古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

2015年05月



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23



 古村治彦です。

 

 今回は、2015年5月27日に発売となりました『崩れゆく世界 生き延びる知恵 国家と権力のウソに騙されない21世紀の読み解き方』(副島隆彦・佐藤優著、日本文芸社、2015年)を読みましたので、感想などを書きたいと思います。

 
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 このブログでも目次などは既にご紹介しました。著者2人が話している内容は多岐にわたります。安倍政権、イスラム国、ロシア、アメリカ、ピケティの『新・資本論』などについてです。読者は自分が興味や関心を持つ部分から読んでも良いかと思います。そこには、時間と空間を自由に行き来できる知識人が提供する極上の「世界の見方」が溢れています。

 

 私は本書の特徴を「アナロジー(analogy、類推)」だと考えます。このことは、佐藤優氏が前書きで書いています。アナロジーというのは、あることを理解するために、過去に起きた、似たようなことと比較することです。私が勉強した国際関係論(International Relations)でも良く使われる手法です。国際関係論の有名なアナロジーとしては「朝鮮戦争とヴェトナム戦争のアナロジー」というものがあります。

 

 しかし、このアナロジーはあることを理解しやすくしてくれる面はあるのですが、中途半端なアナロジーをすると害があるというマイナスもあります。私がアメリカ留学中に、アメリカのイラク侵攻がありました。この時、威勢の良い右翼系、ネオコン系メディアは、「この戦争はうまくいく、イラクは1945年以降の日本のようになるのだ。日本のようにアメリカと敵対していた非民主国家が民主国家となるのだ」と喧伝していました。しかし、実際にはうまくいきませんでした。

 

 このアナロジーを使いこなすためには多くの知識と要点や重要な要素を掴む眼力が必要です。これは生半の修行では身につきません。中途半端にやると怪我をする、俗諺に「生兵法は怪我のもと」とありますが、まさにそうなってしまうのです。

 

 著者2人の日本の戦後の過激な学生運動の知識、そこから生み出されたのが「イスラム国は過激派、特に革マル派のようなものだ」というアナロジーは驚かされるばかりの破壊力(人に一瞬にして理解させる力)を持ちます。

 

 この本のサブタイトルは「国家と権力のウソに騙されない21世紀の読み解き方」です。私は、読者がアナロジーの力を手に入れ、「待てよ、今政府がやろうとしていることは昔のあれと同じじゃないか」「今の状況はあの時とよく似ている」と考えることがこのサブタイトルの答えではないかと思います。このようにアナロジーを使って考えれば、「次に来ること」の見当が付けやすくなります。それが完全に当たらなくても、「身構え、準備する」ことが出来るだけも違います。

 

 この本をぜひ多くの方々にお読みいただきたいと思います。

 

※2015年5月31日に開催される副島隆彦を囲む会主催の講演会「副島隆彦が、今の重要な事を洗いざらい語ります」の会場でも本書『崩れゆく世界 生き延びる知恵』が発売される予定です。

 

※講演会の申し込みは、こちらからどうぞ。

 

(終わり)








 
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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 少し古い話題となりますが、安倍首相の訪米に関する記事をご紹介します。著者はヘリテージ財団のブルース・クリングナーとブルッキングス研究所のミレヤ・ソレスです。それぞれ共和党系、民主党系で、専門が安全保障・軍事と経済ですので、記事の内容もそれぞれの特徴を反映したものになっています。

 

==========

 

安倍晋三首相の訪米は綱渡り(Shinzo Abe’s High-Wire U.S. Visit

 

ブルース・クリングナー筆

2015年4月30日

ヘリテージ財団

http://www.heritage.org/research/commentary/2015/4/shinzo-abes-high-wire-us-visit

 

2015年4月29日、新たな歴史が作られるだろう。日本の指導者が初めてアメリカ連邦上下両院合同の場で演説を行うのだ。アジアにおけるアメリカにとっての重要な同盟国に対するこのような厚遇は長い年月を要してようやく実現した。日本は戦争による破壊から不死鳥のように立ち上がった。このことは日本の政治家と国民にとって安倍首相の訪米と議会演説はその復興を実感する出来事となる。日本は活気ある民主制国家となり、世界第3位の経済規模を誇るまでになった。しかし、安倍首相訪米の興奮の裏で、安倍首相は現在もまだ論争が続いている歴史を巡る諸問題にどの程度うまく対処できるかという懸念も存在する。

 

 安倍首相は議会演説においてよって立つ事実の基盤が存在する。これまでの70年間、日本は責任ある国家の代表例のような存在であった。20世紀に巨大な破壊をもたらした暴力的な軍国主義を避けるために、日本政府は受け身的な外交政策と安全保障政策を採ってきた。日米二国間の同盟は、平和と安定というアジアにおけるアメリカの国益の基盤となってきた。しかし、日本は国防に関してアメリカにより深く依存してきた。

