古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。

2017年05月

 古村治彦です。

 

 トランプ政権のジャレッド・クシュナー上級顧問について、FBIが捜査を行っているという報道が出ました。トランプ政権とロシアとの関係を捜査するということで、マイケル・フリン前大統領国家安全保障問題担当補佐官やポール・マナフォート元選対委員長といった、現役ではない人々の名前が出ていましたが、政権の中枢を占める重要人物クシュナーの名前を、ワシントンのエリートたちはマスコミを使って、「出してきました」。

 

 ジェイムズ・コミーFBI長官が解任されたのは記憶に新しいところです。コミーは昨年の大統領選挙で政治に影響を与えたことを理由に、司法省のジェフ・セッションズ長官、ロッド・ローゼンスタイン副長官から激しく批判されました。このような状況下、FBIの捜査情報がマスコミに漏れるなどということが起きて良いはずがありません。このようなリークは、FBIの中の反トランプ、エリート集団が意図的に行ったと考えるのが自然でしょう。

 

 反トランプグループは懇意のマスコミ(ニューヨーク・タイムズ紙やワシントン・ポスト紙)を使って、まず政権内の内部闘争について、あることないことを書かせまくりました。トランプ政権内部に亀裂を生じさせて、内部分裂を誘うためです。これがうまくいかないと見るや、今度は、現在トランプ大統領が厚く信任しているクシュナー攻撃を始めようとしています。

 

 しかし、ここまでマスコミを使って激しく攻め立ててみても、トランプ政権内部に動揺は見られません。反トランプ側は今は勢い良く攻撃をしていますが、そのうち弾切れになって、「それじゃクリントン財団とオバマ政権時のヒラリー・クリントン国務長官の関係はどうなるんだ」「権力に近いことを利用して便宜を図ったりしなかったのか」ということになるでしょう。

 

 ただ、現在のところ、攻撃の勢いは大変に強く、不快さを増しているのは間違いのないところです。

 

(貼りつけはじめ)

 

ロシア関連捜査でジャレッド・クシュナーが捜査対象に(Jared Kushner under FBI scrutiny in Russia probe: reports

 

マックス・グリーンウッド筆

2017年5月25日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/policy/national-security/335234-jared-kushner-under-fbi-scrutiny-in-russia-probe-report

 

トランプ大統領の義理の息子で上級顧問であるジャレッド・クシュナーに対して、トランプ選対とロシアとの間の共謀に関するFBIの捜査で詳細な捜査が行われていると報じられた。

 

NBCニュースは、「FBIがクシュナーの捜査を行っているが、これは彼を犯罪の容疑者として疑っているということでも、FBIのロシア関連捜査の利害当事者と考えられているということを必ずしも意味しない」と報じた。

 

『ワシントン・ポスト』紙は、政権移行中の昨年末、クシュナーが駐米ロシア大使セルゲイ・キシリアックとロシアのある銀行幹部と会談を持ったことについて捜査が行われていると報じた。

 

ワシントン・ポスト紙は先週、FBIが、ロシアのアメリカ大統領選挙に関する介入を行った容疑の捜査で、現役のホワイトハウス幹部が、関連を持つ捜査対象者としてピックアップしていると報じた。しかし、この時は捜査対象者の名前と身分は明らかにされなかった。

 

クシュナーは現在のホワイトハウスの中で、トランプ大統領に対して最も大きな影響力を持つ側近で、トランプ政権の政策遂行の責任を任されている。

 

クシュナーがロシア関連捜査で対象者となっていることが明らかにされた。今から2週間前、トランプ大統領は、ジェイムズ・コミーFBI長官を曖昧な理由で解任した。当時、コミー長官は捜査を監督する立場にあった。

 

先週、ロッド・ローゼンスタイン司法副長官は、ロバート・ムラー元FBI長官をロシア関連捜査の監督のための特別検察官に任命した。これとは別に、ロシアに関する問題について、連邦議会には少なくとも4つの委員会が設置されている。

 

これまでFBIは、フリンやトランプ選対の委員長だったポール・マナフォートに集中して捜査していた。クシュナーは、ホワイトハウスの現役幹部の中で初めて、捜査対象となっているということが明らかになった人物だ。

 

民主党全国委員会はホワイトハウスに対して、クシュナーに与えられている機密情報取り扱い許可を停止するように求めた。昨夏、民主党全国委員会は、ロシアが関連していると考えられているコンピューター・ハッキングのターゲットとなった。

 

民主党全国委員会コミュニケーション部副部長エイドリアン・ワトソンは木曜日、声明を発表した。声明の中で、ワトソンは、「FBIによるロシア関連捜査はトランプの裏庭にまで及んでいたが、ついに家の中にまで達した。クシュナーに対する機密情報取り扱い許可は、FBIの捜査が完了するまで、停止されねばならない」と述べた。

 

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クシュナーが特別検察官に対して攻撃的な対応をするようトランプに主張(Report: Kushner urged aggressive Trump response to special counsel

 

レベッカ・サヴランスキー筆

2017年5月18日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/administration/334056-report-kushner-urged-trump-to-attack-after-special-counsel

 

トランプ大統領の義理の息子であり上級顧問であるジャレッド・クシュナーは、水曜日に召集されたホワイトハウスの会議の席上、より抑制された反応に関して、「攻撃」的な反応をするように主張したと報じられた。

 

元FBI長官ロバート・ムラーが米大統領選挙に対するロシアの介入とトランプ選対とロシアとの間の共謀に関する司法省の捜査を管轄する特別検察官に任命された後、ホワイトハウスで会議が召集された。会議の結果、ムラーの任命に対するホワイトハウスからのメッセージが矛盾する内容になった。

 

トランプはムラーの任命を知り、クシュナー、シーン・スパイサー報道官、マイケル・ドゥブケ・コミュニケーション部長、レインス・プリーバス大統領首席補佐官、スティーヴン・バノン首席ストラティジストといった側近たちを召集した。

 

側近のほとんどはトランプ大統領に対して司法副長官の決定を受け入れる内容の声明を発表するように促した。しかし、クシュナーはこの意見に同意しなかった、とニューヨーク・タイムズ紙の取材に対して2人の政権幹部が述べた。

 

クシュナーだけは大統領に対して反撃するように促した。

 

ホワイトハウスは水曜日夜に声明を発表し、新たに任命された特別検察官が連邦捜査機関の捜査を主導し、トランプ選対とモスクワとの間に共謀は存在しないということを発見するだろうという信頼を表明した。

 

トランプ大統領は水曜日、声明を発表した。声明の中で、トランプは次のように述べた。「徹底した捜査によって、私たちが既に知っていることが正しいことが証明されるだろう。私の選対と外国との間に共謀など存在していない。私はこの問題が即座に終結することを望んでいる」。

 

