古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

 古村治彦です。
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 2020年3月15日にアメリカ大統領選挙民主党予備選挙の候補者討論会が開催された。今回が初めてジョー・バイデンとバーニー・サンダースとの一対一の討論会の形式となった。元々はアリゾナ州フェニックスで聴衆を入れて行われる予定であったが、移動距離を短くするということで、ワシントンDCのスタジオで開催された。聴衆も入れない「無観客」討論会となった。

 大相撲大阪場所は無観客で開催中だ。日本相撲協会員である力士、親方、行司、呼び出し、裏方から1人でも新型コロナウイルス感染が確認された時点で中止という条件付きだ。中日を越えて開催できているというのは徹底した管理がなされているということだろう。無観客の取り組みがいつも通りにNHKで放映されているが、序盤は歓声もなく、緊張感があり、違和感があった。しかし、いつもは聞くことができない呼び出しの声や力士のぶつかり合う音が聞こえ、力士の中には集中ができるという声もあり、この形も悪くはない(よほどのことがなければ二度とない)という感想が聞かれる。

 今回の討論会も「無観客」開催となったために、視聴者には違和感があったようだ。また、サンダースは観客を盛り上げて雰囲気作りをするのが得意なのでそれが封じられてしまうことになった。しかし、観客を盛り上げようとする過激な発言がなかった代わりに、政策の違いについて落ち着いた議論ができたのは良かったという感想が多く聞かれた。「こういう形も良いものだ」ということになった。

 サンダースは討論会を通じて攻撃を控えて、政策論争にとどめた。また、リベラル左派が主張する政策を売り込み、バイデンにも取り入れるように進言する場面もあった。全体として融和を目指すという形になった。討論会において、バイデンが女性を副大統領候補に選ぶという発言をし、注目された。

 アメリカでも新型コロナウイルス感染拡大は深刻になっており、予備選挙の延期を決定する州も出ている。そうした中で、バイデンが党内融和とまとまりを目指すという形が出来上がりつつある。民主党の反転攻勢という勢いがついているように感じられる。トランプ大統領もうかうかしていられない。

(貼り付けはじめ)

民主党討論会の5つの特徴(5 takeaways from the Democratic debate

ジョナサン・イーズリー筆

2020年3月15日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/487729-5-takeaways-from-the-democratic-debate

ジョー・バイデン前副大統領とバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)は日曜日夜、ワシントンDCにあるスタジオの中で聴衆がいない中で、一対一で討論を行った。討論会はコロナウイルスの拡散に関する世界的なパニックの中で実施された。

討論会の5つの特徴を書いていく。

(1)コロナウイルスが討論会を変えた(The coronavirus changed the debate

世界を覆う大流行は討論会でも長い時間議題となった。そして、バイデンとサンダースのそれぞれの世界観の違いを浮き彫りにするものとなった。

バイデンは自分自身をシチュエーションルームから指導し、医療関係者の負担を軽くするために軍隊を動員して臨時の病院を開設することができる、経験豊かな政治家だとアピールした。

バイデンはオバマ前大統領時代のホワイトハウスでの経験を次々と述べ、エボラ出血熱の拡大という災害に対応した経験があることを強調し、エボラ出血熱を抑えたことは、自分が危機に陥ったアメリカが必要としている冷静で対応能力のある指導者であることを示す証拠だ、と述べた。

一方、サンダースは今回のウイルスはアメリカのシステムの「驚くべき弱点と機能不全」を暴露したと主張した。これに対応するにはアメリカ経済と医療分野の根本的に変更しかないとも述べた。

コロナウイルスに関する討論を通じて、両候補は聞きたくない質問に晒されることになった。両者ともに70代後半であり、コロナウイルスは特に高齢の人々にとって致命的に危険であるということが分かっている。

バイデンとサンダースは共に自身のリスクを最小化するために行っていることについて述べた。手をよく洗うこと、選挙集会を中止すること、選挙運動を実体の世界ではなく、インターネット上で行うようにしていることを挙げた。

討論会の雰囲気が違っているのは最初からであった。両者は登壇して握手をするのではなく、肘と肘をぶつけ合う挨拶を交わした時点で雰囲気はこれまでと違うものだった。

(2)バイデンは攻撃し、反撃した(Biden attacked and counterattacked

ジョー・バイデンはサンダースに対して獲得代議員数で大きなリードをしている。そして、火曜日に予備選挙が実施されるアリゾナ州、フロリダ州、イリノイ州、オハイオ州でさらに勝利し、逆転不可能なリードを得ることができる強い立場にある。

