古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

 古村治彦です。

 

 森友学園・瑞穂の國記念小學院(安倍晋三記念小学校)を巡るスキャンダルが安倍晋三首相を追い詰めています。本ブログでも再三ご紹介していますが、海外メディアの方が冷静にかつ冷酷に現在の状況を報道しています。

 

 朝日新聞が「学校法人に大阪の国有地売却 価格非公表、近隣の1割か」というタイトルで、今回のスキャンダルのことを報じたのが2017年2月9日です。その後、テレビ東京の夕方のニュース番組「ゆうがたサテライト」で「“愛国”学校ができるまで 名誉校長は安倍総理夫人」という特集が流されました。この日の衆議院予算委員会で、安倍晋三首相は、森友学園の籠池泰典理事長について、「「妻からですね。この森友学園ですか?の先生の教育に対する熱意は素晴らしいという話を聞いております」「いわば私の考え方に非常に共鳴している方でですね、その方から、小学校を作りたいので『安倍晋三小学校』にしたいという話があったが、私はそこでお断りをしているんですね」と発言しました。

 

 そして、この疑惑が①国有地の異常な安値での売却、②学校の認可を巡る疑惑、③安倍昭恵夫人を巡る動きとどんどん拡大していきました。そして、2月24日の衆議院予算委員会で「この方は非常にこだわるというか、そう簡単に引き下がらない人」「非常にしつこい中においてですね、あのー、しつこいと言ったら非常に、何回も何回も熱心に言ってこられる中にあったですね.」と発言し、籠池氏を切って捨てる発言をしました。

 

 現在、スキャンダルはどんどん拡大して言っています。安倍首相の政治生命に致命傷を負わせる可能性も高まっています。

 

 安倍首相は、2012年12月に総選挙で勝利して以来、「わが世の春」を謳歌してきました。その間には安保法制、集団的自衛権を巡る憲法解釈の変更などを達成していきました。国民は2009年から2012年までの民主党政権、特に菅直人・野田佳彦両総理大臣時代の失政と民主党の分裂にうんざりし、橋下徹氏率いる維新勢力を躍進させ、また、自民党にも大きな議席を与えてきました。

 

 そして、安倍氏は自身が掲げる改憲(憲法改定)に照準を定めました。以下にその時の記事を貼り付けました。安倍首相は「前文から全てを変えたい」と述べています。これは、日本国憲法の廃棄であり、反憲法とも言うべきものです。彼のこれまでの発言から、改憲の本丸は憲法九条であることは間違いありませんが、全文を含めて全部となると、これは、第1条から第8条までを占める天皇についての部分も変えるということになります。そして、彼の考えていることは、戦前回帰であり、天皇を国家元首にすることなのだろうと思います。しかし、気をつけなければならないのは、安倍首相は天皇を尊崇してそのように考えている訳ではありません。維新の時、大久保利通が言った「玉(=天皇)を取る」ということであり、天皇を祀り上げて実権は自分たちが握るということです。

 

(貼りつけはじめ)

 

●「「前文から全てを含めて変えたい」 安倍首相が改憲への意欲を明言」

 

BuzzFeed Japan 2016/7/10() 23:08配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160710-00010003-bfj-pol

 

参院選の開票が進む中、圧勝を確実にした自民党の安倍晋三首相が「前文から全てを含めて変えたい」と全面的な改憲への意欲を語った。【BuzzFeed Japana/ 古田大輔】

 

テレビ東京の選挙特番で、池上彰さんのインタビューに答えた。

 

安倍首相は選挙戦を通じて、街頭演説で憲法についてほとんど語らなかった。東京・秋葉原の最後の訴えでも一言も触れなかった。

 

そのことについて、池上さんに問われた安倍首相は「憲法改正は自民党の立党以来の悲願」と強調した上で、こう答えた。

 

「憲法改正するとは、ずっと申し上げています。選挙公約にも書いております。また、どの条文を変えていくかについては、谷垣総裁時代に憲法改正草案をお示ししている」

 

では、具体的にどの条文を変えようとしているのか。池上さんはこれまでの改憲論争で焦点に上がった9条や96条を例に挙げて問うた。

 

安倍首相は、笑みを浮かべて答えた。

 

「それだけではなく、前文から全てを含めてですね、それを変えたいと思っています」

 

力を込めてそう言った上で、ただ、と言葉を続けた。

 

「現実どうなっていくか。結果を残していかないといけないわけでありまして、ただ、自分の要望を示すのでは、これは政治ではない」

 

参院で改憲に必要な3分の2議席を占めるには、与党の自民・公明だけでなく、おおさか維新の会や日本のこころを大切にする党の協力が必要だ。しかも、この4党はどの条文を変えるかについて、一致していない。

 

どの条文を変えるのか。また、自身も「道半ば」と語るアベノミクスを推進し、経済・財政を立て直すことはできるのか。

 

3分の2の壁を超えても、課題は山積みだ。

 

(貼り付け終わり)

 

 そのような中、昨年8月、今上天皇が異例のお言葉発表を行い、退位と譲位を考えていることを表明しました。これから、いわゆる生前譲位、この制度を今上天皇一代限りにするか、恒久化するか、皇室典範の改定はどうするか、ということが、女性天皇や女性宮家の問題と合わせて焦点となってきました。一部には、今上天皇が安倍首相の改憲前のめり姿勢に危惧を抱き、このような発表を行ったのだという解釈もなされました。私もこの解釈を取ります。もちろん、今上天皇が公の場所で政治的な発言をすることはありません。

 

●「皇室は安倍政権の憲法改正を止められるか

Why Japan's Emperor Abdication Matters

 

2016816日(火)1620

ビル・パウエル

ニューズウィーク日本版

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/08/post-5661.php

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/08/post-5661_2.php

 

