古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

2020年05月

 古村治彦です。

 今年のアメリカ大統領選挙は、共和党は現職のドナルド・トランプ大統領とマイク・ペンス副大統領、民主党はジョー・バイデン前副大統領の戦いということになる。バイデンは「女性を副大統領候補に指名する」と発表している。「誰が副大統領候補になるのか?」「誰が副大統領候補にふさわしいのか?」とアメリカのメディアでは多くの名前が挙がっている。

 職務としては、連邦上院議員、連邦下院議員、州知事、市長、人種としては白人、アフリカ系アメリカ人、ヒスパニックなどと多士済々である。しかし、誰もかれも実際に政権に入って仕事をした経験がなく、外交の経験もない。そこで出てくるのが、下に紹介する記事で取り上げられているスーザン・ライス(Susan Rice、1964年-)である。
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ライスとオバマ
 スーザン・ライスはオバマ政権8年間の内、前半は米国国連大使(閣僚級の扱いを受け、閣議にも出席できる)、後半は国家安全保障問題担当大統領補佐官(ホワイトハウスで外交を取り仕切る、国家安全保障会議
[NSC]を主宰)を務めた。オバマ政権二期目では国務長官の候補にも名前が挙がったが、「アラブの春」の過程で起きた、リビアのベンガジでのアメリカ領事館襲撃事件をめぐり、失言をしてしまったので、連邦上院の人事承認は得られないということで、承認の要らない国家安全保障問題担当大統領補佐官に就任した。

 拙著『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所)で、私は、スーザン・ライス、国家安全保障会議(NSC)メンバーと米国国連大使(2017-2019年)を務めたサマンサ・パワー(Samantha Power、1970年-)、アメリカ国務省政策企画本部長(2009-2011年)を務めたアン・マリー・スローター(Anne-Marie Slaughter、1958年-)名をヒラリー・クリントンの側近の女傑3人として紹介した。
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ライスとヒラリー・クリントン
奥にサマンサ・パワー
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スローター(左)とヒラリー

 このヒラリー派は「人道的介入主義(Humanitarian Interventionism )」と呼ばれるグループだ。この人道的介入主義派は、「世界各国、特に非民主的な国々、特栽国家で虐げられている人々を助けるために、アメリカの力を使う、アメリカの軍事力で政権転覆(regime change)を行うべきだ」という考えだ。そのためには戦争を厭わない。

ヒラリー派の人物の名前が副大統領候補に出てくることは甚だ危険だ。特に、年齢や健康に不安があるバイデンの副大統領候補ということは、当選して、バイデンに何か事が起きれば、大統領ということになる。もしライスが副大統領になり、大統領に昇格すれば、これは「ヒラリーの勝利」ということになる。アフリカ系アメリカ人初の大統領はバラク・オバマが成し遂げたが、女性初の大統領をライスが成し遂げるということになるが、その裏では、ヒラリー派が暗躍するということは十分に考えられる。

 そうなれば何が起きるかと言えば、国際関係の緊張だ。ロシア、中国、北朝鮮との関係は緊迫化し、最悪の場合には武力衝突ということも考えられる。「アフター・コロナ」時代において、不安定化した国内状況、国際状況を転換させるために、戦争が起きるということも考えられる。

(貼り付けはじめ)

プレス:スーザン・ライスはアメリカ合衆国大統領になる心づもりで選挙に出る準備ができている(Press: Susan Rice would be ready to step in as POTUS

ビル・プレス筆

2020年5月26日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/campaign/499646-press-susan-rice-would-be-ready-to-step-in-as-potus

副大統領候補を選ぶって?何か簡単そうだ。しかし、実際はそうではない。実際、ジョー・バイデンは現在、最も難しい仕事に直面している。それは、彼の決定には多すぎる要素が入ってくるからだ。

バイデンにとっては、既に女性を副大統領候補に選ぶと公約しているが、そうなれば次のような疑問が出てくる。私たちが知らない候補者がいるのだろうか?副大統領候補は重要な激戦州で勝利をもたらすことができるだろうか?民主党支持の有権者たちを熱狂させ、投票に向かわせることができる素晴らしい選挙運動ができる人物なのだろうか?無党派の有権者たちにアピールする人物だろうか?バイデンはこの人物と行動することに居心地の良さを感じるだろうか?そして、最重要なのは、バイデンに何か起きた場合に、この女性は大統領の地位に就くことができるだけの疑いようのない経験を持っているだろうか?という問いだ。

この最後の基準に関して、元国家安全保障問題担当大統領補佐官スーザン・ライス以上の能力を持つ人物は他にいない。連邦政府の役割とは何かを理解し、人々に奉仕するために政府の諸機関の結集された力をどのように使うかを分かっている指導者が現在ほど求められている時代はこれまでなかった。

バイデンには別の多くの強力な候補者たちがいないなどと言うことはできない。実際、バイデンが幸運なのは、選ぶべき人物が多くいるということだ。ある意味では、誰を選んでも失敗ということはない。ライスに加えて、バイデンが考慮中だと知られているのは、大統領選挙の経験を持つ3名の連邦上院議員の名前が挙がっている。カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出)、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出)、エイミー・クロウブッシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出)である。もう一人の連邦上院議員としては、州司法長官を務めた経験を持つ、ネヴァダ州選出のキャサリン・コルテス=マスト連邦上院議員も候補の一人だ。行政経験を持つ州知事2名の名前が挙がっている。1人はミシガン州知事グレッチェン・ウィットマー、もう1人はニューメキシコ州知事ミシェル・ルーハン・グリシャムだ。元警察本部長で現在はフロリダ州選出の連邦下院議員を務めるヴァル・デミングスの名前も挙がっている。地域の指導者2名の名前も挙がっている。その2人は、ジョージア州下院少数党(民主党)院内総務を務めたステイシー・エイブラムス、アトランタ市長キーシャ・ランス・ボトムズである。

ここに名前を挙げた人々はそれぞれ有利な点を持っている。誰を選んでも素晴らしい、そして歴史的な人選ということになる。しかし、ここに名前の挙がった人々の中に、行政と外交における経験において、スーザン・ライスにかなう人はいない。ライスはこれまでの30年間、複雑な政策問題、議会との協働、外国の指導者たちとの交渉、大統領の意向の実現にまい進してきた。ライスは政府と外交をいかに動かすかを知っている。彼女はスタッフをどのように動かすかを知っている。

ライスの人生とキャリアは公職に捧げられたものだった。彼女が最初に参加したのは、クリントン政権で、国際機関と平和維持部門部長と国家安全保障局のアフリカ問題担当部長を務めた。その後、連邦上院による満場一致で承認され、アフリカ問題担当国務次官補に就任した。彼女はキャリアの中で、ソマリアとルワンダでの危機的状況に対するアメリカの対応を指揮した。エボラ出血熱への対応に成功した後、ライスは国家安全保障会議の中に、 国際公衆衛生、生物学的防衛担当部長職(Directorate for Global Health Security and Biodefense )を創設した。この部門は2018年にトランプ大統領によって解体された。

2009年1月、オバマ大統領によって指名され、再びアメリカ連邦上院によって満場一致で承認され、ライスは米国国連大使に就任した。ライスは国連大使として、北朝鮮、イラン、中東、スーダン、リビア、その他の紛争地帯に関するアメリカの外交政策を形成することに貢献した。4年後、ライスはホワイトハウスに戻ることになった。この時は国家安全保障問題担当大統領補佐官としてであった。イランとの核開発をめぐる合意、パリ気候変動合意、キューバとの国交改善においてライスは重要な役割を果たした。

