古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

2019年02月

 古村治彦です。

 

 今日は先日見た映画『ブルークリスマス』の感想を述べます。私の友人に映画隙の人がいて、私が岡本喜八監督に興味があると言うと、DVDを貸してくれました。私は映画をあまり見てこなかったのですが、岡本喜八監督の映画『大誘拐』を中学生だったか、高校生だったかの時期に見て面白かったので、岡本喜八監督について興味を持っていました。この他にも『独立愚連隊』「独立愚連隊 西へ」という映画のDVDも借りましたので、これらも見てまた感想を書きたいと思います。

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ブルークリスマス [DVD]

 映画『ブルークリスマス』は大変面白い映画でした。コメディでもハッピーエンドでもないので、「楽しい」と書いてよいのかは分かりませんが、いろいろと考えてしまう映画でした。

 

 映画の内容は次の通りです。ある日、世界各地で文字通り青い血液を持つ人々が出現し、その数が増えていく現象が確認されました。これは宇宙船、UFOを目撃し、それから発せられる光を体に浴びて出てくる現象でした。当初は荒唐無稽の噂話として広がっていき、非現実的だ、非科学的だとして打ち消されますが、やがてそれが本当だということになります。

 

 人類の中に青い血液を持つ人たちが出て来ていることを報告した宇宙科学を専門とする兵頭博士(岡田英次)は失踪し、その事件を追う国営放送JBCの報道局員南(仲代達矢)は奇妙な出来事に遭遇し、真実を知りながら、それを発表出来ないことになります。

 

 国防庁の特殊部隊員である沖(勝野洋)は、職務として、青い血液となってしまった人々を監視し、かつ、その真実を暴こう、拡散しようとする人々を弾圧し、最悪の場合には殺害していきます。

 

 世界各国の指導者たちは、青い血液を持つ人類が少数派のうちに抹殺することを決めます。宗教やイデオロギー、国家体制の違いを超えて、この点で一致団結します。日本でも全国民に血液検査が実施され、青い血液を持つ人々は隔離され、強制収容所に送られます。それに反対する人たちもいますが弾圧されます。

 

 沖は冴子(竹下景子)と恋に落ちます。不器用ではあるが誠実な沖と冴子は合いを深めますが、不幸な結末を迎えてしまいます。

 

 映画では、青い血液を持つようになってしまった人々は、イライラもなく、過度の競争心や嫉妬心を持たなくなり、穏やかな性格になると描かれています。ただ、血液が青くなってしまっている、ということだけです。映画では血液が青い生物としてイカが紹介されており、それは人類の血液には鉄分が含まれているのですが、それがイカの場合は代わりに銅が含まれており、そのために血液が青くなるということも説明されています。

 

 この映画を見ての感想ですが、まずは、真実とは何かということを追いかけるはずの科学と報道という2つの分野が機能しないということです。科学の場合には、「宇宙人であるとか宇宙船などというものは存在しない」という前提から宇宙船からの光を浴びた人が青い血液を持つということを税所否定しますが、じわじわとそれが広がっていくと、今度は実験(観察)の対象、実験材料とし、そのために非人道的な取り扱いをします。報道はその変わった話に飛びつきますが、やがて上の存在から口止めされ、そして最後には協力してしまう、口を閉ざした時点で協力していることになります。

 

 真実について語り、人類のために奉仕すべき分野である科学や報道が実際には時の権力に奉仕し、人道に反する行為を行った例はこれまでの歴史でも見られることですが、この映画でもそのことが描かれています。ですから、科学や報道に従事する人たちも、私たち受益者、受け手も不断の点検が必要になるということだと思います。

 

 青い血液となってしまった人々は血液以外にはそれまで通りであり、極めて普通の人間です。そして、心が穏やかになり、嫉妬心や競争心がなくなります(これは一種の麻薬のメタファーでもあると思います)。しかし、少数派であるこの人々は、多数派である赤い色の血液を持つ人々にとっては不安材料です。今のところは無害(それまでも無害で外見上は変わらないのですから当たり前です)ですが、これからどうなるか分からない、ということに、世界各国の権力者たちは大きな不安を覚えます。

 

 そして、最後には強制収容を行います。それに対して、「やり過ぎではないか」「人権侵害ではないか」という当然の反対意見も出ます。それを抑えるために、青い血液を持つ人々は、暴力蜂起を行う、それは宇宙人に唆されたからだ、という主張を流し、かつ、最後には、そのようになった青い血液を持つ人々は、人類ではない(人類の定義は赤い血液を持つ)ので、人権などなく、抹殺対象になるのだというところまで進み、この映画の悲劇的な最後につながります。

 

 この映画は1978年に公開で、映画の設定もそれくらいの年になっています。そして、1980年には青い血液を持つ人々の人口は全世界で2億人弱くらいにまで増えると予想されています。政府機関や報道機関の上層部は、青い血液を持つ人々について最初は、なにも迫害までしなくても良いではないか、と考えますが、職務上の命令のために、最後は非人道的な行動を部下に命令することになります。ここのプロットは、ナチス・ドイツのユダヤ人虐殺のメタファーと言えるでしょう。

 

 私はこの映画を見ながら、「人間的」とはどういうことかということを考えました。青い血となってしまった人々は偶然からそうなってしまいました。そして、穏やかで他の人たちを争わない性格になりました。私はこの部分を世界の指導者たちは危惧し、そのような人たちを抹殺することに決めたのだろうと思いました。

 

穏やかで、人と争わないというのは素晴らしい性格ですが、それでは現代社会は崩壊してしまいます。よりおいしいものを食べたい、より高い洋服や時計、装飾品を身に着けたい、より立派な家に住みたい、といったことは、他人に見せびらかしたい、羨んで欲しいという気持ちが原動力です。逆に言えば、そのようになりたいという気持ちから人間は他人と競争もするし、少々ずるいことをしても他人を出し抜こうとします。そうして大量生産・大量消費の大衆社会が維持されます。資本主義体制も、そして社会主義体制もそうして動いています。

