古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

 古村治彦です。2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。世界の構造は大きく変化しつつあります。「衰退し続ける西側諸国(ザ・ウエスト、the West)対発展し始めた西側以外の国々(ザ・レスト、the Rest)」の二極構造が出現しつつあります。英米対中露の争いとも言えます。こうしたことを分析しました。是非手に取ってお読みください。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 世界の物流の重要地域である紅海で、イエメンの反政府組織フーシ派が民間船舶に対する攻撃を断続的に行い、それに対して、イギリスとアメリカが攻撃を行っている。地中海とスエズ運河を通じてつながっている紅海は、そのままインド洋、太平洋ともつながっており、世界の海運の最重要ゾーンと言える。ここを通れない船舶は、アフリカ大陸を迂回するルートを選択することになり、日数と輸送料、保険料が増えていくことになる。結果として、それが物価に影響を与え、食料やエネルギーの価格が高騰することになる。
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 イエメンの反政府組織フーシ派は、イエメン内戦に政府側として介入してきたサウジアラビアと戦っている。しかし、同時にサウジアラビアはフーシ派と交渉を続け、停戦に持っていこうとしていた。しかし、英米による攻撃によって、この交渉が頓挫してしまった。フーシ派と長年にわたり戦ってきたサウジアラビアが英米の攻撃に冷淡なのは、サウジアラビアからすれば、「余計なことをして状況を悪化させやがって」という不快感を持っていることを示している。
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 中国の一帯一路構想は、こうした状況にうまく対処できる方策を示している。それは、ヨーロッパと中国を陸路で結ぶ「シルクロード構想」でる。鉄道や高速、一般道路、パイプラインなどを通じて、海運の代替輸送が可能になっている。ヨーロッパ諸国にとって中国は最大の貿易相手国である。スエズ運河を使えず、紅海を使えないとなればそれは死活問題となるが、陸路という代替手段があることは重要である。中国は現在のような状況を予見していたかのように、2013年から一帯一路構想を推進してきた。
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 私は更に、この一帯一路構想は、インドを締め上げるという意図と、更には、アメリカを国際物流から切断することもできる方策を持つ意図があるのだろうと考えている。BRICSにおいて、西側に一番気を遣っているのがインドである。それはそれで戦略として正しいが、インドが裏切らないようにするために、中露は北と南から包囲する形を取っている。また、ユーラシアとアフリカ、南米をつなぐ、BRICS圏と一帯一路を完成させることで、北アメリカを孤立させることもできる。

 紅海危機(Red Sea Crisis)は、フーシ派はパレスティナ支援の一環として、西側の船舶を対象にして攻撃を行うようになっている。イスラエルの過剰なガザ地区への攻撃は、国際的な非難を浴びている。イスラエルだけではなく、イスラエルを支援するアメリカに対しても非難の声が上がっている。今回の紅海危機は、フーシ派が攻撃を行っていることで起きているが、紅海湾岸の諸国や中東諸国は静観している。英米とは一線を画している。フーシ派にはイランが支援を行っており、イランの大後方には中国が控えている。イギリスとアメリカが中東地域の安全保障分野における大きな役割を果たしてきた。しかし、中東諸国は、今回、そうした動きを謝絶している、そのように私には見える。

(貼り付けはじめ)

紅海危機は中国が先手を打っていたことを証明した(The Red Sea Crisis Proves China Was Ahead of the Curve

-一帯一路構想は邪悪な陰謀ではなかった。それは、不確実性(uncertainty)と混乱(disruption)の時代に全ての国が必要とするものの青写真だった。

パラグ・カンナ筆

2024年1月20日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/01/20/url-red-sea-houthis-china-belt-road-suez-trade-corridors/

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2021年3月27日、エジプト。紅海の港湾都市スエズ近郊のスエズ運河南口で、スエズ運河通貨を待つために停船している船舶の航空写真。

過去2カ月にわたり、紅海とアラビア海を結ぶ戦略上重要なバブ・エル・マンデブ海峡でフーシ派反政府勢力の攻撃が激化し、世界最大規模の海運各社はスエズ運河の航行を数週間停止し、更にはルート変更をしなくてはならなくなった。アメリカとイギリスがイエメンへの攻撃を開始し、状況がエスカレートしたため、民間の船舶はこの地域を避けるようになった。

