古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

 古村治彦です。

 ジョージ・フロイド事件からアメリカやヨーロッパではデモや暴動が起きている。人種差別をなくすという主張は、法の下で平等に扱ってくれという要求であり、そのことは当然のことだ。暴動や略奪は問題解決にはつながらない。

こうした状況で、アメリカ国内の南軍由来の米軍基地の名前を変更する、とか、映画『風と共に去りぬ』の配信をアメリカ国内で停止するといったことは、やり過ぎだし、そうしたことをしたからといって歴史は変えられないし、何より歴史を抹殺してなかったことにすることにつながり、かえって良くない。

 今年はアメリカ大統領選挙の年であり、共和党では現職のドナルド・トランプ大統領、民主党ではジョー・バイデン前副大統領が本選挙で戦う。バイデンは副大統領候補に「女性を選ぶ」と発表している。既に多くの名前が出ている。そうした中で、根強い人気があるのがミッシェル・オバマである。バラク・オバマ前大統領の夫人であり、前ファーストレディだ。以下にミシェル・オバマが副大統領候補になる可能性について古い記事をご紹介する。
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 バイデンはアフリカ系アメリカ人有権者からの支持で、民主党予備選挙で大客点を起こし、勝利することができた。2016年の大統領選挙では、民主党候補者(ヒラリー・クリントン)への投票率が下がったアフリカ系アメリカ人有権者を再び取り戻すためには、アフリカ系アメリカ人女性が良いということも一つの考えではある。しかし、バーニー・サンダースを支持する有権者が多かったヒスパニック系を惹きつけるためには、ヒスパニック系の女性だという声も大きい。

 ミシェルは夫バラクよりも頭脳明晰で、行動力があり、立派な人物だと言われている。しかし、頭が良すぎるために、普通の政治家のように振舞うことができないようだ。愛想を振りまくといったことができない。相手が馬鹿に見えてしまうと、それがそのまま露骨に態度に出てしまうというのは政治家としては欠点だ。

 やはりアフリカ系アメリカ人女性ということになると、スーザン・ライスということになるだろう。ミシェルはヒラリーと相いれないだろうし(お互いが自分の方が頭が良いと思って嫌い合う)、ミシェルにはやはり政治や行政の経験がない。それに比べれば、ライスの方が経験豊富だ。何よりバイデンが大統領に当選しても何か重大なことが起きれば、大統領になるとなれば、ライスということになるだろう。
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 大宅壮一が以前、藤山愛一郎が岸信介に唆されて政治の道に進むとなった際に、「絹のハンカチをぞうきんに使うな」と述べた。政治とは汚い世界であり、向かない人物は近づかない方が良い。藤山も利用されるだけされて、最後には捨てられ、「井戸塀政治家(政治をやって最後には井戸と塀しか残らなかった政治家)」の見本となった。ミシェルは政治には向かないだろう。そのことはミシェルもバラクもよく分かっているだろう。望まれているうちが花である。

(貼り付けはじめ)

バイデンが民主党の候補者となれば、ミシェル・オバマを副大統領候補として選ぶだろうか?(If Biden’s the Nominee, Might He Pick Michelle Obama as His Vice President?

ジョン・ファンド筆

2020年3月8日

『ナショナル・レヴュー』誌

https://www.nationalreview.com/2020/03/joe-biden-might-he-pick-michelle-obama-as-his-vice-president/

彼女は民主党の大統領選挙において有利な点を与えることになるが、彼女自身は選挙に出ることに関心をほぼ持っていない。

民主党にとって良いニュースは、バーニー・サンダースが今年の秋に大統領選挙候補者となる可能性はかなり低くなったことだ。悪いニュースはジョー・バイデンが大統領選挙候補者として強みがないということだ。結果として、彼が自分の立場を強くするために誰を副大統領候補に選ぶかについての議論の緊迫度が高まっている。民主党の指導者層はこの議題で激しい議論を展開している。

多くの人が考えるのは、バイデンの副大統領候補は、大胆な選択であると同時に、2016年にヒラリー・クリントンが失ったマイノリティの投票を強力に集めることができる人物であるべきということになる。連邦下院多数党(民主党)幹事長ジム・クライバーン連邦下院議員(サウスカロライナ州選出、民主党)は最終的にバイデン支持を表明し、サウスカロライナ州でのバイデンの圧勝をもたらした。クライバーンは明確な考えを持っている。

クライボーンは記者団に対して次のように見通しを話した。「今年の副大統領候補の候補者名簿に女性が入っていないということは考えられない。私はその人物が非白人であれば更に良いと思う」。

クライボーンと同様の趣旨の発言を行ったのはヴァレリー・ジャレットだ。彼女は8年間にわたりオバマ大統領の上級顧問を務めた。ジャレットはCBSニュースの取材に対して、「民主党の大統領選挙候補者は一般的な通年を打ち破り、非白人の女性を副大統領に選ぶべきでしょうし、そうするでしょう」と述べた。

この時、ジャレットの発言はそれだけにとどまった。結果、ジャレットは誰が副大統領候補にふさわしいかということまで言う機会はなかった。しかし、オバマ家に対してジャレットよりも近い人はいない。ジャレットが副大統領候補として非白人の女性の名前を上げる場合に、ジャレット自身が30年近くずっと親しくしている女性を候補者に入れないということは考えられないと誰しもが考える。その女性とは、ミシェル・オバマ、である。

ジャレットとミシェルは30年以上の知己である。1991年、当時のシカゴ市長リチャード・デイリーの次席補佐官だったジャレットは当時26歳のミシェル・ロビンソンの就職面接を行った。ハーヴァード大学法科大学院の卒業生ミシェル・ロビンソンはジャレットに強烈な印象を残した。ジャレットは自伝の中で「ミシェルからは有能さ、性格の良さ、誠実さが感じられた」と書いている。ジャレットはミシェルを採用した。そして、ジャレットはミシェルから婚約者のバラク・オバマを紹介された。ジャレットはカップルを庇護し、シカゴのエリートたちに紹介した。これこそは、オバマ家がホワイトハウスにまで上昇するスタートであった。第二弾の動きのために時期は今ではないか?

