古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

2020年06月

 古村治彦です。

 新型コロナウイルス感染拡大という事態を受け、米中関係は非難合戦の様相を五呈している。ドナルド・トランプ大統領をはじめとする政権幹部たちはウイルス感染拡大を中国の対応のまずさのせいにしている。世界各国で約1000万人が感染し、約50万人が死亡した。感染者数における死亡率は約5%である。今年1月から3月にかけて中国の武漢市を中心に感染が広がった。中国国内の深刻な様子が報道されていたが、現在のところ、中国国内の感染者は約8万3500名、死亡者は4634名だ。アメリカの感染者は約267万名、死亡者は12万名となっている。日本は感染者約18900名、死亡者は971名だ。

 アメリカは新型コロナウイルス感染拡大への対応が遅かったということになるだろう。都市部の人口密度や経済活動などの理由はあるだろうが、中国には人口1000万人を超える大都市が5つもある。日本にも東京、大阪、名古屋、横浜など大都市圏が存在する。

 下の記事は、新型コロナウイルス感染拡大の中で、大統領選挙の選挙運動が勧められており、共和党の現職ドナルド・トランプ大統領、民主党の内定候補者ジョー・バイデン前副大統領が共に相手を「中国に対して弱腰だ」という批判を行っている。こうした状況では、中国との協力は難しいが、それでも、様々な分野で競争相手となる米中両国であるが、疾病の世界的感染拡大、感染爆発という事態には協力して対処しなければならないと主張している。下の記事の著者であるアルバート・ハントはケネディ・大統領の言葉を引用している。その言葉とは、「ライヴァル同士のパートナーシップ(rival partnership)」だ。

 冷戦期、アメリカとソ連は東西両陣営に分かれて鎬を削ったが、徹底的な対決は回避した。これをアメリカの歴史家ジョン・ルイス・ギャディスは「長い平和(Long Peace)」と呼んだ。代理戦争を戦わされた朝鮮半島、ヴェトナム、アフガニスタンの人々にとってはどこが長い平和なのかと怒りを持つであろうが、世界大戦がなかったという意味である。

 21世紀の米中関係に関しても新冷戦という言葉が使われ始めている。下の記事でも取り上げられているが、シンクタンクであるブルッキングス研究所所長を務めるジョン・アレン(退役海兵隊大将)は、アメリカは「自由主義的資本主義」のモデルを提示し、中国は「権威主義的資本主義」のモデルを提示して世界にアピールしている、と述べている。これが新しい冷戦の軸ということになるだろう。

 ソ連は自国の経済を崩壊させ、消滅した。一方、中国は経済力を急速に伸ばし、それにつれて政治力と軍事力を増強している。経済力での米中逆転は視野に入っている。こうした状況になり、冷たい戦争が覇権交代をめぐる熱い戦争にならないためにも、ライヴァル同士のパートナーシップとアメリカの軟着陸が21世紀中盤の重要な要素となるだろう。

(貼り付けはじめ)

パンデミック下の政治と中国との協力(Pandemic politics and cooperation with China

アルバート・ハント筆

2020年5月6日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/campaign/496354-pandemic-politics-and-cooperation-with-china

アメリカ政治で70年前に激しかった議論が形を少し変えて再び復活している。それは、誰に責任があるのか、もっと端的には「中国を失ったのは誰だ?」というものだ。

それが今では「誰が中国に対してより宥和的か?」だ。

トランプ大統領と、今年の秋にトランプ大統領と戦うことになるジョー・バイデン前副大統領は、お互いに相手が中国の支配者たちに対して下手に出ていると非難する攻撃的なテレビCMを流している。

中国はもう一つの世界の超大国として、経済、政治、軍事の分野での成長もあり、アメリカにとって既に政治上の重大な問題となっている。中国から始まった新型コロナウイルス感染拡大は、中国側の1月にわたる隠蔽もあったが、アメリカ国内では党派性を持った批判合戦のテーマとなっている。

トランプ大統領は数週間にわたり中国の新型コロナウイルス対策を評価し、アメリカの対策の遅れを誰の責任にするのかを探していた。それがここにきて新型コロナウイルスを「中国のウイルス」とレッテル張りをし始めた。ホワイトハウスにいる政権幹部の中には、トランプ大統領を見習って、「カン・フルー(Kung Flu)」と呼んでいる(訳者註:Fluはインフルエンザのこと、カンフー[Kung Fu]にかけている)。トランプ大統領は、アメリカ国内で感染拡大が激しくなるにつれて、攻撃を激化させている。そして、選挙での対抗馬であるバイデンを弱腰だと攻撃している。

民主党の候補者に内定しているバイデンは、アメリカ国内で感染が拡大したのは初期段階でのトランプ大統領の無関心のせいだと非難し、自分が大統領であればより早い段階でより厳しい措置を取ったと主張している。

グラハム・アリソンはハーヴァード大学の学者で、国防総省に勤務した経験を持ち、米中対決の可能性と危険性についての著作を持っている。アリソンは新型コロナウイルス感染拡大への対処のために、米中両国は両国関係を変化させるべきだと述べている。アリソンは、米中両国は貿易、民主的な価値観、サイバー上と国家の安全保障に関しては、「厳しいライヴァル関係」となるだろうが、同時に、気候変動、テロリズム、そしてとくに感染症対策ではパートナーとなるべきだと主張している。

米中が協力することは現時点では、政治的に無理な状況だ。トランプ陣営、バイデン陣営ともに来るべき大統領選挙本選挙に向けて、これからの6カ月間は中国に対して宥和的な姿勢を取ることはできない。

バイデン前副大統領は、トランプ大統領が中国側の新型コロナウイルスに関する発表を鵜呑みにして「中国に丸め込まれた」と攻撃している。トランプ大統領は3月中旬まで危険性を否定していた。対照的に世界各国は中国がやっと1月中旬になって危険性を認識し、発表した段階で素早く対応した。

トランプ大統領は3月13日の時点までは中国の習近平国家主席は状況に対してうまく対応していると一貫して称賛してきた。また、危険を示す証拠を信用しなかった。

トランプ大統領陣営は現在、反中国攻撃を大統領選挙本選挙の中心的な要素にしていることは明らかだ。トランプ大統領は、バイデンが中国に「強い態度で臨む」ことに失敗し、オバマ政権の対中国融和政策の策定に関わったと攻撃している。

トランプ大統領に対する中国への攻撃は日々激しくなっている。関税引き上げや不手際に対する裁判提起、更に負債の支払いを拒絶などをと脅している。いつものトランプ大統領のように、この一部はブラフである。しかし、中国攻撃はトランプ大統領の選挙に影響を与えるが、失敗に終わる可能性もある。トランプ大統領は危ない橋を渡っている。

トランプ政権は、全ての選択肢を留保している。マイク・ポンぺオ国務長官が対中政策を主導している。ポンぺオ国務長官は中国に対しては、外交官というよりも党派性の強いガンマンのように振舞っている。

アメリカ連邦議会においては、共和党側の対中国攻撃の急先鋒はアーカンソー州選出のトム・コットン連邦上院議員だ。コットン議員は1月末にウイルスの脅威と中国の隠蔽に対して警告を発した。コットン議員は攻撃を止めていない。そして、ウイルスの発生源は武漢の食肉マーケットではなく、中国のある実験ラボから広がって感染拡大を招いたという理論を支持し、中国を批判している。コットン議員はまた、中国に対する法的手段を取ることを許可する法律の制定や中国人学生がアメリカの大学で科学を学ぶことを禁止する措置を提案している。

しかし、コットン議員は感染拡大ではなく、党派性の強い中国叩きに興味を持っているように見える。彼は中国が感染拡大について1カ月にわたり嘘をつき続けてきたと攻撃していた。しかし、2月25日の時点で、コットン議員はトランプ大統領がウイルスへの対処を「最重要事項」としていると発言した。これは極めて間違っている主張だ。

