古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

2021年10月


 古村治彦です。

 2021年10月30日に副島隆彦先生の最新刊『コロナ対策経済で大不況に突入する世界』(祥伝社)が発売になります。

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コロナ対策経済で大不況に突入する世界

 以下に、まえがき、目次、あとがきを貼り付けます。是非手に取ってお読みください。

(貼り付けはじめ)

まえがき

 この本が出るころは、岸田文雄(きしだふみお)政権ができている。自民党は総選挙(衆議院議員選挙、10月31日投票)になんとか勝って公明党との連立政権を続ける。国民はうんざりして飽き飽きしたまま、今の体制が続く。だから岸田内閣は長続きしなくて、また来年次の選挙があるだろう。全国の自民党の党員たち(110万人)の8割ぐらいが、河野太郎(こうのたろう)の自民党改革に強く期待した。その波がまた襲ってくるだろう。

 コロナとワクチン騒ぎは、ひと山越した。まだ騒ぎ続けて「ワクチンパスポートがないとお店に入れない」とか「子どもにもワクチンを打つべきだ」と意固地(いこじ)になっている愚(おろ)か者(もの)たちもいる。しかし国民の多数は緊急事態宣言解除で「よかった、よかった」と、貧乏くさい近場への旅行を楽しんでいる。いつ外国に飛行機で行けるようになるかはまだ分からない。世界を支配しているディープ・ステイト(陰[かげ]に隠れた政府)は、世界民衆がものすごい数で地球上を移動することを嫌うからだ。

 冒頭からこんなことは書きたくないが、欧米白人の支配層たちは、ヨーロッパにアフリカ諸国や中東のアラブ人たちがワイワイ押し寄せてくるのが死ぬほど嫌なのだ。同じく中南米諸国から、北アメリカ白人地帯にラティノス(ラテン・アメリカ人)が大量に押し寄せるのも嫌なのだ。だからコロナウイルスを作って撒(ま)いたし、さらに凶悪なワクチンを作って人類の削減計画を実行に移している。

 だが地球人口は97億人までしか増えない。現在は78億人である。人口増加は年に4000万人で、増加率がどんどん落ちている。日本などは急激に人口が減っている。政府は少子化対策に本気になっている。一流の若い人口学者( demographer デモグラファー)たちが、先進諸国の急激な人口減少に警告を発している。この本ではこの問題は書かない。

金融・経済での重大な問題は。今の金融緩和[かんわ](ジャブジャブ・マネー)をやめて、なんとか引き締めに転じたいと米FRBのジェローム・パウエル議長は必死の形相(ぎょうそう)で言っている。ところが、出来(でき)はしないのだ。今のアメリカは引き締め策(テイパリング tapering )に転換することが出来ない。どんなにやりたくても出来ない。P42以下にその証拠となる重要な記事を載せる。

だからパウエル議長とアメリカ政府そしてヨーロッパも日本もウソつきだ。緩和マネー(コロナ・マネー)も政策金利上げ(ゼロ金利からの脱出)も両方とも出来ない。これを「やる、やる詐欺」とか「する、する詐欺」と言う。政府(権力者たち)というのは悪賢く国民を騙(だま)す。新聞、テレビを動員して「引き締めに転じる」と大宣伝するが、実際にはしない。金融・経済の専門家たちまで動員して「引き締めて健全財政(タカ派路線)へ」と書かせる。ところがこれはコロナとワクチンと同じ大本営(だいほんえい)発表であって、金融引き締めなんか出来ないし、やる気もない。私は騙されない。

危ないのは各種の債券(ボンド)市場が崩れることである。債券には、政府が出す国債(ナショナル・ボンド。国家の借金証書だ)から始まり、その他に大企業が発行している社債[しゃさい](コーポレット・ボンド)がある。それから、ゴミのような危険なベンチャー・ビジネスの債券(これも社債)を発行して「年率80%の利益が取れます」と謳(うた)っている。これらはハイリスク・ハイリターン債、別名〝ジャンク・ボンド〟(高[こう]リスク債。バクチ金融商品。中国では理財[りざい]商品と言う)である。30年前に騒がれたファントラ、特金(とっきん)、転換社債、ワラント債、仕組み債(CDS[シーディーエス]、CDO[シーディーオウ])などの金融サギ商品と同じだ。そして今も性懲りもなく危険な投資信託(ファンド)を大銀行が売っている。これも債券である。

今では日銀ETF(イーティーエフ)で、日銀自身が浅(あさ)ましくも見苦しくも、株式市場で大型株(優良株)を買いあさっている。これも債券である。債券と債権の違いが分かりますか?

これら様々(さまざま)な債券(ボンド)は、金利の動きに支配される。金融市場でバクチを張っている者たちは、今、政策金利が0・2%でも上がることを死ぬほど怖がっている。債券市場に打撃が来るからだ。これらのことをこの本でガンガン説明し続ける。

これに比べたら、株式などと言うものは、かわいいものだ。株式市場は健全でおとなしい。戦後すぐに流行(はや)った「額縁(がくぶち)ショー」と同じで、薄いベールをまとっただけの裸体の女みたいなものだ。これがストリップショーの始まりである。債券と比べて株式はデパートのショウ・ウインドウと同じだ。立派な商品をキレイキレイに並べている。自分自身で株式投資(株の売買)をやっているだけなら安全である。騙されることがない。巻末に撰(よ)り選(すぐ)りの銘柄を載せた。

しかし債券は、今や株の100倍の量があって、いつ爆発するか分からない危険な金融市場になっている。お金にまつわる人間世界は穢(きたな)らしい世界だ。これらのことを全部書いて、この本で真実を露(あらわ)にしてみせる。

