古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

2016年05月

  古村治彦です。

 

 今年の4月頃から、事実上の共和党大統領選挙候補者であるドナルド・トランプに関する本が書店に並ぶようになりました。その中でも値段の安さと、アメリカ文化研究の第一人者である明治大学名誉教授・越智道雄監修という言葉に魅かれて、『ドナルド・トランプの大放言』を購入し、読んでみました。副題には「史上最狂の大統領候補!」「米国民はなぜこの男を支持するのか」とあり、なかなか刺激的です。

donaldtrumpnodaihougen001



 この本のスタイルは、トランプのこれまでの発言や彼の本の中から、刺激的な発言を選び出し、それを翻訳し、それに対して、「編集部」と呼ばれる執筆陣が突っ込みを入れるというものです。最後に越智氏のトランプに対する短い文章が掲載されています。本の奥附を見ると、「編集」として、根村かやの、向笠公威(宝島社)、「編集・執筆協力」として川畑英毅とありますので、トランプの「放言」を選び出し、翻訳し、それに突っ込みを入れている「編集部」はこの人々で構成されていると考えられます。

 

 トランプがどんな発言をしてきたかに興味がある方は読んでみたら面白いと思います。また、越智先生の最後の解説は短いですが、読み応えがあります。また、最後におそらくウィキペディアを参考にして作られたであろうトランプの年表がありますが、これは役立ちます。この本には情報に対してのお値打ち感はあります。

 

 本全体はトランプに対して批判的なトーンです。越智先生の解説は、トランプをガキ大将、価値紊乱者(既存の価値観を揺さぶる者)とし、この価値紊乱者トランプを支持しているのは、白人ブルーカラー(大学教育を受けず、製造業などに従事している)であり、彼らは、昔は時給50ドルで働く、アメリカ中間層を形成していたが、今や凋落しており、その不満をトランプが集めているとしています。これは誰でも言っていることでもあり、目新しいものではありません。

 

 また、トランプは、アメリカが「覇権国家」として、「世界の警察官」ができないということをはっきりと述べているが、これは、アメリカが戦後営々と築き上げてきた「第三次世界大戦を起こさせない」ための「第三次世界大戦(すなわち地球の最期)勃発防止の体制とプロセスをご破算にしろ」というのであって、「覇権国家の終末期まで衰えてきた時刻を、この呪縛(引用者註:制服を伴わない世界統治型という秀才型覇権国家たらんとして自由と民主主義を輸出する)から一斉に解き放ち、自国の存続のみに転換を図る(「アメリカ第一主義」)」としています。

 

 越智先生の主張は、「アメリカは戦後世界を平和に保つために頑張ってきて、実際に平和であったけれども、力を失ったのでその努力を放棄したいとなっている。アメリカは、“世界がどうなっても構わない”“アメリカだけ安泰であれば世界がどうなろうが知ったこっちゃない”となっていて、その象徴がトランプだ」と述べている訳です。

 

 面白いのは、「世界がどうなろうが知ったこっちゃない」と思っているという批判は、日本に対してむけられた批判の内容とそっくりです。「日本は一国平和主義に耽溺し、世界に無関心だ。そんなことでは世界の孤児になってしまう」という主張がよくなされました。こうした主張をする人々は、「だから日本は自衛隊を領域外に出して世界貢献をしなくてはならない」「汗(血とまではさすがに言えない)を流す貢献を」と続けて主張しました。

 

 こうしたことから考えられるのは、越智先生は、アメリカが世界秩序を維持するために、海外に積極的に出ること、ネオコンや人道的介入主義派にシンパシーを感じているということです。ですから、ここの部分でオドロオドロシイ「第三次世界大戦(地球の最期)」という表現を使って、トランプが当選することは、アメリカの弱体と、アメリカが雨リア化軍を世界に展開することを止めることで、世界が平和ではなくなるという印象付けを行おうとしているように思います。アメリカの戦後世界統治システムの負の部分にわざと目を向けない、そのように感じます。

 

越智先生は、「アメリカ・ファースト(America First)」を「アメリカ至上主義」と訳していますが、これは良くないと思います。これは、「海外のことに関わらないで、アメリカ国内の諸問題を解決するようにしよう」ということであって、アメリカが「至上」「一番」と言っている訳ではありません。「国内問題解決優先主義」と訳すべきです。そうしないと、大変な誤解を与えることになります。そうしなければ、America Firstと対のようにして使われる言葉Isolationismと矛盾を起こしてしまいます。