ミシェルが副大統領候補になれば民主党の支持基盤には人気となるだろう。そして、バイデンが民主党の大統領選挙になる場合に、今年の11月に多くの投票を必要としているのはこの支持基盤である。先月カリフォルニア州において、スタンフォード大学フォーヴァ―研究所、ビル・レーン・センター・フォ・ジ・アメリカン・ウエスト、YouGovが、登録済み有権者1507名を対象にした世論調査を協働に実施した。その中で、副大統領候補に誰が良いかという設問があった。

有権者たちは明確に女性を支持している。有権者のうち31%がミシェル・オバマの名前を挙げている。続くのはカリフォルニア州選出連邦上院議員カマラ・ハリスで19%、第三位にはミネソタ州選出連邦上院議員エイミー・クロウブッシャーが入り18%、元ジョージア州上院議員ステイシー・エイブラムスが13%で4位に入った。そして、カリフォルニアを地盤とするヴェンチャーキャピタリストであるトム・ステイヤーは10%の支持を集めた。

普通に考えれば、ミシェル・オバマを副大統領候補にするということは全く実現性のない、問題外のことであるということになる。ミシェル・オバマは、人々の見えない場所では、自信に満ちた態度であり強引であると知られている。強引な人物という評判を持つ人物がこれまで副大統領に選ばれたことはあまりなかった。現在82歳になるジョー・バイデンが大統領に当選しても再選を目指して出馬するだろうと考える人はあまりいない。そのため、ミシェルが副大統領となれば、バイデンの跡継ぎを狙っていると見られる危険性はある。ミシェルは有権者の多くの人気を集めてはいるが、彼女は共和党側と協力すること、自分が馬鹿だと考えている人たちを丁寧に扱うことには全く興味関心を持っていない。

しかし、バイデンはミシェルを副大統領候補にするという考えを受け入れ、支持することを公言している。今年2月にアイオワ州の選挙集会である有権者からの質問に対し、元ファーストレディを副大統領候補に「すぐにでも」選びたいとしながらも、オバマ家はホワイトハウスを出てからの生活が「少し解放された」ようなもので気に入っている、と述べた。昨年9月、スティーヴン・コルバートとのインタヴューの中で、バイデンは、ミシェルを副大統領にするという考えを支持していた。その前に、バイデンは「冗談だからね、ミシェル、冗談を言っているんだから」と述べた。

しかし、バイデンは冗談を述べたのだろうか?シカゴ時代からのある知人は次のように述べている。「オバマ家は人々の注目を集める生活から離れて3年を過ごしました。しかし、トランプ大統領が再選され、2期目を迎えることになると、彼はオバマ前大統領が行ったこと全てを破壊するという自身の公約を完結させることになるでしょう。ミシェルが副大統領候補になることで、そのようなことが阻止できるということあれば、出馬するという選択肢は全く問題外ということでもないでしょう」。

もしバイデンがアフリカ系アメリカ人を副大統領候補にしたいと望むならば、その他の選択肢は様々な問題を示している。バイデンは副大統領候補となる人物はメディケア・フォ・オールに反対しなければならないと述べた。これではニュージャージー州選出のコーリー・ブッカー連邦上院議員を副大統領候補に起用することはできない。2018年のジョージア州知事選挙で善戦したステイシー・エイブラムスに関しては、問題は複雑となる。エイブラムスは州議会以上の経験を持っていない。また、全国規模の選挙に出馬ということになれば彼女の過去は詳しくほじくり返されることになるだろう。

カリフォルニア州選出の連邦上院議員カマラ・ハリスは候補者の1人だ。ハリスに関してマイナス面は、昨年夏の討論会でハリスは、強制的なバス通学にバイデンが過去に反対したことは人種差別的だと昔のことをほじくり返して、バイデンを激しく攻撃したということだ。しかし、バイデンは政治上の恨みを長く引きずっている訳ではない。ハリスに関しては、いくつかの秘密裏の世論調査の結果が示しているのだが、ハリスがアフリカ系アメリカ人とインド系アメリカ人の両方の血を引いているということを知ったアフリカ系アメリカ人有権者たちの中に、彼女への支持を止める人たちが出ている。

バイデン大統領候補とオバマ副大統領候補実現の大きな障害は、当然のことながら、ミシェル・オバマは副大統領候補になるという考えに興味を持っていないと表明していることだ。2018年にテレビ番組『ジミー・キンメル・ライヴ』に出演した際、ミシェルは選挙に立候補しないと述べた。「選挙に出ることについて誰とも真剣に話したことはないんですよ。何故なら私は全く関心を持っていないし、選挙に出ることはないからです。絶対にやりません」。

ミシェルの配偶者も同意している。「いいですか、人生において確かなことが3つあります。死、租税、そしてミシェルが大統領選挙に立候補しないこと、です。私に言えるのはこれだけです」。

このオバマ前大統領の発言はオバマ側近の多くが合意できる内容である。彼らは、ミシェル・オバマは長年にわたり政治と資金集めの汚さを軽蔑していること、娘2人を守りたいという強い希望を持っていること、考えが合わない人々と親しげに交流することを好まないことを指摘している。MSNBCのコメンテイターを務めるマイケル・スティールは次のように語っている。「私がアフリカ系アメリカ人として初めて共和党全国委員会委員長に就任した際、オバマ一家と一緒に写真を撮ったことがありました。彼女は私に対する嫌な気持ちを隠せない人でした。純氷のような人ですよ。彼女はにこりともせず、私をにらみつけていました。そして、私は現像した写真をもらうことはありませんでした」。

