古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

2018年10月

 古村治彦です。

 

 今回は2018年11月2日に発売となる副島隆彦先生の最新刊『「トランプ暴落」前夜』をご紹介いたします。10月中旬から世界的に株式が下落していますが、本書ではいち早くそのことを警告しています。


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「トランプ暴落」前夜 破壊される資本主義

 

 以下にまえがき、目次、あとがきを掲載します。参考にしていただき、ぜひ手にとってご覧ください。よろしくお願いいたします。

 

(貼り付けはじめ)

 

まえがき

 

 嵐の前の静けさである。

 

 本は、その最初に一番重要なことを書かなければいけない。それは結論でもある。アメリカの大学の論文の書き方指導(ライテイング)では、「一番大事なことを頭(あたま)に書きなさい」と教える。だから私も、この本の初めを大事なことから書いて読者に伝える。

 

 年内は、株価も他の金融市場も大きくは崩れない。年明けの2019年1月から崩れるだろう。それでもまだ大した株の崩れ、大暴落ではない。その次の年の2020年が米大統領選挙の年である。その翌年、2021年が危ない。

 

そして、その先、今から6年後の2024年に、株価が大暴落を起こして、世界は大恐慌に突入するだろう。その年に、日本でも預金封鎖(よきんふうさ)が断行される。

 

 前のP3の表に、これらのことを書いた。今後の世界の動きを、このように予言(予測)して私が作成した年表である。今年(2018年)から10年後の2027年までを、この表で時系列に並べている。

 

なぜ私が2024年を大恐慌突入の年とする、と決めたか。

 

それはアメリカのドナルド・トランプ大統領が、この年に任期を終えるからだ。2024年は、トランプの2期目4年の最後の年である。このときトランプは、もうすべての方策が尽きて、どうしようもなくなる。このころからヨーロッパ諸国を初めとして、世界中で金融危機が起こる。先進国の諸国の財政が破綻(はたん)し、崩壊してゆく。当然、日本もこれに含まれる。

 

トランプは1期目4年の終わりの年である、今から2年後の2020年11月の大統領選挙に勝つだろう。そして次の4年(2期目)を務(つと)める。そのときには、トランプは「もう俺は好きなようにやる」と居直る。それでも次から次へと起こる難事、難題を処理することだけで手一杯となる。攻めの政治(それまでに蓄[たくわ]えた政治資源に頼る)が、もうできなくなって、守りの政治になる。トランプはボロボロになって、2024年になると「俺はもう知らん。どうにでもなれ」と責任を回避する。その次の大統領が誰になるか、まだ分からない。だが誰が次の大統領になっても、アメリカの国力の大きな低下と衰退は止められない。

 

〝リーマン・ショック〟から10年である。

 

あのときは深く仕組まれていたとおり、ジョージ・ブッシュ(アホ息子のほう)大統領の最後の年であり、黒人のバラク・オバマが大統領として現われた。それが〝9・15リーマン・ショック〟の始まりであり、大統領選挙はその2カ月後の11月3日であった。

 

これらの動きは大きく仕組まれているのだ。私は当時、このことを予言(予測)して当てた。知っている人は、みんな知っている。

 

まさにあのときと同じように、次の時代の大きな図式がつくられてゆく。その年が2024年である。

 

トランプは2期8年で、それ以上はもう出られない(任期は2025年1月まで)。「あとは野となれ山となれ」”Après(アプレ) moi(モワ), le() deluge(デリユージユ) である。

 

トランプなりには、あれこれ努力して頑張った、となる。

 

それでもアメリカ帝国は、もうどうにもならない状況に落ち込んでゆく。

 

「だけど俺は、大(だい)戦争(ラージ・ウォー)だけはしなかったからな」というのが、最大の言い訳となるだろう。トランプは根()っからの商売人であるから、なんとかかんとか諸外国を虐(いじ)めまくって、世界中から資金を奪い取り、自国民(アメリカ国民)の利益になるように、最大限の人気取りの政治をやり続ける。これが「アメリカ・ファースト!」 America First!  自国民優先主義である(× アメリカ第一主義は誤訳。意味不明)。

 

「(諸)外国のことなんか知ったことか。俺はアメリカだけの大統領だ」

 

それでも。

 

アメリカ政府(アメリカ財務省とF(エフ)(アール)(ビー))が秘密で抱え込んでいる、裏(うら)帳簿(オフ・ブック off book )の財政赤字が、どうしようもないくらいに巨額(60兆ドル 6600兆円)になっている。連邦(れんぽう)政府(Federal[フエデラル] Government[ガヴアメント] ワシントンの中央政府)の分だけで、これだけある。他に50州と40の大都市の分が隠れている。それと、健康保険と年金だ。これらの真実が外側に露出し露見して、巨大な危機が起きるだろう。同じ先進国であるヨーロッパ(EU[イーユー])のほうがもっとヒドい。

 

日本だって同じだ。日本政府も同じく、アメリカへの巨額な貢(みつ)ぎ金(上納金[じょうのうきん]。すでに1400兆円)を含めた隠れ財政赤字が原因で、大きな経済変動が発生する。それはもはや従来のような金融危機ではなく、財政危機(ファイナンシャル・クライシス financial crisis )である。

 

もしかしたら、それは財政崩壊(ほうかい)(ファイナンシャル・カタストロフィ financial catastrophe )にまで至る。これは、アメリカの巨額の隠れ財政赤字を元凶とする、世界的な大恐慌突入と軌()を一(いつ)にしたものとなるだろう。それまで、あと6年である。

 

 私はこれまでどおり、金融予言者としての自覚と自信を持って、自分の人生で残り最後の大きな知識・言論の闘いを推()し進めてゆく。私の言うこと(書くこと)に耳を傾(かたむ)けてくれる人たちでいい。本気で自分の財産(金融資産)を守りたいと思う人は、私の主張に注目してください。

 

副島隆彦

 

=====

 

まえがき

 

1章 2019年の「トランプ暴落」

 

●今の株高は人工的に吊り上げられている

●なぜ私は〝リーマン・ショック〟と〝オバマ当選〟を当てたか

●米ドル基軸通貨体制の終わり

●跳ね上がった日米の長期金利(国債利回り)

●恐ろしいジャンク・ボンド市場

●政府の〝秘密〟が金融市場に伝わった

●「引き金(トリガー)」を引くのはどこだ

●世界的財政崩壊の時限爆弾

●〝食べられないお金〟とは何か

●米、中、ロの〝3帝会談〟が開かれる

●NYダウと日経平均は、いつ連動して落ちるのか

 

2章 アメリカ「貿易戦争」の正体

 

●中国からの輸入品すべてに25%の関税をかけると18兆円の増収

●「米国債売却」か「人民元切り上げ」か

●アメリカの「資本収支」は黒字である

●もめていた「NAFTA(ナフタ)」(北米自由貿易協定)

●2国間交渉に持ち込むトランプの「本当の目的」とは

●日本車の対米輸出は、これからどうなるのか

●「アメリカ・ファースト!」は「アメリカ国内優先主義」だ

●兵器購入と引き替えの追加関税回避

 

3章 2024年の大恐慌に向けて

    世界はこう動く          

 

●トランプ自身が認めた、アメリカの大借金問題

●「高関税はスゲー」  

●エネルギー計画に示された「推定50兆ドル」の隠された真実  

●「50兆ドル分の埋蔵エネルギー」は、政府債務60兆ドルの「反対勘定」だ  

●6大IT銘柄の異常な株高現象  

●新興国の債券暴落は、どれほど危険なのか  

●公的マネー(GPIFと日銀)が日本の株価を吊り上げている  

●ヘッジファンドが仕掛ける空売り  

●イーロン・マスク(テスラ)は、なぜ中国に飛んだのか  

●日本と中国が電気自動車で組む  

●ZOZO前澤友作社長とイーロン・マスク  

●ラーム・エマニュエル(シカゴ市長)と前大統領夫人の秘密  

●2024年までを見越した動きが始まっている  

 

4章 金(きん)(ゴールド)とドルの戦いは続く  

 

●戦争が起きてもおかしくはなかった  

●やがて新しい時代の金融秩序が誕生する  

●日銀は長期金利の上昇を容認したのか  

●ロシアの米国債売却vs.アメリカ政府  

 

副島隆彦の特別コラム

仮想通貨への投資は危ない  

 