 

 こんなことを書いては失礼ですが、トランプが大統領になってしまうと、困っちゃいますかね、越智先生、こんな本も出していらっしゃるし、というのが私の読後感です。

  


(終わり)





 
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote

  古村治彦です。

 


 裁判官というと、厳正中立、生真面目で気難しい人、知り合いにでもいなければ一生会わないであろう、もしくは会いたくない人というイメージがあります。過去のテレビドラマでは家裁の裁判官や離島の裁判官をテーマにしたものがあり、そこでは人間味があれる裁判官が出てきますが、これは堅苦しく人間味がない裁判官のイメージを逆に利用したものと言えます。

 

 私は裁判を傍聴したことが2、3回ありますが、裁判はドラマのように、検察側と弁護側が激しくやりやうなんてことはほとんどなくて、裁判所に出てきて書面のやり取りをして、裁判官、検察官、弁護士で次の日程を決める(これが時間がかかります、三者が都合の良い日時とはなかなかないものです)、で終わります。次の開廷まで数カ月かかることもあります。

 

 裁判をして勝っても、相手にお金がなければ、何も取れないからバカらしいとか、和解を勧められて、それを断ると裁判官の心証を悪くして不利な判決を出される、なんて話も聞いたことがあります。

 


 瀬木比呂志著『絶望の裁判所』(講談社現代新書、2014年)を読むと、裁判所と裁判官に対して持っていた通り一遍のイメージは覆されます。そして、ある意味では、裁判官の「人間らしい」部分がよく分かります。裁判官も私たちと同じく、偉くなりたい、華やかな場所に住みたいといったささやかな希望をかなえたいと思っている人たちだということが分かります。

 

 彼らのそうしたささやかな希望を利用して、上級の裁判所や上司が裁判官を管理しようとします。例えば、国家賠償裁判となれば、国に対して不利な判決を書くような裁判官は、出世できない、地方の裁判所を回らされる、そして、裁判官を辞めるようにアレンジされてしまうということが行われているそうです。

 

 また、日本の裁判では和解に至るケースが多く、「日本人は昔から争いを好まないから話し合いで問題を解決してきた」という話がまことしやかに流布されていますが、実際には、裁判官が「判決を書くのが面倒くさい」「上司の気に入らない判決を書いて評価がマイナスになるのが嫌だから」という理由から、和解を勧めるということもあるのだということです。

 

 裁判所は市井の事件は和解などを通じてどんどん処理しながら、憲法にまで関わるような「大きな正義」の事件(国家賠償請求など)に関しては、どっちつかずの態度で、判断を示さずに、結局権力に迎合することを求められ、そのような状態になっているということです。著者の瀬木氏は、裁判所が「国民、市民支配のための道具、装置」と堕していることを嘆いています。

 


nihonseijinokeizaigaku001


 『日本政治の経済学 政権政党の合理的選択(
Japan’s Political Marketplace)』(マーク・ラムザイヤー・フランシス・ローゼンブルース著、加藤寛監訳、川野辺裕幸・細野助博訳、弘文堂1995年)という本があります。アメリカ人の日本学者2人が書いた日本政治に関する本です。この本は、日本政治を「合理的選択論(Rational Choice Theory)」というアプローチで分析している内容です。そして、合理的選択論の中でも、本人・代理人(Principal-Agent)関係を援用して、日本政治を分析しています。

 

 本人・代理人関係とは、当事者が自分の利益を実現させる(選好を反映させる)ために別の当事者を使うことで、日本政治に当てはめると、有権者と議員の場合は、有権者が本人、議員が代理人となり、議員と官僚の場合は、議員が本人、官僚が代理人となります。本人の期待と代理人の成果の間のギャップを「エージェンシー・スラック(Agency Slack)」と言います。

 

 本人・代理人関係で自民党議員と裁判官の関係を分析したところ、次のような結論が出ました。『日本政治の経済学』から引用します。

 

(貼り付けはじめ)

 

