古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。

2015年10月

ダニエル・シュルマン
講談社
2015-11-25



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 先日、ピーター・ベイナートの記事をご紹介しましたが、その際に私は「外交政策が焦点になるべきだ」と書きました。ベイナートはその後、サンダースには外交政策が足りないとする記事を発表しました。これは私もまた言いたかったことです。

 

 国内政策で民主党内に大きな相違点はありません。そうなると外交政策が焦点になるはずですが、ヒラリーの対抗馬バーニー・サンダースは外交政策が得意ではありません。ですから、私は連邦上院の外交委員長をやり、副大統領を務めているジョー・バイデンが対抗馬として出ることが、ヒラリーを抑えることになると考えました。

 

 しかし、バイデンに対しての「包囲網」「待ちくたびれたという論調」が形成されつつありました。そして、ついにバイデンはふつしゅばを表明しました。今週木曜日のヒラリーに対するベンガジ委員会の質疑応答が分岐点になると思います。ここでヒラリーが乗りきってしまえば、アメリカ大統領選挙は終戦で、ヒラリーが大統領になるでしょう。そうなれば、ベイナートも書いているように、アメリカの外交政策は「タカ派的」になるのは間違いないところです。

 

==========

 

バーニー・サンダースに足りないもの(What Bernie Sanders Is Missing

―民主党の米大統領選挙候補バーニー・サンダースは外交政策を無視している。それによって、アメリカ国民が聞きたいと思っている外交政策に関する討論ができなかった

 

ピーター・ベイナート筆

2015年10月16日

『ジ・アトランティック』誌

http://www.theatlantic.com/international/archive/2015/10/bernie-sanders-democrats-foreign-policy/410917/

 

 バーニー・サンダースは火曜日の夜に行われた民主党の大統領選挙立候補者討論会の準備をきちんとしていなかった。特に外交政策について準備ができていなかった。討論会ではそれが露呈した。

 

 彼の準備不足が露わになったのは、アンダーソン・クーパーがヴァーモント選出の連邦上院議員であるサンダースに対して、「シリア内戦についてですが、もし大統領に選ばれたら、ヒラリー・クリントンとは違う政策を実行しますか?」と質問した時だ。サンダースは、「私たちは、アラブ諸国の連合を結成し、それが主体となって内戦終結を進めさせるべきだ。アメリカは支援をするだけに留まるべきだ。しかし、私はアメリカの地上軍派遣を支持しない」と答えた。彼の答えは良い。しかし、ヒラリーもまたアラブ諸国の連合という考えを支持し、アメリカの地上軍派遣に反対している。サンダースは質問に答えられなかったのである。

 

 その後、CNNのダナ・バッシュがサンダースに対して、「どのような状況になったら、サンダース大統領は軍事力を実際に行使するつもりですか?」と質問した。サンダースはヒラリーとの違いを強調しようとして、「シリアにおける飛行禁止区域を設定することには反対だ。飛行禁止区域を設定するすると状況は大変危険になってしまう。そして問題はより深刻化してしまう」と述べた。サンダースは今度はクーパーの質問に答えたが、直近のバッシュの質問には全く答えないということになった。

 

 そして、クーパーが再び質問した。「サンダース上院議員、貴方は質問に答えていません。どのような状況になったら、あなたは実際に軍事力を行使するのですか?」

 

 これに対してサンダースは次のように答えた。「ビル・クリントン大統領が、“コソヴォにおける民族浄化を止めようではないか”と述べた時、私はその考えを支持し、介入に賛成した。私はオサマ・ビンラディンをアフガニスタンで捕えることに賛成票を投じた。我が国、もしくは我が国の同盟諸国が脅威に晒された時、我が国が直面する危機に対処するために、諸国連合を結成する必要があると考える。私は、アメリカが単独の行動を行うことを支持しない」。

 

 このサンダースの回答に関してはいくつも問題がある。第一に、サンダースは「我が国、もしくは我が国の同盟諸国が脅威に晒された時、諸国連合を結成する」と述べた。しかし、サンダースはNATOによるコソヴォに対する介入を支持したと述べた。ユーゴスラヴィアのスロボダン・ミロシェヴィッチ大統領はアメリカやアメリカの同盟諸国に何の脅威も与えなかったが、人道的な観点からアメリカは戦争に参加したが、サンダースはこれを支持したのだ。第二に、「私はアメリカ単独の行動を支持しない」とサンダースは高らかに宣言したが、これは大変に評価すべき発言だった。そうなのだ、多くの国々に参加させることがより賢いやり方なのだ。しかし、もしアメリカが直接的な脅威にさらされる場合、他の国々が参加するまで、軍事的な対応をしないことがサンダース大統領に出来るだろうか。911事件は彼の主張を適用できる事件であろうか?彼の発言を素直に読めば、彼の答えは「イエス」ということになるだろう。

 

