古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

2016年10月

 古村治彦です。

 

 ヘリテージ財団が、ドナルド・トランプが選挙に勝利し政権を担うことになった場合に備えて、政権を支える人材を集めようとしているということです。

 

 アメリカでは、大統領が交替すると、各省の局長クラスまでほぼ入れ替わる、猟官制度(spolis system)が採用されています。政治任命される職種が日本に比べてかなり広範になります。その数は数千人にも及びます。もちろん、同じ党での政権交代でも行われます。

 

 ヒラリーの場合は、これまでの経歴の中で知り合った人材、夫の政権時代の若手、オバマ政権の一部などが多くおり、局長クラスまで埋めることはそんなに難しいことではないでしょう。彼らは優れた人材であり、同時に豊富な経験を持っています。彼らの多くは大学やシンクタンクに勤務しています。その代表がブルッキングス研究所です。

 

 一方、トランプ側を見てみれば、ワシントンでの経験が豊富な人材はいることはいますが、ヒラリー陣営に比べれば見劣りすることは否めません。それは、トランプがこれまで公職とは無縁の人生を送って来たことを考えれば、仕方がないことです。

 

 シンクタンクは政権交代のたびに人材を政権に送り出し、旧政権の人材を引き受け、次に備えるという機能を果たしています。トランプの場合には、ヘリテージ財団がその機能を担うことになりそうです。

 

 ヘリテージ財団と言えば、石原慎太郎が都知事時代に尖閣諸島の徒での購入をぶち上げた場所です。結局、野田佳彦首相が国で買い上げ国有化するに至り、日中関係を悪化させる原因となりました。この財団の日本担当研究員ブルース・クリングナーは、日中離間と安倍政権誕生などに関して多くの論文を発表しています。

 

 ヘリテージ財団に関しては、共和党の重鎮ジョン・マケイン連邦上院議員(アリゾナ州選出)が「純粋なシンクタンクではなく、裏で政治的な動きをしている」と批判したことがあり、このブログでもご紹介したことがあります。ヘリテージ財団には、私が翻訳しました『アメリカの真の支配者 コーク一族』(ダニエル・シュルマン著、講談社、2015年12月)の主役であるコーク兄弟も献金をしており、共和党系の富豪たち(日本でも何かと話題になるアムウェイの創設者も献金者の一人)が献金をしています。ヘリテージ財団は、シンクタンクとしてトランプ支持を表明していますし、トランプとの深い関係を持つという指摘もあります。

 

 トランプ陣営はワシントンのアウトサイダーのために、政治の経験を持つ人材を多く集めることが出来ません。トランプが勝利するということになれば、時代劇時代風に言えば、「仕官を求め、満天下の人士が門前市をなす」ということになるでしょう。ネオコン派と目される人物たちでもトランプ政権に馳せ参じることになるでしょう。しかし、トランプの中核となる人々だけでは、政権の主要な地位とその下の地位を占めるだけでもう足りなくなるでしょう。ヘリテージ財団が肝いりというのはいただけないですが、トランプとしても背に腹は代えられないでしょう、「上品な」シンクタンクはトランプを支持していないでしょうから。

 

 また、ヘリテージ財団としてもシンクタンクとして計算があるでしょう。「保守派」のシンクタンクとしての存在感を増す、恐らくオバマ政権の8年に続いて、ヒラリーが当選すれば少なくとも4年、合わせて12年も民主党政権が続くということになります。そうなれば、研究した政策を実際に実行するということはできません。そうなれば、存在感は薄くなりますから、人々の耳目を集めたいということもあって、今回の行動に出たということもあるでしょう。トランプを軸とするある程度の政治勢力(ティーパーティー運動のような)が出現することを見越していることもあるでしょう。ヘリテージ財団の大口献金者であるコーク兄弟は、ティーパーティー運動の金主であることは、拙訳書『コーク一族』によって日本でも知られるようになりました。コーク兄弟はトランプを支持しないと明言していますので、今回のヘリテージ財団の動きに関与しているのかどうかは不明です。

 

 しかし、共和党内部の分裂、新たな政治勢力が生まれるという可能性が高いことを、今回のヘリテージ財団は示しているように思われます。ヘリテージ財団は政治的な動きをするシンクタンクで、トランプを軸とする勢力形成の役割を果たそうとしているとも思えます。具体的にはポピュリズムに基づいた、反エスタブリッシュメントの勢力(ティーパーティー運動もそういう面があります)ということになると思います。しかし、こうした人々の側からの運動は取り込まれ、手懐けられ、敗れ去っていく運命にある、特にアメリカのような硬直した先進国では、と私は悲観的に見ています。 

