古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

2015年06月

ダニエル・シュルマン
講談社
2015-07-29



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 以前、このブログの記事(2015年3月28日付「さらっと恐ろしいことを伝えているNHKニュースの「預金封鎖」」→http://suinikki.blog.jp/archives/23897219.html)でもお伝えした、「預金封鎖(restricted accounts)」のことを、日刊ゲンダイが伝えています。日刊ゲンダイはタブロイド紙で、「余り真面目に読むものではない、娯楽として読むべきだ」という意見もありますが、硬派な記事を掲載しており、真面目に読む価値がある記事があることは事実です。

 

 

 さて、今回の日刊ゲンダイの記事では「預金封鎖」を取り上げています。1946年に日本政府によって、預金の引き出し制限が行われたことを指して預金封鎖と言います。インフレの進行と合わせて、国民の持っていた預金の価値は全くなくなりました。日刊ゲンダイの記事によると、価値は15分の1になったということですから、生活の困窮は相当のものであったと思います。副島隆彦先生は、2003年に『預金封鎖―「統制経済」へ向かう日本』(祥伝社)を書かれています。先生の一連の著作を読んで、資産防衛のために様々な対策を行ってきた方のお話はよく耳にします。


 
NHKの「預金封鎖」に関する報道については、ブログの記事で書きましたので、ここでは繰り返しませんが、私は一種の「革命」で、旧来の(戦前からの)金持ち層で無能な人々を一掃し、一気に平等化を進める、しかし、ずる賢く立ち回れる人間たちはその存在を許すということを官僚たちが断行したのだともいます。

 

 今回の日刊ゲンダイの記事では、NHKの報道を通じて、安倍政権が「いくら預金していても預金封鎖に遭えば大変ですよ、土地と株式は大丈夫ですからそちらに投資しなさい」「公的債務の比率がギリシア以上に大変なことになっているので、国民も福祉だなんだと贅沢を言って今の借金を作ったのだからその責任をかぶって預金を差し出しなさい」「消費税の税率を上げて借金を返さなくちゃならないんです」と訴えていると書いています。

 

 安倍政権はお金の行先を「誘導」しようとしています。現代日本に生きる人の多くは、「将来が不安だから」「先立つものはカネ」と考えて、当然日ごろから節約してでも預貯金を増やそうとするでしょう。突然の病気や人生の大転換において取り敢えずお金があれば安心、と考えるのは自然です。しかし、預金封鎖となれば、その安心のためのお金を、自分が自分や家族のためにためたお金を自由に使えなくなります。だからと言って、多額のお金を家などにおいておくのは不安です。そうなればお金の行先は「今株が上がっていると言うし、この先も価値が落ちないような優良株に投資するか」「マンションが上がっているみたいだから思い切って買ってみるか」となるでしょう。もちろん、これはお金がある人の話ですが。

 


 こうして株高、不動産高が演出され、「アベノミクスはうまくいっている」ということになります。安倍首相は国民の年金のお金まで
GPIFで株式市場に突っ込むことが出来る訳ですから、我が世の春を謳歌していることになります。そして、「今はまだ景気回復の効果を実感できていない皆さん、そのうちに必ず効果が出て、皆さんに実感していただけます」と言い続けることになります。

 


 私は「うまい話など世の中には存在しない」そして、「政府と権力の座にある政治家たちは自分たちに都合の良いウソをつく」と考えています。そして、今回の政府のお金の「誘導」に乗って株や不動産を買った人たちの多くは最終的には損をさせられるのだろうと思います。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「ギリシャは対岸の火事じゃない 市場が囁く日本の“預金封鎖”」

 

日刊ゲンダイ 2015624

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/161063/1

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/161063/2

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/161063/3

 

 デフォルト危機にあるギリシャで、高級自動車がバカ売れしている。

 

「預金封鎖に備えて富裕層がこぞって購入しているといいます。万が一、現金を引き出せなくなり、預金が凍結されても、自動車なら売却し現金化することも可能です。資産防衛のため高級車を買っているのでしょう」(市場関係者)

 