 討論会の中で、サンダースは「プーティン氏は、現在彼がシリアで行っていることを後には後悔することになるだろう」と述べた。クーパーが「プーティン氏は深く後悔するタイプの人間には見えませんが」と述べたところ、サンダースは「彼は既にクリミアとウクライナでやったことを後悔していると思う」と答えた。しかし、様々な事実が示しているのは全く逆のことだ。ウラジミール・プーティンの支持率は、ロシア軍がクリミアに進攻した2014年初めには上昇した。その年の夏になっても、ウクライナでの軍事衝突や西側諸国のロシアに対する経済制裁があったにもかかわらず、プーティンの支持率は高い水準を保った。ロシア専門家ディミトリ・サイメスは、ロシア国民の3分の2が西側の経済制裁は「ロシアの弱体化し、侮辱する」ためのものだと考えているので、ロシア国民は、「ロシア国旗を」押し立てて行進し、プーティンを支持している、と述べている。

 

サンダースは、「プーティンのシリアでの行動は彼を苦しめることになるだろう」と発言したが、これは正しいだろう。サンダースは、「アメリカが中東を支配しているのはロシアではなく、我々だということを示すだけの目的のためにシリアにさらに介入するのは間違っている」と述べたが、これは正しい。しかし、クリミア併合で、プーティンが「侵略は割に合わない」という教訓を得たということなない。

 

 サンダースは、民主、共和両党の中で唯一、「オバマ政権下、アメリカの世界からの撤退が行われ、そのために世界中で混沌と無秩序が生み出された」という主張に真っ向から反対している人物だ。

 

 サンダースが外交政策を得意としていないのはこれまでに既に知られていることだ。9月初め、サンダースは『ザ・デモイン・レジスター』紙主催の討論会に出席したが、席上、外交政策に関してより洗練された案を出せなかったことを聴衆に謝罪した。9月になるまで、サンダースの選挙陣営のウェブサイトには外交政策について何も掲載されていなかった。

 

 この外交政策の不得意ぶりは問題である。それはそれによって彼が大統領選挙で不利になるということばかりではない。ヒラリー・クリントンは、国内問題全てに関して政治的に左派の立場に移動している。しかし、外交政策に関しては、バラク・オバマ大統領の右側に位置している。そのために、ヒラリーが大統領になれば、オバマ政権時代に比べて外交政策がタカ派的になることは間違いない。しかし、それは民主党員や支持者たちのほとんどが望んでいることではない。ピュー・リサーチ・センターが今年初めに行った世論調査の結果によると、「アメリカはイラクとシリアに関わり過ぎている」という心配をしている民主党員は、「アメリカはイスラム武装勢力を止めるために十分なことをしていない」と考えている民主党の員の2倍いる、ということであった。サンダースがヒラリーに対して、外交政策で対抗するためには、シリアとイラクの脅威がアメリカにとってどれだけの脅威であるのか、アメリカの軍事介入が中東地域を安定化させるのか、それとも不安定化させるのかについて公開の場で討論しなければならない。サンダースは、民主、共和両党の中で、多くの人々に受け入れられているが、私はそれが真実だとは思わない、「オバマ政権下で、アメリカの撤退によって、世界中に混沌と無秩序が広がっている」という主張に反対している人物である。

 

 さて今から次の討論会までに、サンダースがもっと研究をすることを祈ろう。

 

(終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 

ダニエル・シュルマン
講談社
2015-11-25



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 今回は、今月末から書店に並び始める、副島隆彦先生の最新刊『再発する世界連鎖暴落』(祥伝社、2015年)を皆様にご紹介いたします。

カバー



 以下にもくじ、まえがき、あとがきを掲載します。是非参考にしていただき、ご購入いただけますようにお願い申し上げます。

 

=====

 


目 次

 

まえがき 

 

1章 世界連鎖暴落が再発する 

 

●金融危機の先にあるものは何か 

●今ここで〝損切り〟をすべきだ 

●私が投資家たちに言ったこと 

 

2章 これからこうなる!

個人資産を守り抜くための金融予測 

 

これからの株の動き 急落と吊り上げを繰り返す 

 

●GPIFの損失(評価損)は10兆円 

●アメリカには、株価上昇のための資金もない 

 

円・ドル相場はどうなるか 1ドル=120円で変わらず 

 

●米(ドル)、欧(ユーロ)、日(円)の〝固定相場〟の秘密 

 

金(きん)のこれからの値段 いつ、いくらが買い時か 

 

●1オンス(約31グラム)=1150ドルの攻防戦が続いている 

 

次はダイヤモンドで資産保全せよ  

 

●バブル期の日本人が持ち込んだダイヤモンドが、外国に流出している 

 

3章 GPIF(ジーピーアイエフ)〝年金バクチ〟の失敗 

 

●バクチに向かない役人が株に手を出して失敗した 

●「中国発の恐慌」に青ざめる世界 

●「針のむしろ」のイエレンFRB議長 

●9月2日、私は「GPIFの2000億円投入」を予測した 

●株を2000億円分買ったのは「4頭のクジラ」 

●年金の半分が吹き飛ぶだろう 

●GPIFは、ますます日本株を買い上げる 

●日本郵政グループ3社の株式上場をどう見るか 

●あのNTT株の暴落を思い出せ 

 