地中海やアラビア海峡を行き来する船舶が選択肢を検討している一方で、バブ・エル・マンデブ海峡を完全に迂回する船舶もある。2023年12月中旬、サウジアラビアは、アラブ首長国連邦のジェベル・アリやバーレーンのミナ・サルマンといったペルシア湾の港に滞留している物資について、トラックでイスラエルのハイファ港まで自国領内を通過できるようにするための、アラビア湾から地中海への「陸橋(land bridge)」の構築を承認した。

これで分かるだろう。2023年10月7日のハマスからのイスラエルへの激しい攻撃によってアブラハム合意(UAEとイスラエルの国交正常化合意)が破棄されることはなかった。また、サウジアラビアとUAEは二国家共存によるパレスティナ紛争解決を強く支持しているが、紅海上の混乱に対処するために両国ともイスラエルとのインフラ協力を加速させている。サウジアラビアとUAEはイスラエルとの協力姿勢を崩していない。そして、紅海上の混乱を収めようとするのは、もちろん、通常であればエジプトの金庫に流れ込むであろう通過料金がきちんと徴収されるようにするためでもある。しかし、陸路輸送を促進することで、ペルシア湾岸・イスラエル間の航路が紅海の海上ルートから10日間短縮されるのは大きな利益となる。

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地図が示している通り、アラビア海から紅海に入り、スエズ運河を通って地中海に出る紅海周辺の国々サウジアラビア、イエメン、エジプト、イスラエルは、世界的な貿易の重要地点である。

出典:アメリカエネルギー情報局

紅海での海上テロやロシア・ウクライナ戦争による地政学的ショックは、世界経済、とりわけ発展途上各国が新型コロナウイルス感染拡大(パンデミック)による財政的痛手からの回復に苦闘している中で、物流コストと食料品価格を押し上げている。最近もアイスランドで火山が噴火し、航空運賃が上昇した。

今日の永続的な変動に対する解決策は、北京とワシントンの首脳会談やG7のグループ・セラピー・セッション、あるいは世界経済フォーラムや国連気候変動会議のようなトーク・フェスティバルからは生まれないだろう。その代わりに、深刻な相互不信と予測不可能な危機に悩まされる世界が、世界的な公益のために意味のある集団行動を起こすための道筋は、まさに1つしかない。供給ショックの解決策は、サプライチェィンを増やすことである。経済ベルト(belts)を増やし、通行路(roads)を増やすことだ。

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2023年10月18日、北京の人民大会堂で開催された第3回「一帯一路」国際協力フォーラムの開幕式で演説する中国の習近平国家主席。

中国はこのことを何年も前から認識し、それに基づいて行動してきた唯一の国だ。中国が昨年10月、こうした構想を象徴する、一帯一路構想(Belt and Road Initiative BRI)発足10周年を記念して130カ国以上の指導者や代表を北京に招集した際、10年前と同様、多くの西側諸国の指導者たちは不快感を示した。西側の指導者たちは、中国を世界貿易ネットワークの中心に置くことで西側主導の国際秩序を弱体化させるステルス計画として、一帯一路構想を捉えてきた。

しかし、機能的な観点から見れば、一帯一路構想は全ての国が自国の国益のために行うべきことを象徴している。すなわち、国家の利益は、不測の事態に対するヘッジ(hedge、備え)として、また自国の資源や製品とのアクセス性と影響力を高めるために、需要に見合った供給経路をできるだけ多く構築することである。

このようなヘッジの必要性は、2021年、巨大コンテナ船エバー・ギブン号がスエズ運河で座礁し、新型コロナウイルス感染拡大不況の中で世界が貿易の復活を模索していた矢先、ヨーロッパとアジア間の貿易が全面的に凍結されたことで明らかになった。滞貨の大部分は2週間以内に解消されたものの、世界のジャスト・イン・タイムのサプライチェィンにとっては、摩擦のない貿易を前提に、メーカーや小売業者が部品や商品の在庫を低く抑えている中で、不安な経験となった。また、出荷が遅れた場合の保険料も毎週高額となった。

海上のチョークポイントの脆弱性が、紅海でのフーシ派のテロ、黒海でのロシアの穀物封鎖、パナマ運河の干ばつ、あるいはマラッカ海峡近くの潜在的な南シナ海紛争によって露呈したとしても、世界経済の最大ゾーンである北アメリカ、ヨーロッパ、アジアは、このような散発的で制御不能な出来事の人質とされるべき理由は存在しない。

