古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

2020年11月

 古村治彦です。

 古い記事で恐縮だが、今回の大統領選挙の政治献金についての記事を紹介する。簡単に言えば、エリートはバイデンに献金し、非エリートはトランプに献金したということだ。民主党は貧しい人々やマイノリティのためのリベラルな党、共和党はお金持ちのための保守的な党、という色分けを子供の時に習った。私が子供時代の1980年代のことだが、「共和党は自民党で、民主党は社会党みたいなもの」と教えてくれた大人がいた。「日本の社会党は選挙でいつも自民党に負けているのに、アメリカの民主党は選挙で共和党に勝ったり負けたりしているのはどうしてなのか」と不思議に思ったことを覚えている。

 献金から見ると、そうした単純な色分けは既に破綻している、意味をなしていないということになる。バイデンに献金しているのは安定した大企業で働いている人々や政府機関の人々だ。一方、トランプに献金しているのは不安定な自営業者や労働者たちだ。「弱い者の味方」であるはずの民主党が本来ならば支持基盤としなければならない人たちがトランプの応援をしている。前回紹介した記事でも取り上げていたが、白人労働者階級とラティーノ系の有権者の民主党への支持が低調、ということはこの献金の面からも分かる。大企業や政府機関で働いている人々に比べ、自営業者や労働者は景気の影響をモロに受ける。

 新型コロナウイルス感染拡大のために景気が低迷して影響を受けるのはそうした弱い人々だ。そうした人々にとって経済政策で全く期待できないバイデンを応援する理由はない。バイデンは新型コロナウイルス感染拡大対策と景気対策という難問を引き受けるだけの能力があるとは誰からも思われていない。彼は選挙が終われば用済みで、「早くカマラが大統領に昇格しないかしら」と、大金持ちの老人が子供たちや親せきから思われているようなことを期待されている始末だ。12月中の選挙人による投票がどうなるか、最高裁での判決がどうなるかということはもちろんがあるが、もしバイデンが大統領に就任しても、こんなに悲しい船出をするアメリカ大統領がかつていただろうかと暗澹たる気持ちになる。

 そして、共和党と民主党のアイデンティティの逆転現象はアメリカ政治研究にとって非常に興味深いテーマとなる。ポピュリズムと似非リベラリズムとの戦い、これがアメリカ衰退の時期に起きた。いよいよ店じまい、そのような感じだ。

(貼り付けはじめ)

トランプとバイデンに最も多く寄付した被雇用者(従業員、社員、職員)たちは誰か(The Employees Who Gave Most to Trump and Biden

ジャッキー・グー筆

2020年11月3日

『ブルームバーグ』紙

https://www.bloomberg.com/graphics/2020-election-trump-biden-donors/

2020年大統領選挙で使われた選挙資金の額は史上最高記録を更新している。そうした状況下、アメリカの労働者たちによる政治献金は、アメリカの雇用者(企業、組織、団体、政府)と職業の人たちの間での政治的な姿勢を示すスナップショットとなっている。

ブルームバーグ・ニュース社による、インターネット献金プラットフォームである「悪とブルー」と「ウィンレッド」が発表した献金データの分析によると、バイデンに献金した雇用者とその労働者たちのほとんどは、各大学から連邦政府、IT関連企業が含まれている。一方、トランプへの最大の献金者たちには配送企業、ウォルマート、米軍が含まれている。

この分析における被雇用者(従業員や職員)の中で、トランプに献金した被雇用者たちが雇用者(企業、組織、団体、政府)として名前を上げたで最も多かったのが、ニューヨーク市警察とアメリカ海兵隊であった。約70%がトランプ陣営に献金を行った。バイデンへの献金の中で、最も多く献金した雇用者は、フェイスブック社とワシントン大学であった。また、これらに属している被雇用者で政治献金を行った人々の内、97%がバイデンに献金を行った。

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どの雇用者(企業)がバイデン、トランプに献金しているか(それぞれの陣営に献金した被雇用者が多い雇用者100)

センター・フォ・リプリゼンティティヴ・ポリティックスの報告によると、2020年の大統領選挙の支出額は総額で66億ドル(約6860億円)以上になると見られている。4年前の倍額になる見込みだ。民主党のジョー・バイデンは10月14日までの時点で、陣営への個人献金を約10億ドル集めている。ドナルド・トランプ大統領は約6億ドルを集めている。