しかし、これに対抗する主張も存在する。副大統領候補になれば、ミシェルは15週間だけ選挙運動をやればよいということになる。大統領候補となると選挙運動の期間は2年となる。ミシェルは強く望めば政治資金集めをしなくても済むだろう。娘2人は今大学生になっている。そして、主流派メディアは娘たちについての報道の制限を続けている。それでは、彼女は群衆と会うことを好んでいないことを報道しているだろうか? 民主党系の世論調査専門家であるある人物は次のように語った。「彼女はイヴェントなどに文字通り出席だけはするが、あまり話をすることはないんです。それでも群衆は彼女が大好きなんですよ」。

こうした主張全てを考慮しても、ミシェルが出馬するだろうかという質問の答えはノーということになるだろう。しかし、ミシェル・オバマにイエスと言わせるためのとっておきの手段が存在する。今年2月のアイオワ州での選挙集会において、バイデンはバラク・オバマを最高裁判事に起用する可能性があるかと質問された。歴史を振り返ってみると、元大統領で1人だけ、ウィリアム・ハワード・タフトが1920年代に大統領執務室から最高裁に進んだ。バイデンは、「そうですね、その可能性はありますが、彼がそれを受けないと思いますよ。彼は素晴らしい最高裁判事になることができるでしょうけれど」と答えた。

しかし、私はこのバイデンの考えが正確かどうか疑問を持っている。法科大学院教授を勤めたこともあるオバマは最高裁の知的な雰囲気にマッチすることができるだろう。そして、アメリカで最高の裁判所に彼より適している人物が他にいるだろうか?バラク・オバマは、最高裁判事のクラレンス・トーマスのアフリカ系アメリカ人の立場を強化する保守主義(black-empowerment conservatism)と交代できるだろうし、トランプ政権の遺産の多くを打ち倒すための必要な決定票を投じることができるだろう。

民主党内部には、ミッシェルを副大統領候補にしたいと奔走している人々がいる。そうした人々は、バイデンがバラク・オバマを副大統領候補に選ぶのではないかと疑いを持っている。しかし、2016年にも似たような考えがあった。夫ビル・クリントン元大統領を副大統領にするかどうか、ヒラリー・クリントンは質問されたことがあった。ヒラリーは、その考えが「頭をよぎった」ことは認めたが、それは非立憲的だと否定した。ヒラリーはテレビ番組「エクストラ」の司会者マリオ・ロペスに次のように語った。「ビルは素晴らしい副大統領になるでしょうが、現在の憲法では、彼には資格がないのです。ビルは大統領量を2期務めました。そして、彼が副大統領としてこの2期という制限を超えることはできないということになると思います。少なくとも私はそのように言われています」。

ミシェル・オバマが副大統領候補になる可能性について私が議論した人全ては、ミシェルを副大統領候補に選ぶことは他に何にも出来ないほど、短期的な刺激剤となり、民主党側を活性化させることになると述べている。多くのメディアは夢中になって、オバマ家に対してこびへつらうような報道をすることになるだろう。しかし、ミシェルが副大統領候補になることは、民主党にとって機会になると同時に問題にもなる。とにかく、民主党幹部たちは、バイデンの選挙運動における不安定な技術とパフォーマンスについて懸念を持っている。幹部たちはミシェルを副大統領候補に選ぶことは救命ボートのようなものだと考えている。

もちろん、私が話した政治の専門家たちの多くが、バイデンはオバマ夫人を選ぶことはないだろうと予測している。他方、専門家たちは、ジョージ・W・ブッシュがディック・チェイニーを副大統領に選ぶなどとは考えていなかったし、ジョン・F・ケネディがリンドン・ジョンソンを副大統領候補にするなど考えた人などはほとんどいなかった。

(貼り付け終わり)

(終わり)

amerikaseijinohimitsu019
アメリカ政治の秘密
harvarddaigakunohimitsu001
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 ミネソタ州ミネアポリス市で警察官が丸腰の黒人男性ジョージ・フロイドを制圧する際に、膝を首に押し付け、そのまま数分間も圧(の)し掛かり、フロイドが死亡するという事件が起きた。フロイドは「息ができない(I can’t breathe)」と訴え、周囲の目撃者たちも助けるように求めていたが、白人警察官は制圧を続けた。事件に関わった警察官たちは殺人罪で訴追された。

 この事件を受けて全米各地で抗議運動が発生し、抗議活動が過激化し、破壊行為や暴力行為にまで及ぶ者たちが出てきた。また略奪や破壊も行われる事態ともなっている。警察も催涙ガスを発射したり、手荒い対応をしたりということで、対立は激化している。

アメリカにおける人種差別は根深い。私は子供の頃にアメリカは「人種のるつぼ(melting pod)」と習った。これは「アメリカという国に来れば、全ての人々が溶け合って、アメリカ人になる」という意味だったと思う。しかし、現在は「サラダボウル(salad bowl)」という言葉になっている。これは「それぞれの野菜がそのままで魅力を発揮しているように、人種などの違いがありながらも協調していく」という意味だ。しかし、これはあくまで理想論であり、現実はなかなかうまくいかない。

 アメリカでも都市部であれば、様々な人種の人々と触れ合う機会はある。しかし、アメリカでも地方や田舎に行けば、ほぼ白人しかいないという場所も沢山ある。そういうアメリカと都市部のアメリカでは意識や考え方に大きな違いがある。非白人であるために、日常生活で不公平な扱いを受けたり、教育や就業の機会が制限されたりということはまだまだ残っている。そうした状況下で何とか這い上がろうという気概を持てる人は少なくて、諦観が広がる。そうなると非白人共同体で負の連鎖、スパイラルが続くということになる。