木曜日、トランプ大統領は毎朝の恒例になっているツイートの中で、前日の抑制された反応とは全く違う反応を示した。

 

「これは一人の政治家に向けられた、アメリカ史上最大の魔女狩りだ!」とトランプはツイートした。

 

「クリントン選対とオバマ政権で行われた全ての違法な行為に対して、特別検察官が任命されたことはなかった」とトランプは別のツイートの中で述べた。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)



アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22



 古村治彦です。

 

 今回は、『タイム』誌が発表する今年の100人(小池百合子都知事も選ばれました)の中に選ばれたトランプ政権関係者6名についての分を抜粋してお伝えします。イヴァンカ・トランプ、ジャレッド・クシュナー上級顧問、ドナルド・トランプ大統領、レインス・プリーバス大統領首席補佐官、スティーヴン・バノン首席ストラティジスト、レベカ・マーサーです。面白いのは、それぞれの紹介文を書いているのが大物であり、味方、敵(元敵)である点です。

 

 興味深いには、ジャレッド・クシュナーを紹介しているのが、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官です。キッシンジャーは、共和党から民主党、民主党から共和党、とホワイトハウスの主が変わるときの大変さを指摘し、クシュナーは大統領の補佐役としてうまくやっていくだろうと書いています。昨年のトランプとキッシンジャーの会談をセットしたのがジャレッド・クシュナーですが、クシュナーとキッシンジャーが初めて会ったのが2015年であるとも書かれています。キッシンジャーはクシュナーがハーヴァード大学出身であることも書いており、そこにも信頼を置いているという感じです。

 

 トランプ政権内部で内部闘争が起きており、一方の旗頭がスティーヴン・バノンで、もう一方の旗頭がジャレッド・クシュナーと言われています。そして、バノンとクシュナーが激しく衝突したという報道もなされています。この2人を仲裁したのが、プリーバスです。この3人について紹介されています。

 

 レベカ・マーサーは共和党への大口献金者として知られている人物ですが、トランプ勝利のために、資金を提供し、バノンをトランプ選対に送り込んだ人物です。この人物についてはあまり知られていないと思われますので、この紹介記事は重要であると思います。

 

 5月28日に副島隆彦の学問道場主催の定例会で、同僚の中田安彦研究員がトランプ政権について講演を行いますが、それとも関連する記事ですので、出席される方は是非お読みください。

 

(貼り付けはじめ)

 

『タイム(TIME)』誌 2017年4月20日

 

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イヴァンカ・トランプ(Ivanka Trump

 

ウェンディ・マードック筆

http://time.com/collection/2017-time-100/4742699/ivanka-trump/

 

 

世界はイヴァンカ・トランプをアメリカのファースト・ドーター、実業家、家族を大事にする妻であり母であることを知りつつある。私は彼女を親しい友人と呼べることを誇るに思っている。私と彼女が友人関係になって12年が経つ。私はニューヨークに住む隣人同士として知り合った。そしてすぐに親しくなっていった。お互い現代的な働く母親として、私たちは多くの挑戦と喜びを共有してきた。イヴァンカは私の人生において助言を与えてくれる信頼できる相談者である。

 

私はイヴァンカを尊敬し、賞賛の気持ちを持っている。それは、彼女が新しい役割の持つ影響力を如何に使うかを分かっているからだ。彼女は長年にわたり女性と少女の地位向上を訴えてきた。また、現在は教育の改善を訴え、人身売買のごく滅のために活動している。彼女は人身売買の悲惨さを知り、平穏な生活を捨てて、幼い家族とともにワシントンに移り、世界に良い変化をもたらそうとしている。

 

私の娘たちはイヴァンカに憧れつづけている。世界中の女性と少女たちもまた彼女に憧れを抱くことができると私は考えている。

 

※マードックは、映画プロデューサー、実業家、「アーツィー」社の共同創設者である。(訳者註:ルパート・マードックの元妻。中国系。気が強いことでも有名)

 

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ジャレッド・クシュナー(Jared Kushner

 

ヘンリー・キッシンジャー筆

http://time.com/collection/2017-time-100/4742700/jared-kushner/

 

アメリカ大統領が1つの政党からもう1つの政党へ交代することは、アメリカ政治におけるもっとも複雑な出来事の1つだ。このような変化が起きると、ワシントンを動かしている目に見えないメカニズムの中に大きな変化と不安定が生まれる。 新しくワシントンにやってくる大統領は既存の型式の構造について無知であり、その無知の程度が大きいほど、それを埋めることを期待されているアドヴァイザーたちの責任は重くなっていく

 

ここ4カ月、新大統領とワシントンのメカニズムの間をうまくつないでいるのがジャレッド・クシュナーだ。私がクシュナーと初めて会ったのは18カ月前のことであった。私が外交政策について講演を行ったその後に、彼は私に自己紹介をした。それが最初の出会いであった。私たちはそれ以降、率直に意見交換するようになった。トランプの親族の一員の中で、ジャレッドはトランプ大統領が何を考えているかも分かる人物だ。ジャレッドはハーヴァード大学とニューヨーク大学の卒業生であり、幅広い教育を受けている。実業家して、組織の運営についてもよく知っている。こうした長所によって、彼は太陽の近くを飛び回るという危険な任務を成功させることができるだろう。

 

※キッシンジャーは米国務長官を務めた

 

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ドナルド・トランプ(Donald Trump

 

ポール・ライアン筆

http://time.com/collection/2017-time-100/4736323/donald-trump/

 

彼は常に物事を達成するための方法を見つける。私を含む多くの人々が、彼はどうやって成功できるんだろうかと首をひねっていたが、ドナルド・トランプは歴史的な勝利を収めたのだ。トランプは第45代アメリカ合衆国大統領に就任し、政治のルールを書き換え、アメリカの方向性を設定し直した。実業家とは常に常識や現状に挑戦したいと考えているものだ。トランプはワシントンに激震をもたらし、これまでにない政策目標を掲げている。彼は決して戦いを恐れない。彼は自分など忘れ去られた存在だと感じている人々のために戦うことを自分に課している。他の人々が態度を変えるような場所でも、彼は自分が何者であるかという点を明らかにして態度を変えることはない。他の人なら退くところで、彼は一歩前に踏み出す。私は、トランプがアメリカをがらりと変えてしまうかもしれない、私たちを導く力を持つ指導者であると認識している。トランプは再び困難を乗り越え、目的を達成する方法を見つけるだろうと私は確信している。

 

※ライアンはアメリカ連邦下院議長を務めている。

 

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レインス・プリーバス(Reince Priebus

 

ラーム・エマニュエル筆

http://time.com/collection/2017-time-100/4736339/reince-priebus/

 

