古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。








 2014年4月にアメリカのオバマ・大統領が東アジアを訪問するという日程になっているようです。二週間前に「12月末の靖国参拝の影響で、4月のオバマ大統領の東アジアツアーで日本には立ち寄らないという話がある」という話を聞いていました。私は「まさかそんな。日本は同盟国ではないか」と思って、聞き流しました。


 そして、1月20日にTBSが以下のように報道しました。オバマ大統領の日本訪問が「国賓待遇」ではなく、「公式実務訪問」になったということです。天皇陛下との謁見や宮中晩餐会は行われないということです。2013年2月の安倍首相の訪米以降、日程の調整が続いていたということにも驚かされますが(アメリカの大統領の日程(一日一日)を貰うというのは大変なことなんだなと思いました)、やはり、昨年末に国賓待遇で調整が進んでいたものが、難しいということにあってレベルが格下げということにも驚かされました。


 前回のオバマ大統領の訪日は、2009年11月、2010年11月にそれぞれ、シンガポール、横浜で開催されたAPEC出席のついでという感じで実現しました。2009年大統領就任後の初来日時は、子供の時以来の鎌倉を訪問し、抹茶アイスを食べるパフォーマンスを行い、東京にあるサントリーホールで演説を行いました。2009年の訪日時は、皇居で午餐会に招かれ、天皇陛下に握手をしながら深々と頭を下げるオバマ大統領の写真が公開され、アメリカでも物議をかもしました。

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 2014年4月の訪日では、日本側がオバマ大統領を何とか国賓待遇で迎えたいとして、色々と動いていたようで、それが実現したところで急に実務訪問ということになり、宮中晩餐会もなく、天皇陛下も謁見なさらないということになりました。これは、駐日アメリカ大使館が出した声明で「失望した(disappointed)」という言葉を使われたことの重さがいみじくも証明されたことになります。こちらが「最高の待遇でお迎えしますのでどうぞいらしてください」とずっと言ってきていて、相手も「そうですか、じゃあお願いしましょうか」という感じであったものが、「いや、やはり結構です」ということになったというのは、やはり靖国神社参拝の影響があったと考えるのは自然です。


 私は、今回の国賓待遇ではない訪日に関して、ミシェル・オバマ夫人も難色を示したのではないかと思います。宮中晩餐会が開かれるとなると、やはり夫人のミシェルさんも大統領と一緒に訪日する必要が出てきます。せっかく夫人がいらっしゃって、今のところ訪日に関して健康面などで条件が合わないようには見えないのですが、訪日を嫌がるというのは、恐らく、頭の切れる弁護士同士であり、同性のキャロライン・ケネディ駐日アメリカ大使とも話をして、安倍晋三首相には会わないということをまず決めたのだと思います。そうなると、自分一人だけ国賓待遇で宮中晩餐会出席というのは天皇陛下・皇后陛下にも失礼になります。

 オバマ政権の特徴は、女性たちが外交の要職についていることです。スーザン・ライス国家安全保障大統領補佐官、サマンサ・パワー国連大使、そして、日本にはキャロライン・ケネディ大使がいます。こうした頭脳の切れが凄まじい女性たち、ミシェル夫人を加えますが、彼女たちに小手先の言辞は通用しませんし、本質を見抜かれてしまいます。彼女たちには安倍政権の本質が既に見抜かれ、日本に対する懸念は大きくなっていると思われます。こうしたことは前著『アメリカ政治の秘密 日本人が知らない世界支配の構造』(PHP研究所、2012年)に書きましたので、是非お読みください。


オバマ大統領が安倍首相に対して「消極的な態度」を示した訳ですが、これでもまだ、そんなに重要なことではないと言えるのかどうか、私は疑問を持っています。



 今のところは、「安倍晋三首相とその周辺」に対しての懸念だけで済んでいるのですが、キャロライン・ケネディ大使のツイッターやアメリカ大使館のfacebookのページにおける見るに堪えない、口汚い罵りの言葉が続いていくと、「日本人は安倍政権を支持している。確かにアメリカのジャパンハンドラーズがそのように仕組んだのだが、薬が効きすぎたようだ。反米がコントロールできなくなるようでは困る」ということになって、日米関係がもっとギクシャクしてしまうことになります。


