古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

2019年10月

 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙を選挙資金の面から見てみたい。アメリカ大統領選挙は2年近くのマラソン選挙である。予備選挙の過程が長く、党の指名を得れば党の候補として本選挙に向けての選挙戦が続く。その間に多くの候補者たちが涙を呑んで撤退していく。

 各候補者は全米中を飛び回り、選挙集会を開き、人々に支持を訴える。これがほぼ毎日続く。こうした選挙戦を支えるためには選挙対策委員会には多くのスタッフが必要となる。こうした選挙運動を支えるのは選挙資金だ。選挙資金が尽きてしまえば選挙運動はできなくなる。また、討論会に参加する条件として選挙資金を献金する人の数が設定されている。選挙資金は選挙戦を見ていく上で重要な要素である。候補者たちは自分の弁舌や人間的な魅力で献金をしてもらおうと必死だ。アメリカの政治家たちは言ってみれば舌先三寸で巨額のお金を集める人たちだ。

 下に揚げているのがこれまでに各候補者が集めた選挙資金である。この中には、自己資金も含まれている。また別の選挙の時に集めた資金を移している場合もある。例えば、サンダースやウォーレンは2018年の中間選挙で連邦上院議員選挙を戦い、選挙資金を集めていた。その残りを大統領選挙のために移している。こういう場合もある。また、選挙出馬を正式に発表し、連邦選挙管理委員会に届け出てから、正式に選挙資金の献金を受けられるようになるので、出馬表明の時期の早い遅いが献金額に影響する。

 一見して明らかなことは有力候補にはお金が集まりやすいということだ。支持率上位5名が献金額でも上位5名を形成している。バイデンは支持率1位であるが、選挙資金集めでは4位となっている。これは、彼が出馬表明をしたのが今年5月ということで、実質的には1.5四半期しか資金集めをしていないということであり、月平均で割ればトップに躍り出る。サンダースやウォーレンの特徴は1件当たりの平均献金額が低いということだ。これは草の根レヴェルの人々が献金をしているということになる。また、両者は金融や石油といった分野の大企業からの献金を拒否している。

 驚くのは、トランプ大統領の選挙資金の豊富さだ。前回の大統領選挙の残りがあるということもあるが、現職大統領ということで、多くの献金を受けている。その多くが小口献金である。トランプ大統領の支持基盤はまだ崩れていない。米中貿易戦争である程度のところで妥結し、農産物の輸出が以前の状態に戻れば共和党が強い地方の州を落とすことはない。中西部での決戦に向けて潤沢な資金を使ってどのような選挙運動を展開するかというところが焦点になる。

 選挙資金から選挙を見てみれば、トランプ大統領が優位ということになる。選対がどのように差配するかということが注目される。民主党側はこれから党の候補者指名ということになっていくが、バイデンが優位ということは変わらない。トランプ大統領とバイデンの戦いとなれば、決戦場は中西部ということになる。

●大統領選挙期間中政治資金の総額(献金+自己資金[別の選挙の時の資金の移転も含む]

・バーニー・サンダース:6750万ドル(約72億2250万円)

・エリザベス・ウォーレン:6020万ドル(約64億4100万円)

・ピート・ブティジェッジ:5090万ドル(約54億4600万円)

・ジョー・バイデン:3720万ドル(約39億8000万円)

・カマラ・ハリス:3670万ドル(約39億2700万円)

・トム・ステイヤー:3200万ドル(約34億2400万円)

・ビトー・オローク:1810万ドル(約19億3670万円)

・エイミー・クロウブシャー:1750万ドル(約18億7250万円)

・コーリー・ブッカー:1550万ドル(約16億5800万円)

・アンドリュー・ヤン:1520万ドル(約16億2640万円)

・マイケル・ベネット:1490万ドル(約15億9400万円)

・マリアンヌ・ウィリアムソン:607万ドル(約6億5000万円)

・マイケル・ベネット:560万ドル(約6億円)

・スティーヴ・ブロック:430万ドル(約4億6000万円)

=====

・ドナルド・トランプ:3億800万ドル(約約330億円)

 

 

 

(貼り付けはじめ)

 

2020年米大統領選挙民主党予備選挙候補者たちの第三四半期の政治資金総額(2020 Democratic candidates reveal third quarter fundraising totals

グレイス・シーガース筆

2019年10月11日

CBSニュース

https://www.cbsnews.com/live-news/2020-democratic-primary-presidential-candidates-reveal-third-quarter-fundraising-totals/

 

2020米大統領選挙民主党予備選挙の候補者たちは2019年第三四半期(7月から9月)の政治献金額を発表している。候補者たちは10月15日までに連邦選挙管理委員会に政治献金額を報告する義務がある。

数名の候補者たちが政治資金献金の総額を発表し始めている。献金者数など詳細も発表している。9月末までの第三四半期の政治資金の報告期限が迫っている。

これからは各陣営の発表について見ていこう。

●ビトー・オローク:450万ドル(3期合計:1750万ドル)

・2019年10月11日:ビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)は2019年第三四半期で450万ドルを集めた。この額は第二四半期に比べて100万ドルの増加ではあるが、第一四半期に集めた900万ドルに遠く及ばない額となった。選対によると、1件当たりの平均献金額は26ドルだった。

■第三四半期の特徴:

・集めた資金:450万ドル

・1人当たり平均献金額:26ドル

■第二四半期の特徴:

・集めた資金:360万ドル

・献金者数:約20万人(約半数は新たな献金者)

・1人当たり平均献金額:30ドル

■第一四半期の特徴:

・集めた資金:940万ドル(選挙運動開始24時間で610万ドル)