確かに、船舶はアフリカの喜望峰を巡るスエズ運河以前のルートを選択し、通常の20から 30日の輸送時間に、更に10から14日追加される可能性がある。しかしその代わりに、中国とヨーロッパ諸国(互いの最大の貿易相手国)はより賢明な方法を選択した。ユーラシア大陸横断鉄道の貨物輸送は、2021年初頭に月間1000本の貨物列車となり、列車数が倍増して、信頼性と定時性が向上した。

ユーラシアを網羅する高速道路や鉄道、インド海や北極海沿いの港湾の更なる建設・整備は、世界経済の適切な機能に依存する世界の貨物・商品貿易に柔軟性と代替ルートを生み出すために不可欠である。このような投資は、保護主義、地政学、気候変動から生じるインフレショックに対する効果的な予防措置となる。

一帯一路構想が変革をもたらしていないと主張するのは難しい。 2013年以来、約1兆ドルの資金が建設プロジェクトや非金融投資として一帯一路加盟諸国に流入した。

特に人口過密の発展途上諸国にとって、国内需要に対応し、経済乗数効果(economic multiplier effects)を生み出し、世界経済との接続を構築するには、強固なインフラが不可欠だ。ハンガリーやセルビアなどのヨーロッパの周縁諸国も一帯一路構想の受益者であるが、ザンビアやスリランカなどの他の国々と同様、過剰債務(excessive debt)と中国による一部の政治的支配という代償を払ってこれらを実現した。

西ヨーロッパに関しては、イタリアが2019年に一帯一路構想に加盟し、2023年末に離脱したが、これは大規模な二国間貿易において中国市場への十分な相互アクセスが得られなかったことに対するヨーロッパの不満の表れである。

一方、昨年9月にニューデリーで開催されたG20サミットでは、提案されている200億ドル規模の多様なインド・中東・欧州経済回廊(India-Middle East-Europe Economic Corridor IMEC)は、一帯一路のライバルとして、アメリカによってすぐに歓迎されたが、それははるかに地元密着型である。

一例を挙げると、インドのナレンドラ・モディ首相も、イラン経由でロシアへの貿易回廊(trade corridor)を宣伝しているが、これはワシントンの耳にはまったく愉快な音楽ではない。同様に、サウジアラビアとUAEがアメリカ、ヨーロッパ、ロシア、中国、インド、日本に同時に求愛していることからも明らかなように、自信に満ちた湾岸アラブ諸国は、いわゆる新冷戦でどちらの味方もしている訳ではない。その代わりに、彼らはヨーロッパ、アフリカ、アジアの間の地理的な交差点としての役割を高めるために、巧みな複数の同盟(multialignment)を実践している。

これらの地理を組み合わせた造語は「アフロ・ユーラシア(Afro-Eurasia)」だ。この用語は学者たちが植民地時代以前の文明と商業の軸を指すために使用しており、事実上、いわゆる新世界(the New World)の発見に先立って既知の世界を構成するということになる。

今日、アフリカ・ユーラシアは再び世界の人口動態、経済学、地政学の中心地となっている。このインド太平洋システムに属する全ての国は、グローバライゼーションを低下させるのではなく、更なるグローバライゼーションを望んでいる。最もつながりのある大国は、貿易国家に他国の地理ではなく自国の地理を使用させることで勝利する。

彼らは、分断されるのではなく、ますます混ざり合い、階層化する世界から恩恵を受けている。実際、負けじとばかりに、同じG20サミットで、トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領も、イラク南部のバスラ港を経由してトルコを経由してヨーロッパに至る別の貿易通過回廊を提案した。

EU加盟諸国は、インド太平洋における中国の戦略的影響力に対抗し、中国による太陽光パネルや電気自動車のダンピングから自国市場を守るという点でアメリカと歩調を合わせている。しかし、ヨーロッパはまた、各国首脳がインド、ヴェトナム、インドネシア、シンガポールを頻繁に訪問していることから分かるように、アラブ諸国やアジア経済への輸出拡大にも熱心な姿勢を保っている。 2016年に中国企業COSCOがギリシャのピレウス港の株式の過半数を取得したことをめぐる騒動にもかかわらず、それはIMEC複合一貫航路で想定されている終着点と全く同じである。

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2018年11月10日、スリランカのコロンボで建設中の新しい高層ビルが見られる中、ゴール・フェイス・グリーン沿いにたむろするスリランカの若者たち。