 

5章 近づく国家財政破綻  

 

●世界金融危機の再来――〝リーマン・ショック〟の当事者が発言したこと  

●あの投資家が「政府債務が原因の金融危機」を警告  

●ノーベル賞候補の日本人経済学者も「危ない」と言った  

●日銀は緩和マネーの供給を止められない  

●アメリカは長期国債を超()長期債に秘密で〝洗い替え〟している  

●日本は衰退しつつある  

●危険な金融商品に手を出してはいけない  

 

あとがき  

 

巻末特集

産業廃棄物と都市鉱山

推奨銘柄25        

 

=====

 

あとがき

 

 本文で書き忘れたことを、最後に書く。この本の英文書名である「トランプ・カタストロフィ」 Trump Catastrophe の由来について、である。

 

 迫り来つつある今度の経済危機(エコノミツク・クライシス)は、単なる金融危機(ファイナンシャル・クライシス)では済まない。今度襲いかかってくる危機は、各国政府の財政破綻、崩壊(ファイナンシャル・カタストロフィ)を原因とする、資本主義の全般的な危機、である。

 

今度は、もう1929年の大恐慌( The Great Depression  グレイト・デプレッション)のようなデプレッション(恐慌)では済まない。だから、カタストロフィ(崩壊)である。

 

1980年代の、アメリカの不況は、レーガン不況 Reagan(レーガン) Recession(リセツシヨン) で済んだ。当時のロナルド・レーガン政権は、サプライサイド改善政策(ポリシー)(減税と緊縮財政)で乗り切れる、と思って失敗した。だがビル・クリントン政権(1992年から)のときに、大(だい)景気回復を達成した。ポール・ボルカーFRB議長が、悪性のインフレ退(たい)()の高金利政策(実に、なんとFFレート=短期金利19%まで行った)をして、劇薬を呑ませて、アメリカ国民を苦しめて、それで達成した。

 

今はデフレから脱出するために、年率2%のインフレを待望しているのだ。隔世の感がある。

 

日本はアメリカにまんまと嵌()められて、1993年から25年間も続く慢性不況(デプレッション)で、ずっと不景気(リセツシヨン)に国民が苦しんでいる。今も地獄だ。

 

カタストロフィ理論は、たしか1970年代末に、フランスの文明論者のルネ・トム René F. Thom が唱えた。これをイギリス人でオックスフォード大学教授のクリストファー・ズィーマン Christopher Zeeman が増幅した。

 

日本の人口は、このあと22年後には2000万人減って1億人になる。今の1億2700万人が、2040年には、1億700万人になる(国立社会保障・人口問題研究所)。これでは、まったく元気が出ない。

 

まったくヒドい国になったものだ、の慨嘆(がいたん)しか出ない。国民はしっかりしているのに。指導者(政治家)が粗悪なのだ。彼らはこの責任を自覚しない。

 

最後に。この本も祥伝社書籍出版部の岡部康彦氏にお世話になった。7月、8月の熱暑と、9月の暴風雨を乗り切って、できた。

 

2018年10

副島隆彦

 

(貼り付け終わり)


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「トランプ暴落」前夜 破壊される資本主義

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 今回は、ドナルド・トランプ大統領が、大口献金者であるシェルドン・アデルソンのために日本でのカジノ建設に関して、安倍晋三首相に「厳命」したという報道が出たことに関して、記事をご紹介します。

 

 日本ではIR法案が可決し、カジノ建設が本格化することになりました。カジノの本場ラスヴェガスでカジノを運営している各企業も日本でのカジノ建設、運営のために熱し選を送っています。日本政府からの免許取得のために競争状態になっているようです。

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安倍首相とトランプ大統領
 

 ここで重要になってくるのが、ドナルド・トランプ大統領との近さということになります。そこで出てくるのが、シェルドン・アデルソンと彼が率いるラスヴェガス・サンズです。アメリカで出た報道によると、トランプ大統領が安倍首相との首脳会談の席上で、カジノ建設に関して、LVSからの免許申請についてしっかりと考慮して欲しいと述べたということです。現職の大統領が自分の後援者のために首脳会談の席を利用した、ということになります。

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ドナルド・トランプとシェルドン・アデルソン
 

 IR法案とトランプ、シェルドン・アデルソンについてはこれまでにも何度かこのブログでも取り上げましたが、これほど具体的に、トランプが露骨に日本でのカジノ建設でシェルドン・アデルソン率いるラスヴェガス・サンズ(LVS)が有利になるように働きかけを行っていたとはと少し驚いています。

 

 今年6月にシンガポールで行われたドナルド・トランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長との米朝首脳会談で、その前夜、金委員長がシンガポールを散策したことが話題になりました。この時、金委員長が訪問したホテルが、LVSが運営するマリーナベイサンズでした。アデルソンはシンガポールのマリーナベイサンズが日本のIRのひな型となる、具体例になると発言していますが、そこを金委員長が訪問したということはそれだけで大きな意味があります。金委員長がトランプ大統領の意向を受けたのか、忖度したのかは分かりませんが、大きな宣伝効果になったでしょうし、それ以上のこともあったでしょう。北朝鮮でのカジノ建設ということも視野に入っているでしょう。

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マリーナベイサンズ訪問中の金正恩
 

 以下の記事に書かれているように、アデルソンは日本との関係も深いようです。孫正義氏との関係もあるようです。

 

 トランプ大統領が首脳会談で、商談のようなことを行うというのは、彼の真骨頂でしょう。アメリカ大統領の力を持って「厳命」されれば、LVSに日本でのカジノ建設・運営の免許はスムーズに出されるでしょう。そして、東京・お台場に「○○(トーキョーベイのような言葉)・サンズ」というホテルが出来るでしょう。

 

(貼り付けはじめ)

 

トランプ大統領は日本の安倍首相に対して、自身の大口献金者アデルソンのカジノ建設新設について考慮するように要請した(Trump told Japan’s Abe to consider donor Adelson’s casino bid: report

―シェルドン・アデルソン率いるラスヴェガス・サンズは日本でのカジノ建設を巡り同業他社と競争している。

 

『マーケット・ウォッチ』誌

2018年10月10日

https://www.marketwatch.com/story/trump-told-japans-abe-to-consider-donor-adelsons-casino-bid-report-2018-10-10?link=sfmw_fb

 

ドナルド・トランプ大統領は、昨年日本の首相と会談を行った際に、大富豪の大口献金者のビジネス上の利益に関してロビー活動を行ったという報道がなされた。

 

トランプ大統領は日本の安倍晋三首相と2017年2月にフロリダで会談を行った。その際、トランプ大統領は安倍首相に対して、「シェルドン・アデルソンが経営する会社からのカジノ建設申請についてしっかりと考慮して欲しい」と語った、と『プロプブリカ』誌が水曜日に匿名の取材源の話を基に報道した。

 

トランプ大統領が外国の首脳に対して直接自身の大口献金者の個人的なビジネスの利益について話をするというのは長年の規範を破るものだと報じられている。

 

アデルソン率いるラスヴェガス・サンズ(LVS)と各ライヴァル企業は、日本でカジノを建設するための限られた数の免許をめぐって競争を続けている。日本はカジノを合法化する動きの中にある。カジノ業界から見ると、日本は世界で最後の手つかずの市場ということになる。日本市場は年間250億ドルを生み出す可能性があると見られている。

 

プロパブリカ誌は、トランプはLVS以外にも少なくとももう一つのカジノ会社について言及したと報じているが、それはMGM・リーゾツ・インターナショナル(MGM)であったという説と、ウィン・リゾーツ(WYNN)であったという説に分かれている。ウィン・リゾーツはこちらもトランプの大口献金者だったスティーヴ・ウィンが2017年まで経営していたが、2018年2月にCEOと会長職を辞任した。日本政府高官は、トランプがカジノについて切り出したことに驚き、うまく答えることが出来なかった、と報じられている。

 

LVSCEOであり会長であるアデルソンと彼の妻は大統領選挙の際にトランプに2000万ドルを献金した。更にはトランプの大統領就任の際のイヴェントに500万ドルを出した。

 

ホワイトハウスとLVSにコメントを求めたが、反応はなかった。

 

LVSの株価は水曜日、1.6%下落し、MGM・インターナショナルの株価は1.1%下落し、ウィン・リゾーツの株価は横ばいであった。

 

=====

 

