古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

 古村治彦です。

 

 日本でもそうですが、アメリカでもマスコミや大学、研究所(シンクタンク)などが様々な世論調査を行っています。今回は最近の世論調査の結果について報じた記事をご紹介します。

 

 今年秋の中間選挙(連邦下院全議席、連邦上院一部議席、州知事の一部)のテーマとなりそうなのが、「メディケア・フォ・オール(Medicare for All)」の導入、公立大学の無償化、そして、アメリカ合衆国入国税関管理局(ICE)廃止です。

 

「メディケア・フォ・オール」とは単一支払者健康保険システム(single payer health care system)の別名で、政府が保険料を徴収し、国民の医療にかかるお金を全て支払うというものです。アメリカでは健康保険は常に論争のテーマとなっています。ヨーロッパや日本といった先進諸国では国民皆保険制度(各国で違いはありますが)ですが、アメリカはそうではありませんでした。オバマケアの導入で国民の大部分が健康保険に入れるということになりましたが、増税などで大きな批判があります。

 

 アメリカでは長きにわたり、国民皆保険制度は共産主義と同じだ、という主張がなされ、国民皆保険制度を評価する人間に対して批判が寄せられることが続きました。

 

 現在、民主党急進派は、「メディケア・フォ・オール」という制度の導入を主張しています。これは、政府もしくは公的機関が保険料を徴収し、そこが医療費コストを支払うという制度です。アメリカで長年にわたり批判されてきた共産主義的なシステムです。

 

 この制度について、民主党支持者の85%が賛成しているというのは分かりますが、共和党支持者の52%が賛成しているのは注目されます。今回の世論調査の結果は、アメリカ国民の多くが国民皆保険を支持しているということを示す一つの数字となります。

 

アメリカ合衆国入国税関管理局(ICE)は、国土安全保障省(Department of Homeland Security)に所属し、不法移民の取り締まりなどを行っています。最近、不法移民の親子を別々に収容して、「親子を引き離すとは何事だ」という批判に晒され、ドナルド・トランプ第登用が親子を別々に収容しないようにせよという命令を出しました。

 

 ICEについて、共和党支持者の7割は廃止に反対(存続に賛成)で、民主党支持者では44%が廃止に賛成、44%が廃止に反対という世論調査の結果が出たということです。アメリカ国民の過半数はICEの廃止に反対しているということになります。

 

 興味深いのはリベラルであろう民主党支持者たちの間でICEの廃止について意見が割れている点です。民主党支持者でもICEの存続を求める声が多いのは、不法移民に対する否定的な感情がアメリカ国民に多くあるということであろうと思います。こうした不法移民が低賃金の重労働を担っているという現状がありますが、一方で、移民たちが自分たちの仕事を奪っている、更には外国の安い労働力がアメリカの仕事を奪っているという不満が人々の間で高まっています。

 

 これはアメリカ国民の多くが不法移民を拒絶しているということになります。不法移民でやってくる人々がいなければ、低賃金の肉体労働は成り立たないほどになっていますが、不法移民流入に伴うマイナス、麻薬の流入や社会保障の負担増大などについて、リベラルな民主党支持者も辟易しているということになります。

 

 アメリカ国民は富の再分配を求め、同時に、これ以上の不法移民の流入は阻止したいという考えを持っているということになります。自分たちに対してはリベラルな政策を求め、自分たち以外の存在には厳しい政策を求めているということになります。人々のこのような考えを実行しているのがトランプ大統領です。トランプ大統領のやることは、ワシントンやニューヨークにいるエリートたちには訳の分からないものだと思いますが、人々の気持ちに合っているので、支持率が下がっていないということになります。

 

(貼り付けはじめ)

 

最新の世論調査によると、アメリカ国民の70%が「メディケア・フォ・オール」を支持している(Seventy percent of Americans support 'Medicare for all' in new poll

 

ミーガン・ケラー筆

2018年8月23日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/policy/healthcare/403248-poll-seventy-percent-of-americans-support-medicare-for-all