レインス・プリーバスと私の共通点は、中西部の生まれである点と変わった名前である点、そして政治を愛している点くらいだ。しかし、私たちは大統領首席補佐官として大統領の要望に応えてきた数少ない人物たちの仲間である。 私たちは、激しい選挙戦と一つの党から別の党への政権交代の後の新政権発足で、大統領首席補佐官を務めることになったという共通点がある。私たちは傷だらけの状態から仕事を始めた。

 

首席補佐官はホワイトハウスの職務の中で2つのタイトルを示している。首席とスタッフだ。首席が意味するのは、構造と説明責任だ。補佐官が意味するのは、大統領はアメリカ国民の投票で選ばれた人物だということを肝に銘じ、大統領執務室のドアを開ける前に自分のエゴが出ないようにチェックし、自分は大統領のために働くためにそこにいるということを理解し、彼の考えを実現するのだということを確かめるということだ。

 

私は大統領首席補佐官だったとき、金曜日のたびに次のようなジョークを言っていた。「やれやれ、月曜日まであと2日間だけ働けばいいんだ」。大統領首席補佐官は消耗するし、感謝されない仕事だ。1日の始まりから終わりまで、様々なことが起き、経験する。それがどんなに朝早く、夜遅く起きるにしても、私たちは神経を張りつめておかねばならない。 過ぎていく1日は、私たちが挑戦を始める1日となる。

 

※エマニュエルは、バラクオバマ大統領の大東翔首席補佐官を務めた。現在はシカゴ市長を務めている。

 

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スティーヴン・バノン(Stephen Bannon

 

マイケル・ダフィー筆

http://time.com/collection/2017-time-100/4736342/stephen-bannon/

 

スティーヴン・バノンは第45代大統領の大統領首席ストラティジストとして機能しないかもしれない。しかし、バノンほど、ドナルド・トランプの大統領選挙と就任後2カ月で影響力を発揮してきた人物は存在しない。アメリカ海軍とゴールドマンサックスに勤務した経験を持つ。彼は現在、トランプ政権の方向性を決める最高幹部となっている。彼は、既存の民主、共和両党に対して、怒りに満ちた、ナショナリスティックな、アメリカ第一主義の炎を向けている。バノンは政府機関、ビジネス界、マスコミのエリートを攻撃してきた。そして、トランプを支持した高齢の白人で、現状に不満を持つ人々を徹底して喜ばせてきた。バノンの語る内容は、これまでブライトバート社の会長として主張してきたもので、これは、トランプ政権発足後の75日間の明確な目標となった。しかし、これに対して激しい反対も引き起こした。しかし、トランプ自身は、バノンが連邦議会に対しての勝利を収めることよりも、トランプ支持者たちを離れさせるようなことをしていると認識している。トランプにとって、これは大変に危険で、彼を破滅させることになると考えている。

 

ダフィーは、『タイム』誌の副編集長である。

 

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レベカ・マーサー(Rebekah Mercer

 

テッド・クルーズ筆

http://time.com/collection/2017-time-100/4742759/rebekah-mercer/

 

レベカ・マーサーは戦士であり愛国者だ。彼女は卓越した数学者で、大成功を収めた投資家の娘として生まれた。レベカは素晴らしい知識と直観力に恵まれている。彼女はそのまま恵まれた、安楽な暮らしをすることは簡単なはずだった。しかし、レベカは自由とわが国について深く考える人間だ。

 

レベカと彼女の父ボブは、これまで政治革命を推進するために莫大な資金を投じてきた。2人のアプローチは複合的だ。シンクタンク、公共政策研究組織、インターネット・メディア、データ分析会社への援助を通じて、レベカは政治の世界に変革をもたらしてきた。彼女は、ワシントンにおける民主、共和両党の腐敗に対する人々の不満を理解している。彼女は汚れた沼の水を抜くことを強力に主張している。

 

レベカは、新人や勝利の可能性が低い候補者たちの資金や選挙運動を支援してきた。その中には私の上院議員選挙や大党選挙が含まれる。ドナルド・トランプが共和党の大統領選挙候補者に指名された時、レベカは、トランプの選挙対策ティームに人員を集め、11月に世界に衝撃を与えた戦略を採用する際に重要な役割を果たした。

 

※クルズは、テキサス州選出のアメリカ連邦上院議員である。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)







アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22



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 古村治彦です。

 2017年5月30日に発売となります、副島隆彦先生の最新刊『老人一年生 老いるとはどういうことか』(副島隆彦著、幻冬舎、2017年)を皆様にご紹介します。

 今回の本は、副島隆彦先生が自身の経験を基にして、年齢を重ね、老人になるとはどういうことかを書いています。私はまだ中年入口の年齢ですが、学生時代の友人たちと話すと、体重が増えて、おなかやあごに贅肉がついてきた、健康診断で数値が悪くなった、痛風が出た、血圧が高くなったなどなど、健康の話が多くなります。これが中年になるということか、と実感しています。これに痛みが加わるのか、体の動かなくなるのか、という少し暗い気持ちになりますが、老人になるということを追体験してみたいと思います。

 宜しくお願い致します。

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老人一年生 老いるとはどういうことか (幻冬舎新書)

(貼りつけはじめ)

まえがき

 老人とは何か。それは痛い、ということだ。老人は痛いのだ。

 年(とし)を取ると、あちこち体が痛くなる。毎日生きているだけでも痛い。本当に苦痛だ。人間、体の痛みぐらい嫌なものはない。

 私は半年間、痛風(つうふう)のせいで具合が悪く、足の裏(かかと)が痛くて歩くことが困難だった。トイレに行くだけでも大変だった。杖(つえ)をついたり、足をひきずりながら一歩ずつ歩いた。歩く一歩ずつが痛かった。今はもう治った。あれこれ努力したからだ。

 そして心からしみじみと思う。老人になる、とは体があちこち順番に痛くなることなのだ、と。自分のこの病気はそのうちまた再発するだろう。私はその痛みに耐えながら、やがて70歳になるだろう。そして、80歳になったら。きっともっとあちこちが痛くなるはずだ。

 私はまだ64歳だ。だから前期高齢者だ。75歳から後を、後期高齢者と言う。だから、もう私は初期の老人であり、「老人一年生」である。私はハッキリとこのことを自覚した。

 痛風(つうふう)のために起きる足の一歩一歩ごとの痛みは、小さな痛みだ。だが、それが続くと、もう、「これはたまらん」ということになる。歩きたくなくなる。やがて外に出るのも嫌に、となる。家の中でなんとか体を支えて、摑(つか)める所を摑みながら移動する。歩くと痛いからなるべく歩かなくなる。起きて歩きたくなくなる、ということは、ベッドから起き上がるのがいやになるということだ。ということは、寝たり起きたりで一日を過ごす、ということになる。今はまだなんとかなっている。

 だから、やがて寝込むようになるのだろう。いったん寝込んだら、もう起き上がれない。だから、老人同士は「寝込んだら終わりだよ」と、お互い励まし合いながら、「ちょっとぐらい痛くても起きて歩かなきゃ」と言い合って、元気を出している。これが本当の老人の姿だろう。