副島隆彦の特別インタビュー

現役ファンド・マネージャー2人が語る

「リーマン・ショック直前と似てきた」 

 

■株式市場に逆襲されたGPIF 

■深刻な内部対立が始まった 

■GPIF運用委員会のトップと敵対する人物とは 

■マーケットでの運用経験がない「最高投資責任者」 

■政府の内部でも「対立」が発生した 

■ロボット・トレーディングが市場を破壊する 

■HFTの「フラッシュ・クラッシュ」は、こうして起きる 

■第二のリーマン・ショック、そして大きな戦争(ラージ・ウオー)へ 

 

4章 新たなる恐慌前夜 

 

●5頭目のクジラ、日銀が株を買い支える 

●空売りをする個人投資家たち 

●トヨタの株価で日本経済の全体像が分かる 

●ネット・バブル企業の錬金術vs実需でモノをつくって日本を支える会社 

●なぜアップルの時価総額と売上げは喰い違うのか 

●民間から米政府に回った「毒」がはじける 

●世界大恐慌の震源地はコンピュータによる長高速度取引だ 

●「中国が米国債を売ったらしい」 

●投資家たちが先行きに不安を感じている証拠 

 

5章 貧困に沈む日本 

 

●アメリカの累積債務問題で、ベイナー下院議長は泣いた 

●また〝黒田バズーカ〟80兆円が炸裂(さくれつ)する 

●もう「Q(キユー)(イー)4」は許されない 

●先進諸国の余剰品が新興諸国を強くする 

●なぜ誰も「日本は貧乏になっている」と言わないのか 

●金(きん)の値決めで手を組んだイギリスと中国 

●いよいよ金融抑圧(ファイナンシャル・サプレッション)が始まった 

●ユーラシアの時代と有効需要 

 

あとがき 

 

巻末付録

「どん底値」で買う! 優良銘柄36 

 

=====

 

まえがき

 

 これからまだまだ株の連鎖暴落は起きる。

 

今年の8月24日から始まった世界的な株の連鎖した暴落(ヽヽヽヽヽヽ)は、投資家たちの肝(きも)を冷やした。NY(ニユーヨーク)ダウは1日で1082ドル落ちた。9月2日にも1000ドル下げた。1万5000ドル少しまで落ちた。

 

 この煽(あお)りを受けて、日本株も733円安の暴落が起きた。今も1万8000円どころか1万7000円の攻防戦をやっている。あの8月24日に、日経平均の先物夜間取引で1万7160円(瞬間の最安値)が出現した。ということは、これからは1万6000円台、1万5000円台の株安が続く。9月29日には1万7000円を割った(1万6901円)。

 

 世界的に連鎖する株暴落が、断続的にこの秋もずっと続く。さあ、そしてこれからどうなるか、だ。

 

私は1年前に『官製(かんせい)相場(そうば)の暴落が始まる』(2014年11月、祥伝社)を書いた人間だ。政府が自ら率先して法律違反の相場操縦(マーケツト・マニピユレーシヨン)で、官製相場を仕組んでいる。その〝主役〟はGPIF(ジーピーアイエフ)(年金積立金管(かん)()運用(うんよう)独立行政法人)と、共済年金とゆうちょ・かんぽ資金と日銀ETF(イーティエフ)の「5頭のクジラ」たちである。本文のP96で詳述する。

 

「官製(かんせい)相場」は流行語になった。そこら中で皆が使った。「官製相場なんだってね」と。

 

この本で、私は「官製株バブルで投資家や経営者たちを浮かれ騒がせておいて、消費税の追加増税のあと、2015年に日本株が暴落する。ニューヨークでも株式の暴落が起きる。無理やりつくったNYダウ平均株価1万7000ドル台は、1万5000ドル台まで落ちるだろう」。

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このように書いた。今、まさしくこのとおりになった。そしてこのあと、さらに起きるのは、「世界連鎖暴落の再発」である。私のこの予測を批判したり否定したりできる人間は、もういないはずだ。あんなに強気だった者たちまでが、今はもうダンマリを決め込んで、浮かぬ顔をしている。……だが今さら、「また暴落が来ますね」とは、とても言えない。自分に対して恥である。

 

アベノミクス礼賛(らいさん)で、「安倍(あべ)首相よ、もっと株価を上げてくれよー。2万500円どころか2万5000円にしてくれよー」と、夢と願望で縋(すが)りついていた個人投資家たちは青ざめて、今や投資の含み損を抱えてオロオロしている。私が「気をつけなさいよ、またハシゴを外(はず)されますよ」と書いてきたとおりではないか。こういう時は「言わんこっちゃない」とか、「ほら見たことか」とか、「だから言っただろう」という。これらの日本語がピタリと当てはまる。

 

副島隆彦(そえじまたかひこ)

 

=====

 

あとがき

 

 この本の前のほうで書いたが、あのサブプライムローン崩れ(2007年8月)、リーマン・ショック(2008年9月)から8年が経()った。いよいよ次の大きな危機が迫っている。

