古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

2015年04月



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 安倍晋三首相は現在、アメリカ訪問中です。安倍首相の訪米は2015年4月26日から5月2日まで(日本の大型連休「ゴールデン・ウィーク」の前半)の日程です。詳しい日程は明らかにされていませんでしたが、政治情報分析に定評のあるヴェテラン政治評論家歳川隆雄氏がその詳しい日程を記事にしています。以下をご参照ください。

 

(雑誌記事転載貼り付けはじめ)

 

●「歳川隆雄「ニュースの深層」 これが安倍首相訪米日程の詳細と議会演説「ワーストシナリオ」だ」

 

歳川 隆雄

20150425日(土)

『現代メディア』誌

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43048

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43048?page=2

 

安倍晋三首相は昭恵夫人を伴い、426日から53日まで米国を公式訪問する。訪米日程は公表されていないが、その詳細を掴んだので紹介する。

 

●これが安倍首相の訪米日程詳細

 

426日ボストン:J・Fケネディ図書館をキャロライン・ケネディ駐日大使の案内で訪問。ジョン・ケリー国務長官私邸で晩餐会出席。

 

27日ボストン:ボストン・マラソンのテロ現場にて献花。ハーバード大学でスピーチ、学生との質疑応答。マサチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボ視察(ノーベル賞受賞の利根川進教授が案内)、ワシントンDCへ移動。

 

27日午後ワシントンDC:アーリントン墓地で献花・ホロコースト記念館訪問。

 

28日ワシントンDC:ホワイトハウスで歓迎式典、オバマ大統領と日米首脳会談・共同記者会見、バイデン副大統領、ケリー国務長官との昼食会、オバマ大統領主催の公式晩餐会。

 

29日ワシントンDC:上下両院合同会議で演説。ベイナー下院議長主催のレセプション、有力上院議員との懇談会、笹川平和財団主催のシンポジウム出席・スピーチ、駐米日本大使公邸で日米関係者を招いて夕食会。

 

30日午前ワシントンDC:米科学アカデミー主催の朝食会、サンフランシスコに移動。

 

30日午後サンフランシスコ:米イノベーション企業家ラウンドテーブルとの懇談会、スタンフォード大学ダニエル・オキモト教授主催のシンポジウム出席、シリコンバレー(テスラモーターズなど)視察、グラッドストン研究所訪問(ノーベル賞受賞の山中伸弥教授らと懇談)、ブラウン・カリフォルニア州知事と会談、日米交流に尽力した約100人を招いたレセプション、ロサンゼルスに移動。

 

51日午後ロサンゼルス:日米交流関係者との昼食、日米経済フォーラム出席、在留邦人によるイベント参加、日系人部隊記念碑献花、全米日系人博物館訪問、同行記者団との内政懇談。

 

2日午前ロサンゼルス:交流イベントを検討中、同午後政府専用機で帰国の途へ(帰国は日本時間3日午前)。

 

まず、ファクトから。ワシントンにあるホロコースト記念館は、歴代米大統領が就任してから最初に訪れる場所であり、日本の首相が訪問するのは初めてだ。米国のユダヤ人社会に対する好ましいメッセージとなる。

 

429日米議会演説でのワーストシナリオとは

 

肝心の米議会演説である。安倍首相は英語でスピーチを行う。草稿は、首相のスピーチライターである谷口智彦内閣官房参与が今井尚哉首相秘書官(政務担当)の意見を聞き、準備した。そして安倍首相が朱入れを行ったものだが、未来志向の格調高いモノになったようだ。

 

キーワードは「和解」である。歴史認識問題については、安倍首相の強い意向から「侵略」と「反省」というワーディングは使われるが、「お詫び」という言葉はない。22日のバンドン会議での首相演説と同じ。

 

外務省にとってのワーストシナリオは、チマチョゴリを着た韓国系米国人女性が議会傍聴席から安倍首相演説中にヤジを飛ばして衛視に強制退去されるような事態が出来し、そのシーンをCNNが撮影・放映することである。

