古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。

2013年12月




 古村治彦です。


 サイモン・ウィーゼンソール・センターからの安倍首相靖国参拝に関する談話が掲載されているページを教えていただき、その内容を読みました。あまり長くないので、皆さんにご紹介いたします。


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サイモン・ウィーゼンソール・センターからの談話


http://www.wiesenthal.com/site/apps/s/content.asp?c=lsKWLbPJLnF&b=4442915&ct=13553343#.UsISaKSChjo


2013年12月26日

December 26, 2013


サイモン・ウィーゼンソール・センターは人権を擁護するユダヤ人組織の主要な団体の一つであり、ナチスによるホロコーストと第二次世界大戦からの教訓を活かすことを目的にしている。サイモン・ウィーゼンソール・センターは、日本の安倍首相の靖国神社参拝を「道徳的に間違った行為」として批判した。

The Simon Wiesenthal Center, a leading Jewish human rights organization dedicated to learning the lessons from the Nazi Holocaust and WII criticized Japanese PM Abe's visit to the Yasukuni Shrine as "morally wrong".


日本を頻繁に訪問している、サイモン・ウィーゼンソール・センターの副センター長エイブラハム・クーパー師は次のように述べた。「日本の首相として、安倍氏には日本のために戦争で斃れた人々を悼み、慰霊する権利があります。しかし、戦争犯罪人についてはそれは当てはまりません。全ての人は自分の愛する人が亡くなったら、戦闘で亡くなった人も含めて、悼む権利があります。しかしながら、そのように崇敬されるべき人たちと戦争犯罪と人道に対する罪を犯すように命令し、実行したことについて責任がある人々を一緒にすることは道徳的に間違っています」

"As Prime Minister, he has the right to mourn for his nation's war—dead but not its war criminals. All people have the right to mourn the loss of their loved ones, including those who died in battle. It is morally wrong however to co-mingle such reverence with those who were responsible for ordering and carrying out war crimes and crimes against humanity," said Rabbi Abraham Cooper, the associate dean of the Wiesenthal Center and a frequent visitor to Japan.


そして、クーパー氏は次のように結論付けた。「更に言うと、今回の安倍首相の靖国参拝は、地域の平和に対して北朝鮮からの脅威が高まっている、特に微妙な時期に行われました。安倍首相の靖国参拝は、彼自身が行ってきた日米関係の強化の努力を傷つけるものであり、安全保障に関連する諸問題に対処するためにアジアの近隣諸国でより強力な統一的関係を築こうとして来た目的をも傷つけるものです」

"Further, this visit comes at a particularly sensitive time of increased threats to peace in the region from North Korea. The Prime Minister's visit to the shrine will hurt his efforts to strengthen US-Japan relations and his goal of to creating a stronger united front with Asian neighbors on issues related to security," Rabbi Cooper concluded.


※より詳しい情報が欲しい方は、サイモン・ウィーゼンソール・センターの広報部までご連絡ください(電話番号:310-553-9036)。SNSのフェイスブックのアドレスはwww.facebook.com/simonwiesenthalcenter、ツイッターアカウントは@simonwiesenthalです。これらで最新のニュースをあなたのツイッターページやモバイルにお届けします。

For more information, please contact the Center's Public Relations Department,  310-553-9036 , join the Center on Facebook, www.facebook.com/simonwiesenthalcenter, or follow @simonwiesenthal for news updates sent direct to your Twitter page or mobile device.


※サイモン・ウィーゼンソール・センターは国際的なユダヤ人人権組織のうち最も規模の大きな団体の一つです。アメリカ国内に40万を超える家族会員を有しています。国連、ユネスコ、OSCE(ヨーロッパ安全保障協力機構)、OAS(米州機構)、ヨーロッパ会議、南米議会などと協力して活動しているNGOです。

The Simon Wiesenthal Center is one of the largest international Jewish human rights organizations with over 400,000 member families in the United States. It is an NGO at international agencies including the United Nations, UNESCO, the OSCE, the OAS, the Council of Europe and the Latin American Parliament (Parlatino).


