古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

2014年12月




アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23



 古村治彦です。

 

 2014年も押し詰まってまいりました。

 

 ブログをこちらに引越しして以来、多くの方々に来訪、閲覧をいただきまして、誠にありがとうございました。

 

 来年はツイッターとも連動しながら、ブログの更新に努めてまいりたいと思います。皆様からの本の購入やアフィリエイトのクリックなどのご支援があって続けることができます。本当にありがとうございます。こうした宣伝などは見苦しいというご指摘もいただきます。お目汚しの点は深くお詫びを申し上げます。しかし、私としてはご寛恕いただけますようにお願い申し上げるだけです。

 

 来年、2015年が皆様方にとって素晴らしい一年となりますことをお祈り申し上げます。来年は1月第2週から週2回程度をめどに更新してまいります。

 

 来年も本年に変わらぬご支援の程、宜しくお願い申し上げます。


 では最後に一曲、くるりで「奇跡」です。「来年もお会いしましょう」



 

                                       古村治彦拝












 

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック




アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

古村治彦です。

 

このブログでも書きましたが、2014年12月26日に生活の党に山本太郎参議院議員(東京選挙区選出、2019年改選)が参加しました。そして、正式な党名が「生活の党と山本太郎となかまたち」となりました。

 

このことについて、新聞と山本太郎議員のブログでは発表がありましたが、2014年12月30日午後7時の時点で、生活の党のウェブサイトでは何のお知らせもありません。文章でも動画でも何の発表もないのです。党名の変更もなされていないし、ロゴの変更もなされていないのです。2015年になって、山本議員の参加と党名変更についての記者会見があるという情報もありますが、そのことについても何も書かれていません。

 

↓※生活の党のウェブサイトのアドレスは以下の通りです※↓

http://www.seikatsu1.jp/

 

今回の山本議員の参加によって生活の党(と山本太郎となかまたち)は、政党要件を満たし(所属国会議員5名以上、もしくは直近の国政選挙で小選挙区か比例区で得票率2%以上)、政党交付金(約4億円)を受けられることになりました。

 

このような重要な出来事に関し、生活の党の対応は余りにもお粗末で、動きが緩慢です。そのために、要らぬ誤解や憶測を生み出したと言えます。一言で言えば、「自業自得」です。今回の山本議員の合流が起爆剤になるどころか、「どうせカネ目当てだろ」と言われてしまうのは、党からもそして党の代表である小沢一郎代議士(岩手四区選出)からも全く正式な説明がないからです。これは異常なことだと私は思います。有権者に投票用紙に書いてもらうべき政党名をあまりに軽んじている所業ではないかとも思います。

 

山本太郎参議院議員のブログ「山本太郎の小中高生に読んでもらいたいコト」の2014年11月21日付の記事「告白」(記事のアドレスは以下の通りです→http://ameblo.jp/yamamototaro1124/entry-11955101001.html)には、今回の生活の党への合流と党名変更についてのヒントが書かれています。是非お読みください。山本議員の主張は次の通りです。

 

2014年12月14日投開票の総選挙は、余りにも大義がなく、それに対して多くの国民と同じく、山本議員も憤りを感じました(彼は「茶番」だと書いています)。そして、現在は自分1人、無所属であるが、4名の仲間に衆院選で当選してもらって、もしくは数名に当選してもらって、政党、もしくは野党再編につながる政治勢力になりたいと考えました。

 

しかし、問題は先立つもの、お金です。立候補するにはまず供託金が600万円かかります。これは選挙の結果、10%以上の得票率で返ってきますが、まずこれを一括で納めねばなりません。600万円で4名分となると2400万円となります。これに選挙運動資金となると、山本議員と支持者だけではとても賄える金額ではありません。また、政党要件を満たしていない、山本議員が勢力を作り、比例区で戦うには、比例区の定数の2割以上の立候補者を立てねばなりません。これは全国で42名となり、こちらも供託金は1人