 私がこの原稿を書こうと思った理由は、「老人は痛いのだ」「老人というのは、あちこち痛いということなのだ」ということを、何と若い人たちは分かってくれない、という、大きな秘密を明らかにするためだ。老人(になった人間)にとっては当たり前のことが、若い人たちには分からない。若い人たちは本当に、老人の体の痛みのことを分からない。

 若いといっても、40代、50代の人たちだ。なんとつい最近までの私自身だ。自分が元気なときは、老人と障害者と病人の気持ちが全く分からなかった。老人病になって初めて老人の気持ちが分かる。

 自分がその立場になって初めて分かる。私が自分の足の痛みをいくら周りの人に訴えても、家族も弟子たちも、編集者たちも、まったく分かってくれなかった。人は人(他人)のことを理解しない生き物だ。「かわいそうね」という言葉すらかけない。しょせんは他人事(ひとごと)なのである。

 人は他人のことを、そんなに同情したり、憐(あわ)れんだりする生き物ではないということがよく分かった。今の日本人はとにかくウソをつきたくないから、わざとらしく、相手をいたわる言葉など吐かない。わざとらしいウソは必ず相手に見抜かれてバレてしまう。そうすると自分の信用がその分、落ちる。だから、思ってもいないことをわざと口に出して言うことはウソになる。だから相手へのいたわり(同情)の気持ちなど、よっぽどのことがないと口にしない。それが今の日本人である。


老人一年生/目次


●まえがき


第1章 老人は痛い。だから老人なのだ
●若い人は残酷だ
●街中、白髪の老人だらけ
●痛風で、痛みのつらさが初めてわかった
●誰もが老人病になる。それが運命
●医者は「生活習慣病」と言うな。「老人病」だ
●ピンピンコロリは1%もいないだろう
●私の5つの老人病はこれ

第2章 私の5つの老人病
●私の「痛風」対処法
●痛風の薬は、私にはインテバンが合った
●「前立腺肥大症」は男の生理痛ではないか
●「高血圧(による頭痛)」は放っておいて我慢するだけ
●「腰痛」と「頸痛」がかなり問題だ
●私は自分が「椎間板ヘルニア」と「脊柱管狭窄症」だと信じていた
●「慢性気管支炎」なので私は熱海へ逃げ帰る
●頭痛と眼精疲労も60歳を過ぎて出てきた

第3章 「腰痛と首、肩の痛みは治るようである」論
●腰、首、肩の痛みへの私の対処法
●腰痛の定番の診断名「椎間板(ついかんばん)ヘルニア」「脊柱管(せきちゅうかん)狭窄症(きょうさくしょう)」
●腰痛治療でボルトを入れられてしまった中年女性の話
●腰痛は本当に、背骨からくる神経の痛みなのか?
●筋肉のことを学ばない外科医
●ケネディ大統領の腰痛を治した治療法
●ペインクリニックの「神経ブロック注射」には注意

第4章 痛みをとるのがいい医者だ
●患部の痛みとは何なのか
●痛みには「なんとかなる痛み」と「腐った痛み」がある
●「腰痛は、脳が勝手に作り出した説」はおかしいだろう
●「痛み」の正体が明らかになりつつある
●医者は「当時はそれが最善の治療法だった」と逃げる
●医者は老人病の痛みを軽減してくれればいい
●70代、80代で手術する人は医者の稽古台だ
●手術は素朴なものだけやる
●医者たちも大変な時代になった

第5章 目と歯も大事だ
●私の体の通信簿を載せる
●インプラントは恐ろしい
●歯周病は歯磨きで少し改善した
●歯磨きの大切さが今頃わかった
●レーシック手術も私はやらない

第6章 いい鍼灸師、マッサージ師は少ない
●鍼灸師(しんきゅうし)は3~5人の口コミで確かめる
●柔道整復師(ほとんどのマッサージ師)に気をつけなければならない
●椎間板ヘルニアについて、ある内科医の告白
●形成外科はいいが、整形外科はひどい

●血液&尿検査項目解説

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(終わり)





アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22
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 古村治彦です。

 

 「ロシアゲート」「クレムリンゲート」と呼ばれる、ドナルド・トランプ大統領とその周辺人物たちとロシアとの関係をめぐる「疑惑」を追及する動きが勢いづいています。これは、トランプ大統領がジェイムズ・コミーFBI長官を解任したことから始まります。司法省のジェフ・セッションズ司法長官(Attorney General)とロッド・ローゼンスタイン副長官(Deputy Attorney General)はメモ(文書)を作成し、コミー長官が昨年の大統領選挙期間中に、民主党の有力候補であったヒラリー・クリントン元国務長官の私的Eメールサーヴァー使用問題について、捜査について記者会見をし、公開書簡を連邦議会に送るなど、選挙に影響を与えたことがFBI長官の職務を逸脱していると激しく非難しました。トランプ大統領は両者のメモに基づいてコミー長官解任を決定しました。

 

 しかし、ローゼンスタイン副長官は、「解任するべきだとまではメモに書いていない」「トランプ大統領はコミーを解任したくてうずうずしていて、メモを手にして渡りに船とばかりに自分の行動を正当化するために利用した」と憤っているという報道が出ました。

 

 コミー解任時に、「ローゼンスタインとは何者だ?」ということで注目を浴びるようになりました。ローゼンスタインは司法省生え抜きの幹部職員です。ハーヴァード大学法科大学院時代には学内法律誌『ハーヴァード・ラー・レヴュー』誌の編集長をしています。バラク・オバマ前大統領も在学時に編集長をしていますが、成績が良くなければ選ばれないポジションです。また、メリーランド地区連邦検察官に任命され、空中分解していた連邦検察局を建て直したという実績もあります。有能な、頭の切れる官僚です。

 

 民主党側は昨年の大統領選挙期間中からコミー長官やFBIを選挙に影響を与えたとして批判してきましたが、トランプ大統領がコミー長官を解任すると、この解任を批判しています。FBIが現在、マイケル・フリン前大統領国家安全保障問題担当補佐官とロシアとの関係を捜査中で、捜査妨害だ、と批判しています。また、トランプ大統領がコミー長官に対して、フリンへの捜査に手心を加えるように求めたという話も出てきて、批判の度合いを強めています。トランプ政権が自分たちに都合の悪い捜査、ロシアとのつながりに関する捜査を妨害している、という批判が高まっています。

 

 先週、ロッド・ローゼンスタイン副長官は、ロバート・ムラー元FBI長官(コミー前長官の前任者で10年以上FBI長官を務めた)を特別検察官に任命し、トランプ政権とロシアとの関係を捜査させる権限を与えることになりました。ジェフ・セッションズ司法長官は、トランプ政権の一員でもあり、政権が捜査対象となるために、この任命には関与できませんでした。コミー長官解任に反発した民主党所属の連邦議員は、「それならば、政権に対してより独立性が高い独立検察官や特別検察官を任命すべきだ」と主張していましたが、特別検察官任命は彼らを満足させるはずでした。

