古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

2019年02月

 古村治彦です。

 

 南米大陸の北に位置するヴェネズエラは、ウーゴ・チャベス前大統領から引き継いだニコラス・マドゥロ現大統領が反米路線、社会主義を前政権に引き続いて採用しています。ヴェネズエラは豊富な石油埋蔵量に恵まれていますが、現在は経済状態が悪く、チャベス政権から続く路線に対する批判が国内にもあります。


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ニコラス・マドゥロ

 

 アメリカの一部、共和党内のネオコン派と民主党内の人道的介入主義派としては、チャベス政権以来、ヴェネズエラの独裁政権を転覆させたい、というのが悲願になっています。自分たちの裏庭である中南米で、アメリカに逆らう、社会主義政権(これを独裁政権とレッテル貼りしています)を打倒したい、ということになります。


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フアン・グアイド

 

 ヴェネズエラでは反体制派の指導者であるフアン・グアイド(アメリカのワシントンDCにあるジョージワシントン大学卒業)が暫定大統領である、とアメリカをはじめ先進諸国が認め、分裂状態になっています。これは、アメリカお得意の「民主化(democratization)」「政権、政体の変更(regime change)」であり、「非民主的な政権の打倒(breakdown of nondemocratic regime)」から「民主政治への移行(democratic transition)」です。



 

 マドゥロ大統領はアメリカのABCテレビとの単独インタヴューに応じ、その中で、「トランプ大統領を取り巻いて助言をしている中に悪い人間たちがいる」と述べ、4名の名前を挙げました。ジョン・ボルトン国家安全保障問題担当大統領補佐官、エリオット・エイブラムス国務省ヴェネズエラ問題担当特別代表、マイク・ポンぺオ国務長官、マイク・ペンス副大統領です。この4人組はネオコン派です。

 

 マドゥロ大統領は、トランプ大統領を非難するのではなく、トランプ大統領の周りにいるネオコン派が悪いのだ(彼らを周囲に置くという決定はトランプ大統領がしているのですが)、ということで、トランプ大統領と彼を選んだアメリカ国民を責めてはいないという論法です。

 

 トランプ大統領は政府機能一時閉鎖、それを引き起こした国境の壁建設予算要求、一般教書演説の遅れての実施、更には国家非常事態宣言、ロシアゲート疑惑と国内では厳しい問題を抱えています。そこで外交に目を向け、そこで得点をすると考えるのは自然です。

 

 しかし、北朝鮮との非核化交渉は進展せず、中国との貿易交渉もうまくいかない(期限を延長しました)、となると、ヴェネズエラ問題は超党派で支持を得やすい問題となります。

 

 ボルトンは記者たちの取材を受ける際に、わざとらくしメモパッドに「ヴェネズエラにアメリカ軍5000名を送る」と書いて、それを写真に撮影させました。そうやって脅しをかけています。

 

 ヴェネズエラでマドゥロ大統領を追い落とし、アメリカの息がかかったグアイドを大統領に据えて、親米国にしてしまう、というのは甘美なシナリオに見えるでしょう。しかし、アラブの春の失敗、イラクやアフガニスタンでの状況などを批判して大統領になったトランプ大統領が、このシナリオに乗ってヴェネズエラに介入するのは危険であり、アメリカとヴェネズエラにとって不幸です。

 

(貼り付けはじめ)

 

ヴェネズエラのマドゥロ大統領は、トランプ大統領を取り巻く「悪い」人々を恐れていると発言(Venezuela's Maduro says he fears 'bad' people around Trump

 

タル・アクセルロッド筆

2019年2月26日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/latino/431751-venezuelas-maduro-says-he-fears-bad-people-around-trump

 

ヴェネズエラ大統領ニコラス・マドゥロは、トランプ大統領は「悪い」政治高官たちに取り囲まれている、この人物たちがヴェネズエラ国内の政治上、人道上の危機が起きている間に、トランプ大統領に助言を行っている、と発言した。

 

マドゥロはABCとの独占インタヴューの中で、「私は彼の周囲にいる人々に危険を感じている」と述べた。

 

マドゥロは次のように述べた。「トランプ大統領を取り巻きヴェネズエラ政治について彼に助言を行っているこれらの人々は悪い人間たちだと思う。トランプ大統領は“待て待て、ヴェネズエラの立場に立って何が起きているかを見守らねばならない”と注意をしなければならない。そして彼の政治姿勢を変更しなければならない」。