 

多数のアメリカ国民、7割のアメリカ国民が「メディケア・フォ・オール」を支持しているということが最新の世論調査で分かった。「メディケア・フォ・オール」は、単一支払者健康保険システム(訳者註:政府、もしくは公的機関が保険料を徴収し、政府が医療費を全て支払う)である。

 

ロイター通信・イプソス実施の世論調査によると、民主党支持者の85%が「メディケア・フォ・オール」を支持し、共和党支持者の52%が支持している。

 

リバータリアニズム系のシンクタンクであるジョージメイソン大学メルカトス研究所が、「メディケア・フォ・オール」を導入すると10年間で連邦政府の支出が32兆6000億ドルを増加させるだろうという研究結果を発表した。この後、「メディケア・フォ・オール」は連日報道されるようになった。

 

研究結果を発表したチャールズ・ブラハウスは、2018年8月初旬に『ウォールストリート・ジャーナル』紙に寄稿し、その中で、税率を2倍にしても単一支払者健康保険システムの予算を賄うことはできないと主張した。

 

一方、「メディケア・フォ・オール」導入を主張する人々は、「メディケア・フォ・オール」を法律として成立させれば、2031年までに健康保険にかかる予算を2兆ドル削減できると述べている。

 

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は、メルカトス研究所の研究結果は「人々を間違った方向に誘導し、バイアスがかかったものだ」と述べた。

 

ロイター通信社の最新の世論調査によると、アメリカ国民の過半数は大学学費の無料化を支持している、ということだ。共和党支持者の41%、民主党支持者の79%が支持している。

 

アメリカ合衆国入国税関管理局(ICE)廃止の動きに対しては、世論調査の対象者の過半数が反対している。共和党支持者の70%が、創設15年の政府機関ICEの廃止に反対し、民主党支持者の中は半々に割れている。約44%が廃止に賛成し、44%がICEは存続させるべきだと答えた。

 

ロイター通信の世論調査はアメリカ国内の成人に対して今年6月と7月を通じて行われた。ロイター通信は2989名に対して「メディケア・フォ・オール」について、5339名に対して大学無償化について、7737名に対してアメリカ合衆国入国税関管理局(ICE)廃止について質問した 「メディケア・フォ・オール」と大学無償化に関しての誤差は2ポイント、ICE廃止に関しての誤差は1ポイントの誤差だった。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 今回は磯田道史著『素顔の西郷隆盛』をご紹介いたします。現在、NHKの大河ドラマ「西郷どん」が放映中ですが、そこまで話題になっていません。鹿児島で生まれ育った私としては少し残念な気持ちですが、それでも今年の夏はさすがに多くの観光客が鹿児島を訪れたようです。

 

 鹿児島は2011年に九州新幹線が開通して以降、中国、韓国、台湾、更には東南アジア各国からの観光客が多く訪れるようになっています。昨年、帰省した折、実家の近くにある照国神社(薩摩藩の名君・島津斉彬公を祀っている)という鹿児島では一番に参拝客があるであろう神社まで朝の散歩に出かけました。照国神社には数分おきに観光バスが到着し、中国からの観光客がガイドに先導されて照国神社に来ていました。ほぼ中国人だけの空間になっているほどでした。

 

 その他にも桜島や仙巌園(薩摩藩主島津氏の邸宅)といった観光名所では、中国や韓国語が飛び交っており、時代は変わったなぁ、国際化しているなぁと思わされることばかりでした。

 

 大河ドラマ「西郷どん」は時代考証がしっかりしており、また、細かい点が良く描かれているという話を聞く一方で、郷土史家の人々からは演出がおかしいという批判も寄せられているそうです。まぁドラマですから、という言い訳をしているようですが、郷土史家から見ればおかしいことはあるのでしょう。それはどの大河ドラマでもあることなのでしょう。

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素顔の西郷隆盛 (新潮新書)