ラスヴェガス・サンズは日本との関係をカジノ建設の免許を得るための財産だと考えている(Las Vegas Sands sees Japan relationship as asset for possible casino license

 

『ラスヴェガス・レヴュー・ジャーナル』誌

2018年7月25日

https://www.reviewjournal.com/business/casinos-gaming/las-vegas-sands-sees-japan-relationship-as-asset-for-possible-casino-license/

 

ラスヴェガス・サンズ(LVSCEOのシェルドン・アデルソンは水曜日、日本と数十年にわたり関係を持っており、日本のカジノ建設を巡る競争で、LVSは優位な立場にあると述べた。

 

LVSの第二四半期の利益発表の席上、アデルソンはウォール街のアナリストたちに対して、「日本の関係者、ビジネス関係者、銀行など全ての人々が、LVSは日本においてリードしている立場にあると言っている。その理由として彼らは私のバックグラウンドがあると言っている」と述べた。

 

金曜日、統合型リゾートの一部として3つのカジノを建設することを認める法律を国会が可決した。これによって、日本は世界で最大のギャンブル市場となるであろう。専門家たちは、2020年代半ばには、年間210億ドルを生み出すギャンブル市場になるだろうと予測している。

 

この法律の可決後すぐに、ラスヴェガス・サンズ、ウィン・リゾーツ、MGMリゾーツ・インターナショナルとシーザース・エンターテインメントは、日本でのカジノ経営の免許取得を目指すと発表した。

 

ラスヴェガスを本拠とするLVSが日本で免許が取得できるのかという質問に対して、アデルソンは、自分が日本でComdex(国際的なコンピューター製品の展示会)を開催したことに注意して欲しいと述べた。アデルソンは後にComdexを日本のソフトバンクに8億ドルで売却した。

 

アデルソンはまた、1980年代に東京近郊の千葉市長がアデルソンを訪問し、幕張メッセのデザインについて議論したことがあると述べた。

 

利益発表の席上、LVSがシンガポールにおいて統合型リゾートを成功させていることを強調し、これが「大規模統合型リゾートに関する法律を作ろうとしている日本にとって、強力な具体例」となる、日本の政府当局への後押しとなると述べた。

 

日本はマカオに次いでアジア第2位の巨大市場になるであろう。ここに参入することで、ラスヴェガスを拠点とする複数のカジノ運営会社は成長し続けることになる。

 

LVSの今年の第二四半期の純利益は6億7600万ドルで、前年比5.8%増となった。これは、マカオへの訪問者数が増加したことになる。

 

アデルソンは更に、マカオで運営しているホテルの客室の稼働率は、今年の第二四半期において平均で94%に達しており、記録的に高い数字となっていると述べた。

 

マカオでのビジネスの成長は、一般的な客よりもより富裕なギャンブル愛好者たちの数が増えていることによる、とLVSの幹部は述べている。

 

利益発表の席上、アデルソンと最高執行役員(COO)のロバート・ゴールドスタインは、「大変に富裕な」客の多くは、香港と広東省以外から来ており、滞在日数も長い、と述べた。

 

政府の統計によると、昨年、広東省以外からの客数は17%増加し、中国全土からの客数も12%増加した、ということである。

 

ゴールドスタインは次のように語った。「私たちは今年以降もビジネスを成長させるために必要な重要な要素を見つけたと確信している。私たちは強気に攻勢をかけるつもりだ」。

 

LVSの経営陣は、LVSは現在、マカオに所有しているホテルの改修のために資金を投入している、それは、「大変に富裕な」客層を獲得するためだ、と語っている。ヴェネティアン・マカオは今年初めに改修を完了した。一方、パリジャン・マカオの改修は継続中だ。

 

アデルソンは次のように語った。「私たちはマカオへの投資を続けていくつもりだ。なぜなら私たちはマカオ市場に対して長期にわたる、ゆるぎない関与を続けていくだからだ」。

 

LVSの株価は今年の第二四半期の純利益を発表した後に下落した。それはウォール街の専門家たちの予測を下回ったからだ。LVSの一株当たりの利益は70セントであったが、アナリストたちの予測は80セントであった。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 本日は、副島隆彦先生の最新刊『日本人が知らない真実の世界史』(副島隆彦著、日本文芸社、2018年10月27日発売)をご紹介します。


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日本人が知らない 真実の世界史


 本書は、世界史の定説に大胆に挑戦した内容になっています。まえがき、目次、あとがきを貼り付けます。参考にしていただいて、是非手に取ってご覧ください。よろしくお願いいたします。

 

(貼り付けはじめ)

 

はじめに──世界の歴史が大きく分かる

 

 この本は、世界史を勉強するための本だ。世界史をできる限り分かりやすく、その全体像をつかまえて、分かるための本だ。そのつもりで私は書いた。

 

 日本人が、世界史(=人類史)の全体像を、どこまでも徹底的に簡潔に概観(アウトルック)できることを目指した。私なりのその苦闘の表れだ。

 

 世界の歴史を、たった1冊の本で大きく大きく理解するにはどうしたらいいか。大風呂敷を広げ、大丼を書いた。それでもなお、この本は世界史の勉強本(ハウツー本)である。それがうまくいったかどうか、読者が判断してください。

 

 私の考えは、「帝国─属国関係」が世界史を貫いている、とするものだ(帝国─属国理論)。

 

 世界史(人類史)5000年間(たったの5000年だ)は、世界各地に起ち上がったたくさんの小さな民族国家=国民の興亡である。そして、それらをやがて大きく束ねて支配した帝国(大国)の存在に行きつく。

 

 そして帝国(大国)は、別の帝国と世界覇権を目指して激しく衝突する。この構造体(仕組み)は今もまったく変わらない。

 

 私は、拙著『属国・日本論』(1997年刊。21年前。44歳のとき)で、「今の日本は、アメリカの属国(従属国、保護国)である」と書いた。以来、ずっと、私は世界は「帝国─属国」関係を中心に動いている、と主張し、論陣を張ってきた。

 

 日本は原爆を2つ落とされて敗戦(1945年8月)した。この後の73年間を、ずっとアメリカの政治的な支配の下で生きてきた。今の日本国憲法(国)の枠組みをつくる最高法規)の上に日米安保条約(軍事条約)があるから、改憲も護憲も虚しく響く。

 

 アメリカの支配の前は、幕末・明治以来、隠れるようにしてであるが、イギリス(大英帝国)の支配を受けた。

 

 その前は、長く中国(歴代の中華帝国、王朝)に服属して(後漢帝国の時から)、その朝貢国(トリビュータリー・ステイトtributary state )であった。

 

 今回は、日本史から離れて、私はもっと広く大きく世界史についての本を書くことにした。初めは、本書の書名を『「帝国─属国」理論から分かる3200年の世界史』にしようと編集長と話して、決めていた。

 

 しかしこれでは、ちょっと意味が読者に伝わらない、ということで『日本人が知らない真実の世界史』にした。

 

 私の歴史観として、人間(人類)を貫く法則は、3つある、と考えている。まず、

 

1.食べさせてくれの法則。まず、なぜだか分からないが、50万人ぐらいの人間の群れがいる。この人々は、「私たちを食べさせてくれ。食べさせてくれ」と切望する。

 

 そこへ「よし。私が食べさせてやる」と、企業経営者のような、暴力団の大親分のような人間が現れる。

 

 そしてこの人物による厳しい統治と支配が行なわれる。これが国王である。

 

 今の大企業(中小企業も)のサラリーマンたちと、経営者の関係もこれだ。「自分と家族が生きてゆく給料さえ、きちんと払ってくれれば、あなたの言うことを聞いて働きますよ」だ。これが私がつくった「食べさせてくれ理論」だ。

 

2.ドドドと遊牧民が北方の大草原から攻め下る。そして低地(平地)に住む定住民(農耕民)の国に侵入し、占領支配する。

 

 50万頭ぐらいの馬や羊を引き連れて、このドドドと攻め下る遊牧民(騎馬隊)が世界史(人類史)をつくったのである。

 

 中国の歴代の王朝(帝国)は、このようにして「北方(あるいは西方からの)異民族」である遊牧民によってつくられた。これが私がつくった「ドドド史観」である。

 

 そして、日本はこの2000年間、中国文明(漢字の文明。黄河、長江〈揚子江とは言わない〉文明)の一部である。日本は、中国漢字文明の一部なのである。

 