・献金者数:約21万8000人

●トム・スティヤー:200万ドル

・2019年10月10日:大富豪のトム・ステイヤーは第三四半期で200万ドルを集めたに過ぎないが、彼自身の資金3000万ドルも合わせて選挙運動に投入している。選対によると、ステイヤーは、16万6119人の献金者を集め、10月の討論会の参加条件をクリアした。1件当たりの平均献金額は12ドルだった。

■第三四半期の特徴:

・集めた資金:200万ドル

・献金者数:16万人

・1件当たりの平均献金額:12ドル

●エイミー・クロウブシャー:480万ドル

・2019年10月7日:エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)は第三四半期で480万ドルを集めた。第二四半期と比べて100万ドル増となった。クロウブシャ―は第三四半期で10万5000人の献金者から献金を集め、1件当たりの平均献金額は30ドル弱となった。彼女は10月の討論会参加条件をクリアした。

■第三四半期の特徴:

・集めた資金:480万ドル

・献金者数:10万5000人

・1件当たりの平均献金額:29.78ドル

■第二四半期の特徴:

・集めた資金:387万ドル

・1件当たりの平均献金額:47ドル強

・献金者の86%が草の根レヴェルの献金者で、草の根レヴェルでは1件当たりの献金額は100ドル以下であった

■第一四半期の特徴:

・集めた資金:520万ドル

・他の資金団体から3575ドルを移した

・3月末の時点で約700万ドルの現金を手元に残していた

●エリザベス・ウォーレン:2460万ドル

・2019年10月4日:エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は第三四半期においてサンダースに少し及ばない額の献金を集めた。それでも総額は2460万ドルだった。選対は、献金件数は94万3000件に達したと発表した。1件当たりの平均献金額は26ドルだった。

■第三四半期の特徴:

・集めた資金:2460万ドル

・献金者数:50万9000人(献金件数:94万3000件)

・1件当たりの平均献金額:26ドル

■第二四半期の特徴:

・集めた資金:1900万ドル

・1200万ドル分は1件当たり200ドル以下の献金

・1件当たりの平均献金額:28ドル

・第二四半期の献金者の80%はウォーレンに初めて献金した人々だった

■第一四半期の特徴:

・集めた資金:600万ドル

・連邦上院議員選挙の時の政治資金の残り1000万ドルを移した

・第一四半期が終わった時点で手元に1100万ドルの資金が残った

●スティーヴ・ブロック:230万ドル

・2019年10月4日:モンタナ州知事スティーヴ・ブロックの選対は第三四半期で230万ドルを集めた。選対によると、1件当たりの平均献金額は24ドルだった。ブロックは10月の討論会の参加条件をクリアできなかった。

■第三四半期の特徴:

・集めた資金:230万ドル

・インターネット献金の1件当たりの平均献金額:24ドル

・第一四半期に比べて献金者数が倍増

■第二四半期の特徴:

・集めた資金:200万ドル

●マリアンヌ・ウィリアムソン:300万ドル

・2019年10月3日:マリアンヌ・ウィリアムソンは第三四半期で300万ドルを集めた。第二四半期に比べて150万ドルの増額となった。しかし、彼女は選挙戦を始めて以来600万ドル以上の資金を集めたにもかかわらず、ウィリアムソンの手元に残っているのは65万ドルに過ぎない。選対によると、これまでの献金者数は14万人となった。

■第三四半期の特徴:

・集めた資金:300万ドル

・手元に65万ドルが資金として残る

・これまでに14万人以上の献金者を獲得

■第二四半期の特徴:

・集めた資金:150万ドル

・100万ドル以上の資金を4月1日から6月30日までの間に集めたが、1件当たりの献金額は200ドル以下だった

・ウィリアムソンは第二四半期終了時点で55万ドルの資金を手元に残していた。

●マイケル・ベネット:210万ドル

・2019年10月2日:コロラド州選出連邦上院議員であるマイケル・ベネットは第三四半期で210万ドルを集めた。第二四半期と比べて少し献金額を減らした。第二四半期の献金額は280万ドルを集めた。ベネットは10月の討論会の参加条件をクリアできなかった。

■第三四半期の特徴:

・集めた資金:210万ドル

■第二四半期の特徴:

・5月上旬に大統領選挙出馬を発表して以降、350万ドルを集めた。そのうちの70万ドルは連邦上院議員選挙の資金を移した

・献金者の83%の1件当たりの献金額は25ドル以下で、95%は100ドル以下だった

●ジョー・バイデン:1520万ドル

・2019年10月3日:ジョー・バイデン前副大統領は第三四半期で1520万ドルを集めた。各種世論調査で支持率トップを記録しているバイデンは選挙戦に出馬して以来、3670万ドルを集めた。

・選対によると、献金者の98%は草の根レヴェルの献金者で、1件当たりの献金額は200ドル以下だった。56%は初めて献金する人たちであった。1件当たりの平均献金額は44ドルだった。

■第三四半期の特徴:

・集めた資金:1520万ドル

・献金者の96%の1件当たりの献金額は200ドル以下だった

・1件当たりの平均献金額:44ドル

■第二四半期の特徴:

・4月に選挙戦出馬発表以降に2150万ドルを集めた

・献金者の97%は200ドル以下の献金だった

・1件当たりの平均献金額は49ドルだった

●マイケル・ベネット:210万ドル

・2019年10月2日:コロラド州選出連邦上院議員マイケル・ベネットは第三四半期で210万ドルを集めた。選対によると献金者の86%が25ドル以下の献金、98%が100ドル以下だった。

■第三四半期の特徴:

・集めた資金:210万ドル

・献金者の86%の献金は25ドル以下

・98%の献金は100ドル以下

■第二四半期の特徴:

・5月上旬に選挙戦出馬を表明して以来350万ドルを集めた。そのうちの70万ドルは連邦上院議員選挙の時の資金を移したものだ

・献金者の83%の献金は25ドル以下、95%の献金は100ドル以下

●アンドリュー・ヤン:1000万ドル

・2019年10月2日:IT実業家アンドリュー・ヤンは第三四半期で1000万ドルを集めた。2017年に選挙戦を始めた時には全くの無名だった候補者にとっては衝撃的な金額となった。選対は、約30万人から献金を受けたと発表した。

■第三四半期の特徴:

・集めた資金:1000万ドル

・献金者数:約30万人

■第二四半期の特徴:

・集めた資金:280万ドル

・集めた資金のうち約200万ドルは1件当たり200ドル以下の献金からのものだ

■第一四半期の特徴:

・集めた資金:約180万ドル

・3月末の時点で手元に110万ドルの資金を残していた

●カマラ・ハリス:1160万ドル

・2019年10月1日:カリフォルニア州選出の連邦上院議員カマラ・ハリスは第三四半期で1160万ドルを集めた。選対によると、ハリスは手元に1000万ドルを残している。

・1件当たりの平均献金額は34ドルで、インターネット献金の1件当たりの平均献金額は20ドルだった。

・選対によると、ハリスは選挙戦を通じて85万人から総額3550万ドルを集めた。

■第三四半期の特徴:

・集めた資金:1160万ドル

・1件当たりの平均献金額:34ドル、インターネット上の1件当たりの平均献金額は20ドル

・ハリスは選挙戦開始以来、85万人以上から献金を受けた

■第二四半期の特徴:

・集めた資金:1200万ドル

・献金者数:27万9000人、そのうち約15万人が新たな献金者だった

・1件当たりの平均献金額:39ドル、インターネット上の献金の平均は24ドル

・インターネット上で集めた資金は700万ドル以上

■第一四半期の特徴:

・集めた資金:1200万ドル以上、この四半期では第2位にランクされた

・献金者の98%の献金は100ドル以下だった

・インターネット上での献金は600万ドル以上となった

・3月の最終週で100万ドル以上を集めた

・教育者1万1000人から献金を受けた

●コーリー・ブッカー:600万ドル(1550万ドル)

・2019年10月1日:9月30日までの最後のひと押しで170万ドルを集めた後、ニュージャージー州選出連邦上院議員コーリー・ブッカーの選対は、第三四半期で600万ドル以上を集めたと発表した。選対は残り10日間のひと押しで4万6000人から210万ドルを集めたと発表した。

・選対は1件当たりの平均献金額や献金者数などの詳細を発表しなかった。

■第三四半期の特徴:

・集めた資金:600万ドル以上、第二四半期から30%伸ばした

・第三四半期の最後の10日間で4万6000人から210万ドルを集めた

■第二四半期の特徴:

・集めた資金:450万ドルで、第二四半期の終わりの段階で540万ドルの資金を手元に残していた

・第二四半期で新たに7万2000人の献金者を獲得した

・献金者の88%が初めての献金者だった

・インターネット上の献金の1件平均:15ドル

■第一四半期の特徴:

・集めた資金:500万ドル以上

・献金者の82%が初めての献金者だった

●バーニー・サンダース:2530万ドル(6750万ドル)

・2019年10月1日:ヴァーモント州選出の連邦上院議員であるバーニー・サンダースは第三四半期で2530万ドルを集めた。第三四半期において民主党の候補者の中で最も多額の資金を集めた。選対によると、2019年9月は最も多くの政治資金を集めたということだ。

・政治献金者数は140万人だ。1件当たりの平均献金額は18.07ドルだ。選対は他の口座から260万ドルを移したが、これは2500万ドルの政治献金には入れていないということだ。

・選対によると、第三四半期の政治献金者の中で最も多い職業は「教師」だった。勤務先のトップ3は、スターバックス、アマゾン、ウォルマートだった。

・2019年2月に選挙戦出馬を発表して以降、330万人の政治献金者から6150万ドルを集めた。

■第三四半期の特徴:

・集めた資金:2530万ドル

・献金者数;140万人

・1件当たりの平均献金額:18.07ドル

■第二四半期の特徴;

・集めた資金:2400万ドル、そのうち600万ドルは以前の政治資金の口座から移されたものだ

・献金者の99%は100ドル以下だった

・献金者の45%は39歳以下だった

■第一四半期の特徴:

・集めた資金:1820万ドル(これは第一四半期において候補者の中で最も高額)

・献金者数:約90万人

・献金者の99.5%の献金額が100ドル以下だった

・1件当たりの平均献金額:20ドル

●ピート・ブティジェッジ:1910万ドル(5090万ドル)

・2019年10月1日:インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジは2019年第三四半期で1910万ドルを集めた。第二四半期の献金額2480万ドルよりも少なくなった。しかし、政治資金額を見れば、献金の面で、彼が有力候補であることには変わりがない。

・選対によると、献金者数は58万人以上で、そのうちの18万2000人が新しい献金者だった。1件当たりの平均献金額は32ドルだった。

■第三四半期の特徴:Third quarter highlights:

・集めた資金:1910万ドル

・新たな献金者数:18万2000人

・1件当たりの平均献金額:32ドル

■第二四半期の特徴:

・集めた資金:2480万ドル(第一四半期に比べて3倍以上の増加)

・献金者数:29万4000人

・1件当たりの平均献金額:47.42ドル

■第一四半期の特徴:

・集めた資金:700万ドル強(第一四半期で第4位)

・献金者数:15万8550人

・1件当たりの平均献金額:36.35ドル

・献金の64%は200ドル以下の献金

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。 
democraticpresidentialdebate4thoctober2019001

 4回目のアメリカ大統領選挙民主党予備選挙候補者討論会がオハイオ州で開催された。出席者は12名で、ボイコットを示唆していたトゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)も出席した。今回の討論会は最近支持率を上げているエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)に対する攻撃が目立つ展開となった。