 抗議活動はワシントンDCでも行われ、ホワイトハウスの周辺にも多くの人々が集まった。ドナルド・トランプ大統領は地下壕に退避したという報道もあった。そうした人々に対して警察は催涙ガスを発射して鎮圧を試みた。トランプ大統領がホワイトハウスから歩いていける距離にある教会に向かう様子をレポートしていたジャーナリストたちは、空中に浮遊する催涙ガスの残留物によってせき込んでいたということだ。

 こうした中で、トランプ大統領は暴動や略奪、破壊行為に対応するために、アメリカ軍を派遣すると述べた。州兵(national guards)は対外戦争に動員されることもあるが、主にアメリカ国内が活動の場だ。アメリカ軍は警察活動の支援には向かない。そのために、そのような活動は行わないことになっている。ただ、反乱法という法律があり、アメリカ大統領はこの法律が適用されれば、米軍をアメリカ国内に派遣することが可能となる。1992年のロサンゼルス暴動の際にこの法律が適用された。この時、ロサンゼルス北部の高級住宅街を守るために、暴動が始まったロサンゼルス南部(サウスセントラルと呼ばれた、全米でも屈指の治安の悪い地域)と北部の間にあるコリアタウンが犠牲にされたという説がある。略奪者や破壊者に対して、徴兵で軍隊経験のある韓国人移民の男性たちが銃を取って応戦する姿が見られた。白人を守るために、非白人同士が戦わされたという話になる。

 軍隊と警察は共に武器を独占的にかつ合法的に所持し使用することが認められているが、その目的は異なる。軍隊は「国家の独立を守る」が、警察は「市民の安全と財産を守る」、これらが目的だ。軍隊は市民の生命や財産を守ることが主目的ではない。たまたまそのような結果になることが多いが、結局は国家を守る、政府を守るのが仕事だ。トランプ大統領が軍隊の派遣に言及したことの意味は大きい。

 ホワイトハウスの目の前でも激しい抗議活動が行われ、トランプ大統領は一時地下壕に退避したという報道もなされた。単純に怖がったということもあるだろう。しかし、軍隊の派遣がなされるというのは、国家の独立や体制が脅かされる時だ。トランプ大統領は、今回の抗議活動やデモ、略奪や破壊活動が体制への挑戦だと捉えているのだろう。アメリカの「偉大さ」「例外主義(アメリカは他国とは違う)」「デモクラシーの主導者」「世界秩序の保護者」という輝かしい主張は、国内の大きな矛盾、経済格差や人種差別などを基礎にしつつ、それらを覆い隠している。経済格差や人種差別をある程度までゆっくり進めることはアメリカの主流派、白人も受け入れられることだろうがそれを急進的に進めることは「革命」として捉える。

2016年と2020年のアメリカ大統領選挙民主党予備選挙で善戦したバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は自身を革命家だと形容した。「民主社会主義者」にして「革命家」はアメリカでは多数派にはなれない。しかし、サンダースが述べていることは、日本やヨーロッパ諸国では何も過激なことではない。アメリカは自由主義、デモクラシー、資本主義を標榜し、世界をリードすると威張りながら、実際には内部に大きな矛盾を抱えている。その矛盾を解決しようという動きが出ると、それを「革命」と糾弾し、その動きを止めようとする。そうこうしているうちにうやむやで終わる。

 新型コロナウイルス感染拡大による社会的、経済的不安が広がる中、古典的とも言える白人警察官による無実のアフリカ系アメリカ人男性の殺害という事件が起きた。アメリカの抱える矛盾を解決しようという動きが出てきた。トランプ大統領はアメリカの抱える矛盾を象徴するような人物だ。彼が身の危険を感じ、軍隊を投入するとまで言及したことは

象徴的な発言である。衰退していくアメリカの叫び、とでも言えるだろう。

(貼り付けはじめ)

エスパーは命令変更後にワシントンDC周辺にいる米軍将兵の内数百名に帰還を命令(Esper orders hundreds of active-duty troops outside DC sent home day after reversal

エレン・ミッチェル筆

2020年6月4日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/defense/501232-esper-orders-hundreds-of-active-duty-troops-outside-dc-sent-home-day-after

マーク・エスパー国防長官は、ワシントンDCに入るために準備をしていた現役の米軍将兵数百名をそれぞれの駐屯基地に帰還させている。これは水曜日になされた帰還命令が同日に変更された後、また帰還命令が下された。

国防総省のある幹部は本誌に対して、国防総省は「首都地域に派遣されている現役部隊の一部を自分たちの駐屯基地に戻す決定を下した」ことを認めた。

この幹部は続けて、米軍上層部は「現在の変動の激しい状況を継続的に注視して」おり、首都地域にとどまっている現役部隊のメンバーたちの基地への帰還は「状況次第(conditions-based)」だと述べた。

多くの報道機関が報じているところでは、ノースカロライナ州フォート・ブラッグを基地とする第82空挺師団から派遣された将兵は首都地域に派遣されている1600名の米軍将兵の一部を構成している。この米軍将兵たちは、先週武器を持っていなかったアフリカ系アメリカ人ジョージ・フロイドがミネアポリス市警察に殺害された後に発生している市民暴動に対応のために首都地域に派遣されたが、実際には使用されていない。

エスパー長官が将兵の基地への帰還を命じて2日の内に2回の命令変更が行われた。水曜日午前、エスパー長官は派遣されている米軍に基地に帰還するように命令を出した。しかし、同日に行われたホワイトハウスでの会議後に命令を変更した。将兵に対して、更に24時間、「高次の警戒」を保つようにという命令が出された。