<生前退位そのものは、日本以外の国にとって大したニュースではない。しかし天皇のお言葉に憲法改正に突き進む安倍政権を牽制する「政治的」メッセージが含まれているとすれば、無視できない>

 

 世界最古の世襲君主制である日本の皇室において、天皇は88日、ビデオメッセージを通じて生前退位の意向をにじませるお言葉を発表した。82歳という高齢と健康面の不安から、日本国憲法に定める象徴天皇としての務めを完璧に果たすことが困難になるかもしれないという。

 

 生前退位そのものは、日本以外の国ではさほど注目に値するニュースではない。だが、天皇のメッセージには他の願いも込められている可能性がある。

 

 第2次世界大戦後、天皇は政治的な権限を取り上げられた。日本を占領したGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の草案をもとに制定された日本国憲法によるものだ。現天皇の父である昭和天皇は、戦前の憲法下ではいわゆる「現人神」とされ、日本軍国主義ならびに日本臣民の中心的存在だった。それが戦後日本国憲法が制定されると、世界が見守る中で、海洋生物学を趣味とする物静かで温和な1人の男性に生まれ変わった。

 

 現天皇は、政治に関与しない立場を貫いて、日本国民の大半から慕われている。天皇と同じように高齢化が進む日本社会では、天皇が将来的に退位を望んでいるとしても仕方のないことだととらえられている。ただし、現行法では生前退位に関する取り決めがない。安倍晋三首相は、天皇のビデオメッセージ公開を受けて次のようなコメントを発表した。「天皇陛下の御年齢や御公務の負担の現状にかんがみるとき、天皇陛下の御心労に思いを致し、どのようなことができるのか、しっかりと考えていかなければいけないと思っています」

 

天皇は平和憲法を支持

 

 天皇が56歳の皇太子に皇位を譲りたいという意向を示したこのタイミングは、日本にとっては微妙な時期だ。安倍は高い支持率を誇る保守派で、平和主義を掲げる日本国憲法を改正し、自衛隊により強い役割を担わせることに前向きである。与党を含む改憲勢力は現在、国会で圧倒的多数の議席を獲得している。安倍はおそらく、国民投票の実施に動くだろう。

 

 日本の左派は、安倍首相の憲法改正への動きに大きな懸念を抱いている。多くは、安倍は中国の脅威を視野に日本の再軍備を狙う国粋主義者だと警戒している。

 

 一方、現在の天皇は、即位してから約30年にわたって、日本の「平和憲法」を支持する姿勢をはっきりと打ち出してきた。数年前からは、第2次大戦における日本の役割についての遺憾の意も強調している。その内容は、昭和天皇や歴代首相らよりもさらに踏み込んだものだ。

 

 2015815日には、終戦70年を迎えた全国戦没者追悼式において次のように述べた。「ここに過去を顧み、さきの大戦に対する深い反省と共に、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い、全国民と共に、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、心からなる追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります」

 

 日本の皇室ウォッチャーの間では、安倍を始めとする保守派が目指す憲法改正に対し、天皇が反対の意思を示したものと解釈されている。

 

 皇位継承者である皇太子も天皇と同様の考えであるとされる。皇太子は、55歳の誕生日を迎えた20152月に記者会見でこう述べた。「私自身、戦後生まれであり、戦争を体験しておりませんが、戦争の記憶が薄れようとしている今日、謙虚に過去を振り返るとともに、戦争を体験した世代から戦争を知らない世代に、悲惨な体験や日本がたどった歴史が正しく伝えられていくことが大切であると考えています」

 

 この言葉もまた、改憲勢力を牽制したものであると受けとめられている。

 

 安倍が憲法改正から手を引く可能性は低く、歴史的な論争へのお膳立ては整ったと言えよう。この論争は、日本国内においてきわめて大きな影響を持つ。論争の一方は政治的エシュタブリッシュメント、もう一方が、表向きは「非政治的」とされる皇室だからだ。

 

(貼り付け終わり)

 

 2017年1月26日付の本ブログでご紹介したアメリカのリベラル派の日本分析の記事では、「付言すると、クェーカー教徒によって教育された今上天皇の天皇在位期間は、1989年に始まったのだが、この期間の多くの期間で、激戦地や戦争の爪痕を残す場所を訪問することで特徴づけられている。今上天皇はアジアにおける戦禍を目撃し続けてきた。日本の軍事力を整備した平和主義が追求されているが、皇太子がこの立場を取らねばならないということではない」と書かれています。

 

 これは欧米の人々からすると、日本の天皇は私たちと価値観が同じだし、平和主義だということになって、好感が持たれているということです。

 

 天皇の退位についてですが、今上天皇の一代限り、皇室典範の改定はしないということで、安倍氏は突破しようとしています。自民党の「天皇の退位等についての懇談会」の座長は、安倍首相と同じ山口県(長州)選出である、高村正彦副総裁です。

 

(貼り付けはじめ)

 

●「天皇陛下退位で全体会議、3月2・3日に 衆参正副議長」

 

朝日新聞 20172271158

http://www.asahi.com/articles/ASK2W3G8TK2WUTFK004.html

 

 天皇陛下の退位を巡り、衆参両院の正副議長は27日、10の政党と会派の代表者を集めた全体会議を来月2日と3日に開く方針を、各党に伝えた。退位のための法整備について、一代限り可能にする特例法か、将来の天皇も対象にする皇室典範改正かといったテーマで意見交換する。

 

 正副議長は順次、各党・会派の代表者と個別に会談。聴取した意見を整理した文書を示して確認を求め、全体会議の日程を伝えた。

 

 川端達夫衆院副議長と国会内で会談した民進党の野田佳彦幹事長によると、2日は陛下の「お言葉」の受け止め方や象徴天皇制、皇位継承の安定性について、3日は特例法か皇室典範改正かといった法整備のあり方がテーマになるという。野田氏は記者団に「建設的な議論をしたい」と語った。