 

 アメリカ政府は長年にわたり日本政府に対して、自国の防衛に関してより大きな役割を果たし、地域や世界の安全保障の懸念に関してより積極的になるように主張してきた。安倍首相は、長年にわたり実行すると約束されてきた日本の安全保障の姿勢に対する見直しを実行することで日本の国全体としての不活発さを乗り越えてきた。

 

 実際のところ、安倍首相の訪米に合わせて、1997年以来初めての同盟ガイドラインの見直しも発表される予定になっている。この見直しの基盤となっているのは、日本がこれまで積み重ねてきた良い行動と日本が安全保障に関する能力を改善されていることだ。

 

 1つの重要な主張は、日本が「集団的自衛権」の実行がある。これは、日本を防衛している、もしくは国連の平和維持活動に関与している諸国の防衛を援助できる能力のことである。アメリカはこうした変化を歓迎している。日本の防衛を担うパートナーであるアメリカとより緊密に動くことが出来る能力を日本が獲得することは、日米両国とアジア太平洋地域にとって利益となる。

 

 しかしながら、日本はトラブルの多い過去を抱えている。近隣諸国は日本の自衛隊のいかなる変化に対しても懸念を持つ。日本政府とアメリカ政府は、アメリカとの同盟に基盤を持ち、日本に駐留する米軍との協調による日本の安全保障上の変化が地域にとって脅威となるものではないということを説明してきた。歴史に根を持つ多くの誤解を解くためにも、より広範な広報外交が必要だ。

 

 演説はアメリカの連邦議員たちに向けて行われるが、聴衆はかなり多いだろう。日本の近隣諸国は注意深く聞くことだろう。従って、安倍首相は近隣諸国の疑念と敵意を緩和する必要がある。彼らは日本が「逆戻りしている」と考えている。彼らは日本が戦時中の行為に対して十分な保証を行っていないと考えている。日本と中韓との緊張関係は堂々巡りであって、時には敵対関係が燃え上がる時期もこれまであったが、最近の状況は悪化してばかりである。

 

 安倍首相の「真の意図」について様々な疑問が出ている。安倍首相は歴代政権が発表してきた日本の戦時中の侵略と女性たちに性的な奴隷労働を強制したこと(婉曲的に「慰安婦」と表現される)を反省する声明を承認している。しかし、安倍首相と政治家たちは、これらの声明の基礎となった証拠に関して疑念を表明している。

 

 しかし、安倍首相はアメリカのお膳立ての中でこれらの問題について言及することはないだろう。そうなのだ。アメリカで彼の演説を聞く人々は過去を認めることを歓迎し、二国間同盟とアメリカが行う日本の防衛を賞賛するだろう。 アメリカ国民は、安倍首相自身が生まれる前に日本が行ったことに関して更なる謝罪を期待しないだろう。実際のところ、彼が更なる謝罪をすることで古い傷を再び開いてしまうことになると見られるだろう。

 

 しかし、日本の近隣諸国、特に韓国と中国は、安倍首相が過去についての修正主義的な考えを反映して訪米中に日中、日韓それぞれの抱える歴史問題に言及しないだろうと考えている。このような解釈は継続中の地域内の緊張を増すだろうし、アメリカの安全保障上の国益を複雑化させるだろう。安倍首相はきわどい状況に直面している。彼の演説は、彼が言ったことと言わなかったことに切り分けられ、詳しく分析されることだろう。

 

 安倍首相は演説の中で戦後70年の日本の積み上げてきた歴史と将来の安全保障上起きるであろう諸問題に対してより大きな役割を担うという日本の意志を強調するであろう。これは適切なことである。しかし、安倍首相はこの機会を捉えて、過去に対する日本の償いを肯定するようにもすべきだ。

 

 安倍首相は、日本の近隣諸国との和解と日本の世界における役割の拡大を望むならば、村山談話や河野談話からのいくつかキーワードを演説の中に含めるべきだ。昨年7月、安倍首相はオーストラリア議会で演説を行った。これがアメリカ連邦議会での演説のモデルとなる。キャンベラの議事堂において、安倍首相は第二次世界大戦中のオーストラリアにとっての痛みを伴う出来事について言及したが、これは賞賛を受け、日豪関係を更に強化することになった。

 

 アメリカは、北東アジアの重要な諸同盟国間の懸念についてうまくバランスを取ろうとしてジレンマに陥っている。昨年のアジア歴訪の旅の中で、バラク・オバマ大統領は日本の戦時中の女性に対する強制的な性的奴隷労働(婉曲的に慰安婦と呼ばれる)を厳しく非難し、アメリカ政府はこれまで日本に対して過去に対する償いを行うように主張してきた。にもかかわらず、韓国のマスコミの中には、アメリカ政府が「日本政府の歴史についての考えを認めている」と糾弾している。