 

(貼り付けはじめ)

 

ヘリテージ財団がトランプ政権に参画する人材集めを行う(Heritage Foundation recruiting for potential Trump admin: report

 

ニキータ・ヴラディミロフ筆

2016年10月22日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/302325-heritage-foundation-recruiting-for-potential-trump

 

保守派のシンクタンクでもトップの「ヘリテージ財団」がドナルド・トランプ政権のメンバーとなり得る人々を積極的に勧誘している、と『バズフィード・ニュース』が報じた。

 

バズフィード・ニュースが入手したEメールには、ヘリテージ財団は、ヘリテージ財団がレストア・アメリカ・プロジェクトと呼ぶ計画の一部として、トランプ政権のメンバーとなる人々の経歴などを集め、調査していることを示している。

 

「ヘリテージ財団のレストア・アメリカ・プロジェクト(RAP)は次期大統領の政権に参画する人材として、保守派の人々を結集しようとしている。これらの人々はアメリカ国内の正しい心を持つアメリカ人からの推薦を受ける必要がある」とEメールには書かれている。

 

Eメールにはトランプの名前は書かれていないが、ヘリテージ財団は、「保守の信条を促進することになる政権」のために働く候補者を探している、ということを述べている。

 

Eメールには、レストア・アメリカ・プロジェクトに応募するための用紙の記入方法も掲載されている。

 

RAP応募者フォームのリンク(レストア・アメリカ・キャンディデート・フォーラム)に行き、あなたの情報を書き込んでください。情報を書き終え、送信ボタンを押すと、あなたの情報は自動的に私たちのシステムに送られることになります」。

 

ヘリテージ財団と関係のある政治家の多くがトランプの政権以降ティームに参加している。

 

その中には、ヘリテージ財団の前会長エド・ファウルナーとロナルド・レーガン政権の司法長官だったエド・メッセが含まれている。

 

(貼り付け終わり)









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 古村治彦です。

 

 アメリカ大統領選挙の第3回討論会について、「トランプが勝った」という評価も一部ではあるようです。以下にご紹介する記事ですが、ヒラリーを支持する『ワシントン・ポスト』紙に掲載された記事であることが重要です。ワシントン・ポスト紙には多くの有能な政治記者が在籍しており、地の利を活かして政治記事に関しては図抜けた存在と言えます。

 

 以下の記事では、第3回の討論会でのトランプのパフォーマンスは選挙の流れを大きく変えるものではなかったとしていますが、期待以上のものであり、トランプがうまく立ち回ったことで、ヒラリー陣営とマスコミは、トランプが失敗するという当てが外れて、パニックになっている、もしくはパニックになるだろうということを述べています。

 

 私は選挙戦の流れを変えるような一手をトランプが打てなかったことで、トランプは失敗したとこのブログでも書きました。しかし、今回ご紹介している記事を書いているエド・ロジャース記者は、トランプが失敗せずに、うまく立ち回ったことで、トランプの退勢は食い止められたという評価をしています。

 

 私もまだまだ考えの深さと広さが足りないと反省しています。

 

(貼り付けはじめ)

 

第3回目の討論会で勝利したのはトランプだ(Trump won the third debate

 

エド・ロジャース筆

2016年10月19日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/blogs/post-partisan/wp/2016/10/19/trump-won-tonights-debate/?utm_term=.73c6901a5844

 

ドナルド・トランプは今夜の討論会に勝利した。彼は自爆しなかった。オバマ大統領の出征に関する陰謀論を主張することはなかった。ヒラリー・クリントンの発言を遮ることもなかった。鼻を鳴らす回数も少なかった。率直に言って、彼はこれまでで最も良い反論や短いジョークを言うことが出来た。ヒラリーは討論会の間、消極的だった。彼女は討論会の間、退屈でつまらない決まり文句を繰り返すしかなかった。その結果、ヒラリーには信頼感がないということになり、正直ではない典型的な政治家という印象を残すだけであった。まとめると、討論会では、ヒラリーは有能な、情報をよく理解している政治家であることを示し、一方でトランプは3回の討論会を通じて初めて、彼女の好敵手であることを示した。

 