 

 しかし、青い血液を持つ人々は、そのシステムにとっては邪魔になります。そのような人たちは自分で満足していればそれで良いし、他の人たちを羨まないのです。それは人間にとっては一つの理想形ですが、逆の面から見れば、「人間的ではない」ということになります。そして、自分と違う(と思われる)存在に対しては、どこまでも冷酷になれる、ということがこの映画の中で描かれている「人間らしい」行動となっています。青い血液を持つ人々は、赤い血液を持つ人、青い血液を持つ人、どちらの血も流させない存在ですが、赤い血液を持つ人々は、赤い血液を持つ人、青い血液を持つ人、両方の血を流させる存在です。

 

 この映画の題名についている「ブルー」ですが、映画に出てくる青い血液の「青」と「陰鬱な」「気持ちが盛り上がらない」状態を示す「ブルー」がかかっています。悲劇的なラストシーンがクリスマスイヴの日ですから、まさにブルーなクリスマスということになります。見終わればブルーになってしまう映画ですが、私たちが生きる現代を考える上でも参考になる映画だと思います。

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 2020年の米大統領選挙民主党予備選挙に、エイミー・クロウブッシャー(Amy Klobuchar、1960年―)連邦上院議員選挙(ミネソタ州選出、民主党)が出馬することが明らかになりました。雪が降りしきる中、クロウブッシャーは出馬宣言を行いました。


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 ドナルド・トランプ大統領はこの演説について、「なんて悪いタイミングだ。地球温暖化対策を訴えているのに、雪の中の演説になって、最後の方は雪だるま(snowman[woman])みたいになっている」とツイッター上で冷やかしました。クロウブッシャーはロシア疑惑に関する委員会入りを熱望した人物で、トランプ大統領は特に気に入らない人物ということになるでしょう。

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 これに対して、クロウブッシャーは「大統領選挙の討論会で、気候変動について討論が出来ることを楽しみにしている」と切り返しました。クロウブッシャーがトランプ大統領と討論をするためには、民主党の予備選挙を勝ち上がらねばなりません。既に多くの人々が立候補を表明していますが、今のところ、5名の女性(連邦上院議員4名、連邦下院議員1名)が立候補を表明しており、女性の数や割合はアメリカ史上最も多いものとなるでしょう。

 

 クロウブッシャーはイェール大学卒業後に、シカゴ大学法科大学院を修了し、弁護士となりました。その後、地区検察官などを務め、2006年からはミネソタ州選出の連邦上院議員を務めています。2018年の中間選挙の際の連邦上院議員選挙でも圧勝して、現在は3期目となります。

 

 2020年の大統領選挙に関しては、クロウブッシャーの名前も有力候補として早くから挙がっていました。中道的な主張や前回の大統領選挙でヒラリーが敗北した中西部、ラストベルト出身ということが有利な材料となると見られています。

 

 しかし、全国的な知名度が低く、また資金集めもうまくない、また、スタッフに対して厳しく当たるという評判が立っているということがマイナス材料になりそうです。

 

 民主党は左に寄っている、という評価の中で、中道派であるという点がどのように作用するのか、これからの推移に注目されます。

 

(貼り付けはじめ)

 

クロウブッシャーが2020年の大統領選挙レースに参加表明(Klobuchar jumps into 2020 race

 

リサ・ヘイゲン筆

2019年2月10日

https://thehill.com/homenews/campaign/429215-klobuchar-decision-2020  

 

エイミー・クロウブッシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)は日曜日、2020年の米大統領選挙への出馬を表明した。トランプ大統領を倒すためのレースに参加する5人目の連邦上院議員となった。

 

ミネアポリスのブームアイランド公園に設置されたステージは雪に覆われていた。気温は凍り付くほど寒いマイナス10度であった。その中でクロウブッシャーは、自身の家族が中西部に根付き、自分はそのルーツを背負っていることを訴えながら、大統領選挙出馬を表明した。中西部は民主党にとって重要な激戦区である。民主党はミシガン、ウィスコンシン、ペンシルヴァニアを再び民主党優勢州とすることを狙っている。

 

クロウブッシャーは歓声を上げる聴衆を前にして次のように語った。「今日、偉大なミシシッピ川の中ほどにある島の上で、私は皆さん方の前で、鉄鉱石鉱山の鉱山夫の孫娘として、教師と新聞記者の娘として、ミネソタ州で初めて連邦上院議員に選ばれた女性として、アメリカ合衆国大統領選挙への立候補を表明する」。

 

連邦上院議員として三期目を務めるクロウブッシャーは、アメリカを改善することを目標として、いくつかの政策分野における彼女の考えを訴えた。彼女は「銃器ロビー」と対決し、政治の世界における企業献金を廃止し、環境保護を目指す政策を実施し、医療や健康にかかるコストを引き下げ、投票権が守られることを再確認し、プライヴァシー保護に関する法律を制定すると公約した。

 

クロウブッシャーはトランプ大統領の名前を出すことはなかったが、「ツイッターによって表明され、動かされる外交政策」はアメリカにふさわしくないと発言し、トランプ大統領を皮肉った。

 

クロウブッシャーは次のように発言した。「アメリカ全土で共同体という認識が壊れつつある。我が国の政治の惨めで邪悪な特徴のために分裂させられている。私たちは政府機能閉鎖が続いていることに飽き飽きしている。停滞とスタンドプレーにうんざりしている。本日、雪に覆われたこの島の上で、私たちは“もうたくさんだ”と言おう」。

 

クロウブッシャーが大統領選挙出馬を表明したことで、中西部地域からの出馬表明者は2人目となった。

 

クロウブッシャーは大統領選挙出馬を検討してきて、2019年2月21日にアイオワ州で開催される民主党の集会に出席するという報道が出たことで、立候補するだろうと見られるようになった。

 

クロウブッシャーは既に多くの人々が立候補表明をしている2020年米大統領選挙民主党予備選挙に立候補を表明した。コーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)、キリステン・ギリブランド連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)が既に立候補を表明している。

