古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

 古村治彦です。

 

 これまでにもアメリカにおける戦闘的な左派グループであるantifaについての記事をご紹介しました。今回もまた、ピーター・ベイナートによる論稿をご紹介します。ベイナートの基本的な立場は、「antifaの暴力には反対だが、それを反対派が過剰に強調することにも反対」というものです。トランプ大統領が、シャーロッツヴィルでの事件が起きた後、白人優越主義やネオナチを明確に批判せずに、ぶつかり合った両者が悪い、という言い方をして批判を浴びました。

 

 白人優越主義やネオナチとそれらを信奉する人々による暴力はまずもって批判されねばなりません。白人優越主義やナチズムが席巻し、それが政権のイデオロギーになった時に、人類に大きな不幸をもたらしました。

 

 こうした白人優越主義やネオナチに対抗するために、反ファシズム運動、antifaが生まれたという歴史を考えると、その正当性が高いということは言えます。しかし、一般の人々を威圧するような行動が出てくるようになると話は別です。ポートランドで開催されたパレードで、参加者の中にトランプがかぶっている赤い帽子をかぶっている人がいれば、乱入する、という警告を出したのはやりすぎであり、自分たちの正義を押し付けて、かえって人々を抑圧し、彼らが反対していることを自分たちがやっているということになります。

 

 正義が暴走する、目的が手段を正当化する、という言葉がありますが、これは右派であろうが、左派であろうが、誰であろうが、許されることではありません。常に自分たちの主張に瑕疵はないか、間違っていないかということを顧みなければ、自分たちが抑圧する側になるということが起こります。そこは常に気を付けたいものです。

 

(貼りつけはじめ)

 

antifaに関してトランプが間違っていること(What Trump Gets Wrong About Antifa

―トランプ大統領が左派の暴力について懸念を持っているのなら、暴力的な左派の台頭を招いている白人優越主義運動と戦うことで左派の台頭の対処を開始することができる

 

ピーター・ベイナート筆

2017年8月16日

『ジ・アトランティック』誌

https://www.theatlantic.com/politics/archive/2017/08/what-trump-gets-wrong-about-antifa/537048/

 

火曜日の記者会見で、ドナルド・トランプは、彼が「オルト左派(alt left)」と呼ぶものについて長広舌をふるった。トランプは、先週末のシャーロッツヴィルで起きた事件について、白人優越主義者だけが非難されるべきではないと主張した。トランプは次のように明言した。「白人優越主義者たちの反対側にいたグループもまた大変に暴力的だった。これは誰も言いたがらないが」。

 

私はトランプの最後の言葉は正しくないということを自信をもって言える。本誌9月号には私の論稿「暴力的左翼の台頭」も掲載されている。その中で、私は、トランプが「誰も議論したくない」と主張している現象について議論している。トランプ大統領の発言は正しい。シャーロッツヴィルやその他の場所で、左派の活動家たちが振るう暴力が深刻な問題となっている。トランプ大統領が間違っているのは、左派と白人優越主義を比較可能なものと主張していることだ。

 

トランプが「オルト左派(この言葉が悪いということを後ほど説明する)」と呼ぶものは、antifaだ。Antifaは、反ファシスト(anti-fascist)を縮めた言葉だ。antifaの運動は1920年代から1930年代にかけてドイツ、イタリア、スペインの路上でファシストと戦った戦闘的左派にまで遡ることができる。1970年代から1980年代、1990年代にかけて、イギリスとドイツの人種差別に反対するパンクたちが、音楽シーンに浸透しつつあったネオナチのスキンヘッドたちを追い出そうとした。パンクを通じて、反人種差別行動と自称したグループ、のちの反ファシスト行動、antifaがアメリカで勢いを増していった。 antifaはトランプ時代になって爆発的な成長を遂げている。それには明確な理由がある。それは、白人優越主義が公の場に出てくるようになり、それに対抗するために人々が動員されるようになったからだ。

 

アナーキズム運動の一部として、antifaの活動家たちは、政府の政策を変更させることよりも直接行動で白人優越主義と戦っている。彼らは白人優越主義者たちを公の場で特定しようとし、彼らが失職し、アパートから追い出されるようにしようとしている。彼らは白人優越主義者のデモに乱入する。時には暴力が伴う。

 