 

「なーに。株価はまた上がるよ。安倍政権がなんとかしてくれるさ」と強気、楽観で押してゆく投資家、資産家たちがたくさんいることだろう。私は、衆(しゆう)()敵せず、多()(ぜい)に無()(ぜい)で、彼ら体制寄り権力者側の人々からは、ずっと敬遠されてきた。

 

 しかし、金融・経済の近(きん)()(らい)()(そく)は、数(かず)の力では決まらない。未来予測は「議論すべきこと」ではなくて予測(予言)が当たるか、否(いな)か、だ。大きな世界の動き、政治の動きを見据(みす)えながら、質の高い金融予測をした者が勝つ。

 

 私は自分の本の読者たちに、これまで損をさせていない。「注意してください。用心しなさい、また騙(だま)されますよ」と、厳(きび)しいイヤなことばかり書いてきた。夢、希望、願望で言論人をやってこなかったからだ。大きな処(ところ)で予測を外(はず)していない。だから私の信用(クレディビリティ)は今も続いている。

 

そして、この本の前作である『官製相場の暴落が始まる』(2014年11月刊)のとおりになった。さあ、いよいよ強気(ブル)派(株価は再上昇する)と、私のような弱気(ベア)派(再発する世界連鎖暴落)の決戦の時が近づいている。このことは「議論すべきこと」ではない。どっちの予測が当たるか、だ。

 

 この本も祥伝社書籍出版部の岡部康彦部長との二人三脚であった。思わぬ伏兵(ふくへい)は二人の体調崩れであった。相(そう)()(市場)も人間と同じで体調を崩すのだ。記して感謝します。

 

2015年11月

副島隆彦

 


(終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 
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ダニエル・シュルマン
講談社
2015-11-25



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 2015年10月21日、ジョー・バイデン副大統領が2016年の米大統領選挙への不出馬を表明しました。これで実質的には、アメリカの大統領選挙は終戦となります。民主党はヒラリー・クリントン前国務長官が、ジュリアン・カステロ・アメリカ住宅都市開発長官を副大統領候補(ランニングメイト)にして、サンダースとの戦いを「演出(やらせ)」しながら予備選を勝ち抜き、大統領候補となります。

 

 

 本選挙では、共和党側はジェブ・ブッシュ前フロリダ州知事が候補者となるでしょうが、共和党は勝つことはできないで、ヒラリーが大統領になります。

 

2017年1月に発足するヒラリー・クリントン政権は、共和党側ネオコン+民主党側人道的介入主義派の超党派連立政権となります。そして、史上稀に見る最悪の凶悪な政権となります。「タカ派的」などという言葉が生易しいほどの軍事介入を世界各地で行うでしょう。

 

バイデンは、不出馬声明をホワイトハウスのローズガーデンでオバマ大統領と奥様のジルを従えて読み上げました。実際に声明を聞くまでバイデンが大統領選挙に出ると思った記者もいたそうです。ローズガーデンで大統領であるオバマが隣に立つというのは、オバマなりのバイデンに対する最大の敬意の表し方で、かつヒラリーを積極的に支持しないという姿勢を明確にしたと言えます。

 

オバマはジョージ・HW・ブッシュ(父)元大統領の現実主義外交政策を目標にしていましたから、ネオコンや人道的介入主義派とは相いれない訳です。ジェブが父親を目指すということになると、オバマは党派を超えてジェブの方に近いことになります。ヒラリーの方が立場としてはずっと遠いということになります。

 

 今回ご紹介する記事には引用されていませんが、私はバイデンの声明の中で、次の一節が最も重要な内容だと思います。

 

(引用はじめ)

 

「私はオバマ大統領がこの国を危機から救い、回復基調に乗せた。そして現在は再び成長させている。彼はリーダーシップを発揮し、指揮を執ってきた。わたしはこのように確信している。私はその一部として役割を果たしてきたことを誇りに思っている。民主党、そして我が国が、オバマ大統領の残した路線から外れたり、それを押しとどめようとしたりすれば、悲劇的な過ちを犯すことになるだろう(I believe that President Obama has led this nation from crisis to recovery, and we're now on the cusp of resurgence. I'm proud to have played a part in that. This party, our nation, will be making a tragic mistake if we walk away or attempt to undo the Obama legacy)」

 

(引用終わり)

 

 ホワイトハウスのローズガーデンでオバマ大統領を傍らにして出たこの発言こそは、バイデンが最も言いたかったことであり、政治キャリアを終わらせるにあたっての「遺言」です。ヒラリーの「人道的介入主義(humanitarian interventionism)」「タカ派(hawkish)」路線の外交政策でアメリカは致命的な間違いを犯すことになる、とバイデンは警告を与えているのです。バイデンは声明読み上げの中で「私は今回の大統領選挙に出馬しないが、私はこれからも発言を続けていく(While I will not be a candidate, I will not be silent)」とも述べていますが、ヒラリーにしてみれば「カエルの面に小便」でしょう。