今回の選挙は全く新しい人を大統領に選ぶ選挙だが、ヒラリーは全く新しい候補者という訳ではない。人々は本当のところは彼女に投票したくないのだ。そして、今夜の討論会でヒラリーは人々に対して、彼女に投票しようと思わせるような理由を与えることが出来なかった。そして、恐らく、トランプは有権者に対して安心感を与えることが出来た。トランプはこれまで様々な失敗で、結果的にヒラリー陣営を助けてしまっていた。挑発に乗り、悪口を言い、女性を愚弄し、陰謀論を語り、有権者の関心を持っていることを語らないできた。討論会の間、トランプはヒラリーの発言を遮ることはほとんどなかったし、怒り狂うこともなかった。彼は自制したのだ。トランプは特にうまくやったということはない。しかし、彼は経済について語る時、自信を見せ、有能そのものであった。選挙運動において彼が経済について語らなかったのは不思議でならない。とにかく、トランプは私などよりも地政学についてよりよく理解していることを示した。彼はほとんどの問題について共和党員らしい発言を行った。トランプにとっては、今回が最後の討論会になったことは惜しむべきことだ。

 

一方、ヒラリーは準備をし過ぎており、リハーサルをし過ぎてそれが見えてしまっていた。その結果、討論会で重要な当意即妙性を発揮できなかった。ヒラリーはトランプからの有効な反論や攻撃を受けている間、笑顔を保とうと努めていた。それが彼女にできる最善の防御策ではあっただろうが、その場にふさわしいものではなかった。

 

選挙戦の全てがこの討論会に凝縮されてはいなかった。橋の下にはたくさんの水が流れているものだ。討論会でのトランプのパフォーマンスは彼の退勢を完全に覆すまでには至らなかった。しかし、マスコミ(私も属している)は彼のパフォーマンスがもっと酷いものになると予想していたのは明らかだ。実際、討論会後の分析で、専門家たちはヒラリーと同じくらいに興奮状態になっていた。マスコミは、トランプが失敗しなかったという事実を受けてパニックになった。それは、マスコミは、トランプが11月の選挙の結果を受け入れることに「賛成しなかった」ことばかりを報道していることでも明らかだ。しかし、討論会を視聴していた有権者にとっては、それが真に重要なポイントではなかった。マスコミはトランプが選挙結果を受け入れると発言しなかったことを大々的に取り上げたいと望んでいるが、それをすれば、記者やコメンテイターは、討論会で理性的に議論された多くの諸問題について語らない、無視をするということになるのだ。せっかく、フォックス・ニュースのクリス・ウォレスが手堅く討論会を進行して、多くの問題を議論したのにそれを無駄にすることになる。

 

政治の世界では、良いものはより良く、悪いものはより悪くなる。トランプの討論会でのパフォーマンスを考えると、今週末にかけて、ヒラリー陣営ではパニックが起きるという内容のいくつかのストーリーを私は考えている。今夜の討論会の前まで、トランプは勢いをなくしているというのは衆目の一致するところだった。そして、このような人々の共通認識が選挙日のだいぶ前に出来上がってしまうと、この共通認識は間違っていたということがこれまでにもたびたび起きている。それでは今夜の討論会は選挙の流れを変えたのか恐らくそれはない。しかし、トランプの退勢をとどめ、投開票日まで選挙を面白いままにしておく効果はあったと思われる。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)









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 古村治彦です。

 

 アメリカ大統領選挙についてあーだ、こーだと言っているのが馬鹿らしく、疲れてしまいました。ドナルド・トランプとヒラリー・クリントンがニューヨークで開催されたチャリティー夕食会に出席し、相手に皮肉と嫌味を効かせた、冗談のジャブの応酬を行いました。一種の見世物として。


 

 ヒラリーはシカゴの出身、東部の大学を出て、弁護士となって、夫に伴ってアーカンソーに引っ越し、その後ホワイトハウスに住み、それからはニューヨークを拠点にしています。トランプはニューヨークで人生のほとんどを過ごした人物です。2人は激しく罵り合っていますが、元々、トランプは民主党員で、ビル・クリントンやヒラリーを支援していた人物です。クリントン家のチェルシーとトランプの娘イヴァンカは親友同士という間柄です。

 

 このチャリティー夕食会を見ていて、「ああ、ここにアメリカの、ニューヨークの貴族様方がお集まりになっている、ヒラリーもトランプもその一員なのだ、トランプは露悪趣味、偽悪趣味のセレヴリティ、道化役としているのだなぁ」という思いを強くしました。トランプを支持しているのは、白人、男性、大学教育を受けていない、失業中もしくは低賃金の人々で、彼らが「私たちの価値観を共有している候補者を」ということで、トランプを熱烈に応援し、共和党の予備選挙を勝たせたのです。しかし、トランプは、ニューヨークの貴族様の一員であって、彼を支持する人々の仲間ではないのです。