 ギリシャのチプラス首相は、新たな財政改革案をEU側に提示し、瀬戸際の交渉を行っているが、金融市場はデフォルトの可能性を捨てていない。デフォルトが現実となれば、ギリシャ金融市場は大混乱し、預金封鎖もチラつく。13年に金融危機が表面化したキプロスでは、実際に預金引き出しが制限され、国民はパニックに陥った。

 

「日本も戦後間もない1946年に預金封鎖があった。時代が違うとはいえ、日本の現状を考えると絶対にないとは言い切れません。国の借金はGDP比で200%を超え、先進国で最悪です。ギリシャの預金封鎖懸念は決して対岸の火事ではないのです」(株式評論家の倉多慎之助氏)

 

 実はここ数カ月、マーケットで日本の預金封鎖に関する噂が飛び交っている。

 

「2月16日にNHKのニュース番組で預金封鎖が特集されました。69年前のこの日に、預金封鎖が決まったという内容でしたが、なぜ69年前という中途半端なタイミングで放映したのか。突飛な印象が強いだけに、市場は真の狙いを勘繰っています」(金融関係者)

 

 戦後の預金封鎖は約2年に及んだ。この間のインフレは凄まじく、預金(現金)の価値は15分の1以下に目減りしている。

 

 一方、株式や土地は“差し押さえ”の対象外だったため、資産価値は物価上昇とともに上がっていった。

 

「アベノミクスが提唱する『貯蓄から投資へ』を加速させる目的があったのではないか。預金ではなく、株を買ったほうが賢明と促したのかもしれません」(証券アナリスト)

 

もうひとつ、有力な説がある。

 

「NHKの籾井会長は安倍首相の“お友達”です。官邸の意向をくんだ放送だったとすれば、17年4月の消費税10%への引き上げが絡んでいる。日本の財政はギリシャと同じく破綻する危険性がある。これを回避するには増税しかない。消費税10%を実現できないと、預金封鎖もホントにあり得るという安倍政権の恫喝です」(市場関係者)

 

 ギリシャの窮状を利用した悪質なプロパガンダだとしたら、国民をナメている。

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23




 
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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 今回は、アメリカ連邦上院議員トム・コットンとイラン外相ジャヴァド・ザリフとの間で交わされた激しい言葉の応酬をご紹介します。トム・コットンの器の小ささにアメリカでも失望が広がっているようです。これで共和党の輝ける星というのは何とも情けない話です。

 

==========

 

イラン外相がアメリカの連邦上院議員の「個人的な中傷」を払いのけた(Iranian foreign minister dismisses US senator’s ‘personal smear’

 

デイヴィッド・マカビー筆

2015年4月30日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/news/240614-iranian-foreign-minister-dismisses-us-senators-personal-smear

 

 イラン外相は木曜日、連邦上院議員トム・コットン(アーカンソー州選出、共和党)の「イランの暴政、背信行為、テロの記録について議論」しようという挑発を払いのけた。

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ザリフ外相

 

 ムハマド・ジャヴァド・ザリフ外相は、トム・コットン上院議員の初めての子供の誕生を祝う投稿の前に、ツイッターに「マッチョな個人の中傷ではなく、真剣な外交こそを私たちが必要としているものだ」と投稿した。


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コットン議員

 その前日の水曜日、コットンはザリフを挑発し、「イラン・イラク戦争で農民と子供たちが死に向かって行進している間、アメリカで隠れている」決心をザリフがしたと嘲った。

 

 ザリフは、イラクの核開発プログラムについて合意に達したら、コットンが「気に入ろうがいるまいが」、イランに対する経済制裁が緩和されるだろうとコメントしたが、それに対して、コットンが反応したのだ。

 

 コットンはアメリカとイランとの間の合意に対して徹底的に反対している。コットンに対しては今年初めに批判が集まった。この時、彼はイランの指導者たちに対する「公開書簡」を主導し、アメリカの憲法システムについて説明しようとした。

 

(終わり)

 

==========

 

イランのジャヴァド・ザリフ外相が連邦上院議員トム・コットンに対してコットン議員の第一子の誕生の機会を捉えて挑発した(Iranian FM Javad Zarif Trolls Sen. Tom Cotton On the Occasion of His Child’s Birth

