古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

 古村治彦です。  

 2017年2月11日、日米首脳会談がワシントンDCのホワイトハウスで行われました。その後、フロリダ州の高級リゾート(トランプ所有)で夕食会が行われ、その翌日にはゴルフを行うということです。  トランプや日本政府のツイッターやフェイスブック上では、安倍晋三首相と仲良さげに写っている写真が掲載されています。トランプが10数秒間安倍首相と握手をしている様子もテレビで流されました。  

 アメリカの雇用を生み出すために、「日米成長雇用プログラム」で、日本の年金を差し出すことは安倍首相の訪米前には既に決定していますが、資金の行先はどうも、アメリカ国内の高速鉄道(新幹線)の建設になりそうです。トランプ大統領は、中国や日本の高速鉄道に言及し、アメリカでも建設を進めたいと発言しました。日本の投資で新幹線を建設することは、どれほど買い叩かれるかは分かりません。  

 以下にご紹介する論文は、保守系のシンクタンクの研究員が書いたものです。内容は、簡単に言うと、「日本は、トランプ政権にとって役立つことを証明しなければならない」「アメリカの国益にかなう存在にならねばならない」というものです。  お金の面でも、そして、外交・軍事の面でも「最前線」に立つ国家となることが、日本にとっての賢い選択だということですが、日本の国益については全くと言ってよいほど、考慮されていません。この点はアメリカ人の研究者が考えることではなく、日本の政治家が考え、行動すべきですが、安倍首相のこびへつらった、浮ついたニヤケ顔の写真を見ていると、そんなことを求めるのは不可能なのだという気持ちにさせられます。

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日本はいかにしてトランプと「一緒に」勝利できるか(How Japan Can ‘Win’ With Trump)

ダニエル・トゥワイニング筆
2017年2月2日
『フォーリン・ポリシー』誌
https://foreignpolicy.com/2017/02/02/how-japan-can-win-with-trump/

日本の安倍晋三首相は、11月に諸外国の首脳の中で最も早くトランプと会談を行った。2月3日、ジェイムズ・マティス国防長官は新国防長官初めての外国訪問として、日本を訪問する。こうした一連の動きは、日本政府がトランプ政権の外交・安全保障政策において重要な役割を果たすことになると示唆している。しかし、日本政府の高官たちは、トランプの興味をそそるために、日米同盟関係の協力について明確にするために賢くならねばならない。日本はこれができる稀有な立場にある。日本は、アメリカ国内、海外における日米共通のゴールをトランプが達成できるように貢献ができる方法は数多くある。

第一に、トランプ大統領は、日米同盟の価値に懐疑的になっているが、日本は、アメリカにタダ乗りしているのではなく、同盟国のお手本として、太平洋の平和を維持するために負担を分担していることを示さねばならない。日本は、沖縄に駐留している米軍に対する予算的な援助を行っている。その結果、米軍はカリフォルニア州に駐屯するよりも安い経費で沖縄に駐留できている。日本は現在まで国防予算を増加させ続けており、自国の防衛のためだけではなく、アメリカの防衛のために、洗練された軍事能力を持った部隊を展開させている。その一例として、北朝鮮のミサイルに対する防衛における協力が挙げられる。日本は、アメリカの同盟諸国、インドや東南アジア諸国、NATOとの軍事的な協力関係を拡大し続けている。これらの同盟諸国はアメリカ軍との協力を行えるように軍事能力を強化している。日本はアメリカ軍の地球規模での展開を支援している。それには中東やアフガニスタンにおける展開も含まれている。

第二に、より強力な同盟国としての日本は、トランプの最終的な目標である、アメリカを「再び偉大にする」ことに貢献できる。トランプは、力を増大させつつある新興大国からの挑戦を受けつつある中で、アメリカの力と影響力を増大させたいとしている。中国とロシアは同盟国をほとんど持っていないし、その力は限定的だ。そして、アメリカと、アメリカと競争している国々との間の違いは、アメリカは地球を覆う同盟諸国のネットワークを持っている点だ。ある国が偉大な力を持つということは、その国従う国にとっては重要であり、日本をはじめとする多くの国々は、アメリカとパートナーになりたいと望んでいる。アメリカとの同盟に対する日本の継続的な支援は、アジアにおけるトランプの目標達成をより容易にすることだろう。トランプのアジアにおける目標は、中国のアジア地域の支配を阻止することである。日本が同盟関係に貢献することで、アメリカは有利な立場に立ち、ライヴァル諸国に対して比較優位の立場に立てるのだ。