 私がこれを書くと、嫌われるのは分かっている。しかし大きく考えると、どうしてもこうなる。

 

 中央アジアも、中東(アラブ、イスラム教世界)も、そして西洋(ゲルマン諸族という遊牧民の移動もその一つ)も、こうして「ドドドの遊牧民」によってつくられたのである。

 

 16世紀(1500年代)から海(船)の時代(大航海時代)が来て、それは終わった。

 

 西欧に近代が始まった。私たちはこれに支配された。だが圧倒的に強い西洋人のモダーン(近代)と言っても、たかが500年に過ぎない。そして現在に至る。

 

3.熱狂が人類史をつくる。あるとき、何だか分からないが、ドカーンと激しい熱狂が生まれて、多くの人が幻想に取りつかれて、その熱狂、熱病に罹る。それは地域を越えてワーッとものすごい速さで広がる。それが大宗教である。世界5大宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教、儒教)だ。

 

 人々は救済と理想社会の実現(顕現)を求めて、熱狂に取りつかれる。これで、大きな対外戦争までたくさん起きる。そしてそのあと、人間の救済はなくて、大きな幻滅が襲って来る。人間は、この大幻滅の中でのたうち回って苦しむ。人間(人類)の救済はないのである。

 

 人類の20世紀(1900年代)に現れた、共産主義(社会主義)という貧困者救済の大思想も、この熱狂である。人類の5大宗教とまったく同じである。この共産主義(社会主義)に、恐怖、反発して反共思想も生まれた。これも熱狂の亜種である。

 

 これが私がつくった「熱狂史観」である。

 

 私は、自分が20年前につくった、この「人類史の3つの性質」(史観)を土台にして、この本では、さらに次の4冊の大著に依った。

 

1.『第13支族』──“The Thirteenth Tribe, 1976”──アーサー・ケストラー著。

 

2.『幻想(想像)の共同体』──“Imagined Communities: Reflections on the Origin and Spread of Nationalism, 1983”──ベネディクト・アンダーソン著。

 

3.『ユダヤ人の発明』──“The Invention of the Jewish People, 2008”──シュロモー・サンド著。

 

4.『サピエンス(全史)』──“Sapiens: A Brief History of Humankind, 2014”──ユヴァル・ノア・ハラリ著。

 

 この4冊である。

 

 この近年(決して古い本ではない。すべて、最近の世界史の本だ)の優れた、かつ、世界中の優れた知識人、読書人層から注目されている4冊の大著から学び、使うことで、私はこの「世界史が簡潔に大きく分かる本」を補強した。

 

 私が何をもって、今の日本人にとって「世界史の大きな分かり方」とするか。さらには「これまでの定説がいくつも覆される」とするか。それは、この本を読んでくだされば分かる。

 

 ものごとは、大きく大きく、スッキリと分かることができなければ意味を持たない。大きな真実は小賢しい嘘と怯懦を、長々とこねくり回さない。巨大な真実をバーンとはっきり書かなければ、どうせ私たちの生活の役に立たない。

 

 私が、書名を『日本人が知らない真実の世界史』と銘打ったのは、前記4冊の本を使うことで、これまで私たちが習って(習わされて)教えられてきた「世界史の知識のたくさんのウソ」が大きく訂正、変更されるからだ。

 

「たくさんの定説が覆される!」と私が副題で明言したことが、決してただの宣伝文句や、虚仮おどしではないことが分かるだろう。こうやって、この30年間、ずっと停滞していた日本人の世界史理解が大きく前進するだろう。

 

 この他の文献(教科書)として、私が16歳の高校2年生のときから、読んで使ってきた、山川出版社の『高校世界史B』がある。ここに、日本人の世界史勉強の国民的共通理解の土台がある。それと中央公論社刊の『世界の歴史』(全16巻+別巻1。文庫版は全30巻。1960年から初刊。各巻の改訂版は1998年から。文庫版は2009年から)がある。これらが私の世界史理解の出発点である。

 

 この国民的知識の共通土台を大事にしながら、私たちは、次の新たなる最新の世界史(人類史)へと進んでゆかなければならない。その突破口に、この本は必ずなるだろう。

 

「はじめに」の後ろに、帝国─属国理論にもとづく「18の帝国がイスラエル=パレスチナを占領・支配した」の表を載せておく。随時、見返してほしい。

 

 2018年10月 副島隆彦

 

=====

 

『日本人が知らない真実の世界史』

 

もくじ

 

はじめに  世界の歴史が大きく分かる1

 

 

1部 副島隆彦が伝える世界史の「新発見」

 

●いくつもの定説が覆される26

 

●世界史を大きく理解する26

 

●捏造された旧約聖書と人類を不幸にした一神教32

 

言語と宗教は地域全体でつながっている32

三日月地帯に出現した特異な一神教37

ユダヤ人は「ユダヤ人によって、発明された」39

捏造された旧約聖書─アブラハムは存在しなかった42

士師とは、トランプ大統領のような指導者のこと45

旧約聖書が書かれたのは新約聖書のあと47

一神教が人類を不幸にした50

資本主義という宗教もやがては滅ぶ53

 

●チュルク人の大移動が世界史をつくった61

 

大草原の民・チュルク人の西方大移動61

東ローマ帝国の周りで生きてきた遊牧民・チュルク人(トルコ系)67

中国の歴代帝国もチュルク人がつくった71

中央アジア史を大きく理解する73

 

●カザール王国とノルマン人が西欧に打撃を与えた76

 

キリスト教は、本当は「ゼウス教」76

原始キリスト教団はエルサレムにいなかった78

ゲルマン民族を嫌った皇帝と教皇83

ヨーロッパ国家の始まりはみすぼらしい85

カザール王国を滅ぼしたノルマン人89

アシュケナージ・ユダヤ人とスファラディ・ユダヤ人96

マイモニデスとカバラー神秘主義100

すべての大宗教は2つの対立を抱え込んでいる102

 

●民族・宗教はすべて幻想の共同体だ105

 

ユダヤ教が成立したのはAD200年105

ラビたちは細々と研究をし続けた107

救済を説いたイスラム教の熱狂112

すべては幻想の共同体である116

聖典が出来た時に民族も出来る122

『共同幻想論』と『想像の共同体』は同じ124

アーサー・ケストラーの『第13支族』126

「インド=ヨーロッパ語族説」の害悪130

アーリア族などいない132

語族説を踏襲した映画『インディ・ジョーンズ』135

 

2部 古代オリエント─三日月地帯から世界史が分かる

 

●イスラエル=パレスチナが世界史の核心部140

  

属国として生き延びてきたイスラエル=パレスチナ140

肥沃な三日月地帯から古代の世界が見える145

人類の「食べさせてくれの法則」147

メソポタミアを征服したエジプト王151

ハンムラビ法典は歴史学の対象153

ヒッタイト帝国を滅ぼした「海の民」155

 

●モーセの出エジプトからユダヤ民族の歴史が始まった157

  

「出エジプト記」の真実157

モーセたちはエジプトの〝屯田兵〟だった160

発明された「ヤハウェ神がつくった民族」163

先住民・ペリシテ人が今のパレスチナ人165

ユダヤ人の起源は戦場商人167

ユダヤ人は都合が悪くなるとヤハウェ神を捨てた171

 

●消えた10支族と王の友になったユダヤ人174 

  

サウル王のとき、エルサレムを中心に定住174

ダビデとソロモンの栄華177

ユダヤ10支族はどこに消えたのか178

ネブカドネザル2世王とバビロン捕囚183

「王の友」となったユダヤ人王族たち186

アケメネス期ペルシアのバビロン征服とユダヤ民族解放188

バビロンに残った人たちがユダヤ教を守った189

ユダヤ人の「大離脱」はなかった195

 

●聖地エルサレムは3大宗教の争奪地帯197

  

強固な意志のユダヤ人とイスラム教化したパレスチナ人197

エルサレムを聖地にしようとしたイスラム教徒たち198

十字軍の侵攻は2文明間の衝突202

十字軍はアラブ世界への侵略戦争204

テンプル騎士団がフリーメイソンの原型206

ビザンツ帝国を滅ぼしたオスマン帝国の支配208

イスラエル建国とイスラム教徒になったパレスチナ人211

人類3200年の対立は続く212

 

