古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

2018年09月

 古村治彦です。

 

 国連総会に伴い、安倍晋三首相がニューヨークを訪問、アメリカのドナルド・トランプ大統領と首脳会談を行いました。焦点は貿易赤字問題。簡単に言うと、アメリカは現状の対日貿易赤字状態を何とかしたい、減らしたい、日本は現状からあまり変更を加えたくないということになります。

 

 1980年代、私が子供の頃、日米貿易戦争などと呼ばれ、対日貿易赤字に業を煮やしたアメリカは厳しい要求をしていました。子供なのでよく分からなかったのですが、「日本が自動車やテレビを作って、それをたくさん輸出するんだけど、アメリカからは何も買わないのでアメリカが怒っている」という程度の理解でした。

 

 さて、その頃に比べて、日米の貿易関係はどうなっているかと言うと、アメリカの貿易赤字の額で言えば、中国やメキシコの方が大きくなっています。中国は年間で約38兆円も黒字(アメリカからすれば赤字)なので何ともすさまじいものです。貿易額の合計で言えば、中国とメキシコが群を抜いています。日本は対アジアでの貿易が活発になっているようです。

 

(貼り付けはじめ)

 

■2017年のアメリカの貿易赤字上位5か国(アメリカからの輸出額―その国からの輸入額、概数)

 

    中国 1700億ドル 5200億ドル -3500億ドル(約38兆5000億円)

    メキシコ 2400億ドル 3200億ドル -800億ドル(約8兆8000億円)

    日本 690億ドル 1390億ドル -700億ドル(約7兆7000億円)

    ドイツ 535億ドル 1130億ドル -595億ドル(約6兆5500億円)

    イタリア 185億ドル 500億ドル -315億ドル(約3兆4700億円)

 

ソース:http://honkawa2.sakura.ne.jp/8782.html

 

■年別の貿易赤字のグラフ


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 ソース:http://honkawa2.sakura.ne.jp/8782.html

 

(貼り付け終わり)

 

対日赤字の約80%は自動車関連となっています。アメリカ側には、自動車こそはアメリカのお家芸、アメリカの自動車は世界一、だから日本で売れないのはおかしい、という意識があるかもしれませんが、今の日本でアメリカ車を積極的に買いたいという人は少数だと思います。日本で外国産車と言えば、ドイツ、イギリス、イタリア、フランス、スウェーデンといったヨーロッパの国々の自動車となります。アメリカ車は、燃費が悪く、故障が多く、大型車ばかりで日本の狭い道にはそぐわないという考えが日本の消費者の側にあります。戦後しばらくアメリカ車は憧れの対象で、古い日本映画では主人公がアメリカ車を運転している場面が良く出てきます。しかし、私がアメリカで生活しての経験を踏まえて、アメリカの自動車を買うかと質問されればとノーと答えます。

 

 アメリカ側が日本側にいくら「アメリカ車を買え」と要求しても、それは理不尽な要求で、消費者の要求に沿った自動車づくりをしてからそのように言えということになります。アメリカでは景気が良くなっているということで、購買意欲が高まり、その購買意欲が、アメリカ車ではなく、日本車に向かっていることで、貿易赤字が増えているという側面があります。日本車は故障しにくく、大切に乗っていれば、中古車として売却する際には高い値段で売れるというのがアメリカ国内での常識ですから、お金があったら日本車を買うということになります。

 

ですから、アメリカとしては日本の自動車関連輸出に対して高関税をかけることで、アメリカ国内での日本車の売り上げを下げ、アメリカ車が競争できるようにするという動きに出ようといのが現在の状況です。今回の日米首脳会談では更なる関税はかからないということになりましたが、今後はどうなるか分かりません。日本の対米貿易黒字(アメリカの対日貿易赤字)の8割近くは自動車関連なのですから。

 

アメリカから日本への輸出、日本から見ればアメリカからの輸入の主要な品目を見てみると、化学品等(18.8%)、食料品・農水産物(18.6%)、航空機・同部品(12.6%)、光学機器・医療機器(10.9%)、一般機械(10.0%)となっています。食料品・農産物がやはり大きな割合を占めます。日本は稲作を守るために高い関税障壁を設けているように思われていますが、他国と比べても農産物や食料品にかかる関税は高くありません。食料自給率の低下は私が子供の頃から叫ばれていますが、既に低廉な外国産の食品が入っており、日本農業の拡大はなかなか難しい状況です。

 

 こうした自動車や農産物の交渉を日本側では「TAGTrade Agreements on Goods)」と呼んでいます。問題は、共同宣言で、TAGが終了後、更に貿易と投資について話し合いを行うという文言が入っていること、更にトランプ大統領が「日本側は更に防衛関連でアメリカからの購入を増やすと述べた」と主張していることです。

 

 今回はあまり大きな変更はなくて済みそうですが、アメリカは日本側に更なる過大な要求をしてくることは明らかなようです。属国・日本はそれでますます疲弊していきそうです。

 

(貼り付けはじめ)

 

●「日米貿易協議 通商交渉「新枠組み」 首脳会談で詰めへ」

 

毎日新聞2018925 2347(最終更新 926 0057)

https://mainichi.jp/articles/20180926/k00/00m/020/175000c

 

 【ニューヨーク中井正裕、清水憲司】日米両政府は25日、ニューヨークで第2回の閣僚級貿易協議(FFR)を行い、関税を含めた2国間の通商交渉入りについて協議した。貿易赤字削減を目指すトランプ米政権が米産品の輸入拡大などを強く求めているのに対し、日本政府は米国による自動車・同部品の輸入制限を回避したい考え。26日(日本時間27日未明)の日米首脳会談でも交渉入りについて議論した上で、合意文書の公表を目指す。

 

 茂木敏充経済再生担当相と米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表が同市内のホテルで協議した。終了後、茂木氏は「議論のベースを日本から提案した。両国の貿易を促進する方策、枠組みについて基本的な認識は一致した」と語り、協議が前進していると強調。ただ、具体的な内容は明らかにせず、「個別項目は首脳会談で合意した上で発表したい」と語った。