 

エリアス・グロール筆

2015年4月30日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2015/04/30/iranian-fm-javad-zarif-trolls-sen-tom-cotton-on-the-occasion-of-his-childs-birth/?utm_content=bufferb7539&utm_medium=social&utm_source=facebook.com&utm_campaign=buffer

 

 イラン外相ジャヴァド・ザリフは連邦上院議員トム・コットンに初めての子供が誕生する機会を捉えて挑発を行った。今月初め、各国の交渉担当者たちが枠組み合意に達したと発表して以来、連邦上院の超タカ派議員トム・コットン(アーカンソー州選出)は合意を台無しにしようとキャンペーンを公然と展開している。しかしトム・コットンにとってマイナスなことも起きている。今週、イランのジャヴァド・ザリフ外相との間で激しい言葉の応酬があった。ザリフはかなり丁寧に、激しい言葉を投げかけた。

 

 47名の連邦上院議員たちが署名したイランの指導者たち宛ての公開書簡(いかなる経済制裁の緩和も連邦議会の承認が必要だとする内容)を主導した後、コットンはイランとの核開発を巡る合意に対して反対する強硬派として知られるようになった。しかし、木曜日、ザリフはニューヨークにおいて、コットンを脇にどかそうとして、「コットン上院議員が気に入ろうが気に入るまいが」、国連は経済制裁緩和に向けて中心的な役割を果たすだろうと述べた。

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 このコメントはコットンの神経をいたく刺激した。そして、コットンはザリフに対してワシントンにまで来てアメリカ合衆国憲法について議論しろと要求した。

 
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 『フォーリン・ポリシー』誌で私たちがこれまで書いてきたように、コットンのイランとの合意に対する反対運動にはいくつかの問題が存在する。彼はイランに指導者たちに向けた経済制裁緩和に関する書簡を発表した後、コットンは、アメリカ外交政策を実行するにあたりバラク・オバマ大統領の権威を傷つけたと激しい批判を浴びた。踏んだり蹴ったりだったのは、コットンが主導した公開書簡のペルシア語翻訳版は中学生が書いたような内容であったことだ。

 

 それだけでもコットンに同情を寄せるのには十分だ。しかし、アーカンソー州選出の上院議員には素晴らしいお子さんが誕生したのだ。それはとても素晴らしいことだ。

 

(終わり)











 
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ダニエル・シュルマン
講談社
2015-07-29



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 今朝(2015年6月22日朝)、インターネットでニュースを読んでいたら、以下の記事のタイトルが目に入りました。「自民」「維新」「大阪」「カジノ」とくれば、先日、副島隆彦を囲む会の中田安彦研究員がウェブサイト「副島隆彦の学問道場」内の「今日のぼやき・広報ページ」に掲載した、「「1536」現下の政治状況を勢力分析する。大阪都構想の住民投票に現れた、若い世代のファシズムへの欲求。それを支える橋下徹・菅義偉の背後にある勢力とは。安倍・菅の野党分断の動きに対し、維新の党の執行部をおさえた旧小沢グループが巻き返しにでている。2015年6月11日」という記事の内容が反映されたものかなと思われました。

 
hashimotoabe001

 

↓中田研究員の記事の掲載されたページのアドレスは以下の通りです↓

http://www.snsi.jp/tops/kouhou/1827

 

 中田研究員が上記の記事を書く際に、その概要を私に話してくれました。その時、大阪と横浜のカジノ構想の話もしてくれました。カジノ構想に関わる話は是非、中田研究員の記事をお読みください。

 

 下に掲載した雑誌記事の内容は、私がこのブログで書いてきた内容のうち、状況証拠から考えて書いた内容を裏付けるものです。この記事の中で自民党の中堅議員が述べている「維新は使い捨て」という言葉もまた私の考えたことと一致しています。

 