元々、「ウォーレン議員は計画立案者タイプであって、計画を実行するタイプではない」という批判が根強くある。ウォーレンは様々な政策提案を数多く行っている。前歴がハーヴァード大学法科大学院教授ということもあるのか、レポートや報告といったたぐいのものを出すのを苦にしないタイプなのかもしれない。しかし、それが「政治は実行することが大事だ」という批判を招いている。

 民主党予備選挙の争点は、「メディケア・フォ・オール」だ。これは簡単に言えば、国民皆保険を導入するということだ。連邦政府が健康保険を主管するということである。この計画の主導者であるバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は、単一支払者制度を主張している。これは政府が税金で資金を集めて健康保険を実施するというものだ。これに対して、民間の保険会社の制度も残すという主張を行っているのがインディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジだ。

 このような「社会主義的」な政策には、中道派や右派であるジョー・バイデン副大統領やエイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)が非現実的だとして攻撃している。政府が健康保険分野で民間を圧迫するなという主張をしている。一方で、若者たちを中心に、高い保険料を徴収して、健康保険で莫大な利益を挙げている民間会社に任せるべきではない、という考えからサンダースを支持する人々も多い。「ヨーロッパ諸国や日本はそうやっているのに」という主張をしている。

 メディケア・フォ・オールを実施するとなるとコスト面が心配だ、結局増税につながるというのが反対派の主張であり、サンダースやウォーレンは、税金は上がるが、それまで払っていた保険料はなくなる訳で、家計全体で見ると負担は減ると反論している。

 アメリカのエネルギーを持続可能なものに移行させるという「グリーン・ニューディール」についても左派であるサンダースとウォーレンに対して、中間派や右派から非現実的だと批判が起きている。特に、連邦政府が雇用保障をするという点が夢物語だという批判に対して、サンダースは2000万人分の雇用が生み出されると主張している。

 アメリカ軍のシリアからの撤退というドナルド・トランプ大統領の決定については、アメリカ軍の撤退は支持するが、無計画性のためにクルド人が犠牲になっているという批判を各候補が行った。アフガニスタンでの従軍経験があるブティジェッジは少数の特殊部隊は残しておくべきで、アメリカは約束を破ったので名誉が傷ついたと主張した。一方、イラクとアフガニスタンで従軍経験があるギャバードは、そもそもシリアで政権転覆のための戦争をさせたことが問題なのだ、と述べた。

 ウクライナ疑惑に関しては、バイデンが討論会の壇上で、「自分も息子も何も間違ったことはしていない」と述べた。仕事についてはきちんと分けていたのだから、と述べている。しかし、バイデンの主張に対しての疑念はずっと残り続けるだろう。

 今回の討論会は左派対中道派・右派の構図で、トップとなったウォーレンに対する攻撃が激しかった。

 次回は討論会についてのより詳しい分析と評価についての記事をご紹介したい。

(貼り付けはじめ)

ウォーレンは、「メディケア・フォ・オール」のコストについてライヴァルたちから攻撃を受けた(Warren takes fire from rivals on cost of 'Medicare for All'

ピーター・サリヴァン筆

2019年10月15日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/healthcare/465979-warren-takes-fire-from-rivals-on-cost-of-medicare-for-all

エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は火曜日夜の討論会で他の候補者たちから攻撃を受けた。ウォーレンの「メディケア・フォ・オール」政策と中流階級への税率を引き上げるかどうかについて答えを明確にしていないことについて批判を受けた。

ウォーレンは、ここ数週間、多くの世論調査で支持率の数字を伸ばしている。ウォーレンは自身の「メディケア・フォ・オール」政策の財源として中流階級への税率を引き上げるのかという質問にはっきりと答えなかった。ウォーレンは自分のスタンスは保険料と控除が廃止されることで中流階級のコストは下がるということを考慮に入れていると繰り返した。

しかし、インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジは、「イエスかノーかの質問でイエスともノーとも答えない」と批判した。ブティジエッジは民間保険と公的保険を選べる選択制の制度を主張し、進歩主義派の支持者たちを取り込もうとしている。

ブティジェッジは「ウォーレン上院議員は全てのことに対して計画を持っていはいるが、メディケア・フォ・オールのように署名だけしている、実際には自分では作っていない計画というものがある」と述べた。ウォーレンは、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)の作ったメディケア・フォ・オール計画を支持はしているが、自分自身の計画を作っていないと攻撃した。

ブティジエッジはメディケア・フォ・オールによって「民間の保険は消えてなくなってしまう」だろうと述べた。

ウォーレンは完全なメディケア・フォ・オール計画を強く擁護することで反撃した。ウォーレンはブティジエッジの選択の余地の残すアプローチについて「支払いが出来る人だけのメディケア・フォ・オール」と揶揄した。

ウォーレンは「メディケア・フォ・オールは譲れない基礎だ」と述べ、「支払いが出来る人だけのメディケア・フォ・オールを支持しない」と付け加えた。

一方、中間派のエイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)はメディケア・フォ・オールを「煙のように消えてしまう夢」と切って捨てた。

メディケア・フォ・オールの作成者であるサンダースは、ウォーレンから話を引き取って「税金が上がるであろうということを分かっておくのは重要だ」と述べた。しかし、サンダースは同時に保険料と控除が廃止されると中流階級のコストは下がることになるとも付け加えた。

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バイデンはウクライナでの息子の仕事を強く擁護した(Biden forcefully defends son's work in Ukraine

ジョナサン・イーズリー筆

2019年10月15日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/465977-biden-forcefully-defends-sons-work-in-ukraine

ジョー・バイデン前副大統領は火曜日、トランプ大統領からの攻撃の最中にある、息子のウクライナでの仕事について強く擁護した。トランプ大統領はウクライナの検事総長の更迭をバイデンが促したのではないかと疑義を呈している。