 

 8月に開いた第1回FFRでは、米国が2国間の通商交渉を迫る一方、日本は米国に環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への復帰を促し、議論は平行線に終わった。しかし、トランプ米大統領は2国間交渉を拒む日本に対し「米国と取引しなければ大問題になる」といらだちをみせ、自動車・同部品の輸入制限の発動をちらつかせるなど通商圧力を強めてきた。

 

 トランプ氏は9月23日の安倍晋三首相との夕食会でも通商問題に言及。26日の日米首脳会談で、トランプ氏が通商問題で具体的な成果を求めるのは必至の情勢だ。一方、国内経済への影響が大きい米国の自動車・同部品輸入制限を回避することは日本政府の最重要事項。今回の協議で茂木氏は車の輸入制限回避に向け、農産物など一定の分野での関税交渉入りなどを幅広く議論した模様だ。

 

 北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉では米国はメキシコに、通貨政策を制限しうる為替条項や、自動車の数量制限など自由貿易を制限する条項を認めさせた。2国間交渉は、幅広い通商分野をカバーする自由貿易協定(FTA)につながる可能性もある。日本には警戒感が残っているものの、トランプ氏の強い要請を踏まえ、2国間交渉は避けられないとの判断に傾いた。

 

 

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●「トランプ氏、安倍首相との友好関係「終わる」 米紙報道」

 

朝日新聞 ワシントン=土佐茂生2018971049

https://www.asahi.com/articles/ASL972C1VL97UHBI009.html

 

 米紙ウォールストリート・ジャーナルは6日、トランプ大統領が同紙コラムニストとの電話で、日本との貿易赤字を問題視し、安倍晋三首相との友好関係が「終わる」と語ったと報じた。日米は今月25日に首脳会談を行う方向で調整しており、トランプ氏が日本に二国間の自由貿易協定(FTA)の締結など、厳しい態度で交渉に臨む可能性がある。

 

 コラムニストのジェームス・フリーマン氏はトランプ氏と電話した内容を踏まえ、同紙で「北米や欧州の友好国との交渉をまとめたとしても、貿易をめぐる不確実性は必ずしも終わらない。トランプ氏はなお、日本との貿易の条件で悩んでいる」と指摘した。

 

 トランプ氏は電話の中で安倍首相との良好な関係に触れた上で、貿易赤字の解消のために「日本がどれだけ(米国に)払わなければならないかを伝えた瞬間、(良好な関係は)終わる」と語ったという。

 

 両国政府は、安倍首相が自民党総裁選で3選された場合、国連総会に出席するのに合わせてニューヨークで首脳会談を行う方向だ。これに先立ち、閣僚級の通商協議「FFR」の2回目の会合も行う見通し。トランプ氏は11月の中間選挙を控え、日本との貿易赤字の解消も成果にしたい考えで、輸入車への高関税措置をちらつかせて、日本側に妥協を迫る可能性がある。(ワシントン=土佐茂生)

 

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●「米貿易赤字9年ぶり高水準 17年、対中国が過去最大」

 

日本経済新聞 2018/2/6 22:47

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26613280W8A200C1FF2000/

 

 【ワシントン=鳳山太成】米商務省が6日発表した2017年の貿易統計(通関ベース)によると、モノの貿易赤字は7962億ドル(約86兆8千億円)と前年比8.1%増えた。2008年以来、9年ぶりの大きさだ。全体の約半分を占める対中赤字が過去最大に膨らんだほか、対メキシコも増えた。対日赤字は横ばいだった。

 

 トランプ米大統領は米国人の雇用が外国に奪われたとして貿易赤字を敵視する。赤字削減を公約に掲げているが、政権発足1年目は赤字幅が広がる結果となった。中国などに一段と圧力をかけて通商摩擦が激しくなる可能性がある。

 

 米国のモノの貿易収支のうち、世界主要国の同時成長を受けて輸出が1兆5468億ドルと6.6%増えた。一方で堅調な米国経済を追い風に輸入も2兆3429億ドルと7%増えた。旺盛な個人消費を受けて部品を含む自動車や飲食料品の輸入が過去最高を記録した。企業の設備投資も堅調で、コンピューターや産業機械など資本財の輸入も大きく増えた。

 

 国際収支ベースでみたサービス収支は2440億ドルの大幅な黒字だった。モノとサービスを合わせた貿易収支は5660億ドルの赤字にとどまり、サービスで稼ぐ構造が続いている。

 

 米国のモノの貿易赤字で最も大きい対中赤字は3752億ドルと8.1%増えた。1月に発表された中国側の統計でも、米国の対中赤字は過去最高となった。トランプ氏は同月、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と電話で協議し、対中貿易赤字の拡大を「持続的ではない」と指摘し失望したと伝えている。トランプ氏は鉄鋼やアルミニウムへの輸入制限、知的財産の侵害への制裁措置を検討しており、赤字拡大を受けてさらに強硬姿勢に出る可能性がある。

 

 対日貿易赤字は横ばいの688億ドルだった。国別では3位で、前年の2位から1つ順位を下げた。米政権は日本の自動車貿易の非関税障壁などに不満を持っており、日米自由貿易協定(FTA)に関心を示す。環太平洋経済連携協定(TPP)への復帰検討も表明し、日本を含む協定参加国の市場開放に向けた交渉に乗り出す考えをちらつかせている。

 

 中国と並んで貿易赤字が大きく広がったのがメキシコだ。10.4%増えて国別では前年の4位から2位に浮上した。トランプ氏はメキシコから自動車関連の輸出が増えてきたことに不満を抱いており、昨夏からカナダも含めた北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を進めている。米国は自動車貿易を中心に厳しい要求を続けそうだ。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 アメリカの中間選挙(Midterm Elections)まで残り約1カ月となりました。現在のところ、連邦上院では、共和党の改選議員が少ないこともあり、共和党が過半数(共和党:51議席、民主党:49議席)、連邦下院では、民主党が過半数(218)を超える勢いです。

