アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 

 古村治彦です。

 

 昨日、やっと2か月半ほど取り組んでおりました翻訳を終えました。これからゲラが出て赤ペン入れを行うことになります。総量が原稿用紙1000枚ほどの量になりましたので、どういう形で出版になるか分かりませんが、出版が決まりましたらお知らせ申し上げます。宜しくお願い申し上げます。

 

 アメリカ時間2014年11月4日には、アメリカで中間選挙が行われます。今回は一部の知事選、連邦上院の議席の3分の1、連邦下院の全議席が選挙されます。中間選挙はMidterm Electionと呼ばれます。今回はアメリカ大統領選挙が行われません。Midtermという言葉は学校では「中間試験」を意味します。中間選挙は、大統領を出している与党に対する「中間試験」の意味合いがあります。

 

 オバマ大統領の国内、対外政策について「リーダーシップの欠如」によって対応が遅れているという批判がなされ、支持率が40%代に低下し、不支持率は50%を超えています。中東情勢ではイスラム国(IS)に対して地上軍を送るべきではないかという議論もありますが、アメリカにはそれだけの力が残っているようには思えません。また、経済政策も成果が見えにくく、社会保障費の増大にどう対処するのか、債務上限問題も再び火を噴くと可能性もあり、そうした不安や不満がオバマ大統領に対する批判として表面化しています。大統領支持率の数字は、オバマ政権発足以来、最低の数字です。


obamaapprovalrateing001
(ギャロップ社のウェブサイトから:Approveが支持、Disapproveが不支持、No Opinionが無回答・どちらでもないを意味しています)

この状況を受けて、中間選挙では、共和党が躍進を見せる可能性が高まっています。現在、連邦上院では民主党が過半数を占めていますが、今回の選挙の結果、共和党が過半数を占めることが確実視されています。また、連邦下院では共和党が既に過半数を占めていますが、議席数を更に増やしそうな勢いです。オバマ大統領と民主党にとって、今回の中間試験は落第点を取るということになります。

2014midtermelectionsenatemodel001
2014midtermelectionsenateseatsmodel001

(連邦上院の選挙結果予想:赤が共和党、青が民主党を示しています)

2014midtermelectiohousemodel001
2014midternelectionhouseseatsmodel001
(連邦下院の選挙結果予測:赤が共和党、青が民主党を示しています)


 連邦上院は議席数が100、州の人口や大きさとは関係なく、各州2名ずつが出ます。連邦下院議員は議席数が435議席で各州で複数の選挙区があります(人口を基に区割りしています)。選挙結果予想を見てみると、大西洋岸、太平洋岸、大都市圏は民主党が強く、それ以外の地方の選挙区では共和党が強いことが分かります。これが最近のアメリカ政治の一つの潮流と言えます。 

 

 オバマ大統領は2期目の後半を迎えました。米大統領は2期までという制限がありますので(戦時下のフランクリン・D・ルーズヴェルト大統領は例外的に3期やりましたが、任期途中で亡くなりました)、次の大統領選挙に出ることはできません。ですから、中間試験で悪い点数を取ることになっても、挽回しようとはしますが、結局のところ「後は大過なく過ごせばよい」という状態になりますし、周囲の人々も協力的ではなくなります。これを「レームダック(へたれたアヒル)」状態と言います。

 

 この中間選挙の後からは、いよいよ民主、共和両党が2016年の米大統領選挙の候補者選びの段階に入っていきます。来年は両党で予備選(Primary)が行われ、それを勝ち抜いた候補者が本選挙(Presidential Election)を戦うことになります。有力候補者たちの顔ぶれについては近いうちにお知らせしたいと思います。

 

(終わり)