 

 一方、菅義偉官房長官は27日の記者会見で、女性宮家の創設を含む皇族減少への対応について、「検討を先延ばしすべきでないと思っている」と述べた。

 

●「特別法で一致…「退位一代限り」党見解」

 

毎日新聞2017213 2347(最終更新 213 2348)

http://mainichi.jp/articles/20170214/k00/00m/010/102000c

 

 自民党は13日、「天皇の退位等についての懇談会」(座長・高村正彦副総裁)を党本部で開き、現在の陛下一代に限って退位を認める特別立法での対応が望ましいとの党見解をまとめた。法整備の細部には踏み込まず、皇室典範に特別立法の根拠規定を置くかどうかなどは触れなかった。20日に衆参両院の正副議長に報告する。

 

 見解は、退位を皇室典範改正による恒久措置にした場合、明確な基準を設けるのが困難とし、一代限りの特別立法が望ましいと結論付けた。

 

 特別立法での対応については皇位継承を「皇室典範の定めるところにより」と規定した憲法2条に反するとの指摘があるため、「憲法と皇室典範、今回の立法措置(特別立法)の関係を明確にする必要がある」との記述を盛り込んだ。「安定的な皇位継承」については、「別途、慎重に検討すべき課題」と明記した。

 

 自民党は正副議長への報告前に、皇室典範改正による恒久制度化を主張している民進党との協議を模索している。

 

 茂木敏充政調会長は「皇室典範の付則に(特別立法の)根拠規定を置くことも考えられる」と述べ、対応に含みを持たせた。【大久保渉】

 

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一代限りの特例法に=天皇退位、幹部協議で一致-自民

 

時事通信 2017年2月6日

http://www.jiji.com/jc/article?k=2017020600936&g=soc

 

 自民党は6日、幹部で構成する「天皇の退位等についての懇談会」(座長・高村正彦副総裁)を開き、今の陛下一代に限って退位を認める特例法による対処で、党内の意見集約を図る方針で一致した。一代限りの特例法を軸に検討を進めている政府と足並みをそろえた形だ。同党は13日の次回会合で、見解の取りまとめを目指す。

女性宮家は緊急課題=野田民進幹事長

 

 6日の懇談会会合では、出席者全員が特例法による対処に賛成意見を述べた。また、党所属議員から書面で募った意見のうち、特例法を推す意見が7割に上った。座長代理を務める茂木敏充政調会長は会合後、記者団に「党内の意見は収れんされつつある」と強調した。

 

 一方、公明党の2日の会合でも、一代限りの退位を推す意見が多数を占めており、与党として方向性はおおむね一致している。今後の各党協議では、皇室典範改正による恒久制度化を主張する民進党などとの調整が焦点となる。

 

 衆参両院の正副議長は、各党協議を踏まえ、3月中旬までに国会としての見解を取りまとめる方針だ。(2017/02/06-19:46

 

(貼り付け終わり)

 

 ここまで来ると、安倍首相(と長州閥)はわが世の春を謳歌し、増上慢になっているとさえ言えるほどになりました。今上天皇の意向を詳しく聞くこともせず、また、その真意を無視し、全てを自分の思い通りにしようとしてきました。戦後具時代のことですが、毛利家の外交担当をし、後に僧でありながら大名になった、安国寺恵瓊(あんこくじえけい)は、尾田信中について、「高転びに転ぶ」「豊臣秀吉という人物は大変な人物だ」という手紙を毛利本家に送り、実際に彼の考えた通りになりました。安倍氏はこの故事に近づく、危険水位に入っていると思います。

 

 自民党を預かる形の二階俊博幹事長は、安倍首相に忠勤を励むように見せながら、要所では微妙に温度差を感じさせる動きをしています。元々日中友好に熱心で、二階氏の日中友好の熱心さに比例してか、彼の地元である和歌山の南紀白浜の動物園にはパンダがたくさん送られています。東京のパンダ好きが飛行機に乗って南紀白浜空港まで行って、パンダを見に行っているという話を聞いたことがあります。

 

 その二階幹事長ですが、今回のスキャンダルが報じられて、1週間経った2月16日に、自民党本部で行われた山口県物産展が開催されました。以下にそれを報じる記事を貼ります。この場に安倍総裁、高村副総裁、二階幹事長が顔を揃えました。高村副総裁も「山口の名産品は総理、皆さんがよく知っているのはフグですが」という浮ついた発言をしました。これは増上慢です。また、二階幹事長は、「日本は山口県を中心にして動いている」という発言を行いました。安倍首相、高村副総裁と2人の山口県選出の議員がいたからのリップサーヴィスであるとも言えますが、これは少し異常なほどの褒めようです。自民党には東北地方の各県から選出の議員たちもいて、東北地方では、戊辰戦争に関しての複雑な感情がまだ残っています。二階氏はそうしたことに配慮ができない政治家ではありません。

 

 スキャンダルが大きくなり始めている中で、このような発言をした意図はどこにあるのか定かではありませんが、二階氏は、安倍首相にただただ忠勤を励むというタイプではないだけに何か隠された意図があるのだろうと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

●「二階俊博氏、女性天皇を容認 自民幹部初「国民に違和感ない」」

 

産経新聞 2016年8月26日

http://www.sankei.com/politics/news/160826/plt1608260009-n1.html

 

 自民党の二階俊博幹事長は25日のBS朝日番組の収録で「女性尊重の時代に、天皇陛下だけ『そうならない』というのは時代遅れだ。そうと決まれば国民には違和感はないと思う」と述べ、女性天皇を容認する考えを示した。現在の自民党幹部が女性天皇の容認に言及したのは初めてで、今後議論が活発化する可能性がある。

 