スーザン・ライスはまた人々に語るべき素晴らしい個人的な物語を持っている。母方はジャマイカ移民、父方はサウスカロライナ州の奴隷を先祖に持つ家族といった出自を持ち、ライス自身はアメリカンドリームを実現した。若い女性でかつアフリカ系アメリカ人という不利な点を乗り越えるために、両親の薫陶を受けて育った。彼女はスタンフォード大学を卒業し、ローズ奨学生としてオックスフォード大学に留学した。オックスフォード大学時代には500人の同級生の中でアフリカ系アメリカ人は彼女1人であった。そして、世界という舞台において最も有力な女性となった。ライスの物語は全ての順守の若い有権者を勇気づけるものだが、しかし特にアフリカ系アメリカ人コミュニティを活性化するものだ。アフリカ系アメリカ人コミュニティの熱心で全力な支持はバイデンの勝利にとって必要不可欠な要素である。

我が国がこれまで直面したことのない、最悪の公衆衛生上の危機と経済的危機により、バイデンはアメリカをこれまでの途に引き戻すための重大な挑戦に直面することになるだろう。バイデンには、全力で彼をサポートできる人物を選ぶ必要がある。スーザン・ライス以上の最高のティームメイトを見つけることはできないだろう。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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 古村治彦です。

 古い記事で恐縮だが、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官の新型コロナウイルス感染拡大に関する論考について短くまとめた記事をご紹介する。

 ヘンリー・キッシンジャー元国務長官は、ドナルド・トランプ政権の外交面での「守護神」「橋渡し」の役割を果たしている。トランプ政権は中国とロシアに対して強硬姿勢を取るが、その前後にはキッシンジャーが96歳という高齢にもかかわらず、中国とロシアを訪問して、習近平国家主席、ウラジミール・プーティン大統領と会談を持つということを行っている。北朝鮮外交について関わっているのかは不明だが、中露両国に太いパイプがあるということは、間接的に北朝鮮外交にも影響を与えることができる。

 キッシンジャーは、アメリカが国際協調を主導し、かつ自由主義に基づく世界秩序を維持するために努力しなければならないとしている。また、トランプ政権は新型コロナウイルス感染拡大に対して手堅い仕事(solid job)をしているとも述べている。

 キッシンジャーでもこの程度のことしか言えないのかという内容ではある。しかし、キッシンジャーが述べたという事実が重要だ。

 トランプ政権はマイク・ペンス副大統領、マイク・ポンぺオ国務長官、ロバート・オブライエン国家安全保障問題担当大統領補佐官といった対中強硬派がおり、中国との軋轢を生んでいる。しかし、最後の一線を超えないのは、キッシンジャーがいるからだ。しかし、彼も96歳である。いつまでも健康で生きていられる訳ではない。キッシンジャーが死ぬ時、米中関係が悪化し始めていくだろう。

(貼り付けはじめ)

“失敗によって世界に火がつく可能性がある”:96歳になるヘンリー・キッシンジャー元国務長官は、コロナウイルスが長期間にわたる経済の縮小をもたらす可能性があると警告を発し、アメリカに対しては「自由主義に基づく世界秩序を守る」ように求めている(Failure could set the world on fire.' Former Secretary of State Henry Kissinger, 96, warns coronavirus could spell economic doom for generations and tells US to 'safeguard the liberal world order'

・ヘンリー・キッシンジャー元国務長官は世界規模の経済衰退について警告を発している。

・キッシンジャーは金曜日、『ウォールストリート・ジャーナル』紙に論説記事を発表した。この記事は、「失敗によって世界に火がつく可能性がある」という緊急提言である。

・96歳になるキッシンジャーは、ホワイトハウスは「悲劇的状況の急速な進行を避けるために手堅い仕事」をしていると考えている。

・キッシンジャーはアメリカが治療法の発見を急ぎ、世界経済の再建に努力し、「自由主義を基礎とする世界秩序」を守る必要があると述べている。

・キッシンジャーは「アメリカは独力でウイルスに打ち勝つことはできない」と書いている。アメリカ疾病予防管理センターによると、土曜日の朝の時点で、世界全体で110万件以上の感染と6万400名の死亡が確認されている。

・アメリカ国内では現在のところ、感染者数は27万8602名、死者数は7170名となっている。

チェインヌ・ラウンドトゥリー筆

2020年4月4日

『デイリー・メイル』紙

https://www.dailymail.co.uk/news/article-8187313/Henry-Kissinger-warns-coronavirus-spell-economic-doom-generations.html

ヘンリー・キッシンジャー元国務長官は、適切な手段が取られない場合、新型コロナウイルス感染拡大によって長期間続く可能性がある世界規模の経済の悲劇が起きるだろうと警告を発した。

ニクソン大統領とフォード大統領に仕えたキッシンジャーは金曜日、『ウォールストリート・ジャーナル』紙に論説記事を掲載した。「失敗によって世界に火がつく可能性がある」という切迫した宣言を行った。

96歳になるキッシンジャーは、ホワイトハウスは「悲劇的状況の急速な進行を避けるために手堅い仕事」をしていると考えている。しかし、アメリカの信頼感だけでなく、世界の信頼感を取り戻すために、新型コロナウイルスを打ち倒すために効果的にかつ長期的視野で対応する必要があると考えている。

キッシンジャーは次のように書いている。「COVID-19の感染拡大が終了すれば、多くの国々の諸機関は失敗したと認識されることだろう。この判断が客観的に見て公平かどうかは重要ではない。現実は、アフター・コロナウイルスでは世界はそれ以前とは同じではなくなる」。

キッシンジャーは、アメリカは治療法を発見するために手際よく仕事をしなければならない、また、世界経済を再建し、「自由主義を基盤とした世界秩序」を守らねばならないとしている。更に、「アメリカ一国だけでウイルスを克服するための努力をすることはできない」と付け加えた。

アメリカ疾病予防管理センターによると、土曜日の朝までに、世界で110万人が感染し、6万400人が死亡したということだ。

コミュニティ・ソースド・データ・トラッカーによると、アメリカ国内では、27万8602件の感染が確認され、7170名が死亡した。

治療法はまだ見つからない。医療従事者たちは自分たちの安全を守るために必要な個人装備が十分にないと警告を発した。実際に、医者と看護師の中には患者の治療にあたる中で死亡する人たちが出ている。

キッシンジャーは不足の点を認識している。次のように書いている。「医療物資は、ウイルス拡大に対応するためには不十分だ。集中治療室は限界に達しているし、限界を超えてしまっている状況だ」。

キッシンジャーは次のように書いている。「検査は、感染規模をはっきりさせるための仕事には不十分だ。感染拡大を止めるためには更に不十分だ。ワクチンの開発にはこれから12か月から18か月かかる可能性が高い」。

キッシンジャーは、ウイルスを倒すために、アメリカはアメリカ以外の世界と協力する必要がある、と書いている。彼は、「目下の急務は、世界規模の協力のヴィジョンとプログラムを作ることだ」と述べている。

キッシンジャーは、アメリカはコロナウイルスを倒し、経済を安定化させるために3つのステップを踏む必要があると主張している。最初のステップは、新型コロナウイルスの治療法を見つけることだ。

キッシンジャーは次のように書いている。「感染管理のための新しい技術とテクノロジーを開発し、多くの人々が使用可能となるワクチンを使用できるようにする必要がある」。

キッシンジャーは続けて次のように書いている。「諸都市、諸国家、諸地域は、貯蔵、産学提携、科学の最先端の研究を通じて、感染拡大から人々を守らねばならない」。

次のステップは「世界経済に刻み付けられた傷を癒す」ことだ。

キッシンジャーは、シャットダウンによってもっと影響を受けた人々のダメージを改善する手助けを行うための特別なプログラムの必要性に言及している。

最後に、キッシンジャーは守られるべき自由主義を基調とした世界秩序の諸原理について書いている。彼は、啓蒙主義的な諸原理を守る政府は、「安全保障、秩序、経済的福利、そして正義」を守らねばならないと確信している、と指摘している。