 

佐々江賢一郎駐米大使は今、米上下院の要路に対してそのようなことが起こらないよう、特別の配慮を申し入れているが、各上下院議員は“支援者”向けの傍聴パスを1枚持っており、例えば反日・親韓のマイケル・ホンダ下院議員が提供するようであれば、そうした韓国係女性の入館を法的に規制できない。

 

強運の持ち主の安倍首相が演説中の妨害はないだろうと、官邸・外務省関係者は半ば祈るがごとく見守っている。

 

(雑誌記事転載貼り付け終わり)

 

 安倍首相はボストン、ワシントン、ニューヨーク、ロサンゼルスを巡り、帰国する予定になっています。東海岸から西海岸へとアメリカを横断する旅ですが、一点気になったのは、ニューヨークを訪問しないことです。ボストンはアメリカの古都(比べるべくもないですが日本で言えば京都や奈良)ですが、経済や政治の中心とは言えず、歴史と学術の街です。2014年4月にボストン・マラソンで爆弾テロ事件が起き、多くの人々が犠牲になったことは今でも鮮明に記憶されています。それでも「世界」の中心はニューヨークですが、それでも安倍首相訪米はニューヨークではなく、ボストンが選ばれました。

carolinekennedyabeshinzo001
 

 ボストンでは、ジョン・F・ケネディ大統領を記念する博物館を訪問しました。案内は安倍首相に同行して帰国した、ケネディ大統領の長女キャロライン・ケネディ駐日アメリカ大使。その後、ジョン・ケリー国務長官の私邸で夕食会が行われました。ジョン・ケリーの家系はユダヤ教からカトリックに改宗しており、母親はフォーブス家の一族です。また、ケリーはケネディ大統領が上院議員の時に選挙ヴォランティアをするなど、ケネディ家とも若い時から親しい関係にあり、2番目の奥様はケチャップで有名なハインツの未亡人ということで、おカネにも全く不自由していません。

johnkerryabeshinzo001
 

 

 アメリカの政界で言えば、ケネディ家は民主党系の王朝(共和党系の王朝はブッシュ家)であり、ボストンはその都であると言えるでしょう。訪米して真っ先にボストンを訪問したことは、言わば、「臣従」の儀式とも言えるでしょう。しかし、現在のケネディ家にはすぐに大統領になるとか、アメリカ政界や民主党の中心になるような人物はいません。

 

 それでは誰に臣従する儀式かと言うと、ヒラリーに対する臣従です。それなら、彼女が地盤にしているニューヨークに行くべきですが、今、ニューヨークに行ってもヒラリーには会えません。彼女は大統領選挙への出馬を表明して、アイオワ州を回っている最中だからです。そこで、ヒラリーをバックアップすると決めたキャロラインが現在の当主を務めるケネディ家の都ボストンを訪問することになったのだと考えられます。

 

 安倍首相のボストン訪問はケネディ大統領トリビュート・ツアーということになります。ケネディ大統領の博物館を訪問し、キャロライン・ケネディから案内を受け、夜はケネディ大統領が若い時から関係があったケリー国務長官から話を聞き、ケネディ大統領の名前が付けられたハーヴァード大学ケネディ記念行政学・政治学大学院(ケネディスクール、Kスクール)でスピーチをし、学生たちとの質疑応答を行いました。ケネディスクールについては、拙著『ハーヴァード大学の秘密』(PHP研究所、2014年)を是非お読みください。

 

 私は『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所、2012年)で書きましたが、ケネディ大統領は私たち日本人が持つ清新で若々しく素晴らしいイメージとは全く別のせいじかでありました。「強いアメリカ」を標榜し、アメリカによる世界支配を実行しようとしたのはケネディ大統領です。ケネディ大統領の前任者ドワイト・アイゼンハワー大統領とは全く別の路線にアメリカを向けたのです。その一環としてアメリカによる日本官吏が本格化しました。