 ですから、これ以上ギクシャクしないように、冷静になって、合理的な精神で、そして相手の立場に立って(外交は鏡のようなもので相手の態度は自分の態度を映しているものだという考えもあります)、自分たちを冷静に点検することが大事だと思います。それが安倍晋三首相やその周辺に出来るかどうか、私は不安を持っています。


(貼り付けはじめ)


●米大統領来日は国賓待遇にならず、靖国が影響か


2014年1月20日 TBS

http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2107297.html


 4月に予定されているオバマ大統領の来日が、国賓待遇ではなく、宮中晩餐会も行われない方向であることが、JNNの取材で明らかになりました。アメリカ側が想定する日程では国賓待遇としての十分な時間がとれないためで、靖国をめぐる不協和音など、日米関係の昨今のあつれきが浮き彫りになった格好です。


  オバマ大統領の4月の訪日をめぐっては、去年2月、安倍総理が訪米した際、国賓として来日するよう要請し、去年の年末まではその方向で両国間で調整が続いていました。しかし、今回のオバマ大統領の日本滞在時間が当初の想定よりも短くなる見込みとなり、国賓として待遇する際、慣例となっている日本到着時の歓迎式典、天皇陛下との会見、宮中晩餐会などの行事を行うには十分でないとの判断から、国賓よりランクの下がる「公式実務訪問」とすることで最終調整が進められているということです。


 政府関係者によりますと、オバマ大統領のアジア歴訪をめぐっては、韓国にできるだけ長く滞在するよう朴槿恵(パク・クネ)大統領側が強く働きかけているということで、ここでも日韓のせめぎ合いが繰り広げられています。


 安倍総理の靖国参拝に関するアメリカの「失望」コメントやTPPの交渉難航など、日米関係がギクシャクしているだけに、政府としてはできるだけ国賓に準ずる形でオバマ大統領の来日を盛り上げたい考えで、検討が続けられています。(2011:12


(貼り付け終わり)

(終わり)

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




 

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 古村治彦です。


 今回は、ここ最近の政治状況と日米関係について書いてみたいと思います。都知事選挙は2014年1月23日告示ですが、出馬表明をした各氏の動きが活発化しています。特に早めに出馬を表明した宇都宮健児氏と田母神俊雄氏の動きは活発です。舛添要一氏には自公が本腰の支援を行うことに加え、労働組合の連合東京が支援を決定しました。自公と労働組合が一緒の候補を応援するのはなんだか奇妙なものですが、電気総連と東京都職員の自治労系が舛添氏を望んでいるということなのでしょう。彼らは身分の安定した高給取りの人々であって組合などを作っていますが、これは自分たちの要求する条件を通すための方便でしかないということが明らかになりました。彼らにしてみれば至極当然な合理的な行動です。


 細川護煕氏に対する様々な批判や非難、悪罵が投げかけられています。細川氏の出馬はある意味で出来レースであった東京都知事選挙に衝撃を与えたものであったということが言えましょう。青年会議所が主催して開催しようとした候補者討論会は宇都宮市の身が出席で後は欠席ということで、これを材料にして細川氏を攻撃するという動きもあります。しかし、選挙は23日告示です。まだこれから細川氏よりも大物が出馬を表明するかもしれないし、もしかしたら誰かが撤退することだってあります。そうした落ち着かない状況下で、初めての出馬で準備に忙殺されている人に、前回も出て準備万端な人間が、「早く出ないのはおかしい、卑怯だ」などと批判している。これは苛めであり、自分以外のものの行動や考えを認めない、非常に権威主義的な態度であると私は考えます。私はこれを風紀委員的態度と名付けたいと思います。


 東京都知事選挙は組織票を持つところが舛添氏を支援ということになりましたので、舛添氏が一気に有利な展開ということになりました。しかし、2月9日の投票日までにどういう動きが起きるか分かりません。


 安倍首相の靖国参拝の余波は続いているようです。谷内正太郎国家安全保障局(NSC)局長がワシントンを訪れ、ジョン・ケリー米国務長官、チャック・ヘーゲル米国防長官、スーザン・ライス米大統領補佐官と会談を行ったということです。これを「厚遇」と報道する新聞記事がありましたが、これは、直接の上司による「人品検査」と「お叱り」のための訪問と読み替えるべきです。日本のNSCとアメリカのNSCの間でホットラインが引かれるということは、いざという時にはアメリカ側が直接指揮を執ることができるようになるということです。ケリー国務長官とヘーゲル国防長官は前回の日本訪問時に千鳥ヶ淵戦没者墓苑で献花をしています。靖国問題についてあまり話が漏れて来ていませんが、これは、日本側によほど厳しい言葉があったのだということが推察されます。


