古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

2017年12月

 古村治彦です。

 

 2017年もあと少しで終わり、2018年を迎えます。2018年における重大な関心事はやはり北朝鮮問題ということになるでしょう。北朝鮮はこれからも核兵器とミサイル開発プログラムを推進するのか(これは間違いなく進めるでしょう)、アメリカはこうした動きにどのように対処するのか、北朝鮮と関係が深い中露はどのように対処するのか、ということが焦点になります。より簡潔に述べるならば、「アメリカは北朝鮮を攻めるのか」ということが最大の関心事ということになるでしょう。

 

 ドナルド・トランプ米大統領は激しい言葉遣いですので、米軍の北朝鮮侵攻があると考える人も多いと思います。しかし、トランプ大統領は激しい言葉遣いをしながらも、行動は慎重である場合が多いです。そもそもアメリカが海外の問題に首を突っ込みすぎると言って当選した人ですから、アメリカの安全に大きな脅威がなければ外国のことはほっておけ、もしくは近くの大国が責任を負うべきだと考える人です。ですから、北朝鮮に関しては、ロシアと中国が責任をもって何とかすべきだと考える人です。

 

 北朝鮮がアメリカに到達するミサイルを開発しようとしているのだから、これを止めるということはトランプもやるでしょう。そのやり方をめぐって、話し合いか、そうでなければ軍事行動かということになります。下にご紹介するのは、軍事行動は良くないとする論稿ですが、これは非常にナイーヴというか、「戦争になったら大変なことが起きる」ということを強調しています。ですから、封じ込めと話し合いで何とかすべき、ということを述べています。

 

 北朝鮮は、ぎりぎりのジェンガをプレーしているかのように、慎重にかつ大胆に行動します。ジェンガが崩れてしまわないように、しかし、アメリカに舐められないようにという行動のように見えます。トランプ大統領の首席ストラティジストを務めたスティーヴ・バノンが「北朝鮮は賢い、レッドラインは超えない」と発言しているのも分かります。

 

 しかし、北朝鮮を封じ込めることはできず、より厳しい完全封鎖のような経済制裁を行えば暴発するかもしれず、しかし、中途半端な制裁ではミサイル開発を進めてしまうということになると、ミサイル開発を放棄させるにはより強制力の伴った方策が必要になります。

 

 米軍が陸海空の各軍を動員しての大規模な作戦を展開するかと言うと、これは難しいように思います。北朝鮮は中国とロシアに隣接していますので、中露両国は反対するでしょう。そうなれば、中露両国も巻き込んでの強制的な方策ということになります。中露が強制的な関与を行うとなると、北朝鮮の中ロ国境を封鎖し、米軍が空爆、その後に中露軍で侵攻、治安回復、治安維持、新体制樹立、中露軍の撤退ということになるでしょう。そして、北朝鮮は米中露韓日に囲まれた緩衝地帯、国全体が非武装地帯とされ、中国型の社会主義市場経済を採用、海外からの投資を積極的に受け入れるという形で経済発展を行うということになるのではないかと思います。

 

 金正恩については中国かロシアへの亡命と海外資産の一部を金一族に与える、現在の北朝鮮のエリート層に対する取り扱いは、ごく少数を犯罪者として裁判にかけ、それ以外は国家再建に当たらせる(戦後の日本のように)となるのではないかと思います。

 

 大規模戦争による完全な破壊ではなく、できれば金正恩と最高幹部たちだけを追い落として、緩やかな体制変更を行い、国家再建を行うというシナリオが望ましい、そのためには、限定的な軍事力行使が良いのだろうと思いますが、限定的というシナリオがうまく運ぶ保証がない、偶発的なことが起きて、結局、周辺諸国にも被害が出て、北朝鮮が完全破壊という結末になってしまうということが怖いということになります。

 

 そうしたことにならないためには、アメリカや中国が今のうちから北朝鮮人民軍の中に協力者を多く仕立てておくことが必要でしょう。米中による介入に対して、大規模な報復や反撃がないようにするには、北朝鮮人民軍の中に協力者を作って、金正恩からの命令に対してサボタージュをしてもらわねばなりません。わざと負けるように動いてもらわねばなりません。そのための準備が今行われ、来年に北朝鮮情勢に関して大きな変化が起こるのではないかと私はそんな風に感じています。

 

 2017年にはいろいろとお世話になりました。ありがとうございます。2018年もどうぞよろしくお願い申し上げます。2018年が皆様にとりましてより良い1年となりますように祈念申し上げます。

 

(貼り付けはじめ)

 

トランプの対北朝鮮戦略そのものが大いなる脅迫的言辞でしかない(Trump’s entire North Korea strategy could be a giant bluff

 

ハリー・J・カジアニス筆

2017年12月26日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/opinion/national-security/366498-trumps-entire-north-korea-strategy-could-be-a-giant-bluff

 

北朝鮮が彼らにとっての古典的な策略に戻っているという報道がなされている。ミサイルの試験発射を「衛星」と言い換えている。これはミサイル発射テストをより恐怖感を与えない名称にしているのだ。一つのことは確実に言える。北朝鮮危機は終わっていない。

 