中国国民はアメリカとの争いを恐れていない。中国は、トランプ大統領が自身の失敗に対する言い訳として、「他の人々を非難している」と批判している。中国国内のSNSでの人々の書き込みを見て見ると、歪曲された内容もあるが、明白にアメリカを非難している。中国は感染拡大に見舞われている国々に医療や医療品の提供を行っている。初期段階ではアメリカに対しても支援を行った。

米中関係の悪化が危険を伴う理由は、世界の超大国2か国は感染拡大への対処のようないくつかの極めて重要な分野でお互いに協力しなければならないがそれができなくなる、というものだ。

ブルッキングス研究所所長で退役アメリカ海兵隊大将(four star general)であるジョン・アレンは米中間の緊張関係の深刻化は避けられないと評価している。アレンは次のように述べている。「中国はアメリカとは別のモデルに沿っている。それは、権威主義的資本主義(authoritarian capitalism)である。これは中国の成功もあり、世界のいくつかの国々にアピールしている。私たちは、私たちのより素晴らしいモデルを使って対抗することになるだろう」。しかし、今回の危機において継続的に中傷を続け、対立することは「世界にとっての最大の危機を解決する為のエネルギーの多くを無駄遣いすることだ」とアレンは述べている。

アレンは別の機会では、「中国を解決に向けて要素に入れなければ、今回のコロナウイルスとの戦いで勝利することはできない」とも述べている。医療分野と科学分野でのつながりを断絶することはったくもって合理的ではない。

アレンはまた次のようにも述べている。新型コロナウイルス対処によって米中両国のライヴァル関係や緊張が和らぐことはないが、冷戦期にジョン・F・ケネディ大統領が述べた「ライヴァル同士のパートナーシップ(rival partnership)」という考えを両国は持つべきだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙本選挙の情勢について現在までの各種世論調査の結果を軸にして見ていく。その前にアメリカ大統領選挙について簡単に説明する。アメリカ大統領選挙の投票日は「11月の最初の日曜日の次の火曜日」と決まっている。連邦下院全議席(435議席)、連邦上院議席の一部(100議席の約3分の1)で同時に選挙が実施される。

 アメリカ大統領選挙は、民主、共和両党がそれぞれ指名する本選挙候補者を決めるための予備選挙から始まる。予備選挙を勝ち上がった候補者が夏の全国大会で党の指名を受け、本選挙候補者となる。そして、11月の本選挙を迎える。

 アメリカ大統領選挙の仕組みは有権者の得票総数で決まるのではなく、各州で配分された選挙人を取り合う形になる。一つの州で一票でも多く上回った候補者が選挙人を総取りできる、「勝者総取り方式」を取っている。メイン州とネブラスカ州は勝者にある程度の選挙人を配分し、得票率によって敗者にも選挙人が配分されることもある制度を採用している。全米50州に首都ワシントンDCに人口に比例して合計で538名の選挙人が配分されている。最小の州には3名、最大の州カリフォルニア州には55名が配分されている。

 現在のアメリカ政治の特徴は、何と言っても「青い州(Blue States)」と「赤い州(Red States)」に分かれていることだ。青色は民主党のイメージカラーであり、青い州は民主党が強い州、赤色は共和党のイメージカラーであることから、赤い州は共和党が強い州である。これはなかなか動かない。青い州は、アメリカの東西両岸地域に多く、人口が多い都市部を抱えている。赤い州は、アメリカ中西部と南部に多く、農業が産業の中心になっている。

しかし、2016年の大統領選挙で共和党の候補者ドナルド・トランプが大方の予想を覆して民主党の候補者ヒラリー・クリントンを破ったのは、青い州の代表格と見られていた、アメリカ北部五大湖周辺の労働組合が強い工業地帯(ラストベルトと呼ばれる)であるウィスコンシン州、ミシガン州、ペンシルヴァニア州、オハイオ州でトランプが勝利を収めたからだ。

 今回、私なりに過去の大統領選挙の結果や現在の世論調査の結果を考慮して、全米50州とワシントンDCを以下のように分類した。以下の分類からは、現状では、ジョー・バイデンがドナルド・トランプ大統領を大きくリードしているということになる。トランプ大統領が優勢なのは21州で選挙人の合計が142名、バイデンが優勢なのは18州で選挙人の合計が208名となっている。世論調査やこれまでの結果を考慮してどちらとも言えない激戦州(赤色と青色を混ぜた紫色、Purple Statesと呼ばれている)は12州で選挙人の合計が188名となっている。

 トランプ優勢州とバイデン優勢州はよほどのことがない限り、結果は動かない。そうであるならば、大事なのはどちらとも言えない12州だ。これらの州の情勢を見ていけば大統領選挙の結果は予想しやすい。アメリカ国内でもこれらの州は激戦だ、もしくは重要だということで複数回にわたり、定期的に世論調査が実施されている。トランプ、バイデン両者の優勢州では世論調査が実施されていないか、されていても少ない数だ。

 どちらとも言えない州での世論調査の結果から見ていくと次のようになる。バイデン優勢は、・アリゾナ州、コロラド州、フロリダ州(Florida)、ミシガン州、ミネソタ州、ネヴァダ州、オハイオ州、ペンシルヴァニア州、ウィスコンシン州で、選挙人合計は129名、一方、トランプ大統領が優勢なのはアイオワ州、ノースカロライナ州、テキサス州で、選挙人合計は59名だ。そうなると、トランプ大統領の獲得選挙人は201名、バイデンの獲得選挙人337名ということになる。過半数は270名なので、バイデンが圧倒的優勢ということになる。

 しかし、これはあくまで現状のしかも世論調査の数字だけを見ての分析である。世論調査は調査対象者の数(サンプル数)や質問方法、質問の言葉選びなどが重要な要素であり、それらは改善が行われているが、まだまだの部分もあり、あくまで大きな動向を掴むための道具であると私は考えている。従って、世論調査にだけ頼ることは危険である。しかし、アメリカにも住んでいない場合には、全米を調査に回るほどの費用もない中では、アメリカの報道や世論調査の結果を見るしかない。

 今回の大統領選挙では、民主党が前回失った五大湖周辺4州を再奪取できるか、南部の大票田であるテキサス州とフロリダ州でバイデンがどこまで戦えるか、ということが注目される。現在のところ、テキサス州を除いた5州の各種世論調査でバイデン優勢の結果が出ている。そのために単純に足し上げをするとバイデンが圧倒的優勢という分析になる。

しかし、あと4カ月以上も時間がある。トランプ大統領が不利な状況、現職大統領が敗れるというような状況であれば、連邦議会選挙にも悪影響が出る。トランプ陣営と共和党は巻き返しに躍起となるだろう。トランプ大統領としては新型コロナウイルス感染拡大でダメージを受けた経済の回復を最優先したい。民主党はバイデンの弱いイメージの払しょくと党内分裂の回避に力を注ぐ。両党の全国大会からいよいよラストスパートとなる。

(貼り付けはじめ)

■大統領選挙代議員数:538名(過半数270名)

●トランプ[共和党]優勢州(red states

・アラバマ州(Alabama:9名

・アラスカ州(Alaska):3名

・アーカンソー州(Arkansas):6名

・ジョージア州(Georgia):16名

・アイダホ州(Idaho):4名

・インディアナ州(Indiana):11名

・カンザス州(Kansas):6名

・ケンタッキー州(Kentucky):8名

・ルイジアナ州(Louisiana):8名

・ミシシッピ州(Mississippi):6名

・ミズーリ州(Missouri):10名

・モンタナ州(Montana):3名

・ネブラスカ州(Nebraska):5名(4名はトランプ、1名はバイデン)