 谷内氏もまともな感覚がある人なら、安倍総理の靖国参拝は控えて欲しいと思っていたと思いますので、「なんで俺が、安倍の代わりに怒られなきゃいけないんだ」と思っておられると思いますが、これも給料のうち、身の不幸と思って我慢していただきたいものです。


 安倍総理の側近の質の悪さが知られる報道がなされました。萩生田光一代議士・首相補佐官が党本部で講演し、「共和党政権の時代にこんな揚げ足を取ったことはない。民主党政権だから、オバマ大統領だから言っている」という発言を行ったということです。靖国問題は、アメリカの戦後世界支配の正統性を揺るがすものであり、アメリカ側からすれば重大な挑戦ですらあります。よく「失望」程度で収まったなというのが私の考えです。


この萩生田代議士と衛藤晟一参議院議員・首相補佐官が安倍総理に靖国参拝を進言したということです。この程度の国際感覚と能力で一体何を「補佐」出来るのか分かりませんが、問題はこの程度の人物たちを周辺に置いている安倍首相の能力にも及びます。


 さて、安倍総理に対してですが、少し気になる動きが出てきました。ジェイコブ・ルー米財務長官が「円安に対する懸念」を発表しました。政府や日銀関係者はその意図を測りかねているようですが、それは簡単なことです。アメリカの安倍総理に対する警告なのです。安倍総理は靖国参拝を行ったことで外交上の失点をしてしまいました。となると、もう一つの柱である経済(アベノミクス)に力を入れなければならなくなりました。しかし、4月には消費税増税を控え、その行く先は不透明です。これにアメリカが円安を懸念するという動きが出て円高に動くと、今の株高も頓挫してしまいます。そうなれば、外交もダメ、経済もダメということになると安倍首相に対する批判は党内外から大きくなり、最悪の場合、消費税増税の責任者である財務大臣の麻生太郎氏と共に退くということになります。そうなると、舛添氏の当選が条件ともなりますが、石破茂自民党幹事長にチャンスが巡ってくるということになります。


 アメリカはこうやって安倍さんに警告を出しているのです。”You won’t have a second chance”なのです。


(新聞記事転載貼り付けはじめ)


●「日米NSC、緊密に連携 谷内氏、米閣僚らと会談


2014年1月18日付 日本経済新聞

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS18005_Y4A110C1MM0000/


 【ワシントン=吉野直也】訪米中の谷内正太郎国家安全保障局長は17日、ワシントンでケリー米国務長官、ヘーゲル米国防長官、ライス米大統領補佐官(国家安全保障担当)と相次いで会談した。ライス氏とは日米の国家安全保障会議(NSC)が緊密に連携していくことで一致。ケリー、ヘーゲル両氏とは沖縄県の米軍普天間基地移設や日米防衛協力指針(ガイドライン)再改定の加速を確認した。


 谷内氏は昨年末の安倍晋三首相の靖国神社参拝についても言及した。内容に関して同行筋は「靖国問題を話し合うことが今回の訪米の目的ではなかった」と述べ、具体的なやりとりを明らかにしなかった。首相参拝後に日本政府の要人が米閣僚やホワイトハウス高官と会談するのは初めて。


 米側の3氏との個別会談は合わせて1時間半を超えた。連携相手となるライス氏との会談で、谷内氏は「ライス氏と直接連絡がとれるようにしたい」と述べ、ホットラインの開設を検討すると表明。ライス氏は「谷内氏とともにスタッフ間の協力を進めていきたい」と応じた。核開発を進める北朝鮮や海洋進出を活発にする中国など東アジア情勢についても意見交換した。


 米ホワイトハウスは声明で、谷内、ライス両氏が朝鮮半島の非核化に向けた日米の協力拡大の必要性を申し合わせるとともに、日米NSCの緊密な連携が日米関係の強化につながるとの見解で一致したと発表した。


 国防総省は声明で、普天間移設の前提となる名護市辺野古沿岸部の埋め立てを沖縄県知事が承認したことを評価。地域の平和と安定のために日米の役割は一段と大きくなると指摘し、移設計画の推進を求めた。谷内氏はケリー氏とも同様の認識を擦り合わせた。