  裁判官が独立した存在である場合には、エージェンシー・スラックに関する無数の問題点を引き起こす。したがって、日本のように政治家が、公約の信頼性を高め、代理人としての官僚を統制するために司法以外の方策をあみ出せる場合には、政治家が代理人である司法部の独立を抑制しようとすることは容易に想像できる。自民党幹部は、そのような統制に服しやすい司法組織を作りあげてきた。下級裁判所の裁判官は、若くして判事となり、人生の大部分を判事職に費やすことになる。そして、裁判官の配置先、報酬、担当事件などは、事務総局の上官が彼らの仕事をどのように評価するかに大きく依存しているのである。そのような事務総局の裁判官は、最高裁の要求に応じる存在であり、その最高裁は、自民党により任命されて間もない者によってのみ構成されているのである。(161ページ)

 

(貼り付け終わり)

 

 『絶望の裁判所』は、このような分析を裏付ける論証がなされている本です。司法の独立、という言葉が既に形骸化していることを改めて気づかせてくれます。

 

(終わり)





 
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote

 古村治彦です。

  


 今回は少し古い本になりますが、『エコノミック・ヒットマン』という本を皆様にご紹介します。ヒットマンというと、大変物騒な単語ですが、エコノミック・ヒットマンという言葉について、著者ジョン・パーキンスは次のように書いています。

(引用はじめ)

 

 エコノミック・ヒットマン(EHM)とは、世界中の国々を騙して莫大な金をかすめとる、きわめて高収入の職業だ。彼らは世界銀行や米国国際開発庁(USAID)など国際「援助」組織の資金を、巨大企業の金庫や、天然資源の利権を牛耳っている富裕な一族の懐へと注ぎこむ。その道具に使われるのは、不正な財務収支報告書や、選挙の裏工作、賄賂、脅し、女、そして殺人だ。彼らは帝国の成立とともに古代から暗躍していたが、グローバル化が進む現代では、その存在は質量ともに驚くべき次元に到達している(1ページ)

(引用終わり)

 

エコノミック・ヒットマンとは、発展途上国に入り込み、そこで経済近代化計画を売り込みながら、実際には途上国から利益を搾り取るための存在で、経済アナリストやコンサルタントをしています。ヒットマンですが、彼らは実際の武器を振り回すわけではありません。彼らが使うのは経済統計や経済モデル、プレゼンの資料などです。

 

彼らはアメリカの大企業に雇われ、でっち上げの経済近代化計画を発展途上国に持掛け、それを導入させ、結果として、アメリカの大企業に大きな利権をもたらします。その国の人々が豊かになることには関心がありません(表向きは「皆さんのお為ですよ」と笑顔を振りまきますが)。

 

 エコノミック・ヒットマンの裏に気付く発展途上国のリーダーがやはり出てくるのですが、こうしたリーダーたちは、謎の死を遂げたり、政治的に失脚したりします。これを行うのが「ジャッカル」と呼ばれる人たちで、CIAの特殊工作員です。そして、このジャッカルでも手におえない場合は、アメリカ軍がその国を攻撃するということになります。パナマのマニュエル・ノリエガ将軍がその具体例です。

 

 著者のパーキンスはひょんなことからエコノミック・ヒットマンの道に入り、大成功を収めますが、自分のやっていることに疑問が生じ、30代には引退することになりますが、その後もコンサルタントや顧問という形でエコノミック・ヒットマンの世界に関わることになりました。

 

 彼の物語を荒唐無稽の話と切り捨てることも可能です。しかし、南米で1970年代に生まれた「従属理論(Dependency Theory)」や、イマニュエル・ウォーラスティンの「世界システム論(World Systems Theory)」は、こうした現実を説明するための理論です。「発展途上国はどうして発展途上国のままなのか、資源もあって、国民も決して怠惰という訳ではないのに」という疑問に対して、「それは先進諸国が発展党上告をそのままにして利権を貪りたいからだ」ということが答えになります。また、こうした発展途上国には、国内に先進諸国の利権に奉仕する人々が出てきます。こうした人々は「買弁(comprador)」と呼ばれます。こうしたことは、2012年5月に私が出しました『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所)でも詳しく説明しています。

 