キッシンジャーは次のように買いいている。「感染拡大は時代錯誤を促すことになる。その時代錯誤とは、繁栄が国際貿易と人々の動きに依存している時代に、壁に囲まれた都市の復活という形になる」。

キッシンジャーは続けて次のように書いている。「世界の諸民主政治体制国家は啓蒙思想の諸価値を守り、維持する必要がある。正統性に関して諸大国が均衡している状態から世界が後退することで、国内、そして国際的に社会が崩壊することになる」。

キッシンジャーは1938年にナチスが支配するドイツから両親と一緒に脱出し、ニューヨークに住むようになった。

1950年にハーヴァード大学で政治学博士号を取得後、キッシンジャーはいくつもの会議や政府機関のコンサルタントとしての仕事を始めた。その中には、アメリカ陸軍のオペレーションズ・リサーチ・オフィスや国務省の軍備管理軍縮局は含まれていた。

1960年代、キッシンジャーは共和党の大統領選挙予備選挙に出馬したネルソン・ロックフェラー選対の外交アドヴァイザーを務めた。しかし、1968年の大統領選挙で共和党の大統領選挙指名を獲得したリチャード・ニクソンの選対に転身した。

ニクソンは当選後、キッシンジャーは国家安全保障問題担当大統領補佐官に起用し、後には国務長官に任命した。キッシンジャーはジェラルド・フォードが大統領になった後も国務長官に留まった。

キッシンジャーは1973年にノーベル平和賞を受賞した。北ヴェトナムのレ・ドゥク・トと共にヴェトナム戦争の平和的な解決のための交渉の努力を行った。

中国が発表している公式の数に対して疑義が出ているが、アメリカは最近になってコロナウイルス感染者数が世界最大になっている。

ファウチは、デューク大学男子バスケットボールティームのヘッドコーチであるマイク・シャシェフスキー(Mike KrzyzewskiCoach K)が司会を務めるラジオ番組「バスケットボール・アンド・ビヨンド・ウイズ・コーチK」に出演した。シャシェフスキーはホワイトハウスの新型コロナウイルス対策タスクフォースに参加しているファウチを、COVID-19との戦いにおける「アメリカのポイントガード」だと形容した。COVID-19はウイルスによって引き起こされる疾病だ。

79歳になるファウチは、アメリカは感染拡大にどのように対応しているのか、バスケットボールを使ったたとえで表現するように求められた。

内科医であるファウチは、アメリカ国内のエイズとエボラ出血熱との戦いを含む数多くの戦いを主導してきた。ファウチはニューヨーク市で生まれ育ち、高校時代にはバスケットボールの選手だった。

ファウチは次のように語った。「バスケットボールでたとえるならば、まず私たちはとても強力なティームを作っているということです。相手はもちろんウイルスです。私たちに必要なことは、コート全面を使った厳しいディフェンスです」。

ファウチは続けて次のように述べた。「ウイルスにはドリブルでボールを前に進めさせないようにしなければなりません。私たちはウイルスを圧倒しなくてはなりません。私たちのゲームはまだハーフタイムにもなっていませんよね、コーチK」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 今年の大統領選挙の民主党の候補者指名を確実にしているジョー・バイデン前副大統領がまた軽口を叩いてしまい、批判を浴びた。

 今回は、アフリカ系アメリカ人有権者に関する発言で、「私とトランプとどちらを支持するか迷っているような人は黒人ではない」というものだった。「アフリカ系アメリカ人だったら私と民主党を支持するのが当然だ」という傲慢な発言である。

 この発言が出たのは、アフリカ系アメリカ人コミュニティで人気の高いラジオ番組「ザ・ブレックファスト・クラブ」という番組でのことだった。歯に衣着せぬ毒舌で人気の司会者チャーラマーニュ・ター・ゴッドとのやりとりの中で出たものだ。チャーラマーニュ・ター・ゴッドが「私はあなたに批判的」という先制パンチを放ってインタヴューが始まって、丁々発止盛り上がった。予定の時間を過ぎてしまい、バイデンのスタッフが「もうそろそろ」と入った。

 バイデンは自宅の書斎からのリモート出演だったのだが、彼の後に妻ジル・バイデンが配信で使うことになっていた。そこで、スタッフが盛り上がっているところに割り込んだ。これに対して、司会者チャーラマーニュが「黒人メディアではそんなことはさせない」と軽口で言い、バイデンが「これは黒人メディアも白人メディアも関係ない、時間のこともあるし、どうしようかな」と応じた。

 そして、司会者チャーラマーニュが「番組のスタジオがあるニューヨークに来たら、必ずスタジオに来てくださいよ」「あなたには更に質問がある」と述べたのに対し、バイデンが上記発言を行ったという流れである。

 この発言に対しては共和党側と民主党の一部から批判が出た。「アフリカ系アメリカ人有権者にどのように投票せよと指示した」「トランプ大統領を支持するアフリカ系アメリカ人有権者の人種に関する純粋性(これはまた危険な考えであるが)に疑義を呈した」「白人エリート主義者の傲慢」といった非難の声が出ている。バイデンも小賢しい真似をしてしまったという後悔の念を表明した。

 一連の流れを見れば、バイデンがつい口を滑らせた、自分が長年良好な関係を築いてきたアフリカ系アメリカ人コミュニティ向け、相手は毒舌の司会者ということで、きわどいことを言ってしまった、ということであろう。アフリカ系アメリカ人コミュニティでは、差別を逆手に取って、差別語や蔑称を使って会話をする、軽口を叩き合うということがある。そして、アフリカ系アメリカ人ではない人を受け入れてそれを許す場合もあるが、このことは大変に微妙な問題であり、通常は気をつけておかねばならないことだ。

 バイデンとしては、予備選挙でサンダースに追いつめられていたところに、2月末のサウスカロライナ州での予備選挙で予想外の大勝利で流れを変え、一気に逆転し、指名獲得を確実にした。これにアフリカ系アメリカ人有権者の力が大きかったのは事実であり、これに対して、サンダース支持が多かったヒスパニック系が焦り、副大統領候補にはヒスパニック系の女性をという声も出ている。

 バイデンや民主党には「非白人、特にアフリカ系アメリカ人有権者は私たちに投票するのが当然だ」という固定観念があるのだろうが、優位と言われていたヒラリー・クリントンがドナルド・トランプに敗れた、しかも金城湯池のラストベルト、五大湖周辺州で敗れたということをもっと重く受け止めて、2016年からは固定観念は通じない時代になっているのだということを認識しなければ2020年も勝利はおぼつかないだろう。

 バイデンの年齢を重ねた割に、軽率な行動が多いというのは問題である。年齢や健康に加えて彼の行動や発言も不安要素であり、副大統領候補選びはより重要である。もしバイデンが当選すれば、そうした不安要素を抱える彼に何かあった時には大統領にならねばならない人物である。こうした不安が出てくるのはバイデンの不利な点だ。

(貼り付けはじめ)

バイデンはアフリカ系アメリカ人からの支持についての発言を後悔している:「私はあんなにこざかしいことをしなければよかったのだが」(Biden regrets remarks about black support: 'I shouldn't have been such a wise guy'

ジョナサン・イーズリー筆

2020年5月22日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/499213-biden-regrets-remarks-about-black-support-i-shouldnt-have-been-such-a-wise?utm_source=thehill&utm_medium=widgets&utm_campaign=es_recommended_content

ジョー・バイデン前副大統領は金曜日、金曜日の午前中にラジオ番組司会者チャーラマーニュ・ター・ゴッド(Charlamagne Tha God)に、トランプ大統領を支持するならば、「あなたは黒人ではない」と語ったことについて後悔していると述べた。

アフリカ系アメリカ人の実業家たちとの電話の中で、バイデンは午前中の発言は「思慮のないもの」だったと述べ、アフリカ系アメリカ人有権者の支持を当然のことだとか、アフリカ系アメリカ人有権者に対して誰に投票しなければならないとかを述べるつもりではなかったと釈明した。