首都地域へ派遣された将兵の帰還と命令が更に変更になったのは、ホワイトハウスのメッセージとエスパー長官の発言が異なるものとなった後だ。水曜日、エスパー国務長官は記者団に対して、1807年に制定された反乱法の適用を支持しないと述べた。この法律を使えば、トランプ大統領は、抗議活動に対応するために、現役の米軍将兵を全米に派遣することが可能となる。

トランプ大統領は月曜日、州知事たちが「制圧」をせず、州兵を派遣しないのならば、抗議活動を鎮めるために軍隊を派遣すると警告を発した。しかし、水曜日に録画されたインタヴューの中で、トランプ大統領はこの主張を続けないという姿勢を示唆した。

トランプ大統領は、自身の首席報道官を務めたシーン・スパイサーとのニュースマックでのインタヴューの中で、「状況によるでしょう。州兵の派遣はやらなければいけないということではありません」と述べた。

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国防総省の長はトランプ大統領に反対し、反乱法の適用に反対する(Pentagon chief breaks with Trump, opposes invoking Insurrection Act

レベッカ・キール筆

2020年6月3日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/defense/500877-us-defense-chief-does-not-support-invoking-insurrection-act

マーク・エスパー国防長官は水曜日、トランプ大統領が、ジョージ・フロイドの死亡事件から発生している全米規模の抗議活動の中で、国内の法の強制(domestic law enforcement)を実行するために米軍を投入することができるようになる法律の適用を支持しないと発言している。

エスパー長官の発言はトランプ大統領の発言と対立するものだ。トランプ大統領は、各州の知事たちがデモ参加者たちを「制圧」しないならば、抗議活動を鎮めるために、現役の軍部隊(active-duty troops)を派遣すると警告を発した。

エスパー長官は水曜日の記者会見に置いて次のように発言した。「私は常に確信し、確信し続けているのですが、州兵はこのような状況下では実際の方の強制を支援するために、国内の自治体や役所を支援することに最も良いパフォーマンスを発揮する存在です」。

エスパー長官は続けて次のように述べた。「私は国防長官としてだけではなく、元兵士、そして元州兵として申し上げています。法の強制の役割に現役の軍部隊を使用するという選択肢は最終手段としてのみ、最も切迫した恐ろしい状況でだけで使用されるべきです。私たちは現在、そのような状況には立ち至っていません。私は反乱法(Insurrection Act)の適用を支持しません」。

フロイドがミネアポリス警察による拘禁行為の過程で殺害された先週から抗議活動は全国各地に拡大している。一人の警察官が8分間にわたりフロイドの首に膝を押し付け上からのしかかった。抗議活動参加者の一部は略奪行為の中、暴力行為を激化させている。

火曜日までに、28州の知事とワシントンDCの市長は、群衆のコントロールを支援させるために州兵の派遣を決定した。州兵総局の発表によると、火曜日の時点で2万400名の州兵が「市民暴動(civil unrest)」に対応しているということだ。

アメリカ軍は通常、アメリカの国土において法の強制を実行することは禁止されている。しかし、1807年に制定された反乱法ではこの禁止を乗りこえることができる。反乱法が最後に使用されたのは1992年のことで、ジョージ・HW・ブッシュ元大統領が、ロドニー・キング事件に端を発する暴動(Rodney King riots)を鎮めるために、カルフォルニア州知事の要請に基づいて適用を行った。

国防総省はいくつかの現役の陸軍部隊がワシントンDC地域に派遣され、必要と見なされればいつでも首都に入るために準備をしているということを認めた。エスパーの反乱法適用反対の発言は、国防総省が陸軍部隊の派遣を認めた後に行われた。

火曜日夜に国防総省首席報道官のジョナサン・ホフマンが発表した声明によると、ノースカロライナ州フォート・ブラッグからの歩兵1個大隊(infantry battalion、訳者註:1個大隊は300名から800名によって構成)、フォート・ブラッグからの憲兵旅団(brigade、訳者註:旅団は複数の大隊で構成)、ニューヨーク州フォート・ダラムからの憲兵1個大隊が「首都地区にある複数の基地にいるが、ワシントンDCには入っていない」ということだ。

ホフマン報道官は続けて次のように述べた。「合計で1600名の将兵は「高次の警戒の中にあるが、合衆国法典第10編の下にとどまっている。そして、修正や地方自治体の施策を支援することには参加していない」。

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催涙ガスが群衆に撃ち込まれる中、トランプ大統領が抗議運動参加者たちを鎮めるためにワシントンDCに軍隊を動員(Trump mobilizes military in DC to quell protests as tear gas fired into crowds

ブレット・サミュエルズ、モーガン・チャルファント筆

2020年6月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/500576-trump-mobilizes-military-in-dc-to-quell-protests-as-tear-gas-fired

月曜日、トランプ大統領は、全米各地で起きている抗議運動を取り締まるために、「連邦政府の全ての資源、文民と軍隊」を動員するだろうと述べた。トランプ大統領は自分自身を「法と秩序の大統領」だと宣言した。この時、警察はホワイトハウスの外に集まった抗議する人々を攻撃的に解散させた。

トランプ大統領はワシントンDCに軍隊を派遣すると述べた。そして、全米各州の知事たちに州兵を派遣して道路を「占拠(dominate)」するように求めた。知事たちがそれを拒否するならば、アメリカの各都市に軍隊を派遣するだろうと述べた。

トランプ大統領は次のように述べた。「各市長と知事たちは、暴力が鎮静するまで、圧倒的な法の強制の存在を構築しなければならない。もし都市や州が住民たちの生命と財産を守るために必要な行動を取ることを拒絶するならば、私はアメリカ軍を派遣し、問題を即座に解決するだろう」。