 『エコノミック・ヒットマン』では、世界覇権国・世界帝国のアメリカと発展途上国の関係について上記の諸理論でも説明される事象の実際面が詳しく描かれています。それでは、アメリカと日本の関係はどうでしょうか。大きく言えば、「日本はアメリカの属国(client state)である」という点では、この本に出てくるパナマ、エクアドル、インドネシアなどと構造は変わりません。

 

 「日米関係だけは別だ。世界で最も緊密で平等な同盟関係だ」と考え、沖縄やアメリカ国債の問題などが見えない方々には、この本の話は荒唐無稽なおとぎ話ということになるでしょう。

 

(終わり)






 
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote

 古村治彦です。

 

 2016年5月18日、共和党の米大統領選挙候補者(nominee、ノミニー)に決まっているドナルド・トランプが、ニクソン大統領の国家安全保障問題担当補佐官、フォード大統領の国務長官を務めたヘンリー・キッシンジャー(92歳!)の家で会談を行ったそうです。18日の午後3時にトランプがキッシンジャーの邸宅を訪問し、1時間にわたり、膝を突き合わせて会談したそうです。それまでは何度か電話で会話をしたそうですが、今回、トランプのたっての希望で会談が実現したということです。

 

 一つ目の記事はアメリカのテレビ局NBCのサイトにアップされたもので、トランプとキッシンジャーの会談が行われた事実を簡潔に報道している内容です。

 

 この記事で重要なのは、三段落目で、トランプが北朝鮮の金正恩朝鮮労働党最高委員長と核拡散防止のために会談することには「やぶさかではない」と発言したこと(五月一七日火曜日、ロイター通信とのインタヴューで)が取り上げられています。「このようなトップ会談が行われることになれば、アメリカの対北朝鮮政策の大きな変更を意味することになるだろう」と記事で書かれています。トランプの「奇抜な」発言(メキシコ人は強姦をする、メキシコ国境の壁を作れなどなど)は数多くありますが、なぜこの発言が行われた後にキッシンジャーと会談をしたのかということを考えねばなりません。

 

 二つ目の記事はインターネットの独立系サイトの記事です。この記事で、キッシンジャーについては、ヒラリー・クリントンの師匠(mentor、メンター)で、国際関係論におけるリアリズムの大家であって、同時にヴェトナム戦争拡大に関与した「悪者」だと書かれています。そして、現在では中国の専門家で、米中国交正常化以降、密接につながっていたことが書かれています。

 

 北朝鮮は中国にとっては複雑な存在です。朝鮮戦争で援朝義勇軍を送って以降、知野同盟関係を結んできた国ですが、東アジアの平和と安定を望む現在の中国にとって、不確定要素となる北朝鮮の存在は厄介です。潰れないために支援をしなくてはいけませんが、自分たちの言うことを聞かない厄介者という存在です。北朝鮮が周りを悩ませている(bothering、ボザリング)のは、核兵器開発を行っているからです。そして、この核兵器開発の原点は、「自国の存在(と金日成の家系)が外国、特にアメリカから攻撃されてしまう」という恐怖感と、「核兵器があれば抑止力になるし、アメリカとの交渉材料になる」という計算です。北朝鮮は激しい言葉遣いの中にも、「アメリカと交渉して、国家の生存を認めてもらって、支援も受けたい」という意思を明確に表明しています(静岡県立大学の伊豆見元[いずみはじめ]教授の著作等をご参照ください)。

 

 私は、オバマ大統領の外交姿勢と考えからすれば、キューバとイランとの関係正常化を行ったのであれば、次は北朝鮮だろうと考えています。そして、ホワイトハウスの外交担当の人事からその兆候が見られるということを文章にしました。

 

※「副島隆彦の学問道場」内「今日のぼやき・会員ページ」(「副島隆彦の学問道場」の会員の方がアクセスできるページ)

「「1513」 最終第4クォーターに大攻勢をかける意気込みのバラク・オバマ米大統領 古村治彦・記 2015年2月24日」

http://www.snsi.jp/tops/boyaki/1804

 

 トランプとバラク・オバマ大統領の外交路線はよく似ています。トランプはアイソレーショニズム(Isolationism、国内問題解決優先主義)、アメリカ・ファースト(America First、アメリカ国内のことをまず最優先に考えよう、アメリカが世界一という意味ではない)の観点から、アメリカの積極的な海外への介入に反対しています。一方、オバマ大統領は、リアリズムの観点から、やはりアメリカの海外介入には消極的です。ですから、2人が考えることは同じではないかと私は考えます。そして、今回のトランプの「金正恩と話す」発言です。