バイデンは大勝ちすると見られており、日曜日の夜を最後にして、サンダースを押し出すために激しく立ち向かうとも見られていた。

討論会を前にして、一対一の形式で2時間にわたる攻撃をバイデンがしのげるかどうかという疑問があった。彼はこのような心配をよそに、攻撃的にもなり、バイデンの攻撃を切り返して自分の攻撃に利用するということも行った。

バイデンは危機の時代に、アメリカ国民は革命ということをひとまず置いておいて、政府と経済を安定化させるために大きな変化に集中したいと考えているのだと討論会の口火を切った。

2008年の金融危機の後に銀行救済を支持したことでサンダースはバイデンを攻撃した。これに対して、バイデンは銀行が大変なことになれば、「バーニーが気にかけていると述べている人々全員がとても、とても大変な状況になっていたことでしょう」とやり返した。

サンダースはバイデンの過去の投票について取り上げた。一方、バイデンは、連邦法による銃購入者に対する背景調査の義務化と銃が絡む事件の被害者たちが銃製造企業を訴えられるようにすることについてサンダースが反対投票を行ったと述べた。

討論の最後付近で、バイデンは、サンダースが過去にキューバ、中国、ロシアの各権威主義的な政権を称賛した発言を攻撃した。

専門家たちは今回の討論会でのバイデンのパフォーマンスはこれまでのベストだったと称賛した。火曜日の予備選挙でバイデンが党の指名候補にさらに近づくことに貢献する内容だったとも評価している。

(3)サンダースは討論会を通じて難しいバランス取りをうまくこなした(Sanders managed a difficult balancing act throughout the debate

サンダースは日曜日の夜、難しい挑戦を行わねばならなかった。多くの民主党支持者を怒らせることなしに自分がバイデンに対する有力な対抗馬であることをアピールしなければならなかった。民主党支持者の多くは、党の指名候補となる可能性が高いバイデンが、11月の本選挙を前にして深刻に傷つけられることは、トランプ大統領を利することになるだけだという懸念を持っていた。

討論会の壇上、サンダースは時にバイデンに激しく当たった。バイデンが支持する移民改革法案の内容を「奴隷制度」と同じだと激しく批判した。

しかし、討論会の大部分を通じて、サンダースの攻撃は個人的な内容ではなく、両者の間の政策の違いに焦点を絞ったものとなった。

サンダースは、貿易、イラクでの軍事行動への承認、財政赤字削減のために福祉予算の凍結、同性愛結婚に対して行った投票を取り上げてバイデンを攻撃した。そして、自分はリベラル派の人々が信頼でき、時代を先取りし、正しいことを行えると主張した。

しかし、サンダースは左派の多くがそのように望んだようには、バイデンに致命傷を与えようという姿勢を見せなかった。 It’s hard to see how this debate will fundamentally alter a primary race that has quickly moved against him.

討論会が終わり、バイデンの支持者たちはホッと胸をなでおろした。サンダースに関しては、サンダースが選挙戦の様相を大きく変えるために爆弾的な発言をするのではないかと懸念していた、批判的な人々からも称賛を得た。

(4)バイデンは左派への働きかけを行う(Biden makes overtures to the left

多くの民主党員や民主党支持者が持っている大きな疑問は、進歩主義的左派は、バイデンが党の指名候補になった際にバイデンを応援するのかどうかということだ。

討論会の数時間前、バイデンはサンダースの主張の一部を取り入れ、年間12万5000ドル以下の収入の家庭の学生が公立大学に進学する際には学費を無料とするという計画を発表した。

これはリベラル派の多くを満足させるものではない。サンダースは討論会の多くの時間を使って、バイデンの過去の立場について質問し、バイデンが若い人たちと進歩主義的左派の支持を得ようとするならばより前向きなリベラル的な主張をすべきと訴えた。

サンダースは討論会の中で「ジョーはこれまで、私よりも多くの州で勝利を収めてきました。しかし、私たちはイデオロギー上の戦いで勝利しています」と述べた。

バイデンは、民主党支持の有権者のエネルギーが自分の選挙運動を支持し動かしていると述べ、その結果として、アフリカ系アメリカ人と郊外に住む穏健派の有権者が投票所に向かうことで投票参加者数の大幅な増加が見られたのだと主張した。