 

 アメリカ政界に大きな影響力を持つコーク・インダストリーズ会長チャールズ・コークが率いる政治運動ネットワークが今年の中間選挙に向けて動きを活発化させています。チャールズは弟デイヴィッドと共にコーク兄弟として、共和党の大口献金者として活動していましたが、今年6月にデイヴィッドが健康上の理由で会社経営や政治活動からの引退を発表しましたので、「コーク兄弟」という枠組みは解消となりました。

 

 今回、コーク・ネットワークは無条件で共和党の候補者を応援しないと決めています。トランプ大統領の推進した財政支出や関税政策について賛成した現職議員は応援しない場合があるとしているようです。また、刑法改革や移民政策で、子供の頃に親に連れられてアメリカにやってきて不法移民となった人々に対する市民権付与を主張する民主党議員でも応援を検討しているということです。

 

 チャールズ・コークが信奉しているリバータリアニズムは政府による規制、経済や社会への介入を嫌うので、外国からの輸入品へ関税をかけることには反対です。この点で、政府が財政出動することにも反対となります。また、人々の自由権利を最大限擁護するので、親に連れられて不法移民状態になった人々への市民権付与にも賛成です。

 

 こうして見ると、チャールズ・コークは共和党というよりは、ドナルド・トランプ大統領と相容れず、かえって民主党の一部の政策と近いということになります。

 

 2016年の米大統領選挙では、オバマ政権の副大統領であったジョー・バイデンに対する待望論がありました。ヒラリー・クリントンが大統領になれば、積極的に外国への介入を行って、アメリカが泥沼にはまってしまうという危機感がありました。そうした中で、リベラル派とリバータリアン派が協力して、リベラル・リバータリアン連合を形成して、バイデンを推して、ヒラリーを追い落とすべきだという主張もありました。

 

 今回の中間選挙では、チャールズ・コーク率いるコーク・ネットワークは反トランプの姿勢を打ち出しています。コークにしてみれば自分たちは長年共和党員であったが、トランプなんてついこの間まで長く民主党員をやってヒラリーと親密だったではないかという気持ちもあるのでしょう。そして、共和党の議員でトランプ寄りの姿勢を取る議員を応援せずに、民主党の議員を応援する場合もある、検討するとまで打ち出しています。トランプの高関税政策などは民主党が本来主張してきた政策ですから、民主党にしてみても、トランプ政権に対しては是々非々ということになるでしょう。

 

 トランプ大統領がこれまでにない動きを見せているために、アメリカ政治もしばらく奇妙な連合と分裂が起こることになるでしょう。

 

(貼り付けはじめ)

 

コーク・ネットワークが中間選挙に向けてスーパーPACを発足させる(Koch network launches super PAC ahead of midterm elections

 

ジョナサン・イースリー筆

2018年9月10日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/405820-koch-network-launches-super-pac-ahead-of-midterm-elections

 

大富豪の活動家チャールズ・コークの支援を受けている政治運動ネットワークは月曜日、新たなスーパーPAC(政治活動委員会)を発足させた。設立の目的は、ネットワークの保守的なそしてリバータリアニズムの価値観を共有する候補者を当選させることだ。

 

コーク・ネットワークの政治部門である運動組織「アメリカンズ・フォ・プロスペリティ(Americans for ProsperityAFP)」は、「AFPアクション」という組織を新たに創設した。AFPアクションは、ヒスパニック系の創設したスーパーPACである「リブレ・アクション」、「コンサーンド・ヴェテランズ・フォ・アメリカ(アメリカの現状を憂うる退役軍人たち)」と協力して、「人々の秘めている可能性の実現を妨げる国内、対外関係の両方における障壁を壊すという私たちの目標を共有する候補者たちを支援する」ことを目的としている。

 

新たなスーパーPACであるAFPアクションは、保守的、もしくはリバータリアン的考えを持つ大富豪たちから巨額の資金を集めることが出来るだろう。しかし、スーパーPACの役員たちは、2018年の中間選挙でどれくらいの資金を投入するのかという質問に対して、回答を拒否した。

 

今回の中間選挙で、コーク・ネットワークは総額で4億ドル(約440億円)以上を投入すると見られている。

 

AFPアクションの広報担当ビル・リッグスは次のように語った。「AFPはこれまで、接戦となる選挙において、私たちの支持する政策の実現に協力する候補者を応援することで、政治に新たな力を送り込んできた。AFPアクションは、こうした私たちの努力の幅を広げるための新しい道具となり、より大きな影響力を与えることになる」。

 

コーク・ネットワークは、トランプ大統領と共和党が過半数を占める連邦議会に対する不満を高め、戦略を練り直している。そうした中でスーパーPACであるAFPアクションが創設された。

 

コーク・ネットワークはトランプの関税政策に反対を表明し、コーク・ネットワークの幹部たちはトランプ大統領の言動を批判し続けている。彼らは、今年の3月に連邦議会が1兆3000億ドル(約140兆円)の公的支出計画を承認し、トランプ大統領が署名して法制化したことにも怒りを募らせている。

 

今年初めに開催された大口献金者たちの集まりにおいて、コーク・ネットワークは支援する候補者をより厳しく選択していくと発表した。共和党が連邦上院で何とか51議席(全100議席)を確保し、連邦下院では民主党が過半数を獲得するという厳しい見通しではあるが、共和党所属でも支援しない候補者も出てくると発表したことになる。

 

AFPはノースダコタ州の連邦上院議員選挙で、現職のハイディ・ハイトカンプ連邦上院議員(ノースダコタ州選出、民主党)に挑戦する共和党のケヴィン・クラマー連邦下院議員(ノースダコタ州選出、共和党)を支援しないと決定した。ノースダコタ州は2016年の大統領選挙でトランプが圧勝した州である。AFPは、財政支出法案、農業関連法案、輸出入銀行創設に賛成したクラマーを支援しないと発表した。