 

トランプ政権は、マドゥロを辞任させ、アメリカとその他の大国がヴェネズエラの暫定大統領として認めた反対勢力の指導者フアン・グアイドに権力を掌握させるために経済制裁を強めた。マドゥロの発言はこのアメリカ政府の決定の翌日に行われた。今年初め、マドゥロは第2期目の大統領(任期は6年間)就任の宣誓を行ったが、アメリカはマドゥロが当選した選挙結果は正当ではない、無効だと宣言した。

 

路上における暴力的なデモに発展したヴェネズエラの指導者の地位をめぐる戦いについて、ホワイトハウスは平和的な解決を求めた。しかしながら、トランプ大統領はマドゥロを権力の座から追放するために軍事力を行使するという手段を選択肢から除外していない。

 

マドゥロは、トランプ政権の幹部たちの名前を挙げ、この人々がトランプ大統領に誤った助言を行っていると非難した。マドゥロは国家安全保障問題担当大統領補佐官ジョン・ボルトン、国務省のヴェネズエラ問題のキーパーソン(訳者註:ヴェネズエラ問題担当特別代表)であるエリオット・エイブラムス、前CIA長官で現在は国務長官を務めるマイク・ポンぺオ、副大統領マイク・ペンスの名前を挙げた。

 

「ジョン・ボルトンは過激派で冷戦の専門家だ。エリオット・エイブラムスは嘘つきで中央アメリカと世界を舞台にして武器と麻薬の密輸を行い、アメリカに戦争をもたらした。私はマイク・ポンぺオを恐れている。CIAの工作員で、冷戦時代から続く伝統的な諜報活動のやり方を時代遅れのものにした。私はマイク・ペンスを恐れている。世界政治の何たるかを知らず、ラテンアメリカ政治について全くの無知だ」。

 

マドゥロは辞任する意思など全くないとし、自分はヴェネズエラ軍を監督下に置いていると述べた。軍隊の掌握は指導者の地位をめぐる戦いにとって重要な要素となる。国際社会との関係断絶の規模が拡大する中で、ヴェネズエラ国内で正式に指導者の地位を守るためには軍隊の掌握が不可欠となる。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)



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 古村治彦です。

 

 いよいよ本日2019年2月27日から明日にかけて、ヴェトナムのハノイでドナルド・トランプ米大統領と金正恩北朝鮮国務委員会委員長との2度目の首脳会談が行われます。何か具体的な成果、非核化に向けたロードマップが出るのかどうか不明ですが、期待は低いものです。ただ、こうして首脳会談が継続されているということは、その間は何事も起きない、というだけのことですが、それが重要なのでしょう。

 

 北朝鮮の後ろには中国、更にはロシアがいるのですから、北朝鮮としては強気で出られますし、できるだけたくさんの好条件を獲得しようと駆け引きをしてくる、アメリカは攻撃をしないということを言ってしまっているので、なかなかうまくいかないということになります。トランプ大統領はWTOやNAFTAに関して、アメリカの交渉者たちが全くダメだったと批判してきましたが、アメリカは超大国であるがゆえに、交渉がうまくいかないということもあるのでしょう。

 

 トランプ大統領は中国との交渉と同意の期限を3月1日にまでとし、それ以降は中国からの輸入品にかける関税率を10%から25%に引き上げるとしていましたが、この期限を延長しました。関税率を引き上げれば必然的に、中国からの輸入品を使ったアメリカで販売される物品の価格は上がります。そうなれば企業の売り上げは落ちるでしょうし、人々の不満が大きくなります。物価が上がらずに給料だけが上がる、物価上昇率よりも狭量の増加率の方が高い、というのが理想ですが、そうはうまくはいきません。

 

 中国との貿易戦争は、1980年代の日本との貿易戦争の時のようにはうまくいきません。アメリカの属国である日本との貿易戦争は言ってみれば、最後は恫喝で解決が出来るものでしたが、中国に対しては、恫喝など効果はありません。

 