 

 また、強固な反共政策を実行し、キューバ革命を転覆させようとして失敗したピッグス湾事件、ドミノ理論に基づいた共産主義拡大阻止のためのヴェトナムへの介入、キューバ危機などすべてケネディ大統領時代に起きた出来事です。私は、現在の共和党のネオコン(元々民主党にいた人々が失望して共和党に移った)と民主党の人道主義的介入派の源流はケネディ大統領だと書きました。私は、はつらつとした青年大統領ケネディのイメージは表向きで、彼の実態はそれほど「危険」な人物であったと今は考えています。

 

 安倍首相がケネディ大統領トリビュート・ツアーをボストンで行ったことは、現在のネオコンと人道主義的介入派を満足させたことでしょう。そして、安倍晋三首相は、アメリカの世界戦略において使える人物ということになりました。「強いアメリカ」の維持のために日本を犠牲に供する人物、安倍晋三ということになります。日本がアメリカの下請けとして、経済だけではなく、軍事(人の血)の面でも貢献できるようにしている、より具体的には中国との衝突や自衛隊をアメリカ軍の参加に入れて利用できることへの道を開いたとして評価しているでしょう。それを具体的に示すためのボストン訪問となりました。

 

 しかし、日本にとっては、これから困難な道が待っていることを示しています。

 

(終わり)












 

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 今回は中田安彦著『ネット世論が日本を滅ぼす』(ベスト新書、2015年)『』を皆様にご紹介します。本書は『ジャパン・ハンドラーズ』(日本文芸社、2005年)や『日本再占領』(成甲書房、2011年)の著者・中田安彦(別名:アルルの男・ヒロシ)氏の最新作です。約3年ぶりとなる書下ろしで、2010年代という時代に対する評論になっています。

nakatayasuhiko001


 
中田安彦氏は、アルルの男・ヒロシという別名でも知られ、SNSI・副島隆彦を囲む会の筆頭研究員です。私の大学学部の1年後輩ですが、言論上では大先輩で、頭が上がらない存在です。若手の評論家、「若者の代弁者」などと呼ばれている方々を学識、センス共に圧倒し、日本のXジェネレーション(懐かしい言葉です)を代表する言論人です。

nakatayasuhiko002
 

 

 著者である中田氏は、アメリカ政治学の主流となっている分析的枠組である「合理的選択論(Rational Choice Theory)」を使って、2010年代を斬っています。ネトウヨと呼ばれるインターネット上で右翼的な言説を主張する人々、韓国や中国をけなすだけを目的とする、日常生活に疲れ不平不満を募らせている人々の劣情を誘う煽情的な嫌韓本、嫌中本の出現を鋭く批判しています。「彼らは自分たちの目的を達成するための合理的な行動をとっていない」と。一方、2011年3月11日の東日本大震災とそれに続く、東京電力福島第一原発の事故とそれ以降の原発を巡る動きについて、原発廃止派の行動と言説が、これまた合理的ではない(目的を達成するためのものになっていない)と批判しています。更には、政治の世界で、民主党の政権奪取に貢献した小沢一郎代議士と小澤グループの動きについても批判しています。

nettoyoronganihonwohorobosu001

 

 著者の中田氏は、過激な言説に走りやすいインターネット世論、そして右派、左派の言説に対して、「中道であること」「穏健であること」を標榜しています。そして、この過激に走りやすい世論を「誰が」「どんな利益」のために動かしているのかということを常に考えること、彼一流の表現で言えば、「陰謀論的な考えをしてみる」ことを提案しています。陰謀論が、嫌韓本、嫌中本のように「愛国ポルノ」「エロ本」のようにならないように気を付けねばなりませんが、これはその通りだなと思います。

 