 しかし、維新の党はどうなろうとも、橋下氏と松井一郎大阪府知事は生き残るのではないかと思います。「一将功成りて万骨枯る」という言葉がありますが、橋下氏(と松井氏だけ)が入閣するなり、国政に進出するなりでき、元々支持基盤もなく、選挙も風頼みの維新の党の議員たちは落選するということは考えられます。「ジャパン・ハンドラーズ」の日本現地司令官の職をコロンビア大学教授ジェラルド・カーティスから引き継いだと考えられるジョージタウン大学准教授マイケル・グリーンは以前、橋下氏のリーダーシップを賞賛し、「キングメイカーになるだろう」と述べたことがありますが、橋下氏はこれからも力を保持していくことになるのでしょう。

 

 2012年に『ツイッターを持った橋下徹は小泉純一郎を超える』(講談社)と言う本が出版されました。著者の真柄昭宏氏は、竹中平蔵経済財政政策担当大臣、中川秀直自民党政調会長の政策担当秘書を務めました。また、真柄氏は、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス開設の責任者となり、竹中平蔵氏の招聘を進めた加藤寛慶応義塾大学総合政策学部長が1995年から2007年まで学長を務めた千葉商科大学で博士号を取得しています。ちなみに加藤寛氏が2008年から2013年まで学長を務めた嘉悦大学には竹中氏と関係の深い高橋洋一氏が教授として採用されています。真柄氏は現在、アジアフォーラム・ジャパン政治・経済戦略研究センター所長を務めています。

 


 真柄氏の本は、題名と中身が少し違うもので、どちらかと言うと、竹中氏が大臣であった時の話が多いのですが、タイトルのうまさで一時期話題になりました。橋下氏が濃い墨潤一郎元首相を超えるとは何を意味するのか正確なところは分かりませんが、「自分の主張や政策を実現するために小泉元首相よりも世論操作をうまくやる」と言う意味ではないかと思われます。先日大阪市で行われた大阪都構想に対する住民投票で橋下氏と維新側が敗北したことで、ツイッターを持った橋下氏も万能ではないことが明らかになりました。

 

 それでもあれだけ拮抗した選挙結果になったことを考えるとツイッターを持った橋下氏の力はやはり大きいと言えます。下の雑誌記事にある、安倍首相・菅官房長官と会談した後、堰を切ったかのように安保法制についてツイッター上に書き込みを始めましたが、これにまた注目が集まっています。発信力は侮れませんし、味方にすることが出来たら強力な武器となります。

 

 その意味で、自民党、安倍政権にとっては憲法改正までツイッターを持った橋下氏にはまだまだ利用価値があります。ですから橋下氏は使い捨てにされることはないでしょう。また、橋下氏は憲法改正に協力する見返りに大阪カジノ構想の推進を求め、安倍政権もそれに応えることになるでしょう。カジノ構想と憲法改正が同列に並べられるというのは何とも情けない話です。

 

(雑誌記事転載貼り付けはじめ)

 

●「自民・維新の4者会談 「大阪にカジノを作る」の密約説も」

 

2015622()70分配信 NEWSポストセブン 

http://news.nifty.com/cs/domestic/societydetail/postseven-20150622-330936/1.htm

 

 約125万件の年金情報が流出した件で、自民党は必死の“隠蔽工作”を図っている。情報が流出した人に対する通知を、日本年金機構は積極的に送ろうとしていない。年金問題を隠蔽する動機は、そうでなくとも不人気な安保法案を数の力に任せて強引に成立させる邪魔になるからだ。

 

 ついに業を煮やした安倍首相自らが工作に乗り出した。「強行」といわれないために維新の党を抱き込もうと、菅官房長官とともに橋下徹・大阪市長、松井一郎・大阪府知事との「2プラス2」会談(614日)を持った。大メディアは一斉に「安保法案で協力要請か」(朝日新聞デジタル)と報じたが、この会談の異例さには全く言及していない。

 

 与党党首が維新に法案への協力を求める場合、本来、党首である松野頼久・代表と会談するのが筋である。橋下氏は維新の最高顧問とはいえ、国政に議席を持たない市長であり、しかも政界引退を表明している。維新の党の国会議決について責任を負える立場とはいえない。

 

 だが、この会談後、橋下氏はツイッターで安保法制について持論を展開。維新側も、橋下氏に近い馬場伸幸・国対委員長が「対案が固まったら各党に提示し、申し出があれば協議をする」と法案修正協議に積極姿勢を示した。