2020年、選挙陣営にとってインターネット上の献金プラットフォームは重要な資金集めの道具となった、特に新型コロナウイルス感染拡大のために対面での献金集めが制限される中で、重要な役割を果たした。民主党はアクトブルーを使った献金集めで有利なスタートを切ったが、ウィンレッドは、トランプ大統領が支持者たちに使用を促したことで、急速に重要性を増していった。これらのプラットフォームは少額の献金者の増加に大きく貢献した。

アクトブルーとウィンレッドを通じた被雇用者の献金について、ブルームバーグ・ニュース社の分析は、全ての個別の献金については説明はできていない。そして、今年の選挙で失業中の人々がどれだけの額を献金したのかについて考慮されていない。しかし、今年の選挙で、2つのプラットフォームでの献金は献金総額の57%を占めている。この分析によって、200ドル以下の献金者の動きを大まかに掴むことができ、こえは連邦選挙管理委員会の様々な報告の内容に反するものでもない。

トランプは徐々に肉体労働者たちからの支持を上げていった。自身の職業を牧場主と自己申告した献金者の84%、建設労働者の75%がトランプに献金した。大学教授、学部長、大学職員の大多数はバイデンに献金した。

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誰が誰に献金しているのか(それぞれの陣営に献金している100の職業)

ウィンレッドを使ってトランプに献金した1万9000名以上が自分たちの職業として挙げていたのが、「ホームメイカー(家事労働者、家政担当者)」であった。アクトブルーを使ってバイデンに献金した人々に比べて900名以上少なかった。トランプ陣営に献金した人の中で職業欄に「妻」という言葉を入れた人の数は、バイデン陣営に献金した同様の人々に比べてほぼ5倍となった。非営利団体に勤務している人の中で、トランプ陣営に献金をした人の割合は4%にとどまった。一方、牧場経営者の84%がトランプに献金を行った。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 今回の大統領選挙と同時に連邦上院議員の一部と連邦下院議員の選挙も実施された。連邦下院は2年ごとに全議員に対して選挙が実施される。選挙戦をやりながらの議員活動ということになって大変に消耗する。また、政治家になりたい人にとっては、2年ごとにチャンスが訪れるということで、挑戦しやすい。

 2020年の連邦下院議員選挙では、民主党が共和党から3議席を奪うも、10議席奪われ、共和党は11議席を奪い、3議席を失うということで、差し引きで民主党が222議席、共和党が207議席を確定させ、残り8議席がまだ確定しないという結果になっている。2019年1月から2021年1月までの任期では、民主党が232議席、共和党が197議席、リバータリアン党が1議席、欠員5議席となっていた。民主党は引き続き過半数を確保したが、多くの議席を失ったということになる。連邦上院は、共和党が50議席、民主党が48議席を確定させている。ジョージア州の2議席がどうなるかだが、民主、共和両党で分け合う形となる可能性が高く、そうなれば、共和党が過半数を握ることになる。

 民主党はホワイトハウスを奪還した(仮)と喜んでいるが、その前途は暗いものである。連邦上院は制度上共和党が有利である以上、連邦下院は何としても過半数を確保しなければならない。しかし、2022年の中間選挙で挽回できる可能性は低い。まず、中間選挙では大統領を出している与党の連邦議会での議席は減るのが通常だからだ。これにプラスして、民主党は自分たちの支持基盤とすべき、白人労働者階級とラティーノ系の有権者からの支持を集められていない。そうなれば、次の選挙は厳しいということになる。

 ジョー・バイデンが大統領になっても、彼が直面する課題はトランプ大統領と同じだ。新型コロナウイルス感染拡大を抑えながら、経済も回復させねばならない。ジョー・バイデンが大統領になれば、「自分は新型コロナウイルス感染対策を託されて当選した」ということを理由にして、罰則付きのマスク着用義務化を推進する可能性がある。このようなことが起きれば、「トランプを暴君だのなんだのと言っていたが、バイデンこそが自分たちの生活に介入してくる暴君ではないか」ということで、それこそ、民主党が手放してしまった有権者グループである、白人労働者階級とラティーノ系の激しい反発を招くだろう。