 第三に、日本の指導者たちは、新たにワシントンにやって来た支配者たちに対して、「日本は貿易における脅威などではなく、根本的に経済協力者である」ということを理解できるように手助けをしなければならない。日本はアメリカに対する投資を行う外国としてはトップグループに入っている。アメリカ国内で年間販売される日本車約400万台のうちの約75%は北米で生産されている。日本の自動車メーカーは、トランプが守ろうとしている給料の高い製造業の仕事に数多くのアメリカ人を雇用している。 現在の日本は1980年代の「日昇る」日々の時のような、アメリカにとっての輸出に関して脅威ではなくなっている。日本ではなく、中国によるアメリカ企業の買収はアメリカの国家安全保障にとってリスクとなる。日本企業と日本の資本は、トランプがアメリカの有権者に約束した、アメリカの復活にとって重要な存在となる。それは、アメリカと日本の経済活動はその大部分は、伝統的な貿易の流れよりも、国内における生産と投資から生まれているものであるからだ。

4番目に、トランプがアメリカの経済成長のために始めようとしている米国内のエネルギー革命を日本は支援できる。日本はエネルギーに関してほぼ輸入に依存している。今年の1月初旬に、アメリカから初めて輸出された液体化された天然ガスを積んだ船が日本に到着した。伝統的な石油と天然ガスの生産、更には新技術の利用によるシェール・ガスや「タイト」オイルの生産が進むことによって、北米におけるエネルギー生産能力は、アメリカ市場の吸収力を超えるものだ。国内のエネルギー生産を促進するためには、海外市場への輸出が重要となる。現在のところ、日本は中東のリスクを抱える原産国からのエネルギー供給に依存している。そのような日本にとって、アメリカからのエネルギー輸出は、安定供給と政治的なリスクがないという利点がある。

エネルギーにおける日米協力によって、日米の経済と安全保障を確実にするためにウィン・ウィン関係を構築することができる。 トランプはTPPからの離脱を表明した。これはアメリカにとって不幸なことであった。こうした中で、アメリカのアジアの経済に対する関与において、日本は重要な存在となる。これが第五の点である。TPPは、日米間の貿易・投資の自由化がその中核にあった。その中にはアメリカが得意とするサーヴィス、農業、ディジタルといった分野が含まれている。 トランプはアメリカの重工業製品の輸出を即することに注力している。実際、アメリカの経済の生産高の80%以上がサーヴィス産業と「ソフトウェア」が生み出したもので、中国やそのほかの発展途上国がより低いコストで生産している「ハードウェア」産業が占める割合は20%以下なのだ。アメリカはサーヴィス部門では年間4000億ドルの貿易黒字を計上している。トランプ政権は、TPPの中のアメリカの経済競争力を支援する部分を抜き出し、TPPによっても残されていた相違点を解消するために、日本と二国間交渉を行うだろう。

第六の点として、トランプ政権下で新たな状況を迎える米ロ関係において、日本は要素の一部となるだろう。安倍首相はロシアのウラジミール・プーティン大統領との間で、日露関係をリセットしようとしている。これによって、第二次世界大戦以来の北方領土をめぐる争いに決着をつけたいとしている。アメリカと同様、日本にとっては、ユーラシアを支配し、ユーラシア大陸の沿岸部に存在する自由主義諸国に脅威することになる中露同盟の形成を阻止することが重要な国益となる。トランプが純粋に、アジアにおける中国の台頭をけん制するための関係を築くためにロシアとの関係を改善したいと望むならば、日本はこの試みのための、重要なパートナーとなるだろう。

第七の点として、トランプは明らかに中国との間の競争的な関係に直面している。この状況下で、活性化された日米同盟は、アメリカに有利な立場をもたらす。そして、中国にとってはアメリカと直接対峙するにあたって、日本も考慮に入れねばならず、状況が複雑化する。安倍首相率いる日本は、アジアにおける覇権を主張する中国の野心に対峙している。この点で、日本は、アメリカと同じ目標を持つ、最前線に立つ国家ということになる。アメリカは、中国が影響圏を拡大することで、経済成長著しいアジア地域における経済と軍事的なアクセスを制限されてしまい、利益を失ってしまうことになる。 日本政府の高官たちは、トランプが日本に何の相談もなく中国と交渉をして、日本の国益を損なう合意をするのではないかという不安を感じている。その中には台湾の安全保障問題も含まれる。トランプ政権は、現在のアジアの海洋秩序を維持する、南シナ海の公海における支配権を求める中国の野心をけん制し、民主諸国家と中国に懸念を持つヴェトナムのような国々のためにアジア地域の軍事バランスを強化するといった目的のために、日本とより緊密に協力するという賢い選択をすることになるだろう。

