古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。




アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

古村治彦です。

 

 今回から2回に分けて、中央アジアに関する面白い論稿を皆様にご紹介します。このようなやや空想的ですが、柔軟な思考は国際政治を見ていく上で大変重要だと思います。

 

=====

 

スタニスタンにようこそ:括目せよ!中央アジアの新しい超国家の力を

 

フランク・ジェイコブス(Frank Jacobs)筆

2014年7月1日

フォーリン・ポリシー(Foreign Policy)誌

http://www.foreignpolicy.com/articles/2014/07/01/welcome_to_stanistan?utm_content=buffer4a676&utm_medium=social&utm_source=facebook.com&utm_campaign=buffer

 

 2014年5月29日、カザフスタンの首都アスタナにロシア、ベラルーシ、カザフスタン各国の大統領が集まり、ユーラシア経済連合(Eurasian Economic UnionEEU)の発足調印式が挙行された。ユーラシア経済連合はヨーロッパ連合をモデルとし、初めてその結成を主張したのは、カザフスタン大統領でヌルスルタン・ナザルバエフ(Nursultan Nazarbayev 1940年~)で、1994年のことであった。しかし、本格的に実現に向けて動き出したのは、ロシアのウラジミール・プーチン(Vladimir Putin 1952年~)大統領が、EEUがモスクワを中心とし、アジア志向の組織として、EUに匹敵する組織となり得る可能性を持つという考えを持つようになってからだ。その基本的な枠組みは2010年に3カ国で結成された関税同盟(customs union)である。

 
eurasiaeconomicunion001

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ナザルバエフ
 
vladimirputin003
プーチン
 

2014年6月、アルメニアはユーラシア経済連合への加盟の意思を明らかにした。キルギスタンとタジキスタンンも参加への手続きを急速に進めている。カザフスタン、ベラルーシ、ロシアの3か国がユーラシア経済連合の加盟国であるが、これらの国々だけで人口は1億7000万人、GDPは27億ドルに達する。この統合(integration)は初期段階においては純粋に経済的なものであるが、プーチンが時間をかけてより政治的な組織へと進めていけば、EUのようになるであろう。

 

 しかし、EEUが成長し、初期加盟諸国が新しい世界帝国の種を植えているのかどうか、これは注意深く観察し続ける必要がある。プーチンはロシアの栄光を復活させることを夢見ているが、これがEEUの抱える矛盾や短所を増幅させることがあるかもしれない。EEUの抱える矛盾と短所とは、加盟諸国は加盟諸国同士での貿易よりも、ヨーロッパと中国との貿易を希望していること、そして、加盟諸国を全部合わせてみても、経済力はEUやアメリカの5分の1ほどにしかならないことである。

 

 プーチンの構想する新しいユーラシアは、ロシアの中央アジア地域における影響力の限界を再定義する以上のものとなるとすると、ロシアは東西両翼の国々を少しずつでも惹きつける必要がある。それは例えば、中国とウクライナである。公式には、EU加盟の許可を待ち続けているトルコも惹きつける必要がある。これら3カ国はEEUに加盟する意志は今のところなさそうである。しかし、トルコはカザフスタンから招請を受けている。従って、現在のところ、EEUはロシアと旧ソ連に属した共和国、つまり国境を接し、親露的な2カ国によって形成されているのである。

 

 ベラルーシは、ロシアの自己強化(self-aggrandizement)の試みにおいて最も有効的なパートナーとなるであろう。1994年に就任したアレクサンドル・ルカシェンコ(Aleksandr Lukashenko 1954年~)大統領の下、ベラルーシは、ヨーロッパにおける最後の独裁国家として西側から孤立し、ロシアの石油と天然ガスに依存しているが、国力は減退を続けている。そして、エネルギー資源をロシアに依存しているので、親露的である以外に地政学的な選択肢を持っていないのである。ベラルーシと同じく、カザフスタンも海に面しておらず、実質的には民主政体ではない。ナザルバエフが選挙で選ばれたのは1989年で、1991年のソ連崩壊よりも前のことであった。