 

 これでアメリカ大統領選挙の大勢も決まりました。そして、世界の進む方向性も決まりました。後は中国・ロシア・イラン・ヨーロッパ(イギリスを含む)の国々がどれだけ、ヒラリーの暴走に対抗できるかということになります。2017年以降、中東とアジアはきな臭くなるでしょう。

 

==========

 

バイデンは米大統領選挙不出馬を表明(Biden says no to White House run

 

ジョーダン・ファビアン筆

2015年10月21日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/administration/257595-biden-to-make-announcement-from-white-house

 

 ジョー・バイデン副大統領は水曜日、2016年の米大統領選挙に出馬しない事を発表した。彼は民主党の予備選挙に出馬し、民主党の最有力候補ヒラリー・クリントンと争うとみられていた。そして、40年にわたる政治生活を終えることを示唆した。

 

 これによって、数か月にわたって続いた、バイデンは出馬するのかどうかということに関しての憶測は終止符を打つことになった。バイデンは、大統領選挙の候補者になる道筋が見えなかったと述べた。彼は、チャンスの窓は「閉じられた」とはっきりと述べた。

 

 「残念なことですが、私たちには時間が足りないと考えます。私が民主党の指名を受けるために選挙戦に勝利するための十分な時間がないのです」

 

 72歳になる副大統領は、ホワイトハウスのローズガーデンにおいて、妻ジルとオバマ大統領を従えて、声明を読み上げた。

 

 バイデンは自身の決断に至るまでの詳細については語らなかったが、ヒラリーの復活によって、バイデン出馬の待望論がしぼんでしまったというのが多くの人々の見方だ。ヒラリーは、共和党側の失言、支持率の上昇、討論会における成功によって息を吹き返した。

 

 バイデンは全米の注目を受けながら声明を読み上げた。そして、今年亡くなった息子ボウ・バイデンから「鼓舞」を受けたと述べた。今回の会見はまるでバイデンの出馬表明の場のようであった。彼はワシントンを「問題解決の糸口」にしたいと強調した。

 

 バイデンは次のように語った。「私たちは不毛な党派対立の政治を止めねばならないと強く思っています。この不毛な対立によってこの国は分裂してしまっています。私たちは不毛な争いを止めることが出来ると私は思います。寛大さに欠け、狭量になっています。これらは長すぎる期間続いてしまったのです」。

 

バイデンは14分間にわたって続いたスピーチの中でヒラリー・クリントンの名前に言及しなかった。しかし、バイデンは、ヒラリーが共和党の中に敵がいることを誇りに思うと述べたことを批判した。

 

 彼は次のように語った。「ある人々が述べているように、私は共和党に対して話をすることは利敵行為だなどとは思いません。私は、私たち民主党は共和党を敵だと見なすべきではないと考えます。彼らは私たちの反対党ではあります。彼らは私たちの敵ではありません。 国家のために私たちは一緒になって働かねばならないのです」。

 

 側近によると、バイデンは不出馬の決断を今週火曜日の夜にしたということだ。ヒラリーが民主党の大統領選挙最有力候補として勢いを増していることが決断の理由となった。

 

 バイデンはヒラリーに対抗しうる唯一の民主党内の候補になったであろう。ヒラリーはリベラル派のバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)からの追撃を受けている。アイオワ州やニューハンプシャー州のような早い段階で党員集会や予備選挙が行われる州の世論調査ではヒラリーはサンダースに追い上げられている。しかし、ヒラリーを本当に追い詰めることが出来る候補はバイデンだけであっただろう。

 

 数週間前、バイデンは大統領選挙へ出馬する可能性が最も高まった。この時、ヒラリー陣営は、ヒラリーが国務長官在任当時に個人的なEメールを使ってやり取りをしていたことを攻められて苦闘していた。

 

 バイデン出馬が信憑性を帯びてくると、ヒラリー陣営は警戒感を高めた。そして、政策を一気に左派へと転換した。そして、共和党に対する攻撃を強めた。

 

 先週火曜日に行われた民主党の討論会がターニングポイントになった。ヒラリーは討論会で成功し、本選挙での戦いの準備ができているのかという疑いを持っていたが、それを払拭することが出来た。

 

 討論会の後に発表された世論調査の結果では、ヒラリーの支持率は回復していた。バイデンとの一騎打ちを想定した世論調査では、リードを拡大している。民主党の幹部たちはバイデンが出馬する次期を失ったのではないかと考えるようになった。

 

 バイデン副大統領が機会を完全に失ってしまったのは、今週火曜日であった。この日、バイデンはオサマ・ビンラディンを殺害することになった急襲計画に反対したということを否定した。彼のコメントは以前のコメントと矛盾するものであった。彼は、オバマ政権において最も重要な決断の時に、そのようなリスクの高い計画は実行すべきではないと反対したとその当時は述べていた。

 

 大統領選挙への出馬を取り止めると発表したが、バイデンはヒラリーを支持する準備はできていないと述べた。バイデン副大統領は、民主党にとってオバマの残した路線、そしてバイデン自身が残した路線を守ることが何よりも重要だと述べた。