3部 ギリシア・ローマ─アテネ壊滅とギリシアへの憧憬

 

●ギリシアとフェニキアは一心同体だった216

  

重なり合っているギリシアとフェニキアの植民地216

ギリシア人とフェニキア人の同盟219

戦争の本質は「余剰人間」の処分221

驚くほど豊かだったアテネ224

「世界史を貫く5つの正義」とは?227

ギリシア文明はフェニキアから始まった230

 

●アレクサンドロス大王の「世界征服」の事実233

 

ギリシア王となったマケドニア人のフィリポ2世233

世界の中心・バビロンを目指したアレクサンドロス大王236

10年間動き回ったアレクサンドロス大王239

世界史のウナギの目は中東世界243

 

●ローマ皇帝とは大勝を強いられる戦争屋246

 

ギリシア語が知識人、役人階級の共通語だった246

ギリシアに頭が上がらなかったローマ貴族249

カエサルと並んで行進したクレオパトラ252

〝ゼロ代皇帝〟カエサルは戦争屋254

ローマは帝国か、共和国か257

戦争で人間を皆殺しなどできない258

 

●ローマ人のアテネ破壊が西欧最大の恥部260

 

ローマ人がパルテノン神殿を壊した260

ギリシア文化をドロボーしたローマ人264

 

おわりに268

 

世界史年表24

 

=====

 

おわりに

 

 世界史の勉強が小さなブームになっている。

 

 中学、高校生だったとき以来、世界史の勉強のし直しなど普通の人はしない。みんな自分の人生(生活)の苦闘で精いっぱいだ。私たちは日々押し寄せる生活の荒波の中で、もがき、苦しんでいる。それでも、文化、教養を身に付けるために、私たちは世界史の知識を本から学び直すことは必要だ。

 

 歴史の勉強は奥が深い。と言ってしまえば、それで何か言った気になる。歴史は、過去の人間たちの恥多き過ちの蓄積、集成の記録である。

 

「ああ、あのとき、あんなこと(決断、判断)をしなければ、よかった。そうすれば私は生き延びていただろうに」と、敗北して殺されていった権力者たちは思うだろう。私たちの人生の悔悟と似ている。

 

 自分なりの世界史(人類史)の全体像を概観(アウトルック)する本を書こうと思い立ったのは、3年ぐらい前である。自分が16歳の時、山川出版社の『高校世界史B』の教科書で習って以来、自分の世界の歴史の知識を、私はずっと、自分なりに知識を増やし、組み立て直して、反芻して作り変えてきた。それをさらけ出して、世に問うべきだと考えた。

 

 自分自身の独自の世界史の本を書こうと発起したら、私の頭に天から多くのことが降ってきた。高校2年(16歳)で世界史を習った時以来、自分の頭の中にずっと在った多くの疑問が、なんとか解明された。私の疑問は、中学2年生(13歳)の社会科の授業の時から始まっていた。

 

 50年前の文部省検定済の社会科の教科書に、「現在の東欧(東ヨーロッパ諸国)はソビエト連邦の衛星国(サテライト・ステイト)である」と書いてあった。

 

 私は、教師に、「それでは、日本はアメリカの衛星国ではないのですか」と聞いた。教師はおどおどして私の質問に答えることはできなかった。

 

 この時から、私の頭の中で、「日本はアメリカの属国、従属国である」(『属国・日本論』 1997年刊)の萌芽があった。そしてそれから21年経ったこの本で、「世界史は、周りに従属国を従えた帝国と、別の帝国とのぶつかり合いだ」を描くことができた。

 50年間、自分がずっと考え込んで分からなかったこと(疑問点)を、この数年で調べ直すことが多かった。この本を書き上げてみたら、当初の目論見だった「世界史の勉強をし直しの本」では済まなかった。多くの疑問点が、この本を書くことで解明された。

 

 私は、「自分の思考に大きな枠組みを作ること」という言葉を大事にして長年、使ってきた。今回私は、世界(歴)史という既成の学問と出版分野の枠組みを企図せず使うことで、自分自身の「額縁ショー」を作ることができた。

 

 この本で、私は、世界で通用している最新の世界史知識をたくさん書いた。世界で認められている現在の超一流の歴史学者たちの知見を、日本に初めて体系的に初上陸させ、紹介することができた、と自負している。

 

 最後に。この本を完成するに当たって、日本文芸社の水波康編集長とグラマラス・ヒッピーズの山根裕之氏の多大な協力、ご支援をいただいた。水波氏が強く私の背中を押して強引に急かさなければ、この本は出来なかった。記して感謝します。

 

 2018年10月_副島隆彦 

 

(貼り付け終わり)

 

よろしくお願いいたします。

 

nihonjingashiranaishinjitsunosekaishi001
日本人が知らない 真実の世界史


(終わり)

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 古村治彦です。

 

 今年も残り2カ月半というところになってきました。今年6月にシンガポールで、初の米朝首脳会談が開催され、ドナルド・トランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長が握手をし、直接話をするという歴史的な出来事がありました。その後、共同宣言が発表され、朝鮮半島の非核化が進むかと思われましたが、その後、米朝交渉は停滞気味のようです。

 

 先月、アメリカ政府は、スティーヴン・ビーガンという人物を国務省の対北朝鮮特別代表に任命しました。米朝交渉を実質的に取り仕切ることになりました。ビーガンについては、本ブログでいち早くご紹介しました。ビーガンについては、共和党系の外交政策分野の人材であり、ヨーロッパとロシアを専門としている人物であることをご紹介し、ビーガンの説く米代表就任は、北朝鮮問題に関して、アメリカがロシアを巻き込むことを意図しているとブログの記事で私は書きました。

stephenbiegun001
スティーヴン・ビーガン


 実際、ビーガンは2018年10月16日にロシアの首都モスクワを訪問し、ロシア政府関係者と北朝鮮問題について協議しています。以下に記事を貼り付けます。

 

(貼り付けはじめ)

 

米の特別代表がロシア訪問 北朝鮮への働きかけ協議か

20181016 2057

 

2回目の米朝首脳会談に向けてアメリカ政府で実務レベルの協議を担うビーガン特別代表がロシアのモスクワを訪れ、16日、モルグロフ外務次官と協議しました。北朝鮮の非核化をめぐって働きかけを強めるようロシアに求めたとみられます。

 

アメリカ政府で北朝鮮問題を担当するビーガン特別代表は16日、モスクワを訪れて、ロシア外務省のモルグロフ次官と協議し、ロシア外務省は協議のあと、「核を含めた問題の政治的、外交的な解決に向けて努力していくことで一致した」と発表しました。

 

ビーガン特別代表は、今月、アメリカのポンペイオ国務長官とともに北朝鮮を訪問し、2回目の米朝首脳会談の早期開催に向けて実務レベルの協議を進めることでキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長との間で合意しました。

 

ただ、朝鮮戦争の終戦宣言を要求する北朝鮮と、非核化に向けた北朝鮮の具体的な措置が先だとするアメリカとの立場の隔たりは埋まっておらず、実務レベルの協議を担うビーガン特別代表としてはモルグロフ次官に対し、非核化をめぐって北朝鮮への働きかけを強めるよう求めたとみられます。

 

ビーガン特別代表は、このあとフランスのパリ、ベルギーのブリュッセルを訪れ北朝鮮問題について関係者と協議する見通しです。

 

(貼り付け終わり)

 

※2018年9月4日付記事「米朝交渉は停滞気味のようだ」でご紹介しております。↓

http://suinikki.blog.jp/archives/76831743.htmlからどうぞ。


 米朝直接交渉はあまり進展が見られません。北朝鮮はこれまでもアメリカとの交渉ではあの手この手で中身を骨抜きにしたり、思い切って合意を破ったりで、アメリカ側を翻弄してきました。そのために経済制裁を科されることにもなりましたが、中国とロシアという後ろ盾があり、これまである意味ではうまく生き残ってきました。そのために、国民に大きな被害が出ていることをかんがえると、うまくという言葉は適切ではありませんが。

 

 そうした中で、北朝鮮に一定程度影響力を持つロシアを巻き込んでの問題解決ということになり、ビーガンに白羽の矢が立ったということになるのでしょう。以下に紹介する記事は、ビーガンの特別代表就任について書かれたものです。その中で、ビーガンはヴェテランで、特別代表に適任だが、北朝鮮との交渉の経験がないこと、そして、トランプ大統領が移り気で首尾一貫していないので、トランプ大統領に振り回されるであろうことを不安材料に挙げています。

 

 今後、北朝鮮問題がどのように動いていくか、注目されます。

 

(貼り付けはじめ)

 

ポンぺオの新しい対北朝鮮特別代表は外交上の地雷原に勇躍攻撃を仕掛ける(Pompeo’s New North Korea Envoy Wades Into Diplomatic Minefield

―スティーヴン・ビーガンは対北朝鮮特別代表に適任だと多くの人が考えている。しかし、Stephen Biegun is widely considered a great pick for the job. But it may be an impossible task in the first place.