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ルカシェンコ

 しかし、ベラルーシとは異なり、カザフスタンの主要な輸出品は天然資源である。ベラルーシの主要輸出品はトラクターや食肉である。カザフスタン国内の原油埋蔵量は300億バレルであり、これは世界で11番目の原油埋蔵量である。天然ガス、石炭、ウランもまた大量に埋蔵されている。カザフスタンは国家的目標として、豊富な天然資源を利用して世界の先進国30カ国の仲間入りをし、「ステップ地帯のシンガポール(Singapore of the steppes)」になることを表明している。

 

 カザフスタンは貧しくもなく、不安定でもない。他の旧ソ連衛星諸国がEEUにカザフスタンが参加することを望む理由はこの2つのようである。実際、議定書に署名はしているが、カザフスタン政府はロシアの意図に懸念を持っているようであるし、自国を中心とする帝国建設のために脱退することもできる。カザフスタンが西側に近づき保険を掛けるのではなく、南に向かい、諸国家を糾合するという場合にのみ、帝国が作られることになるだろう。しかし、そうした動きは現在の指導者層の本能とは全く反対の動きということになる。

 

 2013年2月、ナザルバエフは国名をカザフスタンからカザフ・エリに変更することを提案した。これは、国名から「スタン」を取り、南で国境を接するウズベキスタンとの差異を闡明するにすることを目的としたものであった。この変更(まだ実行されていないし、恐らく実行されることもないであろう)が示しているのは、新興富裕層たちの共通した心理であり、それが個人、国家のレベルで示されているのだ。その心理とは、貧しくて、後進的、そして暴力的な近隣諸国と自分たちを切り離したいというものだ。

 

しかし、カザフスタンがこれとは正反対のことをやっていたらどうだったであろうか?

(続く)



野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23




 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 第二次安倍内閣の改造が終わり、副大臣・大臣政務官の人事も確定しました。それらの名簿を見て、自民党の人材の払底ぶりには唖然としてしまう程です。ネトウヨとほぼ変わらない人物が外務大臣政務官になるなど、「やれやれ」と思わざるを得ません。

 

 内閣改造終了まで、石破茂・前自民党幹事長の去就に注目が集まりました。石破氏が閣外に出て、反安倍勢力の旗頭になるのかどうか、ということが最大の焦点でした。石破氏は、閣内に留まり、反安倍派の旗頭になるということを選択しませんでした。幹事長には、リベラルと目される谷垣禎一氏が就任し、「ポスト安倍」における石破氏に対する牽制となりました。

 

 下に貼る雑誌記事は、安倍晋三総理大臣の健康問題があるので、石破氏が内閣にも、自民党執行部にも入らない、倒閣運動を行うという前提で書かれたものです。9月1日に掲載された記事ですから、内容が外れてしまいましたが、それは仕方がないことです、神ならぬ悲しき人間の身でやることですから。

 
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 私は、安倍総理の健康問題に対して、全く反対の解釈ができるのではないかと考えます。「安倍総理が健康問題で、途中で政権を投げ出すということになる可能性がある時、閣外にいて、執行部にも入っていなかったら、ポスト安倍レースに参加しにくい。とりあえず、協力しておけば、次の指名(禅譲)を受けられることも考えられる」と石破氏が考えたということもあるのだと思います。

 

 政治家と健康問題は相性が悪いものです。権力に近ければ近いほど、健康問題でチャンスを逸することもあるし、逆に棚から牡丹餅ということもあります。

 

 安倍総理があれだけの回数のゴルフをこなしているので、健康問題が緊急の要素になるとは考えにくいですが、それでもそういう可能性があるというだけでも、大きな影響を持つものだと思います。

 

 今回の内閣改造は、全体として、政局の面では、総花的でかつポスト安倍候補を取り込むことができたので、巧妙な人事であったと言えますが、自民党の人材の払底とレベルの低下を示すものとなりました。色々と問題が出てくることになるだろうと思います。