私は論稿の中で同意したように、彼らの戦術の中にはトラブルを引き起こすだけのものが存在する。戦術のためにかえってマイナスになることがある。それは、保守派がantifaの暴力を自分たちの正当化や白人優越主義者たちの暴力の免罪に使うからだ。これはトランプが記者会見の時に行ったことだ。戦略的にもマイナスだ。それは、白人優越種者たちが自分たちを集会の自由の権利を侵害されている被害者であると描写するからだ。道徳的にもマイナスだ。それは、antifaの活動家たちはこの権利を蹂躙しているからだ。暴力を使用することで、公民権運動の白人優越主義との闘いにおける道徳的な遺産を否定している。 そして、人種差別主義者たちが集まることを否定することで、ACLUの道徳的な遺産を拒否している。1977年、ACLUは、ネオナチがイリノイ州スコーキーで行進する権利を守るために連邦最高裁まで戦った。

 

antifaの活動家たちはまじめだ。彼らは、自分たちの行為は弱い立場の人々が傷つけられることから守っていると純粋に信じている。コーネル・ウエストは、シャーロッツヴィルで自分たちが行ったのはこれだと主張している。しかし、antifaが主張している反権威主義は、根本的に権威主義的だということが言える。それは、antifaの活動家たちは誰も選挙で選ばれていないのに、「この人の考えは醜いので公の場で表明することはできない」ことを決めることができるという主張は権威主義的だ。このような反民主的、正統ではない権力は腐敗する。これは今年4月にオレゴン州ポートランドで起きたことが示している。Antifaの活動家たちは、ポートランドのローズフェスティヴァルのパレードで共和党の地方委員会が参加する場合に、トランプ大統領がかぶっている赤い帽子をかぶっている人々が一緒に歩く場合には、パレードに乱入するという警告を発した。Antifaの警告のために、共和党の地方委員会は、物理的な暴力や脅迫のために、有権者登録ができないと主張した。

 

だから、antifaは、保守陣営の創造の産物ではない。 リベラル派こそが対峙しなければならない道徳的問題なのだ。

 

しかし、antifaが問題であると発言することは、トランプが行ったように、白人優越主義と同等の問題だと示唆することとは違う。「オルト左派」という言葉を使うことは、存在しない道徳的な問題であると主張することである。

 

第一に、antifaは、暴力を使っているが、白人優越主義者たちが使うほどのレヴェルの暴力を使ってはいない。シャーロッツヴィルで殺人を犯したのは、antifaの活動家ではなく、ナチスの信奉者であったことは偶然ではない。名誉毀損防止連盟(Anti-Defamation League)によると、2007年から2016年までの10年間で、右派過激派は372件の政治的な動機を持った殺人を犯した、ということだ。左派の同様の事件はこの数字の2%以下に過ぎない。

 

第二に、antifaの活動家たちは、オルト右翼のように権力を掌握していはいない。白人優越主義、キリスト教優越主義はアメリカ史の中の長い期間、アメリカ政府の政策となってきた。アナーキズムはそうではなかった。アメリカの公園や政府機関の建物にミハイル・バクーニンの銅像がないのはそのためだ。Antifaにはスティーヴ・バノンのような人物はいない。バノンは、彼が参加していた「ブライトバート」について、「オルト右翼の討論の場」と呼んでいる。そして、現在はホワイトハウスで働いている(訳者註:その後は更迭された)。antifaにはジェファーソン・ボーリガード・セッションズ三世司法長官のような人物はいない。彼のミドルネームは南軍の将軍の名前で、ファーストネームは、南部連合の大統領の名前である。また、セッションズはNAACPを「反米的」と呼んだ。It boasts no equivalent to Alex Jones, アレックス・ジョーンズはドナルド・トランプを「素晴らしい」と称賛した。antifaの社会に関する考えは「オルト右翼」の考えほど有害ではないが、考えを実現するだけの力を持っていない。

 

antifaの考えは有害ではない。antifaの活動家たちは大量虐殺や強制奴隷労働を行った政権や体制を称賛しない。彼らのほとんどはアナーキストだ。アナーキズムは現実的なイデオロギーではない。しかし、アナーキズムはある特定の人種や宗教の人々を人間以下の存在と描くようなイデオロギーではない。

 