 また、経済対策については、大統領選挙前からバイデンには全く期待が集まっていない。だからと言って何もしない、何もできないということは許されない。しかし、次の中間選挙までに人々に期待に応えることができるかと言えば心もとないということになる。

 「トランプを倒した、やったやった」というバカ騒ぎの後には苦難が待っている。

(貼り付けはじめ)

メモ:民主党は2020年以降の警戒警報に直面している(The Memo: Democrats see warning signs beyond 2020

ナイオール・スタンジ筆

2020年11月19日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/the-memo/526608-the-memo-democrats-see-warning-signs-beyond-2020

民主党内の最も頭脳明晰な人々の中には警戒警報を受け取っている。民主党は大統領選挙当選者のジョー・バイデンのトランプ大統領に対する勝利を祝っているがそうした中で、警戒警報が出ていることに気付いている。

バイデンは今年の大統領選挙において総獲得票数で約600万票差をつけている。一方、リベラル派の政治専門家たちの中には、民主党にとって予想外の困難をもたらす人口動態学的な動向に当惑している人々がいる。

2つの事実が特に繰り返し述べられている。その2つとは、ラティーノ系有権者たちからの支持が予想よりも弱かったこと、大学教育を受けていない白人有権者たちの間での共和党支持の強さが継続していること、である。

選挙人獲得におけるバイデンの勝利、バイデン306名対トランプ232名は、おおむね満足できる結果であったが、ウィスコンシン州、ジョージア州、アリゾナ州といった激戦諸州で、大変な僅差であった。これらの州では全て1%以下の得票率の差であった。

有権者の間での教育という側面での分断は、民主党にとってマイナスになっている。2012年の大統領選挙でオバマ選対において内部の選挙予測モデルを担当したデータ・エクスパートのデイヴィッド・ショアがこのことを主張している。

ショアは本誌の取材に対して次のように答えた。「大学の学位を持っていない人々の間での支持が全く上がっていない事実は民主党にとって大変に悪い兆候です。それは道徳的な理由からではありません。その理由は、大学の学位を持っていない人々は都市以外の場所に居住し、地方は全ての選挙において人口に比べて多くの代表を出していることなのです」。“

ショアは続けて次のように述べた。「真実は、小選挙区制度であろうと、選挙人制度であろうと、連邦上院議員選挙制度であろうと、地方の各州に対してより議員や選挙人が配分されているということです。従って、民主党の現在の選挙対策のための連合は立法府における力をうまく生み出せないのです」。

大学教育を受けた白人有権者がトランプに対して反対する動きを行い、それが今年バイデンが勝利した主要な理由となった。2016年の時にはヒラリー・クリントンはここで敗れたのだ。

今回の大統領選挙の出口調査の結果、バイデンは白人の大学卒業生の有権者の間で、トランプに3ポイントの差をつけて勝利した。2016年の選挙の時には、ヒラリーは3ポイントの差をつけられて敗北した。

しかし、バイデンは民主党に対する白人の労働者階級の有権者たちからの支持の減少を目立たせた。今年の大統領選挙では、大学の学位を持たない白人有権者の間では、トランプ大統領に35ポイントの差をつけられて敗北した。この差は2016年の選挙でのヒラリーがつけられた差37ポイントよりも少し改善した。

デイヴ・“マッドキャット”・サンダースはヴァージニア州南西部を拠点にして活動している民主党系ストラティジストだ。サンダースは長年にわたり、民主党は地方に住む白人有権者たちから文化的に大きく乖離していると主張してきた。

サンダースは次のように述べている。「いつもいつも、“おいおい、田舎の奴らはまたまた自分たちの経済的利益に反する投票をしているぜ”ってことばかり聞く。しかし、どうしてそういう行動を取るのかについて誰も語ろうとはしないんだ。田舎の人たちにそのような行動を取らせる強力な利益が存在する。それが文化なんだよ」。

サンダースは、古い「ブルー・ドッグ」民主党員を例に挙げる。この人々は、「銃所有に賛成で、厚くキリスト教を信仰している」人々だとサンダースは定義している。このブルー・ドッグ民主党員がアイオワ州に多くいたならば、選挙に弱い、共和党所属の連邦上院議員ジョニ・アーンストを落選させることができただろうとサンダースは語っている。アーンストは選挙戦序盤の各種世論調査の結果、挑戦者のテレーザ・グリーンフィールドを追いかける展開であった。しかし、その後に差をつけ、最終的に7ポイントの差をつけて勝利した。