 

(雑誌記事転載貼り付けはじめ)

 

●「石破茂氏 「総理の体はもう限界」情報リークうけ決起決断か」

 

NEWS ポストセブン 2014年9月1日

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140901-00000016-pseven-soci

 

 内閣改造で注目された自民党の石破茂幹事長の処遇だが、828日に安倍晋三首相と石破氏が会談、石破氏が安保担当相以外のポストで入閣することが濃厚となった。これで一件落着かといえば、ことはそう簡単ではない。石破グループの党内勢力は約30人。常識的には権力者の安倍首相と正面から闘っても勝算はあまりない。

 

 もともとグループ内でも来年の総裁選を最大の目標とする「主戦論」と、出馬せずに安倍首相を支えて禅譲を期待する「宥和(ゆうわ)論」の両論があり、「石破さんは最近まで、安倍内閣の支持率の高さから来年の総裁選に出ても勝ち目がないうえ、大差をつけられればその先の芽もなくなるから出馬は難しいと考えていた」(石破側近)という。石破氏の戦略が変わった背後に何があるのか。

 

「石破さんは首相サイドに、自分の代わりに自公交渉にかかわった側近の中谷元・元防衛庁長官の安保相入閣を要請したが、色よい返事はなかった」(石破グループの閣僚経験者)といわれるが、それは時系列からもおかしい。石破氏が安保相を蹴った時点で、ゴングは鳴っていたのである。

 

 むしろ重大なトリガーになった可能性があるのが、週刊ポストが前号で報じた安倍首相の健康不安説だ。安倍首相は9日間で4回の歯医者通いをし、これが持病と関連しているのでは、との歯科医の見解を紹介した。

 

 首相が「寛解した」と説明してきた持病の潰瘍性大腸炎がここにきて悪化している可能性があるが、実は石破氏の蜂起直前、霞が関中枢から「総理の体はもう限界」という情報がリークされたというキナ臭い話がある。

 

 その政府要人は安倍氏の体調を間近に観察できる立場にあり、どちらかといえば石破氏にシンパシーを感じる人物だった。一部の政界関係者やメディア関係者に対し、「安倍さんの体は悲鳴を上げている。私はもって1年ではないかという印象を受けている」と語ったというのである。

 

 その日は朝から、当日発売された週刊ポスト前号が永田町で回覧され、ひとしきり首相の健康問題が話題にされていた。本当に「もって1年」なら、石破氏にとって政権奪取をためらう理由はなくなる。

 

 同じタイミングで石破氏の背中を押していたのが幹事長特別補佐の鴨下一郎・元環境相だった。石破氏は825日、ラジオ番組で安倍首相の看板政策である安全保障について「(私とは考え方が)違う」と語り、「首相と考え方が100%一緒の人が国会で答弁するのが一番いい」と打診されていた安保担当相就任の拒否を明言した。石破氏のラジオ出演前日、鴨下氏は「石破さんが(安保相を)受けるのは、なかなか難しい」と入閣を固辞する見通しを語り、「石破は受ける」と見ていた官邸側にジャブを打った。

 

 鴨下氏は現役の医師で、専門は心療内科。ストレス関係を中心に著書は80冊を超える。「鴨下さんは当初は宥和派だったが、突然、主戦論に加わった。専門医の立場から総理の体調、精神状態の変化を見抜いていたのではないか」(石破グループ議員)という見方もある。

 

※週刊ポスト2014912日号

 

(雑誌記事転載貼り付け終わり)

(終わり)








 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 本日、第二次安倍晋三内閣の第一次改造、および自民党の執行部の交替が発表されました。焦点となっていた自民党幹事長には谷垣禎一氏が就任し、石破茂氏が地方創生・国家戦略特区担当大臣として入閣しました。初入閣が8名。それから見慣れない、聞きなれない担当(地方創生、国家戦略特区、女性活躍)大臣も就任しました。