・ノースダコタ州(North Dakota):3名

・オクラホマ州(Oklahoma):7名

・サウスカロライナ州(South Carolina):9名

・サウスダコタ州(South Dakota):3名

・テネシー州(Tennessee):11名

・ユタ州(Utah):6名

・ウエストヴァージニア州(West Virginia):5名

・ワイオミング州(Wyoming):3名

・合計:141名(+1)、21州

●トランプ・バイデン激戦州

・アリゾナ州(Arizona:11名(バイデン優勢)

・コロラド州(Colorado):9名(バイデン優勢)

・フロリダ州(Florida):29名(バイデン優勢)

・アイオワ州(Iowa):6名(トランプ優勢)

・ミシガン州(Michigan):16名(バイデン優勢)

・ミネソタ州(Minnesota):10名(バイデン優勢)

・ネヴァダ州(Nevada):6名(バイデン優勢)

・ノースカロライナ州(North Carolina):15名(トランプ優勢)

・オハイオ州(Ohio):18名(バイデン優勢)

・ペンシルヴァニア州(Pennsylvania):20名(バイデン優勢)

・テキサス州(Texas):38名(トランプ優勢)

・ウィスコンシン州(Wisconsin):10名(バイデン優勢)

●バイデン[民主党]優勢州(blue states

・カリフォルニア州(California):55名

・コネティカット州(Connecticut):7名

・デラウェア州(Delaware):3名

・ハワイ州(Hawaii):4名

・イリノイ州(Illinois):20名

・メイン州(Maine):4名(3名はバイデン、1名はトランプ)

・メリーランド州(Maryland):10名

・マサチューセッツ州(Massachusetts):11名

・ニューハンプシャー州(New Hampshire):4名

・ニュージャージー州(New Jersey):14名

・ニューメキシコ州(New Mexico):5名

・ニューヨーク州(New York):29名

・オレゴン州(Oregon):7名

・ロードアイランド州(Rhode Island):4名

・ヴァーモント州(Vermont):3名

・ヴァージニア州(Virginia):13名

・ワシントン州(Washington):12名

・ワシントンDCWashington, District of Columbia):3名

・合計:207名(+1)、18州

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 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙本選挙まで5カ月を切った。共和党は現職のドナルド・トランプ大統領、民主党はジョー・バイデン前副大統領がそれぞれ候補者に内定している。どちらが勝つかという予言をすることはまだ尚早だと思うが、今回はテキサス州とフロリダ州の状況を見てみたいと思う。以下にテキサス州とフロリダ州の情勢についてまとめた記事を掲載する。

 テキサス州は共和党の金城湯池だ。前回民主党候補者が勝ったのは1976年のジミー・カーターが最後だ。カーターは南部アトランタ州出身ということもあっての勝利だったが、現職のジェラルド・フォード大統領(リチャード・ニクソン大統領の辞任によって昇格)相手に大接戦だった。それ以来、民主党候補者は勝てていない。1992年と1996年の選挙では南部アーカンソー州出身のビル・クリントンが善戦したが、それでも得票率で3%以上差をつけられて敗北した。バラク・オバマは得票率10%以上をつけられて惨敗した。共和党優勢州は共和党のイメージカラーである赤色にちなんで、「レッド・ステイト(Red State)」と呼ばれるが、テキサス州のように優位が動かない州は「ルビー・レッド(Ruby Red)」と呼ばれている。民主党優勢州はこちらも党のイメージカラーから「ブルー・ステイト(Blue State)」、どちらとも言えない州は赤色と青色が混ざった紫色、「パープル・ステイト(Purple State)」となる。

 それでは今回の大統領選挙も現職のドナルド・トランプ大統領が圧倒的に優位に立っているということになるが、必ずしもそうではないようだ。テキサス州は全米でも屈指の好景気の州だ。中国からの投資も盛んだ。生活費が安く、暮らしやすいということもあり、ヒューストン、ダラス、サンアントニオといった大都市やその周辺地域に新たに移り住む人々が増えている。そのために人口増加の規模が大きく、しかも増加のスピードも速くなっている。こうした人々が必ずしも共和党支持ではない、ということがテキサス共和党にとっては懸念材料になっているようだ。
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テキサス州の世論調査の結果

トランプ大統領は優勢であるが、大統領選挙と同時に実施される連邦上院議員選挙や連邦下院議員選挙で民主党に議席を奪われるのではないかという懸念が出ているほどだ。大統領選挙で接戦になるということは、民主党支持が増えているということで、他の選挙に影響を与えるということになる。これを「ダウン・バロット(down ballot)」という。 

 ドナルド・トランプ大統領はニューヨーク市で生まれ育ち、仕事をして財を成した。しかし、現在はフロリダ州の州民だと宣言している。ニューヨーク市にも居宅を持っているが、フロリダ州にも邸宅を構えている。トランプ大統領にとってフロリダ州は「地元州(home state)」となる。共和党としてはフロリダ州を落とせないと意気込んでいる。

 1990年代以降、フロリダ州での大統領選挙は大接戦となり、ドラマを生んだ。2000年の大統領選挙ではジョージ・W・ブッシュがアル・ゴアを僅か537票差で破り、フロリダ州での結果が決め手となって大統領になった。票の数え直しが行われたことを覚えている人も多いだろう。それ以降も常に得票率の差が1%から3%の中に納まるほどの大接戦が行われてきた。そして、1996年以降は常にフロリダ州での脱線に勝利した候補者が大統領になっている。その点でも激戦州フロリダ州で勝利することは重要だ。
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 フロリダ州の特徴は高齢の有権者が多いということだ。ある程度の成功を収めた高齢者たちが老後は気候が温暖なフロリダ州で過ごそうということで移り住んでくる。そのために、高齢者が選挙において重要な要素となる。今回の新型コロナウイルス感染拡大で、高齢者は健康リスクに直面した。70歳以上の死亡率はそれ以下に比べると高くなっている。そのためにアメリカの各種世論調査の結果では、高齢者たちの多くは「経済活動よりも新型コロナウイルスへの対応をやって欲しい」と考えているということが分かった。

 そうなると、下に掲載した記事にある、高齢者の間でバイデンへの支持率が高いということもうなずける話だ。トランプ大統領の新型コロナウイルス感染拡大への対応に不満を持っている高齢者たちがバイデンを支持するという構図になっている。

 現職のトランプ大統領がフロリダ州を落とすかどうか、11月の投開票日の一つの注目点ということになる。

(貼り付けはじめ)

バイデンはフロリダ州で勝利を収めることでトランプを倒そうとしている(Biden seeks to beat Trump by winning Florida

エイミー・パーネス筆

2020年6月17日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/503089-biden-seeks-to-beat-trump-by-winning-florida

ジョー・バイデンはフロリダ州で躍進を続けている。一方、トランプ大統領は、大統領選挙で必ず勝たねばならない、自身の裏庭とも言うべき州で守勢に回っている。

2016年の大統領選挙で、トランプ大統領は民主党のヒラリー・クリントンに対して、この勝者が入れ替わる州(swing state)で約10万票という僅差で勝利を収めた。しかし、バイデン陣営は、2008年と2012年の大統領選挙でオバマ・バイデンのコンビで勝利を収めたフロリダ州を奪還できると確信している。

最近になってフロリダ州で感染者数が増加している、新型コロナウイルス感染拡大への対処についてトランプ大統領をバイデンは一貫して攻撃している。選挙における重要な問題をはっきりさせることで、フロリダ州において状況を変えようとしている。

バイデンは今週になって、トランプ大統領がハリケーンに対する備えを怠っていると批判した。フロリダ州はこれからハリケーンが襲来してくるシーズンを迎える。

バイデンは『マイアミ・ヘラルド』紙の論説欄に文章を投稿した。その中で次のように書いている。「トランプ大統領は今回の新型コロナウイルス感染拡大に対する準備に失敗し、その影響を弱めるための決定的な行動を取らなかった。そのために危機的状況が継続することになっている。私たちのコミュニティは外部からの新たな脅威やハリケーンのような自然災害に対して危険なほど脆弱である。」