 

コーク・ネットワークは今回の中間選挙で財政支出に賛成した共和党議員を懲らしめ、刑法改革と実験的な麻薬解禁法など重要な分野で自分たちの考えに沿った投票を行った民主党議員を支援するために、広告や手紙などに多額の資金を投入している。

 

コーク・ネットワークはまた、「ドリーマーズ(訳者註:子供時代に親に連れられてアメリカにやってきて成長した不法移民)」への市民権付与を進めるために民主党の候補者への支援も検討している。

 

現在でも、コーク・ネットワークの資金のほとんどは、共和党の候補者や保守的な主張に提供されている。ネットワークは、トランプ大統領によって指名されたアメリカ連邦最高裁判所判事候補ブレット・カヴァナウの承認を訴えるテレビ広告に数百万ドルを投じている。

 

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 古村治彦です。

 

 アメリカで創業された、インターネット通販最大手のアマゾン社に対しては、アメリカ国内でも様々な批判がなされています。税金を不当に逃れている、従業員の待遇が劣悪だ、というのが批判の内容です。インターネット通販は私たちの生活に浸透し、いまやなくてはならないものとなりました。より正確に言えば、物流・宅配サーヴィスが充実し、それに私たち消費者とアマゾンをはじめとする業者側が依存しており、物流・宅配サーヴィスが滞れば、私たちの生活もまた停滞を起こすということになります。

 

 アマゾン社は書籍だけではなく、様々な商品を販売しています。書籍を安売りはできませんが(その代わりにポイントを付けて販売しています)、その他の商品は店頭小売よりも安く販売し、シェアを拡大しています。生鮮食料品はまださすがに近くの商店やスーパーで買っている方がほとんどだと思いますが、そのうちに、アマゾン社が私たちの生活に必要な物資の流通を「支配」するまでに大きくなることも考えられます。自由市場、競争経済ということであれば、安く物品を提供できるとなれば消費者から選ばれることになります。その結果、他の競争相手を淘汰して巨大な怪獣のように1つだけ残ってしまう、独占が生まれてしまうということも可能性として考えられます。

 

 アメリカ国内でアマゾン社を批判しているのは、ドナルド・トランプ大統領とバーニー・サンダース連邦上院議員です。共に2016年の米大統領選挙に出馬しました。バーニー・サンダースはヒラリー・クリントンを苦しめ、トランプは共和党体制派を破り、最後にはヒラリーに勝利し大統領になりました。どちらも民主、共和両党の体制派を攻撃し、指示を集めました。その2人がアマゾン社を攻撃しているということが重要なポイントとなります。

 

 トランプとトランプ政権を攻撃している『ワシントン・ポスト』紙のオーナーがアマゾン社の創業者でCEOのジェフ・ベソスです。ジェフ・ベソスはバラク・オバマ前大統領を支持していたこともあり、トランプはベソスとアマゾン社を攻撃しています。バーニー・サンダースは、アマゾン社の労働条件が悪いこと(儲かっているのに従業員を最低賃金で酷使している)や租税回避ということで攻撃しています。また、格差社会という点からもベソスを批判しています。日本でも税務当局がアマゾン社が租税を回避していると指摘しています。

 

 私たちが便利に使っている存在がやがて巨大になり、私たちをコントロールする、などということがあり得ます。市場至上主義(市場がなんでも最適に配分できるとする考え)を基盤とする資本主義において、競争の中から巨大な企業が生まれ、それが独占企業にまで成長するということは、アメリカにおいても19世紀後半から20世紀にかけて、石油業界で実際に発生しました。ジョン・D・ロックフェラー一世が創設したスタンダード石油が石油の採掘、精製から輸送までを独占するという事態が起きました。アマゾン社が流通の分野において、21世紀版のスタンダード石油になるかもしれないと私は危惧しています。

 

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バーニー・サンダースはアマゾン社に対して、「ジョージ・オーウェルの作品に出てくる言語」を使っていると批判するヴィデオをシェアすることで新たな攻撃を行った(Bernie Sanders renews attacks on Amazon, shares video accusing company of 'Orwellian language'

 

マイケル・バーク筆

2018年9月10日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/news/405894-sanders-renews-attacks-on-amazon-shares-video-accusing-company

 

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)は今週月曜日、新たに「アマゾン」社に対して攻撃を行った。サンダースは、自身のツイッター上に、アマゾン社に対して「ジョージ・オーウェルの作品に出てくる言語」を使っていると批判するヴィデオをシェアした。

 

サンダースはヴィデオの1つをシェアする際に次のようにツイートした。「億万長者のアマゾン社CEOジェフ・ベソスと最低賃金で雇われている平均的なアマゾン社の従業員との違いをぼやかすために符牒を使っている。このことをジャーナリストのジェイムズ・ブラッドワースのヴィデオで見てみよう」。

 

ヴィデオの中の1つで、アマゾン社の労働環境についての著書を持つジェイムズ・ブラッドワースは次のように語っている。「アマゾン社が使っている符牒は、ジョージ・オーウェルの作品に出てくる言語のようなものだ。そして、符牒を使って、みているあなたのような普通の労働者と経営陣の違いをぼやかしているのだ」。

 

ブラッドワースは次のように語った。「アマゾン社では倉庫を倉庫と呼ぶことは許されない。フルフィルメント・センターと呼ばなければならない。アマゾン社では働いている人間を労働者や上司と呼ぶことは許されない。同僚と呼ばなければならない。こうしたことが行われるのは、年間数億ポンドを稼ぐジェフ・ベソスと最低賃金しか稼げないパッケージ要員の大きな違いをぼやかすためだ」。

 