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その他の連邦上院議員も立候補すると見られている。その中には、頑固な進歩主義者であるバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)、シェレッド・ブラウン連邦上院議員(オハイオ州選出、民主党)も含まれている。ブラウンもまたクロウブッシャーと同じくラストベルトのルーツを強調している。

 

インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブッティギーグ(民主党)も大統領選挙出馬の意思を表明している。彼もまた選挙運動の柱として中西部とのつながりを強調している。

 

2020年米大統領選挙民主党予備選挙は史上最大の規模となると見られている。そして、最も多様性に富むものとなるとも予想されている。これはトランプ大統領を倒したいと熱望している民主党支持者たちを反映した形である。しかし、これまでのことで明らかになっているのは、民主党が更に左に寄り続けているということである。

 

2018年、クロウブッシャーは連邦上院議員選挙で圧勝して議員として3期目を迎えた。2年前の2016年の米大統領選挙本選挙で、当時の民主党候補者ヒラリー・クリントンはミネソタ州でようやくのことでトランプ対して勝利を収めた。

 

クロウブッシャーは中西部のルーツを強調し、「誰にでも優しいナイスなミネソタ流」と揶揄される穏やかな選挙手法を採用して選挙運動を行うだろうと見られている。

 

2018年11月、クロウブッシャーは『ニューヨーク・タイムズ』紙の取材を受けた。その際、2016年の米大統領選挙でミッシェル・オバマが「相手が卑劣な攻撃をしてきたら、自分たちは高尚な態度を保持すべきだ」と述べたことをもじりながら、“相手が卑劣な攻撃をしてきたら、自分たちも同じことをやる”と言う考えに私は同意しない。私は相手が卑劣な攻撃をしてきたら、自分たちは毅然とした態度でそれに対応するべきだと考えている」と発言した。

 

クロウブッシャーは更に「しかし、毅然と対応するというのは、ドナルド・トランプが行く先々にあるウサギの穴に逃げて隠れることではない。毅然と対応するということは対応することであって、自分たちの考えや政策を、相手の存在を無視して訴え続けるということではない。私たちは卑劣な攻撃をするという戦術を採用したいとは思わないし、毎朝悪口をツイッターに書き込むようなこともしたくない」と述べた。

 

連邦選挙管理委員会が公開した最新の情報によると、2019年初頭の段階で、クロウブッシャーには2018年の連邦上院議員選挙で集めた選挙資金の残りが390万ドルあることが分かっている。

 

クロウブッシャーはこの手元資金を大統領選挙運動に転用することが出来る。しかし、この金額は、ウォーレンやギリブランドの持つ1000万ドルという金額には及ばない。

 

クロウブッシャーは選挙運動を始めるにあたり、彼女のスタッフに対する取り扱いに関するマイナスの報道内容を払しょくしなければならない。

 

『ハフィントンポスト』紙は、クロウブッシャーの大統領選挙運動の責任者として3名の名前が挙がったが、スタッフに対する取り扱いを理由に、3名ともに責任者の仕事に就くことを断った

 

『バズフィード』誌はこの内容をさらに掘り下げ、クロウブッシャーの連邦上院議員選挙にスタッフとして参加した人物たちを取材した。彼らは一様に、クロウブッシャーが短気であること、実際に書類を投げつけたり、スタッフを侮辱する内容のEメールを送ってきたりしたことを批判した。

 

バズフィード誌の記事では、現在のスタッフたちがクロウブッシャーを思慮深く、思いやりがある上司であると述べて擁護していることも掲載されている。

 

日曜日の出馬表明の中で、クロウブッシャーは支持者たちに向けて、「真心を持ってリードする」、生真面目な大統領になることを約束した。

 

クロウブッシャーは「皆さん方の大統領として、私は常に皆さん方を見守るだろう。私は自身の考えを皆さんに語るだろう。私は自分の仕事を成し遂げることだけに集中するだろう」と語りかけた。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 ドナルド・トランプ大統領の発言(記者団に対するものやツイッター上のもの)はよくメディアに取り上げられ批判されます。「言いたいことを歯に衣着せずに言う」「悪口が酷い」というイメージがすっかり定着しました。ツイッターを駆使して自分の言いたいことを発信し、流れを作るというのは、大変に現代的な政治家ということになります。

 

 2019年2月5日にトランプ大統領は連邦下院議場で一般教書演説を行いました。一般教書演説は一大イヴェントであり多くの国民が視聴できるように、東部時間の午後9時から開始となります。アメリカには4つのタイムゾーンがあり、西海岸ですと、午後6時からということになります。

 

 一般教書演説の当日、トランプ大統領はテレビ番組のアンカー(司会者)たちをホワイトハウスに招待して昼食会を開催したそうです。そこで、民主党の政治家たちをさんざんにこき下ろしたということが報道されました。現在、ホワイトハウスと連邦議会民主党執行部は対立と分断を深めつつある中、一般教書演説でトランプ大統領は団結と礼節を訴えるだろうと予測されている中で、その数時間前に、民主党の悪口を公の場で言っていたという文脈で報道されました。


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 ここがまさにトランプ大統領らしいところです。普通であれば、そんな日くらいは民主党の政治家たちの悪口は控えるものです。よほど腹に据えかねていても、せいぜい皮肉を言うくらいのものでしょう。しかし、「頭が悪い」「クソ野郎」とか言いたい放題だったようです。

 

 トランプ大統領が政治家として経験が長ければ、まずこんなことはしません。しかし、彼は言いたいことを言う、やりたいことをやるというスタイルを貫いて、既に大統領として任期の半分を全うしました。これは全く新しいことで、前代未聞(unprecedented)の大統領と言わざるを得ません。職業政治家や党派の対立と裏舞台での妥協といったものとは無縁であり、そこがトランプ大統領の最大の強みということが言えるでしょう。

 