バイデン選対がフロリダ州の重要性をきちんと認識していることを示す証拠として、民主党は、フロリダ州選出のヴァル・デミングス連邦下院議員(民主党)をバイデンの副大統領候補として考慮している。

フロリダ州の政治を観察している人々は、バイデンが既にフロリダ州において優位性を持っているが、今回の新型コロナウイルス感染拡大によってその優位性は大きくなっていると述べている。

セントラル・フロリダ大学政治、安全保障、国際問題学部のバリー・エドワーズ教授は、「現在、フロリダ州での世論調査でバイデンがリードしているのには2つの理由がある。それは彼が、ドナルド・トランプではなく、またヒラリー・クリントンではない、というものです」と述べた。

エドワーズ教授は「新型コロナウイルス感染拡大は、フロリダ州の観光に依存している経済を破壊しました。人々はトランプ大統領が危機に対してうまく対応していると考えていません」とも述べた。

トランプ大統領は再選のためにはフロリダ州がいかに重要な存在かを分かっている。そして、トランプ大統領は自身の再選のための防波堤であるフロリダ州を守ろうとしている。

共和党全国委員会は先週、共和党全国大会の機能のほとんどをフロリダ州ジャクソンヴィルに移して開催すると決定した。8月の共和党全国大会でトランプ大統領は共和党による党候補者指名を受諾することになっている。

トランプ大統領は選挙集会を再開し、今週はオクラホマ州で実施する予定だ。再開後は、フロリダ州を繰り返し訪問することになると見られている。

トランプ選対はフロリダ州における選挙に関する状況について満足していると述べている。選対幹部たちは、2019年以降、フロリダ州で共和党支持と登録した有権者の数は約1万8000名であったと発表している。

トランプ選対の次席広報担当コートニー・パレラは「2015年以来、フロリダ州において私たちは有権者に関与することに成功しています」と述べた。

パレラは続けて次のように述べた。「私たち選対は昼夜兼行でトランプ大統領のメッセージをフロリダ州の有権者の皆さんに直接お届けできるように努力しています。そして、民主党側がたとえ追いつきたいと望んでも追いつけていない事実として、フロリダ州の有権者は2016年にトランプ大統領を信頼しそれを投票で示したということがあります。そして、大統領の素晴らしい成功の記録、特に“偉大なアメリカを取り戻す(The Great America Comeback)”は今年の秋の選挙で大統領の地元州での勝利を確実にするものです」。

最近の複数の世論調査の結果では、バイデンは僅差でトランプ大統領をリードしている。トランプ大統領は昨年、自身はフロリダ州の住民だと宣言した。

先週、共和党系の世論調査会社「シグナル」が発表した、大統領選挙の投票に必ず参加すると答えた有権者を対象にした世論調査では、民主党の大統領選挙候補者に内定しているバイデンがトランプ大統領を47%対44%でリードしている。

バイデンにとって重要なことは、いくつかの世論調査で、高齢者の間で、彼がトランプ大統領をリードしているという結果が出ていることだ。

4月末のキュニピアック大学の世論調査では、65歳以上の有権者の52%がバイデンを支持し、42%がトランプ大統領を支持するという結果が出た。

フロリダ州民主党の上級部長フアン・ぺナロサは次のように述べている。「高齢者はトランプ大統領から離れています。トランプ大統領を非難しています。私たちが話しをしてきた高齢者の皆さんは新型コロナウイルスへの接触を恐れています。高齢者の皆さんは家の中に閉じ込められた囚人のように感じ、孫たちに会えないことで怒りを持っています」。

バイデンはヒスパニック系の有権者たちの獲得を目指しているが、そうした中で、火曜日にはスペイン語の新聞『ディアリオ・ラス・アメリカス』紙にバイデンがマイアミ・ヘラルド紙に掲載した論説記事のスペイン語訳が転載された。

フロリダ州のバイデン選対の広報担当は、選対は「フロリダ州内の多様な各コミュニティに対する積極的な働きかけを拡大し続け、一票一票を掘り起こす」予定だと発表した。

エドワーズ教授は、トランプ大統領は既にフロリダ州において支持基盤を固めているが、バイデンはこれから民主党支持の有権者たちを動かすために強力な草の根の選挙運動を構築し、展開しなければならないと指摘している。

エドワーズ教授は次のように述べた。「バイデン支持者たちはフロリダ州で、トランプ支持者たちに匹敵するエネルギーと目立つ動きをする必要があります。ジョー・バイデンは“眠たげなジョー(Sleepy Joe)”というレッテルを剥がすためにエネルギーと熱意を見せねばなりません」。

バイデンとフロリダ州民主党の幹部たちは、フロリダ州全体での草の根運動と有権者の組織化のための努力を更に高めると述べている。共和党が圧倒的に優位な地域(ruby-red areas)にも浸透すると述べている。そして、有権者に対する電話かけ、Eメール、戸別訪問の数を増やしている。

例えば、先週末、バイデン支持者たちは、「ライディング・ウィズ・バイデン」キャラヴァンを組織した。そして、自動車で列を組んで、トランプ大統領所有の施設の中を行進した。その中には「トランプ・ナショナル・ドーラル・マイアミ・リゾート」も含まれていた。キャラヴァン参加者たちは自動車の中でポスターやバイデンの看板を振った。

ぺナロサは、フロリダ州における競争はこれまでになく激しくなっていると述べた。

ぺナロサは、「皆さんがやらねばならないことは、ここフロリダ州でのトランプの投資について見ることです。彼はここに移り住んだ。フロリダは彼にとって失うことのできない州なんです」と述べた。

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テキサス州において世論調査の数字が接戦となっていることで共和党関係者はイライラしている(Tight polls put GOP on edge in Texas

ジョナサン・イーズリー筆

2020年6月13日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/502533-tight-polls-put-gop-on-edge-in-texas

オースティン発。テキサス州の共和党関係者たちは現在ピリピリしている。複数の世論調査で、トランプ大統領と民主党大統領選挙候補者に内定しているジョー・バイデンが、選挙の投票日まで5カ月を切って、テキサス州で大接戦を演じていることが明らかになった。

テキサス州の共和党関係者の多くは現在でもトランプ大統領が11月の選挙においてテキサス州で勝利し、38名の選挙人を獲得する可能性が高いと見ている。しかし、1976年以来初めて、テキサス州の大統領選挙で民主党の候補者が勝利をするのではないかというわずかな可能性が少しずつ高まっている。

トランプ大統領がバイデンに対してつけている差が重要であり、共和党は大統領選挙において接戦となると、その他の選挙で民主党に敗れてしまうのではないかという恐怖感を持っている。

テキサス州選出の共和党所属連邦下院議員5名が年末の任期までで引退を表明しており、この5議席のうち、3議席が接戦、もしくは民主党有利という展開になっていると中立の「クック・ポリティカル・レポート」は評価している。

ジョン・クローニン連邦上院議員(テキサス州選出、共和党)は再選に向けて準備をしているが、2020年の選挙は彼のキャリアの中で最も厳しい戦いとなる可能性が高くなっている。

バイデン選対はテキサス州においてトランプ大統領と競い合う意向を持っていると発表している。テキサス州民主党は全米でも最大規模を誇っている。テキサスの人口構成は急速に変化しており、それでテキサス州は共和党の圧倒的な優位州から激戦州に変化している。

オースティンに住む共和党系のヴェテラン選挙関係者ビル・ミラーは次のように述べている。「テキサス州の共和党にとって深刻な時期になっています。現状を深刻に捉えない共和党関係者は11月に悪い結果となって驚くことになるでしょう。共和党は深刻に考え、対策を練らねばなりません。そうしなければ、テキサス州で困った事態になるでしょう」。