 ネット世論が日本を滅ぼすほどの存在なのかどうか。やはり、インターネットはまだ、「仮想」現実の世界であって、「リアルな世界」の補助的な存在でしかないと思われます。これが逆転するのかどうか、遠い将来のことは分かりませんが、私が生きているうち逆転はないと思います。その補助的なものに振り回されて、ある意味で「奴隷にされてしまう」ことは馬鹿らしいことです。著者の中田氏は自分の身の回りの生活に関心を持つことを訴えていますが、まさにその通りだと思いますし、そのスタートが選挙に行ってみることだと私は考えます。


 インターネットを利用する人は増えています。スマートフォンが普及し、電車の中でも、自転車、自動車の運転中でも、歩行中でもスマートフォンで熱心に何かを読んでおられる方々が増えました。しかし、インターネットで世の中が動いているかというとそうでもなくて、まだまだ既存のマスメディアである新聞や雑誌、テレビの力は大きいです。ネトウヨと呼ばれる人たちが出てきていますが、それでは日本の人口の多くが右傾化しているかと言うと、そんなこともありません。ネットで食べている人はどんな立場の人であれ、「ネットが世の中を動かす」という点では利害が一致するでしょうから、そんなことを言うかもしれませんが、実際はまだまだそんなことはないと思います。しかし、10年後はどうなっているのかと言われたら、だいぶ力を持っているでしょうと申し上げたいと思います。

   

 「中道」が逃げ道になっていないだろうか、ということを私は考えています。「中道」とは具体的には何を示すのでしょうか。この本の中で分析されたネトウヨと呼ばれる人々もまた、自分たちのことを「中道」だと考えていることでしょう。「他の人間や自分の考えに賛成しない人間は偏っているのだ」と思っていることでしょう。また、「自分が少数派や間違っていると思われる考えを持つことが怖い、かっこ悪い」と思う人々が安易に「中道」と言う言葉に逃げていると私は思います。「ウヨクは・・・、サヨクは・・・」と言って自分と考えが違う人間をくさそうとする人がいます。それで「じゃあ、貴方の立ち位置はどこなのですか?」となると「中道」となります。自分の考えの「位置づけ」は他人との比較と距離感の分析によってしか分かりません。そうなったときに、常に「中道」でいられる人がどれほどいるでしょう。そして、常に中道にいることが「正しい」ことであり、「負け組」ではないという「脅迫観念」「恐怖感」から「中道原理主義」に陥り、思索の幅を狭めてしまうのではないかと思います。

 

 私は他人を論破するとか、説得するとか、そういうことに興味がありません。また、そんなことは不可能だと思っています。人がそれぞれ勝手に考えを持ち、それを開陳し合って、「この人の言うことには賛成だ」とか「嫌いだ」と思い、思われるだけでいいんじゃないかと思います。そのためには、様々な考えを発表できるように環境を整えなくてはなりませんし、表現の自由は保障されねばなりません。どんな考えの人がいてもいいし、それを発表すればよいのであって、「あいつの考えは気に入らない、だから発表できなくしてやれ」ということにならなければ良いと思います。

 

 インターネットの出現によって、自分の考えを発表したり、他の人の考えを目にしたり、そういうことがとても簡単にできるようになりました。そこは動物園や展示会のようなもので、いろんな考えを見て回って、好きなものをピックアップできる空間です。自分の考えを発表する、それを好きだと思ってくれる人がいる、自分も他の人の考えで気に入ったものを見つける、それ以上のことをやる必要があるのか、大所高所の「議論」をする場所なのだろうかと私は思っています。個人個人が自分の嗜好と思考を向上させる場所であれば良いと思っています。「中道」であることは、私の考えでは、多様な考えを受け入れ、それが存在することを許容する立場であって、中道であることは実はとても難しいと思っています。

 

 中田氏の本とはだいぶ離れてしまいました。こういったことを考えてしまう、その触媒になるような一冊、『ネット世論が日本を滅ぼす』を皆様にお勧めいたします(中田氏はシャイな人で、なかなか人に本の宣伝などを頼む人ではなく、これも私が勝手に宣伝しています。本だって自腹で買いましたので、自分なりには公平に書いたつもりです)。