 この奔放さというイメージについて、トランプ大統領は戦略でやっているのか、出たとこ勝負でやっているのか、分かりませんが、どうなんだろうか、大統領の発言の真意はどこにあるのか、言葉の裏の別の意味や意図があるのかと敵対者に考えさせることで、既に相手を自分のペースに引き込むことが出来ます。恐ろしい人物です。

 

(貼り付けはじめ)

 

一般教書直前の昼食会でトランプ大統領は民主党の政治家たちをこき下ろす(Trump tears into Dems at private lunch hours before State of the Union: report

 

ブレット・サミュエルズ筆

2019年2月5日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/428622-trump-tears-into-dems-at-private-lunch-hours-before-state-of-the?fbclid=IwAR2BRjeSOnUBC-00w-2HV-qZ0qyH6DNHFR0trjSnUYC-8UKoV92Zj0XllkY&fbclid=IwAR006FWXAd3dP3su3ZwsbeSWSRIrN-omJL78ICDInu4mFRAhiOZ54CJXqTg

 

月曜日、トランプ大統領はテレビ番組のアンカーたちとの昼食会を催し、その中で、民主党政治家たちをこき下ろした。礼節と超党派の合意の必要性を訴える演説をホワイトハウスで行うほんの数時間前の出来事であった。

 

『ニューヨーク・タイムズ』紙が報じたところによると、トランプ大統領は、ジョー・バイデン前副大統領、連邦上院少数派院内総務チャールズ・シューマー連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)、現在多くの批判に晒されているヴァージニア州知事ラルフ・ノーザム(民主党)の名前を上げて彼らをこき下ろした。大統領は2020年の米大統領選挙に挑戦表明をした人々も批判した。

 

トランプ大統領は2020年の大統領選挙ではバイデンと戦いたいという希望を表明したと報じられたことがある。昼食会に参加したアンカーたちに対して、大統領は、バイデン前副大統領は「そこまで賢くない」と述べた。

 

ニューヨーク・タイムズ紙によると、トランプ大統領は次のように述べたということだ。「バイデンがやったへまやしくじりは全くもって信じがたいものばかりだ。私が何か発言し、人々がそれは失言だと考えるとする。しかし、それはそのように認識させるように意図したもので、しくじりではない。バイデンが何か馬鹿馬鹿しいことを述べるとする。その場合、彼が馬鹿なので、そのまま馬鹿馬鹿しい発言となるのだ」。

 

トランプ大統領はそのほかの民主党の政治家たちを荒々しい言葉遣いで次々と攻撃した。ニューヨーク・タイムズ紙によると、大統領はシューマーを「いやらしいクソ野郎」と呼んだ。ノーザムは医学部卒業の際の卒業アルバムで人種差別的な写真を載せたことが発覚し、その後の記者会見で知事を辞職すること拒否した。トランプはこの時の様子を「犬がされているかのように抑え込まれていた」と評した。

 

ホワイトハウスは本紙からのコメントの求めに返答しなかった。そして、大統領の発言に関するニューヨーク・タイムズ紙からのコメントの要請を拒絶した。

 

民主党に対するトランプ大統領の評価と発言は、火曜日夜の一般教書演説の前に、ホワイトハウスが人々に伝えたいと考えていたメッセージの内容と正反対のものだ。

 

火曜日の夜にフォックス・ニュースに出演したホワイトハウス報道官のサラ・サンダースは次のように述べた。「大統領は今晩の一般教書演説の中で、団結ということを訴える予定だ。私たちは偉大さを選ぶか、お互いを攻撃し続けるか、どちらかを選ぶことが出来る」。

 

一般教書演説の原稿からの一部抜粋によると、トランプ大統領は演説の中で次のように発言する予定だ。「私たちは協力して数十年続く政治的行き詰まりを解消することが出来る。古くからある分裂を解消することが出来る。古くからの傷を癒すことが出来る。新しい協力体制を構築することが出来る。新し解決策を見つけ、アメリカの輝かしい未来の前提を広げることが出来る。決めるのは私たち自身だ」。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 前回、トランプ大統領の一般教書演説についての記事などをご紹介しました。私が一般教書演説を聞いていて驚いたのは、「社会主義に対する警告」でした。私が若い頃に、持て囃されたフランシス・フクヤマの「歴史の終わり」論では、資本主義(Capitalism、キャピタリズム)と民主政治体制(Democracy、デモクラシー)が最終的に勝利し、アメリカは勝利者だということになっていました。

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 しかし、21世紀のアメリカ議会で、大統領が自国内の社会主義を求める声に警告を発し、わざわざ「アメリカは社会主義国にはならない」と述べたというのは驚きでした。社会主義とは最も対極にある国であるはずの、資本主義と民主政治体制が高度に発達した総本山、アメリカで、大統領が社会主義の台頭に言及したというのは驚きでした。それくらいに、人々の平等を求める声、格差是正を求める声がアメリカ国内で大きくなっている、ということが示唆されるものでした。

 

 2016年米大統領選挙民主党予備選挙でのバーニー・サンダースの善戦、2018年の中間選挙でアレクサンドリア・オカシオ=コルテスの登場など、「民主社会主義者」を自認する政治家たちが存在感を増しています。

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当該部分を聞くサンダース
 

 これはポピュリズムという幅の広い思想運動の中で、左派的な動きとして、民主社会主義者たちが台頭しており、この右派的な動きは、トランプ大統領の誕生であり、言ってみれば、コインの表裏の関係にあると私は考えています。

 

 トランプ大統領を支持したのは、旧来の共和党の支持者の一部に加えて、元々は民主党支持で、労働組合にも参加していた、白人の労働者たちでした。アパラチア山脈からラストベルトと呼ばれる五大湖周辺の工業地帯に住んでいる人たちです。大学教育など高等教育を受けておらず、所得が低い労働者は本来であれば民主党の支持基盤でしたが、トランプ大統領を応援しました。

 

 これは民主党がエリート主義に陥り、ウォール街の大手金融機関などから多額の献金を受ける政治家たちが増え、口では人権や福祉などを唱えるが、実際に貧困層や労働者のために何もやっていないではないか、更に言えば、移民やマイノリティの人権のことばかりで、白人である自分たちの人権のことなど何も言わない、という怒りが旧来の民主党支持者たちの間に広まり、こうした人々がトランプ大統領を支持しました。こうした流れには、人権や福祉に対する懐疑も加わっています。