 

 しかし、ローゼンスタイン副長官は連邦議事堂で連邦議員たちとの会議に出席したのですが、ほぼ全ての質問に回答拒否をして、議員たちを怒らせたようです。捜査情報を表に出し過ぎたということで、コミー長官を非難したので、情報公開には慎重な姿勢を取ったということでしょうが、民主党議員たちは怒り心頭です。

 

 ローゼンスタイン副長官は「自分はあくまで、司法副長官としての職務を全うしている」と言うでしょうが、なかなかの策士です。彼はトランプの考えを忖度してコミー長官解任を正当化できる理屈を考えだし、それにトランプ大統領が乗りました。しかし、返す刀で、特別検察官を任命し、トランプ政権から邪魔をされない形でロシア問題(ロシアゲート、クレムリンゲート)を追及できる形を作り上げました。トランプの味方のふりをして、トランプを攻撃する形を作ったということになります。ですが、ここで民主党側を喜ばせると、自分の中立性、不偏不党が疑われますから、民主党側にも肩入れしないということで、素晴らしく官僚的な動きをしています。

 

 ローゼンスタインの目的はどこにあるのか、まだはっきりしませんが、ワシントンのエリート攻撃のためにできたトランプ政権に対する、エリート側の反撃と言うところではないかと私は考えます。

 

(貼り付けはじめ)

 

民主党はローゼンスタインへの不満を募らせる(Dem frustration grows with Rosenstein

 

マイク・リリス、ケイティ・ボー・ウィリアムズ筆

2017年5月19日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://thehill.com/homenews/house/334234-dem-frustration-grows-with-rosenstein

 

連邦下院の民主党所属議員たちは金曜日、大統領選挙におけるロシアの行動とトランプ政権とロシアとの関係についての捜査について、ロッド・ローゼンスタイン司法副長官からブリーフィングを受けたが、不満を募らせることになった。

 

民主党所属議員たちは、連邦議事堂の地下にある部屋で開かれた機密扱いの、非公開の会議に出席した。会議後、議員たちは、リンダ・サンチェス連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)の言葉を借りると、ローゼンスタインは「単純な、イエスかノーかの質問にさえ答えることを拒否した」と不満を表明した。議員たちは、司法省の捜査全般を監督する、トランプ大統領が任命した司法副長官がホワイトハウスの影響を受けているのではないかという懸念を募らせている。

 

会議室を後にしながら、連邦下院民主党議員連盟の副会長サンチェス議員は、「ローゼンスタインに対する疑念は消えていない」と語った。

 

サンチェス議員は次のように語った。「“私たちを信頼してください、誠実に職務を遂行しています。正直にやっています。変な魂胆など持っていません”“とにかく信頼してください”という言葉ばかりでした」。彼女は続けて次のように述べた。「私は、“OK、信頼しましょう、だけど証明をしてください”という立場です。私たちには事実に基づいた情報を望んでいるのです」。

 

ルベーン・ガレゴ連邦下院議員(アリゾナ州選出、民主党)は怒りをあらわにしながら、更にきつい言葉遣いだった。「無駄な」ブリーフィングで、こんなものをいくら受けても、連邦議会と司法省との間の不信感は募るばかりだ、と吐き捨てた。

 

ガレゴ議員は「ローゼンスタインは連邦議員たちの間に混乱と怒りを増幅させています」と述べた。

 

セス・モールトン連邦下院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)もまた不満をぶちまけた。

 

会議の後、モールトンは次のように語った。「会議室の中には不平不満が充満しました。ブリーフィングを受けて、私たちはトランプ政権を信任すべきではないという確信を新たにしましたよ」。

 

ローゼンスタイン司法副長官を任命したのはトランプ大統領だ。ローゼンスタインは先週、蜂の巣をつついた格好になった。ジェイムズ・コミーFBI長官の2016年の大統領選挙期間中におけるヒラリー・クリントンの私的Eメール使用スキャンダルの取り扱いを非難した3ページのメモをローゼンスタインが書いた。トランプは最初、ローゼンスタインのメモをコミー解雇の主要理由に挙げていた。それ以降の10日間、トランプの発言は変化している。ローゼンスタインは、大統領が過度に彼のメモに依存していることに怒りを覚えていると報じられた。

 

ローゼンスタインは、木曜日には連邦議事堂で連邦上院議員たちに対してブリーフィングを行った。その際、議員たちに対して、彼がメモを書く前に既に、トランプがコミーを解任したいと思っていたことを知っていたと述べた。ローゼンスタインは、トランプ大統領によるコミー解任を正当化するために彼のメモが使われたと示唆している。

 

水曜日、ローゼンスタインは再び新聞の1面を飾ることになった。彼はコミー長官の前任者ロバート・ムラー元FBI長官をロシアとトランプとの関係を捜査する特別検察官に任命した。

 

ムラーは民主、共和両党の連邦議員たちによって好意的に受け入れられた。彼は党派を超えて、信頼性の高い操作を行うことができるという評価を受けている。ルイ・ゴウマート連邦下院議員(テキサス州選出、共和党)は例外だ。ゴウマート議員は金曜日の会議の最後にマイクを手に取り、新任の特別検察官について批判したと複数の議員たちが証言した。

 

他の出席者たちも受け入れていなかった。

 

ある議員は、「ローゼンスタインが話している時に、全員が部屋を出ていこうとしていた」と述べた。

 

金曜日の会議の参加者全員が失望した訳ではなかった。ダレル・アイサ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、共和党)は、ムラーが徹底的な捜査を行うために必要な知識と経験を備えているので信頼していると述べた。アイサ議員は今年になって、特別検察官任命を最初に発言した議員である。

 

アイサ議員は「ムラー氏が特別検察官に任命されると聞いて、私はとても満足です。ムラー氏は特別検察官として、直接的にかつ間接的に全てを指揮する力を持っていますからね」と述べた。

 

民主党議員たちは共和党側ほど満足してはいない。

 

モールトンは次のよう述べた。「ローゼンスタインは多くの質問に対して回答拒否で返した。政権によるコントロールとムラーが本当に必要とする権威と権限を与えられるのかどうかについて、懸念を感じている」。

 

連邦下院情報・諜報委員会の委員であるマイク・キグリー連邦下院議員(イリノイ州選出、民主党)は畳み掛ける。

 

キグリー議員は、「ローゼンスタインはこちらからの質問に対して準備不足でした。ロシア関連の捜査について懸念を持っている人々を満足させることなどできませんでしたよ」と述べた。

 