先週発表されたキュニピアック大学の世論調査では、テキサス州ではトランプ大統領がバイデンに1ポイント差をつけてリードしていた。「リアルクリアポリティックス」が出している平均では、テキサス州ではトランプ大統領が2.2ポイント差をつけてリードしている。

テキサス州共和党は都市の郊外における状況について懸念を持っている。こうした地域では、トランプ大統領が就任して以来、女性と無党派層が共和党支持から離れている。

ヒューストン、ダラス、オースティン、サンアントニオといった都市部の周辺地域で共和党への支持は下がっている。これら4つの都市は全米でも最も大規模にかつ急速に成長している都市となっている。2018年の中間選挙では、ヒューストンとダラスにおいて、民主党側の候補者が長年の共和党の現職を倒した。

警察によるジョージ・フロイドの殺害をめぐる歴史的な市民的抵抗運動が起きている現状、トランプ大統領はテキサス州の都市部郊外に居住する有権者に対するアピールする機会を失っていると共和党員や支持者たちは発言している。

オースティンを拠点としている共和党系のヴェテランの選挙関係者コービン・キャスティールは「郊外は懸念材料となっています。常に長所というものは短所を示すことでもあります。郊外にテコ入れをする必要があります」と述べている。

キャスティールは次のように述べている。「ドナルド・トランプ大統領は現在のような状況において思いやりを見せることを手助けすることになるでしょう。テキサス州共和党員の大部分はキリスト教徒です。イエス・キリストを愛し、キリスト教徒らしい生活を送っています。そして、私たちの党の指導者が経済と雇用、保守派の判事たちを任命するなどで素晴らしい成果を収めたが、思いやりをもって国を導く機会を逃したことを見て失望しています。現在の人種差別をめぐる危機的状況の時期に、思いやりを持ちながら国を導くならば、トランプ大統領の得票数は大変高くなるだろうと考えます。そうすればテキサス州を失うことはないでしょう。私はトランプ大統領が負けることはないだろうと確信しています。しかし、長所をてこ入れする機会を失っています」。

キャスティールは2016年の大統領選挙においてテキサス州でのトランプ大統領の選挙運動を指揮した人物だ。キャスティールは、2020年の大統領選挙ではトランプ大統領がバイデンに6ポイントの差をつけて勝利すると予測していると発言した。この数字は現代のテキサス州での大統領選挙において最も僅差の数字ということになる。

2016年、トランプ大統領はヒラリー・クリントンに9ポイントの差をつけて勝利した。これはジミー・カーター元大統領(民主党)が40年以上前にテキサス州で勝利を収めた際のポイント差以来の最小の差での勝利ということになった。1994年以降、民主党の候補者でテキサス全州を対象にした選挙で勝利を収めた人物はいない。この共和党の連勝記録は全米で最長期間を記録している。

キャスティールは、トランプ大統領が予想よりも小さい差で勝利を収めるということが起きれば、それはテキサス州共和党と連邦下院議員選挙にとっては「破壊」を意味することになるだろうと懸念を表明した。

キャスティールは、全米規模のメディアにおいて、テキサスが転換かなるかという問題について、テキサス州における共和党の置かれている状況は過小評価されている可能性が高いと指摘している。

テキサス共和党の党員や支持者たちは、連邦下院議員選挙予備選挙で複数の新人が勝利を収めたことを喜んでいる。その中にはダラスの女性実業家ジェネヴィー・コリンズが含まれている。コリンズは、ダラスを地盤とする1期目を終えようとしている現職のコリン・アレッド連邦下院議員(テキサス州選出。民主党)と本選挙で対決することになる。

キャスティールは、選挙戦が激しくなっていけば共和党員や支持者たちはトランプ大統領当選に向けて選挙運動を激化させ、一方、ジョー・バイデンは人々の関心を集め、批判が大きくなるだろうと予測している。

キャスティールは次のように述べている。「テキサスっ子はトランプ大統領の経済政策を本当に気に入っているし、判事の任命についても賛成している。投票ブースに入って、レヴァーを引く時に、トランプ大統領に投票するというのは簡単な決心ということになる」。

オースティンに住む共和党系ストラティジストであるブレンダン・スタインハウザーは、大統領選挙においてテキサス州で民主党が勝利を収める可能性は33%だと述べている。

スタインハウザーは、クローニンは連邦上院議員に再選され、得票率ではトランプ大統領よりも5ポイント高いという結果になると予想していると述べた。クローニンの対抗馬となる民主党側の候補者は来月明らかになるが、現在のところ、元米空軍パイロットのMJ・ヒーガーとテキサス州上院議員ロイス・ウエストが決選投票に向かって戦っているという状況だ。

スタインハウザーは、バイデンがテキサス州で勝利を得るためには、トランプ大統領に不満を持つ共和党員たちが投票に行かないか、投票に行っても何も書かない、一方で連邦上院議員選挙ではクローニン、他の選挙でも共和党の候補者に入れるという行動を取ることだ、と述べた。

スタインハウザーは次のように述べている。「テキサス州は大きく動いており、大統領選挙の結果は僅差で決まると確信しています。つまり、トランプ大統領が勝利を得ると考えています。共和党員や支持者たちは今回の選挙について真剣に考えています。今回の選挙が接戦になることは分かっています。ビトー・オローク前連邦下院議員は、2018年の連邦上ン議員選挙で郊外に住む白人女性の票を多く獲得しました。もし民主党側が今回も郊外に住む白人女性たちの支持を得ることができれば、選挙戦は接戦になります。しかし、テキサス州において、共和党員や支持者の数は民主党側を上回っています。その多くがトランプに投票してくれば、とりあえずOKということになります」。

2018年の中間選挙では、民主党候補のオロークは、現職で共和党所属のテッド・クルーズ連邦上院議員(テキサス州選出、共和党)を2.5ポイントの差まで追い詰めた。オロークは落選したが、2016年の大統領選挙で民主党候補ヒラリー・クリントンがテキサス州で得た票数を上回る得票数を記録した。

2018年の中間選挙で、テキサス州の民主党は共和党所属の現職が占めていた連邦下院議員の2席を奪い取った。6名の共和党所属の現職連邦下院議員たちは、5ポイント以下の接戦でようやく再選された。民主党連邦議会選挙対策委員会はテキサス州の各地に事務所を開設した。そして、民主党連邦議会選挙対策委員会は、全米で唯一、テキサス州だけで全力を投入する選挙運動を行った。

2018年のテキサス州議会選挙では、民主党は州下院議員選挙で12議席、州上院議員選挙で2議席を共和党から奪い取った。共和党はテキサス州下院では9議席のリードを保っているに過ぎない状況になっている。テキサス州民主党は、州下院の共和党が握っている議席のうち、22議席に関しては、世論調査によると一桁台の差となっており、民主党側が奪い取る可能性があると発表している。

テキサス州では2016年以来、有権者数が250万も増加した。テキサス州では有権者登録をする際に支持政党を登録することはやっていない。しかし、新たにテキサス州の有権者となった人々は、若年層、ラティーノ、カリフォルニア州、イリノイ州、ニューヨーク州といった民主党優位州(blue states)から移り住んできた人々であると考えられている。

テキサス州民主党の上級部長を務めるメルマニー・ガルシアは次のように述べている。「ジョージ・W・ブッシュの思いやりのある保守主義、ティーパーティー運動、トランプ運動を生み出すことに貢献した州ですよ。そして現在、これらすべての動きが新しい民主党運動へと急激に変化しているのです。共和党は怠慢になっており、テキサス州で物事が向かっている方向について、目を覚まさせる出来事について全く知ろうとしていません。人口増加によってテキサス州は全ての選挙のレヴェルにおいて、共和党優位が崩れているのです」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

amerikaseijinohimitsu019
アメリカ政治の秘密
harvarddaigakunohimitsu001
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙に向けて、民主党側では、ジョー・バイデン前副大統領陣営とバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)陣営との間で、政策のすり合わせを行うために、タスクフォースが結成された。これは民主党内にある穏健派と進歩主義派の団結を図ることが目的だ。