 

ロビー・グラマー筆

2018年9月25日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2018/09/25/north-korea-mike-pompeo-stephen-steve-biegun-state-department-trump-kim-jong-un-diplomacy-nuclear-negotiations-united-nations-general-assembly/

 

就任してから1カ月、トランプ政権における対北朝鮮政策におけるキーマンであるスティーヴン・ビーガンは、北朝鮮の指導者金正恩委員長とアメリカのドナルド・トランプ大統領との間の2度目の首脳会談実現に向けた、彼にとっての最初の試練に直面している。

 

マイク・ポンぺオ国務長官は今週の国連総会において、トランプ大統領と金委員長との間の2度目の首脳会談の地ならしを行っていると明言した。

 

ビーガンは国務省の北朝鮮に対する特別代表に新たに就任した。第2回目の米朝首脳会談が実現する場合、ビーガンはこの動きの中心的役割を果たすことになるだろう。ビーガンは、ジョージ・W・ブッシュ政権で働いた経験を持つ。この時に世界で最も手ごわい、経験と知識を持つ交渉者を相手に交渉をしていた。北朝鮮はこれまで数十年間にわたり、アメリカの平和と核を巡る交渉の邪魔をしてきた。そうした北朝鮮の現体制を維持することを至上命題にしている高官たちに対してはビーガンの対北朝鮮特別代表就任は大きな負担となるだろう。

 

同時に、ビーガンは、北朝鮮問題に取り組みたいと考えているトランプ大統領の矛盾したメッセージやころころと変更される目標をうまく誘導しなければならない。今週ニューヨークで開催された国連総会において、トランプは金委員長の「勇気」に感謝し、米朝両首脳が近々再び会談を行うと示唆しつつ、北朝鮮は非核化に向けて「大きな進歩」を遂げていると発言した。しかし、多くの専門家たちは、金委員長はこれまでに重要なことは何も放棄していないということに同意している。

 

これら2つの挑戦はビーガンの任命が抱えるパラドックスを浮き彫りにしている。ビーガンは適格だと多くの人々は評価しているが、ビーガンの任務の遂行は不可能ではないかという懸念も出ている。

 

ポンぺオは、先月、ビーガンをフォード社から引き抜いた。そして、アメリカの外交政策において最も厳しい挑戦に対する責任を与えることになった。この挑戦は大統領が個人的に重視しているものだ。ビーガンは、フォード社に入社する前に、連邦議会のスタッフとして15年間、外交政策に関して専門性を涵養していた。ビーガンの任命に対して、共和党の外交政策専門家たちの間からは、適任だという好意的評価が出ている。

 

しかし、ビーガンを称賛している専門家や元政権幹部たちは、ビーガンの任務は最初からつまずくだろうとも述べている。トランプは6月にシンガポールで行われた金委員長との首脳会談において、何も具体的なことは決まっていない段階においてツイッター上で勝利宣言をしてしまった。この後では特別代表の任務は難しいものになると専門家たちは述べている。「北朝鮮からの核の脅威はもはや存在しない」とトランプはツイッター上で明言した。

 

ジョージタウン大学所属のアジア専門家ヴィクター・チャは、次のように語っている。ちなみにチャはトランプ政権の駐韓米国大使になると目された人物だ。「トランプ政権において北朝鮮との交渉者になることは困難なことである。交渉者はトランプ大統領が既に獲得したと宣言したものを獲得するために交渉を行わねばならない立場に追い込まれる。このような立場に追い込まれるのは喜ばしいことではない」。

 

ジョージ・W・ブッシュ政権の国家安全保障会議(NSC)に勤務したピーター・フィーヴァーは次のように述べた。「北朝鮮に対しては民主党も共和党も25年にわたって失敗を重ねてきた。従って、誰がやっても北朝鮮との交渉を妥結させることはできないのではないかと考えている。しかし、私は同時に、ビーガンは少なくとも北朝鮮に騙されることはないと断言できる」。

 

今回の記事を書くにあたり、ビーガンへのインタヴューを国務省に申請したが、却下された。報道担当官はまた、今秋国連において、ポンぺオとビーガンが北朝鮮の担当者と面会するのかどうかについてコメントを拒否した。「国務省には発表すべき新たな会談の予定はない」とだけ発表した。

 

本紙では10名を超える現職、元職の外交政策に関係する政権関係者に取材を行った。彼らは、ビーガンについて、複雑な外交政策の様々な問題に対処してきた経験を持つと称賛している。1990年代、ビーガンはジェシー・ヘルムズ連邦上院議員の上級顧問を務めた。当時、ヘルムズ議員は連邦上院外交委員会委員長を務めていた。この時、ビーガンは裏方として、冷戦期にワルシャワ条約機構に加盟し、西側と敵対していた東欧諸国をNATOに加盟させてNATOの規模を拡大させるという計画を立案し、成功させた。この作業には、保守的なタカ派の人々をクリントン政権に協力させることが必要不可欠であった。また、NATOの加盟国増大に関してはアメリカ連邦上院の承認が必要であった。

 

ブッシュ政権において国防総省に勤務し、連邦上院に属するビーガンと一緒に仕事をした経験を持つイアン・ブレジンスキーは「ビーガンがNATOの拡大において極めて重要な役割を果たした」と語っている。ブレジンスキーは更に、ビーガンは当時の連邦議会のタカ派的な考えを、具体的な、実現可能な法律にするために役割を果たしたと述べた。この法律によって、NATOの地図は書き換えられることになった。

 

それから数年後、ビーガンは、国家安全保障会議(NSC)の上級秘書としてホワイトハウスに勤務し、2002年にブッシュ政権が発表した「国家安全保障戦略(NSS)」の策定において中心的な役割を担った。国家安全保障戦略の策定は数カ月にも及ぶ苦行であった。それぞれ異なった目的を持つ官僚や政府機関を説得し、最終的に、大統領の考えを反映させた一つの文書に落とし込み、それに同意させるということは困難な任務であった。

 

ブッシュ大統領の国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めたスティーヴン・ハドリーは、ビーガンはこれまでの経験を対北朝鮮特別代表という新たな任務に活かすことが出来ると述べた。

 

ハドリーは本紙の電話取材に対して次のように述べた。「ビーガンのこれまでの経験と知識は対北朝鮮特別代表という任務にとって適したものだと考えている。アジア地域の政治、核拡散問題、北朝鮮問題についても理解している。ビーガンはポンぺオ国務長官とトランプ大統領を助けて、対北朝鮮政策全体をうまく構築することが出来るだろう」。

 

それでも、ビーガンはヨーロッパとロシアの専門家であって、北朝鮮との交渉では経験したことのない言葉遣いや複雑さにぶつかることだろう。北朝鮮との交渉では進展や成果は幻のように消え去ってしまう可能性もある。北朝鮮の交渉者たち、特にヴェテランの交渉者たちは、交渉の文書の中の一つの単語、一つの文を動かして、妥協を台無しにしてきた。

 

CIAに勤務した経験を持ち、現在はブルッキングス研究所上級研究員を務めるジュン・パクは、ビーガンの北朝鮮に関する知識や経験不足は「諸刃の剣」となると指摘する。パクは、次のように指摘する。「北朝鮮問題にかかわってこなかった人々は、北朝鮮問題解決のための“斬新な”考えを持つことができる。彼らは歴史を振り返ることで苦境に陥るというようなこともないだろう。また、北朝鮮との交渉で苦渋を飲まされてきたという経験に束縛されることもないだろう」。

 

パクは続けて、「しかし、こうした長所に、彼らの短所も潜んでいる。深い歴史的な背景が必要な場面が出てくるが、経験がない人々にはそれがない」とも述べている。

 

