古村治彦です。

 今回は、2013年2月2日に発表した文章を再び掲載します。この文章は、当時のみんなの党と日本維新の会の協力に関する動きについて書いたものです。

 2013年の前半の時点は渡辺氏が江田氏に追い落とされるのではないかと私は考えていましたが、その後、渡辺氏が江田氏を党幹事長から解任しました。そして、昨日の特定秘密保護法案の採決では、みんなの党は修正に応じていたのですが、江田氏をはじめ数名が造反するという動きに出ました。

 この動きは何を意味するのかということを今振り返って考えてみる必要があると思います。私にはどうもみんなの党内部の動きが不可解でした。しかし、今回の特定秘密保護法案をめぐる動きで何となく分かったように思います。それは、みんなの党は、米政翼賛会(私の造語。自民党・公明党・日本維新の会、そして今回からみんなの党で組まれるアメリカの言いなりになるための政治勢力。そして、現在はこの勢力しか日本の正解には存在しない)に内部に手を突っ込まれて、米政翼賛会に入らざるを得ない状況にさせられたということです。

 渡辺氏は江田氏の造反以降、自民党(と日本維新の会)を中心とする米政翼賛会に近づいていきました。江田氏らが日本維新の会という野党の振りをしている米政翼賛会の勢力と結ぼうとしたために、自分の生き残りが危うくなりました。そこで、渡辺氏は安倍氏と結ぶことで生き残りに賭けたのです。米政翼賛会側としては、みんなの党の内部で争いが起きて、主導権争いに発展し、より近づいてきた方を助けて、勢力下においてしまおうという動きがあったものと考えられます。そこには理念やイデオロギーではなく、生き残り、殺し合いしかありません。

 最初、米政翼賛会側が江田氏などを利用しておいて、渡辺氏の危機感を煽り、渡辺氏を取り込んだのだと言うことができるでしょう。

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 今年の1月に入ってから、みんなの党と日本維新の会の選挙協力、合併の記事と合わせて、渡辺喜美・みんなの党代表に対する攻撃記事が目立つようになりました。これらの記事は、週刊CIA日本版の週刊文春(文藝春秋社)と日刊CIAにもなれない哀れな属国メディアで、全国紙の落ちこぼれの産経新聞に掲載されています。文藝春秋社と産経新聞が海の向こうの意向を受けて渡辺氏に攻撃を加えていることは明らかです。



 渡辺氏は、日本維新の会との合併や協力について慎重な立場を取っています。確かに、渡辺氏は一時期、みんなの党と日本維新の会の合併を模索したことがありました。しかし、日本維新の会が石原慎太郎氏率いる太陽の党(今となってはもう懐かしい響きですね)と合併したことで、昨年の総選挙では選挙協力までは行いましたが、それ以降、合併の話はしなくなりました。



 一方、橋下徹大阪市長は、「日本維新の会がなくなっても」「自分が下がっても」良いので、みんなの党と日本維新の会の合併を進めたいと主張しています。「第三極」として、自民党に対抗するという姿勢を見せています。



 これに対して、渡辺氏は、「日本維新の会が政策の異なる太陽の党と合併したこと」に対して、不信を持っているということになっています。しかし、渡辺氏以外のみんなの党の政治家たちは日本維新の会との合併に乗り気で、(恐らくとしか言えませんが)渡辺氏の許可を得ることなく、選挙協力や合併に向けての話し合いをしているようです。



 私は昨年から、渡辺氏以外のみんなの党の面々は日本維新の会との合併を望んでおり、渡辺氏は孤立しているということを感じ、そのことをツイッターなどで書いてきました。いよいよそれが現実になりそうです。これには権力闘争の面とよりアメリカの意向に沿うように米政翼賛会の引き締めを図るという面があるように私には感じられます。



 みんなの党の江田憲司幹事長は、橋本龍太郎元首相の女婿であり、元通産官僚です。竹中平蔵氏や堺屋太一氏との関係も深い人物です。諸事情で今はみんなの党にいますが、元々は自民党や日本維新の会の中核、米政翼賛会の中核となる人物です。また、浅尾慶一郎氏もまた同じような人物と言えます。



 党の代表が放り出されるということは、近々であれば、亀井静香氏が国民新党から追い出されるということがありました。みんなの党もまたそのようなことが起きるのではないかと思われます。それにしても、文藝春秋も産経もアメリカの御用聞きばかりで情けなくないのでしょうか。いっそとのこと、合併してしまえばすっきりしてよいのではないかと思います。



(新聞記事転載貼り付けはじめ)



●「ミスター・アジェンダ 渡辺喜美の孤独な闘い 前門の橋下、後門の江田 みんなの党がひとりの党になる可能性も」

MSN産経ニュース 2013.2.1

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130201/stt13020122560002-n1.htm