しかし、バイデンは自身の選挙運動にあらゆる考えを持つリベラル派の人々も取り込むことの重要性を認識していると述べた。

バイデンは次のように述べた。「もしバーニーが党の指名候補になれば、私は支持しますし、彼の選挙運動も支援します。バーニーを支持している方々も私と同じことをしてくれると確信しています。もし私が党の指名候補になればバーニーもまた同じことをしてくれることと希望しています。そして、彼の支持者の皆さんも私を支持してもらいたいと思います。それは私たち2人のことよりも大きなことだからです。私たちの国の特性が投票によって決められようとしているのです」。

(5)討論会の方式は討論会の夜に様々あった奇妙なことの中の一つだった(The debate format was one of many strange things about the night

民主党は討論会の開催日の数日前にコロナウイルス感染拡大のリスクを最小化するためにいくつか変更を行った。

討論会は予定されていたフェニックスからワシントンDCに場所を移した。これは両選対とニュースメディアが長時間の移動をしないようにするためだった。ユニヴィジョンのキャスターであるホルヘ・ラモスは司会者の中にいなかったが、これは彼がウイルスを持つ人と濃厚接触をした可能性のある人物と接触を持ったと討論会後に発表された。その際に、ラモスの健康状態は通常通りだとも発表されている。

討論会の司会者たちは両候補からかなり離れた場所に座った。司会者たちの間も過去の討論会に比べてかなり離れていた。

しかし、人々が話していた大きな変化は、聴衆がおらず、候補者たちの発言に対する賞賛や批判の声が起きないことであった。討論会が音楽の入っていない映画のようになってしまった。

ニュースメディアの多くが今回の方式を称賛している。今回の方式は、聴衆の中にいる支持者たちを喝采させる気の効いた言い回しをしようと腐心するよりも政策論争に候補者たちを集中させるものであったと考えられている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。
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 アメリカ大統領選挙民主党予備選挙は終戦に向かって進んでいる。ジョー・バイデンが全国規模の世論調査での数字を伸ばしている。バーニー・サンダースはエリザベス・ウォーレンの支持者も取り込んでいるようだが、それだけでは過半数には届かない。左派、右派、保守派、中道派などとグループ分けをしてはいるが、それらのグループ単独では民主党内で過半数を握ることはできない。あくまで横に広がっていくことが大事だ。
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 民主党予備選挙は3月17日にアリゾナ州、イリノイ州、フロリダ州、オクラホマ州で予備選挙の投開票が実施される。今のところ、各種世論調査の筋を見ても、バイデンがリードしている。500名以上の代議員が配分されているこの日の各州での予備選挙で逆転ができなければサンダースの予備選挙全体の逆転もほぼ不可能である。
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 今回紹介する記事は、バイデンのここまでの勝因を投票者数の増加、特にアフリカ系アメリカ人と穏健派の有権者たちの投票参加の増加が理由であるという分析記事だ。ここまで行われた各州の予備選挙では軒並み投票参加者数が増加している。前回2016年の時よりも多くなっている。このことについて、「サンダースが民主党の指名候補になったらトランプに負ける」という危機感がサンダースを支持しない人々の間に醸成されたという分析である。
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民主党支持有権者穏健派の支持率
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民主党支持有権者アフリカ系アメリカ人有権者の支持率
 2016年の時はヒラリー・クリントン前国務長官とバーニー・サンダースの一騎打ちの構図だった。サンダースが予想外の大善戦で、ミシガン州では事前の各種世論調査の数字をひっくり返して勝利を収めた。この時よりも投票参加者数が増えている。これは、「ヒラリーなんて大嫌いだ、サンダースはよく分からないが社会主義者だと自分から言っている、どちらもダメだ」と考える有権者がかなりいたことを示している。