 現在、アメリカは分裂状況であるが、

気候変動に関しては、バイデン陣営からはジョン・ケリー元国務長官、サンダース陣営からはアレクサンドリア・オカシオ=コルテス(AOC)連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)が出ている。これは人々の関心を惹きつけるという目的があり、また、穏健派と進歩主義派の団結ということを象徴するということでもある。

 下に掲載した記事にかかれているように、バイデンは、いかにもヴェテラン政治家、という老練さを持っている。誰とも喧嘩をしない。交渉をし、合意を取り付け、妥協をし、相手を潰すのではなく、味方に引き入れるという技術を持っている。しかし、故の特徴は同時に、自分に確固たる信念や考えがない、弱弱しい政治家と見られてしまうという弱点になる。ドナルド・トランプ大統領のアクの強さやはっきりとした物言いに比べれば、どうしても弱弱しいということになる。これは共和党主流派の政治家たちにも言えることだ。反主流派や政治の外側からやってきた人々の方がはっきりした物言いで力強い。バーニー・サンダース、AOC、トランプ大統領の共通点はそこである。また、日本でも話題になっている、現代貨幣理論(Modern Monetary TheoryMMT)のステファニー・ケルトン教授も入っている。

 今回のタスクフォースの問題点は外交が入っていないことだ。どうして外交が入っていないのか。バイデン側が外交を専管するからか、すり合わせが不可能なほどにバイデン対サンダース、中道穏健派対進歩主義派の違いが大き過ぎるのか、ということが考えられる。バイデンの専管事項ということになれば、ヒラリー派の蠢動があることは覚悟しなければならない。ヒラリー派の人脈が外交分野で復活ということになれば、対中国、対ロシア、対中東で何をしでかすか分からない。最終的には体制転換や戦争を目指すという目的は変わらないが、それまでのプロセスで手荒なことを行うだろう。

 イラク戦争の失敗で威信を失ったジョージ・W・ブッシュ(息子)政権に代わったバラク・オバマ政権は抑制的な現実主義外交に戻ることを目指した。オバマが外交面で手本にしようとしたのは、ジョージ・HW・ブッシュ(父)政権だった。しかし、ヒラリー・クリントンを国務長官に選んでしまったことで、1期目はさんざんだった。

 バイデンもオバマと同様に、確固とした信念のない妥協型ということは懸念材料だ。ヒラリー派に政権を乗っ取られた場合には、民主党内部は修復不可能なほどに分裂する可能性がある。

(貼り付けはじめ)

バイデンとサンダースの側近たちが政策のすり合わせのために「団結のためのタスクフォース」を作る(Biden and Sanders allies create 'unity task forces' to explore policy initiatives

ジャスティン・コールマン筆

2020年5月13日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/497490-biden-and-sanders-allies-create-unity-task-forces-to-explore-policy

民主党の大統領選挙候補を確定させているジョー・バイデンと予備選挙でライヴァルだったバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)、両者の側近たちは民主党の香料のための政策のすり合わせを行うために「団結のためのタスクフォース(unity task force)」を作ることになった。バイデン選対が水曜日に発表した。

バイデンとサンダースのそれぞれの陣営は6つの政策課題をすり合わせ、民主党全国大会のために推奨される公約を作るためにタスクフォースを作るために協力している。タスクフォースには両陣営から8名ずつが出ることになっており、気候変動、刑事司法制度改革、経済、教育、健康保険、移民制度についてすり合わせることになる。

バイデン陣営は発表した声明の中で、タスクフォースの目的は「2020年の選挙で民主党を成功に導く政策」を作るために協力をすることだと述べている。

バイデンは、アメリカがただ単に「ドナルド・トランプ登場以前に時計の針を戻す」だけではないようにしたいと述べた。

バイデン前副大統領は次のように述べた。「団結した党は、今年11月にドナルド・トランプ大統領を倒し、前例のない危機を通じて私たちの国を前進させるために重要で必要不可欠な存在となる。私たちが共通の目的を達成する際に、アメリカ国民が直面している難題から目をそらさないことが決定的に重要だ」。

一方、サンダースは「前例のない経済上、ウイルス感染拡大の危機の直面する中で、民主党は大きく考え、大胆に行動し、この国の進むべき方向を変えるために戦わねばならない。」

気候変動部門の共同委員長にはアレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)が予定されている。オカシオ=コルテス議員はサンダースの熱心な支持者であり、進歩主義運動の指導者でもある。オカシオ=コルテス議員はジョン・ケリー元国務長官と一緒に委員長を務めることになる。

サンダース陣営のアナリリア・メヒアとバイデン陣営のカーメル・マーティンがタスクフォース計画を主導することになっている。

バイデンは進歩主義派の主張を取り入れて進歩主義運動の支持者たちからの支持を得ようと動いている。バイデンはメディケア制度において医療保険の範囲を拡大すること、多くの学生の債務の棒引き、破産システムの改革を公約に入れるようになっている。

=====

ジョー・バイデンとバーニー・サンダースは、新しい、政策を中心としたタスクフォースを構築しようとしている(Joe Biden and Bernie Sanders are building new, policy-focused task forces

―団結のためのタスクフォースは2020年の民主党の政策を作るのに重要な役割を果たすだろう。誰がタスクフォースに参加するかを紹介する。

エラ・ニールセン筆

2020年5月13日

『ヴォックス』誌

https://www.vox.com/2020/5/13/21257078/joe-biden-bernie-sanders-joint-unity-task-forces-democratic-policy

ジョー・バイデン前副大統領と進歩主義派のバーニー・サンダース連邦上院議員は、合同の「連合」タスクフォースを結成しようとしている。このタスクフォースは民主党の政策を直接作成し、2020年とそれ以降の党の綱領を打ち出すことになる。

48名の連邦議員たち、労働運動の指導者たち、経済学者たち、学術関係者たち、活動家たちは、民主党の政策綱領がどのようになるかを示している。バイデン陣営とサンダース陣営は6つの政策委員会に入る代表者たちを選んだ。この6つの政策分野は気候変動、刑事司法改革、教育、経済、医療、移民である。

サンダースの側近たちはタスクフォースのメンバーの名前を見て元気づけられるだろう。アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出)とプラミラ・ジャヤパル連邦下院議員など、メディケア・フォ・オールやグリーン・ニューディールといった進歩主義的な諸政策を声高に主張している人々が入っている。サンダース選対の前責任者ファイズ・シャキールはバイデン選対との交渉を主導している。シャキールは本誌の取材に対して、メンバーの選択過程を通じて、バイデン陣営は進歩主義派と協力するのに「柔軟でかつオープン」であると述べた。

シャキールは次のように述べた。「[バイデンには]選挙戦のために、より具体的な公約を作り上げるための余地が残っている。それは、彼が予備選挙を通じて、他の候補者のようにより深く具体化された公約を発表してこなかったからだ。だから、より具体的な公約を発表出来ることは大きなチャンスということにもなる」。

シャキールは、これからの数カ月でバイデンの政策公約に進歩主義派が影響を与えるだけでなく、バイデン陣営と継続的な関係を築くことができる機会となり、その結果、11月にバイデンが勝利を収めた場合にバイデン政権に誰が入るかについて情報を与えることになると考えている。

シャキールは「私たちが分かっている成功の秘訣は、ある政策を主張している人物に、実際に政策を実行させることです」と述べている。

大胆な政策を実行させることができるかどうかは、その多くが2020年の選挙後の連邦議会の議員の構成によって変わる。しかし、今回のタスクフォース結成は大きな第一歩ということになり、民主党内の進歩主義派と穏健派が協力する意思を持っていることを示す兆候ということになる。