実際、トランプ政権の高官たちと彼らの代弁者たちは毎日「軍事的オプション」を支持する発言を行っている。彼らの発言は曖昧で、金政権の行っている核兵器とミサイル開発に対する、予防、先制攻撃、衝撃と恐怖を与える攻撃といった内容が混ざっている。しかし、はっきりしていることは、トラブルは少しずつ大きくなっているということだ。ワシントンを拠点とする専門家たちの多くは、北朝鮮が核兵器とミサイルを放棄しない、もしくは武器の実用テストをすぐに止めて交渉の席に戻らない、ということが続くだろうという懸念を持っている。

 

本当にそうだろうか?トランプ政権は、「」「」One of the possible policy options is that the Trump administration, with its talk of “fire and fury,” that the regime would be “will be utterly destroyed” in a war or that “we will have no choice but to totally destroy North Korea” if forced to defend our allies” might not be ready poised to strike at all.これ以外の政策は可能ではないということになる。

 

実際、私は専門家たちの多くとは異なる考えを持っている。激しい言葉遣いは脅し文句であって、北朝鮮に対する軍事行動の脅威はこの脅し文句の効果を高めるためのものだ、と私は考えている。

 

現在の東アジアの軍事的な状況を見るだけでも、このような脅し文句で相手を屈服させるという戦略があるということを示す明確な証拠は見つかる。トランプ政権が真剣に北朝鮮に対する軍事行動を考慮しているとするならば、北東アジアにおいて大規模な米軍の編成がなされていなければならないが、そんなものはどこにあるだろうか? トランプ政権が金正恩政権の核兵器とミサイル開発プログラムをストップさせる、もしくは完全に放棄させるために軍事行動を考慮しているのならば、北東アジア地域における大規模な軍の編成替えが見られるはずなのだ。

 

もし攻撃が決定されていれば、空母を中心とした戦闘群をはじめとする各種艦艇が北東アジア地域に向かっているはずだ。B1爆撃機、B2爆撃機に多数のF22、F35ステルス戦闘機が同行するだろう。北朝鮮が報復として韓国への侵攻を決定すれば、地上軍の編成も行われるだろう。しかし、実際には極めて標準的な訓練と行動以上のものは見られない。

 

攻撃力に加え、北朝鮮による反撃からアメリカの同盟諸国と北東地域にいるアメリカ市民を守るための行動を取っているはずだ。たとえば、アメリカ国民は日本と韓国から退去することになるだろう。アメリカ政府は韓国政府と日本政府に対して、パトリオットミサイルとTHAAD(サード)ミサイルの防衛システムの増強を受け入れるように圧力をかけるだろう。防衛システムは、北朝鮮による核兵器、化学兵器、生物兵器を搭載したミサイルによる反撃を避けるためのものだ。繰り返しになるが、アメリカ政府がこのような準備を進めている兆候は全く見当たらないのだ。

 

公平に見ると、戦争のタイミングについては、春までの発生の可能性については疑問符が付く。来年は韓国で冬季オリンピック大会が開催される。この場所は非武装地帯と北朝鮮の砲撃陣地とミサイル基地からわずか60マイル(約100キロ)しか離れていない。実際のところ、トランプ政権はオリンピックが終わることを待っているというのは戦争が起きる場合にはありそうなことではある。

 

アメリカが北朝鮮国内から大量破壊兵器を一掃するために軍事攻撃を行うと決断する場合に、何が起きるのかを研究する人たちにとっては、世界規模での危機を生み出しながら、北朝鮮の大量破壊兵器を一掃することに失敗することが懸念の対象になっている。北朝鮮は核兵器とミサイル開発プログラムに対する攻撃はいかなるものであっても存在を脅かす脅威ととらえ、核兵器の一部を地中深くに秘匿する動きを加速するだろう。北朝鮮は残存しているあらゆる武器を使って反撃に出る可能性が高い。ソウルや東京のような巨大都市に対する核攻撃の可能性もある。ソウルの都市圏には2500万人が暮らし、東京の都市圏には3500万人が暮らしている。

 

戦争終了後、この場合北朝鮮は戦争に敗れているのは間違いないところだが、数百万の人々が遺体として安置されているだろう。何兆ドルもの資金は北東アジアの広い地域の再建のために必要となる。北朝鮮は悲惨な状況に置かれ、巨額の財政的支援を必要とする。2人の学者は、敗戦直後の北朝鮮は世界史史上最大規模の国家建設の最初のページとなるだろうと述べている。

 

北朝鮮との戦争を選択することは深刻な誤りとなるであろう。数百万の人々の生命が失われるだろう。従って、金政権による核兵器とミサイル開発プログラムについては、封じ込めと抑止政策が最も現実味を持つ。トランプ政権が脅し文句を多用する口先だけの強硬姿勢を止め、真剣に対処するのは今だ。

 

ハリー・J・カジアニス:「センター・フォ・ザ・ナショナル・インタレスト」防衛研究部長。「センター・フォ・ザ・ナショナル・インタレスト」は1994年にリチャード・M・ニクソン元大統領によって創設された。カジアニスはセンターの出版部門である『ナショナル・インタレスト』誌の上級部長でもある。 カジアニスは2016年の大統領選挙でテッド・クルーズ連邦上院議員の外交政策ティームに参加した。また、ヘリテージ財団外交政策コミュニケーションマネジャー、『ザ・ディプロマット』誌編集長、戦略国際問題研究センター(CSIS)研究員を歴任した。本稿の主張はカジアニス自身のものである。