 

 ひとたびは激しい敵意を持つ敵同士であった日本とアメリカの和解は、より困難なそして苦痛の多い違いをつなぐことが出来る希望に満ちた具体例となる。さあ、日本の安倍晋三首相は議会演説を使って過去について語り、将来の協調に関する考えを明らかにすることに期待を持って待とう。

 

(終わり)

 

=====

 

安倍・オバマ会談:真に世界的な日米同盟を目指して(Abe-Obama summit: The search for a truly global U.S.-Japanese alliance

 

ミレヤ・ソレス筆

2015年4月27日

ブルッキングス研究所

http://www.brookings.edu/blogs/order-from-chaos/posts/2015/04/27-obama-abe-summit-solis

 

 日米首脳会談に関して言うと、今週の安倍晋三首相のワシントン公式訪問はここ最近の日米関係の歴史の中で最も重大な出来事の1つとなるだろう。安全保障、貿易、歴史に関する和解の分野における実質的なまた象徴的な首脳会談が行われることになる。日米両国は、2つの重要な柱、新防衛ガイドラインと環太平洋経済協力協定(TPP)を通じてのより緊密な経済統合を拡大することで日米同盟を深化させようとしている。より広範に言えば、日米両国は地政学の復活に合わせて、そして国際的な経済システムの風景の変化と気候変動のような国境を越えた挑戦に対処するために、日米同盟を国際化する責任を共有している。

 

 安全保障の面で言えば、安倍首相の訪米に合わせて、作られて以降18年経つが初めて、防衛ガイドラインの見直しが行われる。力の均衡の変化、サイバー上の安全保障のような新しい脅威、日本の安全が脅威に晒されている場合に攻撃を受けている同盟国を助けるための集団的自衛権行使に関する最近の再解釈といった要素が見直しにおいて考慮される。その目的は、日米両国の軍隊がより深い共同運用性を持つことで完全に一致した防衛協力ができるように促進することであり、日本が近隣地域やそれ以外の地域で兵站部分での支援ができる機会を拡大することである。

 

 経済の面で言えば、日米両国は貿易に関するほとんどの障壁を排除することでこれまでにない協力関係の構築を目指している。日米両国の間には二国間の自由貿易協定は存在しない。また、世界で最も活発な経済活動が行われている地域をカヴァーする貿易と投資に関する最新のルールを、更に10カ国を加えて構築することで協力関係を構築しようとしている。その究極的な目標は1980年代の「貿易摩擦」時代に定義された市場アクセスに関して「市場を守らねばならない」とする防衛的な懸念を解消し、より重要なプロジェクトを日米共通で行うことである。そのプロジェクトとは、アジア太平洋地域にとっての野心的な枠組みの創設と経済統合である。

 

 歴史についての和解の面で言えば、第二次世界大戦終結70周年をもうすぐ迎えるこの時期にアメリカ連邦上下両院合同の場で日本の指導者が歴史上初めて演説を行うことになった。演説では、日米両国の関係が憎しみ合う敵から緊密な同盟者へと大きな転換を遂げたことに言及するものと予想される。しかし、戦時中のアジアにおける日本の行為に対する言及は日本の責任感と反省を再確認することになり、それをアメリカ国内と海外の聴衆が認識するだろう。また、日本の積極的平和主義政策にとっての利益となるだろう。

 

今回の日米首脳会談はより深化した日米パートナーシップを構築するために重要だ。日米同盟は、世界情勢が流動的で、伝統的な地政学では間に合わず、国際的な経済統治において機構的な革新が必要な時代に国際的な課題を解決できるようにならねばならない。日米首脳会談によってより重要な進展が生み出されることになるだろう。

 

 そこにはただ1つの問題が存在する。

 

 今回の日米首脳会談がある重要な問題について議論しない可能性が高い。それは、TPPの成功にとって不可欠な日米両国間の市場アクセス交渉について決定的な打開である。これまで、TPP交渉に関しては連邦議会の動きの悪さがネックになっているように思われてきた。しかし、先週、連邦議会が貿易権限促進法(TPA)の可決に向けて大きく前進したが、アメリカと日本の交渉担当者たちは、もっと交渉時間が必要だと述べた。交渉を終え、TPPを妥結するためには、安倍・オバマ会談の後も一定の時間が必要だと述べた。しかし、時間はいくらあっても足りない。TPPの成功はアメリカ大統領選挙の日程に競い合うかのようになっている。

 

 このシナリオは、両国が克服しようとして来たこれまでのパターンを強化するという不幸な結果を生み出す危険がある。アメリカと日本両国は貿易に関する合意を行うよりも防衛協力を強化することの方が楽だということを認識してきた。米と自動車に関するいつも起きる疑念はより深化した経済協力の可能性を狭めてしまう。