 『素顔の西郷隆盛』の著者である磯田氏は大河ドラマ「西郷どん」の時代考証に参加しており、その磯田氏が、西郷隆盛に関する様々な逸話を紹介し、解釈を行っているのが本書『素顔の西郷隆盛』です。磯田氏は『西郷隆盛詳傳 第一・第二・第三篇』(村井弦斎・福良竹亭、春陽堂、1899~1903)を中心として、多くの書籍や文献、資料にあたって、西郷隆盛像を構築しています。


 

 磯田氏が書いている逸話には、鹿児島で生まれ育ち、他の場所よりも西郷や大久保利通について教えられてきた私も知らないことが多く、面白く読みました。しかし、これらの逸話の中には噂話の域を出ないものもありますが、それでも西郷についてそのように言われていた、考えられていたということを知るためには意義があると思います。

 

磯田氏の西郷隆盛像が大河ドラマの演出にも反映されていることは容易に想像できます。磯田氏は西郷隆盛について、次のように書いています。

 

(貼り付けはじめ)

 

 後年の伝記では何かと神格化される部分が多い西郷ですが、実際には聖人君子ではなかったようです。ただ、私欲や狭い地域主義を乗りこえる大きな「公」の心をもっていたことは間違いありません。

 

 子供みたいな純真な側面がありながら、策謀を始めるといくらでも悪辣なことを考えられる頭脳、自分が思う世の中を作ると決めたら、それに必要な作業へと機械的に変換できる天才的な革命家、人を選ぶことの抜群の上手さ。そして理不尽な身分制や差別に対する怒り、いずれ人間は死ぬのだという諦観―これらを考え合わせると、西郷の友は同時代の現世にはいなかったようにも思われるのです。

 

 その意味では、とても孤独な人だったのではないでしょうか。

 

(『素顔の西郷隆盛』、266-267ページ)

 

(貼り付け終わり)

 

 磯田氏は西郷が完全無欠の聖人君子でヒーローということではなく、様々な顔を持つ人間であったことを描き出そうとしています。ただ、あまりにも振り切れている人間であったために、周囲の人々は振り回され、迷惑であっただろうとも書いています。西郷の兄弟のうち、次弟・吉二郎は戊辰戦争で奮戦し戦死、末弟・小兵衛は西南戦争で戦死しています。また、後に元老となった西郷従道は兄隆盛について、否定的な言葉を残しています。

 

 『素顔の西郷隆盛』は、西郷の再評価について知りたい、分かりやすく知りたいという人には適した本と言えるでしょう。

 

 鹿児島で生まれ育った人なら原口泉氏の名前を知っている人は多いでしょう。父・原口虎雄氏も薩摩藩史の第一人者として有名で、息子である泉氏も長く鹿児島大学で教鞭を執り、鹿児島の歴史についてのローカル番組ではハンサムな風貌と落ち着いた語り口で人気を集めています。原口氏も西郷隆盛の書籍『西郷(せご)どんとよばれた男』(NHK出版、2017年8月)を出版していますが、こちらはより読みやすくて、鹿児島で生まれ育った人たちが書きたい西郷隆盛像という形になっています。

 

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西郷どん(せごどん)とよばれた男


 大河ドラマ「西郷どん」は明治維新に進み、やがて悲しい結末に向かっていきます。西郷隆盛についての本もたくさん出ていますが、是非いろいろと読んでいただけばと思います。

 

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※私が編集のお手伝いをした副島隆彦先生の『真実の西郷隆盛』(コスミック出版、2018年5月)をよろしくお願いいたします。

 

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真実の西郷隆盛

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 今年秋の中間選挙(連邦下院全議席、連邦上院一部議席、州知事の一部)に向けて、民主、共和両党で候補者を決める予備選挙(primary)が行われています。今年6月にニューヨーク州で、番狂わせが起きて、無名の新人アレクサンドリア・オカシオ=コルテスが、10期連続当選中だった現職連邦下院議員ジョセフ・クローリーを破ったことが全米で注目を集めました。

 