 谷内氏は政府の外交・安全保障政策の司令塔である日本版NSCの発足を受け、米国を訪問。米国の後に欧州やインドを回り、NSCの目的や安倍政権の外交・安保政策を説明する。


●首相側近の萩生田氏、米政権に反論 靖国批判は「揚げ足取り」(01/18 02:05


2014年1月18日付 北海道新聞電子版

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/515922.html


 安倍晋三首相側近の自民党の萩生田光一総裁特別補佐は17日、党本部で講演し、首相の靖国神社参拝に「失望」を表明したオバマ米政権について「共和党政権の時代にこんな揚げ足を取ったことはない。民主党政権だから、オバマ大統領だから言っている」と反論した。政権中枢に近い与党幹部の発言だけに日米関係に波紋を広げる可能性がある。


 講演は党青年局メンバーの会合で行われた。萩生田氏は青年局長経験者として出席した。メディアには非公開だった。


 萩生田氏は共同通信の取材に対して発言内容を認めた上で「オバマ政権を非難する意図はない。日本の立場を説明する思いからの発言」と述べた。


●「米財務長官の円安けん制発言、日本政府は真意模索」


2014年1月17日付 ロイター通信

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJEA0G00H20140117


[東京 17日 ロイター] -米国のルー財務長官による突然の円安けん制発言を受けて、日本政府関係者は真意を測りかねている。安倍晋三政権発足以来の円安進行について米国は日本経済を強化するものとして支持してきたとみられるためだ。


ただ米国内には過度の円安を警戒する産業界の動きは根強く、同様の発言が繰り返されれば、安倍政権が理想とする緩やかな円安進行と株価上昇の実現に黄信号が灯る可能性がある。


ルー米財務長官は16日、日本について「為替に過度に依存すれば長期的な成長はない」とし、日本の為替政策を「注視し続ける」と述べた。金融市場で日銀の追加緩和観測が広まっているのを踏まえ、急激な円安・ドル高の進行に懸念を示した格好だ。


これに対して、日本の政府関係者は発言の真意について「よくわからない」(高官)とし、米側の本音を探りかねているもよう。


岩田一政・日本経済研究センター理事長(元日銀副総裁)は17日、都内の景気討論会で、ルー財務長官の発言を注視していると指摘。「政治的な発言がなければ、為替レートは緩やかに(ドル/円)110円まで進む」としつつ、為替に関する条項を環太平洋連携協定(TPP)に盛り込むようオバマ政権に求める書簡に、上下院の半数以上の議員が署名した点を挙げ、今後も同様の発言が繰り返されれば、円安があまり進まなくなる可能性もあるとの見解を示した。


米財務省は「日本の金融緩和は国内政策で、為替相場を政策の目標にしない」との日本の主張を理解している立場だが、議会には日本を為替操作国と批判する米自動車業界と近い声があるのも事実だ。


一方、政府内には米国で日本や欧州に金融緩和により世界経済のけん引役を果たすことを期待する声があるとの見方もある。「かつての日独機関車論と同様」(別の政府高官)で、米国は金融緩和の縮小過程に入る中で、日欧に金融緩和の継続を求めているとの解釈だ。実際、日銀は現時点で追加緩和を検討していないが、4月の消費増税などで景気が大きく下振れ、2%の物価目標達成が難しいと判断すれば、追加緩和も辞さない構えだ。


日銀の金融緩和は為替を目的とはしていないため、米高官発言は政策運営の直接の障害とはならない。ただ市場で円安進行が止まるようであれば、政権が期待する円安・株高は実現が難しくなる可能性もありそうだ。


(竹本能文 編集:内田慎一)


(新聞記事転載貼り付け終わり)




 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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 古村治彦です。

 今回は都知事選挙について、私がここ数日考えたことを書きたいと思います。


 


 2014年2月9日に投票が行われる東京都知事選挙は主要な候補者たちの立候補表明が終わり、いよいよ本格化してきました。細川護煕元首相が立候補を表明して、舛添要一元厚労相がかなり有利だと思われていた都知事選挙の構図が少し変化するかなという印象があります。宇都宮健児元日弁連会長・弁護士や田母神俊雄元空将・軍事評論家も活発な動きを見せています。

 


