古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

 古村治彦です。

 今回はウクライナ疑惑について、より短い記事をご紹介する。前回は長い記事を何本もご紹介したので読みにくいものとなってしまった。

  今回アメリカで大きな議論となっているウクライナ疑惑について、簡単に言うと、「今年の7月25日にトランプ大統領がウクライナ大統領に電話をして、自分の大統領選挙での再選にとって強敵となるジョー・バイデンと息子についての振りとなる情報を見つけるために捜査をして欲しいと述べた。そして、捜査をさせるための圧力として、アメリカがウクライナに与える国家安全保障援助を停止してみせた。これには大統領周辺の人物も絡んでおり、個人弁護士のルディ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長もウクライナに働きかけを行った。7月25日の通話記録は国家機密など含まれていなかったが、外に漏れることがないように、より厳しい管理をするようにホワイトハウス高官たちが働きかけた」というものだ。簡単に書いてもこのように長くなってしまう。

  ジョー・バイデンは副大統領としてウクライナに関わり、バイデンの次男ハンター・バイデンはウクライナの天然ガス会社ブリズマの取締役となった(2014―2018年)。これら「バイデン家」とウクライナとのかかわりの中で、ジョー・バイデンの選挙戦にとってマイナスの情報がないかをトランプ大統領がウクライナ政府に探させようとした、ということになる。これが事実ならば権力濫用であり、内政干渉であり、極めて重大な問題だ。

 内部告発者からの告発の書簡の公開をトランプ政権が拒否したことで、連邦下院民主党は弾劾に向けた調査を正式に開始すると発表した。その後、告発書と通話記録の要約が公開された。既に書いたように、弾劾が成立する可能性は今のところ低い。それでも民主党としては今回の話が筋の良いものであると考えているようだ。また、大統領選挙民主党予備選挙でトップを走っているバイデンを狙ったものということで、受けて立つということにもなったのだろう。

  トランプ大統領陣営がバイデンを大統領選挙で脅威に感じているということはあるだろうが、スキャンダル探しを外国政府に圧力をかけてまでやらせようとするだろうかということは前回も書いたが今でも疑問に思っている。

 バイデンの名前が出たことはバイデンにとっては痛手となる。日本のことわざで言えば「火のない所に煙は立たぬ」なのか「痛くもない腹を探られる」ということなのかは分からない。しかし、バイデンを支持しない人々(共和党支持者と民主党支持者で他の候補者を支持している人たち)には何かしらのイメージを与えることになる。

 バイデンのマイナスは民主党の他の候補者、特に三強を形成しているエリザベス・ウォーレンとバーニー・サンダースにとってはプラスとなる。トランプ大統領にとって誰が与(くみ)しやすしとなるかと言えば、ウォーレンかサンダースとなる。全く根拠のない想像での話でしかないが、トランプ自身がこのスキャンダルを仕掛けたのではないかとさえ思えてしまう。

 そして、私は、バイデン家とウクライナの関係の具体的内容について関心を持っている。このことについては近いうちに調べたことをご紹介できればと思う。

(貼り付けはじめ)

バイデンの2020年大統領選挙に対する家族の問題(Biden's 2020 family problem

マイク・アレン、マーガレット・タレヴ、アレクセイ・マクカマンドアップ筆

2019年9月27日

『アクシオス』誌

https://www.axios.com/joe-biden-family-hunter-ukraine-donald-trump-2020-93dec9f4-cd1b-4235-b538-7d902a81ba89.html

ジョー・バイデンの出馬を押しとどめていたのはジョー・バイデンの家族だった。現在、バイデンの家族がバイデンの足を引っ張る可能性が出ている。

何が問題か:エリザベス・ウォーレンが各種世論調査の支持率で追いつている中で、ジョー・バイデン前副大統領は家族に関する疑惑と論争について答えている。

父ジョー・バイデンが副大統領を務めていた時期、次男ハンター・バイデンはウクライナのガス会社の有給の取締役を務めた(現在は退任)。

民主党最高幹部たちはウクライナをめぐるスキャンダルがバイデンにとっての大きな妨げになることを懸念している。なぜならばバイデンが人々の間で不人気な問題とプロセスに関係することになり、ハンター・バイデンに関する質問も避けることはできないからだ。

事実確認記事や「確かな話」を掲載する記事が出ても、巻き添えで負ってしまう損害(collateral damage)を避けることはできないだろう。

今回大統領選挙には関係していないある民主党系ストラティジストは、ハンター・バイデンをめぐる問題は、ウクライナでの彼のビジネス活動に限定されているだけではなく、彼の全ての個人的、ビジネス上の問題に及んでいる、としている。

ハンター・バイデンに関しては全て7月に発行された『ニューヨーカー』誌に掲載されたアダム・エントスの記事で詳述されている。エントスはハンター・バイデンとバイデン選対から多大な協力を得ていた。エントスは記事の中で次のように書いている。「ハンター・バイデンは父の選挙運動を危機に晒すことになるのか?ジョー・バイデンの息子ハンターのビジネス上の取引と騒がしい個人生活について様々な調査がなされている」。

民主党系のストラティジストたちは口を揃えて、「トランプは冷酷に、ハンターに関するスキャンダルを歪めながら利用するだろう」と指摘している。

トランプの計算は心理学上の効果を狙ってのものだ。トランプ大統領はバイデンが彼の息子に関して懸念していることを分かっている。

バイデンにとってプラス面となるのは、トランプ大統領がこのように挑発的な言動をしているのは、トランプ大統領にとってバイデンが最も強大な脅威となっていることを裏付けているというものだ。

ヒラリー側からの視点:ヒラリー・クリントンの長年の側近フィリップ・レインズは本誌に対して、この光景は以前にも見たことがあると述べた。

レインズは次のように述べた。「これは経験、人生、過去の現実とは何も関係していない。人々は自分たちが望む形でイメージを作るものだ。これは誇張などを超えたものだ」。

バイデン選対の思惑:バイデンは何も悪いことをしていない。

バイデンの顧問の一人は私に対して、ウクライナスキャンダルからの巻き添えによる損害は小さいものとなるだろうと述べた。この人物はその理由として、バイデンは副大統領だったので、何も悪いことをしていなくてもこのようなスキャンダルに巻き込まれやすいものだ、と人々は考えるからだとしている。