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目 次

まえがき 副島隆彦の予言

1章  金(きん)、株、為替、債券はこう動く

金(きん)の値段

株の動き

為替の動き

金利と債権

2章  緩和マネーと危険な債券

FRBの「やる、やる詐欺」

パウエル議長は船の舵取りを放棄したのか

日銀も緩和マネー政策を続ける

中国「恒大(こうだい)集団」騒ぎの理由は社債にあった

膨張した社債が爆発する

悪魔の投資証券

今度は「債券取り付け騒ぎ」が起きる

中国の不動産市場はどうなっているのか

年収の50倍の物件を買う活力

実勢の市場金利の上昇が怖い

MMT理論はベイシック・インカムと同じこと

金融商品は滅んだ

禁止された仮想通貨取引

アメリカへ逃げ出した「鉱山主(マイナー)」たち

■「バーゼルの塔」とは何か

■世界を飲み込むデジタル人民元

■NYでは仮想通貨と恒大問題が同時並行

3章 コロナ対策経済の〝副反応〟

新たな大不況の突入点

短期国債、突然増発の謎

世界に溢(あふ)れたコロナの緩和マネー

無制限にお金を発行すれば、やがて行き詰まる

ボロクズ債券を買い取る中央銀行

コロナ・マネーが不動産市場に流れ込んだ

債券市場が暴落する

■「第二のニクソン・ショック」を指摘した経済学者

ドルはどこまで暴落するか

パンデミックでインフレを抑える計画的な政策

コロナ・ワクチンの正体

1ドル=1円の時代

副島隆彦が見通す未来

4章 解体されるビッグテック

IT規制論者の女性法学者が表舞台に登場した理由

膨張し過ぎたビッグテック

アメリカが世界を支配する道具

■「中国のテック企業規制は正しい」とバフェット

SBI「第4のメガバンク構想」の裏に……

ビル・ゲイツに天罰が落ちた

エアコン事業に乗り出すイーロン・マスク

ジェフ・ベゾスは本当に「宇宙」へ行ったのか

人類は月に行けない

孫正義が迎える危機とは

次の時代のエネルギーの姿

5章 3年後の世界大恐慌に備えよ

世界的な株安を招いた恒大集団の行方

■「借金の天井」で右往左往するアメリカ

金(きん)価格は反転上昇へ

では、金をどこに保管すべきか

3年後、金の値段は3倍になる

迫り来る嵐の時代を乗り切るために

巻末特集  短期間で急上昇しそうな

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あとがき

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あとがき

 10月に入ってコロナの緊急事態宣言が解除された。すると急に世の中の空気 pneuma(ニユーマ))がガラリと変わった。

 コロナウイルスとワクチンの大騒ぎが過ぎ去ったわけでもないのに、人々は、一斉に郊外へ行楽に出かけるようになった。去年の3月からの、コロナ恐怖症の頭の感染症(伝染病)が吹き飛んで、せいせいしている。

 日本の政治も顔ぶれが変わって(本当は何も変わらない)みんな気分がよさそうだ。

 だが、金融・経済の動きには、ちっとも明るさは見られない。株式の動きは、下落、暴落の趨勢[すうせい](トレンド)へ向かっている。私はこの本で、株式の売り買いは健全な金融投資であるが、その周(まわ)りに異常に溢(あふ)れかえって出現している、まるで新型ウイルスのような虚妄(きょもう)の各種の債券(ボンド)が人間に悪いことをする、と強調して書いた。これから本当に危険なのは、債券(ボンド)市場(マーケツト)崩れによる世界恐慌突入である。

 それと中国の「デジタル人民元(レンミンビ)」が先行し、代表されるCBDC[シービーディーシー](中央銀行[セントラルバンク]デジタル通貨[カレンシー])が、ドル覇権(米ドルによる世界支配体制)を突き崩して、取って代わりそうだ、と力説した。私たちの生活もスマホ決済(電子マネー)が当たり前になりつつある。

 仮想通貨(暗号資産[クリプト・アセット])を中国政府が本気で全面禁止にした(9月24日)。このことは、ただちに仮想通貨の敗北、消滅にはならないが、おそらくこれからできる新しい世界通貨体制(ニユー・ワールド・マネーオーダー)の中に、ブロックチェーンの技術とともに取り込まれてゆくだろう。それでも、米ドルに代わる新世界通貨体制でも、それを担保し、信用の土台となるのは金(きん)である。いくらテクノロジーが発達しても、人間(人類)は金(ゴールド)とともに生きてゆく。

 その他、10月に入ってから急に変化した世界の金融、経済の顔つき(相貌)に、私は慌てふためきながらも、なんとか喰(くら)いついて世界最先端の課題を書き並べることができた。

 この本も、もう四半世紀を連れ添った祥伝社の岡部康彦氏との二人三脚でできた。記して感謝します。

2021年10月

副島隆彦

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

2024年アメリカ大統領選挙の共和党候補として、フロリダ州知事ロン・デサンティス(Ron DeSantis、1978年-、43歳)の名前が挙がっている。今年7月に『ザ・ヒル』誌とハリスX社が行った共同世論調査の結果では、ドナルド・トランプ前大統領、マイク・ペンス前副大統領に続く3位につけた。私が現在翻訳作業を進めている、『ビッグ・テックを解体せよ』の著者ジョシュ・ホーリー連邦上院議員も7位に入っている。デサンティスは43歳、ホーリーは41歳であり、40代の若手が共和党界隈で存在感を増している。
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ケイシー夫人とロン・デサンティス
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デサンティスはイタリア系の名前で、フロリダ州生まれ。2001年にイェール大学を卒業し(学生時代は野球ティームのキャプテン)、ハーヴァード大学法科大学院に進学し、法務博士号を取得した。法科大学院在学中に海軍法務部(Judge Advocate General's CorpsJAG)に入った。法務士官となったデサンティスは海軍特殊部隊の司令官付法務士官としてイラクに派遣された。2010年に海軍少佐で予備役となった。

2012年の連邦下院議員選選挙に立候補して当選し、3期目の9月に辞職して、フロリダ州知事選挙に出馬して、当選して現在もフロリダ州知事の任期中だ。途中の2016年には連邦上院議員選挙の共和党予備選挙に出馬する構えを見せた。現職のマルコ・ルビオが大統領選挙に出馬し、当選すれば議席が空くという可能性もあったが、ルビオが大統領選挙から撤退し、上院議員選挙に立候補したために、デサンティスは下院議員選挙での再選を目指し、当選した。

 デサンティスは連邦下院議員時代にはタカ派の議員として知られ、また、ドナルド・トランプ前大統領の支持者でもあった。連邦下院議員から州知事への転身は、大統領選挙出馬を意図しているということが大いに考えられる。現在のバイデン、オバマは連邦上院議員出身だったが、その前のジョージ・W・ブッシュ(息子)とビル・クリントンはそれぞれテキサス州知事、アーカンソー州知事を務めた。古くはロナルド・レーガンも州知事出身であり、州知事で行政経験を積み、成果を出すことが大統領選挙でのアピールにつながる。

 下の論稿はデサンティスについて取り上げたものであるが、奇妙なことに、副大統領候補として、民主党の大統領選挙にも出馬した、トゥルシー・ギャバード(Tulsi Gabbard、1981年-、40歳)前連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)の名前を挙げている点だ。ギャバ―ドについてはこのブログでも何度も紹介しているが、民主党のエスタブリッシュメント、ヒラリー・クリントンを強烈に批判してきた人物である。
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トゥルシー・ギャバ―ド
 ギャバードは、アメリカ軍の世界各地からの撤退ということを主張しているが、彼女自身は安全な場所からそのことを発言しているのではなく、ハワイ州兵としてイラクやクウェートに派遣された経験を持つ。現在は中佐の階級を持っている。

下院議員から退いた後は言論活動を展開している。民主党は相容れないはずのフォックス・ニュースの番組に出演し、特に連邦下院議長ナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)やアダム・シフ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)を舌鋒鋭く批判している。

 この2人がコンビを組んで大統領選挙に出馬し当選するという可能性はほぼないと思う。

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デサントスにとって完璧な民主党副大統領?(The perfect Democratic running mate for DeSantis?