ドナルド・トランプがantifaを弱体化させたいと望むなら、自分自身の偏見をなくすように最大限の努力をすべきだ。彼の偏見に対抗して、antifaは人々を動員しているのだ。シャーロッツヴィルのような場所で南軍の銅像を降ろすことは良いスタートとなるだろう。

 

(貼りつけ終わり)

 

(終わり)

アメリカの戦闘的左派グループについての論稿をご紹介します③

 

 古村治彦です。

 

 これまでにもアメリカにおける戦闘的な左派グループであるantifaについての記事をご紹介しました。今回もまた、ピーター・ベイナートによる論稿をご紹介します。ベイナートの基本的な立場は、「antifaの暴力には反対だが、それを反対派が過剰に強調することにも反対」というものです。トランプ大統領が、シャーロッツヴィルでの事件が起きた後、白人優越主義やネオナチを明確に批判せずに、ぶつかり合った両者が悪い、という言い方をして批判を浴びました。

 

 白人優越主義やネオナチとそれらを信奉する人々による暴力はまずもって批判されねばなりません。白人優越主義やナチズムが席巻し、それが政権のイデオロギーになった時に、人類に大きな不幸をもたらしました。

 

 こうした白人優越主義やネオナチに対抗するために、反ファシズム運動、antifaが生まれたという歴史を考えると、その正当性が高いということは言えます。しかし、一般の人々を威圧するような行動が出てくるようになると話は別です。ポートランドで開催されたパレードで、参加者の中にトランプがかぶっている赤い帽子をかぶっている人がいれば、乱入する、という警告を出したのはやりすぎであり、自分たちの正義を押し付けて、かえって人々を抑圧し、彼らが反対していることを自分たちがやっているということになります。

 

 正義が暴走する、目的が手段を正当化する、という言葉がありますが、これは右派であろうが、左派であろうが、誰であろうが、許されることではありません。常に自分たちの主張に瑕疵はないか、間違っていないかということを顧みなければ、自分たちが抑圧する側になるということが起こります。そこは常に気を付けたいものです。

 

(貼りつけはじめ)

 

antifaに関してトランプが間違っていること(What Trump Gets Wrong About Antifa

―トランプ大統領が左派の暴力について懸念を持っているのなら、暴力的な左派の台頭を招いている白人優越主義運動と戦うことで左派の台頭の対処を開始することができる

 

ピーター・ベイナート筆

2017年8月16日

『ジ・アトランティック』誌

https://www.theatlantic.com/politics/archive/2017/08/what-trump-gets-wrong-about-antifa/537048/

 

火曜日の記者会見で、ドナルド・トランプは、彼が「オルト左派(alt left)」と呼ぶものについて長広舌をふるった。トランプは、先週末のシャーロッツヴィルで起きた事件について、白人優越主義者だけが非難されるべきではないと主張した。トランプは次のように明言した。「白人優越主義者たちの反対側にいたグループもまた大変に暴力的だった。これは誰も言いたがらないが」。

 

私はトランプの最後の言葉は正しくないということを自信をもって言える。本誌9月号には私の論稿「暴力的左翼の台頭」も掲載されている。その中で、私は、トランプが「誰も議論したくない」と主張している現象について議論している。トランプ大統領の発言は正しい。シャーロッツヴィルやその他の場所で、左派の活動家たちが振るう暴力が深刻な問題となっている。トランプ大統領が間違っているのは、左派と白人優越主義を比較可能なものと主張していることだ。

 

トランプが「オルト左派(この言葉が悪いということを後ほど説明する)」と呼ぶものは、antifaだ。Antifaは、反ファシスト(anti-fascist)を縮めた言葉だ。antifaの運動は1920年代から1930年代にかけてドイツ、イタリア、スペインの路上でファシストと戦った戦闘的左派にまで遡ることができる。1970年代から1980年代、1990年代にかけて、イギリスとドイツの人種差別に反対するパンクたちが、音楽シーンに浸透しつつあったネオナチのスキンヘッドたちを追い出そうとした。パンクを通じて、反人種差別行動と自称したグループ、のちの反ファシスト行動、antifaがアメリカで勢いを増していった。 antifaはトランプ時代になって爆発的な成長を遂げている。それには明確な理由がある。それは、白人優越主義が公の場に出てくるようになり、それに対抗するために人々が動員されるようになったからだ。

 

