示したのではないかと思います。宮中晩餐会が開かれるとなると、やはり夫人のミシェルさんも大統領と一緒に訪日する必要が出てきます。せっかく夫人がいらっしゃって、今のところ訪日に関して健康面などで条件が合わないようには見えないのですが、訪日を嫌がるというのは、恐らく、頭の切れる弁護士同士であり、同性のキャロライン・ケネディ駐日アメリカ大使とも話をして、安倍晋三首相には会わないということをまず決めたのだと思います。そうなると、自分一人だけ国賓待遇で宮中晩餐会出席というのは天皇陛下・皇后陛下にも失礼になります。

 オバマ政権の特徴は、女性たちが外交の要職についていることです。スーザン・ライス国家安全保障大統領補佐官、サマンサ・パワー国連大使、そして、日本にはキャロライン・ケネディ大使がいます。こうした頭脳の切れが凄まじい女性たち、ミシェル夫人を加えますが、彼女たちに小手先の言辞は通用しませんし、本質を見抜かれてしまいます。彼女たちには安倍政権の本質が既に見抜かれ、日本に対する懸念は大きくなっていると思われます。こうしたことは前著『アメリカ政治の秘密 日本人が知らない世界支配の構造』(PHP研究所、2012年)に書きましたので、是非お読みください。


オバマ大統領が安倍首相に対して「消極的な態度」を示した訳ですが、これでもまだ、そんなに重要なことではないと言えるのかどうか、私は疑問を持っています。



 今のところは、「安倍晋三首相とその周辺」に対しての懸念だけで済んでいるのですが、キャロライン・ケネディ大使のツイッターやアメリカ大使館のfacebookのページにおける見るに堪えない、口汚い罵りの言葉が続いていくと、「日本人は安倍政権を支持している。確かにアメリカのジャパンハンドラーズがそのように仕組んだのだが、薬が効きすぎたようだ。反米がコントロールできなくなるようでは困る」ということになって、日米関係がもっとギクシャクしてしまうことになります。


 ですから、これ以上ギクシャクしないように、冷静になって、合理的な精神で、そして相手の立場に立って(外交は鏡のようなもので相手の態度は自分の態度を映しているものだという考えもあります)、自分たちを冷静に点検することが大事だと思います。それが安倍晋三首相やその周辺に出来るかどうか、私は不安を持っています。


(貼り付けはじめ)


●米大統領来日は国賓待遇にならず、靖国が影響か


2014年1月20日 TBS

http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2107297.html


 4月に予定されているオバマ大統領の来日が、国賓待遇ではなく、宮中晩餐会も行われない方向であることが、JNNの取材で明らかになりました。アメリカ側が想定する日程では国賓待遇としての十分な時間がとれないためで、靖国をめぐる不協和音など、日米関係の昨今のあつれきが浮き彫りになった格好です。


  オバマ大統領の4月の訪日をめぐっては、去年2月、安倍総理が訪米した際、国賓として来日するよう要請し、去年の年末まではその方向で両国間で調整が続いていました。しかし、今回のオバマ大統領の日本滞在時間が当初の想定よりも短くなる見込みとなり、国賓として待遇する際、慣例となっている日本到着時の歓迎式典、天皇陛下との会見、宮中晩餐会などの行事を行うには十分でないとの判断から、国賓よりランクの下がる「公式実務訪問」とすることで最終調整が進められているということです。


 政府関係者によりますと、オバマ大統領のアジア歴訪をめぐっては、韓国にできるだけ長く滞在するよう朴槿恵(パク・クネ)大統領側が強く働きかけているということで、ここでも日韓のせめぎ合いが繰り広げられています。


 安倍総理の靖国参拝に関するアメリカの「失望」コメントやTPPの交渉難航など、日米関係がギクシャクしているだけに、政府としてはできるだけ国賓に準ずる形でオバマ大統領の来日を盛り上げたい考えで、検討が続けられています。(2011:12


(貼り付け終わり)

(終わり)

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




 

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