 

 このような結果によって、日米両国が、中国の台頭についてより効果的に対処できるようにするための国際的な経済マネイジメントを行うための国際的な同盟を作り上げることが出来ないということになるだろう。アジア投資インフラ銀行(AIIB)が失敗した後、アメリカの海外経済戦略は再出発にとって必要になる。そこには2つの弱点があると指摘されている。1つは国内の機能不全(連邦議会はIMFの統治システム改革を諦め、TPA法案についても動きが遅い。これらがその具体例だ)、もう1つは中国の守勢である。

 

 成功の第一歩目として、メッセージを変える必要がある。オバマ大統領の「もし私たちが貿易に関するルールを書かねば、中国が書くだろう」からTPPは重要なのだ、という発言はよく引用される。この発言内容は正しい。しかし、不完全だ。私たちはTPPの価値を評価に関して本当のことをもっと大きな声で訴える必要がある。TPPは中国やその他のAIPAC加盟諸国を参加させる排他的ではない貿易制度となるとまず公に約束している。また、TPPの締結によって、他の巨大な貿易合意も促進されるだろう。これによって競争を維持するためにより高質のルールが設定されることになる。日本はこうした制度の城の利益を共有しているし、TPPが失敗すればその損失はより大きなものとなる。アメリカにとって皮肉なことは、経済力を刷新せねばならない時期にその指導力に疑問符がついていることだ。日本にとってTPPへの挑戦はより根源的な問題を抱えている。日本経済の復活はTPPの未来とつながっていると見られているからだ。

 

 冷戦後の世界の効果的な国際的な経済戦略にとってアメリカと日本の存在は必要不可欠なものとなるだろう。両国の存在によって、多くの国々がシステムに参加できるようになるし、と様々な面で最高のシステムの構築を促進することができるだろう。そのためには、再出発が必要であり、そのためにはTPPが成功しなければならない。私たちが必要としているのは、簡潔なそして力強い両国の指導者からの声明だ。その声明では「日米両国は貿易に関する両国の違いを既に乗り越えつつある」と発表すべきだ。日米首脳会談の間にそのような声明が出されないとすると、首脳会談はよく言って部分的な成功しか収めなかったということになるだろう。

 

(終わり)









 
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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 2015年5月27日に『崩れゆく世界 生き延びる知恵』(副島隆彦・佐藤優著、日本文芸社、22015年)が発売されます。宜しくお願い申し上げます。