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ロッド・ローゼンスタイン、コミー解任の裏にいるミステリアスな人物(Rod Rosenstein, the Mystery Man Behind Comey Firing

 

―かつての同僚や司法省の官僚だった人々は、司法副長官がいかにしてトランプの刺客となったのかと不思議に思っている

 

エリアス・グロール筆

2017年5月10日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2017/05/10/rod-rosenstein-the-mystery-man-behind-comey-firing/

 

今週火曜日まで、ロッド・ローゼンスタインはワシントンで最も無名で、最も力を持つ人物であった。ドナルド・トランプ大統領がジム・コミーFBI長官を解任し、ローゼンスタインの判断に従ったと述べた時、司法副長官は無名の存在から一気に人々の注目を集める存在になった。

 

司法省に勤務しいていた人々はローゼンスタインを完璧なプロフェッショナルと言いながら、トランプ政権のホワイトハウスのためにFBI解任を主導する役目を引き受けることになったのか、不思議に思っている。水曜日、本誌はローゼンスタインの同僚だった人々に取材を行った。彼らは全て匿名を条件に取材に応じた。彼らは、ローゼンスタインを誠実な人物であると賞賛しながらも、いかにしてトランプの刺客となったのかと首をひねっていた。

 

ローゼンスタインがメリーランド地区の連邦検事を務めていた時にその下で働いていた司法省所属の弁護士をしていた人物は次のように語る。「ロッドは馬鹿ではありません。彼は経験豊富で、頭が切れ、常識をわきまえた人物です。ロシアと共謀について捜査している現職のFBI長官を解任することは狂ったことだということを理解しなければなりません」。

 

ローゼンスタインは、厳しい叱責内容を3ページのメモにまとめた。ローゼンスタインは、コミーFBI長官は、ヒラリー・クリントン元国務長官の私的なEメールシステム使用に対する捜査の取り扱いによって、人々の信頼を損なったと述べた。2016年7月、コミーFBI長官は記者会見を開き、FBIは民主党の大統領選挙候補有力と見られていたヒラリー・クリントンに対する不起訴を勧告すると述べた。ローゼンスタインは、コミーが不起訴相当という司法省への勧告を公にしたことで、司法省の優越の権威を損なうことになったと主張した。

 

トランプ大統領はコミー解任にあたり、ローゼンスタインのメモを引用している。しかし、ローゼンスタイン副長官はコミー長官の解任までは提案していないのだ。司法帳に勤務していたある弁護士は次のように語った。「ロッドは、技術的にジム・コミー解任を求めることに意味はないという事実を認識していますよ。彼は頭脳明晰なんですから」。

 

ジェフ・セッションズ司法長官は当事者ということもあり、米大統領におけるロシアの介入と、トランプの側近とクレムリンとの間の共謀にFBI捜査に関わることができないということもあり、ローゼンスタインは論争を起こすロシア関連の捜査を監督する責任を担っている。火曜日、CNNは大陪審が前大統領国家安全保障問題担当補佐官マイケル・フリンのビジネス上の取引相手を召喚した。マイケル・フリンは、駐米ロシア大使と自分との接触の程度について、マイク・ペンス副大統領に嘘をついたという報道が出て、補佐官就任後1カ月もしないうちに辞任した。

 

トランプ政権がローゼンスタインを司法副長官に任命すると発表した時、法執行分野の人々は安心のため息をついた。ローゼンスタインは司法省生え抜きのある職員で、ジョージ・W・ブッシュ大統領からメリーランド地区連邦検察官に任命された。ローゼンスタインは、無秩序のままに放置されていた地区検察を立て直してくれると期待され、検察官に任命された。ブッシュ大統領時代に任命された連邦検察官の中で、オバマ政権下でも引き続き職務を続けることができたのはローゼンスタインだけであった。多くの人々は、ローゼンスタインがトランプ政権の最悪の行き過ぎを和らげるために手腕を発揮すると見ていた。

 

ローゼンスタインは、コミー解任にあたり正当化の理由を与える役割を果たした。これに対して、司法省のヴェテラン職員たちは、これに疑問を持っている。司法省で国家安全担当部門の職員を務めたある人物は次のように語る。「ローゼンスタインがこのような行動を取ったことに驚き、失望しています。私はローゼンスタインの誠実性はいつも大変信頼しています」。

 

厳しい批判され、コミー解任に関するホワイトハウスの説明は最初のものから24時間で大きく変化している。まず、トランプの側近たちは、司法省によるコミー解任の勧告に基づいてトランプ大統領はコミーを解任したと主張した。しかし、複数の報道によると、トランプ大統領はFBI長官をまず決心し、その後に司法省に対してこの行動を正当化するように求めたということだ。

 

水曜日、ホワイトハウスのサラ・ハッカビー・サンダース報道官は、トランプ大統領は就任直後からコミー長官が政策実行の邪魔になり解雇を考慮していた。サンダース報道官は更に、司法省の幹部たちは、コミー長官の「酷い行動」に対応するように大統領に求め、大統領はそれに応じたとも述べた。

 

ローゼンスタインが出した激しい内容のメモは、コミー長官の「酷い行動」を記述したものだ。このメモにはローゼンスタインの気持ちが入っている、とローゼンスタインの元同僚は語っている。ローゼンスタインは数多くの政府機関の汚職の摘発を行ってきた。その中で、選挙に影響を与えない、そして、捜査を秘密に進めるために、司法省のガイドラインに従ってきた。コミー長官によるヒラリーに対する捜査に関する2016年7月の記者会見と10月の連邦議会へ送付した書簡はこのルールから逸脱したものだとローゼンスタインは考えていた。

 

ローゼンスタインの下で働いた経験を持つ元検察官は次のように語る。「コミーがへまをやらかした、重要な時期にへまをやらかした、辞任に値するほどのへまをやったという主張は正しいですよ。それでも、解任を求めるメモを出すことをOKだとローゼンスタインが考えたのはどうしてだろうかと不思議に思っているんです」。

 

メリーランド地区連邦検察官事務所に長年勤める職員は次のように語った。「ロッドがどうしてこんなに簡単にトランプのために働く存在になってしまったのか理解できない」。

 

ローゼンスタインは連邦議会の民主党議員から激しい批判を受けている。彼らは、ロシアによる米大統領選挙介入とロシアとトランプ選対との関係を捜査するために、独立捜査官を任命するように求めている。彼らはローゼンスタインには捜査官を任命することはできないと主張している。

 

連邦上院情報・諜報委員会の民主党側幹部委員であるマーク・ウォーナー連邦上院議員(ヴァージニア州選出、民主党)は、「特別捜査官は司法省生え抜きの幹部職員であった人物を任命されるべきで、政治任用をされるべきではない」と述べている。ウォーナー議員は、ロシアによるハッキングとロシアとトランプ選対との関係について調査を行う委員会を率いている。水曜日、ワーナー率いる委員会は、委員会の調査に関する文書を巡り、証言を得るためにマイケル・フリンを召喚した。