 

 アメリカ大統領選挙が巨大な余興であって、貴族様方は自分たちの生活が安泰であるならばそれで良し、ということであれば、トランプが勝利したとして、彼を支持した人々のための政策など何もやれないでしょう。いや、最初からやる気などないのです。ヒラリーも同じことで、口では子供たち、女性の権利や生活についてお題目のように唱えていますが、何ほどのことが出来るでしょう。

 

 人々の代表となって、アメリカを変える、政治を変えると本当に真剣に考えているような人物はアメリカのリーダーにはなれない。途中で撃ち殺されてしまうでしょう。ですから、アメリカのポピュリズムは常に最後は負けてしまいます。しかし、それでも何度でも蘇ってくるところがアメリカのデモクラシーの「強さ」なのかもしれません。

 

 しかし、今回の大統領選挙でトランプはポピュリズム、アイソレーショニズム(アメリカ国内問題解決優先主義)を代表する候補者となったはずでした。しかし、彼の「本籍地」は「ニューヨークの貴族様」です。私には、彼がニューヨークの貴族様たちに反旗を翻す人々のリーダーになったように見えました。彼が語る外交政策は、荒っぽい言葉遣いや冗談を取り除いてみると、ヒラリーたちの人道的介入主義派やネオコンとは全く違うもので、魅力的なものでした。しかし、彼はそうではないのではないかと今は思っています。そして、今回も人々の反エリート、反官僚の戦いは負けたのだと思います。

 

 民主政治の確立(democratic consolidation)のことをonly game in townという言葉で言います。政権交代が暴力やクーデターではなく、選挙によってのみ行われるようになることを言います。今回の夕食会の様子を見ていると、貴族様方は、選挙というゲームを楽しんでいる、そして今回は自分たちの下級の仲間であるトランプとヒラリーのゲーム(茶番劇)を高みの見物で楽しんでいた、only game in townである民主政治の根幹をなす選挙すらもゲームとして楽しんでいたのではないかという思いに駆られます。

 

 第3回目の討論会の最後の方で、司会者が「現在のアメリカ国債(国の借金)の発行額はGDP比の77%ですが、ヒラリー候補の言っていることを実行すると、89%、トランプ候補の言っていることを実行すると、108%になります。国債の問題をどのように解決しますか?」という質問をしました。トランプもヒラリーも具体的に国債を減らす方法については何も言いませんでした。トランプは「だからヒラリーは増税するのだ」と言い、ヒラリーは「トランプは金持ちのための政策を行う」という批判合戦になりました。これは、どちらがなっても国債依存体質は変わらないし(国債は国の借金で、余りに大きくなると国が破産するのだという主張と国が破産することはない野田という主張があり、どちらが正しいということは決着がついておらず、国の信用が続く限り国債は引き受け手があるということは言えます)、民主党がなろうが、共和党がなろうが、もうどうしようもないのだということが言えるでしょう。

 

 このように考えながら、アメリカ以外のことを考えていると、フィリピンのデュテルテ大統領来日のニュースが目に入りました。彼の予測不可能性に迎える側の日本政府が困惑しているという内容でした。彼は自分の立場をくるくると変えながらも、フィリピンの国益は何か、人々の利益とは何かということを外さない人物です。私は、どうも先進国だ、工業化した民主政治国家(industrialized democracy)だと威張ってみても、もはや人々のためのリーダーを選ぶことは不可能ではないかと思います。非民主的で、発展と助国だと馬鹿にされているような国が伸びようとする時に、傑出したリーダーが出てくるようです。国が伸びようとするから傑出したリーダーが出てくるのか、傑出したリーダーが出てくるから国が伸びるのか、その因果関係はこの際置いておくとして、これから下っていくしかない国々は傑出したリーダーは出てこないと思います。日本もそうでした。敗戦でどん底になり、そこからもう一度国を発展させようという時期に、傑出したリーダーたちが人々から押し出されるようにして出てきました。現在、2世、3世、4世の政治家たちのおじいさんやひいおじいさんたちです。その代表が田中角栄と言えます。

 

 愚痴ばかりになって申し訳ありませんでした。しかし、どうしても書いておきたかったことです。

 

(貼り付けはじめ)

 

Donald Trump Heckled by New York Elite at Charity Dinner

 

By MATT FLEGENHEIMER and ASHLEY PARKEROCT. 20, 2016

http://www.nytimes.com/2016/10/21/us/politics/al-smith-dinner-clinton-trump.html?_r=0

 

Donald J. Trump began this quadrennial exercise in campaign humility and self-deprecation on Thursday by comparing himself to the son of God — just another “carpenter working for his father” in his youth.