ビーガンは外交上の二正面作戦を行わなければならないだろう。一方は対北朝鮮、一方は対ワシントン(トランプ政権)である。

 

トランプ大統領は米朝首脳会談直後に北朝鮮が核兵器放棄を約束したと喧伝したが、北朝鮮政府は核兵器保有にこだわり、交渉を長引かせようとしている。ジーナ・ハスペルCIA長官は月曜日、珍しく公の場で発言し、その中で、北朝鮮が核兵器を放棄するのかどうか疑念を持っていると述べた。しかし同時に、米朝関係は、トランプ大統領による金委員長に対する働きかけによって、1年前に比べて格段に改善していると持述べた。

 

ポンぺオ自身は、今年6月に訪朝して、北朝鮮の高官たちがどれほど掴みどころもなく、予測不可能な動きをするのかを実感したはずだ。この時の訪朝では、金正恩はポンぺオと会談を持つことを拒絶することで、ポンぺオを鼻であしらった。そして、その直後に発表した声明では、ポンぺオが行った様々な要求は「ギャングが行うような」内容であったと批判したのだ。

 

ここでビーガンの経験と才能が必要となる。ビーガンはワシントンにおいては尊敬を集めているが、大統領から権限を与えられた特別代表として北朝鮮がきちんと対応するのか、アメリカ側からのこれまでは別の邪魔が出てくるのかということは明確になっていない。こうした障害のために、北朝鮮側はトランプ自身と意思を確認するために苦闘することになる。

 

CIA朝鮮半島担当部門の次長を務め、ワシントンに本部を置くシンクタンクであるヘリテージ財団に在籍するブルース・クリングナーは次のように述べている。「ポンぺオが金正恩と会談を持つことや交渉の進展をもたらすことに苦労しているのなら、それよりも低い地位の官僚たちが大統領の意向を受けて交渉に行って、何か成果を上げることが出来るのだろうか?」

 

北朝鮮の指導者として初めてアメリカ大統領と一対一の首脳会談を行った金正恩は、トランプとだけしか話したくないのだ。北朝鮮政府は巧妙にトランプを批判することを避けている。ワシントンの国家安全保障問題の専門家たちを攻撃しながら、トランプ大統領を称賛するような発表を行っている。

 

ビーガンはトランプ大統領の気まぐれな政策と格闘しなければならなくなるだろう。トランプは北朝鮮政府を戦争で脅迫していたが、それが金正恩を称賛するようになり、それからも戦争と称賛の間の複雑なメッセージを次々と発してきた。

 

シンガポールでの首脳会談の後、トランプ大統領は一方的に、米軍の韓国軍との共同軍事演習を延期すると発表し、共同宣言を発表したが、専門家たちは中身が曖昧過ぎて本当の進展を明確にすることはできないと評価する内容であった。ビーガンが特別代表に任命された後の今年8月、トランプ大統領は突然、ポンぺオとビーガンによる包丁を中止すると発表した。その理由として、交渉での進展がなかったことが挙げられた。

 

一方、ポンぺオ国務長官は先週、北朝鮮と韓国との対話を取り上げながら、非核化に向けた交渉はトランプ政権の第一期目の任期が終わるまでには終了することになるだろうと述べた。しかし、ポンぺオは月曜日には、自身の発言内容から後退する発言を行った。ニューヨークで開催された国連総会の記者会見で、交渉に期限を区切るというのは「馬鹿げた」ことだと発言した。

 

ブルッキングス研究所のパクは、「トランプ政権からは複雑で事実が歪曲されたメッセージが多数発信されている」と述べている。

 

このような批判に対して、国務省の報道担当官はEメールで次のように発言している。「私たちは完全に証明される非核化を望んでいる。大統領は北朝鮮が最終的に完全に非核化され、核兵器が再び問題にならないようにしたいと望んでいる」。

 

トランプと金正恩が再び会談を持ち、別の合意に達することがある場合、トランプ大統領は合意内容を具体化できる有能な高官を必要とし、ビーガンはその任務にふさわしいと複数の専門家たちが口を揃えている。しかし、トランプと側近たちが最終的なものだと発表する合意内容は多くの北朝鮮専門家たちを苛立たせるものとなるだろう。

 

ジョージタウン大学のヴィクター・チャは次のように述べている。「トランプと金正恩は合意に達することはできると思う。しかし、問題は、その合意が素晴らしい合意か、悪い合意か、嘘の合意か、ということだ」。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 今回は、中国が文化外交の一環として、中国への留学生増加を図っている、一方で、アメリカは留学生のための予算を削減しているという内容の記事をご紹介します。

 

 戦後、冷戦期、自由主義国ではアメリカ留学、共産主義国ではソ連留学がエリートへの近道でした。アメリカやソ連で最新の学問を学び、同時に人脈を作り、価値観や思想を習得して、母国に帰り、政治、経済、学術などの分野で偉くなる、と言うのがどこの国にもあった出世物語です。

 

 日本でも戦後、フルブライト奨学金を得て、アメリカに留学することはエリートへの近道でした。日本は皆が貧しくて御飯を食べるのが精一杯、という時代に、毎日ステーキを食べ、蛇口をひねればお湯が出るという夢の国アメリカに優秀な若者たちが渡っていきました。日本からのアメリカへの留学生は1990年代後半には3万人を超えましたが、現在までに数を減らし、現在は1万5000人程度にまでなってしまっています。

 

 冷戦期、アメリカは各国の優秀な学生たちを生活費まで保証する奨学金付きでアメリカの大学で学ばせました。そうすることで、親米的なエリート層を形成するという目的がありました。その当時、ソ連の成功で光り輝いていた社会主義計画経済に対抗するための、「近代化理論」の実践のための人材として活用しようと考えていました。アメリカからの資金や技術の援助、そして人材育成によって、発展途上国を近代化し、経済成長させようとしました。

 

しかし、その試みは多くの場合、それぞれの国の事情を無視して行われ、アメリカからの資金援助は有効に使われず、アメリカで博士号を取得したような人材も母国に帰っても働き口がなく、タクシー運転手になるしかないというような状況を生み出しました。

 

 アメリカでは留学生に対する奨学金の予算を削減しています。それに対して、中国はアジアやアフリカの発展途上国、また、一帯一路計画の参加国からの留学生を増やそうと様々な試みを行っています。その成果として中国への留学生が増加しています。今なら、中国に留学して学問を学び、人脈などを広げておけば、母国に帰った時に中国関係の仕事に就くことができるということもあり、その数はどんどん増えているようです。

 

 昔から遅れた国は進んだ国に若者を送り、学問や技術を学ばせてきました。日本でも、遣唐使と一緒に留学生や留学僧を派遣し、勉強させていました。帝国には最新の知識や情報、思想が生まれ、集まります。中国も1970年代末に改革開放を打ち出してから、アメリカに多くの優秀な若者を送り、勉強させてきました。そして、その成果を利用して、現在のように経済発展を遂げてきました。そして、中国がアメリカに追いつき追い越し、世界の中心、世界帝国になるという話が現実味を帯びるまでになってきました。

 

 アメリカの留学生に対する奨学金削減と中国の留学生誘致という現象は、帝国の交代ということを印象付けるものとなっています。

 

(貼り付けはじめ)

 

スタンフォードのことは忘れて、清華に招かれる(Forget Stanford, Tsinghua Beckons

―アメリカは、アフリカとアジア諸国からの留学生を中国に取られている

 

チェン・リー、シャーロット・ヤン筆

2018年10月2日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2018/10/02/forget-stanford-tsinghua-beckons/

 

 

最近中国で放映されたあるテレビ番組の中で、ケニア人の学生たちが中国語で書かれた指示が掲示されている教室の中で、教授の話を聞いている様子が流された。この学生たちはナイロビではなく、中国の最高峰の大学である北京大学で勉強している。ケニア人の学生たちは、自分たちが母国では得られない教育の機会を中国が生活費まで含めた奨学金を支給することで与えてくれたこと、彼らは母国に帰って母国を豊かにするための技術の習得を行うつもりだということを話していた。

 