kuzureyukusekaiikinobiruchie001



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『崩れゆく世界 生き延びる知恵』 もくじ

はじめに 激変する国際秩序の構造 佐藤優 1


第1章

安倍〝暴走〟内閣で窮地に立つ日本

反知性主義で突き進む独裁政権の正体

官邸主導で暴走する安倍政権の危うさ 18

小沢一郎勢力はボロボロに崩されて日本は翼賛体制へ 18

自民党の選挙コピーは全体主義国のスローガン 21

アメリカは安倍政権をヘンな右翼集団と見抜いている 22

2014年〝突然選挙〟の黒幕は米財務長官 25

竹中平蔵が中小企業100万社を潰す 27

円安を喜び、ルーブル安を危惧する日本人の愚かさ 31

アベノミクスは反知性主義が生んだ現代の錬金術 34

官僚の課長クラスの人事も握る内閣人事局の恐ろしさ 36

「戦後レジームからの脱却」で日本はどこに行くのか 39

普通の民主主義国とは波長が合わない安倍政権 42

日本とイスラエルが軍事面で技術提携をする 43

戦争に突き進んでいく安倍政権 47

日本に安保法制の改正をやらせるアメリカ 47

「行動する保守」の排外主義的言説を放置するな 50

尖閣諸島問題で日本は世界秩序をかく乱させている 52

国連は国際的強制執行活動の機関だから怖い 57

もうすぐ尖閣諸島で軍事衝突が起きる 60

日本を中国とぶつけさせたいアメリカの計略 63

安倍独裁政権に歯止めをかけられるか 68

創価学会・公明党という中道勢力の重要性 68

安倍政権はまるで「ウンコ座りの暴走族」 70

民主党勢力もアメリカに操られて小沢一郎を潰した 73

安倍晋三の頭の悪さに官僚もやる気をなくしている 77


第2章

世界革命を目指すイスラム国の脅威

勃発するテロリズムとアンチセミティズム

イスラム国の実態と世界イスラム革命 82

イスラム国の目的は日本とヨルダンの分断にあった 82

日本は、なし崩し的に戦争に参加している 87

「グローバル・ジハード」論を展開するイスラム国の恐ろしさ 89

イスラム原理主義勢力と内ゲバを繰り返すイスラム国 94

アルカイーダは国際義勇軍で、イスラム国は傭兵部隊 100

イスラム国は千年王国になり得る 105

激突する西側社会とイスラム圏の背後にあるもの 107

インターネットでつながる21世紀型コミンテルンの恐怖 107

ヨーロッパで湧き起こるアラブ人への排斥感情・アンチセミティズム 111

反移民の右翼政党がイギリスで支持されている 114

日本人のイスラム研究は大川周明が出発点 118

メディアに跋扈するイスラム研究者の裏側 120

極秘情報を日本に発信しているイランラジオ 122

イラン人はあきらかに帝国主義的な発想を持っている 125


第3章

ウクライナ政変で見えてきた世界大戦の予兆

大国ロシアと回廊国家ウクライナの命運

日本人が知らないウクライナ政変の真実 130

政権を転覆させたウクライナの裏の歴史観 130

ナチスドイツに協力したウクライナ人たち 133

東ウクライナと西ウクライナの違い 136

ネオナチ政権を操るアメリカの女性高官 140

休暇を取ってクリミア半島に入ったロシア特殊部隊 143

ロシアのクリミア併合はあきらかに国際法違反 146

クリミア・ハン国はチンギスカーンの末裔の国 147

クリミア半島はセックスリゾート地だった 149

ロシアを抑え込む寝業師プーチンの実力 154

ロシア国民を団結させたプーチンの宣言 154

1990年代にショック・ドクトリンを仕掛けられたロシア 158

オリガルヒは殺し合いでのし上がった 160

今はプーチンには逆らえないオリガルヒたち 162

ショック・ドクトリンで敗北主義が生まれる 166

プーチンを支える政治思想は新ユーラシア主義 169

回廊国家ウクライナは、これからどうなるか 172

ナチスドイツの再評価がウクライナで始まっている 172

日本もやがてウクライナと同じ道をたどるだろう 173


第4章

オバマとヒラリーの激闘から読む世界の明暗

アメリカの思想対立でわかる国際情勢の明日

ヒラリー・クリントンが次の大統領になる 178

アメリカ政界の4つのマトリックス 178

黒人の次は女性が大統領になる路線ができている 183

オバマ政権とキューバ・イラン・北朝鮮問題 189

移民問題からまず手を付けたハト派のオバマ 189

アメリカは1977年から実質的にキューバと国交回復している 194

イランの核交渉再開で北朝鮮が孤立しはじめた 196

今も北朝鮮と裏で交渉しているオバマ政権 200

安倍政権の制裁解除で進む北朝鮮の弾道ミサイル開発 202

安倍訪朝を許さなかったオバマ政権 204

ロックフェラー家の跡継ぎはビル・クリントン 207

今のアメリカ政界を動かす政治思想 212

エドワード・スノーデンとリバータリアン思想 212

2016年の大統領候補者を目指すランド・ポール 215

ファーガソンの黒人暴動を抑え込んだアル・シャープトン牧師 218

ネオコン思想の創始者ズビグネフ・ブレジンスキー 221

ネオコンに影響を与えたハンナ・アーレント 223

アイヒマンと取引したユダヤ人たち 226

思想劣化した第4世代ネオコン 228

イスラエルの利権代表のヒラリーは隠れユダヤ人 230

戦争はアメリカの公共〝破壊〟事業である 233


第5章

行き詰まる日本経済─余剰の時代の生き延び方

ピケティ、マルクス、ケインズの思想と倒錯する経済政策

ピケティの『21世紀の資本』の思想を読み解く 236

ピケティ理論の結論は国家統制強化に行きつく 236

「マルクスの基本定理」は有効なのか 240

資本家と労働者との力の均衡点 243

課税による富の再分配は「大審問官の世界」 246

資本の過剰とケインズ経済学 249

ジャン=ジャック・ルソーとファシズムの論理 249

トリクルダウンなくして資本主義の発展はあり得ない 253

2つの世界大戦が格差を縮小させた 256

最後は若者たちが余剰となって捨てられる 259

マネタリストと合理的予測派の倒錯 262

「A=BはB=Aになる」という大ウソ 262

伊藤隆敏がインフレ・ターゲット理論の日本代表 265

金融財政政策だけでは問題は解決しない 268

ケインズを裏切ったケインジアンたち 270

フリードマンにまだしがみついている日本の経済政策 273

もはや市場原理主義など通用しない 275

不況時は次の需要が起きるまで放っておくしかない 277

現代のサラリーマンたちはほとんど五公五民になっている 280


おわりに 反知性主義に陥る日本に怒る 副島隆彦 
283

15年4月 副島隆彦


=====

はじめに──激変する国際秩序の構造
 

 2015年に入って、国際秩序の構造が急速に変化している。


 まず、指摘できるのが1月7日、フランスで起きた連続テロ事件だ。これは今までのテロ事件とは位相を異にする。イスラム教スンニ派系過激派「イスラム国」(IS)が、全世界に対して、世界イスラム革命の開始を宣言したのだ。