バイデン選対は資金集めに関して、選挙運動開始2週間目以来最高の資金を今週集めたと発表した。

バイデンはこれからも医療制度、気候変動、銃規制について主張し続ける予定だが、トランプ大統領について無視することはない。

結論:弾劾に関する調査から最大の政治的利益を得るのはエリザベス・ウォーレンということになる。

=====

内部告発者は、トランプ大統領が権力を濫用して、外国への介入を強要したと告発した(Whistleblower alleges Trump abused power to solicit foreign interference

ザカリー・バス筆

2019年9月26日

『アクシオス』誌

https://www.axios.com/trump-ukraine-whistleblower-complaint-released-e2524316-fb2f-

418e-ae57-51892e709a4c.html

トランプ大統領とウクライナに関する論争の中心には内部告発者からの告発がある。内部告発者はトランプ大統領が「2020年の大統領選挙について外国からの介入を誘うために大統領としての権力を利用」したとし、ルディ・ジュリアーニとビル・バー司法長官もこの行為に関与しているようだと指摘している。

何故問題なのか:トランプ政権は最初告発書を後悔することを拒否した。その結果、ナンシー・ペロシ連邦下院議長は火曜日に正式に弾劾に向けての調査を開始するという決定を行うことになった。ペロシ議長の決定の発表からの圧力を受けて、トランプ政権は告発書とその前にトランプ大統領とウクライナ大統領のウォロディミル・ゼレンスキーとの間の7月の通話記録の要約を公開した。

要点:内部告発者は告発した行動を分類している。この行動について、政府高官たちは、「アメリカの国家安全保障に関しリスクを高め、アメリカの国政選挙に対する外国からの介入を防ぐためのアメリカ政府の努力を台無しにする」ものだと考えていると内部告発者に述べた。内部告発者は行動を4つに分類している。

1. 7月25日の大統領による電話:複数のホワイトハウス高官が内部告発者に語ったところによると、彼らはウクライナ大統領ウォロディミル・ゼレンスキーとトランプ大統領との間の電話の内容を知り、「大いにショックを受けた」ということだ。通話の中で、トランプは「ウクライナ大統領が2020年の大統領選挙で再選を助けるような行動をとるように圧力をかけようと」した。

2.この通話の記録へのアクセスを制限する行動:内部告発者は次のように述べている。7月25日の電話の後、ホワイトハウス高官たちは「この通話に関する全記録、特に逐語的に文字起こしされたデータを“厳重に保管”するように介入した」。ホワイトハウスの弁護士たちは、ホワイトハウスのスタッフに対して電子データにした通話記録を、機密情報を含むデータを保管するために使われる別のシステムに移すように指示した。通話記録には国家安全保障に関連する内容は含まれていなかった。

告発書の脚注で言及されているところでは、「トランプ政権が“国家安全保障上微妙な情報を守るからではなく、政治的に微妙な情報を守ることを目的として”、別のシステムを利用しており、今回が初めてのことではない」ということであった。

3.継続される懸念:この通話がなされた後、駐ウクライナ米公使カート・ヴォルカーとEU駐在米大使ゴードン・ソンドランドはウクライナ政府高官たちと会談し、彼らに対してトランプ大統領からの要求にいかにして「対処」すべきかに関し助言を与えた。トランプ大統領の個人弁護士ルディ・ジュリアーニはマドリッドに飛びゼレンスキー大統領の補佐官と面会し、その他のウクライナ政府高官たちと接触し、7月25日の通話に関する「直接的な補足」を行った。

4.7月25日の大統領の通話に至るまでの状況:内部告発所の中で内部告発者が最も多く言及しているのは、ウクライナの検事総長ユーリー・ルツェンコ(2019年8月29日に退任)が2019年3月にジョー・バイデンを含むアメリカ政府高官たちに対する汚職事件の捜査をどのように遂行していたかの詳細だった。この告発が出た後に、ジュリアーニがルツェンコに2度面談し、2020年の大統領選挙でのトランプの再選に関連して捜査を求めるために5月にはウクライナを訪問する計画を立てていた、というニュースが出た。

複数のアメリカ政府高官たちは内部告発者に対して、ジュリアーニの国家安全保障政策決定プロセスを迂回していることに対して「深く憂慮」していると語ったと述べている。

複数のアメリカ政府高官たちはまた内部告発者に対して次のように語ったと述べている。「ウクライナ政府の高官たちは、トランプ大統領とゼレンスキー大統領との間で電話か会談が行われるかどうかは、ルツェンコとジュリアーニによって話し合われた諸問題について“協力”姿勢を見せるかどうかにかかっているということを信じるようになっていった」。

7月中旬、内部告発者はトランプ大統領が行政管理予算局に対してウクライナ向けの国家安全保障援助を全て一時停止するように命令した。行政管理予算局の高官たちはその命令の根拠については分かっていなかった。

明記すべきこと:内部告発者は今回の告発内容について自分で直接目撃していない。しかし、内部告発者に語った政府高官たちの言葉は正確だ、「それは、ほぼ全てのケースで、複数の高官たちが個別で話す内容はそれぞれ一貫していた」からだとも述べている。

情報機関の監察官マイケル・アトキンソンもまた内部告発の内容は信頼性があると述べている。

内部告発から新しい詳細が出ることでこの話は更新されている。

(貼り付け終わり)

(終わり)
ketteibanzokkokunihonron001
決定版 属国 日本論

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote

 古村治彦です。

 ドナルド・トランプ大統領にウクライナ疑惑が持ち上がった。アメリカ政府のある情報機関の内部告発者(whistle blower)が国家情報長官代行や連邦上下両院の情報・諜報委員会委員長に宛てた書簡の中で、トランプ大統領のウクライナ疑惑を告発した。この書簡の内容が機密指定解除され、公表された。その内容に批判が集まり、大統領擁護の主張もあり、議論が白熱している。民主党側はロシア疑惑では弾劾に対して腰が重かったが、今回、弾劾に向けて調査を始めるということになった。
donaldtrumpukranianscandal001
毎日新聞の記事から

 内部告発者の告発内容をまとめると、2019年7月25日にドナルド・トランプ大統領はウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と電話会談を行った。その中で、トランプ大統領は、ウクライナの石油関連企業の役員だった、ジョー・バイデン前副大統領の次男ハンター、更にはバイデン自身のウクライナとのかかわりを捜査してもらいたい、と発言したということだ。
 ゼレンスキー大統領が「協力する(play ball)」するかどうかでアメリカからの国家安全保障に対する援助4億ドルを停止するかどうか決めるという交換条件を持ちしたとも告発されている。これは不当な圧力をかけたということになる。内政干渉(intervention)ということにもなる。実際に議会で承認されたウクライナ向け援助の実行がトランプ政権によって遅延させられたことは事実で、トランプ大統領はこのことについて、他のウクライナの同盟諸国に援助を真剣に考慮、実行させようと望んでのことだったと釈明している。