 

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夏にも空爆か 軍事オプションしかなくなる対北朝鮮Xデー

 20171230>> バックナンバー

 

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/220482/1

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/220482/2

 

 金正恩に振り回された2017年。18年は、北朝鮮問題にケリをつける一年になる可能性が高い。アメリカにとって残された時間がわずかになっているからだ。

 

 北朝鮮は、1年以内にアメリカ全土を射程圏内に入れる“核ミサイル”を実戦配備する可能性が高いとみられている。実際、6回の核実験と、年間15回のミサイル発射によって北朝鮮の技術力は急速に上がっている。北朝鮮が核ミサイルを完成させたら手遅れになる。トランプ大統領が、その前に北朝鮮を攻撃しようとするのは間違いない。

 

「2018年、アメリカが軍事オプションに動く可能性はかなり高いと思う。もはや、話し合いでは北朝鮮が核を放棄しそうにないからです。アメリカは北朝鮮と水面下で接触し、外交交渉を重ねてきた。国連のフェルトマン事務次長も訪朝しています。それでも効果がなかった。時間だけが費やされ、その間に北朝鮮の核・ミサイル技術が向上しているのが実態です。北朝鮮が7度目の核実験に踏み切るか、再度ICBMを発射したら、トランプ大統領は容赦しないのではないか」(元韓国国防省分析官で拓大研究員の高永テツ氏)

 

米朝開戦のXデーは、3月20日以降だ。2月9日~3月18日は「平昌オリンピック・パラリンピック」が開かれる。さすがに、アメリカも「平和の祭典」の真っ最中に戦争はやらないだろう。さらに、3月18日にはロシアの大統領選が行われる。北朝鮮を攻撃したら、“外交的解決”を訴えているプーチン大統領のメンツを潰し、大統領選にも影響を与えかねない。ロシアゲートを抱えるトランプ大統領が、プーチン大統領を怒らせるはずがない。

 

「2018年、アメリカの最大の政治スケジュールは11月に行われる中間選挙です。トランプ大統領は中間選挙で勝利し、2年後の大統領選で再選されることを考えているはず。北朝鮮への空爆が中間選挙に有利となると判断したら、夏に空爆する可能性もあるでしょう」(高永テツ氏)

 

 米朝の軍事衝突が勃発したら、日本も大打撃を受けることは避けられない。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)






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 古村治彦です。

 

 今回は、アメリカのドナルド・トランプ大統領がイスラエルの首都をイェルサレムであると承認したことに関する記事をご紹介します。著者はダグラス・フェイスという人物で、ジョージ・W・ブッシュ(子)政権時代に国防次官を務めた人物で、ネオコン派、イスラエル・ロビーに属する人物です。

 

 フェイスの主張は、アメリカがイスラエルの首都をイェルサレムだと承認することで、イスラエルはなくならない、永続的なものだ、という明確なメッセージをパレスチナ、そしてアラブ諸国に伝えることで、彼らに「イスラエルをせん滅する」という考えを放棄させ、交渉のテーブルに着かせることができ、最終的に和平に到達するというものです。

 

 アラブ諸国もイスラエルの存在を公式には認められませんが、実際に戦争を仕掛けてイスラエルを滅ぼすことはもはやできないと考えているでしょう。イスラエルは人口800万の小さな国で、国内に抱えるパレスチナ人と呼ばれるイスラム教徒の数も多く、彼らに国籍を認めて選挙権を認めたら、ユダヤ人の国であり続けることはできないでしょう。ユダヤ教徒の割合は75パーセント、イスラム教徒が16パーセント、キリスト教徒が2パーセントですが、イスラム教徒の人口増加率の高さは脅威となっています。

 

 パレスチナという土地にはもともとユダヤ教徒、イスラム教徒、キリスト教徒が混在して住み、近世以降はオスマントルコ帝国の領土内で、平和に暮らしてきました。イギリスの進出と国民国家という概念、更にシオニズムのために、深刻な紛争状態となりましたが、混在して平和共存してきた時代に比べればまだ短いものです。

 

 イェルサレム東イェルサレムが旧市街でキリスト教、イスラム教、ユダヤ教の歴史的な建造物が密集しており、1967年の第三次中東戦争まではシリアが管理していましたが、これ以降は新興の土地西イェルサレムと一緒になってイェルサレムとなりました。イェルサレム市はイスラエルの管理下に入り、イスラエルの首都とされた訳ですが、イスラム教やキリスト教の聖地が破壊されたり、出入りが禁止されたりしている訳ではありません。そんなことをすれば、イスラエルは近代的な国家として信教の自由を認めない国として糾弾されるでしょう。

 

 今回のアメリカの措置に対して、批判や非難の声明は中東やヨーロッパの国々から出ましたが、大きな事件は今のところ起きていません。現状追認ということで、あまり問題になっていないようです。

 

 アメリカがイェルサレムを首都として承認したことは現状を追認しただけのことで、それでイェルサレム市内のキリスト教やイスラム教の信者や施設が弾圧を受けるということはありません。ですから、テロのようなことは起きる可能性は低いでしょう。

 