州知事が要請することなしに、トランプ大統領が各州へ巡視のために米軍将兵を派遣する権限をトランプ大統領が持っているのかどうかは即座に明確にすることができなかった。国防総省のある幹部は、トランプ大統領は反乱法(Insurrection Act)を実行することはないと述べた。この法律は大統領にアメリカの国土に軍隊を派遣する力を与えている。この法律は1992年に最後に使用された。この時は、ロドニー・キング殴打事件で起訴された警察官たちに無罪評決が出された後に起きた暴動に対応するためだった。

トランプ大統領はまた、首都ワシントンDCにおいて、「暴動、略奪、破壊行為、暴行、財産の破壊を阻止するために、数千人単位の重武装した兵士たち、軍の将校、警察官を」派遣すると述べた。

トランプ大統領の発言は、ジョージ・フロイドの死亡事件の発生後にアメリカ国内で起きている分裂を促すことになった。トランプ大統領がローズガーデンで演説を行っているが、ホワイトハウスから道一つを挟んで位置するラファイエット公園に数百名の人々が集まり、4夜連続で抗議活動を行った。

トランプ大統領が演壇に立つ直前に大きな爆発音が数発聞こえた。平和的な抗議活動参加者たちに対して警察が催涙ガスを発射した。その前には、ウイリアム・バー司法長官がラファイエット公園への警察の配置について見直しを行った。

ワシントンDCの市長はワシントンDC全体への夜間外出禁止令(curfew)を出したが、午後7時から効力を発する予定だ。州兵は警察を支援するためにワシントンDCに集結している。ニューヨーク市やその他の都市部は無法な抗議活動を封じ込めるために同様の夜間外出禁止令を出している。

トランプ大統領は、ワシントンDCに夜間外出禁止令が出される場合、これは厳しく取り締まられることになるだろうと述べた。

武器を携帯していなかったアフリカ系アメリカ人のフロイドは、1週間前にミネアポリス市警察の拘禁によって殺害された。一人の白人警察官がフロイドの首に膝を押し付け、のしかかったのだ。その時の様子は周囲にいた目撃者たちによって映像として記録されていた。そして、インターネット上で拡散した。そして、アメリカ全土での大きな怒りを引き起こした。

ホワイトハウスのローズガーデンでのトランプ大統領の演説は、アメリカ全土が動揺している中で、トランプ大統領は正式な演説を行うべきか、そうではないかという議論がなされた後に、実施された。

しかし、トランプ大統領の準備された演説ではフロイドの死亡に関しては簡単に触れただけだった。そして、抗議活動を引き起こした警察の暴力については言及しなかった。その代わりに、トランプ大統領は無法なデモ参加者たちに対して、「法と秩序」が勝利するのだと述べた。

トランプ大統領は次のように述べた。「 私の政権はジョージの家族に正義がもたらされるように完全に責務を遂行します。ジョージの死を無駄にすることはありません。しかし、私たちは、平和的な抗議活動の参加者たちの正当な叫びが怒りに任せて動く群衆によってかき消されることを許しません」。

トランプ大統領は演説の中で、ここ数日で起きている警察に対する攻撃と商店などに対する破壊行為の具体例を挙げた。抗議活動参加者に対する警察の暴力行為や活動家たちの負傷や死亡事例についてトランプ大統領は言及しなかった。

トランプ大統領は、ホワイトハウスの近くにある、歴史の長い聖ジョセフ教会に対する放火に言及し、この放火や他の事件について、「国内におけるテロ」だと述べた。

トランプ大統領は次のように述べた。「私は皆さんを守るために戦います。私は皆さんのための、法と秩序(law and order)の大統領でありますし、平和的な抗議活動参加者の皆さんの仲間です。しかし、ここ数日、職業アナーキスト、暴力的な群衆、放火魔、犯罪者、暴動扇動者、アンティファ(antifa)、その他の人々がこの国を揺り動かしています」。

トランプ大統領は続けて「今回のテロを組織する人々に対しては、厳しい刑法上の罰を受け、刑務所に長期間入ることになる、ということを予め告知しておきます」と述べた。

トランプ大統領は演説終了直後、聖ジョセフ教会に徒歩で向かった。そして、政権幹部たちを従えて、板を打ち付けられた状態の建物を視察した。トランプ大統領は聖書を掲げ、写真を撮影させ、記者団に対しては、ホワイトハウスに向かう途中で、アメリカを「素晴らしく、そして安全な」国として保つと述べた。

抗議活動参加者たちを排除するために発射された催涙ガスの残留物が空気中に漂い、その中でジャーナリストたちはトランプ大統領の教会訪問を取材する中で、咳をしながらレポートしていた。

トランプ大統領は月曜日午前中の電話会議において、知事たちに対して道路を州兵で「占拠」する必要があると述べ、また各州の知事たちのデモに対する初期対応を「弱腰」だと非難した。トランプ大統領の言葉遣いは民主党所属の知事たちの一部からの批判を巻き起こした。こうした知事たちはトランプ大統領が緊張を更に申告させており、状況をさらに悪化させていると警告を発した。

イリノイ州知事JB・プリッツアー(民主党所属)はトランプ大統領との電話の中で、トランプ大統領の言葉遣いについて「大変な懸念を持っている」と述べた。プリッツアーは、ローズガーデンでのトランプ大統領の演説の後に、CNNに出演し、トランプ大統領は、トランプ大統領に熱を下げて欲しいと望んでいる人々からの忠告を聞きたがらないと述べた。

プリッツアーは次のように発言した。「大統領は法と秩序対自分たちの権利のために立ち上がっている人々という雰囲気を作り出したいだけなのでしょう。そして、彼はすぐに人々の諸権利を押さえつけてしまうでしょう」。

ローズガーデンでの大統領の演説は土曜日夜以来、初めてカメラの前で行われた発言である。土曜日の夜、フロリダ州ケープ・カナベラル空軍基地で行われたスペースXの歴史的な打ち上げについて大統領が演説を行ったが、その冒頭でフロイドの死亡と抗議活動について触れた。トランプ大統領はフロイドの殺害を「容易ならない悲劇(grave tragedy)」と呼び、一方で抗議活動の参加者たちが破壊活動を行っていると批判し、アンティファ(antifa)と「いくつもの急進的な左派グループ」による暴力的なデモを非難した。