(終わり)


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 古村治彦です。



 2013年12月26日に安倍晋三総理大臣が靖国神社に参拝しました。これに対して、中韓、EU、アメリカなどが抗議や懸念を表明しました。安倍首相が特に重視していると思われるアメリカは、国務省報道官が「失望した(disappointed)」という表現を使って、懸念を表明しました。政府関係者の中には「ここまで言われるのか」と驚いた人々がいたという報道や、アメリカ政府関係者の発言として「アメリカの意向に反した参拝であった」という報道がなされました。



 私がこのブログでご紹介した安倍首相の靖国神社参拝に関連した2つの文章について改めて考えてみたいと思います。一つは、米誌『アトランティック・マンスリー』に掲載されたジェームズ・ファローズの文章で、もう一つは駐日アメリカ大使館が発表した、安倍首相の靖国神社参拝に関する声明です。



 ファローズの文章のポイントは、「戦争犯罪人(war criminals)が祀られていること」「遊就館の説明書き」のところだと思います。戦争犯罪人云々のことは、これまでにも言われてきたことですので、私は取り上げません。ファローズのもう一つのポイントである「遊就館の説明書き」の方を取り上げたいと思います。



 靖国神社には「遊就館」という歴史資料を展示した博物館があります。この遊就館には、日本古来の武器や武具から太平洋戦争時の資料や武器が多数展示されています。館内にある展示には、「日本が太平洋戦争の戦端を開いたのは、アメリカによる圧力があり、仕方ないことであった」という説明がなされています。



 松平氏によるA級戦犯として処刑された人々の合祀(これには東京裁判の否定の意図がありました)と遊就館の展示の説明は、「アメリカが戦後に行った東京裁判は間違いである、もしくは国際法に則ったものではない」という主張が根底にあります。私はこの主張は正しいものと考えます。日本は仕方なく戦争をさせられたのでしょう。そのために動いた人物たちが日本国内にもいたことでしょう。私は海軍がそうではなかったかと疑っています。「海軍善玉・陸軍悪玉説」がありますが、私は海軍こそが悪玉であったのではないかと思います。



 しかし、アメリカの戦後世界コントロールにおいて、戦後世界の始まりともなった戦後の裁判の正当性が疑われる、もしくは全くないということは、アメリカの「建前」としては絶対に認められないものです。アメリカが構築した「戦後世界」は、アメリカが正義の味方として、悪であった「枢軸国(Axis )」である日本、ドイツ、イタリアをやっつけたことから始まり、その後、共産主義という悪と戦い、その後はテロリズムという悪と戦うということで成り立ってきました。その始まりが揺らぐ訳にはいきません。



 アメリカの「本音」としては、「戦争が終わって、復讐心もあってあのような裁判をしたけど、ソ連との冷戦が起きる前だったからそうしたけど、ソ連との対抗上、ちょっとまずかったよな。日本にはちょっとやりすぎたよな、実際」というのがあったし、今でもあると思います。実際に、1945年から1952年までアメリカは日本を占領しましたが、占領下の政策は、前半と後半では異なります。「逆コース(reverse course)」と呼ばれます。「建前」「理想主義的」なもの(Democratization・民主化、Demilitarization・非武装化、Decentralization・財閥による経済集中の排除の3Dとアメリカでは呼ばれています)から「本音」「現実主義的」なものに変更されました。



 「歴史的に見て日本は戦争をさせられた被害者なのだ」という考えとこのアメリカの「本音」とが合わされば、靖国神社に総理大臣が参拝することは何の問題もなく、アメリカは何も抗議なり、憂慮なり、失望なりする必要などない訳です。しかし、安倍首相の靖国神社参拝を支持する言論人の多くはアメリカの失望に対して曖昧な態度を取ります(中韓に対しては「中間ごときは無視せよ」という言葉遣いも見られるほどですが)。



 それは、「日本は被害者」と「アメリカの本音」は、表立っては言ってはいけないことだということが分かっているからです。これらは、アメリカが作り上げた戦後の「素晴らしい」世界、日本もその恩恵を受けた戦後世界の正当性を揺るがすことになるということが分かっているからです。