 

(終わり)














 

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 古村治彦です。

 

 共和党のある連邦下院議員(軍の出身者です)が不法移民の子供でアメリカで生まれずに出生国から子供の時に親に連れられアメリカに来て、不法移民となっている若者たちに軍務に就いてそれを終了すればアメリカ国籍を与えるという内容の法案を提出しているそうです。

 

 現在、世界最強のアメリカ軍は、実は志願者の一定数を不合格にしているのですが、それは志願者たちが貧困のためにジャンクフードしか食べられず、健康診断をすると肥満であるのに栄養不足であるために兵士として適さないためであると在米の映画評論家・町山智浩氏が述べていました。貧しく、技術もない若者たちが向かう先は軍隊である場合が多いのですが、軍隊にすら入れない若者たちが出ているということなのです。彼らが行きつく先は刑務所というのが悲しい現実です。

 

 米軍とこの議員は不足する志願者を増やすために、不法移民の子供たちに「国籍」をちらつかせて、軍隊へ入るように誘導しようとしています。そして、その表向きの理由を「愛国心」「祖国に奉仕する」ということにしています。まさに美名によって薄汚い意図を糊塗しているのです。

 

 ニューヨークにある自由の女神の像には「疲れて傷ついた人間を私の許に送りなさい」と書いてあるのだと習いました。アメリカは移民の国であり、アメリカの理想を表す1つの表現だとも習いました。しかし、現実はとても悲しいものです。

 

==========

 

共和党提出の法案は軍務と引き換えに移民に国籍を保証することになる(GOP bill would grant immigrants citizenship for military service

 

クリスティナ・マルコス筆

2015年4月23日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/floor-action/house/239926-gop-lawmaker-pushes-offering-citizenship-to-immigrants-in-military

 

 ジェフ・デナム(Jeff Denham、1967年―)連邦下院議員(カリフォルニア州選出、共和党)は木曜日、不法移民が軍務を終了すればアメリカ国民になれるとする法案を再提出した。


jeffdenham001
ジェフ・デナム

 デナムは「エンリスト法」と呼ばれる法案を提出した。ここ2年目で2回目の提出となった。それぞれ別の法案として提出している。そして、国防予算の承認の修正案としても提出したこともあった。

 

 提出法案は2013年の国防予算の承認の修正として提出されたが、議員たちは、これは独立した法案として議論すべきだと主張したのでデナムは取り下げた。共和党の連邦下院幹部たちは2014年にデナム提出の法案の採決をさせなかった。

 

 デナムはヒスパニック系の住民が多く住む選挙区から当選してきている。そして、オバマ大統領が提案している包括的な移民制度改革を支持している数少ない共和党所属の連邦議員である。デナムは、アメリカで育った正式の種類を持たない移民たちには軍務を通じて、彼らの育った国アメリカに奉仕する機会を与えるべきだと主張した。

 

デナムは議場で次のように語った。「エンリスト法案は、自分たちの意志ではなくこの国に連れてこられ、高校を卒業し、身上調査を通過し、英語を話すことができ、若者たちに機会を与えることになるのです。そして、彼らがよく知り、愛する国アメリカを守ることを軍には求められているのです」

 

デナムは次のように結論付けた。「これは愛国主義に基づいた行動です。これはより良い国防を生み出す機会となりますし、この偉大な国家に対して忠誠を誓い、愛国者となっている若者たちにとっても素晴らしい機会となるのです。彼らにはアメリカ以外に祖国はないのです」。

 

 連邦下院軍事委員会は水曜日に国防予算について承認を与えることになっている。そして、デナム提出の法案の本会議での審議は5月に行われる予定となっている。

 

(終わり)










 

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 2015年4月25日に副島隆彦先生の最新刊『「熱狂なき株高」で踊らされる日本』(徳間書店、2015年)が発売されます。待望の経済に関する新刊です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

nekkyounakikbudakadeodorasarerunihon002
 

 

 また、2015年5月31日(日)に副島隆彦を囲む会主催の講演会が開催されます。こちらもどうぞよろしくお願い申し上げます。

  

※講演会の申し込みはこちらからどうぞ。


==========

 

「熱狂なき株高」で踊らされる日本──目次

 

まえがき─3

 

1    金と現金以外は信用するな!