 二階氏は収録後、記者団に対し「トップが女性の国もいくつかある。何の問題も生じていない」と指摘。その上で「女性がこれだけ各界で活躍しているところで、皇室、天皇だけが女性が適当でないというのは通らないと思う」と述べた。

 

 二階氏は番組で、天皇陛下が「生前退位」のご意向を示されたことについて「国民の八十数%の支持があるので、その方向へ早く決着に持っていくことが政治の側の責任だ」と述べ、認める考えを示した。「安倍晋三首相が処理すべきだ」とも語り、政府の責任で対応することを求めた。

 

 女性天皇と生前退位に関する議論について、二階氏は記者団に「一緒にやれればいいが、やれなければ切り離して考えればいい」と述べた。

 

 女性天皇に関しては、平成17年に当時の小泉純一郎首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」が、女性・女系天皇を容認する報告書を提出。野田佳彦内閣では24年に女性皇族が結婚後も皇室に残る「女性宮家」創設を検討したが、いずれも皇室典範改正などには至らなかった。

 

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●「二階俊博自民幹事長「日本は山口県を中心に回っている」 党本部で開催の山口県物産展で」

 

産経新聞 2017年2月16日

http://www.sankei.com/politics/news/170216/plt1702160024-n1.html

 

 自民党は16日、党本部で安倍晋三首相の地元である山口県の物産展を開いた。首相も法被姿で登場し「今日は県の最もおいしい、優れた名産が集まっている。大切なのは買っていただくことだ」と地元の農産品などをアピールした。

 

 首相の来場前には、同じ山口県選出の高村正彦副総裁が「山口県では首相が一番とれるんですが、みなさんがご存じなのはふぐですね」と会場の笑いを取ると、二階俊博幹事長は「日本国は山口県を中心に回っている」と述べ、首相を持ち上げていた。

 

(貼り付け終わり)

 

 ここで安倍首相が政治的に大きな痛手を負うと、自民党内部でもいつまでも安倍首相を押し立てていては自分たちまで危なくなるということになるでしょう。そうなれば、造反というか、ポスト安倍を狙う動きも活発化していくでしょう。非清和会(安倍派)の、旧宏池会系に期待したいと思います。

 

 そうした中で、これまで約4年間余り続いた安倍路線にも修正が加えられていくでしょう。安倍氏の意向に沿った動きにもブレーキがかかったり、方向転換の動きが起きたりするでしょう。

 

 今回、スキャンダルの中心人物となった、森友学園理事長・塚本幼稚園園長の籠池泰典氏は日本会議大阪支部の役員を務めています。日本会議については、『日本会議の研究』(菅野完著、扶桑社新書、2016年)を是非お読みください。日本会議のメンバーの中には、今上天皇と皇后の考えや姿勢を嫌っている人が多くいるということです。そして、安倍氏が進める路線を応援しています。そうした中の一人である籠池氏が思いがけなく安倍氏をストップさせる役割を果たすということになるのは、何とも皮肉なものだと思わざるを得ません。

 

 古村治彦です。

 

 本日、アメリカのドナルド・トランプ政権が軍事予算を10%(約6兆円)も像が屈するという方針であることが報道されました。「アメリカが軍拡競争に参加して、最悪の場合には戦争になる」という懸念を示す論調が見られます。以下にその記事を貼ります。

 

(貼り付けはじめ)

 

●「トランプ大統領 国防費10%増額の方針明らかに」

 

NHK

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http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170228/k10010892411000.html

 

アメリカのトランプ大統領は新政権として初めて示す2018年度の予算の編成方針について、公共の安全と安全保障を重視するとして国防費を大幅に増やす一方、その増加分をほかの省庁の予算の節約などで賄う方針を明らかにしました。政府高官は国防費の増加は前の年度と比べて10%、日本円で6兆円になるとしています。

 

アメリカのトランプ大統領は27日、ホワイトハウスで開いた全米の州知事との会合で、新政権として初めて、来月、議会に示す2018年度の政府予算の編成方針「予算教書」に言及しました。

 

この中で、トランプ大統領は「公共の安全と安全保障を基礎にした非常に強力な予算になる。消耗した軍を再建するため国防費を歴史的に増やす」と述べました。一方で、「増加分は連邦政府全般の大幅な節約と効率化を図ることにより相殺されるだろう」と述べ、国防費の増加分をほかの省庁の予算を減らして賄う考えを示しました。

 

アメリカの国防費は2017年度では海外での対テロ軍事作戦など臨時の費用を除いた予算の総額がおよそ5500億ドル(日本円にして60兆円余り)で、政府高官は2018年度の増加分は前の年度と比べて10%(日本円で6兆円)になるとしています。

 

大統領が示す予算教書は、10月から始まる次の会計年度に向けて、予算配分の権限を持つ議会に対する政府の要求をまとめたもので、トランプ大統領として、これまで主張してきたアメリカの軍事力の強化を目指す方針を改めて打ち出したかたちです。

 

(貼り付け終わり)

 

 アメリカの軍事費は、現在のところ、大体6000億ドル(約66兆円)くらいという大変巨額なものです。軍事費の世界第2位から第10位(バーニー・サンダース連邦上院議員によれば第12位)までの国の軍事費を全部足しても、アメリカの軍事費よりも少ないのです。

 

 下にアメリカの軍事費と国家予算に関する表を掲載します。これによると、アメリカの軍事予算は国家予算の16%から約22%を占めるものとなっています。現在の日本は5%から6%で、総額は世界のトップ10に入ります。約5兆円という数字は、アメリカの10分の1以下の数字です。戦前の日本では軍事費が国家予算に占める割は低い時でも約17%、太平洋戦争末期には85%に達しました。大体30%台といったところでした。