ラティーノ系の支持が集まらなかったことは、民主党の多くの政治家にとって困難をもたらすことになった。

2016年、トランプはラティーノ系有権者の内28%からの投票を獲得した。これに衝撃を受けた専門家たちが存在した。この数字は2012年の共和党の候補者ミット・ロムニーの数字よりも若干高いものであった。トランプの移民に対する厳しい言葉遣いにもかかわらず、数字が良かったのだ。今年の選挙ではトランプはこの数字をさらに上げ、32%の投票を獲得した。

メディアの関心はフロリダ州に集まった。フロリダ州の中で最もキューバ系アメリカ人の多いマイアミ・デード郡におけるバイデンの得票数は、4年前のヒラリー・クリントンの3分の1であった。

一方、トランプ大統領はテキサス州内のメキシコ国境に沿って存在するラティーノ系が人口の大多数を占める各郡で勝利を収めた。民主党はテキサス州内で連邦下院議員の議席数を増やすことができず、テキサス州下院議員選挙での結果は失望に終わった。

デビー・ムカーセル=パウエルはフロリダ州南部地域で、再選に失敗した民主党所属の女性連邦下院議員2人のうちの1人だ。民主党がラティーノ系からの支持を集められなかったことについて、民主党は「社会主義的だ」というレッテル貼りをされたからに過ぎないという責任転嫁について激しく批判した。

ムカーセル=パウエルは水曜日にツイッターに次のように投稿した。「私たちが敗北したことに関しては多くの要素があった。ラティーノ系を標的にした偽情報の拡散、経済再開に関連して失望し、経済状況を心配する有権者たち、“この人種の人なら民主党に入れるだろう”という人種アイデンティティについての考えを持つ全国規模の民主党といったものだ。ただ単に社会主義に対しての反感だけが理由ではない」。

リベラル派のシンクタンクであるセンター・フォ・アメリカン・プログレスの上級研究員レイ・テイシェイラも同様の分析を行っている。テイシェイラは特に、新型コロナウイルス対策に関連する新たな制限とそれによる経済における結果似た対するラティーノ系共同体内に存在する恐怖感を強調している。

テイシェイラは「ヒスパニック系の労働者階級の人々は経済について大変に敏感であるようです。そのことは民主党にとっては役立ちませんでした。こうした人々は自分たちの雇用、家族、収入、働けるかどうかについて大きな懸念を持ちっているのです」と語っている。

更に広く見て、テイシェイラは続けて、「民主党がヒスパニック系有権者に向けて良いだろうと考えて主張している公約は自分たちが思っているほどには良いものではないのですよ」と述べた。

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)の大統領選挙選対の上級顧問を務めたチャック・ロッカは、「社会主義」という批判は誇張されたものだったと述べている。彼はフロリダ州のマイアミ・デード郡について「社会主義という言葉はアメリカのある一つの州のある一つの郡で重要でそれ以上ではないと思いますよ」と語った。

ロッカは次のように主張している。民主党は幹部クラスの中に、もしくは民主党と関係のあるスーパーPACの運営の中に、ラティーノ系とアフリカ系の人物が人口比に比べてかなり少ない状況であり、そのことのつけを支払っている状況だ。

ロッカは「戦略的な決定を行う際には、その場所にはラティーノ系もアフリカ系の人は誰もいないのです」と述べている。

トランプの退場が迫っている中で民主党は大いに安堵している。しかし、民主党は、選挙においてより効果的な有権者連合をどのように形成するかについてこれから数カ月間、激しい議論をしなければならない。

進歩主義派の人々の中には、民主党は草の根の支持者たちをより活性化する必要があると主張し、その考えを「基盤を固めて掴もう」というスローガンに集約している。

しかし、他の人々はショアと同様に、この考えにそこまで説得されている訳ではない。

ショアは次のように述べている。「民主党は議論を巻き起こす、挑発的な物事に力を注ぐ傾向があります。民主党は文化的に保守的な人々に投票して欲しいと望むならば、より穏健で、あまり議論を巻き起こさないようにする必要があります」。