 こうした中で、自民党と公明党が舛添要一氏の支援に本腰を入れるということになりました。最初は都連レベルでの支援を行い、党本部は直接関わらない(実質はそういう訳にはいかないと思いますが)ということになっていたようですが、党本部が動くということになりました。こういうことを書くと大変失礼ですが、宇都宮氏や田母神氏の出馬を受けても、「自公の組織票に舛添氏の個人の力があればそこまで本気にならなくても勝てるさ」という感じで動く気配を見せなかった自公が細川氏をターゲットにして動き始めてきました。

 


 細川氏に出馬に対しては、全陣営が早速批判と非難を向けています。そして、宇都宮氏や田母神氏の支持者の皆さんの中にいる、細川氏にかなりの拒否反応を示す人たちがインターネット上で広範なテーマを取り上げて批判を展開しています。私はこうした動きは、結局のところ、主敵であるはずの舛添氏の当選に利するだけの行為であると私は考えます。マルクスは『資本論』の中で、「地獄への道は善き意図をもって舗装されている」という言葉を使っています。この言葉の意味については複数の解釈があるようなのですが、「良いと思ってやった行いが思いもよらず、全く意図しなかった悪い結果をもたらす」という意味で使われます。細川氏に対しての批判には正論があり、その通りだということがありますが、細川氏に対する批判を行ったからと言って、圧倒的に有利な舛添氏に打撃を与えられるかというとそれは難しい、ほぼ不可能ではないかと私は思います。

 


 こういうことを書いて気分を害される方もおられると思いますが、近親憎悪や内ゲバという言葉があります。戦後の左翼陣営の歴史を見てみると、自分たちの主目的の達成よりも、自分たちと元々は仲間であったが分裂したグループに対する攻撃に終始する、そして弱体化していくということがありました。また、急進的な主張(それはそれで素晴らしい内容のものではありましたが)をするあまりにかえって広範な人々の支持を得られなかったということがありました。今回もまた同じような失敗をして、主敵を利することになるのだろうと、私はここ最近悲観的になっています。

 


 ここで良く考えねばならないのは、自民党員、自民党から選挙に出ること(東京地区の地方自治体や国会議員の選挙)を考えていながら、元空将・軍事評論家の田母神俊雄氏を支援しようとしている皆さんです。自民党は最初、都連レベルで舛添要一氏を支援することにしていました。しかし、公明党が舛添氏の支援を決めたこともあり、また細川氏の出馬で危機感を覚えたのか、安倍晋三首相・自民党総裁が公明党の山口那津男代表と会見し、舛添要一氏の支援で一致しました。そして自民党は党本部を上げての支援ということになりました。

 


 自民党が田母神氏を支援する可能性はなくなりました。複数の当選者が出るなら支援ができるかもしれませんが、都知事は一人しかなれません。そうなると、自民党員、もしくは自民党から選挙に出たいと考えている人が田母神氏を支援することは自民党総裁、もしくは自民党本部の意向に反することになります。自民党の歴史を見てみると、総裁や党本部に反抗しても許されてきたということもありますから大丈夫だとは思いますが、自民党東京都連や公明党のことを考えると、そういう人たちは今後選挙の際にそこまでの支援が受けられるのか、そして東京から選挙に出ようとしてどうだろうか、ということになります。

 


 やはり今の自民党には公明党の組織票が必要なのでしょう。そして、田母神氏に共鳴してしまうような人たちは少し邪魔な存在なのかもしれません。しかし、そうした人たちをJ-NSCなどを通じて自民党支持者として陶冶してきたのは、自民党自身なのです。自民党にしてみれば、おとなしく、強い主張をすることなく、淡々といつもいつも自民党に無条件に投票してくれる人が重要であって、自分たちを強烈に支持してくれるが、時に大変批判的になり、党総裁や党本部の意向に反抗するような人はいらないということになります。

 


 私は偉大な政治学者であった故チャルマーズ・ジョンソン(Chalmers Johnson)が提唱した「ブローバック(Blowback)」という言葉を思い出します。これは2001年9月11日の同時多発テロの1年前に出された本の題名でもありますが、アメリカが対ソ連用に育てたアルカイーダが、結局アメリカに攻撃を加えることになったということをいみじくも言い当てたものでした。

 


