アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 今回は2014年12月14日に投開票が行われる第47回総選挙について書きたいと思います。現在は太陽暦を使っており、厳密には同じ日ではありませんが、12月14日は赤穂浪士の吉良邸討ち入りの日で、その時の浪士は47名でありました。12月14日に47という数字の一致は興味深い偶然です。

 

 2014年12月14日まで約3週間ほどある訳ですが、現在のところ、自民党と公明党が過半数(0増5減で選挙区が295、比例区が180で合計475議席なので)238議席を超えることは間違いないようです。安倍首相は自公で過半数であれば勝利であり、アベノミクスと2017年4月からの消費税増税10%が国民の信任を得たとして政権を続けていくことになります。現在与党である自公は320議席を保有しており、0増5減の影響があるとは言え、絶対安定多数266議席を28議席も下回っても「勝利」とするのは無理があるように思います。

 

 公明党は比例で手堅く20議席以上、小選挙区で数名の当選をそこまで減らさないとなると、大幅に議席を減らすのは自民党の方になります。前回は295名が当選したのですが、今回自公で過半数が最低ラインとなると80名近くが落選、絶対安定多数266が最低ラインとなると50名以上が落選と言うことになります。

 

 これで果たして「勝利」と言えるのか、50名以上の落選を出しながら「勝利だ」「政権続行だ」と強弁しても党内には不満が残ります。今回の総選挙は争点がはっきりしない選挙で、はっきり言って安倍氏自身もやりたくない選挙であった訳ですが、自民党側にしてみれば何でも官邸主導で貧乏くじだけを引かされるということで不満が充満していくと思います。議席数にもよりますが自民だけで過半数238を維持できなければ倒閣運動、反安倍氏の動きが出てくると思います。そうなると、ポスト安倍氏は前幹事長の石破茂氏と現在の幹事長の谷垣禎一氏ということになりますが、自民党、公明党、財務省、諸外国全てが納得できる人物としては谷垣氏と言うことになります。岸信介が安保改定で辞任した後にチェンジ・オブ・ペースで宏池会の池田勇人が首相になったというアナロジーに通じるものがあります。

 

 2012年の総選挙で安倍総裁の下で大勝した自民党ですが、人の体に譬えるならば、体脂肪率が上がって、血圧が上がり、血液検査の数値が悪くなってしまったようなものです。嫌韓嫌中を堂々と標榜する議員、ネトウヨと何ら変わらない知性の低い議員、国会議員が偉いと勘違いし周囲に威張り散らし当たり散らす議員など、自民党の若手議員は低質な人物たちが多くなってしまいました。失礼を承知で言いますと、脂肪(こうした低質な議員たち)が増えて、自民党がネトウヨや在特会と変わらない、血圧だけが高いような組織になってしまい、血糖値(嫌韓嫌中)や尿酸値(過度なナショナリズム)が挙がってしまいました。血圧、血糖値や尿酸値を下げるためにはダイエットが必要です。皆さん方には是非自民党のダイエットに協力していただきたいと思います。

 

 2003年以降の総選挙の結果を見ると、①得票数と議席数の割合は同じにならない、②公明党と共産党は手堅い(支持者が固定して動かないので議席数の増減が大きくないが大きな躍進は難しい)、③野党側は数が多くなると得票数に比べて獲得議席が少なくなってしまう(共倒れを起こしてしまう)ということが分かります。前回選挙は日本維新の会とみんなの党が躍進しましたが、野党側が候補者をそれぞれ出してしまったために票が分散し、合計すれば非共産の野党側が勝っていたのに、という選挙区がいくつもありました。

 選挙制度と政党の数については、フランスの政治学者モーリス・デュヴェルジェという人が唱えたデュヴェルジェの法則というものがあります。これは、選挙区の当選できる人数に1を足した数の政党数(国政選挙で当選者を出す)に収斂していくというものです。小選挙区だと当選者は1ですから、1+1で2となります。完全な小選挙区制だと二大政党制になります。日本の場合は比例代表制も並立させていますから、数が減らないということになります。小選挙区制で当選者が1人、与党は候補者を絞り込んでいるのに、野党側が乱立させれば勝ち目がないことは、明らかです。

 前回2012年の総選挙では民主党と国民新党が与党でしたが、1993年以降の日本の政治の対立軸であった自民対非自民という枠組みで考えるならば、非自民系が乱立したと言えます。自民軸側は、自民党と公明党ががっちりスクラムを組み、まとまって突出したのに対し、非自民系軸は乱立してしまいました。

 

 そこで、下の新聞記事にもありますが、今回は野党側は選挙協力を進めて候補者の数を絞り込んでいます。そうなのです、自民党にダイエットをしてもらうには、野党側も候補者を絞り込んで、つまり「ダイエット」をして、投票を集中してもらう必要があります。

 

 今回の野党側は民主党と維新の党(橋下徹大阪市長と松井一郎大阪府知事が不出馬を決めてくれたことが最大の貢献となるでしょう)を軸に野党再編(野党再建)を射程に入れて、選挙協力が進んでいます。共産党に選挙協力をしてもらうことは難しい面もありますが、沖縄では現職優先で選挙協力ができていますし、社民党に対してはある程度の協力関係ができるのではないかと思います。

 