 パレスチナとイスラエルとの関係は「二国共存」での和平に関しては一応話がついている訳で、問題はどのような形にするかということになります。1967年以前にイスラエルが支配していなかった場所についてどうするかということでしょうが、現状を追認するしかないでしょう。中東諸国はイスラエルという国家の存在を認められないのが建前でしょうが、本音では現状で満足して和平をしてもらいたい、ということになると思います。しかし、それを表明することは難しいでしょう。

 

 ただこれからも憎しみは続いていくでしょうが、それはまた長い時間のスパンで考えると、どこかで解決するだろうという大陸的な時間感覚で解決されるものかもしれません。日本人は概してせっかちで、早く早く、なんとかしなきゃ、自分の代で解決したい、させたいという感じですが、世界的にはもっと長い時間感覚があるように思います。

 ダグラス・フェイスはネオ͡コンでイスラエル・ロビーですから、イスラエル寄りの言論になりますが、これは親イスラエル派の考えの一つとして参考になります。ただ、彼が考えるように進むとも思えませんが。

 

(貼り付けはじめ)

 

イェサレムを首都に認定することが和平にとって良い理由(Why Recognizing Jerusalem Is Good for Peace

―パレスチナ人たちがイスラエルはここにいてこれからも続くということを認識し、真摯に話し合いを開始するまでは、アメリカ政府にとっての責務は、パレスチナ人たちに対して譲歩するようにシグナルを送り続けることだ。

 

ダグラス・J・フェイス筆

2017年12月12日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2017/12/12/why-recognizing-jerusalem-is-good-for-peace/

 

アメリカは正式にイェルサレムをイスラエルの首都と承認した。アラブ諸国やイスラム教国では激しい暴力が発生すると一般に予測されていたが、そんなことは実際には起きていない。しかし、ドナルド・トランプ大統領に対する批判者たちが述べているように、アメリカの承認のために、平和に向けた見込みを大きく後退させ、アメリカの「誠意ある仲介者」としての地位を傷つけるのだろうか、という疑問は残っている。トランプは選挙公約を実行し、変えようのない現実を認めただけでなく、平和の達成の可能性をより高めるのだと宣言した。

 

誰が平和についてより良い主張を行っているのか?トランプ大統領がそうだ。ただ、彼の主張は説得力を持っていないのであるが。

 

イェルサレムに対するイスラエルの主権を認めたことはどのみち平和の実現に対して大きなインパクトを持つものではない。まず、これまで長い間、平和の実現に向けて真剣な外交が行われていない。第二に、紛争はイェサレム以外の問題をめぐって行われているのだ。

 

多くのコメンテイターたちは、当事者たちがどうして今でも戦っているのかということについて全く理解していないのに、どのようにして平和を促進するかということについて自分の考えを述べているのは驚くべきだ。さあ、パレスチナをめぐるアラブとユダヤとの間の理由をはっきりさせよう。そして、この争いがどうして1世紀以上も続いている理由も明らかにしよう。

 

問題の中心にあるのは、「パレスチナ全土がパレスチナを除く中東地域全体と同様に、アラブ人のみが所有できるのであって、アラブ人の土地にユダヤ人が主権を有することは耐えられない、大京の余地がない不正義だ」という確信である。

 

パレスチナ自治区の学校では、アラブの土地全てをアラブ人がコントロールするという最終目的は、受け入れがたい名誉の侵害があろうとも、放棄などできない、と教えている。こうした環境の中で、例えば、ベツレヘムのアイーダ難民キャンプにある、アローワッドというきれいなコミュニティーセンターの建物の壁には全面に次のような文言が書かれた横断幕が掲げられている。このセンターはヨーロッパの進歩派の人々の資金で建てられた。「帰還の権利に交渉の余地はなく、いかなる妥協にも従うことはない」。言い換えると、戦術的に有効な和平協定はまだ許されるが、イスラエルとの恒久的な和平は現状では許されないということになる。これは、パレスチナの共同体で神聖不可侵として受け入れられている宗教とナショナリズムの諸原理を基盤とする哲学的に重要な点なのである。

 

このような思考の一部や要素として、イスラエルは地域に対する外国からの侵略なのだというものがある。イスラエルは「十字軍国家」と呼ばれ、フランス領アルジェリアのようなヨーロッパの植民地主義の出先なのだというたとえがなされている。重要な点は、イスラエル国民に対しては、十字軍や半世紀前のフランス人に対してと同じく、 際限のない暴力的な抵抗によって士気を低下させ、土地を本当の所有者に残して引き上げることにつながる、というものだ。この場合の土地の秦の所有者はアブ人ということになる。フランスがアルジェリアから出ていくまでに130年かかり、聖なる土地から十字軍を追い出すのに200年かかった。この期間中、同じ言葉が繰り返された。また同じ言葉が繰り返されている。「イスラエルを追い出すのに同じくらいの時間がかかるだろうが、その時はやってくるだろう」。

 

紛争を永続的なものとしているのはこうした考え方である。

 

長年にわたって常識とされてきたのは、アラブ・イスラエル問題の核心は1967年にイスラエルが手に入れ、現在入植地となっている領域である、というものだ。しかし、これは明らかに間違っている。エジプト、シリア、ヨルダンはイスラエル側を刺激して1967年の中東戦争を始めたのはどうしてか?実際には、紛争の起源は1967年よりも前にさかのぼることができる。1948年にイスラエルが独立国となった時よりも更にさかのぼることが出来る。