全米各地でのデモは過去48時間の間に緊張感を高めている。警察は群衆に向かって催涙ガスやゴム弾を発射し、抗議運動の参加者たちの一部は略奪と破壊行為を行っている。

抗議活動は先週から週末にかけて、フロイドが殺害されたミネアポリスで発生し、全米各地に拡大している。こうした中で、トランプ大統領は抗議活動についてコメントを行った。トランプ大統領は初源の言葉遣いについて批判を受けている。共和党の一部からは大統領のツイートは問題解決に役立っていないとしている。

トランプは金曜日午前中、ミネアポリスの抗議運動参加者たちは「暴漢たち」だと述べ、「略奪(looting)が始まれば、射撃(shooting)も始まる」と警告を発した。この言葉は、公民権運動が盛んな時代に、アフリカ系アメリカ人居住地域に対する攻撃的な警察の施策について、白人のマイアミ市警察本部長が使ったものだ。トランプ大統領は先週、この言葉の起源について関知しないと主張した。

週末にホワイトハウス周辺で抗議活動が激化した後、ホワイトハウスにあまりに近づきすぎるならば、デモ参加者たちは「危険な犬たち」と「強力な武器」に直面することになるだろうとトランプ大統領は警告を発した。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
harvarddaigakunohimitsu001
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 今回は、新型コロナウイルス感染拡大を抑えるためのロックダウン、経済閉鎖には負の側面があることを忘れてはいけないという内容の記事を紹介する。

 簡単に言えば、ロックダウンによって経済が動かなくなれば、失業者数が増加する。それによって自殺者が増えるというものだ。また、ストレスからアルコール中毒や薬物乱用ということも引き起こされる。ストレス由来の別の病気も増える。

 また、アメリカでは、新型コロナウイルスへの恐怖感から病院に行かない、ということも起きており、そのために病気の治療が中断されたり、病気の診断が遅れてしまったりして、病気が深刻化することで治療ができずに死亡者が増加しているということもある。

 経済活動の低下による景気後退と新型コロナウイルスへの恐怖感からの医療忌避や医療が受けられないことによるアメリカ国内の死亡者は、新型コロナウイルスによって引き起こされる疾病による死亡者の数を超えるものと推定される。

 新型コロナウイルスに関しては、高齢者や基礎疾患(糖尿病や高血圧など)を持っている人々はリスクが高い。そうした人々を守りながら、同時に経済活動や社会活動を行わねば、全体が干上がってしまう。日本では経済活動や社会活動が再開されつつある。どこまで再開すればどうなるかということを手探りの状態で進んでいくということになる。バランスが重要なのは当然であるが、感染初期に言われた「正しく怖がる」ということをもう一度思い出して、自分たちができることを淡々と進めていくしかない。

(貼り付けはじめ)

COIVD-19(新型コロナウイルス)の封じ込めはアメリカ人の人生数百年分を犠牲にするだろう(The COVID-19 shutdown will cost Americans millions of years of life

スコット・W・アトラス、ジョン・R・バージ、ラルフ・L・ケネディ、アレクサンダー・リプトン筆

2020年5月25日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/healthcare/499394-the-covid-19-shutdown-will-cost-americans-millions-of-years-of-life

わが国の政府は、新型コロナウイルス緩和政策として社会的ロックダウンを採用し、疾病の拡散の封じ込めに集中してきた。そのためにあらゆる犠牲を払ってきた。「流行曲線の平坦化」と病院内の過剰な混雑などよりもまずは拡散の封じ込めに集中してきた。善意によって行われてきたことではあるが、ロックダウンは、感染拡大の直接的な影響以上の、より深刻な結果を考慮することなく課されることになった。

ロックダウン政策は歴史上最も深刻な経済的崩壊をもたらしている。失われた経済的利益は何兆ドル規模にも上っている。これら経済上の損失をただ経済の上のことだけとして語るのは間違っている。そうではなく、アメリカ国立衛生研究所、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)、労働省労働統計局の公開している膨大な論文や統計データ、その他のデータを使って、私たちは、アメリカのロックダウン政策は、破壊的な非経済的な結果をもたらすことを計算して出した。その結果として、アメリカ国内において数百万年分の人々の人生が犠牲になるということを示している。これはウイルスそのものがもたらした損失の年数をはるかに超える数字である。

ウイルスや疾病の感染拡大は歴史を通じて人類を苦しめてきた。疾病の感染拡大によってローマ帝国、東ローマ帝国、中世ヨーロッパ、中国、そしてインドは崩壊した。医療の進歩にもかかわらず、この苦難は現在も続いている。

20世紀では、アメリカ国内でも10万人以上の死者を出した疾病の世界的な大流行が3度起きた。1918年から1919年にかけて「スペイン風邪」では世界規模で2000万人から5000万人、アメリカ国内で67万5000人の死者が出た。1957年から1958年にかけての「アジア風邪」では世界規模で110万人、アメリカ国内では11万6000人の死者が出た。1968年から1972年にかけての「香港風邪」では、世界規模で100万人、アメリカ国内で10万人の死者が出た。新型コロナウイルス感染拡大については現在のところ、アメリカ国内での死者はほぼ10万人となっているが、ほぼ完全な経済的ロックダウンはこれまでにない規模となった。

アメリカ一国のみの経済的利益損失は、経済的シャットダウンの期間、1か月でGDPの5%にあたる11兆ドル(約120兆円)と推定されている。失業と基礎的な生活物資供給を求める圧力が自殺、アルコール中毒、薬物中毒、ストレスによって引き起こされる疾病が増加する中で、収入が失われることは人々の生命が失われることに直結する。こうした影響は、特に低所得の人々に深刻である。それはそうした人々は仕事を失いやすく、そもそも低所得の人々の死亡率は大変に高いからである。