サンダースは先週、巨大企業に対して、低賃金の労働者に対する連邦政府の福祉プログラムへの課税を行うための法案を提案した。サンダースはこの法案とは別にベソスについてのツイートを行った。

 

サンダースは、先週「補助金を停止することで悪い雇用者を止める」法案を提案した。この際、発表した声明の中で次のように述べた。「アメリカ国民は大富豪たちに補助金を出していることに飽き飽きしている」。

 

サンダースは次のように述べている。「収入と財産の格差が増大している。アメリカで最も富裕な人物3名の財産の合計はアメリカ国民の下半分の財産の合計よりも多い。アメリカ国民の収入の合計の52%を上位1%が取っている。こうした状況の中、アメリカ国民は、アメリカ国内の巨大なそして大きな利益を出している各企業を所有している億万長者たちに補助金を出していることに呆れ返っている」。

 

今年8月、アマゾン社はサンダースからの「従業員を不当に扱っている」という攻撃に対して、反論を行った。

 

アマゾン社は声明の中で、「他の企業と競争しても負けない賃金、コントロール下にある労働環境、安全な職場に加え、アマゾン社は従業員に対して、健康保険、障害保険、退職貯蓄制度、自社株持ち株制度を含む包括的な福祉制度を完備している」と述べている。

 

=====

 

ベソスは幼稚園・保育園のネットワークを創設:「子供たちは消費者ということになる」(Bezos to launch network of preschools: 'The child will be the customer'

 

ハーパー・ニーディグ筆

2018年9月13日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/policy/technology/406514-bezos-to-launch-network-of-preschools-the-child-will-be-the-customer

 

アマゾン社のCEOジェフ・ベソスは今週水曜日、20億円を投じて慈善事業基金を設立すると発表した。この基金の目的は、幼稚園・保育園の新たなネットワークに資金を出し、ホームレスの家族を支援している非営利団体を支援することである。

 

ベソスはツイッターを通じて、行政サーヴィスが十分に提供されない地域に幼稚園・保育園に設置され、新たに創設される「ベソス・デイ・ワン基金」によって運営されると述べた。

 

ベソスは声明の中で次のように述べている。「私たちはアマゾン社を躍進させているものと同じ諸原理を使う。その中で最も重要な原理は、本物の激しい消費者の欲望ということである。子供たちは消費者、なのだ」

 

『フォーブス』誌の推定では、ジェフ・ベソスの資産は1630億ドル(約18兆円)に達し、近代史上最も富裕な人物となる。アマゾン社の創業者ベソスは、木曜日に「エコノミック・クラブ・オブ・ワシントン」で講演を行う予定でワシントンに滞在中であり、その中で今回の発表がなされた。

 

ジェフ・ベソスと妻マッキンジーは最近になって初めて大きな政治献金を行った。2人は1000万ドル(約11億円)を提供してスーパーPACを創設した。このスーパーPACの目的は、民主、共和両党の連邦議会議員選挙候補者で、退役軍人たちを支援する人たちを当選させることである。

 

木曜日の声明の中で、ベソスは新しい基金は、ホームレスとなった家族を支援する民間団体を毎年表彰するリーダーシップ表彰を行うことも併せて発表した。

 

アマゾン社の報道担当者は新しいプロジェクトについての更なる詳細については何も述べなかった。

 

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(終わり)

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 古村治彦です。

jimintousousaisen001

 

 昨日、自由民主党の総裁選挙の投開票が実施されました。地方党員票405票、国会議員票405票の行方に注目が集まりました。事前の予想では、国会議員票は安倍晋三氏が8割を固め、更に支持を伸ばす(無派閥や自主投票の派閥を切り崩す)、石破氏は、50票は固めたので、上積みを目指す(できれば20票)、地方票では安倍陣営は、55%は取りたい(もともとは6割以降)とし、石破陣営は150票以上を取り、国会議員票と合わせて200票を目安としたいとしていました。

 

 9月20日午後に投開票が行われ、国会議員票は、安倍氏が329票(約81%)、石破氏が73票(18%)、地方票は、安倍氏が224票(約55%)、石破氏が181票(約45%)を獲得しました。合計は、安倍氏が553票(約68%)、石破氏が254票(約32%)、白票が3票(そのうちの1票は船田元衆議院議員と自ら公表)という結果になりました。

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 この結果について、「安倍氏がダブルスコアで圧勝、石破氏が惨敗、接戦、前線なんてとんでもない」という主張や、「事前の予想よりも石破氏が善戦した。国会議員票は事前予測よりも20票程度増えているし(安倍陣営の出陣式に出た議員数よりも獲得票数は少ない)、地方票はダブルスコアの差ではなかった、200票が目安だったがそれを50以上超えた」という主張が出ています。

 

 安倍陣営としては、今期(2021年9月まで)が最後の任期となるため、できれば圧勝、トリプルスコアかそれ以上で勝利を収めたかったはずです。最後の任期ということで、安部氏の求心力はどうしても低下してしまいます。アメリカ大統領の場合も三選はできないために、二期目の後半は力を失います。これをレイムダック現象と言います。安倍氏にとって最後の残る影響力維持の手段は、後継者指名ということになります。これをうまく使ったのが中曽根康弘元首相です。竹下登、安倍慎太郎、宮澤喜一の「ニューリーダー」たちを競わせて政権を最後まで運営しました。

 

 選挙前から、細田派(安倍派)、麻生派、二階派、岸田派、石原派、竹下派の一部が安倍氏支持を表明したために、勝負の行方は動きようがありませんでした。岸田派を率いる岸田文雄政調会長が安部氏支持を表明するのかどうかが注目されましたが、岸田氏が安倍氏支持を表明したことで、勝負の大勢は決しました。竹下派は竹下亘氏が石破氏支持を表明しましたが、自主投票となったために、分裂状態となりました。

 