 

アメリカ政府がパレスチナ・イスラエル紛争の終結に貢献できるのは、アメリカ政府が紛争の中身をきちんと把握した時だけだ。現在の常識をそのまま持ち続けるならば、外交上の失敗をこれからも数十年単位で続けることになる。新しい、そしてより根拠に基づいたアプローチを採用するのは今だ。

 

各種世論調査の結果では、イスラエル国民の大部分が、現在イスラエルが支配している土地を分割することを基礎としてパレスチナ人たちと和平を達成したいと望んでいる。パレスチナ側の指導者たちが土地と平和を交換する形で合意を結びたいと望んだら、平和が達成される。2つの大きな障害は概念上のものだ。パレスチナ側の指導者たちは、イスラエルは一時的な存在でいつの日か消滅させることが出来るという確信を放棄しなければならない。そして、パレスチナ側にとって実現可能な最高の合意をもたらすために正義に関する抽象的な概念をとりあえず棚上げすべきだ。

 

1897年に創出されて以降の政治的なシオニズムの歴史の中で、シオニズム運動の指導者たちは正義を主張したことはなかった。彼らはまたユダヤ人たちが持つ権利を持つもの100パーセントを手に入れることは期待していなかった。彼らが権力を握っても妥協を不名誉なものだとはしなかった。彼らは最善の合意を結んだ。彼らは手にできるものを手にした、そして、自由で、繁栄した、平和的な国家を建設した。パレスチナ側の指導者たちもまたパレスチナ人たちに対して同様のことを行うべきだ。

 

この分析が正しい場合、イェルサレムに対するイスラエルの主権をアメリカが承認したことは、平和に貢献することになるだろう。アメリカの承認は有効なメッセージを補強するものだ。そのメッセージとは、「イスラエルはこれからもこの場所に存在する」というものだ。ユダヤ人は歴史的にこの土地と深くつながっている。彼らは外国人でもなく、十字軍でもない。アメリカとイスラエルのつながりは緊密なもので、イスラエルの敵国からの工作によって傷つくものではない。そして、アメリカは、第三者ではなく、イスラエルの友人として、アラブ・イスラエル外交において重要な役割を果たしている。紛争が永続化することで支払わねばならない代償がある。人生は続く、そしてイスラエル国民は新たな現実を生み出し、世界はこの新しい現実に合わせていく。パレスチナ人たちは平和を拒否することで、彼らの地位を向上させていないし、地位を保ってもいない。

 

※ダグラス・J・フェイス:ハドソン研究所上級研究員。2001年から2005年にかけて米国防次官(政策担当)。現在、アラブ・イスラエル紛争の歴史に関する著作を執筆中。

 

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 古村治彦です。

 

 中国は北朝鮮との国境線に沿って、避難民用キャンプ建設を行っているという報道が出ました。これは、チャイナ・モバイルの内部文書が流出し、少なくとも5つのキャンプを建設中だという内容が記載されていたということです。

 

 北朝鮮で他国による軍事行動、もしくは金正恩政権の崩壊が起きた場合、難民が発生する可能性が高いです。この場合、北緯38度線の軍事境界線を越えるよりも、北側の中朝国境を超える可能性が大きいです。また、船で脱出ということになりますが、日本までたどり着くことが出来るかというと、これにはある程度の大きさの船でなければ難しいでしょう。韓国の沿岸にたどり着くものが多くなるのではないかと思います。

 

 船で避難する場合には、韓国側がヘリコプターや救助船をかなり出すでしょう。韓国側は北朝鮮は韓国領土であり、不法な政権が占拠していると主張しているのですから、北朝鮮国民は韓国民として取り扱い、救助活動を行うでしょう。中朝国境から中国側に避難する場合には、中国人民解放軍が国境を固めて、バラバラと入ってくることを許さずに、管理して受け入れるかどうかを判断して、キャンプには選別していれるようにするのではないかと思います。

 

 日本側でも自治体レヴェルで避難民が船でやってきた場合の想定や準備を行っているようです。避難民にまぎれた武器を携行する工作員がいるのではないかという主張もありますが、その危険があるとしても、その工作員は自分の命令主である政権がなくなっている場合に日本への潜入工作を行うのかどうか、疑問です。日本に大きな損害を与え場合に、北朝鮮の政権が生き残ることはほぼ不可能であり、命令主を失うことを工作員が行うのかどうか疑問です。また少数の工作員ができることでは日本を滅亡させることはできません。

 

 北朝鮮からの船は途中で韓国側とアメリカ海軍の敷いた哨戒網に捕捉されることも考えると、日本側まで流れてくる数はかなり少ないものと思われます。

 

 中国には中朝国境から今でも多くの脱北者が逃げてくるのですから、有事になればその数は大変なものとなるでしょう。ですからその流れをコントロールしたいと思っているはずです。そのために人民解放軍を国境線に張り付けて国境封鎖を行いつつ、流入を許可できる北朝鮮国民を一時的に収容するためのキャンプを建設しているものと思われます。場合によってはアメリカと韓国の許可(黙認)を受けて、北朝鮮国内に人民解放軍が進駐し、治安回復に当たる可能性もあります。しかし、北朝鮮という「緩衝材(アメリカと直接対峙しない)」は必要なので、すぐに撤退するでしょう。そして、北朝鮮は経済成長を主要な目的とする新政権ができ、国民に対する制限を少しずつ緩めながら、中国式の社会主義市場経済路線を採用することになるでしょう。そうなれば、韓国との間でも関係が劇的に改善し、朝鮮半島の統一に一歩前進ということになります。