バイデンは「私はそんなこざかしいことをしなければよかったのですが。あんな短慮なことをしなければよかったのですが」と述べた。

「私は自分が発言した内容を当然のことなどとはまったくもって考えていません。人種、宗教、背景に基づいて特定の投票にしなければならないなどと考えていません。アフリカ系アメリカ人でトランプ大統領は自分の投票に値する人物だと考えている人はいます。私は投票に値しないと考えますし、彼の記録に対抗して私の記録を出す準備はできています。しかし、それ以上ではありません。しかし、あいにくなことでした。あんな思慮のないことをすべきではありませんでした」。

民主党の大統領選挙候補者に内定しているバイデンは、人気のラジオ番組「ザ・ブレックファスト・クラブ」に出演したが、司会者のチャーラマーニュはアフリカ系アメリカ人コミュニティに影響を与える諸問題について更に議論を続けたいと述べた後に、議論を呼ぶ発言を行った。

バイデンは次のように応じた。「もっとたくさん質問があるって?そうですか、私があなたに言いたいことはね、私を支持するか、トランプを支持するか迷っているのならば、あなたは黒人ではない、ということです」。

共和党側、民主党の一部指導者たちは、バイデンの発言を非難した。バイデンが人々に対してどのように考えるべきかを指示し、アフリカ系アメリカ人の人種的純粋性について疑義を呈したと攻撃した。

バイデンの報道担当シモーネ・サンダースは当初、バイデンの発言を擁護した。バイデンの発言は「冗談としてなされた」ものだと述べ、バイデンにはアフリカ系アメリカ人有権者からの強力な支持があることを指摘した。アフリカ系アメリカ人有権者は、大統領選挙民主党予備選挙においてバイデンに復活の勝利をもたらした。

しかし、バイデンの発言はソーシャル・メディア上で議論を呼び、批判が高まっている中で、バイデンに対して釈明すべきというプレッシャーが大きくなっている。

オバマ政権下のホワイトハウスで副官のトップを務めたパトリック・ガスパードは、バイデンは「誰が十分に黒人であり、誰がそうではないかを決める」ための「位置にはいない」と述べた。

ミュージシャンのディデイはツイッター上でバイデンに対して、バイデンの発言は自分に「黒人の投票は自由ではない(black vote ain’t free)」ことを示したと書いた。

ティム・スコット連邦上院議員(サウスカロライナ州選出)や実業家でミシガン州において連邦上ン議員選挙に出馬しているジョン・ジェイムズといった共和党に属するアフリカ系アメリカ人たちはバイデンを非難した。

スコット議員は「民主党はこれまで、アフリカ系アメリカ人コミュニティから支持を得ることは当然だ、自分たちに同意しないアフリカ系アメリカ人は攻撃してよいと考えてきた」と述べた。

ジェイムズは「私は、その中にはアフリカ系アメリカ人木組まれるが、他のすべてのアメリカ国民と同じく、自分自身のために考え、投票する権利を持っている」と述べた。

そして、トランプ選対はバイデンの発言を「人種差別的」で「非人間的」だと述べた。

トランプ選対の上級顧問で、トランプ陣営の「ブラック・ヴォイス」の指導者であるカトリーナ・ピアソンは「リベラル白人のエリート主義者たちは、どのアフリカ系アメリカ人はテーブルにつき発言をすることを許されるかを独占的に決定するという姿勢で首尾一貫している」と発言した。

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バイデンはチャーラマーニュ・ター・ゴッドに語った。:もしあなたが私を支持しないのなら、「あなたは黒人ではない」(Biden tells Charlamagne Tha God: If you don't support me 'then you ain't black'

ジョナサン・イーズリー筆

2020年5月22日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/499128-biden-tells-charlamagne-tha-god-if-you-dont-support-me-then-you-aint-black

ジョー・バイデン前副大統領は金曜日に人気のラジオショー「ザ・ブレックファスト・クラブ」で司会者のチャーラマーニュ・ター・ゴッドに対して、自分の人種についての記録を擁護した。この時、バイデンはチャーラマーニュに、あなたがトランプ大統領を支持するならば、「あなたは黒人ではない」と述べた。

インタヴューが始まって11分が過ぎて、バイデンのスタッフがインタヴューを終わらせようとした。それは、バイデンが自宅のオフィスからインタヴューに答えていたのだが、妻のジル・バイデンが自身の配信イヴェントのために使うことになっていからだ。しかし、バイデンはインタヴューの延長に同意した。

18分後、スタッフは再びインタヴューに口を挟んできた。チャーラマーニュは冗談交じりに次のように言った。「黒人メディアに対してそんなことはできませんよ」。

バイデンは腕時計を見ながら次のように答えた。「私は白人メディアであろうが黒人メディアであろうがやりますよ。私の妻は6時に行かなくちゃいけないものだから。おやおや、困ったことになったな」。

チャーラマーニュは「いいですか、バイデン副大統領、ニューヨークにいらしたら、私たちの番組に来ていただかなくちゃいけませんよ。11月までは時間がたくさんありますよ。私たちは多くの質問がありますからね」と述べた。

バイデンは次のように答えた。「質問がたくさんあるって?いいですか、私を支持するか、トランプを支持するかを決めるのに迷っているようならば、あなたは黒人じゃありませんよ」。

チャーラマーニュは「トランプ大統領には全く興味がないんですよ、だけど、アフリカ系アメリカ人コミュニティのために何かしたいとは思っていますよ」と述べた。

バイデンは次のように答えた。「私の記録を見て欲しいものですよ。私は25年間にわたり投票権法を拡大してきました。私は他の誰の追随も許さないくらいの記録を残していますよ。全米黒人地位向上協会(NAACP)は私が選挙に出る時はいつも推薦支持を出してくれています。いいですか、私の記録を見て下さい」。

チャーラマーニュのラジオショーは民主党の予備選挙期間中、候補者たちが出演したがる番組だった。しかし、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)をはじめ複数の候補者たちは、人種についての記録についてチャーラマーニュから激しく問い詰められたことでトラブルとなった。

バイデンは番組に初めて出演した。そして、インタヴューは時に激しい論争となり、ぎこちないものとなった。しかし、バイデンとチャーラマーニュは最後には穏やかな雰囲気となった。

チャーラマーニュは番組の初めにバイデンに「私はあなたに対して批判的ですよ」と述べた。

バイデンは「あなたがそうだってことは知っていますよ。私のことを知らないんでしょう」と返した。

チャーラマーニュはバイデンに対して、マリファナ解禁を支持しながら、合法化を支持しないのは何故かと説明して欲しいと述べた。

バイデンは次のように答えた。「科学者たちはマリファナが長期間にわたって脳に与える影響を理解しようとしています。私たちは、研究が終わるまで待つべきでしょう。これは科学の問題です」。

チャーラマーニュは「私たちはこれまで何十年も何十年も吸い続けてきたと思いますけどね」と答えた。

バイデンは笑いながら「いや確かに、私もマリファナを吸っている人をたくさん知っていますよ」と述べた。

チャーラマーニュはバイデンに対して、1980年代と1990年代に犯罪関連法案に賛成したことについて説明するように求めた。批判者たちはこの法案によってアフリカ系アメリカ人の投獄が増えたと訴えている。

チャーラマーニュはヒラリー・クリントン元国務長官が彼の番組に出演して、これらの法案を支持したことについて謝罪したと指摘した。そして、ヒラリーが大統領選挙に出馬した理由の一つはこれらへの償いであったと述べた。

バイデンは次のように語った。「彼女は間違いました。あれは犯罪に関する法案ではなく、麻薬規制と最低限の規制を行う機構に関する法案でした。しかし、私は反対しました」。