声明の中で、民主党の大統領選挙候補者に内定しているバイデンは次のように述べている。「医療制度から司法制度改革、より多くの人々が参加できる公正な経済の再建まで、タスクフォースの仕事は私たちの国を前進させるための方法を明らかにするために必要不可欠なものとなる。これはドナルド・トランプ登場以前に時計の針を戻すだけということにはならない。私たちの国を変身させるものだ」。

タスクフォースは、今年8月の民主党全国大会の前に会合が開かれる予定だ。そして、バイデン陣営と民主党全国委員会投稿両委員会の両方に政策提言を行う。

現在、アメリカはコロナウイルス感染拡大の対応に苦闘している。仕事面や医療制度でも長年格差が続いている。そうした中で意味のある変化を起こさねばならない。サンダースは、民主党は労働者階級の人々のことを頭に入れて政策公約を作る必要があると述べた。

サンダースは声明の中で次のように述べている。「私はジョー・バイデンが私の選対と一緒に仕事をすると決めたことを評価する。私たちは、指導的な立場の思想家や活動家たちを集めた。こうした人々は、私たちの党を変革と進歩杉的な方向に向けるために一つにまとめ上げることができるし、実際に実現するだろう」。

バイデンとサンダースは連合体を構築しつつある。

このタスクフォース結成は、2020年の民主党予備選挙からサンダースが撤退してすぐにバイデン支持を表明した大きな理由であった。サンダースは、バイデン政権において、自分の進歩主義的な考えが政策に具体的な影響を与えることが補償されることを望んだ。

サンダースがタスクフォースのために選んだ人々は政策面でインプットができるだけではなく、バイデンが大統領に選ばれた場合にはホワイトハウスに入ってバイデンに仕える権利を持つ可能性が高い。

サンダース側の人々は他の面でも影響力を行使することができる。サンダースは現在でも予備選挙で多くの州で立候補を取り下げていない。そのため、民主党全国大会の場で決定される党の綱領の修正について、民主党全国大会に出席する代議員を獲得でき、それをバイデンとの交渉材料に使うことができる。これは2016年の時もバイデンが実行したやり方だ。しかし、民主党全国大会の開催前にタスクフォースに参加できることは進歩主義派にとっては大きな勝利ということになる。

このタスクフォースはバイデンの政治家としてのスタイルを表しているものだ。本誌のエズラ・クラインが指摘しているように、バイデンは合意を取り付けること、そして連合体を形成することの技術の高さで知られている。この技術は今回の予備選挙の期間中にバイデン自身を助けた。彼は、ピート・ブティジェッジやエイミー・クロウブシャー連邦上院議員といった中道派の競争相手と連合体を形成した。現在、この技術は、11月にトランプを倒すために、自身の側に必要な進歩主義陣営を招き入れることに役立っている。

4月、クラインはバイデンについて次のように書いた。

彼は支持を得るために、合意を取り付け、連合体を作り、妥協をすることに躊躇しない。予備選挙期間中、こうした動きは常にバイデンに不利に働いた。彼の落ち着いた姿勢や考えは彼の弱さを示すものと考えられた。バイデンの政治家としての長い経歴と懐柔的な気質は、相手側に対して攻撃材料を多数提供した。

バイデンが民主党の大統領選挙候補者に内定したのは素晴らしい演説があったからでも、剃刀のように切れる討論のパフォーマンスがあったからでもないと誰もが言うだろう。予備選挙における重要な局面で、バイデンは取引や連合体形成を通じて競争相手に対して策略で勝利を収めた。バイデンは競争相手をやっつけるのではなく、説得して味方に引き入れた。

サンダースはバイデンとインターネット上での議論の中で次のように語った。「私は君が人々を受け入れて結集させようとする人物だと分かっています。たとえ君とは意見が合わない人でも参加させようとする人だとね。そうした人々が言わねばならないことに耳を傾けたいと考える人だ。私たちは言うべきことを言い合えることができる。それが民主政治体制と呼ばれるものです。君は民主政治体制の重要性とその存続を確信している。私もそうです。こうしたことから、ジョー、私は君と一緒に働くことを楽しみにしているんですよ」。

シャキールは本誌に対して、2つの陣営がタスクフォースを構築するとなっても魂は継続すること述べた。

シャキールは次のように語っている。「メンバーたちに関してはとても満足でき、受け入れられるものです。イデオロギー上の理由で批判されるべき人は誰も入っていません。私はタスクフォースがうまく機能をし、人々が友情と信頼を築くことができると熱意と希望を持っています」。

これからタスクフォースの参加者について挙げていく。

(1)気候変動(Climate Change

■バイデン陣営から起用

・ジョン・ケリー元国務長官、タスクフォースの共同委員長

・キャシー・キャスター連邦下院議員(フロリダ州選出、民主党):気候危機に関する連邦下院委員会委員長

・ケリー・ダッガン:バイデン副大統領(当時)政策副部長

・元環境保護庁長官ジーナ・マッカーシー

・ドナルド・イエチェン(ヴァージニア州選出、民主党):連邦下院エネルギー・商業委員会メンバー、気候と環境に関する正義連邦議会合同タスクフォース共同創設者

■サンダース陣営から起用

・アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)タスクフォースの共同委員長

・ヴァーシニ・プラカシュ:若者による活動グループ「サンライズ・ムーヴメント」共同創設者

・キャサリン・フラワーズ:地方事業・環境正義センター設立者

(2)刑事司法制度改革(Criminal Justice Reform

■サンダース陣営からの起用

・チラーグ・べインズ:タスクフォース共同委員長、進歩主義派のシンクタンク「デモす」の法律戦略部長

・ステイシー・ウォーカー:アイオワ州リン郡監督官、サンダース選対アイオワ支部共同委員長

・サウスカロライナ州下院議員ジャスティン・バンバーグ:公民権専門弁護士

■バイデン陣営からの起用

・ボビー・スコット連邦下院議員(ヴァージニア州選出、民主党):タスクフォース共同委員長、連邦下院教育・労働委員会委員長

・テネシー州上院議員ラウメッシュ・アクバリ:テネシー州上院民主党議員連盟委員長

・ヴァニタ・グプタ:元司法次官補代理

・エリック・ホルダー元司法長官

・シモーン・サンダース:バイデン選対アドヴァイザー

(3)経済(Economy

■サンダース陣営からの起用

・サラ・ネルソン:タスクフォース共同委員長、フライト・アテンダント・CWA組合委員長

・ステファニー・ケルトン:ニューヨーク州立大学スト―ニー・ブルック校経済学・公共政策教授で現代貨幣理論(modern monetary theory、MMT)の専門家

・オハイオ州立大学教授ダリック・ハミルトン:収入格差と社会経済階層について研究

■バイデン陣営からの起用

・カレン・バス(カリフォルニア州選出、民主党):タスクフォース共同委員長、連邦議会アフリカ系アメリカ人議員連盟委員長

・ジャレッド・バーンスタイン:バイデン副大統領(当時)のチーフ・エコノミスト、経済アドヴァイザー

・ベン・ハリス:バイデン副大統領(当時)のチーフ・エコノミスト、経済アドヴァイザー

・リー・サウンダース:全米州・郡・市職員組合委員長

・ソナル・シャー:ピート・ブティジェッジ2020年大統領選挙陣営の政策部長

(4)教育(Education

■サンダース陣営からの起用

・ヘザー・ガウトニー:タスクフォース共同委員長、サンダース選対政策アドヴァイザー

・アレハンドロ・アドラー:コロンビア大学持続戒能開発センター

・ニューヨーク大学教授ヒロカズ・ヨシカワ

■バイデン陣営からの起用

・マルシア・ファッジ(オハイオ州選出、民主党):タスクフォース共同委員長、連邦議会アフリカ系アメリカ人議員連盟元委員長

・リリー・エスケルソン・ガルシア:全米教育協議会会長

・ランディ・ウエインガーテン:全米教職員組合委員長

・マギー・トンプソン:「ジェネレイション・プログレス」上級部長

・クリスティー・ヴィルサック:識字率向上運動家

(5)医療(Health Care

■サンダース陣営からの起用

・プラミラ・ジャヤパル(ワシントン州選出、民主党):タスクフォース共同委員長、連邦議会進歩主義議員連盟共同委員長、連邦下院に提出した「メディケア・フォ・オール」の提出者