今回の構図は、「バイデンは頼りないところもあるが、政治経験は豊富だし、あのオバマ大統領に8年も副大統領として仕えた人物だ。少なくとも嫌いではない。サンダースは社会主義者とか言って危険な存在だ、周囲の政治家たちや支持者たちも若い奴らでうるさいだけの連中だ」ということで、人々が投票所に向かうようになったということになる。サンダースは特定のグループや層から深く熱心に支持されているが、バイデンは嫌われる要素が少なく浅く広く支持を広げている。この人たちは選挙集会に参加したり、戸別訪問をしたり、インターネット上に書き込んだりすることはないが、投票所に行くくらいはするという人たちだ。
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民主党党支持有権者(18歳から22歳)の支持率
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民主党支持有権者(23歳から38歳)の支持率
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民主党支持有権者ヒスパニック系有権者の支持率
 サンダースは若者からの支持が圧倒的に多く、またヒスパニック系有権者からの支持も高い。こうした人々が投票所に向かえばサンダースが勝利するとサンダース陣営は主張し続けた。確かにヒスパニック系有権者が多いネヴァダ州ではサンダースは完勝した。しかし、その後の予備選挙では、若者たちの投票率が期待よりもずっと低かったことが明らかになった。若者たちも投票所に向かったであろうが、前回行かなかったであろう、元々数の多いアフリカ系アメリカ人と穏健派の有権者がそれを上回る勢いで投票所に向かったということも言える。

 インターネット、特にSNSの世界では書き込みの数が多い、もしくは勢いの良い書き込みが多いことは目立つし、勢いを感じるが、これが現実世界を反映しているとは言えない。実際に投票に足を運んで一票を入れてもらわねば何の意味もない。また、世論調査の数字もあくまで数字であって動向を掴むことはできるが、世論調査で「投票に行く」と答えた人々が全員正直に行動するものでもない。

サンダース陣営はそのことを周知させただろうが、その勢いを上回る人々が、サンダースが大統領候補になる懸念に動かされて投票所に向かった。進歩主義派、左派に属する政治家たちはある種の嫌われぶりというか支持が横に広がっていかないことの限界を今回思い知らされただろう。

 今回のアメリカ大統領選挙民主党予備選挙の構図は私たちにいろいろなことを教えてくれる。日本の現状を変えるためにも是非ここから教訓を得るべきだと思う。

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投票参加者数の増加は予備選挙においてバイデンに力を与える(Turnout surge powers Biden in primaries

マックス・グリーンウッド筆

2020年3月11日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/487106-turnout-surge-powers-biden-in-primaries

火曜日に実施されたミシガン州、ミズーリ州、ミシシッピ州でのアメリカ大統領選挙民主党予備選挙における投票参加者数が10年以上の期間の中で最高のレヴェルに達した。

投票参加者の増加はアフリカ系アメリカ人、穏健者、郊外居住者が投票所に向かったからだ。ここ数週間の予備選挙でジョー・バイデン前副大統領の勝利に貢献したのはこの人々が投票所に向かったからだ。

こうした流れは先月末のサウスカロライナ州から始まった。そして、バイデンの選挙運動を崩壊寸前から予備選挙での多くの勝利へと引き上げた。

ミシガン州では、民主党支持の有権者たちは火曜日に歴史的な数が投票に参加した。約160万人の有権者たちが予備選挙で投票した。2016年に比べて33%も増加した。この時には120万名弱が投票に参加した。

バイデンはミシガン州でバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)を破った。これは進歩主義派である対抗馬に強烈な一撃となった。4年前にはサンダースがヒラリー・クリントンをミシガン州で破ったのだ。

民主党幹部や党員にとって、2016年にトランプ大統領に敗れた中西部諸州の一部を奪還しようとしている時に、ミシガン州で投票者数が伸びたことは前途有望なことを示す出来事となった。

ミシガン州民主党委員長ラヴォラ・バーンズはミシガン州での投票参加者の増加をトランプに対する広範な人々の反対の意思表明が火をつけた「投票爆発」と名付けた。

バーンズは声明の中で次のように述べた。「医療と清潔な水を確保することに対するトランプ大統領の攻撃からミシガン州における製造業の雇用増大の失敗まで、トランプ大統領はミシガン州に対して行った公約をことごとく破っています。昨日、民主党支持の有権者たちはこれらの事実に対して大統領の責任を問う用意があることを明確に示したのです」。

最新の開票報告によると、ミシシッピ州では2016年に比べて投票者数は19%増加した。ミズーリ州では投票者数の4年前に比べての増加率は5%とより緩やかなものとなった。バイデンは投票参加者数が増えた両州で勝利を収めた。