 そうなると、アメリカにとって麻薬のような奥の手が出てきます。それは、独裁者に苦しむ人々を助ける、というものです。その対象が現在はヴェネズエラということになります。ヴェネズエラに対して強硬な姿勢を取り続けるとそれだけで称賛される、という状態で、アメリカは全く変わらない、学ばない、進歩がないと思わせられます。ここに社会主義に対する言葉を入れると完璧で、社会主義は20世紀に人々の支持を失い、アメリカ型のデモクラシーと資本主義が勝利したはずなのに、やっぱり困ったら社会主義攻撃を行うのです。今年の一般教書演説でも唐突に社会主義という言葉がトランプ大統領の口から出て来て、批判が展開されましたが、これがかえって、アメリカはよほど困っているんだろう、アメリカ国内に社会主義を求める声(その内容は他の先進諸国で既に導入されているもの)が大きくなっているんだろうということを印象付けてしまうものでした。

 

 トランプ大統領は国内政治でうまくいっていないので、外交面で成果を出す、中国との交渉がうまくいけば経済も上向くということになります。しかし、それは逆に見れば、中国に譲ってもらって成立するもので、アメリカの国力と威信の低下を印象付けるものです。

 

(貼り付けはじめ)

 

トランプ大統領は外交政策に目を向けさせようと新たな動きを起こしている(Trump seeks new momentum with pivot to foreign policy

 

ブレット・サミュエルズ筆

2019年2月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/430847-trump-seeks-new-momentum-with-pivot-to-foreign-policy

 

トランプ大統領は自身の任期の中で最も厳しい状況に陥っているが、これからの数週間で外交政策の面で新たな動きを起こし、好意的な報道がなされるように仕向けるための機会がやってくる。

 

トランプ大統領は来週北朝鮮の最高指導者金正恩と会談を持つ予定となっている。これは昨年6月にシンガポールで開催された金委員長との歴史的な会談に続くもので、シンガポールでの米朝首脳会談はトランプ大統領にとって大統領在任中のハイライトとなるものだ。

 

それとは別に、トランプは中国との貿易交渉で合意するための期限である3月1日に直面している。これがうまくいかなければ中国からの輸入にかける関税を大幅に引き上げることになる。現在、米中間の緊張は高まるという危険な状態が続いている。別の局面では、ヴェネズエラ政府が西側からの支援物資の国内受け入れを禁止しているが、トランプ大統領はこれを止めさせようと圧力をかけている。ホワイトハウスは国際舞台でヴェネズエラに対する攻勢を強めている。

 

報道の対象が変化することはトランプ大統領にとっては歓迎すべきことである。国内状況に目を向けてみれば、2019年という年は政府機能の一部閉鎖が続いている状況で始まり、そのために一般教書演説の実施も遅れ、大統領に対する支持率も低下してしまった。

 

一週間前、トランプ大統領は国境地帯に関する非常事態宣言をめぐる争いを終結させたが、それは政治的な後代を印象付け、共和党内の分裂をもたらした。トランプは国境の壁建設のために連邦議会に要求していた予算額の一部しか獲得できなかった。そこで更に予算を獲得するために非常事態宣言を行った。非常事態宣言をめぐる争いは法廷に持ち込まれようとしている。

 

トランプ大統領は連邦議会、特に民主党が過半数を握っている連邦下院によって動きを封じられてしまっている。そうした中で、外交政策に関してはより自由にできる行動範囲が遺されている。まずは2019年2月27日と28日にヴェトナムのハノイで金委員長との2度目の首脳会談がそれである。

 

トランプ大統領は首脳会談について自信を示しているが、何が期待できるかを具体的に述べている訳ではない。昨年のシンガポールでの首脳会談の後に具体的な進展はほぼなかった。トランプ大統領は、今回の会談の成功について昨年の会談の時と同じ内容を挙げている。

 

水曜日、トランプ大統領はオーストリア首相との会談を行い、その中で記者団に対して次のように述べた。「私たちは金委員長と2日間にわたって会談を持つ。私たちは多くの成果を上げることが出来ると考えている。私たちは最初の会談をうまくスタートさせることが出来た。その線に沿って会談を継続させることが出来ると思う。今回が最後の会談になるということはないし、私たちの間の関係は強固だと考えている」。

 

この前日、トランプ大統領は記者団に対して、最終目標は朝鮮半島の非核化であるが、その実現を「急がない」と述べた。

 

「アームズ・コントロール・アソシエーション」の上級部長ダリル・キンボールは、来週の会談で非核化に向けたより具体的なロードマップが出てくるようにする必要があると述べている。

 

キンボールは次のように述べた。「北朝鮮のミサイル開発プログラムの停止と放棄のための外交的な合意が形成される機会は永遠に存在し続ける訳ではない。今回の会談は、トランプ大統領が二国間の進む方向を正しいものへと設定するための最後のそして最良の機会となるだろう」。