アナーキズム運動の一部として、antifaの活動家たちは、政府の政策を変更させることよりも直接行動で白人優越主義と戦っている。彼らは白人優越主義者たちを公の場で特定しようとし、彼らが失職し、アパートから追い出されるようにしようとしている。彼らは白人優越主義者のデモに乱入する。時には暴力が伴う。

 

私は論稿の中で同意したように、彼らの戦術の中にはトラブルを引き起こすだけのものが存在する。戦術のためにかえってマイナスになることがある。それは、保守派がantifaの暴力を自分たちの正当化や白人優越主義者たちの暴力の免罪に使うからだ。これはトランプが記者会見の時に行ったことだ。戦略的にもマイナスだ。それは、白人優越種者たちが自分たちを集会の自由の権利を侵害されている被害者であると描写するからだ。道徳的にもマイナスだ。それは、antifaの活動家たちはこの権利を蹂躙しているからだ。暴力を使用することで、公民権運動の白人優越主義との闘いにおける道徳的な遺産を否定している。 そして、人種差別主義者たちが集まることを否定することで、ACLUの道徳的な遺産を拒否している。1977年、ACLUは、ネオナチがイリノイ州スコーキーで行進する権利を守るために連邦最高裁まで戦った。

 

antifaの活動家たちはまじめだ。彼らは、自分たちの行為は弱い立場の人々が傷つけられることから守っていると純粋に信じている。コーネル・ウエストは、シャーロッツヴィルで自分たちが行ったのはこれだと主張している。しかし、antifaが主張している反権威主義は、根本的に権威主義的だということが言える。それは、antifaの活動家たちは誰も選挙で選ばれていないのに、「この人の考えは醜いので公の場で表明することはできない」ことを決めることができるという主張は権威主義的だ。このような反民主的、正統ではない権力は腐敗する。これは今年4月にオレゴン州ポートランドで起きたことが示している。Antifaの活動家たちは、ポートランドのローズフェスティヴァルのパレードで共和党の地方委員会が参加する場合に、トランプ大統領がかぶっている赤い帽子をかぶっている人々が一緒に歩く場合には、パレードに乱入するという警告を発した。Antifaの警告のために、共和党の地方委員会は、物理的な暴力や脅迫のために、有権者登録ができないと主張した。

 

だから、antifaは、保守陣営の創造の産物ではない。 リベラル派こそが対峙しなければならない道徳的問題なのだ。

 

しかし、antifaが問題であると発言することは、トランプが行ったように、白人優越主義と同等の問題だと示唆することとは違う。「オルト左派」という言葉を使うことは、存在しない道徳的な問題であると主張することである。

 

第一に、antifaは、暴力を使っているが、白人優越主義者たちが使うほどのレヴェルの暴力を使ってはいない。シャーロッツヴィルで殺人を犯したのは、antifaの活動家ではなく、ナチスの信奉者であったことは偶然ではない。名誉毀損防止連盟(Anti-Defamation League)によると、2007年から2016年までの10年間で、右派過激派は372件の政治的な動機を持った殺人を犯した、ということだ。左派の同様の事件はこの数字の2%以下に過ぎない。

 

第二に、antifaの活動家たちは、オルト右翼のように権力を掌握していはいない。白人優越主義、キリスト教優越主義はアメリカ史の中の長い期間、アメリカ政府の政策となってきた。アナーキズムはそうではなかった。アメリカの公園や政府機関の建物にミハイル・バクーニンの銅像がないのはそのためだ。Antifaにはスティーヴ・バノンのような人物はいない。バノンは、彼が参加していた「ブライトバート」について、「オルト右翼の討論の場」と呼んでいる。そして、現在はホワイトハウスで働いている(訳者註:その後は更迭された)。antifaにはジェファーソン・ボーリガード・セッションズ三世司法長官のような人物はいない。彼のミドルネームは南軍の将軍の名前で、ファーストネームは、南部連合の大統領の名前である。また、セッションズはNAACPを「反米的」と呼んだ。It boasts no equivalent to Alex Jones, アレックス・ジョーンズはドナルド・トランプを「素晴らしい」と称賛した。antifaの社会に関する考えは「オルト右翼」の考えほど有害ではないが、考えを実現するだけの力を持っていない。

 

antifaの考えは有害ではない。antifaの活動家たちは大量虐殺や強制奴隷労働を行った政権や体制を称賛しない。彼らのほとんどはアナーキストだ。アナーキズムは現実的なイデオロギーではない。しかし、アナーキズムはある特定の人種や宗教の人々を人間以下の存在と描くようなイデオロギーではない。