 この都知事選が一つのポイントとなって、自民党が少し変化していくのではないかと思います。都知事選自体は、自民党と公明党の組織力やネットワーク力がフル回転ということになり、舛添要一氏が有利になったと思われます。反自公で統一戦線(United Front)、統一候補ができると面白い勝負になると私は考えていましたが、それも潰えました。安倍晋三首相に対する現実的な力を持つストッパーは国内勢力には存在しなくなるということになります。それでも、野党側からすれば、自民党と同じくここが一つのポイントとなって、野党再編や野党再建の動きが活発化することになると私は考えます。

 


 ここ数日、私が考えたことを取り留めもなく書きました。乱文で申し訳ありません。最後まで読んでいただいてありがとうございます。

※2014年1月17日午後6時5分。加筆します。細川氏擁立には自民党内部にくさびを打ち込むということではないかという考えが浮かびました。それは、ある自民党員の方が細川氏に投票するという発言をSNSで行っていたのを見たからです。私は自民党内部が一枚岩であるという前提で考えてきました。しかし、もともと自民党は寄り合い所帯のように、様々な考えの人たちがいた(いる)政党です。穏健派の人たちは目立たないが、確かにいます。

 谷垣禎一法相も穏健派というか、保守本流の宏池会の出身です。谷垣氏は自分が総裁の時に党を出た舛添氏に対して「個人的な思いはある」という発言をしています。これは「だけど党の決定に従う」と続くものですが、それなら「党の決定に従うこと」だけを述べればよいのです。ところがそうではないのはよほどの思いがあるし、もっと大きく言えば、安倍晋三首相に対しても含むところがあるのではないかと推測されます。

 こうして考えると、自公が本部として引き締めにかかっているのも、意外に党内にまとまりが欠けるところが見え始めているのではないかと私は考えています。そして、それが細川氏陣営が仕掛けた揺さぶり、打ち込んだくさびのせいなのだろうと考えます。そしてこのようなことを考えたのは、小沢一郎氏なのだろうとも考えています。


(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●「主張に現実性ない…自民、党挙げ「対細川氏」」



2014年1月17日 読売新聞

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20140117-OYT1T00171.htm?from=top



 自民党が東京都知事選(23日告示、2月9日投開票)を巡り、党本部が前面に出る形で舛添要一元厚生労働相を支援する姿勢を鮮明にしている。



 小泉元首相が支援する細川元首相の主張が政府の方針と異なるため、国政が混乱しかねないとの判断から主戦論が一気に強まった。



 自民党の河村建夫選挙対策委員長は16日、党本部で開かれた東京都連幹部らの会合で「党本部を挙げた態勢の中で、勝利を目指して頑張っていこう」と呼びかけた。会合では、党として舛添氏を全面支援することを決めた。同党は16日、石破幹事長名で党所属の全国会議員に舛添氏への支援を呼びかけるメールを送った。今後は閣僚クラスを応援弁士として投入するほか、都議や区議、支持団体への働きかけを強める方針だ。



 自民党は当初、都連を主体とした舛添氏の支援態勢を想定していた。無党派層がかぎを握る都知事選は、党本部が出過ぎない方がいいとの判断もあった。しかし、「原発の即時ゼロ」を主張する小泉氏が、「脱原発」を争点に細川氏を支援する考えを示しているほか、細川氏自身がかつて2020年の東京五輪・パラリンピックの「返上論」を唱えていたことも判明。「細川氏の主張は現実性がない。都知事になれば、日本全体に悪影響が広がる」(幹部)との懸念が広がった。



20141171049  読売新聞)



●「舛添氏支援で自公党首が一致」



2014年1月16日 共同通信

http://news.nifty.com/cs/headline/detail/kyodo-2014011601001946/1.htm



 安倍晋三首相と公明党の山口那津男代表は16日、官邸で会談し、東京都知事選(23日告示、2月9日投開票)に立候補を表明した舛添要一元厚生労働相(65)を支援する方針で一致した。同じく出馬予定の細川護熙元首相(76)の陣営では、小泉純一郎元首相に続き、民主党の野田佳彦前首相や、脱原発を主張する菅直人元首相がブログで細川氏を支援する考えを相次いで表明した。



 脱原発や2020年東京五輪への準備、防災対策強化を争点とする首都のリーダー選びは告示まで1週間となり、各陣営は選挙準備を加速した。



 安倍首相は会談で山口氏に「協力して取り組もう」と呼び掛け、賛同を得た。



(新聞記事転載貼り付け終わり)



(終わり)






 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 

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