西側諸国の外交官やアナリストたちはもはや中国の一帯一路構想を否定はしていないが、根底にある背景をまだ完全には把握していない。一帯一路構想は攻撃的というよりも防御的な試みとして始まった。中国は世界の工場となり、拡大する産業基盤を強化するために大量のエネルギーと原材料の輸入を必要としていたが、今日世界のサプライチェインを悩ませているのと同じ難所に対して脆弱なままだった。同時に、鉄鋼やその他の商品の膨大な余剰生産を吸収できる市場を模索した。

中国の国防費、武器輸出、ならず者国家やアメリカの同盟諸国との戦略的関係が同様に拡大するにつれ、一帯一路構想は中国の大戦略の中核要素であり、世界を切り開く邪悪な陰謀と見なされるようになった。しかし、地政学は非線形(nonlinear)だ。中国は、インドとのヒマラヤ国境を越えて南シナ海への積極的な侵攻と、一部の批評家が「債務罠外交(debt-trap diplomacy)」と呼ぶ厄介な財政条件で、すぐに自ら疑惑を引き起こした。

その後、西側諸国と同盟大国は対抗策を講じ始めた。軍事分野では、オーストラリア、インド、日本、米国のクアッド連合(Quad coalition)はインド太平洋で海洋協力を強化し、ヴェトナムなど南シナ海の沿岸諸国への武器販売を強化し、フィリピンを支援している。中国が埋め立てを行ったのと同じように、島々を要塞化している。

インフラおよび商業分野においては、アメリカの戦略的競争法(the Strategic Competition Act)とCHIPSおよび科学法(the CHIPS and Science Act)、米国際開発金融公社(the U.S. International Development Finance Corp)、EUのグローバル・ゲートウェイ・イニシアティヴ(Global Gateway initiative)、日本とインドの「接続回廊(connectivity corridors)」、多国籍サプライチェィン・レジリエンス・イニシアティヴ(multinational Supply Chain Resilience Initiative)やG7の「より良い世界を取り戻す(Build Back Better World)」は、各国を誘導して、中国の金融機関ではなく多国籍金融機関から優遇金利で借り入れたり、中国の企業(フアウェイ)よりも西側の企業(スウェーデンのエリクソンなど)と契約させたりするために考え出された無数の計画の一部に過ぎない。5G ネットワーク、またはインターネット・ケーブルの分野でこのようなことが起きている。

西側諸国は、口先だけではなく実際に行動することを学びつつある。インフラ整備競争(infrastructure arms race)は現在進行中だ。西側諸国が何十年も無視してきた後、中国は世界の問題として、インフラを強化したことで評価されるべきだが、世界が共同して重要なインフラに投資すればするほど、全ての道が中国に通じている(all roads lead to China)可能性は低くなる。西側諸国はこのグレイトゲームの最新ラウンドには出遅れているかもしれないが、既に競争条件を平等にすることに成功している。

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2020年5月26日に中国東部の海安の物流拠点を出発するヴェトナム行きの輸送コンテナを運ぶ中国・ヨーロッパの貨物列車が写っている。

中国主導対西側主導の取り組みはゼロサムの試みとして描かれているが、ほとんどの場合、港湾や送電網などのインフラは利用を排除できないものであり、競合するものではなく、あらゆる商用ユーザーに開かれており、それらのユーザーに平等なサーヴィスを提供する。パイプラインであれ、送電網であれ、インターネット・ケーブルであれ、それぞれのしっぺ返しプロジェクト(tit-for-tat project)は、意図せずして、世界を相互接続されたサプライチェィンシステムに変えるというはるかに壮大なプロジェクトを前進させる。

今日の激動の世界において、これ以上に伝えるべき重要な真実はない。需要を満たすための供給経路が増えると、インフレショックを回避できる。私たちは、より多くの国でより多くの食料を清算し、より多くの半導体を生産し、より多くのレアアース鉱物を加工し、世界中での移動に単一障害点(single point of failure)を確実になくす必要がある。

輸送手段をスエズ運河からユーラシア鉄道、あるいはよる高速な北極海航路に自発的に移行できることは、まさに世界経済がショックに対してより回復力を持ち、ナシム・ニコラス・タレブの言葉を借りれば「反脆弱性(antifragile)」にさえなれる方法だ。この点だけでも、インフラ的に関連性の高い(hyperconnected)世界は望ましいものであり、現在のシステムよりも優れている。気候変動が加速する中で、それは文明の生存にとっても不可欠だ。