 この人たちは、アッラー(神)は、1つなので、それに対応して、地上においても唯一のシャリーア(イスラム法)が適用される単一のカリフ帝国が建設されるべきであるとする。この目的を実現するためには、暴力やテロに訴えることも躊躇しない。


 歴史は反復する。しかし、まったく同じ形で繰り返されることはない。


 こういうときに重要なのは、アナロジー(
analogy、類比)を適用することだ。アナロジーとは、論理(logos)に即して物事を考察するということだ。


 約100年前にもイスラム国によく似た運動があった。国際共産主義運動だ。


 1917年
11月(露暦10月)にロシアで社会主義革命が起きた。この革命は、マルクス主義に基づいてなされた。


 マルクスは、「プロレタリアート(労働者階級)に祖国はない」と言った。国家を廃絶し、プロレタリアートによる単一の共産主義社会を形成するのがマルクス主義の目標だった。


 マルクスは、社会主義革命は進んだ資本主義国で起きると考えた。


 しかし、実際に革命が起きたのは後発資本主義国のロシア帝国においてだった。ロシア革命に続いてドイツとハンガリーで革命が起きたが、当局によって直ちに鎮圧されてしまった。そこで、ロシアの共産主義者は、独自の戦略を考えた。


 ソビエト・ロシア国家(1922年からはソ連)は、国際法を遵守し、他の資本主義諸国と安定した関係を構築する。


 他方、1919年にコミンテルン(共産主義インターナショナル、国際共産党)を結成し、資本主義体制を転覆し、世界革命を実現するというシナリオだ。


 コミンテルンは本部をモスクワに置いたが、ソ連とは無関係とされた。コミンテルンの公用語は、ロシア語ではなく、ドイツ語だった。


 各国の共産党は、国際共産党の支部と位置づけられた。日本共産党は、国際共産党日本支部だったのである。


 当初、レーニンやトロツキーは、コミンテルンを通じて本気で世界革命を起こそうとしていた。


 しかし、1930年代にスターリンが権力を掌握すると、世界革命の実現よりも、ソ連国家の強化に力を入れる一国社会主義路線を取るようになった。


 それでも、資本主義諸国に「弱い環」ができるとソ連は、革命の輸出を試みた。キューバ、南イエメン、アンゴラなどがソ連型社会主義体制を目指すようになったのがその例だ。


 1991年
12月のソ連崩壊によって、資本主義陣営 社会主義陣営というブロック間対立の時代は終わった。


 その後、世界はグローバル化し、アメリカの一極支配による新自由主義が席捲した。


 しかし、アメリカの勝利は一時的なものだった。


 アメリカが危機に陥ることをいち早く予測したのが、本書の共著者である副島隆彦氏だ。副島氏が、2009年9月のリーマン・ショックを半年も前に予測した。この時点でリーマン・ブラザーズという固有名詞をあげて、アメリカの金融危機が到来することを予測したのは(私が知る範囲では)、副島氏だけだ。


 副島氏は、黒人の血を引くオバマ氏が大統領になることも早くから予測していた。


 ユダヤ教、キリスト教には、預言者という人たちがいる。


 ところで、日本語の発音が同じなので、預言者と予言者がよく混同される。予言者は、未来を予測する人であるのにすぎないのに対して、預言者は、神から預かった言葉を人びとに伝える人だ。


 その中に、未来予測も含まれるが、預言者のメッセージの中心となるのは、「崩れゆく世界の現実を見よ」との警鐘だ。


 イスラム国に対抗するために、アメリカのオバマ政権はイランと手を組もうとしている。


 イスラム国には、内ゲバ体質があり、アメリカ、イスラエル、西欧などの非イスラム諸国を打倒する前に、イスラムを騙る反革命であるシーア派(特に十二イマーム派のイラン)を殲滅しなくてはならないと考えている。それだから、イランにとって、イスラム国を封じ込めることが死活的に重要な課題になっている。


 アメリカは「敵の敵は味方である」という単純な論理でイランと手を握ろうとしている。


 そして、今年4月5日、米英仏露中独とイランの間で、イランの核問題に関する枠組みの合意がなされたが、これは将来、イランが核兵器を保有することを認める危険な合意だ。


 イランが核を持てば、まず、パキスタンにある核兵器がサウジアラビアに移転し、他のアラブ諸国もパキスタンから核を購入するか、自力で核開発を行ない、核不拡散体制が崩壊する。世界は実際に崩れ始めているのだ。


 もっとも、「ひどい状況だ」と言って嘆いているだけでは、われわれは生き延びることができない。反知性主義の上であぐらをかいている安倍政権に期待しても無駄であることには多くの人びとが気づいている。