ショアは「ほとんどの選挙で勝利しているのはどんな人かを見てみれば、最もうまくやっている人は、ほとんどの場合、穏やかな人物で、そういう人物が選挙に勝利しているのです」と述べている。

(貼り付け終わり)

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 古村治彦です。

 ドナルド・トランプ大統領の「アイソレーショニズム(国内問題解決優先主義、Isolationism)」「アメリカ・ファースト(America First、アメリカ国内の状況を第一に考える)」という言葉は日本で通じる言葉で言えば「アメリカ国民の生活が第一」ということになる。2016年のトランプの選挙公約は、「世界中に展開しているアメリカ軍を撤退させる」というものだった。これに人々が惹きつけられた。

 2008年のバラク・オバマ旋風も「チェンジ」「イエス・ウィ・キャン」というスローガンで隠されているが、ジョージ・W・ブッシュ政権の外交政策や国家安全保障政策、ネオコンが主導した諸政策の失敗に対する反対が根底にあった。しかし、オバマ政権第一期では、選挙で激しく戦ったはずのヒラリー・クリントンを国務長官に起用した。案の定、ヒラリーとその一派は余計なことをして中東を混乱に陥れてしまった。また、リビアではベンガジ事件が起き、ヒラリーの側近クリストファー・スティーヴンス大使が死亡することさえ起きた。ヒラリー派は「人道的介入主義派」と呼ばれ、共和党系のネオコンと親和性が高い。世界中に介入して、「世直し」をしてやろう、そうすることが世界平和への道だと宗教のよう信じ込んでいる人々だ。

 2003年のイラク戦争には、当時、民主党所属の連邦上院議員だったヒラリー・クリントンもそしてジョー・バイデンも賛成している。「好戦的な戦争屋(war monger)」の最たるものではないか。

 ジョー・バイデン政権(仮)で、国家安全保障政策や外交政策の分野で、どれだけヒラリー派の人々が登用されるのだろうかと私は心配している。「トランプ大統領が負けた、やったやった」と日本で投票権もないのに喜んでいるのは、単細胞の考えの足りない人々だ。これからどれだけの厄災が起きるのか、と常に悲観的に備えておくことが考え深い人たちのやることだ。
christophercmiller001

クリストファー・ミラー
 トランプ政権はアメリカ軍の撤退を進めようとしている。マーク・エスパー国防長官が解任され、クリストファー・ミラーが国防長官代理に任命された。ミラーは「全ての戦争は終わらせられなければならない(All wars must end)」という衝撃的な言葉を発した。好戦的なアメリカの国防長官が戦争を止めようと言ったのだ。「アメリカと一緒になって、中国と韓国をやっつけてやる」と言葉だけはお勇ましい日本国内のアホ右翼に聞かせてやりたい。彼らは「それじゃジョン・レノンと同じじゃないか!」と呆れて驚き、自分たちが上ったはしごが外されたと感じるだろうか。

 エスパー国防長官とその側近たちが更迭されているのは、トランプ大統領の意向に沿う動きをしなかったからだ。それがアメリカ軍の撤退であり、こうした人間たちは自分たちは快適なオフィスにいて、下っ端のことなど書類上の数字でしかとらえない。

 クリストファー・ミラーはジョージ・ワシントン大学時代にROTC(士官養成プログラム)を利用して、大学を卒業後に米軍に入隊している。特殊作戦部隊(グリーンベレー)に所属していたこともある。また、大学在学中には、ワシントン市内を警護する、3400名の将兵を擁するワシントン・コロンビア特別区陸軍州兵部隊(District of Columbia National Guard)の憲兵を務めていたこともある。ミラーを国防長官代理に登用したということは、トランプ大統領はワシントンを固めようとしているのだろうということが分かる。

 バイデンが勝って良かった、良かったと言っている人たちはよく考えた方が良い。あなたたちが考えているよりも事態はより深刻でかつ危険なのだ。

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●「アフガン停戦協議の加速を 米長官、タリバンと会談」

2020/11/22 09:12 (JST)

©一般社団法人共同通信社

https://this.kiji.is/702996862120199265?c=39550187727945729

 【ワシントン、イスラマバード共同】ポンペオ米国務長官は21日、アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンの交渉団とカタールの首都ドーハで会談し、恒久停戦に向けアフガン政府との協議を加速させるように促した。アフガン政府交渉団にも同様の考えを伝えた。国務省が発表した。