ダグラス・マッキノン筆

2021年10月9日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/white-house/575868-the-perfect-democratic-running-mate-for-desantis

私たちは全員が知っているように、運命の気まぐれは人生や政治を一瞬にして変えてしまう。今週、フロリダ州知事夫人ケイシー・デサンティスは乳がんの診断を受けたということが全米に報道された。ロン・デサンティス知事がより高位の職務のために選挙に出馬するのではないかという考えが、デサンティス家を襲った悲しみの霧に包まれてしまった。

デサンティス夫人の診断結果を受けて、党派争いをしている民主党員であっても、優しさと思いやりを示すことを期待したい。

しかし、悲しいことに、やさしさと思いやりを示されることはなかった。ツイッターで荒らし行為をしている利用者たちは、このニュースを基にして知事とその家族を攻撃した。

2022年の州知事選挙でデサンティスに対抗して立候補する予定の民主党所属の、フロリダ州農業ニッキー・フリード農業局長の名誉のために、彼女の次のツイートを掲載しておく。「私の心は、ケイシー・デサンティス・フロリダ州知事夫人とご家族と共にあります。私たちは皆、あなた方のために祈りを捧げます!」。彼女の温かい内容のツイートを読むだろう人々に対して、フリードは次のようにツイートした。「このツイートに変死することを選択するならば、どうぞ幾分かでも共感を示してしていただきたい。ケイシーは3人のお子さんのお母さんであり、この困難な戦いにおいて、私たちの支援を受ける価値のある人だ」。

フリード同様、私たちもまた、ケイシー・デサンティスの完全な回復のために数百万のアメリカ人が祈っていることは確かだと私は思う。最終的なプラスの結果が起きると信じているならば、何が起きるだろうか?

人生と政治はこれからも続いていく。

このような信念に基づくと、ロン・デサンティスは2024年の大統領選挙の共和党候補者の有力候補の2名のうちの1名だ。もう一人は、別の「ニッキー」だ。こちらは、サウスカロライナ州元知事のニッキー・ヘイリーだ。

「しかし、トランプ前大統領はどうだ?」「共和党支持者たちを対象にした世論調査の結果ではトランプがリードしているんじゃないのか?」と疑義を呈する人たちもいるだろう。

実際のところ、その通りだ。そうではあるが、トランプ前大統領が2024年の大統領選挙に出馬することはないと私は確信している。

私の希望は、トランプの巨大なエゴが、「彼の名前が何千万人ものアメリカ人にとって有害であり、彼の指名が大規模な市民運動を扇動するかもしれない」ということを、彼自身が熟考するだけの余裕を与えてくれないかということだ。もし、トランプが自分で言うように、アメリカを信じているのであれば、選挙に立候補せずに、自分の影響力を使って共和党の候補者を助ける方がはるかに良いことを分かっているはずだ。

ここでロン・デサンティスとニッキー・ヘイリーに話を戻す。どちらかが大統領選挙候補者に指名されれば、もう一方が副大統領候補として選挙戦に参加するだろうか?その可能性はあるが、可能性はそこまで高くない。カマラ・ハリス副大統領はその流れを現実化した。このような理由、また別の理由から、私はヘイリーが大統領候補に指名されなければ、副大統領候補になることはないだろうと私は確信している。

間違ってはいけない。ヘイリーは有力な大統領選挙候補者となるだろう。ヘイリーは大統領にふさわしい資格や属性を持つとともに、インド系移民の娘という有色人種でもある。ヘイリーは、偏見や差別の醜さについて、身をもって知っている。彼女の物語は数百万のアメリカ人の共感を得ている。

ここで、これらの条件や属性を更に多く持つ別の女性を紹介したい。それは、トゥルシー・ギャバード前連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)だ。

ギャバードは、サモア系アメリカ人・ヒンズー教徒系アメリカ人で初めての連邦議員となって、ガラスの天井を打ち破った。彼女は陸軍将校としてアメリカに奉仕し、イラクとクウェートに派遣された。彼女は外交政策の専門家であり、政権中枢にいた人々を「ネオコンの戦争好きなタカ派」と罵倒することを恐れない。また、ユーチューブで何十万回も再生されたヴィデオの中で、アフガニスタンでのアメリカの失敗の責任者である「エリート」を罵倒することもまた恐れない。

アメリカは、特にトランプ政権下のアメリカでは、「アメリカ政治問題化した合衆国(Polarized States of America)」に変貌した。政治的な立場に関して、右派と左派のヘイトスピーチを行う人々の過激な煽動的な言葉は、これまでにない時代を生き抜くために戦っている多くのアメリカ人の士気を低下させている。

党派的な愚かさや安易な議論を捨て去って、国民のためになるような大統領候補を、アメリカ人は温かく迎え入れてくれることだろう。2024年にデサンティスが大統領選挙に出馬する際に常に頭の中に入れておかねばならないのはこのことだ。

アメリカ史上最高齢の大統領ジョー・バイデンの後に、軍人としてアメリカに奉仕し、政治的に正反対の立場を超えて一緒に協力しようと望む40代の人物2人、デサンティスとギャバドが大統領選挙に出馬することになる可能性がある。この予測不可能な時代に、絶対に、などとは絶対に言ってはいけない。

ダグラス・マキノン:政治・コミュニケイションコンサルタント。ロナルド・レーガン、ジョージ・H・W・ブッシュ(父)両政権でスピーチライターを務めた。ブッシュ(父)政権での3年間は国防総省の政策・コミュニケイション担当特別補佐官を務めた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 ビッグ・テック(Big Tech)とは、GAFAと総称される。グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、これにツイッターやネットフリックスを加えた、アメリカで操業され、本社を置く情報産業分野の巨大企業のことである。ビッグ・テックは先進諸国を中心にして、人々の生活に深く入り込んでいる。