 

ドナルド・トランプがantifaを弱体化させたいと望むなら、自分自身の偏見をなくすように最大限の努力をすべきだ。彼の偏見に対抗して、antifaは人々を動員しているのだ。シャーロッツヴィルのような場所で南軍の銅像を降ろすことは良いスタートとなるだろう。

 

(貼りつけ終わり)

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12








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自由民主党所属の衆議院議員・石崎徹氏のブログ「地元生まれ 地元育ち この街から未来のリーダーを」において、2017年10月26日13時16分に投稿された「113045票の重みと与党代議士としての大事な役割」というタイトルの記事に大変興味深い記述がありました。

 

石崎議員のブログのアドレスは以下の通りです↓

https://ameblo.jp/tohru-ishizaki/entry-12322977670.html

 

 石崎議員は慶應義塾大学法学部を卒業し、国家公務員一種試験を突破し、財務省のキャリア官僚となり、その後、2012年の自民党の公募に合格し、総選挙に立候補し当選した人物です。1984年生まれで当時は最年少の当選者だったそうです。まだ三十代前半で、自民党の若手のホープだともいわれているそうです。衆議院議員2期務め、今回の総選挙でも小選挙区では落選しましたが、北陸信越ブロックから比例復活当選を果たし、衆議院議員3期目を務めることになりました。

 

 石崎議員のブログの内容で看過できない部分は以下の一文です。

 

(貼り付けはじめ)

 

野党系が多数を占める新潟県において、「新潟県だけ」国の予算が下りてこない異常事態が続く可能性もあります。

 

(貼り付け終わり)

 

 新潟県にお邪魔したこともなく、新潟県に関しては詳しい知識や情報がないのですが、この石崎氏の記述は捨ててはおけない内容です。野党系の代議士が多い新潟県はこれまでも「国の予算が下りてこない」が、今回の総選挙でも野党系が勝利をしたので、「国の予算が下りてこない」異常状態が続く、ということになる、と石崎議員は述べています。

 

 3割自治などと呼ばれて、国の予算が地方自治体において大きな部分を占めている現状において、「国の予算が下りてこない」状態が「続いている」ことは異常事態です。石崎議員は財務省キャリア官僚出身でありながら、この状態を放置しているのでしょうか。いくら、「謙虚、謙虚」と鶯のように鳴くだけの自由民主党所属の議員だからと言って、「野党系に投票する人間が多い新潟だからそれくらいの懲罰を受けるのは当たり前だ」と思っておられるのでしょうか。

 

 石崎議員は「こんなひどいやり方は止めろ。私は自由民主党所属の衆議院議員だが、自民に投票する人が少ないからといって国からの予算が下りない状態を続けるのは止めろ」と財務省なり自民党本部なりに掛け合いに行かないものでしょうか。それとも、「与党系である候補者(=石崎氏)に入れない有権者が多いのだから、懲罰を受けて当然だ」と思っておられるんでしょうか。

 

 このように与党系でなければ予算を減らす、もしくは報復的に国の予算を降ろさない状態を続ける、ということは、デモクラシーの根幹を揺るがす大問題です。与党に入れなければ生活を脅かされる、ということになれば、人々は与党に入れるしか選択肢はなくなります。これで健全なデモクラシーと言えるでしょうか。これでは間接的に一党独裁を目指しているとしか思えません。

 

党名に「自由」「民主」とついている政党が懲罰的に野党に入れた有権者が多い場所に対して報復的に予算を下ろさないということであれば、いわゆる自由民主党は党名を変更して不自由独裁志向党とでも改名すべきでしょう。

 

(終わり)







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  小池百合子東京都知事が公務でパリを訪問し帰国後に、希望の党の両院議員懇談会が開催されました。その場では今回の総選挙で当選した議員たちから小池氏の責任を問う声や代表辞任を求める声が出ました。そのほとんどが民進党出身の議員たちですから、「民進党の時もそうだったが、何かあると人のせいにする」というような批判が出ています。

 