オハイオ州ウエスタ―ヴィルで開催された4回目の民主党予備選挙候補者討論会で、バイデンは「いいですか、私の息子は何も間違ったことはしていません。私もまた何も間違ったことをしていません」と述べた。

バイデンは「私は、ウクライナの腐敗を根絶するというアメリカ政府の政策を実行したのです」と続けた。

ハンター・バイデンは火曜日、父ジョー・バイデンがオバマ政権の対ウクライナ政策の中心人物であった時に、ウクライナのエネルギー関連企業の取締役に就任するという誤った判断をしてしまったと述べた。

利益相反について批判している人たちがいるが、ジョー・バイデンとハンター・バイデンが何か間違ったことをしたことを示す証拠は存在しない。

バイデンは次のように述べた。「私が息子とウクライナについて何かを議論したことなども1回もありません。私が息子と議論したこととする証拠を示している人は誰もいません。私たちは親子の間で仕事の面で完全に分離していました。利益相反の可能性など起こるはずもありません。私の息子は彼自身で判断しました。私は彼が述べたことを誇りに思います。皆さん、重要な問題に目を向けましょう。トランプの腐敗こそが重要な問題なのです。私たちはこの問題にこそ集中すべきです」。

バイデンはトランプがバイデンの疑惑を集中的に取り上げているのは、大統領選挙本選挙でバイデンと戦うことを恐れているからだと述べた。

バイデンは「トランプ大統領は私が民主党候補者になって欲しくないのです。彼は、私が民主党の指名候補となったら、彼を完膚なきまでに叩きのめすことを分かっているのです」と述べた。

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サンダース:「私たちは全てのアメリカ人に仕事を与えることができる」(Sanders: 'Damn right we will' have a job for every American

ジョン・バウデン筆

2019年10月15日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/465983-sanders-damn-right-we-will-have-a-job-for-every-american

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は火曜日の民主党予備選挙候補者討論会で、全国民向け雇用保障を求めていることを擁護した。サンダースは視聴者たちに対して、彼が推奨している「グリーン・ニューディール」計画は、仕事を探しているアメリカ人のために雇用を創出すると訴えた。

労働力となっている全ての成人に連邦政府が仕事を与えることが出来るのかと質問され、「私たちは当然できる」と答えた。

「私たちは当然できる」とサンダースは答えた。続けて「私が訴えているグリーン・ニューディールで、化石燃料から持続可能性に移行することで、2000万人分の雇用を創出できる」と述べた。

サンダースは民主党予備選挙候補者の中でグリーン・ニューディール計画を支持している一人だ。グリーン・ニューディール法案は、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)とエド・マーキー連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)が提出したものだ。この計画では、アメリカ国内のエネルギー網を持続可能的な形式に急速に移行させ、同時にアメリカ国内のインフラを改良し、アメリカ国内の交通網をエネルギー効率の良い形に向上させるというものだ。

グリーン・ニューディール計画は今年初めに発表された。その中には連邦政府による雇用保障も含まれている。これについてアンドリュー・ヤンが批判した。ヤンはユニヴァーサル・ベイシック・インカムの支持者である。

ヤンは討論会でサンダースを批判した。ヤンはサンダースの計画は専業主婦である自分の妻のような人たちについて考慮していないと述べた。ヤンの妻は自閉症の男の子を含む、子供たちの世話をするために専業主婦になっているということだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 今回はアメリカ大統領選挙民主党予備選挙に現在まで残っている候補者15名についての記事をご紹介する。

 現在15名が立候補しているが、日本で報道されるのは上位3名のジョー・バイデン前副大統領、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)だ。それ以外にも12名が選挙運動を行っているが、その姿は見えてこない。

 2019年10月15日に開催される4回目の討論会に出席するのは上位12名だ。下の記事のグループ分けでは第4集団までの人々だ。意外な検討を見せているのは、大富豪のトム・ステイヤーとIT実業家アンドリュー・ヤンだ。この2人は大物政治家たちを抑えて支持率を伸ばしている。昨年の中間選挙で注目されたビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)は支持率を下げている。上位から中位に下がっている。

 このグループ分けで第1集団に入っている上位3名が有力で、後の集団に入っている12名は、実際に予備選挙が始まって大逆転を目指すしかない。そのために早期に予備選挙が実施される各州、オハイオ州、ニューハンプシャー州、サウスカロライナ州、ネヴァダ州に重点を置いて選挙運動を行っている候補者も出ている。

 「へー、こんな人たちが出ているんだ」という興味本位で良いので、ざっと顔ぶれを見ていただければと思う。

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2020年大統領選挙民主党予備選挙候補者15名をランキングにし、いくつかの集団に分けた(The top 15 Democratic presidential candidates of 2020, ranked and tiered

アーロン・ブレイク筆

2019年10月11日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/politics/2019/10/11/top-democratic-presidential-candidates-ranked-tiered/

4回目の大統領選挙民主党予備選挙候補者討論会が火曜日に開催される。この日は2019年第三四半期の政治献金に関する報告書を連邦選挙管理委員会に提出する期限となっている。

このような重要な週を控え、私たちは通常通りに15名の民主党候補者たちのランキングを作成した。これまでと同様、党の指名を勝ち取る可能性の順番になっている。今回からいくつかの集団に分けるという作業を行った。

第5集団(Tier 5

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15.マイケル・F・ベネット(Michael F. Bennet)連邦上院議員(コロラド州選出):このリストに掲載されている候補者たちの中で、世論調査の数字の点でベネットよりも悪化している人物はいない。ウェブサイト「リアルクリアポリティックス」が出している各種世論調査の数字の平均を見ると、ベネットは0.5%である。アイオワ州とニューハンプシャー州の世論調査の平均は0.0%だ。ベネットは2019年第三四半期で210万ドルの政治資金を集めており、選挙戦を継続するには十分だ。しかし、討論会に登壇できない状況では、選挙戦はいつまで続くだろうか?(前回順位:15位)