 今回の総裁選挙は自民党の派閥の変質が顕著に表れたことです。自民党の派閥と言えば、総理総裁を目指す大物議員が物心両面で子分となる議員たちの面倒を見るというものでした。また、派閥の中には次を狙う若手(プリンス)がおり、協力と対立を繰り返してきました。総裁選挙となれば、次を狙う、次の次を狙うという大派閥の合従連衡があり、ポストを狙う中間派の派閥が誰を支持するかで冷徹な分析を行うということがありました。しかし、現在の派閥の多くは総理総裁を目指さない人物が派閥の長を務め、次の次を目指すプリンス不在状態の派閥が多いというのが現在の状況です。これが安倍一強状態を生み出している原因の一つと言えます。

 

 今回の自民党総裁選挙について、私は1970年の佐藤栄作首相の自民党総裁選四選の故事を思い出していました。宏池会の前尾繁三郎は佐藤四選に協力する代わりに人事で優遇してもらうことを約束して、総裁選挙出馬見送り、佐藤支持に回りました。小派閥を率いる三木武夫は負けることが分かっていながら総裁選挙に出馬しました。結果は、佐藤が当選しましたが、三木も善戦となりました。結果として、前尾は約束を反故にされ、派閥内で不満が高まり、大平正芳に派閥の領袖の座を譲ることになりました。一方、三木武夫は存在感を増し、「三大角福中(三木武夫・大平正芳・田中角栄・福田赳夫・中曽根康弘)」の一角を占める存在になり、後に総理総裁となりました。岸田氏と石破氏の決断が後々どのような結果を生み出すのか興味深いところです。

 

 党員票に目を移すと、47都道府県の中で、山形、茨城、群馬、富山、三重、鳥取、島江、徳島、高知、宮崎で石破氏が安倍氏を上回る得票を得ました。これらの県からは石破氏を支持する代議士が出ていることもあって、このような結果になったものと思われます。議員票で安倍氏が329票(81%、国会議員329名)を得たことを考えると、この329名が必死になって働きかけをしていれば、地方票の55対45という割合は変えられた可能性があります。もしかすると、必死に働きかけを行ってこの数字まで持って行ったということも考えられます。そうなると、安倍陣営が「地方の反乱」と驚愕した理由は分かります。

 

 今回の結果は、安倍氏にとって良かった点もあります。石破氏が善戦したことで、ポスト安倍の競争は厳しいものとなります。今の時点では、石破氏が一番手となります。ポスト安倍を目指して今回は出馬しなかった岸田氏は石破氏の後塵を拝することになります。そうなると、岸田氏にとっては、安倍氏からの後継指名が必要となります。安倍氏から後継指名を得るためには忠勤に励む必要があります。安倍氏は政権の基盤を固めるために、今回の石破氏の善戦を利用することが出来ます。


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 安倍政権の期限が最長で2021年9月までとなりました。この3年間で、改憲が最大のテーマとなります。改憲に関しては協力体制と共に日程も重要になってきます。日程がきつい、余裕がない中で、国民投票を実施することはかなり難しいことになりそうです。安倍政権下での改憲は厳しいということになります。99勝しながら最後の大事な戦いで負けてすべてを失ってしまった項羽のようになることもあるでしょう。憲政史上、最長の期間首相を務めながら、自身が掲げた最大のテーマを実現できなかった首相として退任してもらうことを私は個人的に望んでいます。

 

(貼り付けはじめ)

 

●改憲、険しい道のり=首相本腰も日程窮屈-自民総裁選

 

2018920日 時事通信

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018092000718&g=pol

 

 自民党総裁選で3選を果たした安倍晋三首相は、任期中の憲法改正実現に本腰を入れる構えだ。秋の臨時国会で9条に自衛隊を明記する自民党の条文案を提示し、国会での改憲論議を軌道に乗せたい考えだが、来年は参院選や天皇陛下退位など大型行事が目白押し。国会発議と国民投票を行うには日程が窮屈な上に、他党との協議も難航が予想される。国民的な議論が深まっているわけでもなく、道のりは険しい。

 

 「総裁選の最大の争点だった。結果が出た以上、大きな方針に向かって一致結束して進んでいかなければならない」。首相は20日の新総裁記者会見でこう語り、改めて改憲案提出を目指す考えを示した。

 

 首相は昨年5月、改正憲法の2020年施行を目指すと表明し、党憲法改正推進本部に改憲案のとりまとめを指示。同本部は今年3月、自衛隊の根拠規定追加を柱とする4項目の改憲案について一任を取り付けた。だが、森友・加計学園問題など一連の政権不祥事に野党が抵抗を強め、通常国会では論議は進まなかった。

 

 首相は総裁選で、改憲への機運を高めるため、自衛隊をめぐる違憲論争に「終止符を打とう」などと再三訴えた。改憲を3期目の主要課題に掲げ、求心力を維持する思惑もある。首相と連携する麻生派が8月、来年夏の参院選までの国民投票実施を提言したのもその一環とみられる。

 

 ただ、首相は総裁選で石破茂元幹事長の善戦を許した。石破氏は記者団に、改憲について「スケジュール感ありきでなく丁寧に説明すべきだ」と注文を付けており、条文案提出をにらんだ駆け引きが展開されそうだ。

 

 来年は4月に統一地方選と天皇退位、夏に参院選、10月には消費税増税が予定されている。国民投票には発議から60~180日以内に行うとの規定があるが、3月までは19年度予算案の審議が優先され、改憲論議に求められる「静かな環境」を確保しにくい。参院選の結果、自民、公明両党に日本維新の会などを加えた改憲勢力が発議に必要な3分の2を割り込めば、状況は一層厳しくなる。

 

 首相としては野党第1党の協力も得て進めたい考えだが、立憲民主党の枝野幸男代表は「安倍政権での改憲は阻止する」と公言している。公明党の山口那津男代表も19日の記者会見で「各種世論調査では優先順位は高くない」と慎重姿勢を示した。(2018/09/20-21:05

 

=====

 