 

By the end, facing cascading and uncomfortable jeers from a crowd full of white ties and gowns, he had called Hillary Clinton Catholic-hating, “so corrupt” and potentially jail-bound in a prospective Trump administration.

 

I don’t know who they’re angry at, Hillary, you or I,” Mr. Trump said sheepishly from the dais, turning to his opponent amid the heckling.

 

It seemed clear to everyone else. Mr. Trump was being booed at a charity dinner.

 

So it went at the Alfred E. Smith Memorial Foundation Dinner in Manhattan, a presidential campaign ritual of levity and feigned warmth — upended, like so much else in this election season, by the gale-force bid of Mr. Trump.

 

Breaking with decades of tradition at the gathering once he took the microphone, Mr. Trump set off on a blistering, grievance-filled performance that translated poorly to the staid setting, stunning many of the well-heeled guests who had filed into the Waldorf Astoria hotel for an uncommon spectacle: an attempted détente in a campaign so caustic that the candidates, less than 24 hours earlier, declined to shake hands on a debate stage.

 

Relations did not much improve.

 

Mr. Trump’s set began typically enough. He joked about the size of his hands and Mrs. Clinton’s comparatively small crowds. He even very nearly poked fun at himself — insofar as a zinger about his wife, and her partly plagiarized Republican convention speech, qualifies — when discussing the “biased” news media.

 

You want the proof? Michelle Obama gives a speech, and everyone loves it,” Mr. Trump said. “My wife, Melania, gives the exact same speech and people get on her case.”

 

Some sharper jokes about Mrs. Clinton seemed to edge just to the line.

 

Just before taking the dais, Hillary accidentally bumped into me. And she very civilly said, ‘Pardon me,’” Mr. Trump said, as murmurs filled the room. “I very politely replied, ‘Let me talk to you about that after I get into office.’”

 

Mrs. Clinton, seeming to get the joke before some others, bellowed before the punch line.

 

But quickly, his remarks took a more menacing turn.

 

Mr. Trump said Mrs. Clinton was merely “pretending not to hate Catholics,” an allusion to hacked correspondences from Clinton aides that appeared to include messages criticizing Roman Catholic conservatism.

 

He wondered aloud how someone like Mrs. Clinton — “so corrupt,” he said — could sell herself to the American people. “What’s her pitch?” he asked. “The economy is busted, the government’s corrupt, Washington is failing. Vote for me.”

 

He fake-griped that “all the jokes were given to her in advance.”

 

He appeared to disparage the Clinton Foundation’s oft-criticized efforts in Haiti.

 

As some of you have noticed, Hillary isn’t laughing as much as the rest of us,” he said.

 

By then, he had decisively lost the room.

 

As for Mrs. Clinton, she began with some easy self-deprecation.

 

I took a break from my rigorous nap schedule to be here,” she said, adding, “Usually, I charge a lot for speeches like this.”

 

But she quickly turned to more cutting satire, joking that Mr. Trump was “translating from the original Russian” on his teleprompters and wondering just how President Obama might be able to visit the White House for a reunion of former presidents under a Trump administration.

 

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How is Barack going to get past the Muslim ban?” she asked.

 

She also spoke of the Statue of Liberty, recounting how for most Americans, the green lady of freedom represents a shining beacon of hope and a welcome symbol for immigrants arriving on the nation shores. But Mr. Trump, she added with a glint of steel, “looks at the Statue of Liberty and sees a 4” — a not-so-veiled reference to his comments rating the physical appearance of women.

 

Maybe a 5 if she loses the torch and tablet and changes her hair,” she continued, before making an explicit, if subtle, pitch for becoming the nation’s first female president.

 

 You know, come to think, know what would be a good number for a woman? 45,” she concluded triumphantly.

 

At the dinner before the remarks, the pair could be seen chatting, at least briefly, seated two seats apart, with only Cardinal Timothy M. Dolan, the archbishop of New York, between them. (Perhaps only a man of God could, for a night, soothe a campaign that has included an F.B.I. inquiry, overnight Twitter binges, multiple accusations of sexual misconduct and an international feud between the Republican nominee and Pope Francis).

 

Before the candidates spoke, Alfred E. Smith IV, the chairman of the dinner, which benefits Catholic charities, seemed to offer a preview of what may await Mr. Trump as he tries to return to New York society life should he not win the White House in November.