気候ストレスは今世紀中に10億人以上の移動を促す可能性があり、人口は沿岸部から内陸部へ、標高の低い地域からより高い地域へ、そしてより暑い気候からより涼しい気候へ再定住することになる。私たちは既に、南アジアや東南アジアからヨーロッパや中央アジアへといった、これまで経験したことのない大規模な移住の新たなベクトルを目の当たりにしている。人類の大多数がユーラシア大陸に居住していることを考えると、東ヨーロッパや中央アジア全域のより気候変動に強い地域への人々の必然的な循環が予測され、住宅、交通、医療、その他の施設といった必要な都市インフラが構築されていることが重要だ。

石油パイプラインなどの古いインフラが依然として多すぎて、海水淡水化プラント(water desalination plants)、太陽光発電所、エネルギー効率の高い手頃な価格の住宅、水耕栽培食品センター(hydroponic food centers)などの新しいインフラが少なすぎる。これらの投資は、世界経済を促進する大規模な地球規模のリサイクルの一部である。インフラは雇用を創出し、生産性を向上させ、消費と貿易の成長を促進し、人材と資本の流れを引き寄せる。

現代文明を定義する都市部集住(urban settlements)の構築と接続は、過去1万年にわたる人類の物語である。ローマの道路からイギリスの鉄道、アメリカの基地に至るまで、私たちが蓄積したインフラの層は、インフラの管理の権限は変わるものの、長期的にはゼロサムゲームではないという事実の永続的な証拠だ。インフラの運命に関する質問に対する答えは、インフラが支えるグローバライゼーションに対する回答と同じだ。それは、「より多く」である。

※パラグ・カンナ:クライメット・アルファ創設者兼最高経営責任者。最新刊に『ムーヴ:人々はより良​​い未来を求めてどこへ向かうのか(MOVE: Where People are Going for a Better Future』がある。ツイッターアカウント:@paragkhanna

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(終わり)
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 日本は世界に先駆けて、「少子高齢社会」「少生多死社会」に突入している。「高齢化」ではなく、「高齢」である。ある学者の言葉を借りれば、「日本は老人ホーム」ということになる。下の記事にあるように、1年間で生まれる乳児の数が約75万人で、亡くなる数は約159万人で、差し引きすれば、約84万人の人口減少ということになる。移民などを考えれば、減少数はこれよりも少ないとなるが、約80万人が日本からいなくなったということになる。約1億2000万人の人口を誇る(世界第12位)日本で80万人くらいと思えるが、問題は、人口減少が2011年からずっと継続しており、出生数は1970年代中盤の第二次ベイビーブーム(現在の50歳前後)を最後に、減少し続けている。
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第二次ベイビーブーム世代(団塊ジュニア世代)が前の世代に近い形で婚姻、出産できていれば、2000年代前半(現在の20代中盤から30代中盤)に多少のベイビーブームが起きていただろうが、経済氷河期ということと、自己責任ブームもあり、経済的に安定せず、結果として、第二次ベイビーブーム世代は前の世代のような婚姻も出産もできなかった。ここに国家(政府与党自民党)は力を注ぐべきであったが、国家(政府与党自民党)は団塊ジュニア世代を斬り捨て、見捨てて、結果として、現在の日本の惨状を招いている。生まれてくるはずの人たちを出現させなかったということになり、自民党の罪は万死に値する。
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今頃になって、少子化対策などと言っているが、既に手遅れである。時を逸している。適材適所という言葉があるが、適時という言葉もある。その最も効果を発揮する時に政策をびしっと打てなければ、それは失敗であり、その点で自民党は失策を、しかも日本にとって致命的な大失策をしてしまったということになる。一度ダウンスパイラルにはまり込んでしまえば抜け出すのは容易ではない。デフレスパイラルのことを考えればそれは理解できる。

人口を維持するためには、合計特殊出生率2.07が必要である。1.5が「超少子化」と分類され、それより下になると深刻な事態ということになる。日本は2005年から10年間程度は特殊出生率が持ち直していたが、それでも1.5にも及ばない状況である。出生率を2.07に近づけることは不可能である。出生数100万を目指すことも夢のまた夢である。日本は衰退国家であるということを改めて認識しておかねばならない。
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 日本の人口はこれからも減り続け、これから50年間で1億人を下回り、やがて8000万人台になるだろう。2100年頃には8000万人台を割り込んでいるかもしれない。現在のような社会システムを維持することはできないだろうが、人口の過密から解放されているかもしれない。日本が先進国であった時代の遺産を食いつぶしながら、やがてそれもなくなれば、また一から始めるということになるだろう。そういう循環になっているのかもしれない。