ノースダコタ州の民主党党員集会参加者数は2016年に比べて4倍となった。4年前には3400名以下だったが、火曜日は約1万5000名だった。ノースダコタ州では今回から党員集会に新しいルールを導入し、より予備選挙に近い形式となった。

火曜日に予備選挙が実施された残り2つの州であるワシントン州とアイダホ州でも民主党予備選挙の投票数が大きく増加した。しかし、これまでとの比較は難しい。その理由は、両州ともに今回からこれまでの党員集会形式から予備選挙形式に変更したことだ。概して予備選挙形式の方が参加者数は大きくなる。

サンダースにとって、火曜日の予備選挙の結果はまた失望となってしまった。

サンダースは最終的にノースダコタの党員集会で勝利した。そして現在開票作業が続いているワシントン州では僅差でバイデンをリードしている。

サンダースはミシガン州で敗れた。スーパーチューズデーでの幾多の敗戦の後、有力候補者としての立場を再び手にしたいと望んでいたが、そのために勝利が必要であったミシガン州で敗れた。このことで、サンダースがこれまで一貫して主張してきた、自分のポピュリスト的メッセージと大胆な政治的、経済的変革の訴えは工業中心の中西部各州の労働者階級に共感を得られて、11月にミシガン州で民主党が勝利することに貢献すると主張してきたことの説得力が一気に低下した。

また、サンダースはより若い有権者たちが多く投票所に向かうと述べていたことについても、予備選挙から得られた証拠に基づくと、疑義が呈されてしまう。ミシガン州の18歳から44歳までの有権者の間ではサンダースはバイデンよりも2倍の支持を集めた。しかし、今回の予備選挙に参加したのはこの層の人々が占める割合は全投票参加者の中で38%にとどまった。2016年の時には45%だった。

火曜日のミシガン州での予備選挙に参加した有権者の中で45歳以上の有権者たちが占める割合は約62%だった。出口調査の結果を見ると、その内の3分の2の有権者が予備選挙でバイデンを支持したということであった。

火曜日の各州での予備選挙の結果は、サンダースがアフリカ系アメリカ人有権者からの支持を集めることに苦労していることでも起きた。アフリカ系アメリカ人有権者は民主党に最も忠実な有権者グループである。ミシガン州、ミズーリ州、ミシシッピ州において、サンダースはアフリカ系アメリカ人有権者の支持でバイデンに大敗を喫した。これらの各州ではアフリカ系アメリカ人有権者が民主党予備選挙の有権者の約70%を占めていた。

水曜日、地元ヴァーモント州バーリントン市で記者団に対して、サンダースは自身の選挙運動について厳しい評価を下した。サンダースは民主党予備選挙において「イデオロギーに関する討論」に勝利しているが、「当選可能性に関する討論」では負けていると述べた。サンダースは、有権者の多くがバイデンを支持しているのはトランプを倒せる可能性が最も高い候補者はバイデンだと考えているからだと述べた。

しかし、サンダースは自分が若い有権者たちから力強い支持を受けていると主張した。彼は予備選挙において「世代に関わる討論」で勝利していると述べた。

サンダースは次のように述べた。「ジョー・バイデンはより年齢の高いアメリカ国民からの支持を集めています、特に65歳以上の人々からの支持は圧倒的です。一方、私たちの選挙運動は若い人々の中の圧倒的大多数からの支持を勝ち取り続けています。私は20代の人々とだけ話しているのではなく、30代、そして40代の人々とも対話を行っています。我が国のより若い世代の人々の数多くが私たちの選挙運動を支持し続けてくれています」。

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アメリカ政治の秘密
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 古村治彦です。

 アメリカでも新型コロナウイルス感染拡大が進行しており、ニューヨーク市のビル・デブラシオ市長は非常事態宣言を発表し、ブロードウェイの演劇は中止となった。また、プロバスケットボールNBAもユタ・ジャズ(元々はニューオーリンズにあったためジャズという名前になったがその後にユタ州ソルトレイク市に移転)の選手たちにウイルス感染が確認されたため、リーグ戦中断を発表した。再開時期は未定としている。プロ野球メジャーリーグ・ベースボールもオープン戦(プレシーズンゲーム)を終了し、公式戦開幕を延期とした。