 そして、そのことを一番よく分かっている(いた)のが、今上陛下であり、昭和天皇でありました。戦後しばらくは昭和天皇も靖国神社に参拝されていたのに、松平宮司による合祀があって以降、参拝はありませんでした。今上陛下も参拝していません。それは、個人的に不快だとか、A級戦犯になった人たちを許せないからというような小さなことが理由ではないのだろうと私は考えます。日本が組み込まれてその中で生きていかねばならない戦後世界の秩序の正当性を揺るがすようなことはできないと昭和天皇は考えられて、参拝をしなくなったのでしょうし、今上陛下もそうお考えなのではなないかと考えます。大変慎重かつ細心の行動、最も安全な方策を選んだということが言えるでしょう。



 アメリカ大使館の生命を読んで、アメリカは「建前」と「本音」をうまく使い分けている、という印象を私は受けました。うまくバランスを取っていると思いました。「建前」で批判をしておいて、しかし同時に日本をうまく利用しているなという感じが見えました。



 それは、声明文の最後の2行、「私たちは、安倍首相が過去に対して悔悟の念を表し、日本が平和構築のために関与していくことを改めて表明したことを注視している。」(拙訳)から伺えます。



 戦後世界を構築したアメリカにとって、この戦後世界の秩序に挑戦する国や組織は、「平和を乱す」敵・悪と認定してきました。冷戦が終わって以降はテロリズムを敵としていますが、もう一つの脅威は中国です。中国とは経済的な関係が深いので、アメリカも敵とは言いませんが、自分たちが追い抜かれるのではないかという恐怖感は持っています。



 世界史上、覇権国はいつか衰退し、別の覇権国が出てきます。現在の状況で言えば、アメリカは覇権国ですが、いつか中国に取って代わられるのではないかという懸念を持っています。アメリカは覇権国であるから衰退から免れているという面があり(覇権国だから世界からお金が集まってくる)、できるだけ衰退のスピードを遅らせたい、覇権国の地位から転落する時期を遅らせたい、しかも低コストで、ということで現在のアメリカは行動していると思います。



安倍晋三首相は、アメリカの「本音」を知っている人ですから参拝をしましたが、その後、「建前」に背くつもりはないし、それを明らかにするために「平和構築のために関与する」という発言をしました。これは言ってみれば、言質を取られたということになります。



 アメリカは、「そうですか、それなら私たちが築いた戦後世界秩序内の平和を守るためにご尽力いただけるということなのですね、積極的な姿勢をお示しになった訳ですから、それを実行されることを望みます」と言っている訳です。



 そして、「実行されるためには、いろいろと条件整備が必要ですね。武器輸出三原則緩和とか、憲法改正とか」と続く訳です。



 安倍晋三首相の靖国神社参拝は、アメリカにとっては、「分かっているようで分かっていない」日本の指導者をひっかけて、「うまく言質を取った」ということになるのだろうと思います。昨日、そして今日とこのように考えました。



 さて、私事で恐縮ですが、年末年始はやり残した仕事を優先するために、年内のブログの更新は今日で最後といたします。年明けは1月6日からといたします。お読みいただいている皆様には本当にお世話になりました。ありがとうございます。良いお年をお迎えくださいませ。来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

(終わり)



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 古村治彦です。


 安倍晋三総理大臣の靖国神社参拝について、駐日アメリカ大使館が昨日、声明を発表したことは既にご紹介しました。今日になって、アメリカの反応が次々と報道されています。


 これらの報道をまとめると、アメリカのオバマ政権は「安倍晋三首相には靖国神社に参拝して欲しくなかった」「参拝を控えるように求めていた」ということになります。


 私は、安倍氏もまさかアメリカのオバマ政権の意向(アメリカは一枚岩ではありませんから、政権内部、そして周辺には色々な考えの人たちがいます)の一部をキャッチし、「参拝してもそこまで大事にはならないだろうし、うまく収めてもらえるだろう」という感触があって参拝した、もしくは一部の人たちの後押しもあって参拝したと考えていました。