 

朝鮮半島の非核化というトランプ大統領の目標は彼の政権第一期目の中間で具体的に姿を現したもので、貿易に関する合意内容を改善するという公約は選挙戦の時期に既に発表していたものであった。

 

米中両国は3月1日までに包括的な貿易に関する合意に達しなければ、中国からアメリカへの輸入品に欠ける関税を10%から25%に引き上げることになる。しかし、多くのことをなすためには残された時間が少なすぎる。特に、トランプ大統領は合意に署名する段階になる前に中国の習近平国家主席と会談を行いたいという主張を行っているが、これは難しい。

 

トランプ大統領はここ数週間、最終的な合意に達するという楽観的な姿勢を保ってきた。両国の交渉者たちは木曜日にワシントンDCで会談を持つ予定になっている。大統領はまた、交渉の期限を延長しても良いという考えも示唆している。火曜日には3月1日の期限は「絶対的なものではない」と発言した。

 

トランプ大統領の非公式の経済アドヴァイザーであり、ヘリテージ財団の上級研究員も務めているスティーヴン・ムーアは本誌の取材に対して、中国との合意に成功することは、トランプ大統領が選挙公約を果たすことであり、それによって経済に対する人々の信頼を高め、結果として2020年の米大統領選挙での勝利をもたらすだろうと述べた。

 

本誌に論説を寄稿しているムーアは「中国との貿易交渉はトランプ大統領が大統領になるにあたって最もこだわっているものだ」と述べた。

 

ムーアは更に、「中国との貿易交渉をうまく行い、合意に達したら、それ以外のこともうまくいくと思う」とも述べている。

 

トランプ大統領は中国と北朝鮮については注意深く待ち、観察をしなければならない。一方、ヴェネズエラに対する姿勢に関しては超党派の称賛を集めている。トランプ大統領は、反政府派の指導者フアン・グアイドをヴェネズエラの正統な指導者だと認め、ニコラス・マドゥロ大統領を辞任させようと圧力をかけている。

 

トランプ大統領は月曜日、舞網市内で演説を行い、その中で社会主義を非難し、マドゥロに対して権力に拘泥しないようにと警告を発した。

 

トランプ大統領は「私たちは権力の平和的な移行を求めているが、全ての手段を有している」と述べた。

 

マドゥロが国境を閉鎖している状況で、いつ、どのようにして食料や医薬品をヴェネズエラ国内に運び入れることが出来るのかは明確になっていない。しかし、トランプ大統領の強硬な姿勢は国内外で多くの支持を集めている。

 

コロンビア大統領イヴァン・ドゥケは、ヴェネズエラ国内でグアイドを支持する諸勢力の結集が進んでいることを称賛し、アメリカをはじめとする諸外国がヴェネズエラに対して人道援助をする際に、コロンビアがそうした援助物資を受け取り、ヴェネズエラに仲介、つなぐことを約束した。

 

ドゥケ大統領は先週ホワイトハウスを訪問し、その際、次のように述べた。「ヴェネズエラ国民に悪影響を及ぼしている暴力的な独裁政治を終わらせるために協力したいと思う。外交上の封鎖策はこれまでにないほどの成果を上げていることを嬉しく思う。ヴェネズエラの独裁政治の残された日はほぼないと私は考えている」。

 

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(終わり)

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 古村治彦です。

 

 今回は、2019年3月7日に発売となる、副島隆彦先生の最新刊『国家分裂するアメリカ政治 七顚八倒(しちてんばっとう)』(秀和システム)をご紹介します。本書は副島先生の最新のアメリカ分析本です。是非お読みください。よろしくお願いいたします。

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国家分裂するアメリカ政治 七顚八倒


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(貼り付けはじめ)

 

まえがき

 

 私は日本人としては有数のアメリカ政治の研究者(エキスパート)である。この私がアメリカ政治のことを書く、というのだから、〝堂に入っている〟。

 

だから、この本の書名も「トランプのアメリカ政治」と決めた。

 

ところが、出版社から「トランプはやめてください。書店に並べたとき本が売れないので」と言われた。

 

失礼な話である、この私に向かって。トランプ大統領のことを含めて私が、アメリカの最新の知識で書く、というのだから、そのまま通る、と思っていたら、これである。私はヘソを曲げた。

 