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アメリカの軍事費の総額は増加傾向にあります。ブッシュ政権であった2001年から2008年で、335億ドルから696億ドルまで増えています。これはテロとの戦いとしてアフガニスタンとイラクに侵攻したことが影響しています。その後、オバマ政権でも最初の数年間は増えていますが、2013年に10%の大幅なカットが行われています。その後は微増です。

 

 

 今回10%の増額ということになりますが、これは、上に掲載している表で言えば、2012年の段階にほぼ戻すということになります。これについて、昨年、『フォーブス』誌に掲載されていた記事に書いてあったことを思い出したので、以下に貼り付けます。

 

 以下の記事は昨年の11月の大統領選挙直前に出された記事で、トランプ大統領になれば軍事費は1兆ドル(約113兆円)にまで増大するという内容のものです。

 

 この記事のことを覚えていたのは、トランプがどのような予算を組むのかという予測をしている専門家たちの談話が紹介されており、その内容が重要だと思ったからです。この談話では、「トランプの防衛政策の多くはヘリテージ財団の提案が受け入れられている。そして、防衛費について2012年度のレヴェル(これはゲイツ予算[2006年から2011年まで国防長官を務めたロバート・ゲイツにちなむ])にまで戻すことをヘリテージ財団は提案している」と言われていました。

 

 このブログでもご紹介しましたが、昨年の8月、ヘリテージ財団がトランプ政権発足後に実務を行う人材を募集しているという記事が出ました。今回の軍事費増額では、ヘリテージ財団系の人材が動いたことが考えられます。

 

(貼り付けはじめ)

 

President Trump Is Likely To Boost U.S. Military Spending By $500 Billion To $1 Trillion

 

Charles Tiefer ,   CONTRIBUTOR

NOV 9, 2016 @ 02:39

Forbes

https://www.forbes.com/sites/charlestiefer/2016/11/09/president-trump-is-likely-to-boost-u-s-military-spending-by-500-billion-to-1-trillion/#ff1fb9d60249

https://www.forbes.com/sites/charlestiefer/2016/11/09/president-trump-is-likely-to-boost-u-s-military-spending-by-500-billion-to-1-trillion/2/#100467a0715e

 

Republican presidential candidate Donald Trump addresses supporters during a campaign rally in Cleveland, Ohio on October 22, 2016. JAY LAPRETE/AFP/Getty Images

 

President-elect Donald Trump believes the the Obama administration has weakened the American military. He campaigned on a promise of greater security, particularly against terrorism; although the vast majority of military spending has nothing to do with anti-terrorism activities, that should translate into a whole lot of military spending, especially when coupled with the Reagan-legacy view of Trump’s party that defense spending is the most legitimate form of spending to stimulate the economy.

 

In his campaign, Trump called for 90,000 more Army soldiers, a 350-ship Navy, 100 more fighters, and strengthened nuclear and missile defenses. That sounds like detail, but it leaves out quite a bit.

 

The best pre-election analysis of the expected Trump budget came from William Hartung, a veteran and insightful analyst, who is at the Center for International Policy, drawing on Ross Harrison of the Center for Strategic and International Studies:

 

“What we do know is that Trump has been drawing many of his defense proposals from the National Defense Panel and the Heritage Foundation. Both of these organizations have advocated for returning the defense budget to the levels proposed in the FY 2012 budget request (the so-called Gates budget). Without any other details from the Trump campaign, I think this is a good ballpark estimate for what Trump is aiming for in terms of the defense budget. The FY 2012 request is about $800-900B higher over ten years than the most recent president’s budget request.”

 

The call for a 350-ship Navy gives a concrete clue. Cost figures on such a naval buildup are elusive. However, the Congressional Research Service (CRS) has compiled studies of the different kinds of ships in a 350-ship navy. They don't come cheap.

 

There would be increased spending on aircraft carriers and a big increase in attack submarines. In December 2008, the Navy signed a $14 billion contract with General Dynamics and Northrop Grumman to supply eight Virginia-class attack submarines. In round figures they might cost, in years to come, at least $2 billion apiece. The CRS study said that going to a 350-ship navy would mean 11 more of these. That’s $22 billion just on these subs. Congressional hawks – numerous and powerful – will pressure Trump to go that way.

 

And, Congress will be filling out, not cutting back, the Trump defense budget. Obama used his veto to balance defense and domestic spending.  That balance is dead. Moreover, there is bipartisan support for big defense spending. So in the Senate, while there might be a unified Democratic filibuster on some kinds of extreme domestic legislation, there would not be one in opposition to defense spending. The Armed Services Committees basically will have freedom for a massive spending spree.

 

Buckle your belts for a steep climb of defense spending. My rough estimate is it means an additional $500 billion to $1 trillion.

 

(貼り付け終わり)

 

 しかし、今回の軍事費増額についてはもっと冷静に、また裏の意図を読み取らなければなりません。それは、「軍事力強化で戦争を行うというものではなく、外国への介入を止めて、より財源を軍隊に持っていき、人々を雇用し、アメリカ製の武器を購入するという公共事業を行う」というものです。

 

 下に、ロイター通信の記事を貼りました。この記事によると、今回の軍事費6030億ドルは前年の5840億ドルから3%の増額に過ぎず、これにインフレ率2.5%を考慮すると、増額は微増ということになります。また、ここで重要なのは、国務省の予算を30パーセント減らすということです。

 

 国務省の予算は年間500億ドル(約5兆5000億円)ですので、この30%というと、150億ドルになります。私は、これに加えて、米国国際開発庁(USAID)の予算である272億ドル(約3兆円)からも大幅に削減されると考えます。なぜなら、USAIDは、国務省と表裏一体の関係となって、アメリカの海外援助を取り仕切っていますが、これら2つの政府機関は、アメリカの外国介入の尖兵となっています。このことは、拙著『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所、2012年)に詳しく書きましたので、是非お読みください。

 

 トランプは、先ほどの施政方針演説で「私の仕事は世界を代表することではなく、アメリカを代表することだ」と述べました。これは、アイソレーショニズム(国内問題解決優先主義)宣言です。その一環で、予算の組み替えを行い、介入主義の政策に使われる国務省(とUSAID)の予算を削り、軍隊に回す(これも一種の公共事業)としているのです。

 

(貼りつけはじめ)

 

Politics | Mon Feb 27, 2017 | 8:36pm EST

Trump seeks 'historic' U.S. military spending boost, domestic cuts

 

By Steve Holland | WASHINGTON

Reuters

http://www.reuters.com/article/us-usa-trump-budget-idUSKBN1661R2

 

President Donald Trump is seeking what he called a "historic" increase in defense spending, but ran into immediate opposition from Republicans in Congress who must approve his plan and said it was not enough to meet the military's needs.