 

 一方、左派的な動きもまた、既成の民主党主流派、民主党エスタブリッシュメントに対する怒りから出てきたものです。エスタブリッシュメントは民主党の支持基盤をないがしろにしている、ウォール街とのつながりが深いから大企業や富裕層の利益ばかりを守っている、という怒りから、進歩主義派、民主社会主義者が存在感を増すようになりました。

 

 右派ポピュリズムと左派ポピュリズムと分類して良いと思います。既存の政治家やシステムが一般国民である自分たちのためになっていない、活動していない、機能していないという怒りから、ワシントンを変えなければならないということになり、新しい政治家たちやこれまで隅に追いやられていた政治家たちを自分たちの代表としてワシントンの既存勢力を攻撃させるという動きになりました。人々の怒りと既存の存在に対する攻撃性はポピュリズムの特徴です。

 

 それにしても、一般教書演説で、「社会主義」という言葉が出てきたのは驚きでした。中国を攻撃するためのレトリックなのかと思いましたが、アメリカ国内で社会主義を求める声が大きくなっていることに対する懸念であったということが驚きです。資本主義が高度に発達してその内包する矛盾が深刻になり、社会主義へと移行する、もしくは階級闘争が激化するというマルクスの考えが現実に起きているかのようです。

 

 アメリカでは長く国民皆保険ということはタブー視されてきました。何度もこの話はしているのですが、今回もします。2000年代前半に私はアメリカの大学に留学しました。そこで、日本政治の授業を履修しました。先生は日本の大学に留学経験もあり、日本語も堪能な人でした。日本の社会保障制度を取り上げた授業の回がありました。そこで、ポロっと「日本は国民皆保険です。国民皆保険ではないというのは、世界の先進国ではアメリカだけです」と言いました。何の悪気もなく、アメリカを批判するということでもありませんでした。

 

 しかし、次の授業の際に先生は「前回、私は世界の先進国の中で国民皆保険ではないのはアメリカだけですと述べました。これはアメリカを批判する意図ではありませんでした。また、私は社会主義者ではありません」と冒頭に述べました。私は驚いて、授業の後にどうしてそのような発言をなさったのですか、と質問したところ、「学部の事務所に学生の親という人から電話があって、アメリカを批判する反米的な社会主義者を雇っているのか、という抗議の電話があったから、説明しておこうと思って発言した」と教えてくれました。

 

 講義をしてきた親御さんは、国民皆保険は社会主義的な制度で、資本主義で自由主義なアメリカにはそぐわないと考えていたのでしょう。しかし、この考えに従うと、G7に加盟している先進諸国はほぼ全て社会主義国ということになります。

 

 アメリカには社会主義という言葉に対するアレルギーがあり、かつ、平等を志向するような政策には簡単に社会主義という言葉をレッテル貼りして非難する傾向があるようです。

 

 社会主義という言葉が21世紀のアメリカ議会の議場で大統領の口から出たという事実、これがアメリカの最先端の状況を示しているように思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

オカシオ=コルテスや進歩主義派の人物たちがトランプ大統領は社会主義という言葉を威嚇戦術として使用したと批判(Ocasio-Cortez, progressives accuse Trump of using socialism as scare tactic

 

ジュリーグレイス・ブルフケ筆

2019年2月6日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/428663-ocasio-cortez-progressives-accuse-trump-of-using-socialism-as-scare-tactic

 

進歩主義派の民主党所属連邦議員たちは、トランプ大統領が一般教書演説の中で、アメリカ国内で社会主義を求める声が大きくなっているという警告を発したことを、威嚇戦術(scare tactics)を使って自分たちを危険だとレッテル貼りしたと批判した。

 

アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は記者団からトランプの発言について質問され次のように答えた。「素晴らしかったと思う。大統領は怖がっている。彼は全てのものが彼に迫ってきていると感じ、世論の支持を得るための戦いに敗れつつあることを認識している」。

 

オカシオ=コルテスは民主社会主義者で、昨年夏に民主党予備選挙で勝利を受けて、政治の世界で名声を獲得した。単一支払者医療保険制度(single-payer health care system)を主張するリベラル派の連邦下院議員たちの仲間入りをした。また、最富裕層に対しての税率を上げることとクリーンエネルギー分野での雇用を創出するためのプログラムに資金提供するための「グリーン・ニューディール(Green New Deal)」を主張している。

 

ニューヨーク州選出の連邦議員オカシオ=コルテスは、トランプの発言内容を「信じられない」ものと評し、「自分たちの提案に対抗するための実質的な提案を彼は出来ないのだ」と述べた。

 

プラミラ・ジャヤパル連邦下院議員(ワシントン州選出、民主党)は進歩主義派連邦議員連盟の共同会長だ。ジャヤパル議員は、議員連盟の提案は過激なものではなく、提案内容の多くは西洋諸国で既に実施されているものだと述べた。

 

ジャヤパル議員は「全ての人のためのメディケアや最富裕層への増税、グリーン・ニューディールのような素晴らしい考えをトランプ大統領は警戒しているのだと思う。それで彼はこうした考えに社会主義というレッテル貼りをしたいのだ」と述べた。

 

「トランプ大統領は先進諸国で行われている政策について懸念を持っており、それに社会主義というレッテルを貼りたいのだ。しかし、こうした諸政策は世界の先進諸国で実際に実行されている。これらの政策は先進諸国において制度化され、それらの上に社会が構成されている」。

 

一般教書演説の中で、トランプは社会主義によってヴェネズエラでは経済上、政治上の訳斎が引き起こされたと述べた。

 