 今度はマサチューセッツ州ボストンで、やはり10期連続当選していた現職のマイケル・キャプアーノが新人の挑戦者アイアナ・プレスリーに民主党予備選挙で敗れるという波乱が起きました。ボストンは現職有利な土地柄で、黒人女性プレスリーの勝利は驚きをもって迎えられました。

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アイアナ・プレスリーとマイケル・キャプアーノ
 

 プレスリーは、ケネディ家の一族ジョセフ・ケネディ連邦下院議員やジョン・ケリー元連邦上院議員(後の国務長官)の下で働き、そこからボストン市議会史上初の黒人女性議員となりました。その点では知名度はありました。しかし、10期連続当選で、民主党所属の下院議員でもリベラル派の重鎮、リーダー格となっていたキャプアーノを破るということは多くの人たちが予想していませんでした。

 

 下に掲載した記事を読むと、地元の有権者たちは「キャプアーノには不満はないのだが、選挙区を代表する新たな顔と声が必要だ」という考えを持っていました。6月にそこに、キャプアーノよりもよりリベラルで進歩的なプレスリーが立候補し、選挙戦は混戦となり、プレスリーが勝利ということになりました。

 

 このように現職に対して逆風が吹いているのが今回の中間選挙の特徴です。特に長年にわたり議員を務めてきた、体制派そのもののような政治家に対する風当たりは厳しくなっています。クローリーやキャプアーノのようなリベラル派と目される議員たちでも、「ワシントン政治に染まっている」という烙印を押されて、落選ということになりました。

 

 民主党で番狂わせを演じたのは、マイノリティの女性たちであり、かつ進歩主義的、自分のことを社会主義者だと言っている人たちです。彼らは体制派よりもより急進的な政策を主張しています。メディケア・フォ・オール、公立大学の無償化、アメリカ合衆国移民関税執行局(ICE)の廃止などです。こうした人たちの旗頭が2016年のアメリカ大統領選挙の民主党予備選挙でヒラリー・クリントンに対して善戦し、結果として、ヒラリーを本選挙で落選させることになったバーニー・サンダース連邦上院議員です。

 

 2016年アメリカ大統領選挙におけるバーニー・サンダースの躍進とドナルド・トランプの最終的な勝利に共通しているのは、ワシントン政治と体制派政治家に対する嫌悪です。民主、共和党の両極端な人物が支持を集めているということになります。この動きは2018年の中間選挙でも続いているということになります。

 

 中間選挙の情勢はまだ不透明で、接戦が続いており、やや民主党が有利という報道がなされています。これからどうなっていくのか注目されます。

 

(貼り付けはじめ)

 

キャプアーノはマサチューセッツ州での民主党予備選挙で挑戦者プレスリーに敗れる(Capuano falls to Democratic challenger Pressley in Mass. Primary

 

メラニー・ザノナ、リサ・ヘイゲン筆

2018年9月4日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/405011-capuano-falls-to-democratic-challenger-pressley-in-mass-primary

 

マイケル・キャプアノ連邦下院議員はマサチューセッツ州での民主党予備選挙で挑戦者であるアイアナ・プレスリーの後塵を拝した。キャプアーノは現職議員として、進歩派の挑戦者に敗れる政治上の番狂わせに巻き込まれた。

 

『ワシントン・ポスト』紙によると、議員歴20年のキャプアーノは午後9時20分に敗北を認めた。マサチューセッツ州第7区での競争相手、44歳のプレスリーはボストン市議会初の有色人種女性の議員となった人物だ。キャプアーノにとっては20年間で初めて予備選挙で挑戦者を迎えての選挙戦となった。

 

AP通信が午後9時53分に予備選挙の結果を報じた。

 

WBZニュースレディオによると、キャプアーノは火曜日の夜に次のように語った。「予備選挙で勝利を得るために私たちは自分たちにできることを全てやった。努力が実を結ばなかったことを残念に、かつ申し訳なく思う。しかし、これが人生だ。アイアナ・プレスリーは間違いなく素晴らしい議員になるだろう」。