 生き延びるためにわれわれがしなくてはならないのは、一人ひとりが力を付け、「人間の隣には人間がいる」ということを信じて、社会の力を強化することだ。


 その点でも、リバータリアンの副島氏から生き延びる知恵について学ぶべきことがたくさんある。

 

 

2015年4月26日、沖縄県名護市にて佐藤

 











 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 2015年5月17日に維新の党(大阪維新の会)が求めていた、大阪市解体(再編)に対する賛否を問う住民投票が行われました。結果は賛成、反対が拮抗しましたが、反対が1万票ほど多く、いわゆる「大阪都構想」は否決されました。これによって、橋下徹市長は政治家からの引退を表明しました。

 

 今回の住民投票の分析でよく聞かれるのが「南北問題」と「シルヴァー・デモクラシー」です。住民投票の結果、賛成が多かったのが大阪市北部の各区、反対が多かったのが南部の各区という地図が示され、「福祉に自分たちが払っている税金が無駄遣いされていると感じている金持ちが多い北部は賛成が多く、福祉に頼りきりの貧乏人が多く南部は反対した」という主張がなされています。しかし、もっと詳しく投票結果を当てはめていくと、一概にこうした過度に単純化した図式は当てはらまないのだそうです。

 

 もう1つのシルヴァー・デモクラシーは、世代別の賛成と反対の割合を挙げて、「若い人たちは賛成が多かったが、高齢者たちは反対が多かった」という主張になっています。そこから「現状維持を好み、自分たちの利益しか考えない老いぼれたちと抑えつけられるかわいそうな若者たち」という世代間分裂を煽るような言論がなされています。マスコミに出ているような影響力のある一部電場芸者の皆さん方で、都構想に賛成だったような方々がこのような分析を鼻高々で語っているなぁと私は感じています。

 

 こうした過度な単純化によって、改革の敵として「貧乏人」と「老人」がフレイム・アップされ、これらが憎悪のターゲットにされようとしています。私はこうした動きはとても危険だと考えます。まず何より、国民の中の分裂と敵対関係を煽るような言論は何の利益にもなりません。それでは貧乏人や老人には参政権を与えないと言うのでしょうか、福祉を与えないと言うのでしょうか、お前らは邪魔だから死んでしまえと言うのでしょうか?

 

 私はこうした言論はあらかじめ用意されていたんだろうと思います。成功した場合のシナリオと失敗した場合のシナリオがあったんだろうと思います。賛成した場合は「思い切った改革を求めているのが民意だ。だから国政レヴェルの最大の改革である憲法改正をやるべきだ」という主張がなされたでしょう。今回は失敗した場合のシナリオが採用されているんでしょう。それは「改革を進めたい人たちがいるのに、それを邪魔する既得権者たちがいる、それが貧乏人と老人だ」ということだと思います。小泉純一郎元首相が使った、「抵抗勢力」というレッテル貼り(レイべリング)して吊し上げて叩き潰すというやり方と同じです。

 

 改革を進めたい善の「金持ち」「若者」と抵抗勢力である悪の「貧乏人」「老人」という過度に単純化した勧善懲悪の物語にしていくんでしょう。

 

 シルヴァー・デモクラシー(silver democracy)という言葉、特にアルファベットの方をインターネット検索していただくと、日本の高齢化社会と民主政治体制(デモクラシー)の関係、投票に占める高齢者の評が占める割合が大きいために改革が進まない、後ろ向きというアメリカ系の日本研究者たちの論文のタイトルがたくさん出てきます。日本の広告会社、シンクタンク、自民党が一緒になって、「これは使える」ということで、この言葉を意図的に「輸入」して使っているのではないかと私は考えます。

 

 しかし、本来のsilver democracyというのは19世紀にアメリカの農民たちから起きた大きな動きを象徴する言葉でした。アメリカの農民たちは19世紀、自分たち自身が鋳造した銀貨を正貨として流通させようという運動を起こしました。それを支持したのが、民主党の大政治家ウィリアム・ジェニングス・ブライアン(William Jennings Bryan、1860―1925年)でした。この運動こそは下からの民主運動でした。そうした立派な言葉を日本国民の間に分裂と対立を招くために使うというのは愚かしいことです。

 

 私が1つ興味深いと思ったのは、政治家・橋下徹の師匠的存在で、彼を支えたのが堺屋太一であるということです。堺屋太一は経済評論家として有名ですが、現在の60代後半(1947年から1949年くらいまで生まれの人々)を指して、「団塊の世代」と名付けたことでも有名です。今回の住民投票の結果で「敵」としてこの団塊の世代もフレイム・アップされている訳ですが、堺屋は最後の最後までこの世代を利用し尽くして、「自分の利益となるように、美味しくいただいた」と言うことが出来るでしょう。

 