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 厚生労働大臣の塩崎恭久氏は、安倍氏の盟友で、第一次安倍内閣では官房長官を務めたこともあります。当時の若手政治家、安倍晋三、塩崎恭久、石原伸晃、根本匠で苗字の頭文字をとって「NAISの会」というものが結成されていました。塩崎氏は、日銀出身で、ハーヴァード大学ケネディ行政学大学院(ケネディスクール)で修士号を取得した人物です。彼の仕事は、国がプールしている年金資金の株式投資への投入によるアベノミクスの「成功」の演出です。

 

 石破茂氏は地方創生・国家戦略特区担当大臣になりました。どんな仕事があるのか、全く分かりませんが、地方の元気を取り戻すことと、地方の疲弊を進めるであろう国家戦略特区を同時に受け持つというよく分からないポジションです。石破氏にしてみれば、地方に出かける機会を多くして、地方の自民党関係者とのパイプを太くすること、予算配分で力を発揮すること(農林水産大臣の経験があるのでカンどころが分かるでしょう)で、次の総裁選に向けた準備ができるということで引き受けたものと思われます。まずは、反対派の旗頭にならないようにと言われての入閣、次の準備のための入閣ということでしょう。

 

 女性が5名入閣していますが、40代の小渕氏、有村氏はこれからの準備として登用されたものと思われますが、男性で40代の人が入っていないので、安倍氏は「自分は次の人材、リーダー候補を作ることは放棄する」という姿勢を示したものと思われます。逆に、「ポスト安倍」に近い人は、内閣と党執行部に総花的に全部取り込んで、競わせて、牽制させ、疲弊を誘おうという感じが見えます。

 

 谷垣氏を幹事長に就任させたのは、なかなかのアイディアです。総裁としての経験と知名度、国民的な人気を考えると選挙の顔としても及第点でしょう。谷垣氏にはポスト安倍の可能性をちらつかせることで、安倍氏に忠誠を誓わせて、うまく使うことができるし、失敗したら、ポイ捨てをすることも可能です。

 

 今回の内閣改造は総花的、かつ反対派を出さないで当面はやっていくという姿勢を示したものですが、リベラルに転回したとまでは言えないようです。今年中に解散総選挙がなければ、来年に次の総選挙と参議院議員選挙(2016年)に向けての本格的な人事が行われるものと思われます。

 

 平常のクルージングスピードを守って来年までやっていくという穏やかな人事ですが、なかなかの布陣だと感じます。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「<第2次安倍改造内閣>閣僚名簿を発表」

 

毎日新聞  2014年9月3日

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140903-00000000-maiall-pol

 

<第2次安倍改造内閣>閣僚名簿を発表

 

 菅義偉官房長官は3日午後、首相官邸で記者会見し、第2次安倍改造内閣の閣僚名簿を発表した。

 

 第2次安倍改造内閣の閣僚は以下の方々(敬称略)。

 

総理=安倍晋三(59)

 

副総理、財務、金融=麻生太郎(73)留任

 

総務=高市早苗(53)

 

法務=松島みどり(58)初

 

外務=岸田文雄(57)留任

 

文部科学=下村博文(60)留任

 

厚生労働=塩崎恭久(63)

 

農林水産=西川公也(71)初

 

経済産業=小渕優子(40)

 

国土交通=太田昭宏(68)留任、公明

 

環境=望月義夫(67)初

 

防衛、安全保障法制=江渡聡徳(58)初

 

官房=菅義偉(65)留任

 

復興=竹下亘(67)初

 

国家公安、拉致問題=山谷えり子(63)初

 

科学技術、沖縄・北方=山口俊一(64)初

 

女性活躍=有村治子(43)初

 

経済再生=甘利明(65)

 

地方創生、国家戦略特区=石破茂(57)

 

 また、自民党の新役員は以下の方々。

 

副総裁=高村正彦(72)                                                   

 

幹事長=谷垣禎一(69)

 

総務会長=二階俊博(75)

 

政調会長=稲田朋美(55)

 

選対委員長=茂木敏充(58)

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)








 

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