 2月の米タリバン和平合意に基づきカタールで停戦協議が続いているが、タリバンが各地で攻撃を続けているため進展していない。

 トランプ米大統領は大統領選での敗北を認めておらず、米政権は17日にアフガン駐留米軍を現在の約4500人から来年115日までに約2500人に削減すると発表している。

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新しい国防長官は海外派遣の米軍の数を減らす可能性を示唆している:「全ての戦争は終わらせられねばならない」(New Defense chief signals potential troop drawdown: 'All wars must end'

セリーヌ・キャストロヌオヴォ筆

2020年11月14日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/defense/525967-new-defense-chief-signals-potential-troop-drawdown-all-wars-must-end

クリストファー・ミラー国防長官代理は金曜日に国防総省のスタッフに宛てたメモにおいて中東における米軍の数を削減する可能性を示唆した。メモの中でミラーは「全ての戦争は終わらせなければならない」と書いている。

ミラーは、今週になってトランプ大統領が国防長官だったマーク・エスパーをツイッターでの書き込みで解任した後を受けて、国防長官となった。ミラーはメモの中で、現在の様々な衝突が終わっていないことを認めながらも、「私たちは永続戦争を行う国民ではない」と書いている。

ミラーは、アフガニスタンでの戦争に言及しながら、次のように述べている。「私たちが将来に備える中で、2001年に我が国にアルカイーダがもたらした戦争を終わらせるための努力を続けねばならない。この戦争は終わってなどいない」。

ミラーは続けて次のように述べている。「私たちはアルカイーダと協力者たちを敗北の淵にまで追い込んでいる。しかし、私たちは、戦いを終わりにまで導くことができなかった過去の戦略的な誤りを避けねばならない。実際のところ、この戦いは長期化し、私たちの払った犠牲は多大なものとなっている。そして、多くの国民は戦争に疲弊している」。

ミラー国防長官代理は「現在の段階は、私たちが指導的な役割から支援的な役割に移行するための重要なものなのである」とも書いている。

ミラーは「私たちは永続戦争を叩か国民ではない。私たちが支持するもの、私たちの先祖が戦ったもの二大して永続戦争は反対する考えだ」と述べ、「全ての戦争は終わらせられなければならない」と続けた。

ミラーは「戦争を終わらせるためには、妥協とパートナーシップが必要となる。私たちは困難に直面した。私たちは全ての力を注ぎこんだ。そして今、私たちはアメリカに帰る時なのだ」と書いている。

トランプ大統領が今週エスパーを解任してから、アフガニスタンから米軍将兵の撤退を促進するのではないか、国防総省の幹部たちの人事を大きく変更するのではないかという疑念が大きくなっている。

2016年の大統領選挙で、トランプは「終わりのない戦争」を終わらせ、外国の争いから米軍将兵を撤退させることを公約として選挙戦を戦った。しかし、19年間も続くアフガニスタン戦争におけるアメリカ軍の存在を削減しようとする試みは困難であることが証明され続けた。

トランプ政権は今年初めにタリバンとの間に条件付きの講和条約を締結した。その内容は、タリバンがアフガニスタンにおけるアルカイーダの存在を拒否するために努力することで、アメリカは来年5月までに完全撤退をするというものだ。トランプ大統領は米軍撤退のペースに不満を募らせているという報道がなされている。

先月、トランプ大統領はツイッター上に、アフガニスタンに駐留している米軍はクリスマスまでにアメリカ本土に帰還させるべきだ、と投稿した。

今週になって国防長官代理に任命され、その直後に、ミラーはダグラス・マクレガー退役陸軍大佐を自身の上級顧問として採用した。

マクレガーは過去、頻繁にアメリカ政府は米軍を中東の争いから撤退させるように主張してきた。そうしたマクレガーを国防総省に迎えたということは、トランプ大統領が任期の終わりの時期にアメリカ軍を中東から引き上げさせる試みが行われる可能性を示唆している。

人事変更については報復だという見方も出ている。トランプ大統領に対して厳しい批判を展開している元CIA長官ジョン・ブレナンは金曜日、トランプ大統領が国防総省の人事を大幅に変更したのは「復讐」をしているのだと述べた。