  バイデンは現在、大統領選挙民主党予備選挙でトップを走っており、2020年大統領選挙本選挙でのトランプ大統領にとっての強力な競争相手となる可能性が高い。そのために、「大統領が大統領執務室で公務を行う中で、自分の私利私欲のために立場を利用した」という批判が出ている。

 アメリカ大統領が大統領執務室(オーヴァルオフィス)で使った電話の通話記録はその内容が一言一句記録される。それは文字情報となるが、現在はデータ化され、コンピューターシステムに保管される。国家機密が含まれる場合にはより安全度が高い別のシステムに保管される。7月25日のゼレンスキー大統領との会話には国家機密は含まれていなかったが、機密が含まれる通話記録と同じ扱いとなった。この通常とは異なる取り扱いを行ったのはトランプ大統領の周辺のホワイトハウス高官たちで、その理由として、「国家安全保障上の懸念ではなく、この通話記録が漏れると政治的に大きな打撃となるから」というものであった。また、その他の通話記録も同様の取り扱いをしているとも言われている。

 大統領の個人的な弁護士をしているルディ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長が国務省抜きでウクライナとのやり取りを行っていたことも告発された。国務省を迂回して、ウクライナ政府高官とやり取りをし、大統領のメッセージを届けたという疑惑だ。ジュリアーニは圧力があったことを認めている。

 ロシア疑惑と同様、今回の疑惑も大きな柱は「アメリカ大統領選挙と外国のかかわり」ということになる。ロシア疑惑の際には、トランプ候補(当時)の陣営がロシア政府に対して、ヒラリー・クリントンにとって不利な情報の提供を求めたという疑惑であったが、これは嫌疑不十分となっている。今回の場合はウクライナ政府にバイデン家の情報の提供を求めたという形になっている。 

 私が疑問なのは、トランプ側がバイデンにとっての不利な情報が欲しいというのは理解できるが、トランプ大統領自らが記録に残る大統領執務室からの電話を使ってこのようなことを頼むだろうかということだ。こういう汚れ仕事は側近のうちのそれにふさわしい人物にやらせるはずだ。ばれてしまっては意味がない訳で、今回ばれてしまったのでは失敗ということになる。 

 大統領が大統領選挙について側近たちと話をして、バイデンが脅威だと感じたら、それ相応の対策をするようにと言えば、それで事足りるはずだ。トランプ大統領は何でも自分でやらねば気が済まないからだ、軽率な人物だからだという評価もある。しかし、そもそも今回の疑惑は、匿名の内部告発者による情報提供から端を発している。その信頼性について100%と言うことはできない。「トランプ大統領ならやりそうなことだ」ということだけでは弾劾(辞めさせること)まではいかない。

 大統領弾劾の手続きは連邦下院で審理して弾劾相当ということになれば過半数の賛成で訴追することになる。訴追先は連邦上院だ。連邦上院が弾劾裁判所となって審理される。ここで3分の2以上の賛成があれば弾劾が成立する。現状では民主党が連邦下院の過半数を握っており、訴追は可能だ。連邦上院は共和党が過半数を握っている。また、3分の2の賛成という条件も高いハードルになっている。音声録音が出るとか内部告発者が名乗り出て宣誓証言をする(証言だけでは難しいが)などのことがあれば弾劾まで進む可能性はあるが、今のところは厳しい。

 連邦議会民主党執行部としてはロシア疑惑よりは筋が良い話ということで弾劾に乗ったのかもしれないが、先行きは楽観視できない。 

(貼り付けはじめ)

 

●「米民主、もろ刃の弾劾攻勢 ウクライナ疑惑で」

トランプ政権 北米

2019/9/25 18:29

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50186700V20C19A9EA2000/

【ニューヨーク=永沢毅】トランプ米大統領がウクライナに野党・民主党のバイデン前副大統領に関する調査を要求したとされる疑惑は、トランプ氏と民主の全面対決に発展した。民主執行部はこれまでの慎重姿勢を転換し、トランプ氏の弾劾に向けてカジを切った。対立の先鋭化は、2020年大統領選で最有力候補の一人であるバイデン氏に跳ね返るリスクもはらむ。

「大統領職の宣誓や国家安全保障、選挙の清廉さへの裏切りだ」。民主のペロシ下院議長は24日の声明でトランプ氏の行動をこう断じた。

16年の大統領選でトランプ氏がロシアと共謀した疑惑では、民主は弾劾を見送った。国家の分断を懸念して慎重な姿勢を維持してきた民主だが、今回大きく転換した。「現職の大統領」の不正疑惑を追及しなければ、国民の不信の目が自らに向かうとの判断があったからとみられる。

民主が問題視しているのは主に2点ある。1点目はトランプ氏が725日のゼレンスキー・ウクライナ大統領との電話協議で、同国への軍事支援を実施する条件として、バイデン氏の息子が役員をしていたウクライナのガス企業に関する調査をするよう繰り返し圧力をかけた疑惑だ。

米憲法は大統領が「反逆罪、収賄罪またはその他の重犯罪や軽罪」を犯せば弾劾訴追されると定める。トランプ氏が再選をめざす20年大統領選でバイデン氏は最も警戒する相手だ。同氏を追い落とすため外交を政治利用したと議会が認定すれば、弾劾の要件にあてはまる可能性がある。米連邦法は選挙活動に「価値あるもの」を外国人に求めることを禁じており、民主はこうした法令に違反する疑いがあるとみる。

もう1つは、問題の表面化につながった内部告発の中身を政権側が議会に報告するのを阻んだ点だ。電話協議の内容を問題視した米情報当局者は、8月中旬に監察官に内部告発したとされる。

 米連邦法では監察官が告発を「緊急の懸念」などと判断した場合、7日以内に議会に報告する義務があるとされる。しかし、国家情報長官代行は内部告発の報告を拒否し、ペロシ氏は「報告阻止は法令違反だ」と非難した。

強硬策を繰り出した民主に対し、トランプ氏は徹底抗戦の構えをみせる。「大統領への嫌がらせだ!」。24日にはツイッターでこう訴えた。

25日にはゼレンスキー氏との電話協議の内容を公表する方針だ。複数の米メディアによると、ホワイトハウスは内部告発の議会報告も認める方向で調整しているという。いずれも潔白を証明する狙いがあるとみられる。