 

 ちなみに、中国中央電子台のツイッターによると、2016年5月18日、中国外交部は、トランプが金正恩と話しても良いという意向を持っていることに関して、これを支持すると表明しました。(https://twitter.com/cctvnews/status/732907099919785984

 

 こうしたことから、トランプはアメリカにおける中国の代理人であるキッシンジャーと北朝鮮問題について話したということが考えられます。トランプはキッシンジャーから中国の意向を聞き、キッシンジャーはトランプから外交政策についての考え方を聞き出し、助言を与えたものと思われます。そして、トランプから聴取したことを中国に伝えるのだろうと思われます。

 

 ヒラリーは金正恩と話すなんてことは考えないでしょう。圧力をかけ続けて、最終的には米軍の力で北朝鮮の人々を救いだしたいと思っているでしょう。しかし、そうなれば、北朝鮮と領土を接している中国にも大きな影響が出ますし、東アジアの情勢も不安定となるでしょう。だから、中国としては、「意外に話せる」トランプに好感を持っていると思われます。

 

 トランプは先週、こちらも共和党系の外交分野の大物、ジェイムズ・ベイカーと会談を持ちました。ベイカーはロナルド・レーガン大統領時代の財務長官、次のジョージ・HW・ブッシュ大統領(父ブッシュ)政権では国務長官を務めました。ベイカーもキッシンジャーと同じくリアリズムの系統に属しています。ベイカーは、先週の木曜日に、連邦上院の委員会に証人として呼ばれました。この時に一緒だったのは、民主党系、オバマ大統領の国家安全保障問題担当補佐官だったトム・ドニロンです。ベイカーは、トランプの名前に直接言及しない形で、「NATOがない世界、より多くの国々が核兵器を持つ世界は、現在よりもより安定しない世界になるだろう」と述べました。トランプは、NATOが時代遅れの存在である、日本や韓国が自国防衛のために核兵器を持つことを容認する、と発言しています。

 

 ベイカーは議会に出席した後、トランプと会談を持ったということです。会談内容については分かっていません。ベイカーは「核拡散に対してアメリカはその防止のために努力してきた。その戦いを止めるべきではない」と議会証言の中で述べました。

 

 私は、トランプがベイカーの発言と会談でのアドヴァイスを受けて、金正恩と話しても良いという発言をして、それにキッシンジャー(と中国)が反応したと考えます。ベイカーが国務長官として仕えたジョージ・HW・ブッシュ大統領は2期目を目指す選挙で、ビル・クリントンに敗れたために、「現職大統領なのに、人気が落ちて選挙に負けた」という負のイメージがついてしまいました。興味深いことに、バラク・オバマ大統領は、この所属政党の違う人気のない大統領であった父ブッシュの外交政策を賞賛し続けています(裏を返せば、父ブッシュを破ったクリントン政権の外交は賞賛していません)。父ブッシュの外交政策を担ったのがジェイムズ・ベイカーということになります。

 

 トランプは本選挙に向けて、ペースとイメージを変えようとしています。変な譬えかもしれませんが、暴れん坊の不良学生が態度を改めると、不良仲間からは嫌われるでしょうが、大方の人たちは好感を持ちます。トランプもそのような感じになっている、不良学生がきちんとしようとして、尊敬すべき先生たちの話を聞きに行っているという動きになっています。

 

 このしたたかさと柔軟性と頭の良さを見落としていたことを改めて反省したいと思います。

 

(記事転載貼り付けはじめ)

 

●「Trump and Kissinger Hold Foreign Policy Huddle in New York

 

NBC News  2016/05/18

by KATY TUR and ALI VITALI

http://www.nbcnews.com/politics/2016-election/trump-kissinger-hold-foreign-policy-huddle-new-york-n576336

 

Donald Trump met with Secretary of State Henry Kissinger in New York on Wednesday, the latest in his efforts to strengthen his foreign policy bona fides.