バイデンは番組中に繰り返しアフリカ系アメリカ人有権者の間で彼が大きな支持を得ている世論調査の結果に言及し、民主党予備選挙について指摘した。予備選挙では、アフリカ系アメリカ人有権者がバイデンを支持し、その結果として全米各地で大勝利を収め、結果として早い段階で党の指名を確実にした。

バイデンはオバマ前大統領を引き合いに出して、「私はこれまでの誰よりも、アフリカ系アメリカ人有権者の中でのより大きな支持を集めています。バラクよりもね」と述べた。

バイデンは「アフリカ系アメリカ人有権者は、自分たちでも述べているように、友人ですよ。私を躍らせてくれるんです。いいですか、冗談じゃないって話ですよ、まったく」と述べた。

共和党系のスーパーPACである「アメリカ・ライジング」は、バイデンの発言の様子を収めた映像を流し、保守派のソーシャル・メディアで映像のやり取りが激しくなった。

トランプ選対の上級顧問でトランプ支持の「ブラック・ヴォイス」の指導者であるカトリーナ・ピアソンは「リベラル白人のエリート主義者たちは、どのアフリカ系アメリカ人はテーブルにつき発言をすることを許されるかを独占的に決定するという姿勢で首尾一貫している」と述べた。

ピアソンは続けて次のように語った。「これらの人種差別的なそして非人間的な発言を受け、ジョー・バイデンが、アフリカ系アメリカ人男性と女性が独立心を持つことができず、自由に考えることができないと確信しているということがこれまで以上に明らかになった。バイデンは、77歳の白人男性である彼はアフリカ系アメリカ人がどのように行動すべきかを決定すべきだと確信しているのだ。バイデンは人種を使って恩着せがましい行動を続けてきた歴史を持っている。そして、本日、バイデンは再び、多くのアフリカ系アメリカ人有権者と私にとって、ジョー・バイデンが私たちの投票に値しない人物だということを証明したのだ」。

ティム・スコット連邦上院議員(サウスカロライナ州選出)は連邦上院で唯一のアフリカ系アメリカ人の連邦上院議員だ。スコット議員もまたバイデンを、アフリカ系アメリカ人にどのように投票すべきかを教え、保守的なアフリカ系アメリカ人有権者の人種的純粋性について疑義を呈したことについて非難した。

バイデン選対のアドヴァイザーであるシモーネ・サンダースはバイデンの発言を擁護した。

サンダースはツイッターで次のように書いた。「副大統領は彼のキャリアを通じてアフリカ系アメリカ人コミュニティと共に、そしてコミュニティのために戦ってきました。副大統領は民主党の指名を勝ち取った。コミュニティの人々の投票全てを獲得し、コミュニティの人々と会いました。これは今年の11月まで副大統領がやりたいことです」。

サンダースは続けて次のように書いた。「“ブレックファスト・クラブ”でのインタヴューの最後に行ったバイデン副大統領の発言の内容は冗談でした。しかし、副大統領が述べた内容を正確に思い出してみましょう。彼がアフリカ系アメリカ人コミュニティと協力してきたこれまでの記録とトランプ大統領の記録を区別しました。以上です」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 新型コロナウイルス感染拡大はアメリカと中国の争いの最前線となっている。アメリカは「中国が初期対応を誤ったために世界中に感染拡大してしまった、責任を取れ」「国際調査団に中国のウイルス学研究所の徹底調査をさせろ」ということを主張している。中国政府は新型コロナウイルスが実験室などで人の手によって造られたものではないと主張し、また、中国が発祥ということはないと反発している。

 「新型コロナウイルスはアメリカが作った、いやいや中国が作った」という討論がずっと続いている。そうした中で、アメリカのドナルド・トランプ大統領とトランプ政権は中国に対して厳しい姿勢を維持している。その急先鋒は、マイク・ポンぺオ国務長官だ。ポンぺオ国務長官は最近になってトーンダウンしたが、「新型コロナウイルス発祥は中国だという証拠はたくさんある」と述べ、世界的な感染拡大の責任は中国にあると述べてきた。

 2020年5月24日の段階で、世界中で約540万の感染者、死者数が34万3000、回復者数が約225万となっている。アメリカは感染者数約167万、死者数が約9万8000、回復者数が約45万となっている。日本は感染者数約1万6500、死者数は808、回復者数は約1万3000となっている。アメリカは感染者数、死者数で世界の約30%を占めている。新型コロナウイルスは今年初めには中国、特に武漢市で猛威を振るったが、今や欧米、特にアメリカで猛威を振るっていると言ことになる。トランプ政権の初期対応の誤りによってアメリカが最大の感染者数年者数を出すということになったという批判もなされている。そうした批判をかわすためにもトランプ政権としては、中国に責任を押しつけたいということになる。

 マイク・ポンぺオという人物が中央政界で知られるようになったのは、2010年の連邦下院議員選挙からだ。2008年にバラク・オバマが大統領選挙で勝利した直後から、アメリカでは保守派の草の根運動としてティーパーティー運動が始まった。小さな政府を標榜し、国民皆保険を目指すオバマケアに反対する、「納税者」の運動を展開した。この運動の資金源は、世界的な大富豪であるコーク兄弟であった。ポンぺオはティーパーティー運動に参加し、2010年の中間選挙で連邦下院議員に当選した。その後、4期連続で当選した。トランプ政権のマイク・ペンス副大統領とポンぺオ国務長官はそれぞれ連邦下院議員の経験があるが、その時のスポンサーだったのはコーク兄弟だった。

 2016年の大統領選挙でドナルド・トランプが勝利を収めると、アメリカの情報・諜報機関CIAの長官に就任した。2018年にレックス・ティラーソンがトランプ大統領のツイッターでの書き込みによって解任された後、ポンぺオが国務長官に就任した。

 マイク・ポンぺオという人物はコーク兄弟の後ろ盾を受けて、中央政界に進出し、CIA長官を務め、現在は最重要閣僚である国務長官を務めている。ポンぺオはコーク兄弟の代理人だ、という記事もあったが、現状を見ればそれはとても甘い見方であったことが分かる。コーク兄弟をはじめとするリバータリアンは対外戦争に反対だ。しかし、ポンぺオの言動や行動はとても危なっかしい。中国やロシアとはいつでもやってやるぞという姿勢だし、トランプ大統領が始めた北朝鮮との直接交渉にしても、北朝鮮側から「ポンぺオ国務長官を外して欲しい」という要請をされてしまうほどだ。

 ポンぺオは複数の勢力とつながり、利用してここまでやってきたと考えることが妥当だろう。それはマイク・ペンス副大統領にも言えることだ。その勢力の中には、アメリカを対外戦争に引きずり込もうという勢力もある。表面ではネオコンや人道的介入派として出ている勢力であるが、その裏がどうなっているのか分からないが、かなり恐ろしい勢力がいるのではないかと私は考えている。トランプ政権は反中央政府、反ワシントン既成政治を旗印に誕生したが、更に一回り大きな勢力に利用されているのではないかと私は危惧を持っている。

(貼り付けはじめ)

●「沈黙のバットウーマン 武漢の研究者、コロナで先駆  米中対立の火種に」

2020/5/20   日経新聞   北京=多部田俊輔、編集委員 滝順一

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59338010Q0A520C2EA1000/

 中国の湖北省武漢市で世界で初めて感染が確認された新型コロナウイルスの発生源を巡って、米中の対立が止まらない。武漢ウイルス研究所が発生源だと主張する米国側に対し、中国側は「捏造(ねつぞう)」だと否定する。真相のカギを握るとみられているのが同研究所の石正麗氏だ。コウモリ由来のウイルス研究者の石氏は「バットウーマン(コウモリ女)」の異名も持つが、このところ動静が途絶えている。

「石氏が家族とともに1千ページに及ぶ秘密文書を持って欧州に逃亡した」。5月はじめ、武漢研究所「発生源」説がくすぶる中、こんな情報が米欧を駆け巡った。すぐに中国メディアは石氏が中国のSNS(交流サイト)に「国を裏切り亡命したとのデマはありえない」と投稿したと報じ、亡命説を否定。しかし石氏は表に出てこない。