民主にとって悩ましいのは、今回の疑惑にバイデン氏が関わっている点だ。バイデン氏はオバマ前政権の副大統領だった2016年にウクライナの検事総長の解任を要求したことがある。バイデン氏は解任に応じなければウクライナへの10億ドルの債務保証を保留すると圧力をかけたとされる。

検事総長はバイデン氏の息子ハンター氏が役員を務めていたガス企業の捜査を統括する立場にあった。ハンター氏はこの企業から月5万ドル(約550万円)の報酬を受け取っていたという。民主がウクライナ疑惑への追及を強めれば、バイデン氏にも矛先が向かうのは避けられない。

「問題があるのはバイデンとその息子だ」。トランプ氏はかねてウクライナ問題の調査を訴えていた。20年大統領選の民主候補の指名争いで首位のバイデン氏が失速すれば、2位のウォーレン、3位のサンダース両上院議員には追い風になる。

弾劾には世論の支持や共和の協力が欠かせない。だが共和はトランプ氏擁護の意見が多く、現時点で世論の支持も見通せない。疑惑捜査の進展しだいでは政局優先との批判を浴びる恐れもある。

 ======

 

●「ホワイトハウスはトランプ氏の通話内容を隠そうとした=内部告発者」
BBC

2019年9月27日

https://www.bbc.com/japanese/49848138

ドナルド・トランプ大統領とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の電話会談について、ホワイトハウスの法務顧問たちは、内容に国家機密を含まないにもかかわらず、国家機密専用のデータベースに保存するという異例の対応をとっていた――。大統領の通話内容について情報当局者が書いた書簡には、こうした内容が含まれていたことが明らかになった。米連邦議会が26日、情報当局者が国家情報長官代行や上下両院の情報委員長に送った手紙を公表した。

トランプ氏が今年7月の電話会談でウクライナの大統領に話した内容について、情報機関の内部告発者が監察総監や国家情報長官代行などにあてた手紙には、トランプ氏が「大統領権限を利用し、2020年米大統領選で外国の介入を得ようとしている」ことを、複数の政府担当者が懸念していると書かれている。その上でこの内部告発者は、大統領の行動が「深刻もしくは甚だしい問題」で、「法律に抵触もしくは違反した」と指摘している。

機密扱いを解除して議会が公表したこの書簡によると、ホワイトハウスの法務顧問たちは、通話内容に国家機密が含まれていなかったにもかかわらず、特にデリケートな国家機密を保管するためにある通常とは異なる電子データベースに、この電話の通話記録を保存するよう、ホワイトハウス職員に指示した。また、こういう対応は過去にも何度か行われていたという。

さらに手紙を書いた情報当局者によると、トランプ氏がウクライナのゼレンスキー大統領と直接あるいは電話で会談するかどうかは、ウクライナ側に自分たちの要求に「協力するつもりがある」か、ウクライナ大統領が「どう行動するか」次第だと、複数の米政府関係者が認識していた。また、725日にウクライナの大統領と電話会談する以前に、ウクライナへの軍事援助を停止するよう、大統領が自ら行政管理予算局に指示したという。

26日には民主党が多数を占める下院の情報委員会で公聴会が開かれ、ジョーセフ・マグワイヤ国家情報長官代行が宣誓証言。その中で長官代行は、内部告発者は「誠実に行動」し、「正しいことをした」と述べた。今回のウクライナ疑惑が浮上して以来、トランプ氏をはじめホワイトハウスは、内部告発者は党利党略のために動く民主党支持者だと反論していた。

この電話会談を理由に、トランプ氏に対する正式な弾劾調査の開始を発表した民主党幹部のナンシー・ペロシ議長は、トランプ氏が2020年大統領選で戦うことになる可能性のある民主党のジョー・バイデン前副大統領の評判を汚そうとして外国の手助けを求め、その交渉材料として軍事援助を利用したと非難している。

トランプ氏は、確かにゼレンスキー大統領と電話で話す数日前に、4億ドル分の軍事援助を自ら停止したと認めたものの、バイデン親子への捜査をウクライナに働きかけるための圧力ではなかったと説明している。

内部告発者の手紙公表と下院情報委公聴会の後、ホワイトハウスで記者団を前にしたトランプ氏は、弾劾手続きは「またしてもでたらめな魔女狩り」で、「許されてはならない」と反発した。

「民主党がこの国にしていることはみっともない話で、許されてはならない(中略)裁判所で法的手段を使うなどして、阻止する方法があるべきだ」とトランプ氏は述べた。

トランプ氏が国連総会のため訪れているニューヨークのアメリカ代表部で25日に、内部告発者に情報提供した者は「ほとんどスパイに等しい」と職員に話す録音音声が、浮上している。

トランプ氏は「この国では以前は、みんな頭がよかったころには、どうしたか知ってるだろう? そうだろう? スパイとか国家反逆罪とか、昔は今とは違う対応をしたものだ」と述べている。この発言は、米政府が過去にスパイに対して死刑を適用したことへの言及とみられている。

内部告発者は手紙で何と

情報当局者は725日の電話会談について、複数の政府関係者から聞いた話として、逐語の通話記録をはじめとする内容の記録を一切外部に漏らさないよう、ホワイトハウス幹部が対応したと書いている。

「このことから、ホワイトハウス関係者は電話の内容がいかに深刻なものか理解していたと、私は強く感じた」と、告発した情報当局者は書いた。

ホワイトハウスの法律顧問たちは通話の記録を、「秘密作戦など暗号で保護されるレベルの重要機密を保管するためにある、他のネットワークにつながっていないコンピューター」に保存するという異例の措置を、職員に指示したという。

告発者によると、トランプ政権では国家安全保障に関わる機密ではない内容でも、政治的にデリケートな内容の記録を、こうして機密用のデータベースに保存することが、以前から行われていたという。

告発者は手紙の冒頭で、自分は一連の出来事を「直接目撃したわけではない」と明記しつつ、複数の政府職員が話す内容は「ほとんど常に一致していた」ため、自分が聞いた話は信頼できると判断したと書いている。

議会公聴会では何が

下院情報委員会のアダム・シフ委員長(民主党)は、この日の公聴会冒頭で、トランプ大統領がウクライナの大統領相手に「まさに組織犯罪に典型的な、ゆすりをかけた」と非難した。

これに対してトランプ氏を支持する共和党のデヴィン・ヌネス筆頭委員はこれに反発し、「大統領に対してまたしも情報戦争を仕掛けけて、またしても主要メディアの協力を獲得するに至った見事な才能について、民主党におめでとうと言いたい」と皮肉った。