 

Trump's motorcade rolled into Kissinger's home around 3 p.m. where the low-profile meeting that lasted about one hour. Trump aides say the presumptive GOP presidential nominee and 92-year-old diplomat have spoken over the phone multiple times, and Trump requested the face-to-face.

 

The gathering follows Trump telling Reuters he "would have no problem" speaking to North Korean leader Kim Jong Un to prevent nuclear proliferation. Such a conversation would mark a major shift in US policy towards Pyongyang.

 

Trump met with another well-known GOP diplomat, James Baker, last week.

 

=====

 

●「Trump Turns to Clinton Mentor for Foreign Policy Advice

 

Independent Voters News

May 18, 2016 By Andrew Gripp in Campaigns

http://ivn.us/2016/05/18/henry-kissinger-trump-clinton/

 

On Wednesday afternoon, presumptive GOP nominee Donald Trump met with Henry Kissinger, the former secretary of state and national security advisor to presidents Nixon and Ford, to discuss foreign policy.

 

The meeting comes after a series of controversial interviews that Trump had on the subject of foreign policy, including with the Washington Post and The New York Times in March. In an interview with Reuters published on May 17, Trump raised eyebrows with his comments about his willingness to talk to North Korea dictator Kim Jong Un and his desire to renegotiate the terms of the Paris accord on climate change.

 

By meeting with Kissinger, Trump hopes to bolster his foreign policy credibility, which has been impugned in recent months, especially by fellow Republicans. In early March, more than 100 Republican national security experts published an open letter stating their opposition to Trump’s candidacy based on his a list of a number of objections.

 

More recently, the leader of Trump’s foreign policy committee, Republican Sen. Jeff Sessions, told ABC’s Martha Raddatz that Trump is “going to need to learn” a lot in the coming months, and former defense secretary Robert Gates criticized Trump for several specific statements Trump has made, including admiring remarks about Vladimir Putin, unclear details about how to defeat ISIS, and his suggestion that he would initiate a “trade war” with China to punish the country for unfair economic and business practices.

 

By meeting with Kissinger, Trump hopes to bolster his foreign policy credibility, which has been impugned in recent months, especially by fellow Republicans.

China was likely a discussion topic during Trump’s visit with Kissinger. Kissinger is an expert on the country: he is credited with helping open diplomatic relations between the U.S. and China under Nixon and has since written a lengthy tome about the country.

 

In many ways, Trump and Kissinger share a similar outlook on foreign affairs. Both largely subscribe to the “realist school” of international relations, which sees states as the central actors in the world. Under this view, states should advance their interests by being prudent in their use of force and limiting their commitments to international organizations and agreements that can constrain their behavior.

 

Based on his remarks in recent months, Trump appears very much to be a realist. He has criticized the U.S.’s use of force in Iraq and Libya to depose dictators, claiming such idealistic adventures in bringing democracy to the Middle East have facilitated the rise of radical Islam, especially ISIS.

 

Trump has also been critical of the U.S.’s adoption of NAFTA, crediting it with hurting America’s manufacturing base, and he has argued that the U.S. is being damaged by its outsized bankrolling of NATO, the Cold War-era security alliance that Trump has called “obsolete.”

 

At 92, Kissinger is still very much respected among foreign policy realists in both parties. Indeed, Hillary Clinton sought Kissinger’s counsel throughout her political career, especially during her tenure as secretary of state, and has referred to him as a friend.”

 

But her friendship with Kissinger became a major point of contention between Clinton and Sanders during their PBS debate in Milwaukee in February. There, Sanders called Kissinger “one of the most destructive secretaries of state in the modern history of this country” and proudly declared, “Henry Kissinger is not my friend.”

 

Kissinger has long been criticized on the left for his political record, including his efforts to prolong and broaden the Vietnam War, overthrow foreign, democratically-elected leaders, and support despots seen as important strategic partners. Kissinger’s actions have been the subject of several books, including The Trial of Henry Kissinger by Christopher Hitchens, Kissinger’s Shadow by Greg Grandin, and The Blood Telegram by Gary Bass.

 

Among the foreign policy actions criticized by these authors relates to his role in the Vietnam War: the cynical subversion of the 1968 Paris peace negotiations to help elect Nixon as president, increased bombing in Southeast Asia, and the expansion of the conflict into Laos and Cambodia.