ツイッターやフェイスブックは私たちの生活にとって欠かせないサーヴィスとなっている。これらを通じて友人とやり取りをし、情報を得ている。アマゾンでは何でも買い物ができるようになっている。アップルのスマートフォンであるアイフォンを使い、何か分からないことがあればグーグルで検索する。テレビを見ずに、ネットフリックスでドラマやヴァラエティー番組を見る。若い人たちはそのような傾向にあるという。動画配信サイトユーチューブはグーグルの傘下にあり、写真を中心としたソーシャル・ネットワーク・メディアであるインスタグラムはフェイスブックの傘下にある。

 私たちの生活はビッグ・テックに大きく依存している。そうなれば、ビッグ・テックが私たちに与える影響も大きくなる。加えて、ビッグ・テックは大きな力を行使するようになっている。また、時価総額ではこれまでの大企業を追い抜いている。これらを使用している人たちなら分かってもらえると思うが、ツイッターやフェイスブック、ユーチューブ、インスタグラムは無料で使用できる。それなのにどうして巨額の利益を生み出せるのかというと、それは広告収入だ。

 これまで広告の媒体と言えば、新聞や雑誌の紙媒体、テレビやラジオの放送媒体が中心だった。しかし、新聞や雑誌の購読者数の減少、テレビやラジオの視聴者数、聴取者数の減少により、広告は徐々にインターネット上に移っている。そのために、ビッグ・テックは巨額な利益を上げることができるようになっている。

 そうした中で、アメリカ国内では、「ビッグ・テックを反独占・反トラストで解体せよ」という声が上がっている。連邦議会議員では、共和党のジョシュ・ホーリー連邦上院議員(ミズーリ州選出、共和党)とエイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)がその急先鋒だ。両議員はほぼ同時期に「ビッグ・テックの巨大さは危険だ、解体せよ」という内容の本を出版した。現在、私はジョシュ・ホーリー議員の『The Tyranny of Big Tech』(そのまま訳すと、ビッグ・テックの暴政、暴力的支配)の翻訳を進め、初めの訳稿を完成し、担当編集者に送付した。これから、表現の統一や誤字脱字の訂正、ブラッシュアップのために赤ペン入れを行う。
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ジョシュ・ホーリー
 ホーリー議員は1979年生まれの41歳。アーカンソー州生まれで生後すぐに父の仕事(銀行勤務)の関係でミズーリ州に転居した。子供の頃から成績優秀、外見もハンサムで、周囲は「将来はアメリカ大統領になるに違いない」と考えていたという。1998年に母親の出身校である西部カリフォルニア州にあるスタンフォード大学に進学した。ここでも成績優秀で卒業し、2003年にアイヴィーリーグの名門イェール大学法科大学院に進学した。超名門のロースクールに進学するためには学部時代の成績が4点満点で3.8から3.9なければならず、日本風に言えば「全優」でなければならない。法科大学院在学中は、学内誌の『イェール・ロー・ジャーナル』誌の編集委員を務めた。学内誌の編集委員も成績が良くなければ務められないポジションだ。バラク・オバマ元大統領はハーヴァード大学法科大学院時代に学内誌の編集長を務めた。2006年に法務博士号を取得し、弁護士(法曹)資格を得た。

 2017年からはミズーリ州司法長官を務めた。この時期に、ビッグ・テックの危険性を認識した。2017年11月、ホーリーは州司法長官として、グーグルがミズーリ州の消費者保護法と独占禁止法に違反した容疑での捜査開始を指示した。グーグルの利用者のデータ収集、データ利用についての捜査が実施された。また、グーグル使っての検索の際に、利用者にバイアスを与えるような検索結果の表示がなされているのではないかということも捜査の対象となった。2018年4月には、フェイスブックとケンブリッジ・アナリティカによるデータ取り扱いに関するスキャンダル(フェイスブックが収集した個人情報をケンブリッジ・アナリティカが利用して2016年の大統領選挙に利用してドナルド・トランプ大統領当選に貢献した)を受け、ホーリーはフェイスブックの捜査を行った。

 2018年の中間選挙でミズーリ州連邦上院議員選挙に出馬し、共和党予備選挙で圧勝し、本選挙で民主党所属の現職議員(2期連続当選中)だったクレア・マカースキルを破って当選した。2019年から2021年までの期間、アメリカ連邦上院で最年少の議員となった(当選時39歳)。
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ワシントン訪問中のザッカーバーグ
  議員当選後、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグと直接対決し(ホーリーの議員事務所をザッカーバーグが訪問した)、「フェイスブックが持っているインスタグラムとワッツアップ(アメリカの
SNSサーヴィス)を売却して欲しい」「フェイスブックを解体して欲しい」と直接述べて、拒絶されている。ホーリーは連邦上院司法委員会内の反トラスト・競争政策・消費者の権利小委員会の共和党側委員を務めている。小委員会の委員長は、エイミー・クロウブッシャー議員だ。
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エイミー・クロウブッシャー
 ホーリーは彼の経験をまとめて本として出版することになったが、最初の出版社である、大手の「サイモン・アンド・シュスター」社が、ホーリーが2021年1月6日の連邦議事堂での事件に関与したということで出版を拒絶した。その後、保守派の出版社「レグナリー・パブリッシング」社が出版を引き受け、出版にまで漕ぎつけた。出版された本はベストセラーとなった。

現在、民主・共和両党で、巨大になり過ぎたビッグ・テックと対峙する動きが出ている。これから、このブログでも紹介していきたい。

(貼り付けはじめ)

ジョシュ・ホーリー議員の「出版取り止めとなった」本が現在ベストセラーに躍進(Josh Hawley’s ‘canceled’ book now a bestseller: reports

-『ビッグ・テックの暴力的支配(The Tyranny of Big Tech)』が出版からわずか数週間で、『パブリッシャーズ・ウィークリー』誌とアマゾンのベストセラーリスト入りを達成。

ドン・カリッキオ筆

『フォクスニュース』

2021年5月16日

https://www.foxnews.com/media/josh-hawleys-canceled-book-now-a-bestseller-reports

ミズーリ州選出のジョシュ・ホーリー連邦上院議員の履歴書に、新たに「ベストセラー作家」という言葉が加わることになる。

メディアの複数の記事や報告によると、共和党所属の連邦上院議員ホーリーは最近『ビッグ・テックの暴力的支配(The Tyranny of Big Tech)』を出版し、成功を収めている。

『パブリッシャーズ・ウィークリー』誌のハードカヴァー・ノンフィクション部門で、ホーリーのシリコンヴァレー批判書が第6位にランク付けされた。2万部以上を売り上げた。

この本はまた、アマゾンの「今週の最も売れたそして最も読まれた本ベスト20」部門で、15位にランクしている。

ホーリーの本がベストセラーのランキングに入ったことは、出版社のサイモン・アンド・シュスター社がホーリーの本の出版を取り止めた1月の状況からの大逆転のようなものだ。出版が取りやめになった際、ホーリーは、出版社の決定について「アメリカ合衆国憲法修正第1条への直接的な攻撃」と表現した。