(貼り付けはじめ)

●「2023年生まれの赤ちゃん 8年連続減で過去最少758631人 去年1年間の死亡者数は3年連続増で過去最多」

2/27() 15:31配信 FNNプライムオンライン

https://news.yahoo.co.jp/articles/5c530414ee9b8e3fe575968cac7f8b5811ecec1f

2023年に生まれた赤ちゃんの数が8年連続で減少し、過去最少となった。

厚生労働省によると、20231年間で生まれた赤ちゃんの数を示す出生数は前の年よりも約41000人減って、758631人だった。

出生数が減少するのは8年連続で、過去最少となった。

一方、20231年間で死亡した人は159503人で3年連続で増加し、過去最多に。

また、結婚の件数は489281組で減少した一方、離婚の件数は、187798組で増加した。

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2023年出生数、最少75万人 人口減り幅も過去最大、厚労省

2/27() 15:31配信 共同通信

https://news.yahoo.co.jp/articles/5c8cf6a517a7a4b0f43c374069832f80381c2f64

 厚生労働省が27日に発表した人口動態統計の速報値(外国人らを含む)によると、2023年に生まれた赤ちゃんの数(出生数)は過去最少の758631人だった。初めて80万人を割った22年から5.1%減り、少子化が一段と進んだ。今後発表する日本人だけの出生数は70万人台前半への落ち込みが確実な情勢だ。婚姻数も90年ぶりに50万組を割った。死亡数は過去最多の159503人となり、出生数を引いた人口の自然減は831872人と最大の減少幅になった。

 未婚・晩婚化の傾向は変わらず、少子化は政府想定より12年早いペースで進む。

 出生数は第2次ベビーブームのピークだった1973年(約209万人)以降、減少傾向に入り、16年に100万人を割った。2022年の速報値は799728人で初めて80万人を下回り、23年はさらに41097人減った。減少は8年連続。

 厚労省の国立社会保障・人口問題研究所は将来推計人口で、76万人を割るのは35年と見込んでいたが、実際は12年早まった形だ。

(貼り付け終わり)
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2023年12月27日に『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。西側諸国が600年間も握り続けた世界覇権が西側以外の国々に移動しつつある現在を詳しく分析しています。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 西側先進諸国の政治家たちの支持率が軒並み20%台、30%台であり、40%もあれば立派なものという状況になっている。不支持率は50%、60%を超えており、単純に言えば、有権者の過半数が支持していないということになる。これに対して、アジア諸国の、民主的な選挙で選ばれた国々の指導者たちの支持率は高いということを西側のメディアも注目している。
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 その理由は極めて単純だ。新興諸国は、国力が伸び、経済状況が改善される中で、国民にどのように還元するか、再分配するかということに集中すれば済む。日本でも高度経済成長期は、国土の発展と国民生活の向上のための再分配に集中していればよかった。公害問題などもあったが、基本的には伸びゆく日本ということで、ある程度の大盤振る舞いができた。しかし、高度経済成長が終わり、低成長、ゼロ成長の時代には大盤振る舞いどころではなくなった。また、少子高齢化など社会の構造を根本から揺さぶる問題もあり、政治家たちにしてもどう対処したらよいのか、アイディアもないという状況だ。先進諸国はどこもそうだ。結果として、国民には不満が募り、政治家たちは非難され、支持率は低下する。
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フェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領(フィリピン)
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ナレンドラ・モディ首相(インド)

 しかし、逆に言えば、国民のニーズをつかみ、国民生活の向上ということをやれば、世界共通で支持率が上がるということになる。日本を含む先進諸国ではそれができていないということになる。

 私が注目してきたインドネシアの大統領選挙は、大統領候補プラボウォ・スビアントと副大統領候補ギブラン・ラカブミン・ラカ(ジョコ・ウィドド大統領の長男)のコンビが58%の得票率で、三つ巴の選挙戦を制した。ジョコ・ウィドド大統領が実質的に支持してきたことで、このコンビの大統領選挙での勝利は確実視されていたが、三つ巴の戦いということで、1回目の投票で過半数を得られないので、2回目の決選投票が行われると予想されていた。しかし、結果は1回目の投票で過半数を得る圧勝だった。それだけ、ジョコ大統領の人気が高いということになる。プラボウォは過去にジョコ大統領と選挙で争った間柄であったが、ジョコ大統領の路線を引き継ぐということで、彼の後継者となった。プラヴウォの次は、ジョコ大統領の長男ギブランになる可能性が高い。これから「院政」を敷くであろうジョコ大統領に鍛えられていくだろう。
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プラヴウォ(左)とギブラン(右)