 

国家が相場操縦して株価を吊り上げる動きは止まらない─12

金投資は初めての人は今すぐ買いなさい。もう買っている人はまだ待ちなさい─17

 

2    国家は株も土地も吊り上げる

今年1年は政府主導の強気の相場が続く─26

日本政府が「5頭のクジラ」を使って株の爆買いを始めた─28

株を買うのはGPIFだけではない─37

台湾人が日本の不動産を爆買いしているが、2020年までには売り払う─50

戦争の危機が迫る日本で東京オリンピックの中止もありうる─54

日本の不動産で値段が上がっているのは「3A1R」だけだ─58

富裕層が資産の再評価をやっている─62

政治と経済は貸借を取り合って、バランスする─66

日経平均株価は2万2000円まではいくだろう─72

 

3    世界から金利がなくなった

アメリカは金利を上げると一気に逆回転するから上げられない─84

黒田日銀総裁が「国債暴落」の不規則発言をした─87

世界中の金利が低下する異常事態になっている─93

ユーロはデフレに陥って衰退に向かう─104

アメリカの金融・財政は舵取り能力を失っている─108

ドル円の相場は120円がしばらく続く─112

NY金は1200ドルが抵抗線である─114

中国が金の値決めに参加することが決まった─116

イギリスが中国と組むと決めた─126

AIIB(アジアインフラ投資銀行)は大きな世界覇権移行の始まりだ─131

 

4    日本はますます貧乏国家にさせられる

名だたるヘッジファンドがどんどん潰れている─154

売り仕掛けのヘッジファンドが次々に潰れ、日本から撤退を始めた─155

1億円の投資信託が9割方まで回復している─161

またしても日本の米国債買いが始まった─166

コーポレートガバナンス・コードで日本企業の内部留保を吐き出させる─170

社外取締役に入る会計士たちが企業財務を丸裸にする─174

ROEを高くさせて日本企業のキャッシュを流出させる─176

ゴールドマンのキャシー松井がROEを言い出した─177

日本奪い取りの第三段階までもう来ている─181

日本はマイナス成長の衰退国家にさせられている─184

今の円安は日本の通貨の暴落だとなぜ言わないのか─188

 

5    経済学はケインズに戻らなければならない

日本の経済政策の最高指導者はGPIFを牛耳る伊藤隆敏だ─192

インフレ・ターゲット論は方程式を逆転させる論理でできている─201

アメリカの意思に沿う政策理論をやりながらその自覚がない─218

通貨量と株価上昇だけで市場がコントロールできるのか─220

今こそケインズ、ヴォルテールに学ぶべきだ─222

古典派とケインジアンの戦いが今も続いている─229

合理的期待学派は狂信者たちである─234

現金や金を信じることをケインズから学んだ─241

「情報の非対称性」とは、始めから結果を知っている人間がいるということ─252

銀行の不良債権問題に蓋をし続けていることが致命傷になる─254

本当は、金融市場でクラウディング・アウトが起きている─260

 

6    ピケティの『21世紀の資本』はアパート経営の話だった

収入の20倍が資産価格になるという「副島隆彦の法則」─264

ピケティの資本主義の第一基本法則からあらゆる経済問題が解ける─281

経済学は数学と物理学から発生した学問である─285

「資産は所得(年収)の6倍だ」と言い切ったところがピケティのすごさ─295

労働所得と資本所得は7対3で決まっている─298

ピケティが結論で提案している富裕層課税は間違っている─304

 