古くからのアメリカの同盟諸国の多くは、自分たちに価値を置かない、大事にしてくれないと感じているアメリカの政権との交渉の先行きに絶望している。日本のような重要な同盟国にとっての賢い行動とは、トランプ政権の外交政策と経済政策における優先事項の解決にとって重要な存在となることだ。そのためにアメリカとの間の緊密な関係を維持し、アメリカにとっての価値を増やすことができるということを示すべきだ。

(貼りつけ終わり)

 (終わり)




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 古村治彦です。

 

 今回は、私の先輩であり、友人でもある下條竜夫・兵庫県立大学准教授の最新刊『物理学者が解き明かす思考の整理法』を皆様にご紹介します。2017年2月10日に発売となります。


物理学者が解き明かす思考の整理法

物理学者が解き明かす思考の整理法

 

 下條さんは昨年、『物理学者が解き明かす重大事件の真相』という本を出版し、評判となりました。私も読みましたが、福知山線での脱線事故や和歌山カレーヒ素殺人事件といった、世の中に良く知られている事件の原因、また、あの当時、世間を大いに騒がせたSTAP細胞騒動について、分かりやすく書かれていました。


 


 私は子供のころから算数、理科、長じては数学や物理化学といった教科が大の苦手で、高校に入った後は落ちこぼれてしまい、いつも赤点ばかりでした。ですから、数字や方程式が出てくると、拒否反応が起きてしまうという恥ずかしいことになってしまいます。

 

 しかし、下條さんの本は、彼が直接私に説明してくれるような感覚で、分かりやすいものでした。実際に下篠さんと会って、話をしてみると、気さくに難しい話をできるだけ分かりやすく説明してくれる方で、それが著作にも反映されています。

 

 今夏は前作の第二弾ということに加えて、理科系から見た文化系というテーマもあるようです。

 

 多くの方に読んでいただければと思います。よろしくお願い申し上げます。

 

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はじめに

 

 2016年の1月に『物理学者が解き明かす重大事件の真相』という本を出版した。福島原子力発電事故や地球温暖化問題などの重要事件、重要問題について、私の忌憚のない見方を文章にして本にしたものだ。

 

 正直、この本を出す前は、不安だった。まず、こんな小難しい本を読んでくれる人がいるのかが心配だった。また、私の専門でない技術分野について言及することが多かったのも不安のひとつだった。自分の専門分野以外に口を出すことは、理科系の研究者ではタブーに近い。

 

 ところが、予想に反して、多くの人からお褒めの言葉をもらった。様々な人からメールや手紙をいただいたが、ほとんどは好意的な意見であった。同じ大学の先生たちからも、いたく褒められた。毒物の専門家であるコロラド大学のA. T. Tu 先生は、この本を読んで、わざわざ私に会いに来てくれた。びっくりするぐらい好評だった。

 

 皆さん、本当にどうもありがとうございました。

 

 ただ、私の研究室の学生たちだけは、この本をバカにしていた。「下條先生、こんな本だしてるよ、おもしれえなあ」「下條先生、小保方晴子が天才とか書いてる、笑える、わははははは」とか言っていたそうだ。まあ、そんなものかなあと思う。

 

 この本は、その『物理学者が解き明かす重大事件の真相』に続く、第二弾である。

 

 前回は、様々な事件とその背景を理科系の視点から見て解説した。マスコミが伝える事件の顛末ではなく、「実際はこうだろう」という、自分の思考に基づいた事件の原因と背景を描いた。今回も同様な形で、哲学、古代史、経済学、文章の書き方など、文科系の学問を『理科系から見た文科系』という視点で書いた。

 

 本文で取り上げた『理科系の作文技術』という本の次に、大学の生協で売れているのが外山滋比古著『思考の整理学』という本だ。いかに思考すれば新しいアイデアが生まれるかをエッセイの形で説明した本である。今の若い人たちにとっては、「どういう方法で思考すればいいのか、どうやれば新しい考えを生み出すことができるのか」ということが重要らしい。

 

 しかし、残念ながら、『思考の整理学』という本には実例がない。だから、どういうテーマをどのように考えればいいのか、実感がわかない。

 

 そこで、よかったら、この本を『思考の整理学』の実例集として参考にして下さい。この本で取り上げたテーマは私の専門ではない。専門家に比べ、私の知識は圧倒的に不足している。少ない知識から、どうやって思考して整理して簡潔な主張に持って行くか、それが勝負である。いかに思考すればいいかの参考例としては最適だ。

 