 

Before the dinner started, Trump went to Hillary and asked, ‘How are you?’” Mr. Smith said, waiting a beat. “She said, ‘I’m fine — now get out of the ladies’ dressing room.’”

 

Even under the best of circumstances, Mr. Trump is not known for an eagerness to laugh at himself. A veritable roasting at Washington’s annual “nerd prom,” the White House Correspondents’ Association’s annual dinner, in 2011 may have hastened — or even catalyzed — his bid for the Oval Office. And now a flagging presidential campaign — most polls place him several percentage points behind Mrs. Clinton nationally — has done little to help.

 

Then there was the guest list. In addition to Mrs. Clinton, Mr. Trump was surrounded on the dais by assorted adversaries from his political and professional life. Michael R. Bloomberg, the billionaire former New York City mayor who has vocally opposed Mr. Trump’s bid, was perched in the first row, just in front of the candidates. And Eric T. Schneiderman, the New York attorney general, whose office has opened an investigation into Mr. Trump’s foundation, was positioned a safe distance away in the back.

 

At least one Trump ally, former Mayor Rudolph W. Giuliani, did attend what is, during even typical election seasons, a quintessentially New York event, packed with local political leaders and power brokers.

 

This year, it so happens that two New Yorkers can also be found at the top of the ballot.

 

One seemed to have more fun on Thursday than the other. Mr. Trump sat with his arms tightly folded as Mrs. Clinton spoke, a similarly taut smile across his face. But when Mrs. Clinton returned to one his favorite themes — her health — he seemed momentarily buoyed.

 

Mr. Trump, Mrs. Clinton said, had chivalrously sent a car to ferry her to the dinner. “Actually, it was a hearse,” she said.

 

Finally, Mr. Trump laughed with real joy.

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)







 
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 古村治彦です。

 

 2016年10月19日(日本時間では20日)に第3回の討論会が、ネヴァダ州ラスヴェガスのネヴァダ大学ラスヴェガス校(UNLV)で開催されました。余談になりますが、バスケットボール好きには、UNLVという響きは懐かしさを覚えるものです。

 

 全体としては、新味のない討論会でした。トランプとしては自分の力で選挙の流れを変える大きなチャンスでしたが、何もできないままに終了しました。ヒラリーは、トランプから致命傷となる攻撃を受けないようにしながら、ある程度トランプと戦いながら、時間切れとなるようにして、うまく「アウトボクシング」をしていました。

 

 

 今回の討論会の勝者はヒラリーということになるでしょう。選挙の流れもこのまま続いていくことになるでしょう。そうなれば、ヒラリーは選挙人538名中、340に迫る数を獲得する可能性もあります。ヒラリーの地滑り的勝利ということになります。

 

 今回の討論会では、選挙結果を受け入れるのかという質問がハイライトとなったと思い明日。司会者がトランプに対して、あなたは選挙システムが「歪められている」と主張しているが、もし選挙に負けたら、選挙結果を受け入れるのかと質問され、「その時に結果をよく見る」「はっきりしたことは言わない」と答えました。ヒラリーは「彼は共和党の予備選挙でも負けた州では不正選挙があったと言ってきたし、自分の出たテレビ番組がエミー賞を取れなかった時も選考に不正があったと述べた」と攻撃しました。トランプ選対の責任者ケリアン・コンウェイは「私たちは選挙結果を受け入れることになる。何故ならトランプが勝利するからだ」と述べましたが、これくらいのことは言うべきでした。

 

 トランプは3回の討論会を通じて、メモも取らず(今回は多少取っていましたが)、事前準備もしていませんでした。これが最後になってダメージになったと思います。

 

 デモクラシーの根幹は自由で公正な選挙、ということをアメリカ人は言い続けてきました。しかし、このブログでもご紹介しましたように、アメリカ人の一定数が既に選挙に不信を持っています。そうなれば、デモクラシーの根幹が崩れることになります。今回の選挙ではそれが暴露されてしまうことになります。

 

 トランプが敗北し、選挙結果を受け入れない場合、各州で投票の再集計ややり直しを求める動きが出てきて、それが激化するでしょう。そうなれば、来年1月の大統領就任式までのもろもろの準備も大きく遅れ、新大統領のスタートがつまずくことになります。また、ヒラリーに関しては疑惑や問題が多いですから、議会による弾劾ということもあり得ます。史上初の夫婦で大統領は史上初の両方とも弾劾を受けた大統領ということもあり得ます。

 

 このようにアメリカ政治の不安定さを増すと、アメリカがデモクラシーの総元締め、デモクラシーを世界に拡散するということは、「まずは吾人の足元を見つめることからはないですか」ということになります。