ホーリーはその当時に次のように書いている。「サイモン・アンド・シュスター社は私との契約を破棄した。その理由は、私が自分の選挙区の有権者たちを代表し、連邦上院の議場で選挙結果の正当性についての議論を主導したためだ。出版社は私の正当な行動を反乱(sedition)と再定義したのだ」。

サイモン・アンド・シュスター社は、ホーリーの本の出版を取り止めたのは、2021年1月6日の連邦議事堂における暴動に関連して、「危険な脅威におけるホーリーの役割」が証明されたからだと発表した。

ホーリーが連邦議事堂前に集まった群衆の中で、議事堂に向かって手を挙げている写真が広く拡散されて、そのために、ワシントンDCにおける破壊とホーリーが結び付けられることになった。

保守派の出版社レグナリー・パブリッシング社は、サイモン・アンド・シュスター社が契約を破棄した後、ホーリーの本の出版権を取得した。

本の中で、ホーリーは、今日の情報産業の巨大企業と過去の泥棒男爵たちとを比較し、「大企業がこれからも経済と政治における力を増大させ続けることを許すと、アメリカの自由は存亡の危機に晒されることになるだろう」と書いている。

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テクノロジーという点についてのクロウブシャーとホーリーはどのように見ているか(How Klobuchar and Hawley See Things When It Comes to Technology

-両議員は政治的な立場は正反対であるが、両者は出した最新刊で共にビッグ・テックは危険だと主張している。奇妙なことに、両者の主張はそっくりだ。

シラ・オヴァイデ筆

『ニューヨーク・タイムズ』紙

2021年5月13日

https://www.nytimes.com/2021/05/13/books/amy-klobuchar-antitrust-josh-hawley-tyranny-big-tech.html

皆さん、米連邦上院議員が書いた反トラスト法に関する本を読んでみたいと思われないだろうか?読みたくないとおっしゃる?2人の議員の反トラスト法に関する本はいかがだろうか?

共和党所属のジョシュ・ホーリー連邦上院議員(ミズーリ州選出)と民主党所属のエイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出)は最近それぞれ本を出版した。両議員の本のページ数を合わせると825ページになるが、両者の本はアメリカの大規模で強力な企業に対する懐疑主義の歴史についての本である。

私は2冊とも読んだが、皆さんにお薦めすることはしない。

しかし、これら2冊の本が素晴らしいのは、政治的な立場が正反対である2名の連邦上院議員が一致した結論に達している点だけにある。両議員は、アメリカの巨大過ぎるビジネスのエリートたち、特にグーグル、フェイスブックそしてアマゾンのようなテクノロジー関連巨大企業を従順にさせるために、より厳しい規制、新しい法律、より積極的な姿勢の判事や市民運動が必要だと主張している。2冊の本の略語は、「テディ・ルーズヴェルトは善で、ビッグ・テックは悪だ」というものだ。

私は過剰な偽装工作をしたいと思わない。クロウブシャー議員の著作『反トラスト(Antitrust)』はより深く調査され、包括的なものだ(いささか包括され過ぎている)。ホーリー議員の著作『ビッグ・テックの暴力的支配(The Tyranny of Big Tech)』は支離滅裂な内容である。しかし、2冊の本を読んで私が学んだことを説明させて欲しい。
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両議員は「巨大さ」は悪ということで一致している。現代のアメリカ政治における奇妙な光景、それは、グーグルやフェイスブックのような強力なテクノロジー企業が、党派をまたいだ憎悪を生み出していることだ。こうした主張を行っている人々に共感者はほとんどいないだろう。両議員は特にそうであろう。両議員にとって、テクノロジー企業の力は、巨大企業が好き勝手に行動することを放置した場合の問題点を象徴している。奇妙なことに、両議員の主張は一致している。

ホーリー議員の本は冒頭で、2019年にマーク・ザッカーバーグと会った際に、上院議員がザッカーバーグに対してフェイスブックの解体を迫ったという逸話で始まる(ザッカーバーグはもちろんノーと答えた)。ホーリー議員は「ビッグ・テックの泥棒男爵たちは、経済界や政府の内部に存在する、巨大さと力の集中を信奉するイデオロギーを背景にして、力を伸ばしてきた」と書いている。

クロウブシャー議員は次のように書いている。「ビッグ・テックが実施している膨大な数のM&A(合併と買収)、桁外れの独占力、グロテスクな排除行為は、巨大さの力を例示するものだ」。

皆さんは、両議員の本の内容はよく似ていると思われないだろうか?

ホーリー議員とクロウブシャー議員は、経済学者や法学者の中には、アメリカの多くの産業分野で集中が加速していることは、所得格差をはじめとする多くの問題の根本原因になっているという見解を示す人とたちが出ていると述べている。この考えによると、アメリカの法律が効果的に競争を行わせることができれば、アメリカ人はより良い医療を受け、携帯電話の料金は下がり、自分に関わるデジタルデータの扱いをより自由にできるようになるということだ。

いやはや、両議員はテディ・ルーズヴェルトを愛している。両議員は、ルーズヴェルトが当時の鉄道、石油産業、金融、その他の産業分野における大企業の泥棒男爵に挑戦していた時のことについて、郷愁を感じている(このような歴史観、特にホーリー議員の歴史観は少しずれている)。

英雄崇拝の重要な点は、歴史上、アメリカの法律とアメリカの一般的な人々は、力を持ち過ぎたと感じた大企業に対して戦いを挑んできたというものだ。両議員は、企業の「巨大さ」に反発する、市民と政府の犯行の精神を取り戻したいと考えている。これは、法科大学院教授で独占禁止の主唱者であるゼファー・ティーチアウトが、昨年出版した企業の独占に関する本の中で効果的に指摘している点でもある(そうなのだ、反トラストについての本は数多く出版されている)。

1894年に起きたプルマン・ストライキと南北戦争後に起きた農業の独占に反対する、グランジ運動(農民共済組合運動)についてじっくりと読みたい方は、クロウブシャー議員の本を読むと良い。両議員は、企業の独占が人々の生活に及ぼす影響を、影響を受ける人々に見てもらい、関心を持ってもらおうとしている。両議員が共有しているメッセージは、システムや経済が自分のために機能していないと感じている人たちは、反トラスト法に取り組むべきだということだ。