公聴会に出席したマグワイヤ国家情報長官代行に対してシフ委員長は、内部告発者の手紙を公表する前になぜホワイトハウスの助言を求めたのか問いただした。

これに対してマグワイヤ氏は、告発内容に大統領特権で保護されるべき内容はあるか確認したかったのだと説明。さらに、「本件に関する何もかも、まったく前例がないことだと思う」と述べた。

バイデン氏については

告発者の手紙によると、就任間もないゼレンスキー大統領との電話でトランプ氏は、2016年にウクライナのヴィクトル・ショーキン検事総長が解任された件について話し合った。

トランプ氏は、バイデン前副大統領の息子でウクライナのガス会社ブリスマの取締役だった息子のハンター・バイデン氏について触れ、副大統領だったバイデン氏がショーキン氏の解任をウクライナに働きかけることで、ハンター氏の訴追を回避したのではないかと述べた。

トランプ氏はさらにゼレンスキー大統領に、ウィリアム・バー米司法長官や自分個人の顧問弁護士、ルディ・ジュリアーニ氏と連携しながら、この件を調べるよう働きかけた。

ウクライナのショーキン前検事総長は、ブリスマの所有者ミコラ・ズロチェフスキー氏による不正取引や資金洗浄の疑いを捜査していた。

バイデン氏は副大統領として、複数の欧州首脳と共に、ショーキン検事総長は汚職摘発に及び腰だと批判し、解任を求めていた。ショーキン氏の後任はその後、10カ月にわたりブリスマ社を調べたが、捜査はそこで終わった。

ハンター・バイデン氏のブリスマ役員としての任期は、今年4月に満了している。

バイデン氏側に不正行為があったという証拠は明らかになっていない。

米司法省は25日、トランプ氏はバー司法長官に対して、ウクライナ政府にバイデン親子を捜査させるという内容を話していないし、バー長官はウクライナ政府と接触していないとコメントした。

=====

内部告発者の告発における5つの重大な嫌疑(The five most serious charges in the whistleblower's complaint

ナイオール・ストレンジ筆

2019年9月26日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/463236-the-five-most-serious-charges-in-the-whistleblowers-complaint

トランプ大統領のトラブルは木曜日朝により深刻なそしてより暗いものとなった。それは内部告発者の告発が明らかになったからだ。

トランプ大統領はウクライナとウクライナ大統領ウォロディミル・ゼレンスキーとの間のやり取りについて弾劾を受ける脅威に直面している。連邦下院議長ナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)はこれまで弾劾に消極的だったが姿勢を変えて、弾劾の先頭に立った。

トランプ大統領と彼の味方たちはこの嫌疑に対して反論をしている。トランプ大統領はこの問題全部が「でっち上げ(hoax)」であり、私は誤った行為を全くしていないと主張している。
ホワイトハウスのステファニー・グリシャム報道官は木曜日朝に発表した声明の中で、「出来事に関して間接的に又聞きの説明を集めたもので、報道の断片を切り貼りしたものに過ぎず、何も不適切なものを提示しているものではない」と述べた。

しかし、こうした声明が次々に出されても、現在までのところ、嵐は収まっていない。

これから重大な嫌疑についてまとめる。

●ホワイトハウスはトランプ大統領の電話の詳細を隠そうとした(The White House sought to hide details of Trump’s phone call

今回の論争の中心的なエピソードはトランプ大統領の7月25日のゼレンスキーとの電話で、その中で、トランプ大統領はゼレンスキー大統領に対して、実証されていない嫌疑でジョー・バイデン前副大統領とバイデンの次男ハンターについて捜査するように圧力をかけたということだ。

内部告発者の告発の中で暴露された重大な内容は、ホワイトハウスがこの電話の逐語記録を隠そうとしたというものだ。

ホワイトハウスの高官たちによって隠蔽がなされたのは、この電話の内容を知っている人々は「トランプ大統領が個人の利益のために自身の大統領執務室を濫用したことを目撃してしまった」という思いからだと内部告発者は述べている。

内部告発者は続けて「ホワイトハウスの高官たちは「ウクライナ大統領との電話記録の全ての記録を封鎖する」ために介入してきたと述べた。

この介入は コンピューターシステムから「電子データになっている逐語の通話記録」を削除するという形を取ったと内部告発者は述べている。電子データになった通話記録は通常はコンピューターシステムに保管される。しかし、ゼレンスキー大統領との通話記録は機密の内容は入っていないのに通常のシステムとは切り離された、より安全性が確保された、そしてアクセスが制限された別のシステムに移動された。

嫌疑の中心が何かは明らかだ。それは「ホワイトハウスが隠蔽に関与した」ということだ。

ニクソン元大統領が体験したように、このような告発は他の重大な攻撃と同じく政治的に危険をはらむものとなる。

●トランプの協力者たちはウクライナに「協力させる」ために影響力を行使した(Trump allies used leverage to get Ukraine to ‘play ball’

トランプの擁護者たちは、ゼレンスキー大統領に対して交換条件は提示されていないと主張している。

内部告発者はそれとは逆のことを述べている。もっとも、協力させるための交換条件を提案したのはトランプ大統領自身ではなく、大統領の周辺人物たちだとも示唆している。

内部告発者は、「複数のアメリカ政府高官たち」は内部告発者に対して、トランプ大統領とゼレンスキー大統領との電話や会談が行われるのは、「ゼレンスキー大統領が進んで“協力(play ball)”する姿勢を見せるかどうか」にかかっていると発言した、と述べている。

内部告発者は「協力する(play ball)」という言葉を2度使っている。2度目の「協力する」のところでは、次のようなことが述べられている。今年5月のゼレンスキー大統領の就任式にペンス副大統領が出席予定でウクライナを訪問することになっていたが、トランプ大統領がペンスに行かないように「指示」した後にキャンセルとなった。名代としてリック・ペリーエネルギー省長官が出席した。

内部告発者は、名前を明らかにしていないが複数のアメリカ政府高官たちが、ウクライナ政府高官たちに対して、トランプ大統領はゼレンスキー大統領が「大統領の権限を使ってどのような行動を取るかを選択する」ことを見せるまで、ゼレンスキー大統領に会いたいとは望まないということを「明確に」示した、と述べている。

内部告発者は、自分が「協力する」ということについてのより広範な疑問とこの行動が関連しているかは分からないとしている。しかし、「協力」と「交換条件」に付いての疑問は、トランプ大統領、そしてペンス副大統領にとって取り扱いにくい疑問である。