 私は、住民投票後の「失敗の場合のシナリオ」は次のようになると考えます。「現状に不満を抱え、改革して“美しく、とてつもない”日本を作りたいと考えている人々がいる。一方で、日本が抱える問題の原因となってきた人々(貧乏人と老人)がいる。彼らがいる限り、日本の閉塞感と衰退を何とかすることはできない」と煽り、改革(究極の改革である憲法改正)に賛成しない人間たちをマージナル化していき、憲法改正にまで突き進む、と。大変危険な方向に日本は流れていると私は考えます。

 

 改革という名前の「革命」に知恵もなく熱狂し、踊らされた後に来るのは「地獄」であるということは歴史が証明しています。

 

(終わり)









 
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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 今回はヒラリー・クリントンが副大統領候補にヒスパニック系のジュリアン・カストロ住宅都市開発省長官を選ぶのではないかという記事をご紹介します。

 

 アメリカ国内の人種や民族別の人口で急激な伸びを見せているのがヒスパニック系です。彼らの多くはカトリック信者で、スペイン語を話します。アメリカの地方自治体などでは公用語を英語とスペイン語と定めているところもあります。ヒスパニック系の平均年収は低く、子だくさんの大家族ということが多いので福祉に頼る傾向にあり、多くが民主党支持になります。ヒスパニック系が多いのはカリフォルニア州、アリゾナ州、テキサス州、フロリダ州といった大統領選挙で重要なしかも激戦州ばかりです。

 

 選挙に立候補する人々にとってヒスパニック系の支持を得られるかどうかは重要になっています。今回の大統領選挙で言えば、共和党予備選立候補者のうち、マルコ・ルビオ連邦上院議員とテッド・クルーズ連邦上院議員は共にキューバ系移民を親世代に持つ人々であり、有力候補と言われているジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事は奥様がメキシコ生まれで、ジェブ氏がメキシコに英語を教えに行った時に出会って結婚しています。また、ジェブ氏自身もスペイン語に堪能です。

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コルンバ夫人とジェブ・ブッシュ 

 

 この記事に出てくるジュリアン・カストロは民主党の期待の若手政治家の一人であり、双子のホアキン・カストロ(Joaquín Castro)も民主党所属の連邦下院議員を務めています。ホアキン・カストロは連邦議会内で超党派の議員組織であるジャパン・コーカスが結成された時の呼びかけ人となった人物でもあります。

 

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元住宅都市開発省長官:「ヒラリーはジュリアン・カストロを副大統領候補に選ぶだろう」と発言(Ex-HUD secretary: Hillary will likely pick Julian Castro as running mate

 

デイヴィッド・マカビー筆

『ザ・ヒル』誌

2015年5月16日

http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/news/242302-ex-hud-secretary-hillary-will-likely-pick-julian-castro-as

 

 元住宅都市開発省長官ヘンリー・シスネロス(Henry Cisneros、1947年―)は、日曜日に放送される予定の番組のインタヴューで、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton、1947年―)の選挙陣営は、住宅都市開発省長官のジュリアン・カストロ(Julian Castro、1974年―)か彼以外のヒスパニック系アメリカ人の政治家を副大統領候補に選ぶだろう、と述べた。

 
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シスネロス
 

 シスネロスは、スペイゴ語放送テレビ局ウニヴィジョンの番組「アル・プント」に出演し、インタヴューを受けた。その中で「私は、ヒラリー・クリントン陣営の関係者たちから、そして多くのワシントンで働く人たちから様々な情報を得ているのですが、ヒラリー陣営が考えている副大統領候補のリストの第一番目にはジュリアン・カストロの名前があるそうです。彼は現在住宅都市開発省長官で、テキサス州サンアントニオ市の市長をしていた人です」と述べた。

 
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ホアキン・カストロ(左)とジュリアン・カストロ
 

 シスネロスは続けて次のように語った。「二番目の候補は今のところ考えられていないそうです。それは、カストロがこれまでの業績、性格。物腰と態度、ラティーノ(ヒスパニック)系という条件において飛び抜けた人物であるからです」

 

 彼は最後に「私はヒラリー・クリントンがジュリアン・カストロを副大統領候補に選ぶ可能性は極めて高いと考えています」と述べた。

 

 ジュリアン・カストロは1990年代にシスネロスが歩んだ政治的なキャリアパスによく似た道を歩んでいる。シスネロスもサンアントニオ市の市長を務めた後、ビル・クリントン政権時代に住宅都市開発省長官を務めた。

 

 一時は民主党の期待の星となったシスネロスは、元愛人に支払ったお金のことがスキャンダルとして表面化したことでクリントン政権から去ることになってしまった。

 

 彼は後にFBIに対して偽証を行ったことで有罪判決を受けたが、クリントン大統領によって恩赦が与えられた。

 

(終わり)









 

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