 

 バイデンは次のように述べた。「民主党はオバマ政権の記録を守るだけではダメです。その記録に沿ってこれからも行動すべきです」。

 

 ローズガーデンでの声明発表の後、ヒラリーはバイデンと話したと報道されている。ヒラリーは「バイデンはこれからも民主党内で大きな力を持ち続けるだろう」と述べた。

 

 ヒラリーは声明の中で次のように書いている。「私はバイデンとの歴史が終わったとは思っていない。今日彼が述べたように、これからも彼がやらねばならない仕事は残っている。私が知っているジョーは、これからも最前線に立ち、私たちのために戦い続けてくれるだろう」。

 

 民主党員や支持者たちの大部分はバイデンの決断に安堵したようだ。それは、出馬を表明しても彼が予備選挙に勝つチャンスがあるだろうかと疑念を持っていたからだ。

 

 バイデンが選挙への出馬を表明しても、その段階で彼の銀行口座には選挙資金は1ドルも入っていないということになっただろう。一方、ヒラリーは今年の春に出馬表明をして以来、選挙資金として7700万ドル(約90億円)の政治献金を集めている。

 

 バイデンはサンダースとポピュリスト的な政策や言辞を使って戦うことは難しかっただろうし、ヒラリーと自分を対比してその違いを鮮明にすることに苦労したことだろう。バイデンとヒラリーはオバマ政権の最初の4年間一緒に働いたのだ。

 

 バイデンに出馬によってオバマも厳しい立場に追い込まれていたことだろう。バイデンとヒラリーが戦うことになると、オバマの政治的同盟者であり友人でもある2人が争うことになって、そのただなかに巻き込まれてしまうことになっただろう。

 

 民主党員の中にはバイデンに大統領選挙に出馬するように強く求める人々もいた。彼らは、バイデンの率直な、飾らないスタイルが、お高くとまったヒラリーに対して、対抗馬として十分アピールになると主張した。

 

 バイデンは、ホワイトハウスでの残りの生活において「沈黙を守る」ということはないとはっきりと述べた。そして、彼が重視するのは、がんの治療法を確立するという「壮大な試み」であると述べた。息子をがんで失ってから、このことは自分にとって「大変個人的な」願いと試みになったと述べた。

 

 彼は「私は民主党の立ち位置と私たちが1つの国として必要なことについてできるだけ多くの人々に影響を与えることが出来るように自分の意見をはっきり述べたいと考えている」と語った。

 

 バイデンは彼自身の人生を振り返った。彼は上院の中でも有力な議員となったが、大統領選挙には2度出馬してそれぞれ敗退した。彼は人々が公の仕事をやらせてくれる地位に彼をつけてくれ、そうした名誉を与えてくれたことに感謝すると述べた。

 

 バイデンは「私たち家族は公的な仕事の中で生きる目的を見つけた」と繰り返した。

 

(終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 

ダニエル・シュルマン
講談社
2015-11-25



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 今回は、バイデン副大統領の大統領選挙出馬に対する期待と失望の声が交錯しているという記事をご紹介します。

 

 バイデンがヒラリーとの違いを明らかにするためには、国内政策ではほぼ違いはないのですから、外交政策での違いを強調しなければなりません。そうなると、オバマ路線の継承となります。これは副大統領だったのですから当然のことです。しかし、個のオバマ路線、現実主義は、アメリカの偉大な力を使わずに逃げ回っているように見えて、人気がないことは前回書きました。これを売りにしてしまうと、バイデンは人気を得ることが出来ずに敗退してしまうことになるでしょう。また、バーニー・サンダースとの争いでも消耗してしまうことになるでしょう。

 

 こうした包囲網を敷かれた閉塞状況を打破するためには、思い切った新機軸を打ち出すことが必要で、これに手間取っていると思われます。また、ベンガジ委員会でのヒラリーの公開証言が今週木曜日に行われますが、この時に何かが起きることを待っているのではないかと思われます。今週末が大きな山場となります。

 加筆します。この記事は数日前に準備をしたものです。本日、バイデンは大統領選挙への不出馬を表明しました。この記事にもあるような、バイデン包囲網はかなりきついものになっていました。

 

==========

 

バイデンは決断を下そうとしているが、疑いは深まっている(Biden closes in on decision, but doubts multiply

 

ニアール・スタネイジ筆

2015年10月15日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/257104-reports-biden-closes-in-on-decision

 

ジョー・バイデン副大統領が2016年の米大統領選挙に出馬するかどうかの決断を下そうとしている。

 

CNNは木曜日午後遅く、バイデンの家族は副大統領の大統領選挙出馬に賛成したと報じた。また、NBCニュースは、匿名の人物に発言を紹介しながら、バイデンが政界を揺るがすような質問に答えるための「最終段階」にあると報じた。

 