●ホワイトハウスはそれ以外の複数の電話の詳細を隠していた(The White House has hidden the details of other phone calls

内部告発者はトランプ大統領の他の通話記録は安全なシステムに入れられていると述べている。これは正当な国家安全保障の懸念からではなく、政治的な理由からである。

内部告発者は、ホワイトハウスの高官たちはトランプ大統領の通話記録がこの「符号レヴェル」システムに入れられたのは「初めてのことではない」と述べたと発言している。そして、こうしたことが行われたのは、「国家安全保障上神経質にならざるを得ない情報だからという理由ではなく、政治的に神経質とならざるを得ない情報だから」だとアメリカ政府高官たちが認めたと内部告発者と述べている。

こうしたことの詳細は不明確だ。しかし、民主党にしてみれば大統領弾劾の調査を継続するための更なる材料となる。

●政府高官たちはジュリアーニの様々な行動に対して「深い懸念」を持っていた(Officials were ‘deeply concerned’ by Giuliani’s activities

トランプ大統領の個人弁護士であるルディ・ジュリアーニは、ウクライナに対してバイデン家について捜査をするように圧力をかけていることを認めた。

ここ数日、ジュリアーニは彼の役割に関する論争が激化する中で、数多くのメディアに出演しインタヴューを受けている。そこで激しく議論されているのは、ジュリアーニの行動が国務省の幹部たちの承認、もしくは少なくとも同意を得ていたのかどうかということだ。

内部告発者の告発内容はトランプ政権内部の分裂について更なる懸念を募らせるものである。内部告発者は「ジュリアーニ氏が国家安全保障決定政策プロセスを避けて、ウクライナ政府高官と関わろうとし、ウクライナ政府とトランプ大統領との間でメッセージをやり取りができるようにした。これを見て複数のアメリカ政府高官は大きな懸念を持った」と告発している。

ジュリアーニは木曜日CNNに出演し、内部告発の「クソみたいな内容について何も知らない」と述べた。

●ウクライナ政府高官たちはアメリカらの援助が停止される危険に晒されるだろうと分かっていた(Ukrainian officials knew U.S. aid could be in jeopardy

アメリカ連邦議会が提供を可決したウクライナ向けの援助4億ドルがトランプ政権によって援助提供が遅延させられていたことについてはその事実性について誰も反対していない。

疑問として残るのは、この遅延がトランプ大統領のウクライナによるバイデン家についての詳細な捜査を行って欲しいという希望と明確な形でつながっていのかどうかということだ。

内部告発者はこの疑問についてはっきりとは答えていない。

しかし、メディアの報道が出る前に、内部告発者はトランプ大統領がある時点でアメリカのウクライナに対する「国家安全保障援助」を一時停止するように命じたと認めた。

内部告発者は7月23日と7月26日という2つの日付を挙げた。この2日にアメリカ行政管理予算局の高官たちが「ウクライナ向けの援助の一時停止という命令はトランプ大統領から直接出されたものだと明確に述べたが、この命令の根拠について分かっていなかった」と述べた。

内部告発者は8月上旬に「アメリカ政府高官たち」が内部告発者に対して、ウクライナ政府高官はアメリカからの援助が停止される危機に瀕していることを認識していると述べたと語ったが、ウクライナに対する圧力の度合いという観点からこの告発内容は重要だ。

トランプ大統領は、援助供与を遅らせたのは、ウクライナの他の同盟諸国にも援助をさせたいと望んでいたからだと述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

ketteibanzokkokunihonron001
決定版 属国 日本論
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote

 古村治彦です。
bidenwarrensanders011
(左から)バイデン、ウォーレン、サンダース

  アメリカ大統領選挙民主党予備選挙はジョー・バイデン前副大統領の独走状態が続いていたが、最近になって、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)が支持率を上昇させている。最近の世論調査ではバイデンを抑えてトップに立ったという結果が出ている(ウォーレン27%、バイデン25%、サンダース16%)。しかし、そのリードは2ポイント差で誤差の範囲内になっている。

quinnipiacuniversity2019presidentialelectionpolls20190925001

 私がよく見ているモーニング・コンサルト社の世論調査の結果では支持率でバイデンが32%、ウォーレンが20%、サンダースが19%という結果が出た。モーニング・コンサルト社の世論調査は調査対象とする有権者の数が多く、誤差も1ポイントということで信頼性が高い。こうして見ると、バイデンが独走状態であるが、下に掲示したグラフを見ると、ウォーレンは着実に支持を伸ばしている。

2019morningconsultpollinggraph20190923001

 ウォーレンは法学専攻の大学教授としての経歴が長い。現在は民主党中道左派に分類されているが、長年共和党に投票してきた人物でもある。共和党の誤りに気付いて民主党に属するようになったが、民主、共和両党どちらにも優劣はないという立場である。

2019morningconsultnationalpoll20190923001
 

 ウォーレンは選挙戦でも次々と政策提案を行い、「大学院生が提出している課題みたいだ」という陰口をたたかれているが、民主党左派で、サンダースは過激すぎるとして応援しない人々からの支持を集めている。2016年の大統領選挙ではヒラリー・クリントンを応援するなど、民主党主流派、エスタブリッシュメントとも関係が悪くない。

2019morningconsultearlystatespoll20190923001 

 今回の記事で興味深かったのは、バーニー・サンダースを支持する有権者たちは第二選択としてジョー・バイデンを選び、エリザベス・ウォーレンを支持する有権者たちは第二選択としてバーニー・サンダースを選んでいる、という点だ。政策の面で言えば、サンダース支持者はウォーレンを第二の選択肢とするかと思ったが、バイデンという結果が出た。ウォーレン支持者は予想通りサンダースを第二選択としている。これをどのように解釈できるか。

 サンダース支持者はウォーレンをサンダースの支持を食いつぶすライヴァルとして敵視し、サンダースの邪魔をするウォーレンなど応援できない、それなら民主党の指名候補となるであろうバイデンを応援するという考えを持っているのだろうと私は考える。一方、ウォーレン支持者は政策面で近いサンダースをより好ましく思っているのだろう。サンダース支持者はサンダース個人を支持するが、彼の指名獲得の可能性がなくなれば、後は誰でも良いという、一種の個人崇拝的であり、ウォーレンの支持者たちは、政策を重視しているように思われる。