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14.ジョン・ディレニー(John Delaney)前連邦下院議員(メリーランド州選出):ディレニーは各種世論調査の支持率ではベネットよりもやや良いという程度だ。アイオワ州での平均は0.7%を記録している。ディレニーはアイオワ州で何とか出来ると考えているようだ。しかし、彼は自分自身の資金も含め、多くの資金を投入しているが支持は伸び悩んでいる。(前回順位:13位)

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13.モンタナ州知事スティーヴ・ブロック(Steve Bullock):面白い事実がある。ブロックは2020年米大統領選挙民主党予備選挙に残っている最後の州知事だ。第3回、第4回の討論会に参加できなかったが、選挙戦で最後の州知事となっているブロックはいつまで選挙背を続けられるかという疑問が出てくる。(前回の順位:14位)

第4集団(Tier 4

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12.トゥルシー・ギャバード(Tulsi Gabbard)連邦下院議員(ハワイ州選出):ギャバ―ドは第3回の討論会に出席できなかったが来週開催の4回目の討論会には出席できるようになった2名の候補者のうちの1人だ。しかし、現在のところ、ギャバードは、民主党の「捻じ曲げられた」予備選挙プロセスを理由にして、討論会をボイコットすると激しく主張している。しかし、彼女が実際に登壇しないとなれば私は驚かざるを得ない。結局のところ、討論会に出ないという選択肢が彼女の側にあるだろうか?(前回順位:12位)

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11.実業家トム・ステイヤー(Tom Steyer):4回目の討論会がステイヤーにとって最初の討論会となるだろう。以上終わり。面白いこぼれ話がある。彼は、多くの候補者が訴えるよりも前にこれまで数カ月にわたって大統領弾劾を強く訴えてきた。TVコマーシャルも打ってきた。そして、現在公式な調査が始まっている。それでは彼は次に何を訴えるのだろうか?気候変動についてだろうか?それとも更に大統領弾劾についてだろうか?(前回順位:11位)

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10.アンドリュー・ヤン(Andrew Yang):アンドリュー・ヤンは、アジア系に関するステレオタイプを利用しているとして批判を受けている。彼はこのようなステレオタイプと戦おうとしてきたが、ジョークとして使っていることについてきちんと謝罪はできていない。『ロサンゼルス・タイムズ』紙の報道によると、アジア系アメリカ人であることについての自虐的なジョークをいうことについて、「私にとってこれまでもそして現在も競うためには最善の方法なのだ」と述べた。(前回順位:10位)

第3集団(Tier 3

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9.ビトー・オローク(Beto O’Rourke)前連邦下院議員(テキサス州選出):オロークは民間に出回っている軍隊が使用するような武器の没収を強く訴えている。これが計算された政治的な動きかどうかは別にして、彼の沈滞した状況を変えるまでには至っていない。共和党側は、オロークの主張を利用して、「民主党があなたの銃を奪いに来る」と自分たちの支持者たちに訴えている。(前回順位:9位)

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8.フリアン・カストロ(Julián Castro)前住宅・都市開発長官:カストロは選挙戦の中で、攻撃的な言動を見せている。同僚である候補者たちを躊躇なく批判しているし、トランプ大統領を厳しい言葉を使って非難している。しかし、今週の『ニューヨーク・タイムズ』紙が報じているように、彼自身はこのような批判を得意とするタイプの政治家ではない。(前回順位:7位)

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7.エイミー・クロウブシャー()連邦上院議員(ミネソタ州選出):クロウブッシャーは第3集団ではトップに位置づけられる。それはアイオワ州での支持率が高いからだ。リアルクリアポリティックスの平均の数字では4.7%である。しかし、アイオワ州は彼女の地盤ミネソタ州の隣の州であり、この数字は当然だ。彼女に必要なのは全国規模でのアピールだ。(前回順位:8位)

第2集団(Tier 2

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6.コーリー・ブッカー(Cory Booker)連邦上院議員(ニュージャージー州選出):ブッカーは支持者に対して選挙運動を続けるには更なる政治資金が必要だと訴えた。そして、彼は必要な政治資金を手に入れた。現在、ブッカーはアイオワ州に注力している。今週、ブッカーはCBSニュースの取材に対して次のように述べた。「私はアイオワ州の党員集会で1位になれるように注力している。1位になるために戦っている。私は勝利を収めることが出来ると確信している。勝利を収めるために100日以上ある」。しかし、アイオワ州での各種世論調査でのブッカーの平均支持率は2.3%だ。(前回順位:5位)

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5.インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジ(Pete Buttigieg):ブティジエッジが各種世論調査で獲得する支持率の数字で私が気になることがある。彼は民主党支持の有権者の中で最も人気の高い候補者の一人であり、アイオワ州とニューハンプシャー州での世論調査ではエリザベス・ウォーレンに次いで人気では2位につけることもある。彼は多額の選挙資金を集めている。それなのに世論調査の支持率は伸び悩んでいる。(前回順位:6位)

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4.カマラ・ハリス(Kamala Harris)連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党):アイオワ州に限って言えば、ハリスは上位につけているのは明らかだ。ブッカーと同様、選挙戦で生き残るためにはアイオワ州の党員集会で勢いをつけることしかないという考えに基づいて選挙戦を展開している。1回目の討論会で勢いづいたが、現在までにその勢いも失われ、世論調査が始まった頃の支持率に戻ってしまっている。(前回順位:4位)