 

 非大阪組の維新幹部は、「維新の国会議員には江田憲司・前代表はじめ安保法案への反対論が強い。橋下さんの影響下にある大阪組が与党との協力に走れば、採決で党は間違いなく割れる。安倍総理は維新を分裂させて橋下系を抱え込むつもりではないか」と警戒する。

 

 7月上旬にずれ込む公算が高い衆院での安保法案採決の際には、「徹底審議」を主張する野党が退席し、自民党と公明党による強行採決が予想されている。安倍首相にすれば、維新の一部の議員が採決に出席するだけでも強行採決批判をかわすことができる。

 

 もっとも、橋下氏から見ると、大阪都構想に一番強力に反対したのは自民党大阪府連であり、自民は大阪改革を潰し、自身を引退に追い込んだ敵だったはずだ。政界引退を表明しながら、維新分裂のリスクまで犯して安保法制で自民党政権に“塩を送る”行動には大きな疑問符がつく。

 

 自民党内には4者会談の中身について、「9月の自民党総裁選後には内閣改造が控えている。安倍総理は橋下さんに市長退任後の入閣、維新大阪組との連立を持ちかけたのではないか」という説や、「安倍政権が前向きなカジノ構想の有力候補地は菅官房長官の地元の横浜と橋下の大阪。菅さんは大阪にカジノをつくると手形を切って説得したようだ」といった密約説まで流れている。

 

 その実、自民党内では「どうせ維新は使い捨て。それでものこのこついてくる連中は哀れだ」(中堅議員)と本音も見える。しょせん引退を表明した橋下氏など、政界猿回しの猿でしかない。

 

※週刊ポスト201573日号

 

(雑誌記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23





 
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ダニエル・シュルマン
講談社
2015-07-29



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 今回は人民元の世界通貨への道筋に関する記事をご紹介します。世界の主要通貨は米ドル、ユーロ、英ポンド、日本円だそうで、それに中国人民元が加わるかどうかがこれから数年の動きだそうです。そのためには為替市場による決定とIMFの特別引出権を構成する通貨となることが重要で、中国はそれに向けて努力しているので、それを認めていくことが全員の利益になるということです。

 

 中国の平和台頭と協調社会への動きはこれからも進んでいくでしょうから、それを日本も自国の利益とするように動いて行かねばなりません。「キライキライ」と言っているだけで済んだ時代はもう終わりました。それが現実的な大人の態度と言うものでしょう。

 

=========

 

人民元の世界通貨への道筋をつけるべきだ(Make Way for the RMB

―IMFが中国を自陣営に留めたいと望むなら、中国の通貨・人民元をより自由市場による為替決定システムに委ねようとしている中国政府に対して報酬を与えるべきで、そのタイミングは今だ

 

パオラ・サバッチ(Paola Subacchi)筆

2015年6月16日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2015/06/16/make-way-for-the-rmb-china-reserve-currency-imf-sdr-dollar/?utm_content=buffer42919&utm_medium=social&utm_source=facebook.com&utm_campaign=buffer

 

人民元は国際通貨基金(IMF)の特別引出権(Special Drawing Rights)の価値を決定する世界の主要通貨のバスケットに参加するだろうか?中国の通貨・人民元を含むかどうかの決定は、G7諸国にかかっている。これらの国々はIMFにおいて強い影響力を保持している。彼ら自身が自分たちにとって利益になることが分かっているならば、人民元を含むことに賛成するだろう。

 

 これは深い政治的な意図をもった技術的な決定である。人民元がドル、ユーロ、ポンド、円と並んで国際的な主要準備通貨になるための道筋を開くことになる。IMFのクリスティーン・ラガルド専務理事は今年3月、「人民元が国際的な準備通貨になるのは可能性の問題ではなく、その時期の問題になっている」と発言した。今年、もしくは2020年、IMFは特別引出権バスケットの構成を見直す予定である。

 

 現在のところ、人民元をこのバスケットに含むことをためらう理由は存在しない。今年、もしくは少なくとも2016年に人民元をバスケットに含むことで、中国に対して、国際的な通貨・金融共同体において中国が歓迎され、信頼されているのだというメッセージを送ることになる。このメッセージは全ての国々に利益をもたらす。