 しかしながら、バイデンが大統領選挙に出馬しないだろうという疑いの声は数日前から大きくなっている。木曜日の夜にラスヴェガスで行われた最初の討論会でヒラリー・クリントンが成功したことを受けて、バイデンに対する悲観論が大きくなってきている。

 

 ヒラリーが国務長官在任時に個人的なEメールアドレスとサーヴァーを使用したことが大統領にふさわしくないという考えから、バイデンが大統領選挙に出馬することになるという主張がなされるようになった。大統領選挙でヒラリーは勝てないだろうから、バイデンが出るべきだと考える人たちが増えていったのだ。

 

 しかし、ヒラリーは民主党内部のこうした懸念を抑え込んだ。そのために、バイデンに対する期待はしぼんでしまっている。

 

 民主党への大口献金者の一人は、『ザ・ヒル』誌の取材に対して、バイデンとバイデンの側近たちに対して、待ちくたびれた、出馬を検討するのに長い時間を使いすぎたということを伝えている人々がいると語った。

 

 この人物は次のように語った。「数週間前であれば、私もこうしたことを言わなかったでしょうが、ドアはもう閉まってしまっていると私は考えます。ヒラリーの討論会の成功の後にドアは閉まってしまったようです」。

 

 彼は続けて次のように語った。「彼に決断を促す声は出ていますが、少し遅すぎたと思います」。

 

 バイデンは出馬を決断すべき時だ、とする声の中で最も大きなものは、ヒラリー陣営の最高幹部、選挙対策本部委員長のジョン・ポデスタのものであった。

 

 ポデスタは水曜日、MSNBCのアンドレア・ミッチェルの取材に対して、「今はもう決断の時だ」と答えた。

 

 民主党内部では、バイデンの出馬に果たして大義名分が立つのかどうかを懸念する声が広がっている。バイデンはヒラリーと中道左派的な立場を共有している。その点ではリベラリズムを掲げて対抗しているバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)よりも近い立場にある。それなのにヒラリーを倒すために選挙に出馬するのに大義名分が立つのかという声が出ているのだ。

 

 民主党のコンサルタントであるヒラリー・ローゼンは『ザ・ヒル』誌の取材に対して、民主党員と支持者たちは、バイデンが出馬することを望んでいる、なぜならそれは「彼が選挙戦について正々堂々と戦うという考えを持っているからだ。彼はヒラリー・クリントンがつまらないことで躓くことを望んでいないのだ」と答えた。

 

 バイデンが出馬を決めて選挙運動をして、勝つための時間がのこっているだろうかという質問に対して、ローゼンは「もちろん、しかし、窓は閉まりつつある。私は、問題は2つあると考えている。1つは兵站の問題。彼が決断を遅らせれば遅らせるほど、支持を減らしてしまう。もう1つは彼の目指す大統領像を明確に示すことだ」。

 

 バイデン周辺と付き合いがある、匿名のあるストラティジストはローゼンよりも厳しい現状認識を示した。

 

このストラティジストは「彼のための道は残っていないと思う。これが問題だ」と述べた。

 

 木曜日の段階で、マスコミはバイデンが大統領選挙への出馬寸前であるという報道をするなど揺れ動いていた。CNNは、バイデン自身が予備選挙や党員集会が最初に行われる3州それぞれを拠点にしているストラティジストたちに電話をかけ、「選挙戦に出るか出ないかではなく、選挙戦をどのように始めたら良いかを聞きたい」と話したと報じた。

 

 CNNはまた、「バイデンが複数のストラティジストに電話をかけたということは、家族が出馬に賛成しているのだ」と報じた。家族の意向はバイデンと側近たちにとって極めて重要だ。今年5月にバイデンの息子ボウが脳腫瘍のために亡くなり、家族はその痛手を抱えている。

 

 現在のところ、バイデン自身も含めて、誰も彼がどうするか分かっていない状況だ。

 

 NBCニュースのクリスティン・ウォーカーは木曜日、副大統領官邸で韓国大統領を迎える式典に出席したバイデンに対していくつかの質問をした。ウォーカーは離れた場所にいたために叫ぶことになった。

 

ウォーカーはまず、大統領選挙に出馬するのかと質問した。それに対して、バイデンは「それには韓国語で答えることにするよ」と冗談を飛ばした。

 

 ウォーカーは続けて、「まだ決心はしていないのですか?」と叫んだ。

 

 「聞こないなあ」とバイデンは笑顔で答えた。

 

(終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 

ダニエル・シュルマン
講談社
2015-11-25



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 今回は、ヒラリーが国務長官当時にオサマ・ビンラディンが潜伏していた邸宅をアメリカ軍の特殊部隊が急襲して、ビンラディンを殺害した事件に関する記事をご紹介します。この記事では「ある元高官」となっていますが、私はこの人物は、ヒラリー派のジェイク・サリヴァンだと思います。この人物はヒラリー派であり、当時は国務省政策企画本部長の要職にありました。

 

 この匿名のオバマ政権元高官は、「アメリカの仇敵」オサマ・ビンラディン殺害に関して、ヒラリーは賛成したが、バイデンは反対したという論を『ザ・ヒル』誌の取材に対して展開しています。これは、バイデンはアメリカの仇敵にも「宥和的」であるという印象付けの内容です。