 先進諸国のリーダーと言うのは大変なことであり、支持率が上がらないのは仕方がないことだろう。しかし、国民生活の改善、向上を行えば、支持率は上がる。そのような当たり前のことができないほどに先進諸国の置かれている状況は悪化しているということも言えるだろう。

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アジアの民主的に選ばれた指導者たちはどうしてこうも人気なのか?(Why Are Asia’s Democratic Leaders So Popular?

-西側諸国の政治家たちに比べて、アジア諸国の政治家たちは正しいことをしている。

ジェイムズ・クラブトゥリー筆

2024年2月22日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/02/22/asia-democracy-politics-election-modi-prabowo-marcos-india-indonesia-philippines/

プラヴウォ・スビアントが三つ巴の厳しい選挙戦の末、インドネシア大統領選挙で圧勝した。2024年2月14日の選挙戦に関する各種世論調査の結果では、プラヴウォの勝利が確実視されていたが、専門家の多くは、1回目の投票で過半数を獲得する候補者が現れず、2回目の決選投票になるだろうと予測していた。しかし、プラヴウォ国防相は58%の得票率で記録し、予想外の大勝利を収めた。

プラヴウォの勝利には多くの原因が存在した。しかし結果が示しているのは、「アジアの新興市場民主政体国家の多くで政治指導者が驚くべき人気を得ている」という、より広範な流れを示している。豊かな西側諸国の政府首脳たちは、ほぼ例外なく、国民から非難され、多くの議会では、衰退しつつある諸政党が、連立与党を形成することさえ難しくなっている。

対照的にインドネシアでは、80%の支持率を記録して、任期を終えたジョコ・ウィドド大統領(通称ジョコウィ)の後任として、プラヴウォが大統領に就任する。フィリピンでは、フェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領が、前任のロドリゴ・ドゥテルテ大統領と同様に好感を持たれている。そして、4月に始まるインドの選挙では、ナレンドラ・モディ首相が3回連続の圧勝を収めることがほぼ確実視されている。

このように人気の高い指導者たちにポピュリストというレッテルを貼りたいのはやまやまだ。そして、ドゥテルテのようにその言葉に当てはまる人物もいる。パキスタンの元首相イムラン・カーンもそうだ。彼の激しい反体制的なレトリックは、パキスタンの最近の世論調査で彼の政党に関連する無党派層を予想外の成功に導いた。しかし、多くの政治家たちはそうではない。プラヴウォの選挙運動では、多くの仕掛けが施されたが、一般的にポピュリストの選挙運動で見られるような、エリートへの攻撃はほとんどなかった。ジョコウィは、開発、インフラ、社会サービスに重点を置き、クリーンな統治を評価され、インドネシアの有権者から賞賛されている。彼はまた慎重な政治家でもある。

それぞれの指導者が、それぞれの国が置かれている状況の産物であることも明らかだ。プラヴウォの勝利の規模は、ジョコウィ自身の支持によるところもあるが、それはプラヴウォがジョコウィの息子を伴走者に選んだというエリートの策略に従ったものだ。フィリピンでは、有権者はマルコスの冷静な統治スタイルに好感を抱いている。インドでは、モディの人気はその宗教的ナショナリストとしての魅力に起因しており、この要素がジョコウィと世界の主要民主政体国家で、最も人気のある指導者の座を争う一因となっている。

とは言うものの、アジアの民主的な選挙で選ばれた政治家たちが、西側諸国の政治家をはるかに凌ぐ支持率を維持する理由を説明するのに役立つ3つの要素がある。ジョー・バイデン米大統領は先日のスーパーボウルでTikTokデビューを果たした。しかし、アジアの政治家たちは長い間、このようなプラットフォームをキャンペーンの目玉としてきた。元陸軍大将のプラヴウォは、TikTokを利用して軍人としての硬派なイメージを和らげ、漫画のような童顔のおじいさんに扮したクリップを流した。モディの再選に向けた選挙運動は既に始まっており、これもまた非常に洗練されたデジタルキャンペーンを展開している。こうしたことはすべて、人口が若い国々では重要である。インドネシアの2億人の有権者の約半数は40歳以下であり、インドの有権者たちは更に若い。