 

 G7蔵相会議が今月初めにドレスデンで開催された。この時、特別引出権バスケットへの人民元の包含が政治的な理由からどれほど望ましいことであっても、人民元の技術的な評価は、最終決定においてきわめて重要であるという見解を示した。「自由な使用性」のような技術的な基準が評価の基礎になる場合、人民元は含まれない可能性もある。「自由な使用性」とはIMFの専門用語で、ある通貨が世界中のどこでも使えて、両替できるかということである。ドルと違い、中国の通貨・人民元は完全に両替可能な通貨ではない。中国の銀行においては使用者が望むだけの両替ができない通貨なのである。従って、国際的な市場では使いにくい通貨となってしまっている。

 

 IMFは、より有効なアプローチは「国際的な通貨システムにおいてより広範な役割を果たす可能性」を評価し、最近の状況と共に将来に発展について考慮することだと述べている。2010年にIMFは最新の特別引出権の評価を行った。それ以降、中国はいくつかの政策手段を通じて、人民元の国際化を推進した。それらの政策手段の1つとして、中国は香港、ロンドン、シンガポールにおいて人民元決済銀行を設立した。

 

結果として、中国の総貿易の20%以上が人民元で決済されている。5年前にはこの数字はゼロであった。更に言えば、人民元は、ドル、ユーロ、円、英ポンドに続いて現在世界で5番目に国際的な支払いにおいて使用されている通貨である。準備通貨として人民元を保有する中央銀行と公的機関の数もまた拡大している。投資銀行の総保有資産の0.5から1%は人民元で構成されていると推定されている。非中国・人民元建て建債券の発行高は2010年から2014年までの間に1200億ドルにまで増加したと推定されている。それでも人民元建て債券の発行額は主要通貨建てよりも少ない。

 

 中国の中央銀行である中国人民銀行の周小川総裁は4月にワシントンを訪問した。この時、周総裁は「人民元の世界での使用を促進する更なる手段は計画中である」と発言した。より大きな為替率の柔軟性が達成されつつあるが、より大きな柔軟性は、中国当局が経済をより国内需要に集中するという再編を行うことで達成されるだろう。その結果、為替率は管理システムから市場が決定するシステムへと移行するだろう。

 

 今年5月、IMFは人民元が安値ではないと発表し、中国の通貨当局が為替率管理のための介入を減らしていると認めた。対照的に、2010年の段階では、IMFは人民元が安値であると評価し、アメリカ連邦議会は中国の通貨捜査について懸念を持っていた。

 

 IMFは人民元を巡る数々の進歩を認めてはいるが、特別引出権バスケットから人民元を排除するかどうかははっきりしない。議論が続いている分野は資本勘定自由化だ。中国当局は資本の流れは促進されるべきだが、予想外の望ましくないそして過剰な出来事を抑えるためにも、しっかりと監視されるべきだという姿勢を崩していない。これは中国式の資本勘定自由化であり、これを周総裁は「管理された自由化」と表現した。IMFの理事会が「管理された自由化」は、通貨の「完全な使用性」を制限することだと決定するならば、「管理された自由化」は人民元の世界通貨への道筋における障害物となる可能性はある。

 

 両替のしにくさがネックになって人民元が特別引出権バスケットに含まれない可能性があるにしても、最終決定は政治判断によるものと思われる。中国は人民元の承認と特別引出権バスケットへの包含が行われると期待している。そして、これによって中国の通貨は、国際通貨としての承認を得ることになる。ここで重要なのは、人民元が国際金融において力と影響力を持つということだ。人民元の国債通貨としての承認は中国の経済と政治の発展、多国間の通貨と金融システムの活動的なメンバーになるための中国の努力の認識において重要なステップとなるだろう。ノーベル賞受賞者ロバート・マンデルは「偉大な国家は偉大な通貨を持っている」と述べたが、これを敷衍するならば、人民元が国際通貨にならなければ中国の台頭は不完全であるということになる。

 