中国は留学生に対する恩恵をもたらす動きを加速させている。太平洋の反対側に位置する国アメリカは、長年にわたり、世界中で最も賢く、好奇心溢れる学生たちを惹きつけ、留学させてきた。そのアメリカでは中国とは反対の動きが起きている。様々な政策や行動を通じて、トランプ政権は外国の学生たちがアメリカを敬遠するように仕向けている。トランプ政権のスティーヴン・ミラーが進めた留学生数の制限によって、中国からアメリカへの留学生も減少している。中国はこのアメリカで加速している動きを、アメリカとの間にある差を埋める機会だと捉えている。アフリカとアジアの国々において、この変化は既に影響を及ぼしている。外国人学生がアメリカではなく、中国の大学を留学先に選ぶようになっており、これはアメリカのソフトパワーを構成する重要な要素が消え去る危機に瀕していることを示している。

 

高等教育ということになれば、アメリカは今でも世界の中心ということになる。2016年、100万人以上の留学生がアメリカの大学に在籍していた。一方、中国の大学には50万人弱であった。

 

しかし、中国はアフリカとアジア諸国の学生たちにアプローチをしている。特に発展途上の国々で、中国との経済関係を深めている国々へのアプローチを強め、それに成功している。2016年の段階で、60以上のアフリカとアジアの国々がアメリカに向けてよりも中国に向けてより多くの学生を送っていた。その具体例としてラオスを挙げる。ラオスは、中国に9907名の学生を送り出し、アメリカにはわずか91名であった。米中間の大きな差は次の国々でも起きている。アルジェリア、モンゴル、カザフスタン、ザンビアは中国に送り出した学生数がアメリカへの学生数の5倍以上となっている。2014年以降、中国に留学したあふふぃか諸国の学生数の総数はアメリカに向かった学生数の総数を超えた。2016年、中国で6万人以上のアフリカからの留学生が勉強していたが、2000年の時と比べてその数は44倍となっている。

 

同時に、中国は、国際的な高等教育システムの拡大を図っている。一方、アメリカ政府は国際的な高等教育システムへの財政的関与を縮小している。フルブライト奨学金プログラムは1946年以降、アメリカの文化外交の象徴となってきたが、オバマ政権下から、予算削減に直面している。アメリカ政府が資金を出しているこのプログラムの参加者たちは、後に世界中の国々の学術、政治、シンクタンク、ジャーナリズム、芸術、ビジネスの分野で重要な地位を占めるようになっている。このような輝かしい歴史と成果があるにもかかわらず、トランプ政権は、2019年度の予算計画では71%の予算削減を求めている。

 

アメリカ各地の公立大学は政府からの財政支援削減に直面している。そのために学費の値上がりと教育の質の低下を招いている。2005年から2015年の間に、公立の教育機関での学部教育の学費は34%も値上がりし、私立の教育機関でも26%も値上がりしている。

 

アメリカ人学生のための学費を低い水準に維持するために、多くの大学ではより高い学費を支払える留学生の獲得を目指している。留学生の入学者数の合計は増加しているが、留学生は上流、中流階級出身者に集中するようになっている。これは、中国がターゲットにしているより貧しい国々を見落とすようになっている。2016年から2017年の学事暦において、アメリカの大学に留学している100万の学生のうちほぼ半数は中国とインドからの学生であった。これら2か国を除くと、韓国とサウジアラビアからの学生が多いが、アメリカへの留学生の総数に占める割合が3%以上を占める国はどこにもない。

 

●中国とアメリカのアフリカ・アジア諸国の大学在籍者数

 

STUDENT COUNTRY OF ORIGIN            CHINA    UNITED STATES

Algeria                   992         192

Cambodia                         2,250        512

Indonesia             1           4,714      8,776

Kazakhstan                    13,996         1,792

Kyrgyzstan                     3,247           216

Laos                       9,907           91

Mongolia                         8,508          1,410

Tajikistan                        2,606           204

Tanzania                                                       3,520            811

Thailand                                                 23,044           6,893

Zambia                                                3,428          469

Source: Open Doors 2017, Institute of International Education; International Students in China, 2011-2016, China Power Project, Center for Strategic & International Studies.

 

アメリカにおける学費のコストは上昇し、留学生に対する奨学金の枠が制限されるようになっている。そのために、アメリカの教育システムは、世界の多くの国々の学生たちにとって利用不可能なものとなっている。カナダとオーストラリアは労働ヴィザの制限を緩和し、学費も低く抑えている。しかし、低所得、中間レヴェルの所得の国々からの学生たちにとってはこれら2か国への留学も難しい。対照的に、中国は、アジアとアフリカ諸国からの留学生を惹きつけるための政策と財政援助策を拡大している。

 

中国は高等教育における機会の提供を拡大するための様々な政策を採用している。特に、中国が貿易関係や外交関係を深めつつある地域からの留学生を惹きつけることに注力している。2003年から2016年にかけて、タイ、ラオス、パキスタン、ロシアからの留学生数は10倍以上になっている。中国の一帯一路計画の重要な対象国であるカザフスタンからの高等教育への留学生は65倍に急増している。

 

過去10年、中国は高等教育システムの質を改善することに注力してきた。当時に、留学生に対する政府資金による奨学金を拡大してきた。2017年、留学生の9人に1人は中国政府からの奨学金を得ていた。2000年から2017年にかけて、助成金・補助金の受給者数の総数はほぼ11倍に増えている。英語で授業を行う大学の数は拡大しているし、教育と研究の質を改善するために努力を続けている。中国は、アフリカとアジア諸国に対する貿易とインフラ整備プロジェクトを拡大させている。中国の教育の価値はこれらの国々で上昇している。学生たちは中国に留学し、帰国後に中国に関連した仕事に就くことを求めている。

 

●中国政への留学生の資金種別

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ここ数年、中国政府は一帯一路計画に参加している国々からの学生たち向けの政府が資金を出す奨学金プログラムを拡大させている。2016年に中国政府の奨学金プログラムを受けた留学生の出身国10か国のうち、8か国は一帯一路計画の参加国である。中国政府は、一帯一路計画の参加国だけに向けた様々な教育プロジェクトを実施している。中国政府は名門大学である中国人民大学に付属の「シルクロード・スクール」を発足させた。この学校には一帯一路計画の参加国の学生たちが今年の9月に入学した。この学校の中国政治、経済、文化を学ぶ修士課程に入学する学生たちすべてに学費と生活費をカヴァーできる奨学金を支給することになる。

 

奨学金を得て中国の大学で学位を得ることよりも、自由主義的価値観と政治的な開放性を持つアメリカの大学に行くことの方に魅力を感じる学生がいるのは当然のことだ。ここ数年、中国の大学で、学問の自由が制限されるケースも出ている。しかし、多くの学生たちにとっては、アメリカの価値観や理想は、中国における高等教育よりも魅力的という訳にはいかない。奨学金が充実しているということもあるし、帰国後に中国関連の職に就けるということも大きな魅力になっている。

 

文化外交の一形態として、教育が外交関係に果たす役割について、中国政府の幹部たちは楽観的な考えを持っている。ある程度、中国はアメリカが撤退しつつある道を進もうとしている。これまでの数十年、特に冷戦期、アメリカの指導者たちは留学生に対する教育、特に将来の指導者に対する教育は、アメリカの価値観を拡散し、革命を伴わない平和的な進化を促進し、他国の発展に対して影響を与えるための有効な手段だと考えていた。しかし、アメリカで学んだ留学生たちが必ずしもアメリカの価値観や理想に対して忠実ではないということが分かり、アメリカの教育における関与は成功とも失敗とも言えないということになり、留学生を通じて世界に影響を与えるという政策に対する信頼は消えつつある。アメリカにおいてポピュリズムが勃興しているが、指導者たちは文化外交よりも国内政策を重視するようになっている。

 

教育に影響を与えるということはゆっくりとしたプロセスであり、教育システムは特にゆっくりとしか変化しない。これからしばらくは、アメリカは高等教育における国際的な基準となり続けるだろう。自由な学問研究と独立した思考、革新的な研究、最新の技術がアメリカの高等教育の長所であり、世界中の羨望の的だ。しかし、アメリカのソフトパワーのレヴェルはアフリカとアジアの発展途上国にどれほど基盤を持てるか、特にそれらの国々に対して、アメリカが教育面で支援をできるかにかかっている。アメリカが外国の学生たちに教育の機会を与える力を失いつつあり、そのために、アメリカが彼らに影響を与える機会もなくなるであろう。経済成長が著しい中国が教育の機会を与えることで、アメリカと張り合っている中で、それに負ければ、アメリカの影響力は減退するだろう。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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