経済運営に対する特徴的なアプローチは、1つ目の要素と関連する、2つ目の要素となる。多くの場合、これは政治家が無料で物品を配ることに関係している。プラヴウォの選挙運動では、学生に無料の給食と牛乳を提供すると公約した。2022年に勝利したマルコスの選挙運動は、米の価格上限設定の公約によって助けられた。モディの選挙での支持は、調理用コンロの配布やトイレの建設といった政策によって強化されてきた。

インド政府の最高経済顧問を務めたアルビンド・スブラマニアンは、これを「新しい福祉主義(new welfarism)」の一形態と表現している。政治家が、民間セクターが提供するはずの財やサービスを提供したり、補助金を出したりする。この戦略は、経済運営が混乱している場合には有権者の支持を得にくい。しかし、力強い成長と汚職がほとんどないと思われる指導者が組み合わされれば、有権者に広くアピールするレシピとなる。

3つ目の、そして最後の問題は安全保障である。西側諸国と同様、アジアの有権者も、地政学的リスクの高まりの中で、自分たちを取り巻く世界がより危険になりつつあることを感じている。その結果、有権者は国際的な信頼性を示す指導者に投票するようになっているようだ。ここでのアピールは、伝統的な「ストロングマン(strongman、暴力使用もいとわない実力者)」指導者ではなく、世界の舞台で自国の安全を守ることを正しく主張できる指導者である。フィリピンでは、南シナ海での一連の軍事衝突の後、中国に立ち向かうマルコスの姿勢に有権者は好意的に反応した。モディは昨年のG20サミットのホスト国としての役割を巧みに利用し、世界的な政治家としてのイメージを強調した。

特に経済的な後退に直面した場合、このような高騰した支持率がいつまでも維持できるという訳ではない。例えば、マルコスの支持率は2023年後半、インフレの高騰により多少低下したが、ある世論調査によれば、80%という高い支持率から、65%にまで低下した。人気のある政治家はアジアだけの現象ではない。メキシコでは、左派の現職大統領アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドールが、6年の任期満了に近づいても常に60%以上の支持率を維持している。彼の後継者であるクラウディア・シャインバウムは、6月2日に行われる国政選挙を前に、対立候補を25ポイントの大差をつけてリードしている。

アジアの指導者の多くが人気を集めていることを認めることは、アジア諸国の民主政体の状態についての懸念を軽視することでもない。スウェーデンのイェーテボリ大学のVデム研究所の報告書によれば、インド、インドネシア、フィリピンはいずれも2022年までの10年間で独裁色を強めた。プラヴウォは軍事指導者として疑わしい記録を持っているため、人権侵害の疑いでアメリカへの入国を禁止されており、ジョコウィの息子を副大統領候補に据えるという裏取引と同様に、インドネシアの民主政体の軌道について多くの懸念を起こさせている。モディのヒンドゥー教ナショナリズム政策は、2億人のイスラム教徒人口をはじめとする、インドの少数民族から警戒の目を向けられている。

しかし、アジアの民主的な選挙で選ばれた政治家の人気は、少なくとも、世界の民主政体の健全性について、よりポジティヴなシグナルを示している。西側諸国では、いわゆる民主政治体制の後退に関する報道は、ポピュリズム、ナショナリズム、無謀な指導者によって空洞化した独裁といった悲惨な構図を描いている。しかし、現実は必ずしもそれほど厳しいものではない。プラヴウォが勝利したからといって、インドネシアの民主政治体制が崩壊する訳ではない。マニラでマルコス王朝が復活したからといって、一族がかつて率いていた独裁体制に戻るわけではない。

もちろん、アジアの民主的な選挙で選ばれた指導者たちが完璧であるとは言えない。しかし、有権者は彼らのパフォーマンスに満足している。そして、民主政体が本当に世界中で維持されるのであれば、民主的に選ばれた、人気のある政治家たちを政府の指導的な立場に据えることは、良いスタートになるだろう

※ジェイムズ・クラブトゥリー:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。アジア国際戦略研究所元上級部長。著書に『億万長者による支配:インドの新しい黄金時代を通じての旅路(The Billionaire Raj: A Journey Through India’s New Gilded Age)』がある。ツイッターアカウント:@jamescrabtree

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