 しかし、この本の中には、専門家の方からみれば、「ここは完全に勘違いしているなあ」というのがあるだろう。その時は gejo@sci.u-hyogo.ac.jp までメールを下さい。必ず、ご返事差し上げます。

 

 副島隆彦先生には、企画からずっと本当にお世話になりました。ここに謝意を表します。また、ビジネス社の岩谷健一さんにもお世話になりました。ここに御礼申し上げます。

 

   2017年1月

 

                                   下條竜夫

 

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物理学者が解き明かす思考の整理法 目次

 

はじめに 3

 

第1章 なぜ日本人は哲学がわからないのか ─── 11

    「哲学」とはアリストテレス哲学のことである

 

プラトンとアリストテレス 13

哲学を信じて虐殺された女哲学者ヒュパティア 16

哲学者とはアリストテレス哲学を信奉する人たちという意味である 21

『薔薇の名前』にでてくるアリストテレス哲学 25

現代につながるアリストテレスの哲学 29

 

第2章 星占いの科学 ─── 33

    なぜ日本人は星占いが大好きなのか

 

現代の星占い 35

四神(朱雀、玄武、青竜、白虎)とは四方にある星座のことである 38

西暦150年に完成していた中国天文学 44

木星の動きからつくられた十二支 48

北極星の移動に見る中国と日本の政治思想 55

陰陽師が行っていた星占いとは何だったのか 63

 

第3章 歴史の謎を天文学から明らかにする ─── 67

    女王卑弥呼とは誰だったのか?

 

日本に伝わる妙見信仰 68

西播磨の大避神社が示す北斗七星と北極星 73

昔の北極星の位置にある大倉山山頂 76

歴史から大避神社が星の位置にある理由を探る 78

二十四節気が明らかにする日本の古代史 79

日本に入ってきた道教 84

女王卑弥呼の正体 87

道教国家・日本 89

 

第4章 金融工学とはどういう学問か ─── 93

    なぜ儲けることができるのか

 

金融工学という錬金術 95

金融工学の想定外、ファットテイル(fat tail) 100

経済物理(econophysics)が予言した2014年1月の株式市場の暴落 107

20世紀は数学が世界を席巻していた時代である 111

 

第5章 現代物理学は本当に正しいのか? ─── 115

    副島隆彦氏との対談

 

物理学とはどのような分野に分かれるのか? 117

現代物理学は正しいのか 119

エルンスト・マッハの科学哲学 126

科学とは思考を節約するためにある 134

文科系の人間は「一定の条件において」を認めない 138

 

 

第6章 STAP事件の真実 ─── 147

    なぜ小保方晴子著『あの日』は陰謀論と呼ばれたか

 

業績を奪われ激怒していたハーバード大学バカンティ教授 149

STAP事件に関する異常な世論誘導 157

再現実験での丹羽仁史副チームリーダーの実験データ 162

STAP特許はまだ生きている 167

STAP細胞関連でファンドを獲得しているバカンティ教授 170

故笹井芳樹氏の見た夢 171

 

第7章 AIとは何か ─── 175

    経験は知恵に勝る

 

プロ棋士と互角の戦いをする将棋プログラム『ボナンザ』 177

将棋プログラムの強さは「特徴ベクトル」によって決まる 178

プロ棋士の指手をまねる 182

「特徴ベクトル」を自分で見つける最近のAI 186

脳の機能に似ている深層学習 189

 

第8章 なぜ日本人は論理的な文章が書けないのか? ── 193

    論理とはことばとことばの連結である

 

論理的な文章とはどういうものか 196

パラグラフ・ライティング 198

実際の文章例 203

文章に必要な要素① flow(流れ) 206

テーマの糸 212

文章に必要な要素② clarity(明快さ) 214

プレゼンテーション(パワーポイント)への応用 216

現代日本語は英語の文章作法を基礎としている 217

 


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アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22






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 古村治彦です。

 

 前回のブログ記事で、私は、トランプ新政権のインフラ整備に関する記事をご紹介しました。トランプ新政権は、アメリカ国内の壊れつつあるインフラ整備に力を入れるとしています。そして、その財源として、減税による民間投資の活発化と、官民パートナーシップ(PPP)を実施すると主張しています。しかし、これらがうまくいけばいいのですが、うまく回らないと、財政赤字と整備事業の頓挫という結果を招きかねません。トランプのインフラ整備には、どうしても財源の不安が付きまといます。

 


 そうした中、昨日、「2017年2月10日の日米首脳会談において、日本側・安倍晋三首相から、アメリカのトランプ大統領に対して、“日米成長雇用イニシアチブ”を提案する」というニュース速報が流れました。

 