 しかし、これまでの報道を見ると、どうもそうではないようです。ヒラリー系が多い国務省の報道官が「失望」という言葉を使ったことから見て、オバマ政権内部の好感触は得ていなかったということが分かります。


 安倍首相はアメリカに幅広い人脈があると私は考えていました。ロサンゼルスにある南カリフォルニア大学に留学した経験も持っています。そして、アメリカにある人脈を使って、その人脈を触診しながら行動しているのだろうと思っていました。買いかぶりだったのだろうと今は思っています。


 「やってしまえばアメリカだってそこまで厳しいことは言わないだろう」という甘えもあったのかと思いますが、安倍首相に関して言えば、何よりも「アメリカ経験がありながら、アメリカのことを分かっているようで肝心なところが分かっていない」ということになるのだろうと思います。


(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●「首相、米の意向無視」


2013年12月27日(金)7時24分配信 共同通信
http://news.nifty.com/cs/headline/detail/kyodo-2013122701000913/1.htm
 
 【ワシントン共同】米政府当局者は26日、安倍晋三首相の靖国神社参拝について、オバマ米政権が「中韓両国の反発を招き、大きな国際問題になる」として、外交ルートを通じて首相に参拝を控えるよう求めていたことを明らかにした。米側の意向が無視された格好で米政府声明も「遺憾」などではなく、より批判的なトーンの「失望」を選んだとしている。

 靖国参拝をめぐる日米間の温度差が浮き彫りになった。中韓との関係だけでなく、今後の日米関係にも影を落とすことになりそうだ。


●「米国務省も批判、首相の参拝に「失望している」」


2013年12月27日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20131227-OYT1T00319.htm


 【ワシントン=今井隆】米国務省のサキ報道官は26日、安倍首相の靖国神社参拝について「日本は大切な同盟国だが、日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことに米国政府は失望している」と批判する談話を発表した。
  
 在日米大使館が発表した声明と同内容のもので、安倍首相への厳しい言及が国務省の意向であることを示した。米メディアも、首相の靖国参拝を引き続き批判的に報じている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(アジア版)は26日の社説で、「日本の軍国主義復活という亡霊を自らの軍事力拡張の口実に使ってきた中国指導部にとって、安倍首相の靖国参拝は贈り物になった」と指摘した。


(2013年12月27日10時33分  読売新聞)

(新聞記事転載貼り付け終わり)

(終わり)




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 古村治彦です。

 今回は、本日の安倍晋三首相の靖国参拝についての駐日アメリカ大使館のプレスリリースの内容を皆さんにご紹介します。

 この声明で使われているdisappointedという表現は大変強い調子であるといえます。「懸念を持っている」というくらいならconcernedくらいになるでしょうから。同盟国に対してこのような表現は少し異例なくらいに強い調子です。

 しかし、ちゃんと最後の二行でバランスを取っていると言えます。しかし、これも「過去を反省し、平和構築に貢献する」と言ったからには、それが行われるようにきちんと見ていますよ、という意図が透けて見えます。そして、この二行の怖いところは、アメリカが進める「平和」の構築作業に日本も参画するということの言質を取られたという点であると思います。

 非常に「バランスの取れた」、しかし、アメリカの意図が良く分かる文章であると思います。

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プレスリリース


http://japan.usembassy.gov/e/p/tp-20131226-01.html?fb_action_ids=718052764872278&fb_action_types=og.likes&fb_aggregation_id=288381481237582#.UrvTtIXDGAl.twitter


2013年12月26日の安倍首相の靖国神社参拝に関する声明(Statement on Prime Minister Abe's December 26 Visit to Yasukuni Shrine)


2013年12月26日

 日本はアメリカ合衆国にとって重要な同盟国であり、友人である。そのような良好な関係にあるが、アメリカ合衆国は日本の指導者が近隣諸国との緊張を更に高めることにつながる行動を取ったことに失望している。