ブレナンはCNNとのインタヴューの中で次のように述べた。「大統領は人々に対して個人的に忠誠を誓うように求めます。従って、マーク・エスパーを解任し、国防総省内の幹部クラスの文官たちを更迭したことは、トランプ氏の個人的な恨みを晴らす行動に過ぎないのです」。

エスパーの解任以降、国防総省の幹部たちの中から辞任を示唆する動きが出ている。国防総省の政策担当のトップであるジェイムズ・アンダーソン、国防総省の情報部門のトップであるジョセフ・カーナン、エスパーの首席補佐官ジェン・ステュワート、次席補佐官アレクシス・ロスが辞任の動きを見せている。

国防総省の元幹部職員で、現在の国防総省の幹部クラスの状況について詳しい人物は今週、マクラッチーに対して次のように語った。「今回の選挙では自分が勝利したというトランプ大統領の主張を促進するために、米軍を積極的に使用する準備のため、国防総省の幹部文官たちを解任することはトランプ大統領にとって重要なことなのです」。

ある幹部職員は国防総省の人事の更迭と招聘について次のように述べた。「これはこうした種類の決定を行うにあたり、恐らく最悪の、最も極端な理由となるでしょう」。

先週、ジョー・バイデンが大統領選挙の勝者となったと大手メディアは報じた。しかし、トランプ大統領は敗北を認めることを拒絶し、民主党による選挙を盗む試みとして、激戦諸州で不正選挙が実施されたということを繰り返し主張している。

これらの主張は選挙の専門家、地方の選挙関連職員たち、そして裁判所によって反論され、覆されている。

ミラーは金曜日、指導部の変更があっても、米軍は「極力な体制」を維持し続けると述べた。

リトアニアからの訪問団との会談の前に、国防総省でミラーは次のように発言した。「アメリカ国民と我が国の同盟諸国とパートナー諸国について、国防総省は強力な体制を維持し、アメリカの国土、アメリカ国民、世界規模での我が国の国益を保護し続けるという重要な仕事を継続するということを明確にしておきたいと思います」。

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 古村治彦です。

 2021年1月17日(日)に副島隆彦を囲む会主催定例会が開催されます。以下に詳細を貼り付けます。

(貼り付けはじめ)

42回副島隆彦を囲む会主催定例会

「悪辣(あくらつ)なディープ・ステイトと闘(たたか)い続けるトランプとアメリカ国民」

・講師:副島隆彦先生、六城雅敦(ろくじょうつねあつ)研究員

・開催日時:2021年1月17日(日)12時15分開場、13時開演

・会場:JR「御茶ノ水」駅 全電通労働会館ホール

・会場住所:〒101-0062  東京都千代田区神田駿河台3丁目6

TEL03-3219-2211 FAX03-3219-2219

・地図:
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・会場までのアクセス:

JR中央・総武線 御茶ノ水駅

(聖橋口出口 徒歩5)

東京メトロ千代田線 新御茶ノ水駅

(B3出口 徒歩5)

東京メトロ丸ノ内線 淡路町駅

(A5出口 徒歩5)

都営地下鉄新宿線 小川町駅

(A7出口 徒歩5)

・当日の予定:

開場  12:00

開演  12:45

終了  17:00(予定)

【新型コロナウイルス感染拡大防止のお願い】

・発熱だと体調が悪い場合には参加をお見合わせ下さい。

・マスクを着用してご参加ください。

・手洗いと手指の消毒をお願いいたします。

・ロビーやお手洗いなどでは密にならないよう、ご協力をお願いいたします。

※定例会出席のお申し込みはコチラ↓

https://www.kokuchpro.com/event/b78799f854b8e28c5cf94a58bd0874ca/

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 古村治彦です。

 ジョー・バイデンの息子ハンター・バイデンには金銭スキャンダルが付きまとう。ウクライナや中国でのビジネスに関してのものだ。しかも父ジョーがアメリカ合衆国副大統領に在任していた時期だ。そもそも父ジョーは30年以上連邦上院議員を務めたのだが、その時期にワシントンでロビイストをしていたということもいまから考えれば、「親の七光り、親の威光を使って仕事をしていた」ということになる。アメリカにだって「忖度」はある。「忖度」という言葉の英訳についてはこのブログでも紹介している。