 

ローゼンスタインを教えたハーヴァード大学法科大学院の教授に電話で取材を行った。取材に応じたのは、フィリップ・ヘイマン教授だ。ヘイマンは、ビル・クリントン政権で司法副長官を務めた。ヘイマンは、教え子であるローゼンスタインに次のような助言を送った。「私がロッドに話すとするならば、特別顧問か独立検察官を起用するようにと言うでしょう。それは、そうしなければコミー長官解任の目的であると彼が述べた信頼をできないからです」。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)



アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22




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 古村治彦です。

 

 アメリカでは、ドナルド・トランプ大統領によるジェイムズ・コミーFBI長官解任を受けて、トランプ反対派とマスコミからの攻撃が激しさを増しています。連邦議会上下両院で少数派となっている民主党は、来年の中間選挙での躍進を目指して、トランプ政権との対決姿勢を鮮明に打ち出しています。

 

健康保険問題では、共和党内部にもトランプが求めるオバマケア代替法案に反対の議員たちも多く、本当に成立するのか疑問で、また、成立しても、かなりの妥協の産物になっているでしょう。また、トランプを支持した人々は、低所得でメディケイドという公的保険に入っている人が多く、メディケイドに入れないが収入が低い人々はオバマケアで一応保険に入れたが、オバマケア撤廃でどうなるかということで不安と不満を持っています。私は、トランプ大統領は、オバマケアでも良いと思っているのではないかと思います。

 

 減税もトランプ大統領を支持した低所得の人々にとってはあまり恩恵がある話ではなく、そうしたこともあって、現在トランプ大統領の支持率は30%中盤、不支持率は50%超えという状況です。

 

 大手マスコミは毎日派手にトランプ批判を展開しています。私は、外交に関してトランプ大統領を支持していますから、大手マスコミの報道はやり過ぎ、行き過ぎではないかと考えています。以下に、トランプ政権内部の内部闘争に関する記事をご紹介しますが、その中には、政権幹部の話として、旧知の記者たちが「この話は本当か」と噂話を確かめる電話をしてくるが、そんな話はないので否定しても、翌日の新聞には記事として掲載される、という話が紹介されています。

 

 アメリカの歴代政権で、内部闘争がなかった政権などありません。大なり小なり争いはあります。バラク・オバマ政権では人道的介入主義派が国務省を根城にして余りにもバカなことをやるので、ホワイトハウスが外交の主導権を握り、キューバとの国交回復、イランとの核開発に関する合意を成立させました。ジョージ・W・ブッシュ政権時代には、ネオコンがまたあまりにも酷いので、そうではない人々が抑え役に回るということがありました。

 

 私はトランプ政権発足時の閣僚やスタッフの配置を見て、「同じような権限や力のポジションに全く違う考えの人々を起用して、競争させつつ、良い案を出させて、トランプがそれを実行するようになるだろう」と考えました。これは、実業家としては当然のことで、「コンペ(コンペティション)」をして、より良い方を選択する、ということです。しかし、外から見れば、内部で対立がある、上から抑える人がいないと、競争がエスカレートしているように見える、ということになります。

 

 トランプ政権は、ワシントンの政治家や官僚に対する人々の怒り、ポピュリズムから生まれた政権です。ですから、既存の政治家や官僚、そしてマスコミは当然反発します。日本でも、新聞やテレビが政権にうまくコントロールされる、官僚が世論を誘導しようとして情報をリークする、ということが問題になっていますが、アメリカでも同じことです。日本の記者クラブ制度は目につきやすいものですが、アメリカでは目に見えない形で、既存メディアのコントロールがあるように思います。

 

 私は、歴代政権と比べて、トランプ政権だけが特別内部闘争が激しいのではない、ただ、メディアが面白おかしくあることないことを報道して、「激しい対立で政権崩壊寸前」という前提で、出来事を分析する記事を掲載していると、それが「真実」であるかのように見られてしまっている、と考えています。

 

 そして、大きくは、トランプ攻撃でトランプを追い出し、出来れば早くマイク・ペンス副大統領を大統領に、そして2020年には民主党系の人道的介入主義派、もしくはその言うことを聞く人物を大統領に、と共和党ネオコン、民主党、官僚、マスコミは考えているでしょう。

 

 しかし、トランプは何度も逆境を乗り越えてきた人物であり、危機的状況すらも内部の引き締めと裏切り者の排除に使うだけの度胸と力を持っていると私は考えます。

 

(貼りつけはじめ)

 

トランプ政権内部の闘争が沈静化(Infighting cools down in Trumpland

 

ジョナサン・イースリー筆

2017年4月25日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/administration/330341-infighting-cools-down-in-trumpland

 

トランプ大統領のホワイトハウスは、内部闘争とリークによる傷を癒そうとしている。政権発足からの100日を越えて、内部闘争とリークに付きまとわれている。

 

トランプは、上級顧問であるジャレッド・クシュナーと首席ストラティジストであるスティーヴン・バノンとの間の一時的な休戦を仲介した。クシュナーはトランプの義理の息子であり、政権内での責任が重くなっている。バノンはブライトバート・ニュース社の会長を務め、好き放題なスタイルとナショナリスト的な考えが目立ち、トランプの型破りな選挙運動を象徴する人物である。

 

バノンと話した人は、バノンがクシュナーを攻撃している自分の味方に対して、攻撃をやめるように強く求めたと語っている。

 

 

しかし、政権内部の闘争と明日の新聞にその話が報道されるのではないかという恐怖感のために、トランプ政権の幹部たちは疲れ切っている。

 

政権の幹部たちがマスコミに対して噂を流し、それを払拭しようとして激しく闘っているように見える。本誌の取材に応じた政権幹部たちは、こうした争いに参加することを拒むと走ってくるバスの下に投げ飛ばされる、もしくはマスコミに対して影響力を失っているという話をされる、という不安を感じていると語っている。

 

「やるか、やられるか」という精神状態は幹部から中堅職員に拡大しており、彼らもまた内部闘争に参加するようになりつつある。

 

ホワイトハウスの幹部たちの間で広がっている不平不満はマスコミが数多く取り上げている。今月初め、政権内部に充満する不平不満が噴出した。連邦上院がニール・ゴーシックの連邦最高裁判事任命を承認した日、マスコミがこれよりも大きなスペースで報じたのが、トランプ政権内の宮廷内闘争の話であった。これはトランプ政権の勝利と言える。

 

政権内部の闘争はトランプの支持者たちにも反映し、彼らの間も分裂している。バノン率いる草の根保守派とニューヨークの「リベラル派」として出現しつつある派閥との間で闘いが起きている。クシュナー、イヴァンカ・トランプ、大統領経済顧問のゲイリー・コーン、大統領国家安全保障担当次席補佐官のディナ・パウエルがニューヨークの「リベラル」に分類される。