 

The proposed rise in the Pentagon budget to $603 billion comes as the United States has wound down major wars in Iraq and Afghanistan and remains the world's strongest military power.

 

The plan came under fire from Democratic lawmakers, who said cuts being proposed to pay for the additional military spending would cripple important domestic programs such as environmental protection and education.

 

A White House budget official, who outlined the plan on a conference call with reporters, said the administration would propose "increasing defense by $54 billion or 10 percent." That represents the magnitude of the increase over budget caps Congress put in place in 2011.

 

But Mick Mulvaney, the White House budget director, said the plan would bring the Pentagon's budget to $603 billion in total, just 3 percent more than the $584 billion the agency spent in the most recent fiscal year, which ended on Sept. 30, 2016.

 

The rise would be slightly higher than the country's current 2.5 percent rate of inflation.

 

"President Trump intends to submit a defense budget that is a mere 3 percent above President (Barack) Obama’s defense budget, which has left our military underfunded, undersized, and unready to confront threats to our national security," John McCain, the Republican chairman of the Senate Armed Services Committee, said in a statement.

 

The defense boost would be balanced by slashing the same amount from non-defense spending, including a large reduction in foreign aid, the White House budget official said.

 

Trump does not have the final say on federal spending. His plan for the military is part of a budget proposal to Congress, which, although it is controlled by his fellow Republicans, will not necessarily follow his plans. Budget negotiations with lawmakers can take months.

 

McCain told reporters he would not vote for a budget with the slight military increase and thought it would face opposition in the Senate.

 

Trump told state governors at the White House his budget plan included a "historic increase in defense spending to rebuild the depleted military of the United States of America."

 

He said his proposal was a "landmark event" and would send a message of "American strength, security and resolve" to other countries.

 

BIG CUTS TO STATE DEPARTMENT

 

Officials familiar with Trump's budget blueprint said the plan would call for cuts to agencies including the State Department and the Environmental Protection Agency.

 

One official familiar with discussions over State's budget said the agency could see spending cut by as much as 30 percent, which would force a major department restructuring and elimination of programs.

 

The United States spends about $50 billion annually on the State Department and foreign assistance.

 

More than 120 retired U.S. generals and admirals urged Congress on Monday to fully fund U.S. diplomacy and foreign aid, saying such programs "are critical to keeping America safe."

 

Trump has vowed to spare middle-class social programs such as Social Security and Medicare from any cuts.

 

Nancy Pelosi, the top Democrat in the House of Representatives, said Trump’s plan to slash funding for federal agencies to free up money for the Pentagon showed he was not putting American working families first.

 

"A $54 billion cut will do far-reaching and long-lasting damage to our ability to meet the needs of the American people and win the jobs of the future," Pelosi said. "The president is surrendering America’s leadership in innovation, education, science and clean energy."

 

SHORING UP 'CHOKE POINTS'

 

An official familiar with the proposal said Trump's request for the Pentagon included more money for shipbuilding, military aircraft and establishing "a more robust presence in key international waterways and choke points" such as the Strait of Hormuz and South China Sea.

 

That could put Washington at odds with Iran and China. The United States already has the world's most powerful fighting force and it spends far more than any other country on defense.

 

About one-sixth of the federal budget goes to military spending.

 

Trump has said previously he would expand the Army to 540,000 active-duty troops from its current 480,000, increase the Marine Corps to 36 battalions from 23 – or as many as 10,000 more Marines – boost the Navy to 350 ships and submarines from 276, and raise the number of Air Force tactical aircraft to 1,200 from 1,100.

 

He has not said where he would place the extra hardware and forces or made clear what they would be used for. The United States has been shutting some of its military bases in recent years.

 

Trump has also said he would bolster the development of missile defenses and cyber capabilities. Last week, he told Reuters the United States had "fallen behind on nuclear weapon capacity." He pledged to ensure that "we're going to be at the top of the pack."

 

(Additional reporting by Tim Ahmann, Doina Chiacu, Andy Sullivan, Idrees Ali, David Alexander, and Patricia Zengerle; Writing by Alistair Bell and Lisa Lambert; Editing by Nick Tattersall and Peter Cooney)

 

(貼りつけ終わり)

 

 このように読み解くと、トランプは決して戦争をしようとしているのではないということが分かります。

 

 また、トランプは、アメリカが抱えるアメリカの財政赤字、政府債務を何とかしたいと考えています。しかし、これが4年間(8年間)ですべてを帳消しにできる額ではありません。アメリカの連邦政府だけで20兆ドル(約2260兆円)も借金を抱えています。これに各州政府が発行している州債などを含むと、アメリカ全体の債務は20兆ドルの何倍になるか分かりません。5倍となると100兆ドル、約1京円という数字になります。

 

(貼り付けはじめ)

 

●「「財政はめちゃくちゃ」=巨額債務に不満-トランプ米大統領」

 

時事通信

2017年2月23日

http://www.jiji.com/jc/article?k=2017022300338&g=use

 