最良の考えなのは、それを「反トラスト」と呼ぶことを止めるということだ。クロウブシャー議員は、反トラストという言葉はスタンダード石油のような19世紀の巨大企業の産物であり、21世紀を生きるアメリカ人にとっては無意味な言葉だと述べている。彼女の発言内容は正しい。クロウブシャー議員は、競争政策や独占、あるいは単に「大きさ」について語り始めるべきだと述べている。そうなのだ、クロウブシャー議員は、自身の本のタイトルを「反トラスト」にしていることは認めている。

連邦議会についてはどうだろうか?両議員は、政府の監視部局や裁判所は、巨大記企業がより巨大になり、力を濫用することに制限を加えることに失敗したという点で一致している。この問題について、両者ともに自分たち自身や同僚の政治家たちを非難するための十分な時間を取っている訳ではない。

立法府の仕事は、法律を書き、各企業にできることとできないことを示すことだ。そして、司法省のような政府の監視当局に予算をつけ、ルールを強制する権限を与えることで、力を強めることだ。言い換えると、「上院議員のお二人、それはあなた方の仕事でしょうが」ということだ。両議員はそれぞれの本において、ビッグ・テック各社を規制するための法案を準備中だと述べている。しかし、そのような法案を通過させることができなかったことや、そもそもその法案が良い内容だったかどうかについては、あまり語られていない。

クロウブシャー議員は、2017年に、フェイスブックなどのインターネット企業に、従来のメディアの情報開示と同様に、組織が政治広告にどれくらい費用を支出しているかを開示させる法案を主導しました。これは成立しなかった。

両議員は自分たち自身のことを話す時は絶好調だ。クロウブシャー議員は、19世紀末にスロヴェニアから移民してきて、過酷な環境と低賃金で、炭鉱で働いた自身の親戚たちについて話をする。彼女の言葉によると、一般的な市民が悪辣な大企業と戦い、独占を抑制して労働力の真の競争を実現するための法律を請願したからこそ、今の彼女があるのだ、ということになる。

ホーリー議員の話に説得力が増すのは親としての心配を話す時だ。私たちのほとんどと同じく、彼もスマホに多くの時間を使ってしまっており、そのことを子供たちが気付いているということを述べている。ホーリー議員は、幼い息子がスマホやタブレットに夢中になっているのを見て悩み、家族がスクリーンに割く時間や関心に敏感であろうとしている。

ホーリー議員は、私たちが最新の情報機器を常に使うことで頭脳に異常をきたすということよりも、ビッグ・テック各社の力に対して不満を持っているようだが、これが正しいかどうか私には分からない。スマートフォンやパソコンの画面を見ている時間の長さによる影響についてはよく分かっていない。しかし、ホーリー議員の考えには耳を傾けるべき点がいくつもある。スクリーンを通じてのつながりだけではなく、現実の生活共同体を大事にする、政府が介入して、人々に終わりなく、延々とスクロールさせる技術やユーチューブやティックトックで使われている次から次へとヴィデオを自動的に勧めてくる技術を禁止させるようにすべきだ。

推薦図書:なぜ薬に高いお金を払うのかを知りたい人や、子供がインスタグラムに夢中になることを心配している人には、私は2人の議員の本を手渡さないだろう。その代わり、似たような内容でありながら、より短く、より読みやすく、強力な企業が世界に与える影響について深く考える人々の間ですでに影響力を持っている2つの作品を紹介したい。

ティム・ウーの2018年の本『巨大さの呪い(The Curse of Bigness)』は短い、分かり易く。魅力的な本である。その本の中で、ウーは、アメリカの独占の歴史と今日の強力な企業によるリスクを取り上げている(私はこの本を短いと述べただろうか?)。リナ・カーンの2017年の法科大学院の論文「アマゾンの反トラスト・パラドックス[逆説]Amazon’s Antitrust Paradox)」は知的な砲弾である。この論文の中で、カーンは、数十年にわたるアメリカの法律の発展と、アマゾンのような新興の巨大企業の力の影響についてアメリカの法律はいかに対処に失敗してきたかを述べている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 このブログで、ジョー・バイデン大統領の支持率が急落していることは、既にお知らせしている通りだ。

 バイデン大統領の「相棒」であるカマラ・ハリス副大統領については、存在感がまるでない。移民問題を解くに取り扱うようにということで任されてもうまくいっていない。だから、そもそもが低支持率だった。

 ところが最近になって、バイデン大統領の支持率が急落する中で、数字上では、ハリス副大統領の支持率の方が高いということが起きた。これは、バイデンに対する批判が高まる中で、ハリスは全く目立たないために、支持率が上がりもせず、下がりせずという状態になり、相対的に支持率が良いように見える状態なのである。

 バイデン大統領は2024年の大統領選挙に出馬し、二期目を狙うというのは難しいだろう。先日もご紹介したように、バイデン大統領に対しては「元気がない」という評価が大勢を占めているのだ。そのような人が80歳を超えて更に4年間、アメリカ大統領の激職を務めることができるとは考えづらい。日本の財務大臣や自民党の幹事長とはレヴェルが違うのだ。

 そうなると、後継者、民主党の大統領選挙候補者として名前が挙がるのが、カマラ・ハリスということになる。そのために、ハリスには傷をつけておきたくない、静かに過ごして、2024年の候補者にしたいと考えている民主党関係者も多いだろう。

 しかし、ハリス自身は人気がない。2020年の大統領選挙民主党予備選挙では、2019年に立候補表明をして一時は勢いに乗ったが、やがて失速し、2019年中に選挙戦から撤退という醜態を晒した。検察官上がりということで、民主党進歩主義派からは人気がない。そうなると、全党一致しての候補者ということにならず、2016年のヒラリーの二の舞ということになる。

 ハリスがこれからどのように動くかに注目することで、2024年の大統領選挙について占うことができると私は考えている。

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バイデン大統領の支持率が低下する中、ハリスの支持率は上昇している(Harris's poll numbers rise as Biden's fall

エイミー・パーネス筆

2021年9月30日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/574604-harriss-poll-numbers-rise-as-bidens-fall?utm_source=thehill&utm_medium=widgets&utm_campaign=es_recommended_content

ハリス副大統領の支持率がここ数週間で回復してきている。現在ではバイデン大統領の支持率よりも高い数字となっている。

ハリスは政権発足当初、スタートに失敗した。彼女はどうしてメキシコ国境地帯を訪問したことがないのかと質問された際に、「私はヨーロッパにも行ったことがないんですよ」と答えたことで批判を浴びた。

しかし、ハリスの味方は、ハリスが将来の民主党の大統領候補となる能力があるかという点で疑念を持たれてスタートに失敗したが、現在はホワイトハウスで「自分の居場所を見つけた」と述べている。