 民進党出身者からすれば、民進党の看板では戦えないから、小池氏の人気に便乗して、民進党所属議員全員で出馬して頑張る、ということになっていたのに、それがご破算になってしまい、また、小池氏という数年前まで自民党の幹部議員として民進攻撃をし、自分たちは反対した実質改憲の安保法制を推進してきた人の下で戦うという苦渋の選択をしたのに、頼みの小池さんの人気が落ちてしまい、逆風まで吹くことになってしまった、ということで恨み言の一つでも言いたくなる気持ちは分かります。落選者はもっと言いたいことがあるでしょう。民進出身で当選してきた人たちはもともと地力があって、民進の看板でも当選できた可能性がある人たちが多いですから、「希望の党とは何だったのか」ということになります。

 

 そもそも今回の総選挙では、野党共闘で戦う準備が進められていました。その軍師は、自由党の小沢一郎共同代表でした。小沢一郎氏は、共産党も含めた野党共闘で安倍一強状態を打破するという「オリーブの木」構想を練りました。新潟では小沢氏に近い森裕子参議院議員をはじめ多くの方々が努力し、野党共闘が実現し、「新潟サプライズ」とも言うべき、野党側の勝利、自公側の敗北という結果が出ました。これが全国に拡大していれば、一強状態を崩すことは可能であったと思います。朝日新聞の報道では、野党共闘ができていれば約60の選挙区で結果が野党勝利になっていたという結果が出ています。しかし、野党共闘についていえば、希望の党が出てきたために、ご破算となりました。希望の党に関しては、小沢一郎氏も絡んでいたということでしたが、小沢氏が絡んでいて、こんな稚拙なことをするだろうか、野党共闘を崩すようなことをするだろうかと私はずっと疑問に思っています。民進党の前職を受け入れて立ち上げるところまでは話ができていたのに、それ以降、小池氏が出馬をして首相になるかどうかの決断を遅らせ、受け入れの民進前職の数を減らし、自由党系の人たちを冷遇、切り捨てた頃には、既に小沢氏は排除されていたのではないかと思います。

 

 これは私の勝手な考えですから笑って聞き流していただきたいのですが、小池氏は自公と野党側と両天秤をかけて、「どちらがより自分に有利な条件を出してくれるのか」ということを測っていたのではないかと思います。9月末の時点で敗北必至であった自公側は、野党分断という戦術の有効性を熟知していますから、小池氏にかなりいろいろな誘いをかけたと思います。「今のままなら小池さんが希望の党を率いて出てきたら、大勢力になる。そこで、安倍さんの改憲に協力してくれたら、ポスト安倍はあなたですよ。だけどそのためには民進党全員はまずいでしょうね。今ならずぶの素人新人でもあなたの勢いで通りますよ」くらいのことを言われてそれに乗ってしまったんでしょう。しかし、結局、失敗した、自公の口車に乗せられて失敗した、ということではないかと思います。これは私の想像ですから、「馬鹿な話だ」と笑って捨ててくださって構いません。

 

 こう書いては何ですが、各小選挙区でだいたい2万票あると言われている公明票を自民党が利用して勝利している、それならば、野党側は、多くいところで2万票、少なくとも1万票ある共産党の支持票を使わせてもらって、何とか自公に競り勝ちたい、これまでは非共産の野党と共産が協力してこなかったが、この枠組みが作れたら、自公に迫れるのではないかということだと思います。その成果はあったと思います。野党共闘は機能するということが証明されたと思います。

 

 しかし、希望の党を立ち上げた元民進メンバーたちは共産党との共闘に懐疑的、民進党の前原誠司代表も共産党となんか組めるか、という考えでした。今回の総選挙後、テレビに出た細野豪志氏や前原氏は共産党批判を展開しました。希望の党が野党共闘の枠組みを吹き飛ばして、いきなり野党第一党になろうとしたということです。しかも代表に小池百合子東京都知事を担いで、です。小池氏は2015年の安保法制、実質改憲の時は自民党所属の衆議院議員で、安保法制を推進した人物です。また、改憲に関しては安倍首相と同じ考えの人です。その人を支持するということは、実質改憲である安保法制に賛成し、この法律に合わせた憲法改悪に賛成するということになります。

 