トランプ大統領は演説の中で次のように語った。「現在、アメリカ合衆国の国内では、私たちの国で社会主義を採用しようという声が上がっている。これは警戒を要することだ。アメリカは、政府による強制、独占、統制ではなく、自由と独立の上に創設された。私たちは生まれながらに自由で、これからも自由であり続ける。今夜、私たちはアメリカがこれからも社会主義国となることは決してないという決意を新たにする」。

 

共和党側の出席者たちは演説のこの部分に対して、トランプ大統領にスタンディングオヴェイションで称賛を与えた。

 

新人のラシーダ・トレイブ連邦下院議員(ミシガン州選出、民主党)は議員当選以来、トランプ大統領に対して厳しい批判を行っている。トレイブ議員は、トランプ大統領が社会主義を理解していないと批判し、トランプ大統領の言葉によって国家の更なる分裂が進んでいると考えていると述べた。

 

トレイブ議員は「人々の多くは社会主義を理解していないと思う。図書館や郵便局は社会主義だと思う。我が国にあり私たちが大事にしている制度の多くは平等という価値観を基礎にしている」と述べた。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 2019年2月5日、ドナルド・トランプ大統領が一般教書演説(State of the Union Address)を行いました。直訳すれば、「アメリカ合衆国の状況に関する演説」となります。Unionという単語にはいろいろな意味がありますが、ここでは「人々や州が団結して構成しているアメリカ合衆国」ということになります。その他には組合などといった意味もあります。団結して構成されているアメリカの一年がどうであったか、これからどうしていくかということを大統領が述べるものです。

 

 アメリカ議会に大統領が入るには連邦下院議長の許可が必要となります。そのため、本来は1月末に実施されるはずであった一般教書演説ですが、国境の壁建設のための予算を巡りトランプ大統領と民主党が対立し、政府機能が一部閉鎖となり、民主党が過半数を握っている連邦下院の議長であるナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は政府機関の閉鎖が解除となるまで、演説を延期するように求め、トランプ大統領もこれに従いました。政府機能が2月15日まで再開となったので、一般教書演説が例年通り連邦下院議場で行われる運びとなりました。

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後ろにはマイク・ペンス副大統領とペロシ議長

 今回、私も一般教書演説の生中継を見ていたのですが、感想としては、長くて退屈、トランプ大統領らしさを感じないものだった、ということになります。トランプ大統領は、言葉の上では超党派の団結を訴えましたが、実際には、自分の政権で達成した経済的成果について述べる時には、共和党側の出席者の方ばかり向いて話していました。拍手もなく、笑顔もない民主党側に向かって話しづらいというのは分かりますが、団結とか一つの国とかそういう言葉が内容のない空虚なものに感じられました。


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11歳のジョシュア・トランプ君には退屈だったようだ
隣のグレイス・イレインさん(9歳)は凛としていた 

 共和党側は何とか盛り上げようと、途中でスポーツの応援の時のように、「USA! USA!」を連呼しましたが、非常に怖いものを感じました。アメリカは内向き、勝つ排外的になっているように感じました。国内に抱える諸問題から目を逸らさせるために、言及は少なかったものの中国との貿易問題を利用しているようにも感じました。

 

 インフラ整備、HIV対策、処方箋薬剤の価格の引き下げといった民主、共和両党で協力できる分野の時には民主党側からも拍手が出るなど、ムードは良くなりましたが、国境の壁や妊娠中絶などに関しては、民主党側から野次こそ出ませんでしたが、頭を振ったり、目をむいたりするような態度が見受けられました。

 

 議場の一般席には招待された人々が座っていましたが、その中には、トランプ大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー補佐官と娘であるイヴァンカ・トランプ補佐官が座っていました。その同じ並びですが、通路を隔てた場所には、大統領の娘であるティファニー・トランプさんが座っていました。彼女は全身白い服装をしていて、私は驚きました。


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白い服装で目立つティファニーさん 

 それは、民主党側の連邦議員たちの一部女性議員たちが事前に話し合って、白い服装で出席すると取り決めていたからです。彼女たちはトランプ大統領の言動に抗議の意味を示すため、そして、女性参政権運動の先駆者たちに感謝の意を示すために、白い服を着て出席しました。ティファニーさんもそれに合わせたのだろうかと思い、私はびっくりしました。

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白い服装の民主党女性議員たち 

 これは次回に詳しく述べることですが、演説の中で、唐突に「社会主義」という言葉が出たことにも驚きました。「アメリカで社会主義を求める声が大きくなっている」「アメリカはこれからも社会主義国にはならない」とトランプ大統領は演説の中で述べました。社会主義と戦い、勝利を収めた、資本主義と民主政治体制の総本山であるはずのアメリカで、大統領が憂慮を示すほどに社会主義を支持する声が大きくなっているというのは驚きでした。

 

 現在、一時的な妥協によって政府機能が再開されていますが、その起源は2019年2月15日です。それまでに妥協が出来るのかどうか、ということになりますが、今回のトランプ大統領の演説内容では、民主党側の反発を招くだけで難しいように思います。また、人々の支持を得られるような言葉遣いもなく、ただ退屈なものでした。今年のプロアメリカンフットボールの優勝ティームを決めるスーパーボウルも点が入らずに退屈な内容であった(詳しい人にとってはそうではなかったとも言われています)のですが、アメリカの冬の風物詩であるスーパーボウルと一般教書演説が退屈だったとすると、アメリカ人の気持ちは盛り上がらないでしょう。

 
団結(Union)という言葉が入っている演説で分裂(divide)が深まるというのは、アメリカの現状をよく示していると思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

 

トランプ氏が一般教書演説、国境の壁建設を改めて宣言

 

2019.02.06 Wed posted at 14:48 JST

https://www.cnn.co.jp/usa/35132366.html

 

(CNN) トランプ米大統領は米東部時間5日午後9時(日本時間6日午前11時)すぎから約1時間半にわたり、上下両院合同会議で一般教書演説を行った。

 

一般教書演説は当初1月29日に予定されていたが、政府機関の閉鎖が長引いた影響でこの日に延期された。

 