だから、そのあと1カ月、私はこの本を書くことを放ったらかした。

しかし、それでは担当編集者が出版社との間で板ばさみになって困っている。何とかせねば。それで急遽、えーい、分かったよ。それならこうする。で、“ The US is divided. ”「ザ・ユーエス・イズ・デヴァイデッド」「アメリカは国家分裂しつつある」をドカーンと書名に持って来ると、決めた。

 

「アメリカ国民は2つに分裂している」というのは本当である。「国論が2つに分裂している」と訳すべきだろう。どこの国でも国論は、たいてい右(保守)と、左(リベラル派及び左翼)で分裂している。だから、何を当たり前のことをお前は言う(書く)か、と言われるだろう。

 

だが、本当にアメリカ合衆国(ユナイテッド・ステイツ)は、2つに分裂している。いや、今やアメリカは国家として、3つに分裂しそうな勢いになっているのだ。まさか、そんな、と皆さんは思う。だが、本当だ。アメリカ国民自身が、“ The US is diveided, and the US will really be disbanded(ディスバンデッド). “「アメリカは近い将来に国家分裂するだろう」と言いだしている。これがアメリカ合衆国の最〔さい〕最新情報だ。今は、トランプ支持派 対 反〔はん〕トランプ派で分裂して激しく対立している。

 

それにしても、この私に向かって、「トランプと付く書名の本はヤメてくれ」と言う出版社も問題だ。一体、何の見識を持っているのか。ただ本を売りたい、儲けたいの業者根性か。

だから、苦労の果てに、ご覧のとおりの書名になった。七顚八倒(しちてんばっとう)したのは、私だ。

 

だが、本当に、本が書店で売れない時代になった。私の本でも、こういう分野の本は1万部がやっとだ。新聞宣伝なんかしたって、いくらの効果もない。だが、〝文化と教養を売ってます〟と、出版業界人は気取りたいので、こういう紙の本の慣行が今も続いている。かなり追い詰められてきた。いつまで保(も)つものやら。

 

アメリカ合衆国はやがて世界覇権(ワールド・ヘジェモニー world hegemony )を失う。そのとき、アメリカ合衆国は分裂国家(おそらく3つに)になる。としても、それは10年先のことである。The US shall be disbanded.「ザ・ユーエス・シャル・ビー・ディスバンデッド」とも言う。ニューヨークを中心とした「東部〔イースト〕アメリカ」。ヨーロッパ白人世界と生きてゆく。ここには、シカゴを含めた中西部(ミッドウエスト)の北の方が入る。テキサス州を中心とした農業国の「中央(センター)アメリカ」。ここで、〝ブルーステイト〟(米民主党支持者が多い)であるケンタッキー州とサウス・カロライナ州がのどっちに付くか、でモメるだろう。南北カロライナ州は合体する(元に戻る)だろう。

 

実は、ノース・カロライナ州とサウス・カロライナ州は、南北戦争(ザ・シヴィル・ウォー。1861‐1865)の時に、それぞれ北軍(連邦派。フェデラル)と、南軍(南部同盟。コンフェデレット)側に付いて分裂した。あの南北戦争(ザ・シヴィル・ウォー。内乱、内戦)のときの影がいまもこの国に深く差しているのだ。

 

③ カリフォルニア州を中心とした「西部(ウェスターン)アメリカ」。太平洋側に面してアジア諸国に近いので、そこからの移民が多い。このの国は、大衆的リベラル派としてアジア諸国と付き合い(貿易)しながら、生きてゆくだろう。

 

「トランプと表紙に付けるな。本が売れない(アメリカと付くだけでさえ売れないのに)」と言われたら、実は、本当にそうなのだ。日本のちょっとだけ知的で本を買って(あるいは公共図書館で借りて)読もう、というほどの知的な人々(今や国民の1パーセントの120万人)でも、表紙に「アメリカ」と付く本は読みたがらない。日本人は、アメリカさまが嫌いなのだ。屈従してべったりくっ付いているくせに、嫌いなのだ。あるいは、厭〔あ〕き厭〔あ〕きしている。いつもいつも頭ごなしに、私たち日本国に対して上から威圧して威張っている。

 

「敗戦後、日本はアメリカ帝国の属国である」と書いて、今や、国民的評価を得ているのは私だ。『属国・日本論』という。1997年に書いた本だからもう22年前の本だ。

 