 今回の選挙は簡単に言えば、「太り過ぎた自民党にダイエットをしてもらう」ことだと思います。「今のままの自民党が好きだ」と思われる方は自民党に入れていただいた方が良いでしょう。何事もそうですが、過度なダイエット(現実で言えば絶食を長期間続けるとか)はかえって健康を損ないます。「今の自民党はちょっとおかしいな」と思われる方はぜひダイエットに協力してあげていただきたいと思います。私もウエストがメタボリック症候群の範囲を超えてしまいましたので、自戒を込めて書いておきたいと思います。

 

(2003年以降の総選挙の結果)

 

●2003年

・与党側(選挙区:2777万→181;比例区:2939万→94)

自民党(選挙区:2609万→168;比例区:2066万→69)

公明党(選挙区:887万→9;比例区:873万→25)

保守新党(選挙区:79万→4;比例区――――)

・非共産野党側(選挙区:2412万→108;比例区:2513万→77)

民主党(選挙区:2181万→105;比例区:2210万→72)

社民党(選挙区:171万→1;比例区:303万→5)

無所属の会(選挙区:50万→1;比例区――――)

自由連合(選挙区:10万→1;比例区――――)

・共産党(選挙区:484万→0;比例区:459万→9)

 

●2005年 

・与党側(選挙区:3350万→227;比例区:3488万→100)

自民党(選挙区:3252万→219;比例区:2589万→77)

公明党(選挙区:981万→8;比例区:899万→23)

・非共産野党側(選挙区:2639万→55;比例区:2710万→71)

民主党(選挙区:2480万→52;比例区:2013万→61)

社民党(選挙区:100万→1;比例区:372万→6)

国民新党(選挙区:43万→2;比例区:118万→2)

新党日本(選挙区:14万→0;比例区:164万→1)

新党大地(選挙区:約2万→0;比例区:43万→1)

・共産党(選挙区:494万→0;比例区:492万→9)

 

●2009年

・与党側(選挙区:3580万→228;比例区:3503万→92)

民主党(選挙区:3348万→221;比例区:2984万→87)

社民党(選挙区:138万→3;比例区:301万→4)

国民新党(選挙区:73万→3;比例区:122万→0)

新党日本(選挙区:22万→1;比例区:53万→1)

新党大地(選挙区:――――;比例区:43万→1)

・非共産野党側(選挙区:3579万→66;比例区:2993万→79)

自民党(選挙区:2730万→64;比例区:1881万→55)

公明党(選挙区:783万→0;比例区:805万→21)

改革クラブ(選挙区:4万→0;比例区:6万→0)

みんなの党(選挙区:62万→2;比例区:301万→3)

・共産党(選挙区:298万→0;比例区:494万→9)

 

●2012年

・与党側(選挙区:3350万→227;比例区:3488万→100)

自民党(選挙区:2564万→237;比例区:1662万→57)

公明党(選挙区:886万→9;比例区:712万→22)

・非共産野党側(選挙区:2730万→49;比例区:3253万→95)

民主党(選挙区:1360万→27;比例区:963万→30)

社民党(選挙区:45万→1;比例区:142万→1)

国民新党(選挙区:12万→1;比例区:7万→2)

日本維新の会(選挙区:694万→14;比例区:1226万→40)

みんなの党(選挙区:281万→4;比例区:525万→14)

日本未来の党(選挙区:299万→2;比例区:342万→7)

新党日本(選挙区:6万→0;比例区――――)

新党大地(選挙区:約32万→0;比例区:35万→1)

新党改革(選挙区――――;比例区:13万→0)

・共産党(選挙区:452万→0;比例区:369万→8)

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「衆院選立候補予定者、大幅減1047人 野党間調整進む」

 

2014年11月24日 朝日新聞デジタル

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141124-00000033-asahi-pol

 

 来月2日公示の衆院選で、各党の立候補予定者がほぼ出そろった。朝日新聞がまとめた今月24日時点の擁立状況は、小選挙区928人、比例区119人で計1047人。民主党を中心とする野党間の候補者調整が進み、「第三極」の新党が擁立を競った前回衆院選の候補者数1504人より大幅に減る方向だ。

 

 一票の格差縮小のため、今回から選挙区は5減の295となり、比例区を含めた衆院定数は475。与党の自民・公明両党と、共産党はすでに大半の選挙区で候補者を固めた。共産以外の野党各党は与党に対抗しつつ選挙区での共倒れを避ける思惑から、民主党と維新・次世代など第三極各党が立候補予定者を一本化する作業を加速。共産を除く主要野党の選挙区の予定者数は前回の624人から314人に半減している。

 

 24日時点では295選挙区のうち185前後で、与党と共産に加え、民主・維新・次世代・生活・社民のいずれかから1人が立つ構図に。民主や第三極各党の予定者が競合する選挙区も約60あり、与党と共産以外に主要政党の予定者がいない選挙区も約45ある。

 

 自民は選挙区で285人、比例区は「0増5減」で選挙区を失った5人や比例単独の前職らを擁立。公明は選挙区で9人、比例単独で25人を立てる。民主は選挙区に180人を立てて積み増しをめざすが、前回より大幅に減りそうだ。選挙区では維新が73人、次世代が30人、生活が16人、社民が11人を擁立する。(石松恒、山下龍一)

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)