 

本誌が取材した共和党関係者たちは、内部闘争とリーク合戦がこれまでにないほどの激しさとしつこさだと語っている。

 

トランプを支えている人々は内部闘争がトランプの大統領としての成功を邪魔していると述べている。

 

アメリカ商工会議所の政治担当上級ストラティジストであるスコット・リードは、「これまでなかったレヴェルのリークがなされていることに衝撃を受けています」と語った。

 

リードは次のように語った。「トランプは実業家で、コンペをして、様々な異なった考えが提示されることを好みます。トランプ政権の秘密は、規律が保たれており、内部の話は外に出ないことです。もし規律が保たれず、秘密が外に漏れるようになると、それがマスコミにとっての格好の攻撃材料となり、トランプ大統領にとっては良くないことになります。トランプは規律を正そうとし、それをうまくやっています。政権内の人々は黙って仕事をすることです。そして、ケンカなどせずに、政策をきちんと進めてほしいですね。宮廷内の争いで経済が成長するなんてことはありませんから」。

 

トランプがバノンとクシュナーの争いに介入し、仲裁をしてから、まだ数週間しか経ってはいない。

 

トランプ政権発足から100日間が経過するこの時期は、トランプ政権内のライヴァルたちがまとまって進めるかどうかを占うテストとなる。

 

ホワイトハウスの幹部たちと政権の閣僚たちは総出で、トランプ政権の政策を売り込むために、地方、全国両方のレヴェルのメディアに出演することになる。そして、政権発足100日間は成功であったとアピールするだろう。

 

トランプ政権に近いある共和党幹部は、「政権発足最初の100日を何とかうまく乗り切ったと思う」と語った。

 

ホワイトハウスの幹部たちは、噂話とリーク合戦に嫌気がさしている。そして、内部闘争はマスコミによって過大に報道され、その中のいくつかの話は完全にでっち上げだと主張している。

 

ある政権幹部は本紙の取材に対して、「報道は大袈裟すぎる」と述べた。

 

他の幹部たちは本紙の取材に対して、記者たちは、彼らに電話をしてきて、政権内部のどぎつい、面白おかしい話に就いて本当かどうかを確かめるのだと語った。政権幹部たちがそうした話は真実ではないと語っても、記者たちはとにかくその話を報道してしまうということだ。

 

ホワイトハンス顧問セバスティアン・ゴルカは月曜日、ジョージタウン大学での講演で、「宮廷内闘争のおかげで新聞は売れるし、インターネット上の広告のクリック数も上がる」と述べた。ゴルカは更に、彼が読んだ内部闘争についての記事のほとんどは完全に嘘だと主張した。

 

マスコミ各社のスクープ合戦や蹴落としあいがあるのは間違いないところだ。

 

トランプの支持者の中には、こうした報道は、トランプ大統領の「創造的な緊張関係」を好む姿勢の副産物だと述べる。「創造的な緊張関係」では、側近たちが競争して、最高のアイデアを生み出すことになる、ということである。

 

保守派のシンクタンクであるアメリカン・プリンシプルズ・プロジェクトの所長フランク・カノンは次のように語る。「トランプは何かを決定する前に、出来るだけ幅広い意見を多くの人々から聞くことを好みます。しかし、政権内部で争いが起きている時にこそ、幅広い意見を多くの人々から聞くことを実行すべきです。特にここ数週間、これを実行すると明確に打ち出すべきです」。

 

バノンとクシュナーの衝突はトランプ政権を第一にする姿勢とは程遠いものとなっている。

 

政権発足してから、トランプは、前共和党全国委員会委員長であった大統領首席補佐官レインス・プリーバスを更迭するという噂が流れた。

 

プリーバスの味方をしている人々は、こうした噂を広めていたのは、トランプの大統領選挙の選対本部にいた人々とバノンの味方をしている人々だと確信していた。こうした人々は、プリーバスはエスタブリッシュメント側の人間で、大統領選挙期間中にトランプに対して忠実ではないと考えていた。

 

プリーバスはこのような噂の払しょくに努めた。そして、バノンとプリーバスはそれ以降、友好関係を築いているように見える。

 

保守派の中には、クシュナー・コーン派の台頭に警戒感を持つ人たちもいる。コーンは元民主党員で、ゴールドマンサックスの役員をしていた。トランプの支持層からは大いなる疑いの目で見られている。

 

保守派の多くはバノンのコーンの台頭によってバノンの力が落ちているという懸念を持っている。トランプがバノンを国家安全保障会議最高会議の出席者から排除した後、バノンはそのまま政権から外れるのではないかという噂が出た。

 

ティー・パーティー運動の指導者デビー・ドゥーリーは先週、本誌のインタヴューに応じ、次のように語った。「そのようなことはないと思うが、トランプがバノンを排除するならば、草の根保守の人々の間で大爆発が起きるだろう」。

 

主流派保守の人々はこのような主張に対して不満を募らせている。主流派保守の人々は、トランプ大統領が様々な種類のアドヴァイザーからの助言を聞いていることを喜んでいる。アドヴァイザーの中には、コーン・クシュナー派と深い繋がりを持つパウエルが、大統領国家安全保障問題担当次席補佐官になっていることに安心感を持っている。

 

共和党のヴェテラン職員チャーリー・ブラックは「彼女はリベラルでもなんでもない。彼女が元連邦下院院内総務ディック・アーミー(テキサス州選出、共和党)とジョージ・W・ブッシュの下で働いたことを思い出すべきだ」と語った。

 

ブラックはまた次のように語る。「私はゲイリー・コーンについて知らない。彼はニューヨーク出身で、熱心な民主党支持者であった人物の典型例だ。しかし、彼は実業家であって、問題解決を優先する人物だ。問題解決を優先する姿勢こそがトランプのメッセージであり、それによって彼は大統領選挙に勝ったのだ。このことを理解する必要がある。バノンは最初から選挙戦に関与した人物ではない。そして、トランプのメッセージは変わっていない。とにかく、トランプがアドヴァイザーたちの助言を全く聞かないなどと考える理由は存在しない」。

 

保守派の人々は、「リベラル」派が勝利しつつある兆候を目撃していると述べている。しかし、最終的な勝利を収めている訳ではない。ティー・パーティーの指導者マーク・メックラーは次のように指摘している。ここ数週間のトランプの発言は、製造業とアメリカ国内の雇用創出に重点を置いたものとなっている。しかし、彼は貿易、移民、国境の壁建設、イスラム国打倒からぶれてはいない。

 

メックラーは次のように語る。「私たちは、ホワイトハウスが実際に行っていることをじっくり見つめている。トランプの考えと姿勢以外はすべて雑音に過ぎない」。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)





アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22


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