 最近の世論調査を見ても、安倍首相が主張している改憲案に対して、賛成反対が拮抗しつつ、やや反対が多いという結果が出ています。そうなると、小池氏は改憲については安倍首相と考えが同じで協力できると述べているのですから、小池氏に対して反対する有権者の数は多くなります。確かに「排除」や「サラサラ」などの言葉や、小池氏のヘラヘラした態度が人々の反感を買ったということはあるでしょうが、これらだけが希望の党に逆風が吹いた理由ではなく、小池氏のこれまでの主張を人々が見聞きして、危険だ、安倍さんと一緒だということを認識したことも大きな理由となったと私は考えます。

 

 候補者がサインした政策協定書には、「2、現下の厳しい国際情勢に鑑み、現行の安全保障法制については、憲法にのっとり適切に運用する。その上で不断の見直しを行い、現実的な安全保障政策を支持する。4、憲法改正を支持し、憲法改正論議を幅広く進めること」と言った文言が見られます。第2条に関しては、「憲法違反である可能性がある安保法制を廃止も含めて見直す」野田から民進党と変わらない、ということになっています。しかし、民進党は「安保法制は憲法違反だ」と述べて反対したと思います。違憲の法律を「憲法にのっとり運用」するということができるのでしょうか。また、第4条の「憲法改正を支持し」とありますが、これはどういうことでしょうか。誰が主張する内容の憲法改正を支持するのでしょうか?小池氏は安倍首相と会見に関しては考えが同じですから、これについては、「小池氏が主張する、安倍首相と同じ内容の憲法改正の内容を支持する」と考えるのが自然です。これは民進党と同じことなのでしょうか。民進党は安倍晋三首相の下での会見は反対ではなかったでしょうか?

 政策協定書の文言については、小池氏と民進出身者両方が合意できる内容になっている、ということですが、そもそも、安倍氏の改憲と同じ考えで、かつ実質改憲である安保法制に賛成した小池氏と、それらに反対した民進党出身の人々との間で「合意」できる内容の文書というのは、「こうも読める、ああも読める」という霞が関文学のようなものです。頭の良い官僚や法曹関係出身の民進系の人が、ナイフのように切れ味鋭い頭脳で、「こうも読めるから民進党の時と同じ内容です」と言ったところで、「それじゃ、小池さんは考えを変えて民進党の政策を支持することになったんですか?」ということになります。「憲法改正を支持し」という文言で人質に取られても、「いやこれは決して憲法を変えることを意味しない」と言うでしょう。そういうところが有権者の支持を失った理由であると思います。

 

 希望の党に関しては、小池氏が後ろに下がって、民進党右派の人々が国会では主導権を握ることになるでしょうし、安保法制や改憲については小池氏よりも慎重な姿勢を取ると思います。そうなれば、より積極的な野党連携も可能であると思います。また、これから、日本の各政党がどのように動くかをこれからしっかりと見ていかねばならないと思います。

 

 これから、各政党、各政治家がどのように行動するかを自分ができる範囲で監視することが重要です。安倍一強状態を作り出したのは野党に責任がありますが、同時に私たち有権者にも責任があります。製造責任というか、そういうものがあると思います。

 

 衆議院は解散がありますが、参議院は3年おきに選挙があります。次は2019年です。国政に自分の考えを反映させるには次の2019年ということになります。長いようで短いものです。ですから、この時まで何が起きているか、何が自分の考えと違うかということを考えておくと、次の機会に投票しやすくなります。

 

「俺が投票に行くくらいに政治に関心を持たせろ(俺は投票に行っていない)」という芸能人がいました。彼は逆説的に政治に関心を持ってもらおうとしているのだという解釈をする人もいました。そうかもしれませんが、投票に行っていないということは実質的には与党支持、自公支持であることを述べていることと同じです。投票しないで野党支持ということはできないので、それだけでも与党に有利です。「持たせろ」という言葉は、お客様、消費者様の目線があります。「お客様は神様だろ、だから無理なことをしろ」と言っているのと同じです。デモクラシーにはお客様は想定されていません。政治家になろうとする人もそうではない有権者も参加者です。

 

 お客様の立ち位置を取ることで、自分が決めたくない、責任を取りたくないという気持ちがあるのだろうと思います。「お客様デモクラシー」になれば政治家は喜ぶでしょう。「お客様は何もしなくて結構ですよ、私たちでやりますから」ということになって、監視がなくなってやりたい放題、それでも選挙には通って議員の地位を確保できるということになります。そうなればお客様が一番損をするということになります。

 

 デモクラシーとはかくも難しい制度なのかということを改めて認識しています。

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12







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