第1集団(Tier 1

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3.バーニー・サンダース(Bernie Sanders)連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属):サンダースについて大きなニュースといえば先ごろ彼が心臓発作で倒れたというものだ。78歳の候補者にとってそれは大した問題ではないと私たちはおためごかしを言うことはできない。また、選対がこの事実を数日後に公表したのは何故か、ということも疑問として残る。サンダースは、心臓発作で倒れた事実を選対が隠したと言われていることに苛立ち、何が起きたのかを把握するのに時間がかかったのだ、と発言している。支持率の数字が下がっているが、それでも他の候補者を圧倒しており、第1集団に入っている。ウォーレンが支持率を伸ばしている状況であり、サンダースも上昇するための要素を見せる必要がある。(前回順位:2位)

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2.ジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領:先月に比べて順位を上げた。これはサンダースの順位が下がったおかげである。順位は上がったが、それはバイデン自身の力ではない。バイデンはトランプからのウクライナ疑惑をめぐる攻撃に対して反撃として有効な答えをしていない。ジョー・バイデンの行動についての疑惑に証拠がないとしても、有効な反撃が出来ていないということは彼の選挙戦に影響を与える可能性が高い。ハンター・バイデンがウクライナのエネルギー関連企業の取締役に就任し法外な報酬を受け取っていたことはジョー・バイデンにとって少なくとも有利には働かない。バイデンはこのことについて話さねばならないことについて不快に感じているだろうが、だから取って避けて通る訳にもいかないし、自然に消えてしまうこともない。大統領弾劾の調査に焦点が集まっている現在、彼は明確なメッセージを出すべきだ、それもなるべく早くに。(前回順位:3位)

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1.エリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)連邦上院議員(マサチューセッツ州選出):私はしばらくの間のつもりで、ウォーレンをトップに据えた。しかし、彼女に対しては以前に比べて好意的な評価をするようになっている。ウォーレンはいくつかの全国規模の世論調査の支持率と早期に予備選挙が実施される各州での各世論調査の支持率でトップに立つことがある。これはライヴァルたちが足踏みをしているということもあるが、選挙運動を強力に進めていることも理由として挙げられる。ウォーレンが党の指名を受ける候補者になる可能性が高まっているという考えを民主党員や民主党支持の有権者が持ち始めているが、彼女はこの考えをいかにして人々に持続して持ってもらえるようにするか注目される。(前回順位:1位)

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 古村治彦です。 

 2019年10月15日に民主党予備選挙候補者による4回目の討論会が実施される。次は2019年11月20日に開催されることが決定した。参加条件はぐっと厳しくなっているが、既に8名が条件をクリアしている。

2019democraticpresidentialdebatenovemberqualification001

 上位5名のジョー・バイデン前副大統領、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、民主党)、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)、インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジは順当に条件をクリアした。また、コーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)、実業家トム・ステイヤー、IT実業家アンドリュー・ヤンが条件をクリアした。

 ビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)、エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)、フリアン・カストロ前住宅・都市開発長官といった第2、第3集団に入っている全国的にも知名度がある政治家たちがまだ条件をクリアしていない。トム・ステイヤーとアンドリュー・ヤンはよく健闘しているということになる。

 参加条件は献金者数16万5000名以上で、全国規模の世論調査で支持率3%以上を4回以上記録するか、早期に予備選挙が実施される各州での世論で支持率5%以上を2回以上記録するということになっている。献金者数の条件をクリアしているが、世論調査の支持率で苦戦している候補者が多い。民主党全国委員会が認定した各種世論調査が使われるため、認定されない世論調査で出した数字は認められない。これに不満を持ち、批判しているのがトゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)だ。

 民主党予備選挙は来年2月に始まる。予備選挙の形式には2種類あって、党員集会(caucus)と予備選挙(primary)がある。全米で最初に始まるアイオワ州では党員集会が実施される。現在、苦戦中の候補者たちは、アイオワ州、ニューハンプシャー州、サウスカロライナ州、ネヴァダ州で番狂わせを起こして、選挙の流れを変えようと躍起になっている。実際の選挙で状況を変えることが出来れば、それまでの世論調査の結果などは意味がないということになる。しかし、それはなかなか難しいことでもある。

 民主党予備選挙はだんだん人数が絞られていく。年末までに更なる撤退や転進が出るだろう。現在の上位5名+5名ほどは年を越して選挙を続けられるだろうが、それ以外の候補者たちは厳しい状況になるだろう。

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11月の民主党予備選挙候補者討論会の参加条件をクリアしたのはヤンで8人目に(Yang becomes eighth Democrat to qualify for November presidential debate

マックス・グリーンウッド筆

2019年10月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/464882-yang-becomes-eight-democrat-to-qualify-for-november-presidential-debate

IT実業家アンドリュー・ヤンが来月開催される5回目の民主党討論会の条件をクリアした。これで8人が条件をクリアしたことになる。火曜日に発表された世論調査の結果、ヤンは全国規模で3%の支持率を記録した。

11月の討論会に出席するためには、候補者たちは少なくとも16万5000名以上の献金者を集め、全国規模の世論調査で支持率3%以上を4回以上、もしくは早期に予備選挙が実施される各州での世論調査で支持率5%以上を2回以上記録しなければならない。

ヤンは既に献金者の条件をクリアしている。ヤン選対は先週、既に30万名以上が彼の選挙運動に資金を献金していると発表した。

キュニピアック大学が火曜日に発表した世論調査で、ヤンは11月の討論会参加条件クリアに必要な4回目の支持率3%以上を超えた。この世論調査で、ヤンは支持率3%を獲得し、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)と同率で5位となった。

火曜日、ヤンはツイッター上で討論会参加条件クリアを祝った。その中で、「私の選挙運動は日々局面を好転させている」と書いている。

11月の討論会の参加条件をクリアした彼を除く他の7名は次の通りだ。ハリス、ジョー・バイデン前副大統領、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)、インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジ、コーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)、大富豪の社会事業家トム・ステイヤーだ。