「新型コロナウイルスは自然が人類に与えた懲罰であり、自分の命をかけて研究所か

らの流出はない」。石氏は2月初旬に中国のSNSで友人らにこのような趣旨の投稿をしてから、新型コロナの発生源に関して発言を控えている。

石氏は1964年生まれ。大学で遺伝学を学んだ後、政府直属の最高研究機関「中国科学院」傘下の武漢ウイルス研究所に入った。医学などの研究で名門とされる仏モンペリエ大学で2000年にウイルス学の博士号を取得し、武漢に戻った。

石氏が有名になったのは0203年に中国で流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の発生源究明での実績だ。各地の洞窟で野生コウモリを捕まえて体液を分析し、SARSウイルスの起源がコウモリだと証明した。13年に英科学誌ネイチャーで発表し、「バットウーマン」と呼ばれるきっかけにもなった。

15年には今回の新型コロナを予言したともいえる研究成果も、米ノースカロライナ大学のラルフ・バリク教授と共同で公表していた。バリク氏はコロナウイルス研究の第一人者。2人はコウモリのコロナウイルスが変異すると、SARSウイルスの治療薬が効かない新種のウイルスが生まれる恐れがあると、ネイチャー姉妹誌で公表した。

さらに石氏らの研究チームは1月に湖北省政府から新型コロナの研究を命じられると、22月初旬にいち早く、新型コロナもコウモリ由来の可能性が高いと発表していた。

一方、トランプ米大統領やポンペオ米国務長官は武漢ウイルス研究所が新型コロナの発生源だと主張する。最も危険性の高い病原体を扱える「バイオセーフティーレベル(BSL―4」の施設で、最初に感染者が出たとされる野生動物を売買する市場からも約30キロしか離れていない。

米ワシントン・ポストによると、18年に同研究所を視察した米当局者が「コロナウイルスの研究をしているが安全対策が不十分」と警告する公電を米国へ送っていた。ポンペオ氏は研究所の立ち入り検査を求めている。

ただウイルスが意図的に研究所から漏れたとみる専門家は少ない。米メディアによると、カリフォルニア大学の感染症専門家のジョナ・マゼット氏は新型コロナの感染が始まる前に「石氏の研究所には新型コロナウイルスはなかった」と指摘。武漢研究所が発生源だとする米政権の主張に反論する。実情を知る石氏は口を閉ざしたままだ。

大統領選を控えるトランプ政権は「中国たたき」が得票につながるとみて強硬姿勢に傾く。習近平(シー・ジンピン)指導部はポンペオ氏を標的に「人類共通の敵」などと対米批判を繰り返す一方、国内では研究者を含めた情報統制を強める。

「共産党の指導が厳しく愛国的なテーマを掲げないと研究が難しくなっている」。中国の有力大学で教える外国人専門家は漏らす。関係者によると、新型コロナも研究者らが自由に発信することは許されない。コロナ禍の克服には変異を繰り返しながら感染を広げるウイルスの正体を突き止めることが必要だ。中国の情報開示が問われている。

(北京=多部田俊輔、編集委員 滝順一)

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●「ポンペオ氏、新型コロナ発生源は「不明」 武漢研究所説から転換」

2020.05.18 Mon posted at 10:15 JST CNN

https://www.cnn.co.jp/usa/35153896.html

ワシントン(CNN) ポンペオ米国務長官は新型コロナウイルスが中国・武漢のウイルス研究所から発生したとの説から方向転換し、発生源は不明との立場を示した。米ニュースサイト、ブライトバートが16日に配信したインタビューの中で語った。

ポンペオ氏はこの中で、新型ウイルスの発生源を特定するため、支援チームの派遣を繰り返し要請してきたと述べた。

同氏はまた、ワクチン開発に取り組む研究者らにとって、発生源を知ることは重要な「鍵」になると強調。そのうえで中国の対応は透明性を欠くと改めて非難し、米国による制裁の可能性に言及した。

ただし制裁の具体的な手段については、トランプ大統領が十分な説明を受けたうえで決断を下すことを望むと述べた。

ポンペオ氏はこれまで、新型ウイルスが武漢のウイルス研究所から発生したと主張。今月初めのインタビューでは「大量の証拠」があると述べたが、その後「確信はない」と軌道修正していた。

トランプ氏も同様に「証拠を見たことがある」と主張したが、研究者らや国際情報共有網からは「可能性は極めて低い」との見解が出され、米情報機関は両方の可能性を検討中と述べていた。

中国政府は研究所説を、トランプ氏の再選に向けた中傷作戦だと批判している。

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ポンぺオ国務長官が険悪な雰囲気の記者会見の中で武漢の実験室をめぐる主張を擁護した(Pompeo defends Wuhan lab claims in combative press conference

ロウラ・ケリー筆

2020年5月6日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/496356-pompeo-defends-wuhan-lab-claims-in-combative-press-conference

マイク・ポンぺオ国務長官は水曜日、記者たちと言い争いを行った。中国のある実験室から新型コロナウイルスの感染拡大が始まったのかどうかという疑問についてやり合った。こうした主張は情報諜報機関の幹部や衛生の専門家たちから否定されている。

ポンぺオはBBCの記者バーバラ・プレット・アッシャーからのウイルスの起源に関する諜報について質問に対して次のように答えた。「バーバラ、バーバラ、いったん落ち着きましょう。」

Your efforts to try and find — just to spend your whole life trying to drive a little wedge between senior American officials … it's just false,”

ポンぺオは、中国の武漢ウイルス学研究所でウイルスに接したことで新型コロナウイルスの感染が始まったという理論を主張している。中国の武漢ウイルス学研究所である科学者がウイルスに接触したことが始まりという話だ。こうした主張を基にして、アメリカ政府は感染拡大に関して中国政府が国際的な調査団による中国国内の調査を許可すること、世界規模の拡大に責任を取ることを求めている。

ポンぺオは日曜日に行ったあるインタヴューの中で、「武漢という中国の都市にあるある実験室からウイルスが流出したことを示す“多くの証拠”が存在する」と述べた。しかし、この発言に対しては政府高官と衛生の専門家たちから否定されている。

米統合参謀本部議長であるマーク・ミリー大将は火曜日、ウイルスの発生は自然なものであり、実験室から偶然にもしくは意図的に流出したことを示す「決定的な証拠」は存在しないと述べた。

世界的な科学者たちの合意は、今回の新型コロナウイルスはある動物の中に発生して、人間に感染したというものだ。アメリカ国立アレルギー・感染症研究所所長でホワイトハウスの対コロナウイルスのタスクフォースの主要メンバーであるアンソニー・ファウチは、ウイルスはある実験室から流出したものという主張を否定し、この疾病は野生から出てきたと述べた。

国務省は「多くの証拠」を肯定する新しい情報を得ているのかと問われ、ポンぺオは、アメリカ政府はウイルスがある実験室から発生したのかどうか、そして証拠があるのかどうかについて関知していないと答えた。

ポンぺオ国務長官は「これらの噺はどちらも全体として首尾一貫しています」と述べた。

ポンぺオは次のように述べた。「あなたが分からないことについて私も確実なことは何も言えないのですよ。新型コロナウイルスがある実験室から発生したという主張には確実性はなく、明らかな証拠もありません。ウイルス発生の起源と証拠についてのアメリカ政府の声明はどちらも正しい可能性があります。渡したこれら2つの主張を行います。政権幹部も同様に2つの主張を行います。これらはすべて真実です」。

先週、アメリカの情報機関の幹部たちは公開声明を発表した。これは極めて珍しいことだ。この声明の中で、幹部たちは今回の新型コロナウイルスはある動物の中で発生したという世界的な科学者たちの合意に同意したが、ある実験室での事故で発生した結果であるのかどうかについて調査を継続しなければならないと主張した。