 

あとがき─308

巻末付録 吊り上げ相場の注目株32銘柄─311

 

 

 

あとがき

 

 この本を書き上げる段になって、私はようやくはっきり分かった。

 

 アベノミクス(安倍首相の経済政策)というのは、株バブル(および国債バブル)と土地バブルの両方を起こすことだ。この資産バブルを人為的に作って、無理やりでも国民心理にインフレ期待の人工の波を起こして、人々がどんどん消費して贅沢品を買うように仕向ける。そうすることで、景気回復を達成するという計画である。すべてはアメリカの指図、命令のままに行われている。

 

 こんな当り前のことを私は今頃、遅れて分かった。だがここに到達するまでに私は激しく辛吟した。

 

 資産バブルが全国(いや世界中)に波及し、景気(経済)は必ず回復すると狂信して、政府自ら株の吊り上げと都心の土地の値段(地価)の吊り上げに狂奔している。

 

 しかし「2%のインフレ(にする)目標」は丸2年たったが達成しなかった。責任者たちの責任が問われている。

 

 私は、この本でアベ(ABE)ノミクス(Asset Bubble Economy)を創作して日本に押しつけたアメリカの経済学の理論家たちのおかしさを追跡してなんとか解明できた。

 

 それは、小室直樹先生の遺作となった4冊の経済学の本を、本気で読み直したからである。先生は大事なことをすべて書き遺してくれていた。先生の霊が私を導いた(第5章)。

 

 今の安倍政権の金融政策の何が間違っているかを、この本で大きく解明することができた。私の方も土壇場まで追いつめられたが、なんとか大きな謎解きをすることができた、と思っている。

 

 評判を取ったトマ(ス)・ピケティの大著『21世紀の資本(論)』からも私は巨大な真実を学んだ(第6章)。やはりこの本は大変な本である。ピケティ本は、今や幻想と虚栄の神殿と化したアメリカ経済学を根底から掘り崩す核爆弾級の破壊力を持つ本である。おそらく日本では、今のところ私だけがこのことに気づいている。今はもう多くは書けない。一点だけ書く。

 

 ストック(資産)とフロー(所得)において、フロー面(消費者物価、インフレ率、GDPギャップ、失業率などの指標)ばかりに囚われてきたアメリカ経済学界のオカシさを、フランス人のピケティは、正しく大きくストック面(土地住宅価格。即ち不動産資本)の重要性からはっきりとつかみ出した。おそらくピケティ本からの根源的攻撃を受けてアメリカ理論経済学は自滅に向かうだろう。それはアメリカ帝国の崩壊と軌を一にするものだ。

 

 この本を書くに当たって、共に難行苦行と言うか、延々と果てしなく議論してくれた徳間書店の力石幸一編集委員に深くお礼を申し上げる。

 

2015年4月

 

副島隆彦 

(終わり)










 

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 アメリカ大統領選挙は民主、共和両党で有力候補者たちの予備選への出馬表明が次々と行われています。共和党ではテッド・クルーズ、ランド・ポール、マルコ・ルビオの3名の若手連邦上院議員が立候補を表明しました。民主党では最有力候補ヒラリー・クリントン前国務長官が立候補を表明しました。


randpaul005
ランド・ポール
 

 外交政策に関して言うと、ランド・ポール議員が総攻撃に遭っています。彼はリバータリアンとして、外国に対する不介入を訴えていますが、それが共和党内部からも激しい批判に晒されています。共和党内部のネオコンと民主党の人道主義的介入派から見れば、ランド・ポールの不介入路線は最も許しがたい主張です。

 

 しかし、アメリカ国民と外国にとっては最も望ましい路線です。ランド・ポールは共和党の予備選で苦戦することになるでしょうが、舌戦を展開し、「介入主義(interventionism)」の間違いと危うさを訴え続けて欲しいと思います。

 