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 アメリカ大統領選挙民主党予備選挙に立候補しているトゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)が10月15日に開催される候補者討論会への参加をボイコットする可能性について言及した。9月の討論会には参加条件をクリアできずに登壇できなかったギャバードだが、10月は条件をクリアし登壇できることになっている。討論会に参加できない、しないということは、有権者へのアピールという面から大きな痛手となる。
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 現在、アメリカ政治の中で大きな話題になっているのはウクライナ疑惑であり、マスコミもそちらを中心に報道している。そうなると、民主党予備選挙に使われる時間と労力は少なくなり、有力候補の動向が報道されるだけで、その他の候補者のことはまず報道されない。

 ギャバードとしては、討論会の参加条件がどんどん厳しくなっていく中で、そのような条件設定をするのはおかしいと攻撃するのは当然だ。また、このようにして民主党全国委員会に噛みつくことで、民主党支持者の中で反主流派を応援したいと考える支持者へのアピールということも考えているだろう。民主党予備選挙についての報道が減る中で、このような捨て身の行動をすることで、報道されることになり、存在感を示すこともできる。

 民主党全国委員会はどうしても主流派の組織となり、反主流派からは公平とは言えない運営をすると見られている。2016年の予備選挙ではヒラリー・クリントン元国務長官に有利になるように動いていた。当時、副委員長を務めていたギャバードは抗議のために辞任し、ヒラリーの対抗馬となったバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)を応援した。

 このような実態を良く知っているギャバードが討論会参加条件について疑義を呈するのは当然だ。また、彼女にしてみれば選挙戦を続けられるかどうかの重要な要素ということもあり、必死に動いているということでもある。

 とかく日本では、規則だからルールだから諦めろ、従え、規則やルールを疑うな、批判するなという事なかれ主義と自分を主流派においての上から目線での発言が多く出る。しかし、「ジタバタして最後まで粘る、戦う」という姿勢がなければ、このような権威盲従的な姿勢では、ハッと気づいた時には、最終的には自分たちが追い込まれてどうしようもない状況に陥ってしまう。日本人の過剰な権威盲従的姿勢からすれば、ギャバードの姿勢はとても受け入れられず、和を乱す不埒な存在ということになるだろう。しかし、これくらいの「突んがった姿勢」でなければ、2年おきの下院議員選挙で4回も勝てはしない。

 また、こうした姿勢を容認するスペースがあるという点で、アメリカは日本よりも優れているということになる。

(貼り付けはじめ)

ギャバードの討論会ボイコット:「我が国の民主政治体制に対する深刻な脅威だ」(Gabbard on possible debate boycott: 'There is a very serious threat to our Democracy'

テス・ボン筆

2019年10月12日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/hilltv/rising/465397-gabbard-on-possible-boycott-of-october-debate-there-is-a-very-serious-threat-to

トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)は金曜日、来週の米大統領民主党予備選挙候補者討論会をボイコットするという脅しを続けている。ギャバードは、民主党全国委員会が設定した討論会参加条件は、「我が国の民主政治体制に対する深刻な脅威」だと述べている。

民主党予備選挙に立候補しているギャバードは、民主党全国委員会が設定した「信頼性の低い世論調査」と「恣意的な必要条件」を攻撃し、「予備選挙が開始される前に、自分たちで自分たちの気に入った形になる予備選挙を行おう」としていると非難した。

ギャバ―ドは有力候補たちの後塵を拝している。彼女は火曜日に開催予定の討論会を欠席することを考えている、その理由は参加条件などの規則が有権者から力を奪うものになっていると考えるからだと発言した。

ギャバードは「民主党全国委員会と委員会と密接な関係になる大企業メディアは、有権者が持っている責務としての選挙プロセスを有権者から奪おうとしている」と述べた。

民主党全国委員会は「ヒルTV」からのコメント要請に対して即座に対応しなかった。

ギャバードは木曜日、オハイオ州で開催される討論会に欠席する可能性に初めて言及した。 彼女はこれから数日で決断すると述べた。

民主党全国委員会は討論会に関する手続きなどについて擁護している。民主党全国委員会は、9月と10月の討論会の参加条件を発表したのは今年の5月であり、候補者たちには条件クリアのための時間を十分に与えたと述べている。民主党全国委員会のある幹部は、ギャバードの討論会に対するこれまでの様々な批判に対して、有力候補者たちに討論会参加条件クリアと準備のために十分な時間を与えないことは、党全体に「有害」なことになるだろうと述べた。

ギャバードは9月の討論会に参加できなかったが、10月の討論会の参加条件はクリアしている。候補者たちは火曜日に開催される討論会に参加するために、13万名以上の献金者を集め、全国規模の世論調査で支持率2%以上を4回以上記録しなければならない。ギャバードを含む12名の候補者たちが参加条件をクリアしている。

11月の討論会の参加条件は16万5000名以上の献金者を集め、全国規模の世論調査で3%以上の支持率を4回以上記録しなければならないというものだ。現在のところ、この参加条件をクリアしているのは8名だけだ。

ギャバ―ドは「ヒルTV」に出演し、インタヴューを受けた。彼女は火曜日の討論会をボイコットするかどうかについての決断は「注意深く」行うと述べた。彼女はボイコットの可能性について民主党全国委員会から直接何も言われていないとも述べた。

ギャバードは次のように語った。「私は支持者の方々から寄せられる意見を聞き続けている。そして、ボイコットいう決断をした場合の様々な影響について考え続けている。私が考えているのは、どのようにしたら変化をもたらすために影響を与えるにはどうしたらよいかというものだ」。

ギャバードは民主党全国委員会が設定した討論会参加条件についてこれまで批判してきた。ギャバードは透明性と公平性について民主党全国委員会に疑義を呈している。

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