 アメリカ合衆国は日本と近隣諸国が過去に由来する微妙な問題を解決し、関係を改善し、アジア地域の平和と安定という私たちが共有する目的を達成するために協力関係を促進するための建設的な方法を発見することを希望している。


 安倍首相が過去に対して悔悟の念を表し、日本が平和構築のために関与していくことを改めて表明したことを私たちは注視している。


(終わり)




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 古村治彦です。

 本日、安倍晋三総理大臣が総理就任一周年ということで靖国神社に参拝しました。これに対してのアジア地域に通じたアメリカ知識人の見解をご紹介します。

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自分のソフトパワーに自ら損失を与えるという分野に出現した新しいチャンピン:日本(Our New Champion in Self-Defeating Soft Power: Japan)


「日本、中国、韓国との関係を悪化させ、その影響をアメリカにまで及ぼすたった一歩の行動。今日、日本の総理大臣がその一歩を刻んだ」


ジェームズ・ファローズ(James Fallows)筆
2013年12月25日 アトランティック・マンスリー誌
http://www.theatlantic.com/international/archive/2013/12/our-new-champion-in-self-defeating-soft-power-japan/282654/


 今夜、私は飛び込んできたニュースが本当とは思えなかった。日本の安倍晋三総理大臣が東京にある靖国神社を公式参拝したのだ。私はこのニュースが信じられなかった。それは、そのような行動を取れば現在の東アジアの微妙な状況をもっと悪化させることは分かり切ったことであったからだ。だから安倍首相はそのようなことはしないだろうと私は考えていた。               


 しかし、私の予想に反して安倍首相は靖国神社に参拝した。中国のとの緊張が続く中で、日本の指導者が靖国神社に参拝することは、ドイツの首相がイスラエルとの間で懸案や意見の相違がある時期にアウシュビッツやブーヘンヴァルトを訪問するのとは全く違うものだ。また、NAACPが見ている中で、アメリカの白人の政治家が黒人がリンチを受けた場所を訪問するのとも違う。しかし、そこまでかけ離れたものでもない。


 靖国神社はその構造はシンプルで、大変に美しい場所である。そして厳かな気持ちを起こさせる場所である。靖国神社は多くの戦死者たちの安息の場所だ。不幸なことに、戦死者たちに第二次世界大戦後に戦争犯罪人と公式に認定された人々が含まれている。中国の政府指導者と世論形成に影響力を持つ人々、そして韓国のそういった人々は靖国神社を帝国主義時代の日本の残酷さの象徴として見ている。加えて、靖国神社にある「歴史」博物館を訪れたアメリカ人(私も訪問したことがある)は、そこで、日本がアメリカの経済制裁と軍事圧力によって第二次世界大戦に「嫌々ながら強制的に」参加することになったという説明を目にすることになる。


 簡潔に述べるならば、日本の総理大臣による靖国神社訪問は、日本・中国・韓国・アメリカの関係に緊張をもたらすのにこれ以上の行動はないというものなのである。しかし、安倍首相は靖国神社に参拝した。先月、私は、中国が全く必要がないのに「防空識別圏」を設定し、近隣諸国に脅威を与えた行動に対して、「自分のソフトパワーに自ら損失を与えた」賞を与えると述べた。しかし、私は間違っていたようだ。この賞は日本にお返しすることにする。


(終わり)

※ご指摘がありました(2013年12月30日)。筆者のファローズは上記論文の中で、「ドイツの首相がイスラエルとの間で懸案や意見の相違がある時期にアウシュビッツやブーヘンヴァルトを訪問するのとは全く違うものだ。また、NAACPが見ている中で、アメリカの白人の政治家が黒人がリンチを受けた場所を訪問するのとも違う。しかし、そこまでかけ離れたものでもない」と書いた部分を、次の論文(2013年12月26日付「靖国神社はアウシュビッツとはどう違うのか」)の中で「誤っていた」として訂正し撤回し、誤りを指摘するコメントをいくつも紹介してします。(2013年12月31日)
http://www.theatlantic.com/international/archive/2013/12/why-yasukuni-is-different-from-auschwitz/282667/


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