ある人物は次のように述べている。「物事がよりスムーズに進むようになっているという感覚は確かにあると思います。スタート時に起きた問題は解決したようです」。

プリンストン大学歴史・公共政策教授ジュリアン・ゼリザーは次のように述べている。「ハリス副大統領は自分の立場を固め、役割を拡大させている。歴代の副大統領が常に困難を感じていた、政権内での役割をどのようにすべきか、という問題で、自身の役割の範囲を強化しつつある」。

ゼリザーは続けて、「政策論争が続き、政治が熱を帯びる中で、この数字をどのように維持するかが鍵となるだろう」と述べた。

先週のギャロップ社の世論調査では、副大統領としてのハリスの支持率は49%であり、バイデンの支持率43%よりも6ポイントも高かった。これはバイデンとハリス両者にとって極めて重要な変化である。バイデン大統領の支持率は8月から6ポイント低下、6月から13ポイント低下している。ハリスの現在の支持率は、2009年9月の時点(バラク・オバマ政権)での、バイデン副大統領(当時)の数字と同じだ。

9月22日のギャロップ社の世論調査(調査が実施されたのは9月初旬)の結果によると、無党派層の有権者たちはハリス副大統領の方がバイデン大統領よりもより良い仕事をしていると評価している。無党派層の有権者たちからの支持を得て大統領になったバイデンにしてみれば、衝撃的な結果となった。

いくつかの世論調査でハリスの支持率の数字がバイデンの数字よりも高いという結果が出ているがその理由は不明だ。しかし、これまでの2カ月、バイデンが大統領就任以来、最も厳しい時期を過ごしてきたというのは間違いないところだ。バイデンは、アフガニスタンからの米軍撤退と新型コロナウイルス感染拡大が続いていることについて、共和党側からだけではなく、民主党側も批判を受けている。

バイデン大統領は国境と移民をめぐる問題への対処でも批判を受けており、ここ数週間のハイチからの大量の移民の流入についても左派と右派それぞれから攻撃を受けている。

対照的に、ハリスは国境警備隊によるハイチからの移民への対応の方法を批判したことでマスコミに取り上げられたが、それ以外では、これらの諸問題については前面に出ずに、後ろに下がっていた。

民主党に所属しているストラティジストやオブザーバーの多くは、公の場でハリスを後押しするような特別な瞬間がまだ来ていないと述べている。

民主党所属のストラティジストでニューヨーク民主党幹事長を務めたベイジル・スミクルは、副大統領にとって目立つ瞬間はこれまであったかと質問され、「特別な瞬間などこれまでなかった」と答えた。

スミクルは、ホワイトハウスはハリスをより用いることで、より利益を得ることができたはずだと示唆した。

スミクルは、ハリスがハワード大学のホームカミングデーに出席するなど親しみやすさを演出している一方で、「現政権は、これまでの政権と同様に、副大統領であるハリスをもっと前面に出せるはずだ。しかし、現在のホワイトハウスはハリスを後ろにおいている。これは長期的に見て、彼女にとって利益となるだろう」と語っている。

他のストラティジストたちは、ここ数週間、共和党がバイデンに狙いを定めたことで、ハリスは恩恵を受けていると述べている。共和党は、バイデンが国境問題やアフガニスタン問題に対して弱腰だと批判している。

民主党所属のストラティジストであるクリスティ・セッツアーは次のように述べている。「私の直感からするとバイデンに注目が集まっているので、相対的にハリスが注目されておらず、その結果として支持率の数字が上がっているだけということだと思う。彼女は誰にも新しく嫌われる理由を与えていないので、彼女の世論調査の数字は平均値に戻っているのだ。アメリカ第2位の地位に就いている黒人女性に対する国民の評価は、支持と不支持が半々というところになっている」。

しかし、ハリスは副大統領としての役割をより明確化させようとしている。先週、ハリス副大統領は、ザンビア、ガーナ、インド各国の指導者を別々に出迎え、会談を持った。水曜日、ハリスはラティーノ系の5つの零細事業者グループの指導者たちを出迎え、会談を持った。ハリスは政治的な面でも積極的な役割を果たしている。民主党所属のカリフォルニア州知事ギャビン・ニューサムに対する強力な擁護演説、ヴァージニア州知事選挙民主党候補者テリー・マカフィーのための資金集め集会、全米有権者登録記念日におけるジョージメイソン大学での集会への出席などを行った。

確かに、ハリスの支持率の数字は特別良くはない。ハリス副大統領の支持率が49%となったギャロップ社の調査では、不支持率は49%となった。先月の複数の別の調査では、支持率は40%台中盤だった。しかし、8月に実施された複数の調査の結果では、30%中盤から後半だった。

ハリスにとってもすべてが計画通りに進んでいる訳ではない。先週、ハリスは、人気番組「ザ・ヴュー」でスタジオ内でのインタヴューを予定していたが、番組のホストのうち2人が新型コロナウイルスの陽性反応を示したため、スタジオに入ることができなかった。このことについて、ハリスの側近や支持者は不満を募らせた。

ハリスはこの番組傘下のためにワシントンからニューヨークに飛行機で移動したが、念のためにインタヴューをヴァーチャルで行った。その後、ホスト2名の検査結果は陰性となり、その前の検査は偽陽性と判定された。

ハリスを支持する人々はこの出来事は「不運」だったとしているが、同時に、ハリスは自身の政治的な将来のために全国的な知名度を上げ続けねばならないとも述べている。

ある人物は次のように述べている。「私たちは皆、彼女が自分の役割を固め、方向性を見出すことができて良かったと考えています。しかし、彼女はまだ先は長いと分かっていると思いますよ」。

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(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 アメリカ連邦議会では現在、アメリカ政府の債務上限引き上げと大型支出予算が主要な話題となっている。今年8月に、アメリカ連邦下院(民主党220名、共和党212名、欠員3名)は10年間3兆5000億ドル(約385兆円)の財政支出法案を可決し(賛成220票、反対212票)、連邦上院に送った。党派のライン通りの結果となった。連邦上院(民主党50名[民主党48名;諸派2名]、共和党50名)での可決は不透明な状況だ。

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●「米下院、35000億ドルの予算決議可決」

2021 8 25 08:00 JST ウォールストリート・ジャーナル紙

https://jp.wsj.com/articles/house-passes-3-5-trillion-budget-blueprint-sets-deadline-for-infrastructure-bill-11629846004

 【ワシントン】米議会下院は24日、35000億ドル(約384兆円)の予算決議を僅差で可決した。1兆ドル規模のインフラ投資法案についても、927日までに採決することを決めた。インフラ投資法案を先に採決するよう求めていた民主党内の中道派と指導部との対立が終結した。