中国は昨年12月末に世界保健機関(WHO)に対して肺炎の「奇妙な」ケースの発生を報告した。そして同時に、武漢市の海鮮市場での販売員と消費者のクラスターが発生したとも報告した。

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中国との言論戦の中で、ポンぺオが先鋒として登場(Pompeo Emerges as Point Man in War of Words With China

―ポンぺオを批判する人々は、ポンぺオは感染拡大に対する世界規模での対応のために強調するよりも中国攻撃に狂奔していると述べている。ポンぺオを支持する人々は、ポンぺオは中国の責任追及をしているのだと述べている。

ロビー・グラマー筆

2020年5月1日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2020/05/01/coronavirus-trump-pandemic-pompeo-attack-china/

最近の数週間、マイク・ポンぺオ米国務長官は、トランプ政権の強硬な対中国戦略の顔として出てきている。コロナウイルス感染拡大に関して中国非難のメッセージの拡散のために保守系メディアに依存している。多くのフォックスニュースや保守系のラジオのトークショーで中国叩きが行われており、ポンぺオはそれらに依存している。

ポンぺオはダン・“オックス”・オクスナーに対して「私たちの姿勢は明確であり、それは中国共産党は特別の責任を負っているというものだ」と述べた。オクスナーは保守系のラジオのトークショーの司会者であり、ポンぺオは木曜日だけでこうしたラジオのトークショー4番組に出演した。その中にオクスナーの番組も含まれていた。「このウイルスは武漢で発生しました。中国は世界とデータ、情報を共有する特別な責任を持っています。そして、透明性を確保する必要があります」。

外交分野以外の人々と元外交官たちにとっては、ポンぺオ国務長官のメディアを使った大規模な宣伝によって保守派の人気を高めている。これはドナルド・トランプ大統領の支持基盤を活性化するように見える。感染拡大によるロックダウンによって世界経済は減退し、アメリカ国内の失業数は急増している。このような状態の中で、保守派の活性化は2020年の選挙にとって重要である。批判者たちは、ポンぺオ国務長官が感染拡大に対する世界的な反応を協調させることではなく、政権による攻撃の急先鋒になっていると述べている。ポンぺオ国務長官の支持者たちはこうした批判を党派性の強い情報操作(spin)に過ぎないとしている。

中国はポンぺオ国務長官に反撃をしている。先週、中国は国営メディアを使って、通常では考えられない規模で個人攻撃を行った。この時、中国政府は、「中国がウイルスの感染拡大の初期段階で対応を誤り、世界規模で感染が拡大した」というアメリカからの批判をかわそうと躍起になっていた。中国共産党機関紙『人民日報』紙のある論説には次のような一節があった。「ポンぺオのような政治家の頭の中には、偏見、憎悪、個人の利益しか存在しない。ポンぺオの発言や行動は人々を困惑させている。そのようないじめと荒唐無稽な発言で“アメリカを再び偉大にできる”などと彼は考えているのか、と」。

今年の4月だけで、ポンぺオ国務長官は90以上のアメリカ国内と外国の報道機関のインタヴューに応じた。これは感染拡大初期と比べると大きな変化である。4月、ポンぺオ国務長官は米国務省内でほぼ定期的な記者会見も開いていた。様々な報道機関からの記者たちが彼に質問をすることができる機会だ。加えて、国務省は、感染拡大やその他の問題についての国務省の対応について、国務省の幹部職員たちにほぼ毎日電話でのブリーフィングを行ってきた。

外交官出身者の中には、ポンぺオ国務長官が特定の政治的志向を持つ選ばれた国内の聴衆に集中し過ぎていると批判している。ポンぺオ国務長官が一対一のインタヴューやトークショーに出演しているが、その多くは保守系メディアである。国務省は一般の人々にも利用できるように、ポンぺオと報道機関のインタヴューの文字起こしを発表している。複数の元外交官たちは本誌の取材に対して、ポンぺオ国務長官がトランプを擁護しているメディアにこだわっているのは、こうしたメディアにばかり出ることで、厳しい質問を受けることがないからだ。また、外国メディアからのインタヴュー受ける代わりに保守系メディアのインタヴューを受けている。外国メディアの取材に応じることは、アメリカの政策について諸外国の人々により良く説明する機会となるがそれを放棄している。

職業外交官出身で、バラク・オバマ大統領時代のホワイトハウスで国際社会関与担当の部長を務めたブレット。ブラエンは次のように述べた。「ポンぺオ国務長官は、トランプ政権が採用している政策の理由について世界とコミュニケーションするためにほとんど時間を使っていません。彼は、国務長官の役割をより党派性の強いものにしてしまいました。歴史的に見て、国務長官は争いから超然としていようとしてきました。私が現在の政権の政策に同意できないにしても、国務長官の仕事は、世界各国のメディアに対して、アメリカ政府の政策の正当性を説明することであり、そのために最前線に立つことなのです」。

アメリカ国務省は、感染拡大によって民間航空のキャンセルが相次ぎ、渡航禁止などを実施する外国が増えている中で、海外で足止め状態になっている数万単位のアメリカ国民の帰国というこれまでにない仕事を実行しなければならなくなっている。そうした中で、ポンぺオ国務長官は国内のメディアにばかり登場しているのはこれらの仕事の実行に役立たないと指摘している人々もいる。世界各国に置かれているアメリカ大使館と領事館は今年1月以降、これまでに7万人以上のアメリカ国民の帰国を援助している。国務省の幹部たちは、在外公館は民間航空とチャーター機を使ってアメリカ国民を帰国させていると述べている。

ポンぺオ国務長官がメディアに頻繁に登場しているのは、トランプ政権のより大枠の戦略である、中国が感染拡大への対応を誤ったのかどうかについての独立機関による調査を求めることとウイルスの起源について疑問が多く出ている中で国際機関による調査官たちに中国国内のウイルス研究施設の調査を許可するように中国政府に圧力をかけること、この2点に沿った動きなのである。トランプ政権はまた、世界保健機関(World Health OrganizationWHO)の世界的な感染拡大への対応における役割について非難している。WHOは中国からの圧力に屈ししていると攻撃している。トランプ政権を批判している人々は、政権が感染拡大に対する対応が遅れたことを隠すために批判を行っていると述べている。アメリカ国内では110万以上の感染者数を確認し、死者は約6万5000名に達している。

トランプ政権は、世界保健機関が中国の圧力に屈しているかを調査するために、しばらくの間予算供与を停止すると発表した。

民主党所属の連邦議員たちはこのような手段を批判している。彼らは、確かにWHOは失敗をしたが、アメリカからの支援を必要としている、と発言した。連邦上院少数派(民主党)院内総務チャック・シューマー連邦上院議員、連邦上院外交委員会で民主党側の最上位のメンバーであるボブ・メレンデス連邦上院議員、その他の連邦上院議員たちは4月20日付で書簡をポンぺオ国務長官に送付した。その中で次のように述べている。「感染拡大への対応と封じ込めに関しては複雑さを増している。そうした中で、国際的な対応を強調させるためには更なるアメリカの指導色が必要となる。WHOにおける中国の影響力の増大に対する解決策は、アメリカの指導力と関与であって、アメリカが不在となることではない」。

水曜日の記者会見でポンぺオは次のように述べた。「アメリカは世界保健機関に最大の資金提供を行っています。世界保健機関は目的達成に失敗しました。きちんとした結果を得るためにアメリカの納税者のお金をどのように使うべきかを把握するために調査を行っています。私たちは“健康(保健、health)”を名前につけているある故草木機関が実際に私たちが必要としている結果をもたらしていると言いつくろいながら、ウソをつくようなことをすべきではないのです」。