トランプ氏は冒頭で「2つの党でなく1つの国家」「共和党のアジェンダ(政策課題)、民主党のアジェンダではなく、米国民のアジェンダ」と述べ、党派を超えた団結を訴えた。

 

政権発足後の2年間で米経済は前例のない好調ぶりを示してきたと強調し、雇用創出や賃金上昇、失業率低下などの数字を示して成果を強調した。

 

そのうえで「国家の現状は堅調である」と宣言すると、議場内の共和党議員らから拍手とともに「USA、USA」の掛け声が上がった。

 

トランプ氏は米経済の「奇跡」を阻むものとして、戦争と政治に加え、党派争いに基づく「捜査」に言及。党派の違いを超えて政策を進めていく必要があると訴えた。

 

続いて不法入国者の問題に多くの時間を割き、犯罪者や麻薬が米国に侵入しているとして危機感を強調した。国民の「命と雇用」を守るために国境の警備を強化し、壁を建設する必要があると改めて主張したうえで、「私が壁を建てる」と声を張り上げた。

 

一方で労働人口に占める女性の割合や、連邦議会の女性議員が史上最多を記録していると指摘。これに対しては、民主党の呼び掛けにより白い服を着て出席した数十人の女性議員からも「USA、USA」の掛け声が上がった。

女性の活躍に言及した際には、女性議員からも拍手が/Alex Wong/Getty Images

女性の活躍に言及した際には、女性議員からも拍手が/Alex Wong/Getty Images

 

さらに薬価の引き下げやエイズ、小児がんの研究推進などについて超党派の賛同を求めた。ここではがん治療に耐え抜いたという10歳の少女が紹介され、議場から拍手が贈られた。

 

外交分野では、自分が大統領になっていなかったら今ごろは北朝鮮と戦争になっていただろうと述べ、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と今月27、28日にベトナムで再会談する計画を明らかにした。

 

演説の終盤では、第2次世界大戦でナチスの強制収容所へ送られ、米軍に救われたという高齢の男性2人と、救出作戦に参加した元兵士を紹介。先人の戦いや業績を記憶にとどめ、違いを乗り越えて「最も高い頂、最も明るい星を目指そう」と呼び掛けた。

 

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トランプ大統領は散漫な内容の一般教書演説の中で、礼節と対決の間をフラフラと行ったり来たりしていた(Trump veers between comity, confrontation at raucous State of the Union

 

ジョーダン・ファビアン筆

2019年2月5日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/428654-trump-veers-between-comity-confrontation-at-raucous-state-of-the

 

トランプ大統領は、分裂した政治状況の中で、民主党に対して、「復讐、抵抗、報復のための政治」を求めるために一般教書演説(State of the Union address)を利用した。それでもトランプ大統領は民主党側が長く反対し続けている国境の壁建設を認めるように求めた。

 

トランプ大統領は、アメリカ国民は民主、共和両党が「2つの党派ではなく、1つの国」としてアメリカを統治することを望んでいると述べ、超党派の団結をアピールすることで一般教書演説を特徴づけようとした。しかし、トランプ大統領のメッセージは民主党側に対する攻撃的な言葉が多く含まれており、ワシントンにおける党派による深い分裂を示すものとなった。トランプ大統領が就任してからの2年間、大統領はこの分裂の日に油を注ぎ続けた。

 

過半数を握り勢いに乗っている連邦下院民主党はトランプ政権とトランプ自身のビジネスについて調査する計画を持っている。トランプ大統領は、連邦下院民主党を「馬鹿げた党派性の強い調査」は、自分がアメリカ国内に生み出した「経済的奇跡」をなくしてしまう行為だと非難した。

 

トランプ大統領は「静穏と粛々とした立法が存在すれば、そこに争いや党派色の濃い調査のようなことは起きない。争いや調査は良い結果を生み出さない」と述べた。

 

トランプ大統領は、北朝鮮の最高指導者金正恩委員長との2回目の首脳会談を2月27日から28日かけてヴェトナムで行うという計画を発表した。大統領は北朝鮮政府との非核化の合意を外交政策の最優先快打に位置づけ、金委員長との2度目の会談の可能性について言及してきた。

 

一般教書演説は大統領が年に一度アメリカ国民に向けて行う演説である。トランプ大統領にとって今回の一般教書演説は大統領在任期間中の重要な出来事となる。連邦議会において予算について合意が出来なければ、2019年2月15日に再び政府機能が一部閉鎖になる可能性が高まっている。

 

トランプ大統領はアメリカ・メキシコ国境に沿って壁を建設することを要求し、これが35日間に及ぶ正規機能の一部閉鎖を招来させた。連邦議員たちは壁建設の予算57億ドルを拒絶しながらも、他の予算を通過させるという妥協を行い、政府機能閉鎖は2019年1月25日にいったん解除となった。

 

35日間の政府機能閉鎖によってダメージを受けたのはトランプ大統領であった。大統領の支持率は閉鎖期間中下落した。そして、ナンシー・ペロシ連邦下院議長は、政府機能が再開するまで一般教書演説の実施を遅らせることで、大統領に使いの攻撃を行った。

 

しかし、トランプ大統領は壁建設の予算の要求を強めた。「南部国境地帯の無法状態」によって出現した「緊急の対策を要する国家規模の危機」という大統領の主張している問題に対して、連邦議員たちは「独特上の責務」を負っているとトランプ大統領は発言した。

 

トランプ大統領は次のように述べた。「アメリカの労働階級とアメリカの政治家階級の分裂を示すものとして不法移民問題以上のものはない。富裕な政治家たちと彼らへの献金者たちは、自分たちの現実生活は壁とチェックの厳しい門と警備員に囲まれているのに、国境を更に開こうとしている」。

 

このようなアピールをしても民主党側を動揺させることはできなかった。トランプ大統領がアメリカに向けて新たな不法移民の一団が向かっているという報道を演説中に紹介した際、民主党側からは不満を示すうめき声が発せられた。

 