 民主党予備選挙の状況は3強が形成され、その中で2、3位争いが激化している。共に民主党左派であるウォーレンとサンダースはお互いに支持を競い合い、バイデンは高みの見物という状況であるが、ウォーレンが一歩抜け出ると、バイデンにとっては厄介な存在になるだろう。サンダースとウォーレンを比べれば、過激さはサンダースであるが、現実的という点ではウォーレンということになる。バイデンがこれからの選挙戦や討論会で失言や失敗をすれば、どうなるかは分からない。

(貼り付けはじめ)

 全国規模の世論調査の最新結果でウォーレンがバイデンを僅差で破りトップに(Warren edges past Biden in new national poll)

レイチェル・フラジン筆

2019年9月25日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/462924-warren-edges-past-biden-in-new-national-poll

キュニピアック大学が水曜日に発表した世論調査において、民主党支持の有権者と民主党寄りの無党派の有権者の間で、ウォーレンの支持率は27%となり、バイデンは25%となった。

ウォーレンは8月から支持率を8ポイント上昇させ、バイデンは7ポイント下落させた。

最新の世論調査の結果では、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は民主党支持と民主党寄りの有権者の間で支持率16%を記録した。インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジは7%、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は3%となった。

キュニピアック大学は、世論調査を開始した2019年3月以降、バイデン以外がトップに立ったのは初めてとなったと発表した。

キュニピアック大学の世論調査分析専門家ティム・マロイーは声明の中で次のように書いている。「民主党予備選挙の中で、3月以来、バイデンには2桁の差をつけられ続けてきたが、ついにウォーレンがバイデンを捕らえた。現在の選挙戦の状況は、トップの2人がリードし、その他の候補者たちが団子状態になっている」。

キュニピアック大学の世論調査は、民主党支持と民主党寄りの無党派の有権者561名を対象に2019年9月19日から23日にかけて実施された。誤差は4.9ポイントだ。

ウォーレン選対はここ数か月で重要な局面を迎えている。最近の状況では、複数の世論調査でウォーレンがバイデンをリードしているという結果が出た。それでも多くの世論調査ではこれまで通りバイデンがリードしているという結果が出た。

2020年の大統領選挙民主党予備選挙には20名以上の候補者が立候補している。

=====

世論調査:ウォーレンが3位に僅差で2位に上昇する中で、バイデンは12ポイントの差をつけている(Poll: Biden holds 12-point lead over Democratic field as Warren edges up to second)

ジャスティン・コールマン筆

2019年9月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/462806-poll-biden-holds-12-point-lead-over-democratic-field-as-warren-edges-up-to

月曜日に発表された最新の世論調査の結果によると、ジョー・バイデン前副大統領は2位につけたエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)に12ポイントの差をつけてリードしていることが分かった。

モーニング・コンサルト社の世論調査では、民主党予備選挙に参加予定の登録済み有権者の中で、バイデンは32%の支持率を獲得した。

ウォーレンの支持率はこれまでに大きく上昇している。今回の世論調査では20%を記録した。先週に比べて2ポイント上昇させた。そして、支持率19%のバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)を僅差で抑えた。

カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)とインディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジは上位3名から引き離され、それぞれ支持率が6%と5%を記録した。

好感度ではサンダースが73%を獲得しトップとなり、バイデンは71%で僅差の2位となった。

上位5名の候補者の中で、ウォーレンは彼女以外の候補者バイデン、ハリス、ブティジェッジを支持する有権者にとって最有力の「第二選択」となっている。ウォーレンの支持者は第二選択としてサンダースを挙げている。一方、サンダースの支持者の第二選択はバイデンとなっている。

アイオワ州、ニューハンプシャー州、サウスカロライナ州、ネヴァダ州といった早期に予備選挙が実施される各州の有権者の間では、バイデンの支持率は34%を記録し、ウォーレンの支持率は17%、サンダースの支持率は16%だった。

モーニング・コンサルト社の世論調査は、民主党の予備選挙に参加予定の登録済みの有権者1万7377名を対象に2019年9月16日から23日にかけて実施された。誤差は1ポイントだ。

早期に予備選挙が実施される各州の有権者700名も実施され、誤差は4ポイントだ。

=====

ウォーレンは彼女の支持基盤を拡大させているという兆候を示している(Warren shows signs of broadening her base)

ジョナサン・イーズリー筆

2,019年9月19日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/462072-warren-shows-signs-of-broadening-her-base

エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)はあ日理化系アメリカ人有権者たちからの支持を増やしている。アフリカ系アメリカ人有権者からの支持拡大によってウォーレンの選挙運動が少しずつ盛り上がっている。

NBCと『ウォールストリート・ジャーナル』紙の共同世論調査の最新結果によると、アフリカ系アメリカ人有権者の間の支持率13%で第2位を記録した。この数字はウォーレン自身の最高の記録となった。7月の前回調査では8%だったので数字を伸ばしている。5ポイントの上昇というのは世論調査の誤差の範囲内となっている。

水曜日に『エコノミスト』誌と「ユウ・ガヴ」の共同世論調査の最新結果が発表され、アフリカ系アメリカ人有権者におけるウォーレンの支持率は11%だった。7月に比べて5ポイント上昇した。『ポリティコ』誌とモーニング・コンサルト社の共同世論調査の最新結果では、ウォーレンのアフリカ系アメリカ人有権者の支持率は5ポイント上昇した。

ジョー・バイデン前副大統領はアフリカ系アメリカ人有権者から多くの支持を集めている。ウォーレンが支持を伸ばしていると言っても、アフリカ系アメリカ人有権者のバイデンへの支持は確固たるものとなっている。NBCとウォールストリート・ジャーナル紙の共同世論調査の結果では、49%のアフリカ系アメリカ人有権者がバイデンを支持しており、ウォーレンを36ポイントもリードしている。

しかし、アフリカ系アメリカ人有権者の間でウォーレンが支持を伸ばしているという兆候は最近の世論調査からもうかがえる。これまでの世論調査ではウォーレンの支持率は1桁から伸びがなかった。この状況に対して、「ウォーレンがアピールできるのは白人のリベラル派に限定される」という批判が出ていた。

複数の民主党系ストラティジストは最近の世論調査の結果から、アフリカ系アメリカ人有権者は少なくともウォーレンの候補者指名について考慮していることが分かるとしている。ウォーレンが上昇の潮流を維持できれば、今後、アフリカ系アメリカ人有権者の支持を得ることが出来る絶好の位置につけることができる。

NBCとウォールストリート・ジャーナル紙の共同世論調査では、誰を支持するかを既に決めていると答えたのは有権者の9%に過ぎなかった。そして、ウォーレンは有権者にとって「第二選択」の一番手である。