※ロビー・グラマー:『フォーリン・ポリシー』誌の外交と国家安全保障担当記者

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 古村治彦です。

 アレクサンドリア・オカシオ=コルテス(Alexandria Ocasio-CortexAOC、1989年―、30歳)連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)はアメリカ政界の新星だ。2018年のニューヨーク州第14選挙区(クイーンズ地区とブロンクス地区)の民主党予備選挙で、10期連続当選をしていた、当時の現職のジョセフ・クローリーを破ったのがAOCだった。クローリーはこの時の選挙に当選していれば、連邦下院議長になれるという話もあったが、その夢は無残に消え去ってしまった。
alexandriaocaiocortex202

 AOCはその後、新人議員として話題を集めたが、民主党主流派に対して批判的ということもあり、批判者も多くいる。連邦下院議員は2年おきに選挙があるが、2018年の当選直後から、AOCには次の選挙で対抗馬が出るという話が出ていた。ジョセフ・クローリーの従妹で市会議員をしていたエリザベス・クローリーが敵討ちで出馬するのではないかという話もあったが、今年に入ってその話は否定された。

 現在、全米で連邦下院議員選挙の民主、共和両党の予備選挙の選挙運動が行われている。人々が集まる訳にはいかないので、討論会もインターネット上で実施されている。ニューヨーク州第14選挙区の民主党予備選挙には現職のAOCを含む4名が立候補している。その中に、ミッシェル・カルーゾ=カブレラ(Michelle Caruso-Cabrera、1967年―、53歳)がいる。
michellecarusocabrera001

 カルーゾ=カブレラはCNBCという経済専門のチャンネルのキャスターやコメンテイターを長く務めた有名人だ。「自分はイタリア系移民とキューバ系移民の娘であり、孫娘だ」ということを売りにして、今年の2月に立候補を表明した。AOCの対抗馬である。

 カルーゾ=カブレラはAOCを激しく批判しているが、突っ込みどころ満載である。カルーゾ=カブレラは、「新型コロナウイルス感染拡大に対処するために自分は食料を配るなど行動したが、AOCは1階に高級自然食スーパーであるホール・フーズが入っているワシントンDCのアパートにこもりきりだった」と批判した。このカルーゾ=カブレラという人物は選挙に出るちょっと前まで、ニューヨークにあるトランプタワーに住んでいたような人で、有名人、セレブリティの優雅な生活を楽しんでいた人である。

 また、公共事業についても積極的に公約をしているようだが、元々は新自由主義、財政保守主義を標榜して出てきた人物であり、貧乏な移民の多いニューヨーク州第14選挙区で選挙に通ることは不可能な人物である。選挙出馬はカルーゾ=カブレラの売名行為ということになるだろう。アメリカ政治のちょっと息抜きの話題ということでご容赦願いたい。

(貼り付けはじめ)

オカシオ=コルテスの予備選挙の対抗馬カルーゾ=カブレラはインターネット上の討論会で激しく攻撃:「AOCはいつも大事なところで行方不明」(Ocasio-Cortez primary opponent Caruso-Cabrera goes on fierce attack in online debate: 'AOC is always MIA'

ケイリーン・ディース筆

2020年5月19日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/498600-ocasio-cortez-primary-opponent-caruso-cabrera-goes-on-fierce-attack-in-online

CNBCのアンカーを務めたミシェル・カルーゾ=カブレラはアレクサンドリア・オカシオ=コルテス(AOC)連邦下院議員に対抗して予備選挙に立候補している。カルーゾ=カブレラは月曜日、AOCのコロナウイルスへの対応を攻撃し、「AOCはいつも大事なところで行方不明」と述べた。

カルーゾ=カブレラは今年2月に予備選挙に立候補して以降、オカシオ=コルテスを攻撃対象にして激しく攻撃してきた。先月、カルーゾ=カブレラはAOCが4840億ドル規模のコロナウイルス対策刺激策法案に反対投票をしたことについて「現実離れ」をしていると指摘した。

カルーゾ=カブレラは「ブロンクスネット」が主催したインターネット上の討論会で「私の対立候補AOCは彼女自身の優先順位を明らかにしました。私に分からないのは、AOCがいつも大事なところで行方不明になる(MIA)理由です」と述べた。

カルーゾ=カブレラは、危機が最高潮に達した時期、連邦下院の審議が行われていない時期に、AOCはワシントンDCにあるアパートに留まっていたと述べた。このアパートの建物のロビーには高級自然食スーパー「ホール・フーズ」が入っている。

カルーゾ=カブレラは「私は最初の日に食糧を配りました。マスクも配りました。私は選挙で選ばれて公職に就いていないのですが」と述べた。

オカシオ=コルテスはカルーゾ=カブレラの発言に対して、自分がアパートの部屋に留まった理由は、「体調が優れずに、気分が悪かった」からだと述べた。また、選挙区内のコミュニティの食糧庫のために約50万ドルを集める仕事を手伝った、また住民たちに食事を配る仕事も手伝ったとも発言した。

カルーゾ=カブレラは「あなたはいつも有名人(セレブ)の地位を利用して仕事をしていますね。そしていつも民主党に盾突いていますね」と述べた。

オカシオ=コルテスは問題のコロナウイルス対策刺激策法案に反対票を投じたのは、この法案では、移民たちと移民と結婚しているアメリカ市民が排除されているからだと述べた。「移民が住民の50%を占める選挙区」ではそんな法案を支持できないとも指摘した。

オカシオ=コルテスは、同僚の連邦議員たちと「多くの機会で」協力して仕事をしているとも主張した。AOCは民主党、共和党それぞれに所属している連邦議員たちと「一緒になって多くの法案を提出」してきたと述べた。

カルーゾ=カブレラはまた、オカシオ=コルテスが連邦議会に提出しているグリーン・ニューディールも攻撃対象とした。カルーゾ=カブレラは、グリーン・ニューディールは「現実的には何事も達成できない」計画と切って捨てた。一方、自分は選挙区の人々を助けるために「特定の仕事」を実行すると述べた。その具体例として、津波対策のために堤防の建設を進めるとした。

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CNBCのアンカーカルーゾ=カブレラが予備選挙でオカシオ=コルテスに挑戦(CNBC anchor Caruso-Cabrera to challenge Ocasio-Cortez in primary

ジョー・コンチャ筆

2020年2月11日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/media/482499-cnbc-anchor-caruso-cabrera-to-challenge-ocasio-cortez-in-primary

CNBCでアンカーを務めたミシェル・カルーゾ=カブレラは火曜日、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス(AOC)連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)の議席を争うために民主党の予備選挙に立候補すると発表した。

カルーゾ=カブレラは声明の中で次のように述べている。「私は、イタリア系移民とキューバ系移民の労働者の娘であり、孫娘です。私はこれまでの素晴らしいキャリアを積むことができてとてもラッキーです。私は全ての皆さんに私がそうであったように、それぞれの人生を成功に導く機会(opportunity)を持ってもらいたいと思います。私が選挙に立候補する理由はこれです」

カルーゾ=カブレラは20年以上にわたりCNBCで仕事をしてきた。CNBCは火曜日、これ以降彼女がコメンテイターとして番組に出演することはないと発表した。

30歳のオカシオ=コルテスは2018年にアメリカ政界を驚かせた。10期連続当選の現職ジョセフ・クローリーをニューヨーク州第14選挙区の民主党予備選挙で破るという大番狂わせを演じた。この選挙区はブロンクスとクイーンズを含んでいる。

AOCは連邦議員の中で最も多いツイッターのフォロワー数を誇っている。その数は630万以上である。連邦議会に33年いる現在の連邦下院議長ナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は、ツイッターのフォロワー数は約390万である。

カルーゾ=カブレラは2010年に『私が正しい(右だって)と分かるよね:更なる繁栄、より小さい政府』を発刊した。この著作の中で、カルーゾ=カブレラは「財政保守主義(fiscal conservatism)、制限された政府、個人の責任」を主張している。

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