 幸運なことに、中国と中国を支援する国々にとって、過去の例外事例が重要になってくる。例えば、1981年の特別引出権への包含を検討した際、日本円は「完全な使用性」は持っていたが、完全な両替性を持ってはいなかった。人民元に対しても同じことをすることが良い政治であり、より良く経済を動かすことになる。金融セクターにおける開放に向けた中国の努力、金融改革の進み具合、市場が決定する為替への意向をテストする最良の方法は、中国が行っている人民元を「成長した」通貨にするための努力を支援することだ。

 

 従って、問題は、中国が準備通貨の地位に伴う責務を完全に受け入れることを示す証拠を求めることではない。問題は、中国以外の国々が中国が行っているよき世界市民になるための努力を信頼し、その継続を促進するかどうかということだ。

 

(終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


メルトダウン 金融溶解
トーマス・ウッズ
成甲書房
2009-07-3

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ダニエル・シュルマン
講談社
2015-07-29

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




 

 古村治彦です。

 

 アメリカの外交専門誌『フォーリン・ポリシー』誌に小野寺五典代議士(自民党)・元防衛大臣(第二次安倍内閣、2012―2014年)のインタヴュー記事が掲載されましたので、ご紹介します。

 

 小野寺議員が韓国について懸念を持っていること、そして日本の防衛関係者たちがアメリカの無人戦闘機(ドローン)グローバル・ホークの導入を目指していることが分かります。

 

==========

 

「日本は独力で平和を守り、維持できない(‘Japan Alone Cannot Guard or Sustain Peace’)」

―フォーリン・ポリシー誌は日本の元防衛大臣と中国の平和的台頭に対峙するための日本国憲法の再解釈について語った

 

アイザック・ストーン・フィッシュ(Issac Stone Fish

2015年6月16日

『フォーリン・ポリシー(Foreign Policy)』誌

http://foreignpolicy.com/2015/06/16/japan-alone-cannot-guard-or-sustain-peace-defense-minister-itsunori-onodera/

 

朝鮮半島での動乱について語る際、多くの人々は北朝鮮に言及するが、韓国に言及する人は少ない。

 

 しかし、2014年9月まで防衛大臣を務めた小野寺五典は、韓国政府の北朝鮮に対する「挑発的な」行動について懸念を持っている。

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 日本の国会議員である小野寺は、日本の防衛政策に深く関与している。その中には、日本国憲法の再解釈を巡る議論も含まれている。日本国憲法の再解釈が可決されれば、日本はより行動的な軍隊を派遣することが出来るようになる。

 

 6月15日、国会内の彼の事務所で、『フォーリン・ポリシー』誌のアイザック・ストーン・フィッシュが小野寺にインタヴューを行い、日本のドローン使用、朝鮮半島における緊張、中国が平和的に台頭すると確信しているかどうかについて質問した。

 

 インタヴューは通訳を介して行われた。そして、インタヴュー内容を明確にするために編集し、要約を施している。

 

 フォーリン・ポリシー誌:この5月、金正恩が国防部長を粛正した。貴方は、北朝鮮の不安定さについて懸念を持っているか?

 

 小野寺五典:金正恩は最近も北朝鮮の防衛に関わる幹部たちを粛正していると私は聞いている。状況を判断するのは難しい。こうした行動が金正恩の権力基盤を強化するのか、それとも北朝鮮の軍部内部に不安定さが存在するのでこうした出来事が起きたのか、判断できない。

 

 しかし、私が懸念を持っているのは、韓国から北朝鮮に対してのやや挑発的な態度である。

 

 韓国の朴槿惠大統領は現在、北朝鮮を標的にするミサイル発射テストの実施を考え、そのための調査を行っている。これは最近の新しい動きである。私たちの懸念は、これが北朝鮮に対する挑発にならないかということであり、挑発にならないように願っている。

 

 韓国国内における混乱と人々の不満からの反政府行動もあり、朴大統領の支持率は低下し続けている。私は朴大統領が強制的な手段に訴えないことを願うばかりだ。

 

フォーリン・ポリシー誌:憲法の再解釈に関する国会における議論の最新の内容について教えて欲しい。

 