 【ワシントン時事】トランプ米大統領は22日、ホワイトハウスで行われた予算に関する会議の冒頭で「われわれが引き継いだ予算、米国の財政はめちゃくちゃだ」と語り、20兆ドル(約2260兆円)近い米国の債務に不満を漏らした。自らが取り組む大統領専用機や最新鋭戦闘機の値下げ交渉などで、歳出抑制に努める意向も示した。

潜水艦も値下げ迫る=軍備増強もコスト削減意欲-米大統領

 

 トランプ氏は「米国の債務は過去8年間に2倍に増えた」と指摘。その上で、優先順位を付けて政策を進めることが重要とし、「もう浪費できない。注意深く金を使っていく」と強調した。会議にはムニューシン財務長官らが出席した。

 

 トランプ氏の交渉により、最新鋭ステルス戦闘機F35は当初価格から15%程度安くなる見通し。一方、米メディアはトランプ氏が就任後1カ月弱で、フロリダ州の別荘への移動で1000万ドルの税金を使ったと分析。この金額はオバマ前大統領在任中の旅費の10カ月分に相当するとみられる。

 

 一方、スパイサー大統領報道官は22日の記者会見で、大統領の2018会計年度(17年10月~18年9月)予算教書の議会への提出が3月半ばになることを明らかにした。(2017/02/23-12:22

 

(貼り付け終わり)

 

 このアメリカの国債を買い支えているのが日本とアメリカです。以下の表をご覧ください。2016年末の段階で、日本は1兆908億ドル(約123兆2600億円)のアメリカの国債を保有しています。中国はそれより少し少ない1兆584億ドルを保有しています。日本だけでアメリカ連邦政府の借金の5%以上を占めていることになります。普通、これだけお金を貸してあげたら、借りている方からは丁寧に扱われるはずですが、「もっと払え、もっと出せ」と苛められている始末です。


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 アメリカ政府はこの2000兆円ものをどうするか、少々インフレにしたり、ちまちま減らしていったり返済できるものではありません。ですから、借金を返せないと踏み倒すか、戦争で全てをうやむやにしてしまうしかありません。この時、一番に被害を蒙るのは日本です。ですから、そうならないために、アメリカの国債保有額を少なくしテイク実用があります。そのために、トランプと「交渉」せねばなりません。しかし、連日の国会でしどろもどろかつ、訳の分からないことを口走る安倍晋三首相にはできないことでしょう。ですから、私たちは立派な政治家を押し上げて指導者にしなければなりません。

 

(終わり)













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 古村治彦です。

 

 今回は、塚本幼稚園・森友学園に関するワシントン・ポスト紙の記事を皆様にご紹介します。これまで、ニューヨーク・タイムズ紙、ザ・ガーディアン紙の記事をご紹介しましたが、今回の記事はそれらとまた少し違う視点からの内容になっています。

 

 今回の記事は、今回のスキャンダルが、安倍首相に致命傷になりかねないという視点から書かれています。内容自体はこれまで紹介されたものがほとんどですが(前半は幼稚園の教育内容と差別の件、後半は土地取引の件となっています)、安倍晋三記念小学校という言葉が出てきており、また、土地取引で、8億円値引きされ、更にゴミの除去費用で1億2000万円が政府から学園側に支払われており、実質的に土地がタダで学園に与えられた点を書いてあります。

 

 外側からの目で見ると、事態がよりシンプルにかつ明確に見えてきます。そして、安倍首相にとってはこの問題が命取りになる可能性を秘めているということ分かります。

 

(貼りつけはじめ)

 

日本において、ある学校を巡るスキャンダルが安倍氏に絡みつく危険性が出てきている(In Japan, a scandal over a school threatens to entangle Abe

 

アンナ・フィールド

ワシントン・ポスト

2017年2月27日

https://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/in-japan-a-scandal-over-a-school-threatens-to-entangle-abe/2017/02/27/29486b94-fa1a-11e6-aa1e-5f735ee31334_story.html?utm_term=.8777d9ea980a

 

東京発。日本の首相が彼の任期の中で最大の危機に直面している。後ろ暗い土地取引、隠蔽、「邪悪な」韓国人と中国人についての文章を送った幼稚園を巡る、急激に大きくなりつつあるスキャンダルに絡み付かれている。

 

安倍晋三氏は間違ったことは何もしていないと強く否定し、安倍昭恵夫人は、スキャンダルと批判の中心点となっている新設予定の学校の「名誉校長」を辞任した。しかし、スキャンダルがすぐに終息するという兆候は見られない。

 

上智大学の政治学教授で安倍政権を厳しく批判している中野晃一氏は「多くの疑問が浮上しており、安倍首相はこれらに答える必要があります。安倍氏が直接関与しているかどうかは分かりません。もし関与していないにしても、今回の件で安倍首相は痛手を蒙るでしょう」と述べた。

 

全てはヘイトスピーチに関する地方の小さな話から始まった。

 

大阪府豊中市にある塚本幼稚園(訳者註:正確には大阪市淀川区)が、保護者たちに対して手紙を送り、その中で在日韓国・朝鮮人や日本在住の中国人が「邪悪な考え(wicked ideas)」を持っていると述べ、中国人に対して侮蔑的な言葉を使った。

 

この私立幼稚園の運営する学校法人の理事長である籠池泰典氏は、手紙の送付は事実だと認めた。

 

別の文書では、「日本国内に(韓国人の)精神を受け継いでいるのに見た目は日本人という人々が存在することが問題です」と述べていた。共同通信がある保護者からこの手紙を入手し、内容を報道した。

 

共同通信が入手した2015年の運動会(a sport day)の映像では、ある園児が「日本を悪者にする中国と韓国には心を入れ替えてもらいたいです。私たちは安倍首相を支持します」と述べている。

 

安倍氏は月曜日になって、学校から距離を取ろうと躍起となった。国会での質疑の中で、「自分は教育内容について全く知らない」と述べた。

 