統計的に見て、アメリカ人1人が死亡するとアメリカ全体の収入が1000万ドルから2400万ドル分も失われることになる。この影響の一つは失業によって現れる。失業によって死亡率は少なくとも60%上昇する。3600万人のアメリカ人が新たに失業した中で毎月7200人の生命が失業によって失われるという計算になる。この3600万人のうち、40%以上は再就職の見込みがない。加えて、小規模なビジネスのオーナーの多くは、資金的にほぼ崩壊状態にある。資産の喪失は死亡率を50%引き上げる。一人の生命の喪失は1700万ドル分の収入喪失につながると推定されるが、そうなると、経済封鎖によって毎月アメリカ国内で6万5000人分の生命が失われるという計算になる。

収入喪失によって失われる生命に加えて、社会閉鎖によって医療の遅滞や無視と、患者の間に新型コロナウイルスに対する恐怖感が広がることでも、生命は失われる。筆者たちは個人的に脳神経外科医たちに話を聞いたのだが、患者の半分が病気の治療のために病院に来ることを放棄している、ということだ。病気を治療せずに放置しておくと、脳内出血、麻痺、死亡のリスクが高まる。

私たちの計算に基づいて、医療を受けない、受けないことに関する例を挙げていく。脳出血の緊急検査の数は40%減少する。アメリカ国内で化学療法を受けている65万人のがん患者のうち、半分が治療を受けられないと推定される。アメリカ国内では毎月15万人の新たながん患者が発見される。その大部分が、世界各地と同様に、診断されていないし、日常のがん検診の3分の2から4分の3がなされていない。それは閉鎖政策と人々の間の新型コロナウイルスに対する恐怖感のためだ。昨年の同時期に比べて、生体間内臓移植の約85%がなされないようになっている。加えて、子供たちへのワクチン接種の半分以上がなされていないが、これは将来の公衆衛生において大きな脅威となるだろう。

新型コロナウイルスを別にして、医療を受けることが遅れる結果、経済閉鎖の期間において毎月8000人が死亡することが推定される。この人々の推定される残りの人生の年数を足すと約12万年分となる。脳出血への治療がなされないことで毎月10万年分の人生年数が喪失している。がんの診察が遅れることで毎月25万年分の人生年数が喪失している。生体間内臓移植がなされないことで毎月5000年分の人生年数が喪失している。ワクチン接種の10%がなされなければ、毎月2万4000年分の人生年数が喪失している。

医療を受けない、受けられないということで起きる意図しない結果は、毎月50万年分以上の人生時間が失われるということである。これは他の要素は含まれていない。

経済閉鎖による失業に関連しての死亡だけで考えても、少なくとも毎月7200人が生命を喪失していることになる。アメリカ国内の現在の死亡率のデータの年齢別の割合をそのまま適用し、男性と女性との間で死亡率が同じだと仮定すると、経済閉鎖期間において毎月20万年分以上の人生年数が失われるということになる。

実際には、新型コロナウイルスで死亡する人々はその圧倒的大多数が高齢者であり、特に老人ホームに入所していたり、基礎疾患を持っていたりする人々だ。これら新型コロナウイルスによる疾病にかかった患者たちの余命と死亡者の40%が老人ホームの入所者であることを考慮すると、新型コロナウイルスによる疾病はこれまでに合計で80万年分の人生を奪っているということになる。ロックダウン政策によって引き起こされる不十分な医療提供と失業だけでも考えてみると、全国規模のロックダウンによって失われる人生の年数の合計は控えめに見積もって毎月70万年分、合計すれば約150万年分となり、既に新型コロナウイルスによって失われた年数の合計を凌駕している。

新型コロナウイルスの影響と戦っている政治家たちは自分たちの決定がもたらす影響の全体を認識し、考えねばならない。経済の大きな部分を閉鎖することで人々の生命が失われているという、破壊的な影響についても認識する必要がある。ロックダウンによる取り返しのつかない不都合に政策立案者たちが遅ればせながら気づくことだけでは十分とは言えない。政策立案者たちは、深刻な結果について明確にかつ広く人々に知らせる必要がある。社会の再開は正当であるということを強く主張することで、生活の全ての側面に関する懸念を払しょくさせねばならない。

経済的ロックダウンによる生命の喪失を終わらせるために、消毒など公衆衛生学による対策を強化し、リスクの高い人々に対しての科学に基づいた防御を施しつつ、ビジネス、小中高、公共交通、公園やビーチは、徐々にではあるが確実に再開しなければならない。アメリカの大部分の地域にとって、経済活動の再開は、恐怖感に基づいた不必要な制限を取り払い、今すぐに行うべきだ。恐怖感に基づいた制限の大部分は証拠の軽視という誤りを繰り返している。全ての可能な行動と結果私たちを最終的に認識する思慮に満ちた分析に従うことで、アメリカ人の人生数百万年分を救うことができるのだ。

次の世界的な疾病拡大が発生することは不可避だ。もし疾病拡大が発生した場合、私たちはこれらの教訓を思い出し、初期段階から全てのアメリカ国民の生命を考慮する政策を実施する必要がある。

※スコット・W・アトラス:内科医、スタンフォード大学フーヴァー研究所上級研究員

※ジョン・R・バージ:シカゴ大学ブースビジネススクール教授

※ラルフ・L・キーニー:デューク大学ビジネススクール名誉教授、サウスカロライナ大学工学部教授

※アレクサンダー・リプトン:イェルサレム・ヘブライ大学イェルサレムビジネススクール招聘教授兼学部長付研究員

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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