600万円ですから、供託金だけで2億5200万円となります。こちらはもう土台無理な話です。ただ、山本議員が当選している東京ブロックであれば4名ですので、2400万円となります。

 

そして、山本議員たちは、この比例に立候補者を出した場合の政治団体の名前を「山本太郎となかまたち」にして(団体の代表者を別にして、更に山本太郎が立候補者にならなければ)、略称を「山本太郎」とすれば、山本太郎と書いてもらえば、この政治団体の立候補者の票として認めてもらえるということを発見しました。「山本太郎」が100万票を獲得すれば3名の当選ということになります。しかし、どうしても先立つもの、お金がネックになってくる、と。

 

そこで、山本議員は考えました。現在、政党要件を満たしている政党と比例統一名簿を作ったらどうかと。「●●党・山本太郎となかまたち」とすれば、全国の比例区で、●●党か山本太郎と書いてもらえれば良いということになります。しかし、選挙前に話を持ちかけてみたが、どこも賛同してくれなかったということです。「政党交付金を貰っている」から、選挙対策は万全なのだろうと山本議員は推測しています。

 

そして、選挙の結果、生活の党は当選者2名で、国会議員数が4名となり、政党要件を満たせなくなりました。そして、今回、山本議員が合流して、「生活の党と山本太郎となかまたち」となりました。

 

2014年12月15日に政治団体「山本太郎となかまたち」が設立されました。代表者は山本議員の公設秘書で、自身も2011年から2013年にかけて参議院議員(民主党→国民の生活が第一→日本未来の党→生活の党→2014年に離党し無所属)であった、はたともこ氏が就任しています。私は、選挙直後から、生活の党への上記のアイディアの売り込みがあったものと推測しています。

 

私は、はたともこ氏のツイッター(@hatatomoko)を読み、いくつかの記述がとても気になりました。以下に引用します。


 hatatomoko001

hatatomoko002

 

(引用開始)

 

「「生活の党」と「山本太郎となかまたち〈略称:山本太郎〉」は、統一地方選は別個にたたかう。「山本太郎となかまたち〈略称:山本太郎〉」は、次期参院比例代表選を別個にたたかう方針」(2014年12月29日午前8時20分)

 

「山本太郎となかまたち〈略称:山本太郎〉」は、次期参院比例代表選で得票率10%以上、600万票で5議席獲得をめざす。山本太郎議員の東京選挙区得票率11.8%、衆院鹿児島2区補選ありかわ得票率4.6%で、10%以上は達成可能な目標」(2014年12月27日午前6時54分)

 

(引用終わり)

 

はた氏のツイッターの記述は、山本議員の生活の党への合流と党名変更(生活の党と山本太郎となかまたち)の後に行われたものです。これによると、政治団体「山本太郎となかまたち(略称:山本太郎)」は、2015年の統一地方も2016年の参議院議員選挙も、生活の党とは「別個」に戦うと書かれています。そして、2016年の参議院議員選挙での政治団体「山本太郎」の目標を高らかに宣言しています(比例区で得票率10%以上、600万票で5名の当選)。

 

これは一体どういうことでしょうか。山本議員は「党議拘束のない自由度の高い新党」として、「生活の党と山本太郎となかまたち」を立ち上げたと書かれています。しかし、選挙で「別個に戦う」とか「山本太郎で600万票を獲得し、5名の当選を目指す」と言ったことは書かれていません。このはたともこ氏の書きぶりでは、選挙は別でやりますよ、生活の党の比例区の選挙の応援はしませんよ、私たち山本太郎は別で候補者を立てて600万票、5名当選を目指しているんですから、ということになります。

 

これでは、選挙目当てとお金目当てと言われても仕方がないのでではないでしょうか。政党要件をぎりぎりで満たせなかった生活の党に働きかけて、とりあえず政党要件を満たさせておいて、次の選挙では、自分たち(政治団体「山本太郎」)は、政党要件を満たしている生活の党の資格(全国の比例区に候補者を立てることができる、政党交付金の一部を自分たちで利用できる)を利用して、自分たちだけで5名の当選をめざし、政治団体から政党要件を満たす政党になる、という意図が透けて見えます。