 

 今回の大統領選挙は、アメリカのデモクラシーの衰退を含めて、終わりの始まりということになるでしょう。

 

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最後の討論会で印象に残る言葉たち(Top zingers of the final debate

 

ベン・カミサール筆

2016年10月19日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/301928-top-zingers-of-final-debate

 

2016年のアメリカ大統領選挙の最後の討論会が水曜日の夜に行われた。序盤は静かに始まったが、「シン・シティ(罪の町)」での戦いはすぐに激しくなった。

 

ヒラリー・クリントンとドナルド・トランプは、最後の討論会において一対一でパンチを打ち込んで相手を倒そうと戦った。両候補は歴史上最大のボクシングの試合の舞台であるラスヴェガスで対決した。

 

これから両候補が放った印象に残る言葉をいくつか挙げる。

 

●あなたはどこにいた?(Where were you?

 

共和党候補者トランプの選挙運動の大きなテーマは、ヒラリーをワシントンが生み出した怪物として描き出し、「この怪物を追放せねば」と人々に納得させることである。

 

討論会の中盤、ヒラリーは、これまでヒラリーは公職に就き、トランプは民間人であったと対照させることで、反撃しようとした。1970年代、1980年代、1990年代にヒラリーは公職に就き、子供たちを助け、女性の平等の権利を主張してきたと述べ、1990年代にトランプがミス・ユニヴァースの優勝者に対するコメントや黒人の入居者たちに対する処遇で、公正な住宅提供を求める裁判を起こされたことと対比した。

 

「オサマ・ビン・ラディンに正義を実施するための攻撃が行われた日、私はシチュエーション・ルームでその様子を見ていました。その時、彼は“セレブリティ・アプレンティス”で司会をしていました」とヒラリーは述べた。

 

「私がこれまで我が国のためになしてきたこと、30年の経験と、あなたの30年を比べることは、なんとも嬉しい事ですよ」とトランプは述べた。

 

●酷い女(Nasty woman

 

トランプは討論会の最後で最も激しい個人攻撃を民主党校のヒラリーにぶつけた。

 

両候補が経済について話している時、ヒラリーは彼女の税制プランについて語りながら、トランプを攻撃した。彼女のプランは富裕層に対する増税であった。In doing so, she chided Trump for avoiding federal income tax, which drew a pointed response from Trump.

 

ヒラリーが嘆かわしいとばかりに頭を左右に振った時、「なんて酷い女なんだ」とトランプは反撃した。

 

●操り人形ショー(Puppet show

 

ヒラリーは、トランプのロシアとの関係、そしてロシアが民主党からEメールをハッキングしたことを認めようとしないことを攻撃した。そして、トランプを「ロシア大統領ウラジミール・プーティンの操り人形だ」と断言した。

 

ウィキリークスによってハッキングされ、最近になって公表された文書について質問された時、トランプはロシアが如何にアメリカを見下しているかを激しく論難し、両大国の関係を修復できるのは自分だと述べた。

 

トランプはヒラリーを指さしながら、「私がこれまで見てきた限りでは、プーティンはこの人物を尊敬していません」と述べた。

 

ヒラリーは「そうですね、だから、プーティンは操り人形をアメリカ大統領にしたいのでしょうね」とやり返した。

 

しかし、トランプは即座に「いいや、あなたこそ操り人形だ」と反撃した。

 

●幸運を(Good luck

 

トランプは、ヒラリーの国務長官在任中の活動について批判し、彼女が国務長官時代に行った対テロ政策は全く効果がなかったと述べた。

 

「もし彼女が何もしなければ、私たちの現在の状況はより良いものであったでしょう。彼女がやったとこで、数多くのシリア難民の流入が起きたのです。彼らの多くはISISに心を寄せ、味方をする人々です。彼らを多く我が国に受け入れていますが、彼らは巨大なトロイの木馬となるでしょう」とトランプは語った。

 

トランプは更に次のように述べた。「これから数年でトロイの木馬からの攻撃が起きるまで待ちましょう。ヒラリー、それまで幸運でありますように。それにしても偉大な仕事をやってのけたものですよ」。

 

●誰がそれをやったか?(Who does that?