 以下の記事にあるように、このイニシアチブ(政策パッケージ)については、2017年1月31日の段階で既に概要は決まっていたようです。日本政府が、アメリカのインフラ整備に投資し、数十万人分の雇用を創出する、というもので、昨日の報道では、「日米を中心に」70万人分の雇用を創出するということでした。そして、その原資として、日本の年金資金を出すということでした。

 


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Business | 2017 01 31 16:36 JST

関連トピックス: ビジネス, トップニュース

「日米イニシアチブ」検討、数十万人の米雇用増目指す=政府筋

http://jp.reuters.com/article/japan-us-initiative-idJPKBN15F0KT

 

[東京 31日 ロイター] - 日本政府が米政府に説明する目的で、米国内での雇用創出を見据えた政策パッケージの検討を進めている。複数の政府筋が明らかにした。トランプ米大統領が雇用を優先課題に掲げる中、米国のインフラ投資活性化などを通じ、日米連携で数十万人規模の雇用増につなげることを目指す。名称は「日米成長雇用イニシアチブ」とする方向で、2月10日の日米首脳会談に向けて最終調整する。

 

新たに打ち出す枠組みでは、米国内のインフラ投資を含め、複数の分野で日米が協力し、米国内での雇用拡大とともに生産性向上を促す。

 

具体的には、米国内で発行されるインフラ事業テコ入れのための債券(インフラ債)への投資や、米東海岸、カリフォルニア州、テキサス州で構想されている高速鉄道プロジェクトへの資金供給も視野に入れる。

 

安倍晋三首相は30日の参院予算委員会で、米国との通商協議に関し「ウィンウィンの関係を作り、米国の雇用を増やし、日本も良くなっていく」と述べ、日米間での経済対話に意欲を示した。

 

ただ、トランプ大統領は雇用創出を求める一方、自動車貿易を巡って日本批判を展開しており、今後のトランプ氏の動向次第で、同計画の扱いが流動的になる可能性もある。

 

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 トランプ新大統領は、「アメリカ・ファースト!」というスローガンを掲げて当選しました。この「アメリカ・ファースト!」という言葉については、このブログでもすでに書きましたが、私たち日本人に分かりやすく言うと、「国民の生活が第一」ということです。

 

 トランプ大統領の「アメリカ・ファースト!」に貢献するために、日本国民の大事な年金のお金を差し出す、と安倍首相は言っています。「“アメリカ”国民の生活が第一」で、日本国民が貯蓄してきた年金のお金を出す、ということになります。安倍首相はいったいどこの国の政治指導者なのでしょうか。アメリカ帝国のお代官で、日本国民のお金をアメリカに差し出させるのが安倍首相の仕事なのでしょうか?これまでの、そして現在の状況では、この疑問の答えは「はい、そうです」ということになります。

 

 戦後の日本の政治指導者たちは、敗戦国でありながらも、アメリカに対して、何とか取引材料を持って、交渉しようとしました。「社会党がうるさい」から憲法改正もできないし、再軍備も最低限しかできないと言いながら、社会党にはしっかり反対して欲しいと裏で言っていたり、アメリカが援助をしてくれないのなら、自助のために中国との関係を改善するなどと言ってみたり、というくらいの芸当はしました。

 

 安倍首相が70万人分の雇用を創出する、と提案するからには、こちらもアメリカ側から何かを引き出すということができるのでしょうか。これが出来なければ、ただ、孫正義氏がトランプと会った後に、「彼が5万人分の雇用を創出してくれる」とツイッターでお褒めの言葉にあずかったのと同じように、安倍首相がトランプのツイッターでほめてもらうためだけに、日本国民の年金資金を差し出すことになって終わりです。

 

 「日本がアメリカの属国なんてとんでもない、日米同盟は世界で最も重要で強固な同盟で、日米はイクオールパートナーだ」と安倍首相とその周辺は抗弁するでしょう。しかし、彼らの行動は彼らの言葉とは全く別のことをやっています。

 

 トランプ政権はドル安を望んでいます。これは、円高になるということになりますが、こうなると、日本が保有している米国債の円建てでの価値が下がることになります。ですから、それならば、日本が保有している米国債の一部を売り払ってその資金をアメリカに投資しますというくらいのことは言えばよいのに、と思います。年金資金を差し出せられるうえに、円高で資産の価値が減らされるなんて二重でマイナスのことをされても、ツイッター上でほめてほしいばかりに、お土産を持ってワシントンに「朝貢」に行くなんて、なんてバカで、マゾヒスティックなことでしょうか。


 日本といえば、「サムライ・ニッポン」ですが、今や「シハライ・ニッポン」になり果てました。

 

(終わり)













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