 

生活の党側にしてみれば、政党交付金がもらえなくなるのはやはり痛いですから、このような条件を飲むしかなかったのでしょう。恐らく、党内でも今でも反対の人々もいて、調整に手間取っていて、何も正式な発表ができないのでしょう。山本太郎氏側、はたともこ氏の昂揚感あふれる記述と比べてみても、生活の党側が何か暗いというか、違和感が漂います。

 

政治家として晩年を迎えた小沢一郎氏から山本太郎氏が薫陶を受けることは素晴らしいことです。そして、生活の党が政党要件を満たすことができたことについては、山本太郎氏の決断をありがたく思います。しかし、山本氏側の意図が分かりながら、政党要件を満たすために野合し、政党名を変更してしまったというのは、矜持を捨ててしまったように感じられてしまいます。

 

そして、何か小手先の、法の隙間を突いたようなやり方が、果たしていつまで続くのだろうか、という思いもまた拭いきれません。そして、小手先の野合に国民の支持が集まるのだろうか、という思いにも駆られてしまいます。

 

政治団体「山本太郎となかまたち」が「生活の党」を吸収して、タガメのように「生活の党」に残っている少ない養分を吸い尽くして、それに取って代わることができれば、それはそれで良いのかもしれませんが、一抹の寂しさを覚えます。まぁ、生活の党に吸い取るべき養分が残っているのかどうも問題ですが。

 

(終わり)









 

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック




アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 古村治彦です。

 2014年12月25日に副島隆彦先生の最新刊『副島隆彦の政治映画評論 ヨーロッパ映画編』(ビジネス社、2014年12月)が発売になります。今回は特別に、まえがき、目次、あとがきを公開いたします。是非お求めいただきまして、年末年始の読書計画にお加えください。また、本書で紹介されている映画を見て、年末年始を過ごすのも楽しいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。


==========

副島隆彦の政治映画評論_ヨーロッパ映画編 (1)
『副島隆彦の政治映画評論 ヨーロッパ映画編』

まえがき

 この本は、私の映画評論の本の4冊目である。この本では近年のヨーロッパ映画の名作を集めて「ヨーロッパ映画編」と銘打って1冊とした。

 いい映画に出くわして、思わず魅(ひ)き込まれて、一場面の一瞬の重要性にハッと気づく。その時の大発見がないなら、私は映画評論などやらない。

 たとえば、ルキノ・ビスコンティ監督の往年の名作『山猫(やまねこ)(イ・ガトパルド)』(1963年)の謎が解けた。この本で取り上げた『副王家(ふくおうけ)の一族(イ・ビチェーレ)』(2007年、ロベルト・ファエンツァ監督)によって一気に解けた(本書P28)。私はヨーロッパ映画(そしてオペラ)の大作の中に折り込まれた、ヨーロッパとは何か、の大きな謎に日本人として挑戦した。このように豪語する。だからこの本を読んでください。

 この世の大きな真実に気づくためには、ピンとこなければいけない。一瞬の情景や、一行のセリフにハッと思って、ピンとこないようなら、私に政治思想(ポリティカル・ソート)の解読者としての資格と能力が足りないことになる。

 私はハッと気づいて、ピンとくる人間である。それは私の持って生まれた(生得の)才能だ。

 私は、「副島隆彦の政治映画(せいじえいが)の評論」という独自の文化・教養ものの出版物のジャンルを打ち立てた。2000年に刊行した『ハリウッドで政治思想を読む』(メディアワークス社刊)からである。私は自分が創始したこの「政治映画(ポリティカル・ムーヴィー)の評論(レヴュー)」という部門(カテゴリー、ジャンル)を自分が死ぬまで開拓し続ける。私の本のお客となってくれる、生来の鋭い感覚と嗅覚をした少数の読者・理解者に恵まれ続けるか否か、だけが気がかりだ。お客(読者)が足りないと燃料(収入)が切れて前に進めない。次の世代に読み継いでもらえない。