安倍氏は、籠池氏について以前、「私の考えとよく似た考えを持っている人」と述べていた。しかし、月曜日になって、「人種、国籍、宗教」で差別をする人は学校の指導者としてふさわしくないと述べた。

 

安倍氏は、「当然のことですが、私はあのような形で園児に応援されたいとは思いません。また、園児たちがあのようなことを言うのは、園児たちにとって適切ではないと考えます」と述べた。

 

大阪は在日韓国・朝鮮人の割合が特に高い。在日韓国・朝鮮人は、20世紀初めの日本による朝鮮半島の植民地支配が残したものである。

 

塚本幼稚園に通う3歳から5歳の園児たちは、日本国旗の前で国歌を歌い、教育勅語を暗唱する。教育勅語は1890年に制定され、日本人に対して、「皇統を保護し、その繁栄を維持する」ために「国に対して自分自身を勇敢に捧げる」よう求める内容だ。教育勅語は第二次世界大戦で日本が敗北した後、廃止された。この時、日本における天皇の役割は、儀式的なものにまで縮小された。

 

塚本幼稚園はウェブサイトでは、「塚本幼稚園では、日本人としての礼節を尊び、愛国人を育てる」としている。そして、幼稚園はこのウェブサイトを通じて、一連の文書の内容について「誤解」を招いたことを謝罪した。

 

しかし、スキャンダルが本格化したのは、塚本幼稚園を運営する森友学園が「安倍晋三記念小学校(“Shinzo Abe Memorial Elementary School”)」とつけようとした学校の敷地のために購入した土地が大きく値引きされて売られていたことが明らかになってからだ。

 

新設の小学校は今年の4月に開校予定だ。小学校はウェブサイトの中で、「初めてのそして唯一の神道小学校」であることを宣伝し、「日本人としての誇りを持ち、強固な背骨を持つ子供たちを育てる」としている。神道は日本の精霊信仰の宗教で、安倍氏はその信者だ。

 

森友学園は昨年、評価額840万ドルの2エーカーの土地に120万ドルを支払った。この値引きは表向き、土地がゴミや汚染土を含んでいたからだと説明されている。それにもかかわらず、政府は、ごみ処理や清掃のためのコストにかかる費用として、120万ドルを払い戻している。これは、森友学園が支払った額と同額だ。

 

日本共産党に所属する宮本岳志衆議院議員は、国会で「これは、政府がタダで土地をあげたということではないですか?」と質問した。

 

隣りにある少し広い土地は2010年に豊中市が講演を設置するために売却されたが、その値段は1250万ドルだった。学校が支払った金額の10倍だ。

 

現在、財務省は土地取引交渉に関する記録は、取引が成立後に廃棄したと述べている。これに対して、野党第一党の民進党の議員たちは、政府が隠蔽していると非難している。会計検査院(The Board of Audit)が現在、調査中である。

 

安倍氏は、森友学園に対して自分の名前を学校に使わないように頼んだが、寄付金集めの過程で、学園側が安倍氏の依頼を無視したと述べた。

 

安倍氏は先週の国家の委員会で「私が何度も止めるように依頼したのに、そのような形で私の名前が使われたことは極めて残念です」と述べた。安倍氏は更に、自分か妻が何か間違ったことをしていたことが発見されたら、自分は首相も議員も辞職すると述べた。

 

安倍昭恵夫人は、籠池校長の「情熱」を称賛していた。そして、名誉校長を務めた。しかし、先週金曜日になって名誉校長を辞任した。そして、学校のウェブサイトから彼女についての記述は全て削除された。

 

この件で、スキャンダルは人種差別だけでなく、政治的な談合(political collusion)の疑惑にまで広がることになった。

 

学校法人の理事長である籠池氏は、日本会議大阪支部の役員だ。日本会議は、国家主義的な団体で、安倍晋三首相や、与党議員たちの多く、そして、安倍内閣の大臣たちと深いつながりを持っている。

 

日本会議は多くの目標を掲げているが、その中には、「愛国心の醸成」と、第二次世界大戦後に日本を占領したアメリカによって書かれた憲法にかわって、「我が国の真の特性を基盤にした」新しい憲法の制定をすることが含まれている。

 

安倍氏は、強固な保守主義者(arch-conservative)で、日本を再び「美しい国」に(make Japan a “beautiful country” again)したいと望んでいる。安倍氏は、戦後日本に付けられた足枷を緩めるために改憲に向けて邁進している。

 

しかし、日本会議の目標は、日本に戦前の強さを回復させることである。籠池氏は、幼稚園の保護者向けのニュースレターの中で、改憲を主張し、「安倍晋三首相のような偉大な人物から学ぶ」ことを奨励した。

 

複数の専門家は、このスキャンダルが大きくなり続け、安倍氏が現在明らかになっているものよりもより大きな役割を果たしていたことが発見されたら、安倍氏に致命的に大きなダメージを与えることになるだろうと述べている。

 

左派の新聞社である毎日新聞社の記者だった板垣英憲氏は、「今回の疑惑で安倍政権は大きく傷ついており、政権の基盤を揺るがす可能性があります」と述べた。

 

今回のスキャンダルは、地方政治のそして人種差別に関わる問題を含んでいるが、それ以外に、日本の近隣諸国との間で外交的な嵐を巻き起こす可能性を持っている。板垣氏は、「安倍氏首相は今回の疑惑は小さな問題だと考えているかもしれません。しかし、大きなダメージになる可能性を秘めているのです」と述べている。

 

複数の世論調査で、安倍氏は約60%の支持率を記録している。そして、自民党内、そして野党第一党の民進党から彼に挑戦しようという動きはほぼない。しかし、スキャンダルが拡大することで、衆議院の解散と総選挙の実施という彼の計画が遅れる可能性もある。

 

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