●「安倍首相、伸び悩んだ党員票 自民幹部「地方の反乱だ」」

 

与党担当キャップ・佐藤徳仁20189201529

https://www.asahi.com/articles/ASL9N4G34L9NUTFK00T.html?ref=yahoo

 

 自民党総裁選は、安倍晋三首相が石破茂・元幹事長を破り、連続3選を果たした。しかし、国会議員票で8割の支持を得ながら、世論に近いとされる全国の党員らの支持が5割半ばにとどまった。首相陣営から聞こえるのは歓声ではなく、驚き、当惑だ。

 

 今回の総裁選では、派閥がこぞって首相支持を表明し、2012年の政権復帰後に進んだ「安倍一色」に染まる党内状況を反映する展開をたどった。首相陣営は当初、党員票でも国会議員票に匹敵する7割以上の得票を目指した。

 

 ところが、7日の告示以降は、「石破氏が6年前に獲得した55%は超えたい」(陣営事務総長の甘利明・元経済再生相)と予防線を張るようになった。6年前の総裁選は安倍、石破両氏を含む5氏による争いだったため、一騎打ちとなった今回とは比較にならない。55%はかなり低めの目標と受け止められたが、結果はその55%をわずかに上回ったに過ぎなかった。

 

 首相陣営からは「ショックだ」「参院選が心配だ」との声が相次ぎ、自民党幹部は「地方の反乱だ」と語った。

 

 8割を超えた国会議員票でも、両陣営ともに50票台とみてきた石破氏が73票を獲得。表向きは首相支持を表明しながら、逆の投票行動を取った議員が複数いることをうかがわせる結果となった。

 

 来年に統一地方選と参院選を控えるなか、首相の評価をめぐる国会議員と党員の意識のズレは、今後の政権運営の大きな不安定要素となり得る。首相が手にした新たな3年間は、波乱含みのスタートとなる。(与党担当キャップ・佐藤徳仁)

 

=====

 

●「安倍氏、東京・大阪などで上回る 地方票の開票結果」

 

20189201600分 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASL9N546XL9NUTFK01M.html?ref=yahoo

 

 自民党総裁選で地方票の開票の結果、石破茂・元幹事長の得票が安倍晋三首相を上回ったのは山形、茨城、群馬、富山、三重、鳥取、島根、徳島、高知、宮崎の10県だった。一方、安倍氏は政権幹部の地元である福岡や神奈川、和歌山のほか、東京、大阪などで石破氏を上回った。

 

      安倍晋三氏   石破茂氏

 

北海道   11711   9819

 

青森県    3480   2517

 

岩手県    2568   2170

 

宮城県    4299   3301

 

秋田県    3229   2843

 

山形県    3172   4402

 

福島県    5209   4368

 

茨城県    9927  13951

 

栃木県    6257   5124

 

群馬県    6802   7847

 

埼玉県   12177  10257

 

千葉県    9131   8238

 

東京都   33351  24110

 

神奈川県  20901  13371

 

新潟県    8880   7384

 

富山県    9452  10685

 

石川県    9161   4936

 

福井県    4786   2791

 

山梨県    6902   5310

 

長野県    5406   5391

 

岐阜県   10955   9630

 

静岡県    9410   6916

 

愛知県   14611  12122

 

三重県    3437   4194

 

滋賀県    4056   2991

 

京都府    5073   3807

 

大阪府   11813   7620

 

兵庫県    8193   7063

 

奈良県    3332   1674

 

和歌山県   8698   2003

 

鳥取県     421   7933

 

島根県    2257   7748

 

岡山県    7060   5218

 

広島県   15095   6171

 

山口県   12488   1760

 

徳島県    2925   3963

 

香川県    6752   4783

 

愛媛県    6945   5581

 

高知県    1499   3778

 

福岡県   10442   5883

 

佐賀県    3343   3149

 

長崎県    7167   4704

 

熊本県    6143   5011

 

大分県    5768   3542

 

宮崎県    3112   4380

 

鹿児島県   5938   4478

 

沖縄県    1753   1086

 

計    355487 286003

 

(自民党本部の発表による)

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 2018年9月18日から韓国の文在寅大統領が北朝鮮を訪問し、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と会談を行っています。本日、平壌共同宣言に両首脳が署名しました。南北の間で武力を使用しないこと、北朝鮮北部のミサイル施設を廃棄すること、寧辺の各施設も米国の出方次第で廃棄すること、年内に金正恩委員長が韓国・ソウルを訪問することが南北間で合意されました。今回の共同宣言によって、「朝鮮戦争は実質的に終結した」と韓国政府高官は強調しています。

 

 今回の共同宣言と南北の軍事分野での合意によって朝鮮戦争は「実質的に」終結した、という点は重要です。朝鮮戦争の休戦協定に署名したのは、中国人民志願軍司令員の彭徳懐と朝鮮人民軍司令官の金日成、国連軍総司令官のマーク・W・クラーク米陸軍大将です。韓国は署名の当事者ではありません。ですから、休戦協定と今回の共同宣言は全く別のものと考えるべきです。中国と国連軍(実質はアメリカ軍)が関係していないのですから。

 

 韓国が北朝鮮に対して武力を使用しない、北朝鮮も韓国には武力を使用しないということが今回合意された訳ですから、アメリカがもし北朝鮮に武力攻撃を行う際には、韓国は米軍と共同歩調を取らないということになります。そうなると、米韓両軍で行われる共同軍事演習も行われるのかどうか微妙ということになります。ですから、今回の共同宣言は韓国がアメリカ離れを進めていることの証左となります。

 

 アメリカが韓国内にある米軍基地を使って北朝鮮を攻撃することが出来るのか、ということも議論となってくるでしょう。韓国の最大の敵は北朝鮮ということでこれまでやってきたわけですが、お互いで武力行使をしないと決めた以上、米軍が韓国内にいる必要はありません。

 