 私が切り拓(ひら)いたこの「政治映画の解説の本」という分野で、厳しく世界基準(ワールド・ヴァリューズ)での真実の暴(あば)き言論を、私は押相撲(おしずもう)もうでエイ、エイとこれからも真っ正面から押してゆく。それだけの自負と覚悟がなければ、こんな威張り腐ったまえがきは書けない。
 私は映画の形を借りた、世界各国の優れた諸見識(しょけんしき)を、日本に現地(産出地)の高品質のまま直輸入でお見せする。

                                                              副島隆彦


副島隆彦の政治映画評論 ヨーロッパ映画編 目次

まえがき …… 2

第1章 キリスト教という圧迫
『アレクサンドリア』 AGORA
ヨーロッパの戦う女の原点を発掘した大作 …… 10
『ポー川のひかり』 CENTO CHIDI
イタリア知識層とカトリックとの壮絶な闘い。最高級の政治映画 …… 20

第2章 歴史を識(し)る
『副王家の一族』 I VICERE
ヴィスコンティ『山猫』の謎がやっと解けた …… 28
『終着駅 トルストイ最後の旅』 THE LAST STATION
トルストイを奥さんが理解しなかった …… 38
『アイガー北壁』 NORDWAND
これぞヨーロッパ人の美意識の極限だ。ただし山登りで死ぬ男たちの …… 46
『君の涙 ドナウに流れ ハンガリー1956』SZABADSAG, SZERELEM (CHILDREN OF GLORY)
この映画でハンガリー動乱(1956年)がすべてわかる …… 52
『コロンブス 永遠の海』 CRISTOVAO COLOMB O ENIGMA
コロンブスはポルトガル人だ。ポルトガル人のド根性がわかる …… 59
『シチリア! シチリア!』 BAARIA
軽快にイタリア人魂を描いている …… 65
『グレース・オブ・モナコ』 GRACE OF MONACO
モナコという国が日本人に初めてわかる映画 …… 70

第3章 イスラム教とは何か
『サラエボ、希望の街角』 NA PUTU (ON THE PATH)
過去のボスニア紛争と今の「イスラム国」ISがわかってビックリする …… 100
『約束の旅路』 VA, VIS ET DEVIENS
エチオピア系ユダヤ人という人々までいる。コプト教(キリスト教)とも異なる …… 111
『クロッシング・ザ・ブリッジ ?サウンド・オブ・イスタンブール?』
CROSSING THE BRIDGE:THE SOUND OF ISTANBUL
トルコ人の気質がわかる。コンスタンチノープルが世界の東西の分かれ目だ …… 116

第4章 戦争の真実
『誰がため』 FLAMMEN & CITRONEN
デンマークがドイツに加担していなかったと強がりで作った映画 …… 122
『抵抗(レジスタンス)─死刑囚の手記より─』 
UN CONDAMNE A MORT S'EST ECHAPPE OU LE VENT SOUFFLE OU IL VEUT
すべての脱獄映画の原点がこれだ …… 130
『敵こそ、我が友 ?戦犯クラウス・バルビーの3つの人生?』 MON MEILLEUR ENNEMI
2000年代になってからこそ、政治映画が作られて歴史の真実がどんどん報告されるようになった …… 136
『カルラのリスト』 CARLA'S LIST
2014年の今でも検察官カルラは闘っている。腐ったヨーロッパの良心と正義を守る …… 141
『チェチェンへ アレクサンドラの旅』 ALEKSANDRA
ロシアの国民的女流歌手の堂々たる風格。戦場の男たちを圧倒する …… 150