 

Critics also point to his support for the coup against the president of Chile, Salvador Allende, the provision of military and financial aid to Turkey in its invasions of Cyprus, and for complicity in genocides in Bangladesh and East Timor in order to appease authoritarian allies in Pakistan and Indonesia who were seen as indispensable partners in the global fight against communism.

 

It is because of Kissinger’s controversial legacy that he is described in some circles as an “elder statesman” and awarded the highest civilian honors by the Obama administration, while in others he is deemed “a war criminal” worthy of public trial.

 

At this point, it is hard to estimate what the outcome of Trump’s meeting with Kissinger, beyond a symbolic boost, will be. Is Trump merely going through the motions in an effort to ingratiate himself with the party establishment and with Washington elites, or will he further refine his foreign policy views? Stay tuned.

 

=====

 

●「Trump meets with James Baker in DC

 

The Hill

By Ben Kamisar  May 12, 2016, 05:42 pm

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/279760-trump-meets-with-james-baker-in-dc

 

Donald Trump met with former Secretary of State James Baker during his Thursday swing through Washington as the presumptive GOP presidential nominee seeks to unite the Republican Party behind him.

 

The pair met during Trump's visit to Jones Day, the Washington law firm where many members of his legal team practice, NBC News reported.

 

The meeting came hours after Baker criticized some of Trump's key foreign policy proposals during a Thursday Senate hearing, including his call to roll back American involvement in the North Atlantic Treaty Organization (NATO).

 

The criticism came after prodding by Sen. Marco Rubio (R-Fla.), who battled with Trump during his own presidential run this cycle.

 

Rubio asked Baker to "describe a world in which NATO lost its way or perhaps disintegrated," parroting Trump's criticism.

 

"We've got a lot of problems today but you'd have a hell of a lot more if that was the case," Baker responded. "NATO has been the foundation and the base for peace and stability in Europe and on the Eurasian Continent."

 

Rubio also brought up Trump’s call to let Japan and South Korea obtain nuclear weapons, without explicitly mentioning the mogul.

 

"The more countries that acquire nuclear weapons, the more instability there is going to be in the world," Baker said.

 

"Ever since the end of World War II, America has led the fight on against the proliferation of nuclear weapons, weapons that can kill millions and millions of people. We ought not to abandon that fight." 

 

Baker's meeting with Trump came after a series of meetings with major party leaders, including Speaker Paul Ryan and House leadership, as well as Senate leadership.

 

=====

 

●「U.S. foreign policy veteran warns Trump would make world less stable

 

Politics | Thu May 12, 2016 6:15pm EDT Related: ELECTION 2016, POLITICS

WASHINGTON | BY PATRICIA ZENGERLE

http://www.reuters.com/article/us-usa-election-trump-foreign-idUSKCN0Y32MP

 

Republican U.S. presidential candidate Donald Trump is surrounded by family members as he speaks during a campaign victory party after rival candidate Senator Ted Cruz dropped out of the race for the Republican presidential nomination following the results of the Indiana state primary, at Trump Tower in Manhattan, New York, U.S., May 3, 2016. REUTERS/Lucas Jackson

Republican U.S. presidential candidate Donald Trump is surrounded by family members as he speaks during a campaign victory party after rival candidate Senator Ted Cruz dropped out of the race for the Republican presidential nomination following the results of the Indiana...

 

Donald Trump's foreign policy proposals would make the world a less stable place, former Secretary of State James Baker told a U.S. Senate hearing on Thursday as the Republican presidential candidate met elsewhere with party congressional leaders.

 

Under questioning from Republican Senator Marco Rubio, a former Trump rival in the presidential race, Baker said the world "would be far less stable" with a weaker NATO or if more countries had nuclear weapons as Trump has proposed.

 

"We've a got a lot of problems today, but we'd have a hell of a lot more if that were the case," Baker told a Senate Foreign Relations Committee hearing, adding that U.S. commitments around the world "promote U.S. security."

 

Trump met with Baker on Thursday at Trump's request, said a Baker spokesman, who declined further comment.

 

The hearing, on "America's Role in the World," was called by the committee's Republican chairman, Senator Bob Corker. Corker praised a foreign policy speech Trump gave in Washington last month. Some U.S. allies worried after Trump's remarks that his invocation of an "America first" agenda is a threat to retreat from the world.