民主党系のストラティジストを務めるアントジュアン・シーライトは、「ウォーレンは支持基盤を拡大しつつある。これは彼女の戦略とメッセージが有権者に届いていることを示している。彼女が構築した下からの、草の根型の選挙運動がこれを支えている」と述べた。

ウォーレンの選挙運動はうまくいっている。こうした中でウォーレンの支持率上昇を示す最新の世論調査の結果も出ている。

「ワーキング・ファミリー・パーティー」はウォーレン支持を表明した。この団体は2016年の大統領選挙ではバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、民主党)を支持した。

月曜日の夜にニューヨークのマンハッタンで開催された選挙集会には2万人以上の人たちが集まったとウォーレン選対は発表した。トランプ大統領はこの発表に注意を向け、否定的なコメントを出した。彼は「誰もそんなことはできない」と述べた。

ウォーレンはメディアの関心を集めてきた。彼女が発表する政策提案に対しては、熱心な批評と暖かい分析がなされてきた。また、ウォーレンは選挙集会の後に支持者たちとの写真撮影で数時間を費やしている。

ウォーレンは左派陣営の中で主要なライヴァルであるサンダースと自分自身を区別しようとしている。

NBCとウォールストリート・ジャーナル紙の共同世論調査の結果では、バイデンの支持率31%、ウォーレンの支持率25%、サンダースの支持率14%を記録した。この世論調査では、ウォーレンはヒスパニック系有権者の間で支持率29%を記録しトップとなり、サンダースを上回った。サンダース陣営は、彼の支持基盤の多様性を示す証拠として、ヒスパニック系有権者から支持を集めていると主張している。

「フォーカス・オン・ルーラル・アメリカ」がアイオワ州で実施した世論調査の結果では、バイデンの支持率が25%、ウォーレンの支持率が23%となり、サンダースは支持率8%で5位となった。

インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジとカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)などの候補者たちの支持率低下の恩恵をウォーレンは受けている。

世論調査専門家のマーク・ペンは次のように語っている。「ウォーレンとバイデンで進歩主義的な考えを持つ有権者たちを分け合っていると思う。ウォーレンの支持率上昇は、バイデンではなく、サンダースとその他の中位グループの支持率低下のお蔭である。バイデンの支持基盤は堅固さを保っている」。

ウォーレンにはまだ解決すべき課題も残っている。

彼女の支持者の多くは大学教育を受けた白人、もしくは「大学教授クラス」の人々だ、と民主党員の多くは指摘している。

各種世論調査で明らかになっているように、ウォーレンは白人有権者とリベラル有権者の間で支持率トップを記録している。こうした中で、「ウォーレンはバイデンに追いつくために、バイデンのアフリカ系アメリカ人有権者の間での支持率のリードを縮めることが出来るか」という疑問が残る。

ウォーレンは白人が過半数を占める州であるマサチューセッツ州選出であり、ハーヴァード大学法科大学院教授という前歴が示すようにアイヴィーリーグとのつながりも深い。アフリカ系アメリカ人有権者は白人有権者に比べてリベラルではない。2016年の大統領選挙民主党予備選挙でサンダースがヒラリー・クリントンと戦う際に、このことは乗り越えられない大きな障害となって立ちはだかった。

アフリカ系アメリカ人の民主党員たちの多くがバイデンに対して今でも忠実な支持を誓っている。バイデンはアメリカ史上初のアフリカ系アメリカ人大統領の副大統領を務めたのだ。オバマ政権下、副大統領だったバイデンは頻繁にサウスカロライナ州を訪問した。サウスカロライナ州は民主党の予備選挙に参加予定有権者の50%以上をアフリカ系アメリカ人有権者が占めている。

今週発表された『ポリティコ』誌とモーニング・コンサルト社の共同世論調査では、全国規模でウォーレンはアフリカ系アメリカ人有権者の支持率10%を記録した。4月から5ポイント上昇させている。しかし、バイデンの支持率は31ポイント差の41%であり、サンダースの支持率は11ポイント差の21%となっている。

シーライトは次のように述べている。「人々が忘れているのは、ジョー・バイデンはアフリカ系アメリカ人有権者と深い関係を結んでいるだけでなく、彼は“中流階級のジョー”と呼ばれているということだ。中流階級と労働者階級の有権者たちはアフリカ系アメリカ人でも白人でも、バイデンを強力に支持している。バイデンは深いつながりを持っている」。

しかし、民主党の関係者たちは、ウォーレンが全米で最初に予備選挙が実施されるアイオワ州で勝利を得るにあたり、アフリカ系アメリカ人有権者からの支持率第1位を記録する必要はないと指摘している。

白人のリベラル有権者がウォーレンを支持することで、アイオワ州とニューハンプシャー州での勝利の可能性は大きくなる。この2州で勝利を収めると、3番目に予備選挙が実施される、アフリカ系アメリカ人有権者が多いサウスカロライナ州でウォーレンが勝利する可能性も出てくる。

NBCのスティーヴ・コルネッキはツイッター上に次のように指摘している。2004年、当時マサチューセッツ州選出の連邦上院議員であったジョン・ケリー元国務長官は予備選挙開始直前の時点で、NBCが行った世論調査の結果でアフリカ系アメリカ人有権者の支持率は1%だった。ケリーはその後、アイオワ州とニューハンプシャー州での予備選挙に勝利し、サウスカロライナ州ではアフリカ系アメリカ人有権者の支持率34%を獲得するまでになり、最終的には全国規模でアフリカ系アメリカ人有権者の支持率56%を記録した。

サウスカロライナ州在住の民主党員の一人は次のように述べている。「アフリカ系アメリカ人有権者は現実的ですよ、他の人たちと同じく皆、勝ち組になりたいですからね」。この党員は、ウォーレンの選挙集会に参加している支持者たちは、民主党予備選挙の候補者たちの集会の中で、最も多様性に富んでいるとも述べた。

この人物は続けて次のように語った。「ウォーレン上院議員は重要な局面を迎えています。選挙戦を見れば、どこにエネルギーが溜まっているか分かりますよね。エネルギーの行き先はウォーレン議員であり、彼女はエネルギーを利用するために必要なことを全てやっています。彼女は政策の提案をし、メッセージを送り、人々と一対一でつながっています。どの候補にも言えることですけど、一緒に写真の自撮りを4時間もやってくれたら、多くの人たちにとっては特別なことであり、ファンになりますよね」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

ketteibanzokkokunihonron001
決定版 属国 日本論
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote

このページのトップヘ