第5章 フランスという文化
『隠された記憶』 CACHE (HIDDEN)
パリとフランス農村部の関係がわかった …… 160 
『隠された日記 母たち、娘たち』 MERES ET FILLES (HIDDEN DIARY)
ハリウッド(ヤンキー)が大嫌いのフランス右翼・愛国女優のふてぶてしいまでの貫禄 …… 166
『PARIS(パリ)』 PARIS
アメリカに負けない気位の高さ。なのにやっぱり負けている …… 172 
『パリ、恋人たちの2日間』 2 DAYS IN PARIS
アメリカ人のフランス文化への劣等感は今も強くある …… 178

第6章 現代の憂鬱
『THIS IS ENGLAND』 THIS IS ENGLAND
イギリス国民党というスキンヘッドの右翼政党のことがわかる …… 184
『バーダー・マインホフ 理想の果てに』 DER BAADER MEINHOF KOMPLEX
ドイツの過激派=新左翼運動の全体図が見て取れる …… 191
『サルバドールの朝』 SALVADOR
スペインの過激派青年が処刑された事件 …… 198
『ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男』 STONED
犯罪の共同者になること。ストーンズが今も結束している魔性の秘密 …… 204
『フェアウェル さらば、哀しみのスパイ』 L'AFFAIRE FAREWELL
真実の国家スパイたちは大企業や研究所の中にもいる …… 210
『ある子供』 L'ENFANT
貧しいベルギー人夫婦が赤ちゃんを売る話 …… 217
『4ヶ月、3週と2日』 4 LUNI, 3 SAPTAMANI SI 2 ZILE
ルーマニアの女子大生たちの世界 …… 225
『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』 MAN SOM HATAR KVINNOR
バルト海を挟んでドイツを嫌う本当はワルい映画だ …… 231

あとがき …… 238


あとがき

 私はヨーロッパとアメリカの映画から多くを学んできた。中学・高校生の休みの日に、自転車をこいで出かけて、地方都市の朽ちた映画館の「名画座」に、300円也を払って欧米の古ぼけた名作映画を観(み)に通った。

 欧米の政治映画(あるいは歴史もの映画)を観ることで、私はものすごく多くのことを知った。私の脳はそれらの多くを今も記憶し保存している。世界理解と政治知識、政治思想の吸収において、欧米の映画を見ることで得たものが、後のちの私の政治思想の研究の3割ぐらいの糧(かて)(原資料)になっている。

 しかし私は、たかが思想の輸入業者に過ぎない。そのように厳しく自覚し自己限定している。私は欧米の先端の政治思想(ポリティカル・ソーツ)(politicalthoughts)の流派のあれこれを日本国内のインテリ読者人層に、なんとかわかるように丁寧に解説してきた。それらを日本に移入し、導入し、移植(トランスプラント)する仕事しかしていない。この作業は、日本の映画配給会社が、外国映画の権利を買って来て日本語字幕(スーパーインポーズ)をつけて、優れた解説紹介文のパンフレットを作成するのと同じことだ。

 ただし私の場合は、この仕事をいささかドギツクやる。ストーリー(物語)(ものがたり)の裏側の真実を、さらにひんむいて実感のこもった日本文にしないことには、日本の大おお方かたの読書人階級になかなかわかってもらえない。日本言論人としてのこれが私の職分だ。

 難渋(なんじゅう)で難解な論文に仕立てることでしか日本に欧米の諸(しょ)政治思想を輸入することができないバカ学者たちの作業とは自(おの)ずと異なる。映画はあくまでお金を払って観てくれる大衆観客にとっての娯楽(アミューズメント)である。このことを忘れて、クソおもしろくもない気取り屋たち(今や絶滅種(ぜつめつしゅ)に近い)による高級知識の押しつけのようなことを、私はしない。
 
 私はこの国の、少数だが(10万人が限度だろう)感と勘かんの鋭い、政治見識(知能)的に優れた人々(学歴なんかなくてもいい)とともに常にある。彼ら(すなわち皆さん)とともに生きて死んでゆければ、それでいい。それが「ああ、こんな国に生まれてしまった」、私の運命だ。

                           2014年12月                           副島隆彦

(終わり)