 

 こうしたことが2018年に起きるのかどうか、注目されます。

 

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中国が北朝鮮との国境に沿って避難民キャンプのネットワークの建設計画を持っている(China building network of refugee camps along border with North Korea

 

―私たちが入手した文書によると、金正恩政権の崩壊による大量の避難民流入の可能性に中国政府が備えて少なくとも5つのキャンプを建設中であるということだ。

 

トム・フィリップ筆

2017年12月12日

『ザ・ガーディアン』紙

https://www.theguardian.com/world/2017/dec/12/china-refugee-camps-border-north-korea

 

中国はひそかに北朝鮮との880マイル(1416キロ)に及ぶ国境に沿って複数の難民キャンプを建設している。紛争や金正恩政権の崩壊によって避難民が押し寄せる場合に収容するためにキャンプを建設しているということだ。

 

難民キャンプ計画の存在を英語で初めて報じたのは『フィナンシャル・タイムズ』紙で、先週のことであった。計画が明らかになったのは、国営の巨大電話会社の内部文書がリークされたことがきっかけだった。巨大電話会社はキャンプ内にインターネット設備を備え付けることになっていると文書に掲載されていた。

 

「チャイナ・モバイル」文書は先週からSNSや海外の中国語ウェブサイトで閲覧されている。文書には吉林省に少なくとも5つの批判民謡のキャンプを建設する計画があることが書かれていた。

 

文書の信ぴょう性を本紙は独自に確かめることはできなかった。この文書には次のように書かれている。「国境を超える緊張が高まっているために、長白県の中国共産党委員会と政府は県内に5つの避難民用キャンプの建設を進めるように提案している」。

 

 

文書にはキャンプの場所と名前として、長白県の川岸、長白県シバリダオゴウ、長白県ジグアンリジが掲載されている。『ニューヨーク・タイムズ』紙は、豆満江と琿春にも避難民用センターの建設が計画されていると報じた。

 

月曜日の定例記者会見で、中国外務省の報道官はキャンプの存在の有無を認めることを拒絶したが、キャンプ自体が建設中かどうかについては否定しなかった。陸慷報道官は記者団に対して「私はそのような報告を見ていない」と語った。

 

中国外務省が作成した記者会見の公的記録には、避難民用キャンプに関する質問は削除されていた。外国人ジャーナリストが提起する政治的に微妙なもしくは不適切なテーマに関しては削除されることは日常的によく起きている。

 

北朝鮮は脱北者たちが国境を抜けやすい場所の守りを固めている。

 

流出した文書には、文書を起草したチャイナ・モバイルの社員一名の名前と電話番号が掲載されている。火曜日にこの電話番号にかけてみたが応答はなかった。キャンプの建設は、北朝鮮国内の政治的な不安定、もしくは政権崩壊の可能性について中国政府が懸念を深めていることを示している。

 

北京の人民大学所属の北朝鮮専門家である成暁河は、文書の信ぴょう性を認めることはできないが、中国が不測の事態に備えて準備をしないのは無責任だと述べた。

 

成教授は「朝鮮半島における緊張は高まっている。戦争直前の状態だ。大国であり隣国として、中国は全ての可能性に備えて計画を立てる必要がある」と語った。

 

日本のドキュメンタリー作家である石丸次郎は、北朝鮮国内と中国側に市民ジャーナリストのネットワークを組織している。石丸は中国側の朝鮮族の住む長白県内のある情報提供者が最近になってキャンプが建設されている兆候はないが、「キャンプの建設計画があると聞いている」と語ったということである。

 

朝鮮半島における緊張は今年になって高まっている。ドナルド・トランプ米大統領は北朝鮮の金正恩政権に対する圧力を高め、北朝鮮政府は核兵器と弾道ミサイル開発プログラムの進展を加速させている。

 

トランプは金正恩に「リトル・ロケットマン」というあだ名をつけて馬鹿にし、軍事行動の可能性をちらつかせて脅している。一方、金正恩も侮辱で対抗し、核兵器とミサイル実験を継続し、2つの新たな国連による経済制裁を受けている。

 

北朝鮮は2017年11月29日に大陸間弾道ミサイルの発射実験を行った。その直後に北朝鮮政府はアメリカの全領域を攻撃できる能力を有していると宣言した。

 

本紙は月曜日、北京でNBAのスタープレイヤーであったデニス・ロッドマンにインタヴューを行った。ロッドマンは和平調停者になりうる人物だ。ロッドマンは破滅に導く核兵器による紛争の恐怖を一笑に付し、彼が友人と呼ぶ金正恩が「アメリカ国内の人々を爆弾で殺そうとすることはない」と否定した。

 

ロッドマンは「俺たちが死ぬなんてことはねぇよ、マジな話がさ。そんなことは起きないんだよ」と語り、トランプ大統領に対しては自分を金正恩との間をつなぐ仲介者として起用するように訴えた。ロッドマンはトランプと金正恩との間の舌戦を「チェスゲーム」みたいなもので、真面目にとらえてはいけないと述べた。