※「「忖度(そんたく、SONTAKU)」、英語にしにくい日本語(2017年3月24日)」↓

http://suinikki.blog.jp/archives/69823078.html

 さて、この息子ハンターの疑惑、スキャンダルについて大手メディアは「黙殺」だった。また、ツイッターなどSNSではこのスキャンダルについて貼り付けたり、記事を紹介したりすることを禁止した。これは、アメリカ国民の「知る権利」を大いに侵害する行為だった。大手メディアがトランプ大統領や彼の家族に関する記事は何でもかんでも掲載し放題だったにもかかわらずだ。

 ある世論調査の結果では、「ジョー・バイデンのバカ息子ハンターのスキャンダル、疑惑について知っていたらジョーには投票しなかった」という有権者が結構な数いるのではないかと推測できる数字が出た。バイデンに投票した有権者の4.6%が、スキャンダルを知らなかったし、知っていればジョーに入れなかったと答えているのだ。

 今回の選挙の結果は総得票数でも、激戦各州の得票数でも僅差だった。従って、バカ息子ハンターの疑惑が知れ渡っていれば、結果は全く違ったものとなっていただろう。ジョー・バイデンが大統領になっても、ハンターのことは父親ジョーにとってアキレス腱、弱点として残り続ける。民主党内で「早くハリスが昇格しないかな」と考えている幹部たちがハンターのことをメディアにリークして、大手メディアが選挙期間中とは異なり、大いに報じることになったら、ジョーは不名誉な辞任も考えられる。生殺与奪の権を他人に握られる。

 ジョー・バイデンにとっては前途多難なことだし、何よりも選挙結果に影響を与えたメディアとSNSの罪は万死に値するということになる。

(貼り付けはじめ)

世論調査:ハンター・バイデンのスキャンダルをメディアが隠蔽したことはトランプの明確な勝利を盗んだ(Media's hiding of Hunter Biden scandal robbed Trump of clear win: Poll

ポール・ベダード筆

2020年11月13日

『ワシントン・イグザミナー』紙

https://www.washingtonexaminer.com/washington-secrets/medias-hiding-of-hunter-biden-scandal-robbed-trump-of-clear-win-poll

ジョー・バイデンに投票した有権者たちの中で十分な数の人々は彼の息子ハンターの金銭スキャンダルについて知っていれば、バイデンに投票しなかったし、それはトランプが明確な勝利を得るのに十分な数だった。

新しい調査によると、バイデンに投票した有権者のうち4.6%が、バイデンの息子の中国に関する金銭スキャンダルについて知っていれば、バイデンには投票しなかっただろうと答えた、ということだ。

「マクローリン・アンド・アソシエイツ」社がメディア・リサーチ・センター(MRC)のために行った世論調査の結果によると、バイデンに投票した有権者のうち36%がハンター・バイデンのスキャンダルについて知らなかった。その内の13%がもしスキャンダルを知っていたらバイデンに投票しなかっただろうと答えた。

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MRCは「バイデンからのそのような有権者の移動は、トランプ大統領が選挙人289名を獲得して勝利していたということを意味する」と指摘している。MRCは2016年と2020年の大統領選挙においてトランプ選対のために働いた。

ハンター・バイデンのスキャンダルに関しては、保守的ではないメディアのほとんどが報じなかった。ツイッターとその他のSNSはスキャンダルに関しての報告の多くを禁止とした。

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リンゼー・グラハム連邦上院議員は、バイデンが副大統領在任中にハンター・バイデンが海外で締結したビジネスに関する合意についての新たな発見は選挙結果を左右するだろうと予見していた。

MRC社の会長ブレント・ボゼルは次のように述べている。「隠蔽の影響について私たちは今良く認識している。バイデンに投票した有権者のうち4.6%がハンター・バイデンのスキャンダルについて知っていればバイデンには投票しなかったと答えている。ハンター・バイデンのスキャンダルは選挙の結果を変える可能性があったのである。メディアとシリコンヴァレーはこのことをよく分かっていたのだ。だから、彼らはハンター・バイデンのスキャンダルがアメリカ国民に届かないようにと積極的に行動したのだ。アメリカ国民は真実を知る価値を持つ人々だった。しかし、もはや時遅し、となってしまった」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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