==========
 







 
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック




アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 古村治彦です。

 今回はホワイトハウスの人事についての記事をご紹介します。日本では、安倍晋三首相が「女性の社会進出」「女性の輝ける社会」という謳い文句で、女性閣僚を数多く起用しました。この流れはアメリカでも同じであるようです。

 それにしてもオバマ大統領とヒラリー系の戦いはどんどん激しさを増しているようです。私は「内戦」と書きましたが、「仁義なき戦い」のようです。国家安全保障問題担当次席補佐官がバイデン系のトニー・ブリンケンから、今回ヘインズに交代になったのは、キューバとの交渉で成功した、「トップ外交」を継続させるためではないかと思います。アヴリル・ヘインズは高校卒業後に1年間、東京にある講道館で柔道の修行にいそしんだという変わった経歴の持ち主です。

 こうした状況に対して、ヒラリー系がどう押し戻してくるか、後2年間のオバマ政権の動きはどうなるのかを注視していきたいと思います。

===========

CIA
のナンバー2がホワイトハウスへ移動

 

サイモン・イングラー(Simon Engler)筆

2014年12月18日

フォーリン・ポリシー誌

http://foreignpolicy.com/2014/12/18/number-2-at-cia-moves-to-white-house-avril-haines-deputy-national-security-advisor/

 

 オバマ大統領は、CIA副長官アヴリル・ヘインズ(Avril Haines)をスーザン・ライス(Susan Rice)国家安全保障問題担当大統領補佐官の副官(次席補佐官)に選んだ。ヘインズはオバマ政権発足時から、情報と外交政策の分野で活躍してきた。そして、これからホワイトハウスで重要な役割を果たすことになる。彼女は国家安全保障問題担当大統領補佐官職の伝統を受け継ぎ、これを発展させながら、同時にスーザン・ライスに権力が集中し、ホワイトハウスで何でも決定されているという批判とも戦うことになるだろう。

avrilhaines003

アヴリル・ヘインズ

avrilhainesbarackobama001
バラク・オバマ大統領とヘインズ
 

 現CIA副長官のヘインズは、国家安全保障問題担当大統領補佐官ライスと国土安全保障問題担当大統領補佐官リサ・モナコ(Lisa Monaco)の仲間入りをすることになる。ヘインズは、ホワイトハウスで国家安全保障と外交を担当する女性3名の1人となる。女性の民主党系の政策立案者としては、ミッシェル・フロノイの名前を忘れてはいけない。彼女は、国防長官を更迭されたチャック・ヘーゲルの後任の長官として最初に名前が挙がり、オバマ大統領が考える第一の候補であると言われたほどであった。


barackobamasusanrice005
バラク・オバマ大統領とスーザン・ライス

lisamonaco001
左からサマンサ・パワー、オバマ大統領、リサ・モナコ、スーザン・ライス(女性の積極的な登用)

 ライス補佐官は彼女の副官となるヘインズについて、「彼女高い知性、アメリカ国民に対する徹底した献身、すでに実証されている物事を実行するための能力」を持つ人物であると高く評価している。

 

 ヘインズは、トニー・ブリンケン(Tony Bliknen)の後任として就任する予定である。ブリンケンは、国務副長官に転出する予定である。ヘインズはホワイトハウスで新たな役割を果たすことになる。彼女の仕事は、政府各省庁の副長官を集めて会議を主宰し、この会議で政策案を複数用意して、大統領と各省庁の長官がそれぞれを閣議で話し合い、評価ができるようにすることである。

tonyblinken001
左から:バイデン副大統領、トニー・ブリンケン、スーザン・ライス、ケリー国務長官
 
 

 これは大変厳しい仕事となるであろう。ホワイトハウスは対外政策の面では、イスラム国家打倒とロシアのウラジミール・プーティン大統領との対峙のための戦略を建てることに忙殺され、一方で、国内問題では主要な省庁の長官や幹部たちを無視して政策決定が行われているという批判に晒されている状況だ。

 

(終わり)








 