 こうした中で、アメリカ大統領選挙民主党予備選挙にも影響が出ている。ジョー・バイデン陣営、バーニー・サンダース陣営ともに選挙集会を中止した。選挙集会には多くの人々が参加し、時にはロックコンサートのような熱狂状態になる。また候補者や登壇した候補者を支持する政治家や有名人たちが支持者と握手をしたり、ハグをしたり、一緒にスマートフォンで写真を撮ったりといった行為が行われる。

バイデン、サンダースは共に高齢者ということもあり(コロナウイルスで重症化しやすいのは高齢者と基礎疾患を持つ人々と言われている)、まず何より2人を守らねばならない。しかし、数多くの人々が関わっている選対やスタッフを完全に守り切ることは難しい。

 2020年3月15日にアリゾナ州フェニックス市で開催予定だった予備選挙最後の討論会は初めてのバイデン対サンダースの一騎打ちとなるものであるが、場所をワシントンDCに移し、聴衆も入れないで開催されることが決まった。聴衆を巻き込んで自分に有利な雰囲気作りが得意なサンダースにとっては不利な状況だ。

 こうした中で、「サンダースがまたバイデンを徹底的にこき下ろし攻撃するのは確実で、これはトランプ大統領の代わりにバイデンを攻撃しているのと同じだからもう討論会を止めたらどうだ」「予備選挙も大勢は決したのだから選挙中止も検討したらどうか」という声が民主党の一部から出ている。共和党の場合は、トランプ大統領の一人勝ちだが、対抗馬が出て細々とではあるが予備選挙を実施している。しかし、いくつかの州では元々予備選挙を実施しないと決めている。

 難しいのは今年7月下旬、8月下旬に予定されている民主党全国大会と共和党全国大会だ。それぞれ4日間開催され、大きなアリーナに数千人が一堂に会する。その間には有名人のミニコンサートもあり、お祭り気分で盛り上がる。最終日には代議員たちの投票で11月の本選挙の党の指名候補(正副両大統領候補)が決定する。老若男女数多くの人々が密閉した空間に集まる、という大変リスクの高い状態となる。この頃までに落ち着いていれば良いが、どうなるか分からない。「東京オリンピックを1年延期したらどうだと言ったトランプ大統領のことだから大統領選挙も1年延期したらと言い出すだろう」というジョークがインターネット上で語られている。

 こうした中で、サンダースは3月3日のスーパーチューズデーに続き、3月10日の6州での予備選挙でも退勢を挽回することはできなかった。サンダースは代議員配分数が最小のノースダコタ州で勝利したが、他州では惨敗もしくは僅差での敗北となった。獲得代議員数は更に差がついた。3月17日にはアリゾナ州、フロリダ州、イリノイ州、オハイオ州で10日よりも多い代議員数を争うことになるが、現在のところ、この4つの州ではいずれもバイデンが大量リードという世論調査の結果が出ている。全国規模の世論調査でもバイデンが大量リードという展開になっている。

 私が書いたように、サンダースは太平洋戦争で日本軍がサイパンを失陥した時と同じような状況で、既に勝負あったということになる。ここからは局地的に抵抗をして敗北を遅らせるということしかない状況だ。バイデンが15日の討論会で失言をする、サンダースが効果的な発言をする、バイデンに健康問題が出る、バイデンに金銭や女性関係でのスキャンダルが出るということがなければ、大逆転は難しいだろう。

 そうした中で、サンダースも含め、11月の本選挙に向けた民主党内融和の雰囲気作りがなされ始めている。サンダースは水曜日に演説を行い、選挙戦を継続する意思を表明したが、バイデンに対する攻撃は控え、政策で議論し合おうという姿勢を見せた。また、サンダース自身は「政策は良いと思うのだけど、選挙で勝つにはバイデンだ」という有権者の声があることを認め、党内融和と自身の支持者への11月の本選挙ではバイデンへ投票するように働きかけるというようなことを行っている。

 新型コロナウイルス感染拡大で選挙集会なども開けない中、ただ予備選挙を継続していくということが良いのかどうかは分からないが、サンダースがきれいさっぱりと諦めをつけて、支持者と共にバイデンに投票できるようにするためには予備選挙を続けることが良いように私には思われる。中途半端なところで圧力をかけて強引に止めさせると反発が大きい。それよりは自然の流れに任せることの方が反発は少ないように思われる。

 バイデンも進歩主義派の政策の一部を取り入れて融和を図ることになるだろう。11月の本選挙に向けての雰囲気作りが始まっている。

(貼り付けはじめ)