 

キャプアーノは今回の選挙において、予備選挙で敗れた4人目の現職議員となった。民主党のクローリー、共和党のロバート・ピッテンガー連邦下院議員(ノースカロライナ州選出)とマーク・サンフォード連邦下院議員(サウスカロライナ州選出)に続く4番目となった。キャプアーノの敗北は現職議員たちが反エスタブリッシュメントの逆風に直面していることを示している。

 

今年6月のニューヨーク州での予備選挙で28歳の民主社会主義者を自認するアレクサンドリア・オカシオ=コルテスがヴェテラン議員のジョー・クローリーを破った後、民主党を活気づかせている進歩派への追い風をプレスリーはうまく掴むことが出来た。

 

オカシオ=コルテス同様、プレスリーは彼女自身をワシントンのエスタブリッシュメントを攻撃することを目指す有色人種の若い女性と規定して戦った。マサチューセッツ州第7区は民主党が堅固であり、共和党から立候補がないので、プレスリーは来年初め、連邦議会に議員として出席することになるだろう。

 

プレスリーの勝利は、民主党の予備選挙における一連の女性、その多くがマイノリティの挑戦者の勝利の流れに連なっている。予備選挙で女性とマイノリティの勝利が続いており、今年の11月に向けて、「女性の年」となっている。

 

投開票が行われた火曜日の夜、支援者を前にしてプレスリーは次のように語った。「キャプアーノに挑戦するという決断は生易しいものではなかった。私たちは孤立することになると考えた。地元や全国レヴェルで民主党のエスタブリッシュメント(体制派)からの支援は望めないことは分かっていた。しかし、変化を押しとどめることはできなかった」。

 

プレスリーはトランプ大統領を批判し、「人種差別、女性差別、同情心に欠けた男性」と呼んだ。民主党が強いマサチューセッツ州全体と同じく、ボストンではトランプ大統領の人気は大変に低い。

 

アフリカ系アメリカ人女性のプレスリーは、自分こそが、66歳の白人男性キャプアーノよりも、人種構成が多様で、リベラルなボストンをより代表することが出来ると訴えた。

 

火曜日の夜、プレスリーは勝利演説を行った。プレスリーは、「自分の勝利は政治や政府において尊重されていない人々、あなたたちの問題、懸念、優先事項は後回しだと言われ続けた人々の勝利だ」と述べた。

 

プレスリーは企業による政治行動委員会(PAC)からの資金を拒絶し、アメリカ合衆国移民関税執行局(ICE)の廃止を主張した。ICEの廃止はリベラル派の新たな主張となっている。一方、キャプアーノは廃止よりも縮小を主張していた。

 

ボストン市議会議員であるプレスリーは、オカシオ=コルテス、マサチューセッツ州司法長官マウラ・ヒーリー(民主党)、『ボストン・グローブ』紙から支持・推薦を受けていた。

 

アメリカの各進歩主義団体は、プレスリーの勝利は今回の選挙で一連の進歩派の勝利の一環であると称賛している。

 

「デモクラシー・フォ・アメリカ」の会長ジム・ディーンは次のように語った。「アイアナ・プレスリーは、ボストンに住む黒人、ヒスパニック、白人の労働者階級の人々のための恐れ知らずの闘士だ。彼女は、連邦議会において、メディケア・フォ・オールや刑法改革を主導だろう」

 

ディーンは続けて次のように語った。「プレスリーはマサチューセッツ州史上初、アフリカ系アメリカ人女性の連邦下院議員となった。彼女は様々な人生の経験を重ねている。性的虐待を経験し、親は投獄されていた。このような人生の経験は権力の場である連邦議会にとって必要なものである」。

 

キャプアーノは民主党の中でも最もリベラルな政治家として知られていた。彼は議会における長年の経験を持っているので、トランプ大統領の主張と戦うことが出来ると訴えていた。

 

8月の夏休み期間中、本誌は地元の一般有権者に取材を行った。地元の人々はキャプアーノに反対する点はないのだが、選挙を代表する新顔を見てみたいと答えていた。

 