 

今週木曜日にヒラリーは連邦下院のベンガジ特別委員会で公開証言を行うことになっています。ここが一つの山場になります。その前にこうした記事が出たというのは、バイデンに対する牽制でもありますし、ヒラリーの行うであろう積極的な攻撃的な外交政策が有効であるという印象付けに意図があると思われます。

 

 アメリカの中で、既に共和党のネオコン派と民主党の人道的介入主義派は手を結んで、ヒラリーの勝利のために動いているという印象です。民主、共和両党の現実主義派は敗北しつつあります。兄ジョージ・W・ブッシュよりも父ジョージ・HW・ブッシュに近い政策を行うであろうジェブ・ブッシュは共和党ネオコン派からしてみれば、ヒラリーよりも「大統領にふさわしくない」候補者ということになります。

 

 日米ともに政治の世界は劣化が進み、国際的には孤立しています。中国とイギリスの接近やカナダやオーストラリアの選挙結果を見ると、世界の流れや国際協調の動きに反して、孤立を深めているのは日米だということが分かります。

 

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元高官:バイデンは急襲に反対した(Former official: Biden was against raid

 

エイミー・パーンズ筆

2015年10月20日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/administration/257468-former-official-biden-was-against-raid

 

 オサマ・ビンラディンの殺害にまで発展した急襲計画の議論に参加したオバマ政権の元高官は木曜日、ジョー・バイデン副大統領は急襲計画の実行を支持しなかったと述べた。

 

 この高官はパキスタンでのこの計画の実行を許可するかどうかの議論に参加した。この人物は、当時のヒラリー・クリントン国務長官とレオン・パネッタCIA長官は急襲計画を支持したが、バイデンは支持しなかったと述べた。

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急襲の時の作戦室(左端の青いシャツがバイデン、口を押えているヒラリー)
 

 元高官は『ザ・ヒル』誌の取材に対して次のように語った。「私が言えることは、当時のレオン・パネッタCIA長官とヒラリー・クリントン国務長官は急襲を支持し、シチュエイション・ルームで実行を求めるプレゼンテーションを行ったということです。クリントン長官は彼女の考えを明らかにし、レオンもまた彼自身の立場を明らかにしました。その際、副大統領が彼らと同じ考えを持っていたのか、思い出せないのです」。

 

 この元高官は続けて、「4月28日に大統領が最終決定のための会議を招集したのですが、アドヴァイザーたちは賛成、反対2つのグループに分かれていました」と述べた。

 

 2016年米大統領選挙でヒラリーに対抗しての出馬を検討中であるバイデンは、火曜日、個の元高官の発言とは異なる内容の発言を行った。

 

 バイデンは元副大統領ウォルター・モンデールを賞賛する会合に出席した。その会合の中でバイデンは、「個人的には急襲計画を支持していましたが、2人きりで話ができる機会があるまで、助言をすることを差し控えました」と述べた。

 

 民主党の大統領選挙最有力候補ヒラリー・クリントンが「私は急襲計画を完全に支持していた」と発言したが、バイデンはそれを否定した。

 

 バイデンは「私は大統領に、計画は実行すべきだという意見を言いましたが、あくまでも自分の本能に従って決定してくださいとも言いました」と述べた。

 

バイデンは、ジョージ・ワシントン大学で開かれたパネルディスカッションにモンデールとともに出席した。この席上、バイデンは「この難しい問題について、私は大統領執務室で2人きりになれるまで、大統領に対して私の最終的な判断を伝えることはありませんでした」と述べた。

 

 元高官は、2人きりになった時、バイデンがオバマに何を行ったのかを知る人物はいないと語った。しかし、バイデン副大統領が、ビンラディンに対する特殊部隊による急襲計画についてどのような立場を取っていたかは明白だとも述べた。

 

 パネッタはオバマ政権でCIA長官を務めた日々を回想録にまとめた。この中で、パネッタは、バイデンが急襲計画に反対し、ヒラリーは賛成したと書いた。

 

 パネッタは回想録『価値ある戦い』の中で次のように書いている。「バイデンは、ビンラディンがターゲットの屋敷内にいるという十分な証拠もまだ集まっていないし、更なる情報収集をするために時間を使うべきだと強く主張した」。

 

 パネッタは、同書の中で、「クリントンはさらに時間をかければ、更によい情報が集められるだろうが、今回は千載一遇のチャンスであり、それを掴むべきだと述べた」と書いている。

 

 火曜日にバイデンが行った説明は、2012年に彼自身が行った説明とも違っている。

2012年当時、バイデンは民主党所属の連邦下院議員たちに対して、彼は、オバマ政権下の最も重要な計画の実行に反対したと述べた。

 

 『ニューヨーク・タイムズ』紙の報道によると、バイデンは議員たちに対して、「大統領、私の提案は、実行しないというものです」と述べたということだ。

 

(終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 

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