バイデンに対する気落ちする敗北を喫した後にサンダースは重要な時期に直面している(Sanders faces pivotal moment after dispiriting defeats to Biden

ジョナサン・イーズリー筆

2020年3月11日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/487107-sanders-faces-pivotal-moment-after-dispiriting-defeats-to-biden

民主党の指名候補となるための戦いでジョー・バイデン前副大統領に失望感が漂う敗戦を喫したことでバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)は岐路に立たされている。

予備選挙はまだ終了していない。バイデンはまだ党の指名を獲得するために必要な1991名の宣誓済み代議員数の半分にも達していない。しかし、スーパーチューズデーの14州の内10州、今週のミシガン州、ミズーリ州、ミシシッピ州で敗れたサンダースにとっては代議員獲得数の計算は厳しいものである。

CNNの分析によると、サンダースがバイデンに追いつくには残りの全州で平均10ポイントの差をつけて勝利しなければならない。しかし、これからの予定はサンダースにとってはより厳しい現実を突きつける。サンダースはこれから3月17日のフロリダ州、3月24日のジョージア州で大きな差をつけられて敗れるという予想となっている。

民主党の指導者たちの一部からは予備選挙を終える時期ではないかという声が出ている。これは、サンダースがあまりにも長い期間予備選挙を続けることで、11月のトランプ大統領との本選挙の戦いを前にして、バイデンを攻撃し、バイデンの評価を傷つけることになる。

水曜日、サンダースは選挙戦を続け、日曜日にアリゾナ州で開催される討論会でバイデンと討論をしたいと発言した。予備選挙における最後の討論会は初めてサンダースとバイデンの一騎打ちの形となる。

しかし、サンダースは彼の唯一の懸念はトランプを倒すことであることを明らかにし、トランプを倒すため、民主党の候補者を傷つけるようなことはしないということを強く発信した。

サンダースは「トランプ大統領は必ず倒さねばなりません。そのために私は出来ることは何でもします」と発言した。

サンダースの演説は政治について率直に語った内容で素晴らしいものであった。

サンダースは、進歩主義的左派は現在大きな政策の戦いで勝利を収めたと宣言した。しかし、民主党支持の有権者たちは、トランプとの一騎打ち対決で当選できる可能性が最も高い候補者はバイデンだと決めたのだとも述べた。

サンダースは「私はそのような考えに全く同意しませんが、これが数百万の民主党支持と無党派の有権者たちの主張です」と述べた。

バイデンの記録を攻撃するよりも、サンダースは討論会でバイデンに答えて欲しいと考える政策に関する疑問をいくつも提示した。バイデンが考える医療保険、移民政策、収入格差問題、刑法システムについての改革を述べて欲しいと訴えた。

特筆すべき点は、サンダースが、バイデンがイラクでの軍事行動に承認を与える投票をしたこと、批判者たちはこれでクレディットカード業界に大きな力を与えることになった破産法に賛成票を投じたこと、ソーシャルセキュリティーの凍結についてのバイデンの過去の発言などについて、これまで行ってきた攻撃を繰り返さなかったことだ。

サンダースはその代わりにバイデンに対して、左派が持つバイデンが大統領候補になるにあたっての懸念と、若くて熱心なサンダース支持者たちの支持をバイデンが一部得始めているということを述べた。

サンダースの演説は民主党内部にある恐怖心を少し和らげるものとなった。民主党内部には、サンダースがバイデンに対して自分もろとも致命傷を与えるための攻撃を準備しているのではないかという懸念があった。本選挙を前にしてバイデンをぼろぼろにしてしまう、もしくはサンダースの支持基盤である若者たちに本選挙当日には家にいて投票所に向かわないようにと促すのではないかと見られていた。

バイデンがこれからも獲得代議員数でサンダースを引き離し続けると見られる中で、いつまで選挙戦を続けるのかということについて具体的な日程も示唆もサンダースは与えなかった。しかし、サンダースの演説については、長年にわたりサンダースを批判してきた民主党内の一部の人々からは好感をもって受け取られた。こうした人々は、サンダースの演説について、これは現在の政治状況に関する冷静な分析であり、11月の本選挙を前にして民主党をまとめるための第一歩となる可能性があると考えた。