 

中国政府は事態がそのように確かなものだとは見ていない。先週、北朝鮮の核実験場に最も隣接する吉林省の公的な新聞は、新聞の全面にわたる長文の記事を掲載し、その中で、核兵器をめぐる事故が起きた場合の対応策について述べ、中国側が神経を尖らせていることを示唆した。

 

『吉林日報』は読者に対して、ヨウ素入りカプセル、マスク、石鹸が核兵器の事故には有効であると報じた。

 

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 古村治彦です。

 

 現在のアメリカ連邦下院議長ポール・ライアン(ウィスコンシン州選出、共和党)に政治家引退説が出ています。

 

 「ライアンは2018年の中間選挙後に連邦下院議員を引退する」という話を米誌が報じています。ライアンは記者会見で「すぐ」の引退を否定しています。

 

 ライアンが引退するのではという説の根拠として、ライアンは税制改革を目標にして議員活動をしており、共和党主導の税制改革が成功した場合に、その絶頂で引退するのではないかということが挙げられています。また、ワシントンでの生活に疲れているようにも見えるということも挙げられています。

 

 ライアンには健康不安説があるのだという話は何度か聞いたことがあります。だから、大統領を目指すのも健康問題があるから難しいという話も聞いたことがあります。これらの話は根拠がある訳ではないので、何とも言えないのですが、ライアンがワシントンの生活に疲れており、税制改革を花道にして引退するというのはあり得そうな話です。

 

 2016年の大統領選挙では、ドナルド・トランプをなかなか支持しなかったこともあり、トランプ大統領とは距離があるようです。トランプ大統領が政権発足時にレインス・プリーバスを大統領首席補佐官に任命しましたが、これはプリーバスがライアンと同じウィスコンシン州出身で政治家転進を目指していることから、ライアンへの当てつけであろうという話も流れました。

 

 ライアンが連邦下院議員まで引退となると。プリーバスがその後釜となる可能性があります。

 

(貼り付けはじめ)

 

ライアンは2018年の中間選挙後に引退する可能性がある(Ryan could retire after 2018 midterms: report

 

エイヴェリー・アナポール筆

2017年12月14日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/house/364918-ryan-could-retire-after-2018-midterms-report

 

ポール・ライアン米連邦下院議長(ウィスコンシン州選出、共和党)は2018年の中間選挙後に引退することを考えていると報じられた。

 

『ポリティコ』誌は木曜日、ライアンは、「最も親密な側近たち」に対して、議長を務めている現在の議員任期が最後の人気となるだろうと述べた、と報じた。

 

ポリティコ誌は30名以上のライアンの同僚、補佐官、ロビイスト、協力者たちに取材を行った。この取材によると、「2018年以降もライアンが下院にとどまるだろうと考える人は誰もいない」ということであった。

 

木曜日、ライアンは記者たちに対して、下院から離れる計画は持っていないと語った。

 

毎週木曜日に行われる定例記者会見の最後に、「あなたは“すぐに”連邦議員から引退するのか」と質問されたとき、ライアンは含み笑いを浮かべ、ステージから降りながら、「いいえ、そんなことはありません」と答えた。

 

ライアンの近い将来についてはここ数カ月話題になっていた。先月、共和党関係者は本誌の取材に対して、共和党が税制改革を成功させたらという条件付きで、連邦下院銀長の任期を全うするだろうと答えた。

 

11月に本誌の取材に答えたある共和党所属の連邦議員は次のように答えた。「ライアンが絶頂の時に引退したいと述べるのではと考えている人たちは多い。税制改革法の可決は、18年にわたって税制改革のために連邦議会で戦ってきたライアンにとっては絶頂の時ということになる」。

 

連邦議会共和党は現在のところ、クリスマスまでに税制改革法を議会で通過させて、トランプ大統領に送るために努力している。

 

連邦議会共和党の最高幹部たちはライアンが引退する場合には後任に名乗りを上げようとしているように見える。

 

共和党の中でライアンの後任になりそうな人物として、次のような人々が挙げられる。2年前に連邦下院議長の座をライアンと争って敗れたケヴィン・マッカーシー(カリフォルニア州選出、共和党)共和党連邦下院院内総務、6月に銃乱射事件で瀕死の重傷を負ったスティーヴ・スカリス共和党連邦下院院内総務(ルイジアナ州選出、共和党)、キャシー・マクモリス・ロジャース共和党会議議長(ワシントン州選出、共和党)、保守派の共和党連邦議員の団体「共和党スタディ・コミッティー・コーカス」会長のマーク・ウォーカー(ノースカロライナ州選出、共和党)といった人々が候補者だ。

 

税制改革はライアンにとって長年の目標であった。今年初めごろ、共和党連邦議員たちの中には本誌の取材に対して、共和党がクリスマスまでに税制改革法を成立させることができたら、ライアンは引退する可能性があると語っていた。

 

ライアンに近いある共和党連邦議員は「ポール(・ライアン)は税制改革が可決されたら引退する可能性がある。税制改革に成功して引退する可能性は失敗して引退する可能性よりも高い」と語った。

 