 6月には米朝首脳会談が行われ、その際に米朝共同宣言が発表されました。その内容は曖昧でした。そのために、その後、米朝間の交渉はうまくいかないということになりました。アメリカは北朝鮮に安全の保証を与え、それで北朝鮮は核兵器とミサイルを放棄するということが大筋の合意内容ですが、米朝はその後、交渉を行っていますが、うまくいっていません。これは、アメリカが北朝鮮に騙された、出し抜かれた、ということになります。

 

 また、北朝鮮北西部にあるミサイル施設を廃棄するというのは、中国に対する配慮ということになります北朝鮮がアメリカを攻撃するならば、北朝鮮北東部にミサイル発射施設を建設するはずです。北西部ということは、その標的は中国ということになります。このミサイル施設が廃棄されるということは中国にとっては喜ばしいことです。

 

 こうして見てくると、北朝鮮と韓国、中国がひと塊となって、朝鮮半島での戦争が出来ない状況を作り出しています。今この状況でアメリカが北朝鮮に対して軍事力を行使するならば、アメリカは国際的に厳しい立場に置かれてしまいます。中朝韓が一緒になって、アメリカを封じ込めることに成功しました。トランプ政権は本質的に外国のことに関わりたくない、アメリカ・ファースト(アメリカ国内の問題を優先する、最初に解決する)ですから、そこを見切られての動きでしょう。

 

 アメリカのアジアからの撤退ということも視野に入ってきました。こうなってくると、日本の立場はどうなるかということになります。トランプ政権は日本に対して敵対的な姿勢を見せるようになっています。日本もアメリカ一辺倒に依存する状態から脱する方策を考える必要があるようです。

 

(貼り付けはじめ)

 

●「北朝鮮、核施設廃棄の用意=南北が実質「終戦」宣言―正恩氏、ソウル訪問へ」

 

9/19() 16:41配信 時事通信

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180919-00000076-jij-kr

 

 【ソウル時事】韓国の文在寅大統領と金正恩朝鮮労働党委員長は19日、平壌の百花園迎賓館で2日目の会談を行い、合意文書「平壌共同宣言」に署名した。

 

 宣言は「朝鮮半島での戦争の危険除去や敵対関係解消」をうたい、北朝鮮が北西部・東倉里のミサイル施設を廃棄することを明記、米国の対応次第では、寧辺の核施設も廃棄する用意を表明した。正恩氏が近く、ソウルを訪問することも盛り込まれた。また、韓国の宋永武国防相と北朝鮮の努光鉄人民武力相は、宣言の付属文書となる軍事分野の合意書に署名した。

 

 正恩氏は共同記者会見で「朝鮮半島を核兵器、核脅威のない平和の地にするため積極的に努力することを確約した」と明言。文氏は正恩氏のソウル訪問について「特別な事情がなければ、年内という意味だ」と語った。北朝鮮最高指導者のソウル訪問が実現すれば分断後初めてで、南北関係や北東アジア情勢の重大な転機となる。

 

 韓国大統領府の尹永燦国民疎通首席秘書官は、宣言署名で「実質的に(朝鮮戦争の)終戦を宣言した」と強調。北朝鮮が核施設の廃棄の用意を表明した点には「核の無能力化の実践的段階に入った」という見方を示した。

 

 尹氏によると、文氏は23日から国連総会出席のため米国を訪問し、現地時間の24日にトランプ大統領と会談する予定。尹氏は「(南北首脳会談での)公開されていない話も(トランプ氏に)伝達するだろう」と語り、正恩氏の対米メッセージを伝えるという見通しを明らかにした。

 

 宣言はこのほか、条件が整えば、北朝鮮南東部・金剛山の観光や南西部・開城の工業団地を正常化させることも盛り込み、離散家族問題の解決のための協力強化も確認。さらに、2020年東京五輪などでの共同出場を積極的に進め、32年五輪の南北共催に向けた誘致活動も検討することを定めた。

 

 文氏は20日、正恩氏とともに北朝鮮北部の白頭山を訪れた後、ソウルに戻る予定。文氏はかねて、白頭山訪問に意欲を見せており、正恩氏が提案したという。 

 

=====

 

●「正恩氏、年内ソウルへ 寧辺核施設の廃棄用意 南北会談」

 

9/19() 12:19配信 朝日新聞デジタル

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180919-00000036-asahi-int

 

 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は19日、平壌で前日に続いて首脳会談を行い、米国の対応次第で、北朝鮮が寧辺(ヨンビョン)核施設の廃棄などの追加措置を取ることなどを盛り込んだ「9月平壌共同宣言合意書」に署名した。正恩氏が年内にソウルを訪れることでも合意した。

 

 合意書は、北朝鮮が東倉里の弾道ミサイル発射台とエンジン実験場を、関係国の専門家の立ち会いのもとで永久廃棄するとした。北朝鮮は、米国が「米朝共同声明の精神に従った相応の措置」を取った場合、寧辺核施設の永久廃棄などの追加措置を引き続き取る用意があるとした。

 

 南北関係筋によれば、文氏は18日の会談で、「未来の核だけではなく、過去に生産した核を廃棄しなければ米朝対話は進まない」と指摘。米国の求める非核化対象リストや行程表の提出と検証に応じるよう、正恩氏の説得を続けたようだ。正恩氏は、豊渓里(プンゲリ)核実験場の爆破などを評価しない米政府の姿勢に不満を表明したという。

 

 トランプ米大統領は19日未明、「金正恩氏が核査察や、専門家同席のもとでの核実験施設やミサイル発射場の永久廃棄に合意した。とても素晴らしい」とツイートした。ただ米側は、リストの提出などを引き続き求めており、北朝鮮の非核化が直ちに進展するかは予断を許さない。

 

 合意書は、正恩氏が近い時期にソウルを訪れるとした。文氏は会見で、「特別な事情がない限り、年内という意味が込められている」と述べた。北朝鮮の最高指導者がソウルを訪れるのは初めてとなる。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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