ニューヨークを拠点とする民主党系のストラティジストであるジョン・レイニッシュは次のように述べた。「サンダースはジョーに対して、問題点を一つ一つ、疑問を一つ一つ、挙げていきました。私からの支持を得るそして、私の支持者からの支持を得る手始めとして、これらに答える必要がある、という意思表示です。サンダースは発言内容をよく整理しており、本当に素晴らしいと思います。サンダースはドナルド・トランプを倒すために私たちはいかにして団結するかということに今は集中しています。こうした発言は度量の大きさだけでなく、大変な賢さも感じさせてくれます」。

サンダースの演説はサンダース支持者たちにも肯定的に受け止められた。支持者たちは、支持する候補であるサンダースがトップに立っていないからということで進歩主義派がこれまで勝ち取ってきた業績を無駄にすることがないように、サンダースには予備選挙を戦い続けて影響力を保持し、発揮して欲しいと強く願っている。

進歩主義派のストラティジストでサンダース支持者のジョナサン・タシニは次のように述べた。「バーニーは予備選挙にとどまるべきです。そして、“ジョーは私の友人だが意見は一致しない”という調子を継続すべきです。そして、過去5年に民主党内の議論を深めさせた様々な考えを主張し続けるべきです。予備選挙の期間が全て終了するこの道の終わりで、数百万のサンダース支持者たちが真のグリーン・ニューディール政策の実現、大企業の権力との対峙、政府が提供する国民皆保険が実現する可能性があると考えることができれば、2016年の時もそうしたように、大多数の人々が本選挙で投票するでしょう」。

火曜日の夜に結果が次々と出て、バイデンが獲得代議員数で差を広げている中で、サンダースには選挙戦から撤退するように求める圧力がかかり始めた。

ジェイムズ・クライバーン連邦下院議員(サウスカロライナ州選出、民主党)がサウスカロライナ州の予備選挙直前にバイデンを支持したことが予備選挙におけるターニングポイントとなった。クライバーン議員は次の討論会は中止すべきだと述べた。

民主党系の2つのスーパーPACは、バイデンが実質的な党の指名候補に決したとし、今年の秋のバイデン当選に向けての努力を更に高めていくと宣言した。

サンダースをこれまで批判し続けてきた民主党系のストラティジストであるジェイムズ・カーヴィルはサンダースの選挙戦からの撤退を求めた。

カーヴィルは「予備選挙の大勢は既に決しています。予備選挙を一日でも長く続けることを正当化する理由はありません」と述べた。

しかし、サンダースの側近たちはこの種の発言はまさに全くもって良くないメッセージだと述べている。

サンダースの側近たちは、サンダース支持者たちがトランプ大統領を打倒するために11月の本選挙では民主党候補に入れると確信しているが、民主党候補者は、サンダース支持者たちが従属するように虐げられていると感じたままにさせるよりも、勝利のために必要な存在だと感じさせて支持させるようにする方がより良い方法だとも考えている。

2015年からサンダースを支持してきた進歩主義派の思想家ビル・プレスは次のように述べた。「民主党はトランプを追い落とすためにまとまらねばなりません。これが目標です。この目標を達成するためには、民主党にバーニー・サンダースと彼の支持者が必要です。民主党にはこうした若い人たちが必要です。もし若い人たちが過半数を占めていないとしてもです。若い人々を怒らせるもっとも簡単な方法はバーニーに圧力をかけて予備選挙から撤退させることです。これをもし民主党の人々がやったら最大級の間違いを犯したことになります」。

プレスは続けて次のように語った。「民主党予備選挙の戦いは醜いものになる必要もないし、個人攻撃なんてなってはいけません。マイナスなものになる必要なんてどこにもないと思っています。地位が高い人や役職にあるではなく、普通の人々に決めてもらう、これが予備選挙のあるべき姿です」。11月の段階で民主党をまとめることそしてバーニー支持者たちを本選挙で民主党候補に投票させるための最良の方法は、バーニー支持者たちが本当に必要な存在であることを分かってもらうことであって、排除することではありません」。

火曜日夜の勝利演説の中で、バイデンはサンダースの支持者に対して初めての呼びかけを行った。

バイデンはフィラデルフィアで次のように述べた。「私はバーニー・サンダースと彼の支持者の皆さんに疲れを知らないエネルギーと熱意に謝意を表します。私たちは共通の目的を持っています。一緒にドナルド・トランプを倒しましょう」。

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