 さて、どんなに紙の本が売れなくなっても、私は紙の本を自分の最期〔さいご〕(死ぬとき)まで書き続ける。もう他の職に転職できる齢ではない(65歳だ)。みんなもそうだ。ただ一筋の、自分の生業(なりわい)に細々と精を出すだけだ。哀れなものだが、これが人間の生きる道だ。

 

   2019年2月20

 

                                   副島隆彦

 

=====

 

【目次】

 

まえがき

 

第1章 アメリカ合衆国が分裂する日

  10年後、アメリカ合衆国は3つに分裂する

  ウィスコンシン州が台風の目だった中間選挙

  スコット・ウォーカーの州知事選敗北の原因は〝フォックスコン〟

  ウィスコンシン州でのフォックスコン工場建設計画

  トランプより一枚上手だったテリー・ゴウ

  孫正義‐トランプ会談の真相

  中国人はアメリカ人に騙〔だま〕されない

  ナンシー・ペロシがトランプと組む

  思いやりのある保守主義

  下院議長ナンシー・ペロシという女性

  日本の官僚たちをどなりつけたウィルバー・ロス

 

第2章 トランプ政治、七顚八倒

  トランプを支える議員たち

  増える、人種が混ざった議員たち

  〝レーガン・デモクラット〟と同じ動き

  民主党員だったトランプ

  キーストーンXL計画

  環境保護団体との闘い

  共和党なのにトランプを支持しない議員

  男たちの「ミー・トゥー」唱和が起きるほど凶暴なヒラリー系過激派

  本当は悪い男だったリンカーン大統領

  共和党の若手有望株3人にかかった恐ろしい圧力

 

第3章 ヒラリーを逮捕し裁判にかけろ!

  中間選挙で「半分勝って、半分負けた」トランプ

  「ドレイン・ザ・スワンプ」

  トランプがキッシンジャー宅を訪問したとき「トランプ大統領」が決まった

  ヒラリー・クリントンがどれほど悪い女か、日本人はいまだに分かっていない

  つい本音を漏らしてしまうトランプ

    トランプの実業家人生

  「ディープ・ステイト」

  ミカ・ブレジンスキーのポンペイオ=オカマ発言の衝撃

  2024年から世界大恐慌

 

第4章 「人権尊重、平等、人種差別しない」の大思想が滅びつつある

  政治家としての王道を歩いているトランプ

  アメリカ国民に職を

  トランプの政治思想

  米国の反移民問題

  欧州の反移民問題

  英国がブレグジットを選んだ理由

  「人類の指導理念」の崩壊

  日本にとっての戒律=日本国憲法

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 2020年の米大統領選挙民主党予備選挙についての記事をご紹介します。予備選挙には既に多くの人々が出馬表明していることはこのブログでもご紹介しています。今回は誰が人気か、世論調査の結果をご紹介しますが、皮肉なことに、人気トップは出馬表明をしていない、ジョー・バイデン前副大統領だということです。

 

 バイデンに続くのが、バーニー・サンダースで、第3位にはカマラ・ハリスが入っています。4位にはウォーレン、それ以降は、ビトー・オローク(出馬宣言をしていない)、コーリー・ブッカー、キリステン・ギリブランド、エイミー・クロウブッシャーですが、オロークから後ろは団子状態のようです。


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上段左から:サンダース、ハリス、バイデン

下段左から:ブッカー、ギリブランド、ウォーレン

 人気トップ2のバイデンとサンダースは抜群の知名度と実績を誇ります。しかし、両者とも70代後半という年齢が不安要素になります。それでも人気というのは、逆に言うと、今回初めて出馬する他の人々は、有権者の期待も薄いということになります。まだ30代のトゥルシー・ギャバ―ド、40代前半のフリアン・カストロといったところはまだこれから先もチャンスがありますし、今回は名前を売るということになりますが、他の人々は50代から60代で、これから先送チャンスが多くあるとも思えません。

 

そうした中で、ライジングスターが台頭するという形になっていないというのは民主党の弱点ということになります。しかし、選挙戦は始まったばかりですし、なによりまだ訳者が全員揃っていない状態です。これからどうなるか見ていきたいと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

世論調査:バイデンが2020年の米大統領選挙民主党予備選挙をリード、サンダースとハリスが続く(Poll: Biden leads 2020 Dem race, followed by Sanders and Harris

 

マイケル・バーク筆

2019年2月12日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/429560-poll-biden-leads-2020-dem-race-followed-by-sanders-and-harris