・ドナルド・バーウィック医学博士:メディケア・アンド・メディケイドサーヴィス・センター元部長

・アブドゥル・エル・サイード医学博士:2018年のミシガン州知事選挙立候補者、単一支払者制度の主導者

■バイデン陣営からの起用

・元軍医総監ヴィヴェック・マーシー医学博士:タスクフォース共同委員長

・メアリー・ケイ・ヘンリー:国際サーヴィス従業員組合委員長

・ニューヨーク大学教授シェリー・グリード:オバマ政権で合衆国保健福祉省に勤務

・クリス・ジェニングス:オバマ政権で医療政策アドヴァイザー

・ロビン・ケリー連邦下院議員(イリノイ州選出、民主党):連邦下院エネルギー・商業委員会メンバー

(6)移民(Immigration

■サンダース陣営からの起用

・マリエレーナ・ヒンキャビー:タスクフォース共同委員長、ナショナル・イミグレーション・ラー・センター上級部長

・マリッサ・フランコ:進歩主義的ラテンアメリカ系グループ「ミヘンテ」部長

・ジャヴィエ・ヴァルデス:進歩主義的移民グループ「メイク・ザ・ロード」の上級部長

■バイデン陣営から起用

・ルシール・ロイバル=アラード連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党):タスクフォース共同委員長、ドリーム法案の共同提出者

・クリストバル・アレックス:バイデン陣営アドヴァイザー

・ヴェロニカ・エスコバー(テキサス州選出、民主党)

・フアン・ゴンザレス:バイデン副大統領(当時)補佐官

・ケイト・マーシャル:ネヴァダ州副知事

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 ジョージ・フロイド殺害事件に端を発する、人種差別に反対する抗議活動は過激化している。アメリカが南北に分かれて戦った内戦、南北戦争で南部諸州(Confederates)の将軍たちの銅像を引き倒すということを行っている。アメリカ南部を舞台にした映画『風と共に去りぬ』の配信ができない状態にもなっている。こうした動きはいくら何でもやり過ぎである。歴史を隠ぺいして見えなくすることにつながる。

 サンフランシスコでは北軍の指導者で後に大統領になったユリシーズ・S・グラントの銅像やアメリカ国歌の歌詞の基になる詩を書いたフランシス・スコット・キーの銅像が引き倒された。グラントは北軍の指導者であったが、南北戦争直前まで奴隷を所有していたり、アメリカが分裂しないのなら奴隷制度は継続しても良いと考えていたりということがあった。そのために過激な人々の攻撃対象となったようだ。

 エイブラハム・リンカーンはアメリカの首都ワシントンDCに大きな像が立っているほど、アメリカ史上偉大な大統領という評価になっている。私たちは、リンカーン大統領は奴隷制度を廃止した偉い人として習う。だから、ワシントンDCに大きな像があると思ってしまう。しかし、これは小室直樹博士が指摘していたことだが、リンカーン像があるのは、奴隷制度を廃止したからではない。アメリカが南北に分裂し、2つの国として固定化すること防いだ、つまり、アメリカの統一を回復したということがリンカーン最大の功績なのである。奴隷制度廃止は付けたりに過ぎない。公民権法が制定されたのはそれから約100年後の1964年だ。

 その時代その時代の先端の人々であっても、後の時代から見れば、「時代遅れ」である。当たり前だ。当時のことを現在の視点から批判することは許容されるが、断罪するということはやり過ぎだ。

 サンフランシスコの抗議加藤堂に参加した人々の中にはおそらくantifaの人々もいただろう。彼らからすれば、アメリカ国歌「星条旗」の詩を書いたフランシス・スコット・キーも罪深い人物ということになるのだろう。だったら器物損壊ではなく、徹底した批判をすればよい。批判は自由だ。しかし、フランシス・スコット・キーの銅像を引き倒すようでは、多くのアメリカ人からの支持も共感も得られない。それどころか、反感を招くだろう。そして、トランプ大統領に対する支持ということになるだろう。彼は「法と秩序(law and order)」という言葉を使っている。抗議活動の過激化はトランプ大統領の言葉に説得力を持たせている。トランプ大統領を当選させたくないという人々が抗議活動に参加しているだろうが、逆効果であることを理解すべきだ。

(貼り付けはじめ)

抗議活動参加者たちは北軍将軍のユリシーズ・S・グラントと国歌の歌詞を書いたフランシス・スコット・キーの銅像を引き倒した(Protesters tear down statues of Union general Ulysses S. Grant, national anthem lyricist Francis Scott Key

マーティー・ジョンソン筆

2020年6月20日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/state-watch/503685-protesters-tear-down-statues-of-union-general-ulysses-s-grant-national

金曜日、サンフランシスコでの抗議活動参加者たちが、ゴールデンゲイト公園にあるグラント元大統領の像を引き倒した。グラントは南北戦争時代に北軍を率いた。

NBCベイエリアの報道によると、サンフランシスコ市警察は、午後8時におよそ400名の人々が集まり、銅像を引き倒したが、逮捕者は出なかったと発表した。

金曜日、同じ公園で別の銅像が引き倒された。

金曜日、ゴールデンゲイト公園で引き倒された別の銅像は、聖ジュニペロ・セラと「星条旗(The Star-Spangled Banner)」の歌詞を書いたフランシス・スコット・キーのものであった。

金曜日はジューンティーンス(Juneteenthe)だった。ジューンティーンスは、1965年6月19日にテキサス州で最後の奴隷が解放されたことを祝う国が指定している記念日である。その日は奴隷解放宣言(Emancipation Proclamation)が発表されてから約2年後のことだった。

グラントは、南北戦争において北部を勝利に導き、アメリカ国内で奴隷制度を終わらせることに貢献した人物の一人として幅広く評価されているが、歴史家の中には、グラントと奴隷制度についての複雑な関係を指摘している人々もいる。

アメリカ南北戦争博物館の演出・プログラムスペシャリストであるシーン・キーンは記事の中で次のように書いている。「グラントは南北戦争の直前の約1年間、ウィリアム・ジョーンズという名前の人物を所有していた。1859年、グラントは35歳のジョーンズを買い取ったか、譲渡されたかで所有していた。ジョーンズはグラントに仕えたが、グラントは開戦直前にジョーンズを解放した」。

キーンはまた、数十名の奴隷を所有していた家族と婚姻関係を結んだとも書いている。

南軍がサムター要塞への攻撃を行った後、グラントは奴隷制度廃止主義者である父親に対して手紙を書いた。その中で次のように書いている。「私の考えは、反乱軍を従わせるために、そしてアメリカ合衆国憲法が認める全ての諸権利を守るために、鞭をふるうことです。奴隷制度に対する戦争以外には反乱軍を膺懲できないのならば、奴隷制度の廃止は合法的に行われるべきです。奴隷制度の廃止によって共和国(アメリカ)の存在を継続させることに失敗するならば、奴隷制度は存続させるべきです」。

サンフランシスコでグラントの銅像が引き倒されたことについて、ツイッターで多く批判が寄せられた。

今週、全米各地で抗議活動参加者たちは数多くの南軍の兵士や将軍たちの銅像を引き倒した。金曜日の夜にはワシントンDCにあるアルバート・パイクの銅像が引き倒された。トランプ大統領は銅像の引き倒しに関与した人々は逮捕されねばならないと述べた。

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