 

Without naming Trump, Rubio referred to the businessman-turned-candidate's suggestions that the United States should rethink the North Atlantic Treaty Organization (NATO) and that Japan and South Korea should consider getting nuclear weapons to defend themselves.

 

"Some have suggested 'why don't you just let Japan and South Korea get their own nuclear weapons and let them defend themselves?'" Rubio asked.

 

"The more countries that acquire nuclear weapons, the more instability there is going to be in the world, in my opinion," Baker said.

 

Tom Donilon, Democratic President Barack Obama's former national security adviser, called Rubio's question an "important thought experiment," as he backed Baker's comments about the importance of NATO.

 

"It's not just a thought experiment, it's actually been proposed," Rubio said.

 

As the hearing took place, Trump was on Capitol Hill meeting with Republican congressional leaders on how to heal divisions within the party, including those between establishment figures like Baker and the insurgent candidate.

 

Baker, a Republican who was secretary of state under President George Bush and Treasury secretary under President Ronald Reagan, testified alongside Donilon.

 

Former Presidents Bush and George W. Bush do not plan to endorse Trump, or any candidate, in this year's White House race.

 

(記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)



 

 古村治彦です。

 

2016年5月29日に「副島隆彦の学問道場」の定例会が開催されます。テーマは「アメリカ大統領選挙と最新の国際政治・経済情勢」です。ドナルド・トランプ旋風の原動力 “ポピュリズム”と”アメリカファースト!”とは何か、改めてじっくり語ります。


ST-035P%u3000副島先生のコスプレ・トランプ


 宜しくお願い致します。




=====
 

35回副島隆彦を囲む会主催定例会

 

『<アメリカ名物>「トランプ・ポピュリズムの嵐」と最新の世界情勢(仮題)』

講師:副島隆彦

 

『数理物理学の思考(仮題)』

講師:小澤徹(早稲田大学教授)

 

【参加費について】

参加費(特別会費)

「『囲む会』会員の方:4,000円/非会員(1 Day会員)の方:6,000円」

になります。

 

【ご注意】

※複数人でお申し込みをされた方は、

「各お一人様につき、4,000円(または 6,000円)ずつ」の合計の金額を、お振込み下さい。

■□■□■

 

【会場について/交通手段】

 

・「全電通労働会館 ホール」

↓以下のURLをクリックしていただくと、

↓会場「全電通労働会館」までのアクセスのご案内が出てきます。

http://nttbj.itp.ne.jp/0332192211/index.html

 

zendentsuhall002

35 副島隆彦を囲む会主催定例会

『アメリカ名物「トランプ・ポピュリズムの嵐」と最新の世界情勢(仮題)』

小澤徹(早稲田大学理工学部教授)講演

講師:副島隆彦先生、小澤徹研究員

 

開催日 2016年5月29日(日曜日)

会場 「全電通労働会館 ホール」

アクセス

■JR 中央線 総武線「御茶の水駅」聖橋口出口 徒歩5

■東京メトロ 千代田線「新御茶ノ水」駅 B3出口 徒歩3

■都営地下鉄 新宿線 「小川町」駅 A7出口 徒歩4

■東京メトロ 丸の内線 「淡路町」駅 A5出口 徒歩4

 

会場住所 〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台3丁目6

電話 03-3219-2211  FAX 03-3219-2219

※定例会の予定等についてのご質問は、囲む会(メールアドレス:snsi@mwb.biglobe.ne.jp)へ、お問い合わせをお願い致します。

「全電通労働会館 ホール」へは、交通アクセスについてだけ、お問い合わせ下さい。


【当日の予定】

 

開場  12:15

開演  13:00

終了  17:30

 

※開場、開演時間以外は、あくまで予定です。終了時刻等が変更になる場合もございます。

※お席は全て「自由席」になります。お手荷物・貴重品等はお客様ご自身で管理をお願い致します。

 

お問い合わせ先:

「副島隆彦を囲む会」

メールアドレス:snsi@mwb.biglobe.ne.jp

 

=====

 

※申込み画面のアドレスはこちら↓

http://soejima.to/cgi-bin/kouen/kouen.html

 

※ページへはこちらからどうぞ。

(終わり)



 

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote

このページのトップヘ