小野寺五典:日本は単独で平和を守り、維持することはできない。従って、平和を維持する目的のために、私たちはアメリカとの同盟関係を深化させている。同誌に他国との友好関係を強化している。

 

 アメリカとの間には安全保障条約があり、アメリカは日本を日本とともに共同防衛する責任を負っている。

 

 その前提条件として、当然のことながら、日本の自衛隊は日本を防衛しなくてはならない。しかし、現在の法制上では、日本の自衛隊は日本を防衛するアメリカ海軍に対して十分な防衛を与えることはできない。

 

 実際、アメリカ海軍の船舶が攻撃されたとして、公海上でこの船舶を防衛することは集団的自衛権の行動であると見なされるであろう。

 

 そして、ある国がアメリカを攻撃し、日本の領空城を越えてアメリカに向けてミサイルを発射した場合、現在の法制上では、このミサイルに対して日本は反撃を加えることはできない。

 

 アメリカ海軍の船舶に対する攻撃が日本の安全保障に重大な結果をもたらすような場合にのみ、日本は集団的自衛権を行使することになるだろう。こうした制限された条件と状況の下でのみ、だ。

 

フォーリン・ポリシー誌:6月14日、私は国会の外に多くの人々が集まり、安倍晋三首相と彼の憲法改正計画に抗議している様子を見た。アメリカ政府は日本政府がこの憲法再解釈計画を可決できないのではないかと考えるべきだろうか?

 

小野寺五典:この法案がある程度の時期を経て可決されることに何の問題もないと私は考えている。安倍首相が述べているように、この夏までに法案が可決されると私は確信している。遅くとも8月末までには可決される見込みだ。しかし、もしかしたら9月にまでずれ込む可能性もある。

 

フォーリン・ポリシー誌:日本が憲法改正に成功すれば、日本は中東地域においてアメリカを助けることが出来ると言えるか?

 

小野寺五典:憲法の再解釈によって、アメリカの中東での活動を日本が実質的に助けることが出来るようになると考えない方が良い。

 

フォーリン・ポリシー誌:外交儀礼として、日本政府は中国政府に対して憲法改正について連絡をしているのか?

 

小野寺五典:外交レヴェルで、日本政府は近隣諸国に説明をしており、その中には中国も含まれていると聞いている。

 

フォーリン・ポリシー誌:現在の日中関係は冷戦状態、もしくは冷戦状態に入る危険性を持っていると考えるか?

 

小野寺五典:その答えはノーだ。私は現在の状況を冷戦状態とは言えないと思う。しかし、日本だけではなく、他の複数の東南アジア諸国も中国の行動を注意深く監視している。

 

フォーリン・ポリシー誌:中国は「平和的な台頭」と「協調的な社会」を主張しているが、他の近隣諸国は中国を信用していると思うか?日本政府は中国を信用しているのか?

 

小野寺五典:他の近隣諸国も日本も中国を信用してはいないと思う。しかしながら、どの国も経済面においては中国と友好関係を築きたいと考えていると思う。

 

フォーリン・ポリシー誌:2013年9月に私たちは話し合ったが、それ以降、尖閣諸島を巡る状況は悪化しているのか、それとも改善しているのか?

 

小野寺五典:あの時点以降、何も変わっていない。中国の一般の船舶が複数回日本の領海内に入ってきてはいるが、中国海軍との間で事件は起きていない。

 

フォーリン・ポリシー誌:日本は現在、尖閣諸島のパトロールにドローンを使用しているか?

 

小野寺五典:最近、調査と監視を目的として普通の飛行機を使用している。現在のところ、日本が尖閣諸島のパトロールのためにドローンを使う計画を持っていないと思う。

 

 しかし、日本はドローンを有効に使用する意図は持っている。現在アメリカが使用している「グローバル・ホーク」を将来は導入することになるだろう。グローバル・ホークはより広い地域の調査とパトロールを行う際に有効である。

 

フォーリン・ポリシー誌:現在、中国は尖閣諸島のパトロールでドローンを使用しているのか?

 

小野寺五典:そうした動きが起きているというサインがあると私は聞いている。しかし、詳細については聞いていない。

 

(終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23



 
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