古村治彦です。
トランプ政権のジャレッド・クシュナー上級顧問について、FBIが捜査を行っているという報道が出ました。トランプ政権とロシアとの関係を捜査するということで、マイケル・フリン前大統領国家安全保障問題担当補佐官やポール・マナフォート元選対委員長といった、現役ではない人々の名前が出ていましたが、政権の中枢を占める重要人物クシュナーの名前を、ワシントンのエリートたちはマスコミを使って、「出してきました」。
ジェイムズ・コミーFBI長官が解任されたのは記憶に新しいところです。コミーは昨年の大統領選挙で政治に影響を与えたことを理由に、司法省のジェフ・セッションズ長官、ロッド・ローゼンスタイン副長官から激しく批判されました。このような状況下、FBIの捜査情報がマスコミに漏れるなどということが起きて良いはずがありません。このようなリークは、FBIの中の反トランプ、エリート集団が意図的に行ったと考えるのが自然でしょう。
反トランプグループは懇意のマスコミ(ニューヨーク・タイムズ紙やワシントン・ポスト紙)を使って、まず政権内の内部闘争について、あることないことを書かせまくりました。トランプ政権内部に亀裂を生じさせて、内部分裂を誘うためです。これがうまくいかないと見るや、今度は、現在トランプ大統領が厚く信任しているクシュナー攻撃を始めようとしています。
しかし、ここまでマスコミを使って激しく攻め立ててみても、トランプ政権内部に動揺は見られません。反トランプ側は今は勢い良く攻撃をしていますが、そのうち弾切れになって、「それじゃクリントン財団とオバマ政権時のヒラリー・クリントン国務長官の関係はどうなるんだ」「権力に近いことを利用して便宜を図ったりしなかったのか」ということになるでしょう。
ただ、現在のところ、攻撃の勢いは大変に強く、不快さを増しているのは間違いのないところです。
(貼りつけはじめ)
ロシア関連捜査でジャレッド・クシュナーが捜査対象に(Jared Kushner
under FBI scrutiny in Russia probe: reports)
マックス・グリーンウッド筆
2017年5月25日
『ザ・ヒル』誌
http://thehill.com/policy/national-security/335234-jared-kushner-under-fbi-scrutiny-in-russia-probe-report
トランプ大統領の義理の息子で上級顧問であるジャレッド・クシュナーに対して、トランプ選対とロシアとの間の共謀に関するFBIの捜査で詳細な捜査が行われていると報じられた。
NBCニュースは、「FBIがクシュナーの捜査を行っているが、これは彼を犯罪の容疑者として疑っているということでも、FBIのロシア関連捜査の利害当事者と考えられているということを必ずしも意味しない」と報じた。
『ワシントン・ポスト』紙は、政権移行中の昨年末、クシュナーが駐米ロシア大使セルゲイ・キシリアックとロシアのある銀行幹部と会談を持ったことについて捜査が行われていると報じた。
ワシントン・ポスト紙は先週、FBIが、ロシアのアメリカ大統領選挙に関する介入を行った容疑の捜査で、現役のホワイトハウス幹部が、関連を持つ捜査対象者としてピックアップしていると報じた。しかし、この時は捜査対象者の名前と身分は明らかにされなかった。
クシュナーは現在のホワイトハウスの中で、トランプ大統領に対して最も大きな影響力を持つ側近で、トランプ政権の政策遂行の責任を任されている。
クシュナーがロシア関連捜査で対象者となっていることが明らかにされた。今から2週間前、トランプ大統領は、ジェイムズ・コミーFBI長官を曖昧な理由で解任した。当時、コミー長官は捜査を監督する立場にあった。
先週、ロッド・ローゼンスタイン司法副長官は、ロバート・ムラー元FBI長官をロシア関連捜査の監督のための特別検察官に任命した。これとは別に、ロシアに関する問題について、連邦議会には少なくとも4つの委員会が設置されている。
これまでFBIは、フリンやトランプ選対の委員長だったポール・マナフォートに集中して捜査していた。クシュナーは、ホワイトハウスの現役幹部の中で初めて、捜査対象となっているということが明らかになった人物だ。
民主党全国委員会はホワイトハウスに対して、クシュナーに与えられている機密情報取り扱い許可を停止するように求めた。昨夏、民主党全国委員会は、ロシアが関連していると考えられているコンピューター・ハッキングのターゲットとなった。
民主党全国委員会コミュニケーション部副部長エイドリアン・ワトソンは木曜日、声明を発表した。声明の中で、ワトソンは、「FBIによるロシア関連捜査はトランプの裏庭にまで及んでいたが、ついに家の中にまで達した。クシュナーに対する機密情報取り扱い許可は、FBIの捜査が完了するまで、停止されねばならない」と述べた。
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クシュナーが特別検察官に対して攻撃的な対応をするようトランプに主張(Report:
Kushner urged aggressive Trump response to special counsel)
レベッカ・サヴランスキー筆
2017年5月18日
『ザ・ヒル』誌
http://thehill.com/homenews/administration/334056-report-kushner-urged-trump-to-attack-after-special-counsel
トランプ大統領の義理の息子であり上級顧問であるジャレッド・クシュナーは、水曜日に召集されたホワイトハウスの会議の席上、より抑制された反応に関して、「攻撃」的な反応をするように主張したと報じられた。
元FBI長官ロバート・ムラーが米大統領選挙に対するロシアの介入とトランプ選対とロシアとの間の共謀に関する司法省の捜査を管轄する特別検察官に任命された後、ホワイトハウスで会議が召集された。会議の結果、ムラーの任命に対するホワイトハウスからのメッセージが矛盾する内容になった。
トランプはムラーの任命を知り、クシュナー、シーン・スパイサー報道官、マイケル・ドゥブキ広報部長、レインス・プリーバス大統領首席補佐官、スティーヴン・バノン首席ストラティジストといった側近たちを召集した。
側近のほとんどはトランプ大統領に対して司法副長官の決定を受け入れる内容の声明を発表するように促した。しかし、クシュナーはこの意見に同意しなかった、とニューヨーク・タイムズ紙の取材に対して2人の政権幹部が述べた。
クシュナーだけは大統領に対して反撃するように促した。
ホワイトハウスは水曜日夜に声明を発表し、新たに任命された特別検察官が連邦捜査機関の捜査を主導し、トランプ選対とモスクワとの間に共謀は存在しないということを発見するだろうという信頼を表明した。
トランプ大統領は水曜日、声明を発表した。声明の中で、トランプは次のように述べた。「徹底した捜査によって、私たちが既に知っていることが正しいことが証明されるだろう。私の選対と外国との間に共謀など存在していない。私はこの問題が即座に終結することを望んでいる」。
木曜日、トランプ大統領は毎朝の恒例になっているツイートの中で、前日の抑制された反応とは全く違う反応を示した。
「これは一人の政治家に向けられた、アメリカ史上最大の魔女狩りだ!」とトランプはツイートした。
「クリントン選対とオバマ政権で行われた全ての違法な行為に対して、特別検察官が任命されたことはなかった」とトランプは別のツイートの中で述べた。
(貼り付け終わり)
(終わり)