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130201/stt13020122560002-n2.htm



 みんなの党の渡辺喜美代表が、日本維新の会に対し“けんか腰”の姿勢を強めている。連携を互いに模索しているはずの維新の橋下徹共同代表と舌戦を繰り広げたかと思えば、国会での維新との幹部間協議まで「どうでもいい」と一刀両断。ただ、足下の党内には渡辺氏のワンマンぶりへの不満もくすぶっており、今のところ「孤独な闘い」を強いられている。(原川貴郎)



 「維新のペースに巻き込まれてしまうと、ズルズル遅れちゃうんです…」



 1日の国会内での記者会見。夏の参院選の候補者擁立について問われた渡辺氏は、維新をこう牽制(けんせい)し、一部公認候補を月内に発表すると明言した。



 維新との候補者調整が緒に就いたばかりであることを考慮し、1月27日の党大会で予定していた候補者のお披露目を見送ったことを踏まえての発言だった。



 「維新ペース」を警戒するのは昨年8月の苦い思い出があるからだ。渡辺氏は維新に「対等合併」を持ち掛けたが、維新は渡辺氏を袖にし、旧太陽の党と合併。結局、昨年の衆院選で自民党の大勝を許す結果となり、渡辺氏は「(維新には)猛省を促したい」と発言している。



「ミスター・アジェンダ(政策課題)」を自認する渡辺氏にとって、政策の一致は譲れない一線。維新の政策にも「旧太陽系が本当に原発ゼロの路線を飲めるのか」と疑問のまなざしを向ける。



 「渡辺氏には合併を拒否しながら、政策的に異質の旧太陽と合流し、今になって結婚したいと言ってくる橋下氏への不信感がある」



 そう解説するのはみんなの党幹部。橋下氏がみんなの党と民主党の一部を巻き込む形での新党結成に言及するなど、野党再編の主導権を握ろうとしていることも、「元祖第三極」を自負する渡辺氏の神経を逆なでしているようだ。



 だが、そんな渡辺氏の「不信感」は、党内をも覆いつつある。



 維新との連携話を進める江田憲司幹事長の動きすら、「選挙協力の権限の持ってない人たちが集まっているわけで、どうでもいい話」とこき下ろしたのだ。これには党内から「本来、選挙は幹事長マター。江田さんの立場がなくなる」との声が出ており、江田氏との主導権争いの様相を呈している。



 前門の橋下氏に、後門の江田氏。このままでは渡辺氏が孤立し、みんなの党が「ひとりの党」になりかねない。



●「「もう少し大人の政治家に」 橋下氏、みんなの党との合流に期待「維新なくなっても…」」

MSN産経ニュース 2013.1.28

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130128/stt13012814280003-n1.htm



 みんなの党の渡辺喜美代表が今夏の参院選に向けた日本維新の会との合流に否定的な姿勢を示していることについて、維新の共同代表に就任する橋下徹大阪市長は28日、「自公政権への対抗勢力となる新しい大きな政党をつくり、参院選で選択肢を示したい。そのために維新がなくなっても構わない」と重ねて合流に期待感を示した。



 渡辺氏は、維新が昨年の衆院選直前に太陽の党と合流して以降、維新について「政策が分からなくなり信頼が壊れた」との発言を繰り返し距離を置いている。



 これに対し、橋下氏は「反省すべきところは反省する」としつつ、みんなとは政策が基本的に一致しているとの認識を表明。両党の合流を求め、「どちらが吸収するとかではない。渡辺代表が気に入らないなら僕が引いても構わない。もう少し大人の政治家になってほしい」と述べた。



 一方、自民については「既得権を打ち破り、新しい社会構造をつくるというスタンスが決定的に違う」と対決姿勢を鮮明にした。



●「維新との幹部級協議、渡辺代表「どうでもいい」」

読売新聞電子版 2013.2.1

http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/news/20130131-OYT1T01205.htm?from=ylist



 みんなの党の渡辺代表は31日、国会内で記者団に対し、同党と日本維新の会の幹部級協議について、「選挙協力などの権限を持っていない人たちが集まっているのだから、どうでもいい話だ」と語った。



 国会内で同日開かれた幹部級協議には、維新の会の松野頼久国会議員団幹事長とみんなの党の江田幹事長らが出席し、協議の定例化で合意した。両党の政調会長らは30日、10項目の基本政策でも合意。夏の参院選の選挙協力に向けた連携の動きに、渡辺氏が冷や水を浴びせた形だ。



 維新の会幹部は31日、渡辺氏の発言について、「ひどい発言だ。江田氏の立場もなくなる」と憤った。みんなの党内では、「選挙協力を主導する江田氏と渡辺氏の主導権争いが激化している」との見方が出ている。



2013210804 読売新聞)



(新聞記事転載貼り付け終わり)



(終わり)