プレスリーの現職議員キャプアーノを破っての勝利は大きな衝撃となった。各種世論調査の結果ではプレスリーはキャプアーノの後塵を拝している状況だった。

 

プレスリーは政治資金集めの点で、キャプアーノから大きく後れを取っていた。キャプアーノは今回の選挙のために170万ドル(約1億9000万円)を集めていた。一方、プレスリーが集めたのは89万8000ドル(約9900万円)だった。

 

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プレスリーはマサチューセッツ州での選挙で現職のキャプアーノを破ることを目指している(Pressley seeks to oust Caputo as Massachusetts heads to polls

 

マックス・グリーンウッド筆

2018年9月4日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/404851-progressive-pressley-seeks-to-oust-caputo-as-massachusetts-heads-to-polls

 

マサチューセッツ州は伝統的に現職が強い場所だ。連邦上院議員だった故テッド・ケネディ(マサチューセッツ州選出、民主党)がその例だ。しかし、マサチューセッツ州連邦下院議員選挙第7選挙区では、挑戦者がそれまでの伝統を覆そうとしている。

 

火曜日に第7区で民主党連邦下院議員選挙予備選挙が実施され、ボストン市議会議員アイアナ・プレスリーが10期連続当選の現職マイク・キャプアーノを破って、指名されることを目指している。

 

キャプアーノは容易に再選されるだろうと見られていた。しかし、キャプアーノは各種世論調査でリードをしているが、予備選挙でプレスリーから予想外に強力な挑戦を受けている。

 

プレスリーとキャプアーノは共に、進歩的な政治家と見られており、進歩的な政策を進めるであろうと見られている。アフリカ系アメリカ女性で初めてボストン市議会議員に選ばれたプレスリーは44歳だ。プレスリーは人種構成がより多様化している第7区を代表するによりふさわしいと考えられる。

 

これまでの予備選挙で多くの女性やマイノリティの人々が勝利を収めている。その多くが民主党側で起きていることである。プレスリーの動きはこれらに続くものだ。予備選挙で勝利した女性やマイノリティはワシントンやアメリカ各州の州都でより重要な役割を果たそうとしている人々なのだ。

 

先週、フロリダ州タラハシー市の市長アンドリュー・ギルアムは、フロリダ州知事選挙民主党予備選挙で並み居る挑戦者たちを僅差でかわし、勝利した。11月の本選挙で勝利し、フロリダ州史上初のアフリカ系アメリカ人知事となる可能性が増している。

 

今年6月、28歳の無名の新人アレクサンドリア・オカシオ=コルテスが政界を震撼させた。アレクサンドリアはニューヨーク州での民主党予備選挙で10期連続当選の現職連邦下院議員ジョー・クローリー(ニューヨーク州選出、民主党)を破り、民主党の候補者に選出された。

 

他の予想外に勝利を収めている挑戦者たちと同様、プレスリーは、自分が候補者になれば、有権者に対して、現状を打破し、ワシントンに新しい声を届ける機会を与えることになると主張した。

 

一方、キャプアーノは、今年の11月に民主党が連邦下院で過半数を占めるようになれば、自分は豊富な経験と政治的な人脈を使って、影響力を与えることが出来ると訴えた。

 

火曜日にどちらが民主党の予備選挙で勝利をするにしても、11月の本選挙では楽勝するだろう。共和党では予備選挙に立候補する人物が出ていない。マサチューセッツ州第7区

ではほぼ1世紀に渡り、共和党所属の連邦下院議員をワシントンに送っていない。

 

連邦上院の他のレースでは、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)に対して、民主党の予備選挙では挑戦者が出ないであろう。そして、彼女は11月の本選挙では圧勝で二期目を決めると考えられている。そうなれば、彼女は2020年のアメリカ大統領選挙の有力候補となるだろう。クック・ポリティカル・レポートはウォーレンの選挙に関しては民主党が盤石と評価している。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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