==========

 

ランド・ポール:グラハムとマケインはオバマにとっての「外交政策に関して愛玩犬だ」と発言(Paul: Graham and McCain are Obama’s ‘lapdogs’ on foreign policy

 

ジョナサン・イースリー(Jonathan Easley)筆

2015年4月21日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/239645-paul-graham-and-mccain-are-obamas-lapdogs-on-foreign-policy

 

 ケンタッキー州選出連邦上院議員ランド・ポール(共和党)は火曜日、彼自身と共和党内の外交政策に関してタカ派に属する政治家たちとの間の舌戦をヒートアップさせた。サウスカロライナ州選出連邦上院議員リンゼイ・グラハム(共和党)とアリゾナ州選出連邦上院議員ジョン・マケイン(共和党)をまとめてオバマ大統領の国家安全保障政策に関して「大統領の愛玩犬(lapdog)」と呼んだのだ。


lindseygraham001
リンゼイ・グラハム

johnmccain001
ジョン・マケイン

 

 テレビ局フォックス・ニュースとのインタビューの中で、ポール議員はグラハム議員とマケイン議員からの批判に対してどの反応するかと質問された。グラハム議員とマケイン議員はここ数日、ランド・ポールの外国に対する不介入という考えは国家安全保障にとっての大きな脅威となると批判していた。

 

ポール議員は「こうした批判は過去20年間にわたって全ての政策に関して誤りを犯した人々からなされたものです」と発言した。

 

 ポール議員は続けて次のように発言した。「私だけがリビアでの戦争は間違っているとはっきりと主張しました。シリアのアサド政権に対して空爆を行うことはイスラム国の力を強めるだけだと主張しました。シリアの反アサド勢力に対して武器を供与することはイスラム国を強化することにしかならないと主張しました。私だけですよ。私だけがオバマ大統領とオバマ大統領の愛玩犬になってしまった人々に対して反対を唱えたのです。彼らはこのことについて恥じていると私は思います」

 

 ポール議員は、共和党の一部から彼の不介入という考えについて懐疑を持たれている。共和党タカ派はポール議員を「孤立主義者(アイソレーショニスト、isolationist)」と呼び、彼の考えは国家安全保障に対して脅威となると批判している。

 

 グラハム議員は外交政策を第一にして大統領選挙について考えを述べているのだが、彼はポール議員に対する最大の批判者となっている。

 

グラハム議員は月曜日に、MSNBCに登場し、ポール議員は外交政策について「全く間違った考えを持っている」と発言し、国家安全保障についてオバマ大統領や民主党の大統領予備選挙出馬を表明したヒラリー・クリントン前国務長官よりも軟弱な姿勢を取っていると批判した。

 

ポール議員は火曜日に「私をますます声高に批判する人々はオバマ大統領の外交政策の賛同者なのです。彼らはオバマ大統領の外交政策路線を10倍の規模に増幅して行いたいと思っているだけなのです」と発言した。

 

 ポール議員はロナルド・レーガン元大統領のように「強さを通じて平和を確保する(peace through strength)」するという考えを持っていると主張した。

 

 ポール議員は次のように発言した。「私は介入が必ずしも常に正しい答えだとは考えていません。介入によって全く予期しなかった結果が出ることもこれまで度々ありました。彼らの主張する外交政策は全く的外れです。また、混乱し、無秩序でもあります。私はこれまで全ての戦争に関わりたいと望んできた人々に行動を有権者が再調査し、再認識する必要があると思います」

 

 外交政策は共和党の大統領選挙予備選がスタートしたばかりのこの時期において最も批判の応酬が行われている分野である。共和党タカ派は中東の大混乱を受けて勢いを増している。イラクとシリアにおいてイスラム国の脅威が増大し、オバマ大統領は核開発プログラムに関してイランと交渉を行っている。これらに関して共和党タカ派は批判を強めている。

 

(終わり)









 

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このページのトップヘ