ライアンは2015年に連邦下院議長になる前から、ワシントンでの生活に疲れており、その疲れが蓄積しているように見えた。ライアンは2014年に『ナショナル・ジャーナル』誌のインタヴューの中で、自分はこれから先10年も連邦議員を続けるつもりはないし、自分の残されたキャリア全期間をワシントンで過ごすつもりはないと述べた。

 

2012年の大統領選挙でミット・ロムニーは敗れた。この時、ライアンは副大統領候補として戦った。この時、ライアンは妻に対して連邦下院議員から引退しようかと考えていると話した、とポリティコ誌は報じた。当時の連邦下院銀長ジョン・ベイナー(オハイオ州選出、共和党)は引退を思いとどまるように説得し、「あなたが連邦下院予算委員長を続けられるようにするから」とライアンに対して述べた。

 

2015年にライアンが連邦下院議長に選ばれる数週間前、ライアンは議長の座に興味はないと発言していた。彼は「議長職は子供が巣立った後の人(empty nester)に適した地位だ」と述べた。ちなみにライアンには3人の子供がいる。

 

しかし、保守派にとって連邦下院議長の最適任者はライアンであった。2015年に議長の座を争ったマッカーシーは『ナショナル・レヴュー』誌の当時の取材に対して、ライアンには連邦下院議長になって欲しいと語っていた。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23



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 古村治彦です。

 

 今回は、ロシア軍参謀総長ゲラ下布野発言をご紹介します。

 

 簡単に言うと、北朝鮮周辺で日米韓が軍事訓練を行うことで、状況を不安定化させる、というものです。私たちは、この私たちの常識とは異なる発言を、馬鹿なことを言っている、と馬鹿にしながら打ち捨てるべきではありません。この発言内容にも一理あると考えてみることが重要だと思います。

 

 「北朝鮮がミサイルを発射いているから状況が悪化している」というのが国際社会の認識ですし、私たちもそう考えがちです。北朝鮮からしてみれば、自衛のためにミサイルを飛ばしているのだ、ということになります。国際社会は、「いやいやそんな、私たちが北朝鮮を攻めて滅ぼすことはないよ」と言いますが、それを信じさせるということはできていません。

 

 相手にこちらの発言を信じさせるには、行動と発言の内容が一致していなければなりません。約束したことは必ず守るということをしなくてはいけません。北朝鮮と国際社会(アメリカ)はお互いが相手を出し抜こうとして、裏切り合いや約束の破り合いをしたために、「こちらの意図が分かってもらえない、信じてもらえない」という状況になっています。

 

 過去のことはすべて水に流して、まっさらな状態から交渉を始めて、言動と行動が一致するようにして、それを積み重ねていけば信頼関係ができていくでしょうか、そのような時間は両者にはありません。ですから、信頼し合えないながらも、どこかに妥協点を見つけて、一時的な信頼、裏切られることを前提にした最低限の信頼による合意をするしかありません。アメリカとイランの核開発をめぐる合意はこのようなものであったと思います。

 

 アメリカのレックス・ティラーソン国務長官は交渉を粘り強く呼びかけるということをやっています。これがポーズなのかどうなのかは分かりません。しかし、日米開戦直前のハルノートのようなものはまだ出ていないようです。ですから、少なくとも平昌オリンピック・パラリンピックまではこのようなにらみ合いの状況が続くのだろうと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

ロシア軍高官:韓国と日本と共同のアメリカ軍の訓練は「ヒステリーを増長する」だけだと発言(Russian official: US exercise with S. Korea, Japan will only ‘heighten hysteria’

 

ブレット・サミュエルズ筆

2017年12月11日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/policy/international/364238-russian-official-us-exercise-with-s-korea-japan-will-only-heighten

 

ロシア軍最高首脳は月曜日、北朝鮮がミサイルを発射した後のこの時期に行われる、アメリカ、日本、韓国が参加するミサイル追跡訓練は地域の緊張を高めるだけの結果に終わるだろうと発言した、とロイター通信が報じた。

 

ロシア軍参謀総長ヴァレリー・ゲラシモフは「北朝鮮周辺で軍事訓練を実施することはヒステリーを増長させるだけのことだろう。そして状況を不安定にするだろう」と語った。

 

ロイター通信は、中国政府は軍事訓練を継続することは誰に対しても最大の利益をもたらさないと発言し、アメリカと北朝鮮に対して軍事訓練を取りやめるように求めている、とロイター通信は報じた。

 

月曜日から始まる共同訓練は、日米韓3か国がミサイル追跡情報を共有するための6度目の訓練となる。

 

先月末、北朝鮮は新たに大陸間弾道ミサイルを発射した。北朝鮮はそれまで約2か月間ミサイル発射を行っていなかった。ミサイルは日本海に着水した。

 

ミサイルは2800マイル上空まで到達し、600マイル以上飛行したと言われている。北朝鮮がこの火星15号ミサイルはアメリカの領土全体に到達する能力を持つと主張している。

 

先週、アメリカと韓国は空中における共同軍事訓練を行った、アメリカ空軍、海兵隊、海軍から総勢1万2000名と航空機約230機が訓練に参加した。

 

北朝鮮政府は、米韓合同訓練を受けて、これは「アメリカが戦争を心の底から望んでいる」ことを示すサインだという内容の談話を発表した。

 

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