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック




アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 私は、産経新聞が嫌いです。しかし、時には素晴らしい記事を掲載する新聞であることには敬意を持っています。産経新聞について「自称・全国紙」とか「自民党の機関紙」と書くこともありますが、関係者の皆様には、強者のご寛恕を願っておきたいと思います。

 

 しかし、今回の総選挙の選挙運動期間中に山田美樹代議士(当時は自民党公認候補・東京一区選出、当選二回・細田[安倍]は所属)の選挙運動員が起こした事故に関する記事はいただけません。

 

 私が問題にしたいのは、事故の描写の部分で、「バイクは転倒し、男性は頭などに全治約2週間の軽傷を負った」の部分です。この事件を最初にスクープ報道した毎日新聞の記事を参照していただけると分かりますが、毎日新聞は、「男性は転倒して一時意識不明となり、搬送先で外傷性くも膜下出血と診断されて2週間以上入院した。半年間の通院が必要で運転もできない状態だという」と書いています。

 

 産経新聞も毎日新聞も記事によると、「警視庁神田署によると」と書いています。それなのに、記事の内容の詳しさの違いはどこから来るのでしょうか。神田署が毎日新聞には詳しい情報を教えて、産経新聞には簡単な情報しか教えていないということは考えにくいです。

 

 更におかしいのは、産経新聞が「軽傷」と表現したことです。本当に軽傷だったらどんなに良かったかと思いますが、毎日新聞の記事の内容から察するに、これはとても「軽傷」などと言えるものではありません。一時的に意識不明になり、外傷性くも膜下出血を発症した人に「軽傷ですね」と産経新聞の記者の方は言えるのでしょうか?産経新聞にも一応入社試験があって、国語力も考査されるはずですが、どのような試験が行われたのでしょうか。

 

 前の記事でも書きましたが、私の父はくも膜下出血を発症して倒れました。そして、もう40年以上も後遺症に苦しんでいます。個人差があるとは言え、この病気は生命を脅かすような重大なものです。新聞の使命としては、この病名についても触れて、人々にくも膜下出血について関心を持ってもらう、自分たちでも調べたり、気を付けたりして、予防をしてもらうというものがあると思います。

 

 

 この産経新聞の書きぶりでは、真実を伝えているようで伝えていませんし、新聞の使命を忘れています。国民大衆に奉仕しているのではなく、自民党に奉仕しているとしか思えません。事故が如何にも軽いものであったかのように描写することで、少しでも印象を悪いものにしないようにしようとしているかのようです。

 

 私は産経新聞が自民党を応援し、他の政党をくさすのは構わないと思っています。しかし、そのために真実を曲げ、印象操作をするような報道をするのは間違っていると思います。応援しているのなら、悪い時には悪いと批判し、叱正ができるようにすることが本当の支持者ではないでしょうか。これでは「贔屓の引き倒し」で、応援しているようで、実際には自民党をダメにしているようなものです。

 

 そして、このような調子では、「本当に」自民党の機関紙となってしまって、産経新聞は腐れ果ててしまうのだと思います。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「山田美樹氏の運動員、選挙期間中に人身事故」

 

産経新聞電子版 2014年12月27日

http://www.sankei.com/affairs/news/141227/afr1412270015-n1.html

 

  衆院選東京1区で海江田万里民主党前代表(65)を破った自民党の山田美樹氏(40)の男性運動員が、選挙期間中の12日にバイクの男性がからむ人身事故を起こしていたことが27日、警視庁神田署への取材で分かった。

 

 同署によると、事故は12日午後1時半ごろ発生。東京都千代田区神田神保町の交差点近くで、山田氏の街頭演説を支援するため駆けつけた30代の男性運動員が車から降りる際に右ドアを開けたところ、後ろから来た60代の印刷関連会社勤務の男性が運転するバイクと接触した。バイクは転倒し、男性は頭などに全治約2週間の軽傷を負った。

 

 男性が救急車に搬送される際、山田氏は現場から約30メートル先で街頭演説を行っていたという。 

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)









 

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このページのトップヘ