 

最新の世論調査では、ジョー・バイデン前副大統領が、出馬をしていないにもかかわらず、2020年米大統領選挙民主党予備選挙において支持率がトップになった。

 

『モーニング・コンサルト』誌は、民主党の予備選挙に投票すると答えた人々の間で、バイデンが支持率29%でトップとなり、次いで、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)が22%、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)が13%の順で続いたと世論調査の結果を報じた。

 

サンダースもバイデンも2020年の米大統領選挙出馬を正式には表明していない(訳者註:サンダースは出馬表明を行った)。しかし、両者ともに幅広い知名度を誇り、これは大統領選挙序盤では大きな利点となるだろう。バイデンは8年間副大統領を務め、サンダースは2016年の大統領選挙民主党予備選挙でヒラリー・クリントンに対して善戦した。

 

ハリスは正式の出馬表明を行った人物の中で最も支持を集めている。彼女に続く第4位になったのは、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)で支持率は8%であった。ウォーレンは日曜日に正式に選挙運動を開始した。

 

ビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)はウォーレンに続いて7%の支持率を集め、コーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)は5%の支持率を集めた。

 

ブッカーは既に出馬表明を行った。オロークに関しては、多くの人々が大統領選挙に出馬するだろうと考えている。オロークは月曜日、テキサス州エルパソで集会を開催した。これはトランプ大統領が同市で行った集会に対抗するためのものであった。

 

その他の候補者たち、キリステン・ギリブランド連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)とエイミー・クロウブッシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)は3%以下の支持率にとどまった。

 

この世論調査は民主党の予備選挙に参加すると答えた有権者11627名を対象に実施された。調査期間は2019年2月4日から10日までで、誤差は1ポイントである。

 

モーニング・コンサルト誌は予備選挙が早期に行われるアイオワ州、ニューハンプシャー州、サウスカロライナ州、ネヴァダ州各州でも世論調査を行った・その結果は、バイデンが33%の支持を集め、サンダースが21%、ハリスが11%、ウォーレンが10%の順で続いた。

 

この世論調査は2019年2月4日から10日にかけて、アイオワ州、ニューハンプシャー州、サウスカロライナ州、ネヴァダ州で517名の有権者を対象に実施された。誤差は4ポイントである。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 副島隆彦先生の『思想劇画 属国日本史 幕末編』が復刊されます。

 

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思想劇画 属国日本史 幕末編


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本書は早月堂書店から2004年に刊行された『思想劇画 属国日本史 幕末編』の復刊です。今回の復刊にあたり、加筆訂正と、新たに「QA」という形の解説が加えられています。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

 

(貼り付けはじめ)

 

思想劇画 属国日本史 幕末編 目次

 

プロローグ

 

第1章 文久2年の巨大な謎

 

1 おかしいじゃないか! 攘夷志士の海外渡航

2 怪しすぎるッ! 長崎グラバー商会

3 寺田屋事件で明らかになった「ケダモノ」薩摩

4 血みどろの「天誅」

5 なんかヘンだぞ、生麦事件

 

第2章 外国は、日本を支配しにやってきた!

 

1 不愉快きわまりない脅し外交

2 ペリー以来変わらぬアメリカの日本観

3 ヨーロッパの日本支配計画

4 アーネスト・サトウという日本管理用の戦略外交官

5 日本を操ったイギリスの戦略外交官

 

第3章 坂本龍馬と秘密のインナー・サークル

 

1 ジョン万次郎という男

2 イギリスの工作員としての「龍馬がいく」

3 薩長同盟を成立させたのは龍馬ではなく背後にいたイギリスだ!

4 大村益次郎と後藤象二郎

5 最後に切り捨てられた龍馬

 

第4章 幕末ゲバゲバ・尊皇攘夷事件クロニクル!

 

1 幕末尊皇攘夷思想の誕生

SEA OF BLOOD 幕末血みどろ事件簿

3 腐り果てる尊皇攘夷

4 幕末最強部隊・水戸天狗党

5 尊皇攘夷の悲劇

 

第5章 幕末に英雄はいない!

 

1 宿命のライバル 勝海舟と小栗忠順

2 吉田松陰の行動力こそ評価すべきだ

3 鍬を刀に持ちかえた新撰組

4 二人の男の死 小栗と勝の最期

5 伊藤らのイギリス再訪

 

付録 Q&A

 

幕末略年表

 

人物プロフィール

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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