 

両候補がそれぞれの苗字がついた財団についてやりやっている時、ヒラリーは、トランプが財団を個人の利益増進のために利用したという疑惑について攻撃した。

 

トランプはクリントン財団を「犯罪の一大企業」とやり返し、アメリカに比べて女性の諸権利について否定的な考えを持つサウジアラビアのような国々からお金を受け取っていたのはなぜかと質問した。そして、2010年にハイチで大地震が発生した後、クリントン財団はハイチへの支援を失敗したと糾弾した。

 

しかし、ヒラリーは、クリントン財団について弁護するために、トランプが自身の財団の資金を彼個人のために使用したとする『ワシントン・ポスト』紙の記事を基にした非難を行った。また、トランプ財団にはトランプ家以外の人々からのお金も入っていると主張した。

 

「私たちの財団は、諸財団の活動について監視している様々な団体から最高の評価を受けています。私はクリントン財団とトランプ財団との比較を喜ばしく思います。トランプ財団は他の人々からお金を集め、ドナルドの6フィートも高さのある自画像を購入しているのです。誰がそれをやっているのでしょう?ただただ驚き入るばかりです」とヒラリーは述べた。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)









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 古村治彦です。

 

 アメリカ大統領選挙は最後の、第3回目の討論会が行われました。討論会については後日書きたいと思います。

 

 今回は、世論調査についてご紹介したいと思います。現在までのところ、ほとんど、8割以上の世論調査でヒラリー優位という結果が出ています。

 

 しかし、2012年のアメリカ大統領選挙で結果を的中させた、ネイト・シルヴァーが「2012年の大統領選挙で最も正確な世論調査」をしていたと評価した、インヴェスターズ・ビジネス・デイリーとテクノメリカ・マーケティング・インテリジェンスの最新の世論調査では、全国レヴェルの主要4候補の調査で、トランプが1ポイントリードしているという結果が出ました。ヒラリーとの一対一では3ポイントの差でヒラリーがリードという結果だったようです。しかし、一対一ということはありませんから、これは少なくとも、大統領選挙は接戦だということになると思います。

 

 第3回目の討論会は前回、前々回と同じ話の繰り返しで、司会者の質問にはまともに答えずに、両候補とも相手を非難することに集中しました。お互いに決定打が出ず、恐らく、ヒラリーが勝利したという世論調査の結果が出るものと思います。

 

 これから残り3週間弱、何か大きなオクトーバー・サプライズが出るかどうか、焦点となります。

 

(貼り付けはじめ)

 

全国規模の世論調査でトランプが1ポイントでリード(National poll shows Trump ahead by 1 point

 

マーク・ヘンシュ筆

2016年10月19日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/301834-poll-trump-up-1-on-clinton-nationally

 

最新の全国規模の世論調査で、ドナルド・トランプがヒラリー・クリントンをリードという結果が出た。

 

水曜日に発表されたインヴェスターズ・ビジネス・デイリーとテクノメリカ・マーケティング・インテリジェンスの共同世論調査の結果は、トランプ(共和党)の支持率が41%、ヒラリー・クリントン(民主党)の支持率が40%となった。

 

投票に行くと答えた世論調査の参加者の間で、リバータリアン党のゲイリー・ジョンソンの支持率は8%、緑の党のジル・スタインの支持率は6%であった。

 

ここ数カ月のほぼ全ての全国規模の世論調査では、ヒラリーがリードという結果が出ており、トランプとの差は最大のもので14ポイントであった。リアルクリアポリティックスの平均ではヒラリーが6.5ポイントリードとなっている。

 

今回の世論調査では、主要4名の場合はトランプがリードと出たが、ヒラリーとの一対一の調査の場合には、ヒラリーが3ポイントリードとなった。

 

50%の人々はヒラリーが次期大統領になると考えていると答え、25%がトランプ勝利と予測している。19%がどちらと決めるには接戦なのでどちらとも言えないと答えた。

 

トランプは自身の劣勢という結果を出す世論調査について頻繁に疑念を表明している。「世論調査は私に向けられている草の根の支援をくみ取れていない」と主張している。

 

火曜日にコロラド州コロラド・スプリングスで開かれた選挙集会で、トランプは「世論調査では私たちにとって良い結果が出ているが、私は金輪際世論調査というものを信頼しなません。私は信頼しません」と語った。

 

トランプは更に次のように語った。「世論調査を10回も行って、私にとって結果が悪いものが1つか2つあったら、彼らが公表するのはその1回のものだ。皆さん、私の言葉を信じて下さい、私たちは勝利に進んでいるのです」。

 

インヴェスターズ・ビジネス・デイリーとテクノメリカ・マーケティング・インテリジェンスの世論調査は2016年10月13日から18日にかけて、788名を対象に携帯電話と固定電話を使って実施された。誤差は3.6%である。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)







 
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