連邦議会が大統領の壁建設予算要求を拒絶した場合に、何をするかについてトランプ大統領は明言しなかった。また、国家非常事態宣言を行うという強硬手段に出るとも言わなかった。国家非常事態宣言を行えば、大統領自身の権限で壁建設を行うことは可能となるが、共和党内部を分裂させ、法廷闘争を激化させることになる。

 

一般教書演説の会場となった連邦下院議場は分裂した連邦議会を示すものであふれていた。ペロシ議長は連邦上下両院の一部女性議員たちと一緒に白い服装で出席した。これは、女性参政権運動(suffragette movement)を記念するものであった。ペロシ議長は演説を行うトランプ大統領の後ろの議長席に座り、ペロシ議長の隣にはマイク・ペンス副大統領が座った。

 

政府機能閉鎖が始まって以降、ペロシ議長の力は増大している。民主党内部におけるペロシ議長への支持は堅固なものとなっている。今週CNNが発表した世論調査の結果によると、ペロシ議長に対する支持率も上昇している。

 

出席者の中には、2020年の米大統領選挙でトランプ大統領を倒したいと考えている政治家たちもいた。エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)、コーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)、キリステン・ギリブランド連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は既に大統領選挙出馬を表明している。ギリブランドは演説中に目をぐるぐると回し呆れた表情を見せ、聞くに堪えないと興味をなくした様子であった。この様子はテレビに映った。

 

民主党側は反対演説者として、ジョージア州知事選挙で惜敗したステイシー・エイブラムスを指名した。エイブラムスは民主党のライジングスターだ。

 

トランプは民主党側の出席者たちが礼節を欠いているという悪印象を視聴者に与えようとしていたように見える。トランプ大統領は、自身の政権下で「前例のない」規模で雇用が増大したこと、連邦議場に招待された移民担当の職員に対して「ICE(移民税関捜査局)の英雄たちを見捨てることは決してない」と呼びかけ、「アメリカはこれからも社会主義国になることは決してない」と宣言した。これらの発言に対して民主党側の出席者たちは拍手することを拒絶した。この拍手の拒絶をトランプ大統領は民主党側の礼節に欠けた行動という印象付けに利用しようとした。

 

連邦下院議場には昨年の一般教書演説よりも多くの女性とマイノリティが出席した。これは昨年の中間選挙で民主党が勝利したことが理由だ。トランプ大統領が女性の雇用の増加について述べ、女性議員たちに祝意を述べた際に、民主党所属の女性議員たちは立ち上がり、拍手を送った。この場面は今回の一般教書演説においてハイライトの一つとなった。

 

驚いたトランプ大統領は「そんな反応が起こるとは予想外だった」と演説中に述べた。

 

白い服を着た女性議員たちが喜びを表現し、「素晴らしいことだ」とトランプ大統領が更に述べた後に、女性議員たちは静かになり、また座ってしまったことで、大統領は不機嫌になったようだ。

 

移民に対する憎悪ということはあったが、トランプ大統領は民主党に対してオリーブの枝を渡した(協力を求めた)。社会資本(インフラストラクチャ)と処方箋薬剤の価格のように超党派の合意ができると大統領が考えている分野での協力を求めた。

 

トランプ大統領は「民主、共和両党はアメリカの壊れかけている社会資本の再建という大きな仕事のために団結することが出来る」と述べた。

 

トランプ大統領は更に、同じ薬に対して他国の人々が支払っている金額よりも高い金額をアメリカ人が支払っていることは「受け入れがたい」と述べた。

 

トランプ大統領は「これは間違っているし、公正なことではない。私たちは一緒になってこれを止めることが出来る」と述べた。

 

トランプ大統領は更に連邦議会に対して、カナダとメキシコと結んでいる北米自由貿易協定(NAFTA)の政権による見直しを支持するように求めた。今年NAFTAの見直しは大きな議題となると見られている。

 

上がったり下がったりのシーソーに乗っているかのような演説の中で、トランプ大統領は、妊娠中絶という激しい議論を巻き起こす問題で、民主党を攻撃した。大統領は連邦議員たちに対して、「母親の胎内で胎児が苦痛を感じるまでに成長した段階の妊娠後期の中絶禁止」法案を可決するように求めた。

 

トランプ大統領は公の場面や非公式の場面で、ニューヨーク州とヴァージニア州で民主党が提案している妊娠第三期(妊娠28週から40週)の中絶に対する規制の緩和を非難している。その上でそのような内容を演説に盛り込んだ。

 

トランプ大統領は世界各地の紛争についても言及し、大統領はシリアからの2000面の米軍省への撤退の決定とアフガニスタンにおける戦争の規模の縮小という試みを正当化した。

 

トランプ大統領は次のように述べた。「大統領選挙の候補者として、私は新しいアプローチを採用することを公約とした。偉大なる国というものは終わりの見えない戦いなどしない。現在、我が国は同盟諸国と協力してISISの残党の殲滅を行っている。シリアで戦っている勇敢な戦士たちの帰国を祝う時がやってきたのだ」。

 

これらの発言は共和党所属の連邦議員たちの懸念を深めることになるだろう。彼らは大統領の中東地域からの撤退の希望に反対姿勢を取っている。火曜日、共和党が過半数を握っている連邦上院では、トランプ大統領に警告を与えるために、シリアとアフガニスタンからの「性急な」撤退に反対する法案が圧倒的多数で可決された。

 

民主党側は、トランプ大統領は「古い分裂を修復」し、「古い傷を癒す」とした彼自身の希望の達成に失敗したと批判した。

 

民主党を代表しての反対演説の中で、エイブラムスは「政府機能の閉鎖はアメリカ合衆国大統領が発端となった馬鹿げた出来事だった。大統領は公正さという信条に全く従わず、国民だけではなく、アメリカの価値観を放棄した」と述べた。

 

エイブラムスは、政府機能閉鎖期間中に一時解雇状態(無給)になった連邦政府職員たちに食事を提供したと述べた。エイブラムスは政府機能閉鎖を「不名誉」な出来事であり、トランプ大統領は「連邦職員たちの生活を政治ゲームの駒」にしたと批判した。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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