 最終的な合意は賛成220票、反対212票で可決されたが、インフラ投資法案と予算案を連続で処理する方針を示していた民主党指導部は戦略転換を余儀なくされた。両法案は数週間隔でそれぞれ下院で採決される可能性がある。インフラ投資法案の採決期限までに予算案をまとめられなければ、今後の協議でリベラル派の影響力は低下しかねない。

 下院が予算決議を可決したことで、民主党は上院議員50人(民主党系無所属議員含む)全員の支持を得られれば、医療・教育支援や気候変動対策を盛り込んだ予算案を共和党の支持なしでも可決することができる。上院は同じ内容の予算決議を可決済みで、議員らが法案の詳細を詰めている。

 ナンシー・ペロシ下院議長(民主、カリフォルニア州)は24日午後、超党派のインフラ投資法案を「927日までに可決する」と約束した。中道派はインフラ投資法案の即時採決こそ実現できなかったが、927日という期限が設定されたことで、35000億ドルの予算案の準備が整う数週間前にはインフラ投資法案の採決が可能になりそうだ。ペロシ氏はこれまで、予算案が上院を通過するまでインフラ投資法案を下院で採決しない意向を示していた。

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●「米下院委、今週3.5兆ドルの予算決議案を審議」

9/8() 5:24配信 ロイター通信

https://news.yahoo.co.jp/articles/30e57f92f69175e0efc2bbf73d249afb3f46d9bc

[ワシントン 7日 ロイター] - 米下院委員会は今週、子育て支援などの福祉拡充に3兆5000億ドルの財政支出を目指す予算決議案を巡って審議する。

下院歳入委員会は9、10日の作業部会で、メディケア(高齢者および障害者向け公的医療保険制度)の支払い対象に歯科、眼科、聴覚関連給付を追加する案を検討する予定。決議案には全労働者に対し、最長で12週間の有給の家族・医療休暇を提供する案も盛り込まれる見通しだ。

リチャード・ニール委員長は声明で「一部の労働者だけが有給休暇や育児、老後の蓄えといった『恩恵』にあずかるという考えに終止符を打ち、最終的にこうした支援を全米の職場に定着させるべきだ」と訴えた。

関係筋によると、予算決議案は各委員会で承認される可能性が高いものの、本会議での審議や可決に備え、法案の規模は縮小される公算で、最終的には2兆ドル程度に落ち着くもようだ。

各委員会は数日以内にそれぞれの担当部分に取り組む。民主党は今月遅くに下院の承認が得られると期待している。

その後は上院(定数100)に送られ、民主党は財政調整措置(リコンシリエーション)として知られる特別な手続きを活用する計画。これは大部分の法案通過に必要な60票ではなく、過半数での通過が可能となる。

下院のペロシ議長は、民主党のジョー・マンチン上院議員が法案の審議「中断」を先週求めたことについてCNN記者に問われると、「われわれは良いスケジュールで進んでいる」と述べ、委員会の速い作業に言及した。ただ、法案の規模が3兆5000億ドルを下回ることになる可能性は否定しなかった。

バイデン大統領は7日遅く、記者団に対し、マンチン議員と合意に達することができるとの考えを表明。「ジョー(・マンチン議員)は最後にはいつもその場にいる。彼は常に私とともにいる。私は解決できると考えているし、彼と話すのが楽しみだ」と語った。

(貼り付け終わり)

連邦上院での可決の場合には、フィリバスター(議事妨害:長時間にわたり演説を行うなど)が認められており、それを阻止し、審議を終えて採決を行うためには、60名以上の議員の賛成が必要となる。現在50対50であるからフィリバスター阻止はできない。ところがここからまた複雑な話になるが、予算措置の場合にはこの制度は適用されないので、すぐに採決に持ち込める。だったら、下院で可決された法案もそのまま上院で可決するではないか、何も不透明なことはないとなるが、それがまたそうではない。

 民主党50名の中から1人でも反対が出れば、採決で否決される。そうなれば終わりだ。今のところ、連邦上院民主党には、ジョー・マンチン連邦上院(ウエストヴァージニア州選出)という議員がいて、この人は「予算の大盤振る舞いをすべきではない、増税もすべきではない」という考えで、現在の385兆円の財政支出には反対している。それで2兆ドル(約220兆円)くらいまで減額しての可決ということになるのではないかと見られている。

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●「米下院民主党、35,000億ドル投資財源として増税案発表、法人税率26.5%に」

(米国)

ニューヨーク発

20210915日 JETRO

https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/09/0cadf625c2274190.html

米国下院民主党は913日、上下両院で審議中の35,000億ドル規模の投資計画の財源となる増税案PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。米メディアによると、増税規模は10年間で企業、個人に対してそれぞれ約1兆ドルで、その他の財源として、税の徴収強化による約1,200億ドル、薬価政策の変更による約7,000億ドル、同計画の経済押し上げ効果による税収増の約6,000億ドルを充てることにより、同計画の財源は賄えるとしている(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版913日)。

企業に対する課税について、主な項目としては、法人税率を現行の21%から26.5%に引き上げるほか、グローバル企業の国外収益に対する課税の最低税率を現行の10.5%から約16.6%に引き上げることを盛り込んでいる。バイデン政権が当初提案していた増税後の税率は前者が28%、後者が21%だった。

個人への課税については、主な項目として、個人所得税の最高税率をバイデン政権の当初の提案どおり、現行の37%から39.6%(年収40万ドル超の場合)に引き上げることに加えて、500万ドルを超える所得についてはさらに3%の付加税率を加えることを提案している。また、株式などの譲渡益に対するキャピタルゲイン課税の最高税率を現行の20%から25%に引き上げることも盛り込んでいるが、これについては、バイデン政権の当初の提案では39.6%となっており、市場への影響を考慮したかたちとなっている。

なお、上院で提案された炭素国境調整を目的とする課税措置(2021914日付地域・分析レポート参照)については、現時点では今回の増税案には盛り込まれていない。

増税案について今週にも下院で審議・採決が行われる見込みだが、今後修正なく歳入委員会を通過するかは不透明だ。下院では民主党が220議席、共和党が212議席(欠員3議席)となっており、民主党は党内から反対する議員が4人以上出た場合は過半数を失うこととなる。民主、共和各党の勢力が拮抗(きっこう)する上院では、民主党中道派に属するジョー・マンチン議員(ウェストバージニア州)が今回の投資計画の規模に反対し、「1兆から15,000億ドルの規模であれば、支持できるかもしれない」と述べており(政治専門誌「ポリティコ」912日)、予算決議(2021826日記事参照)の時と同様、下院で上院の中道派の動きに賛同する議員が一定数現れた場合は、同計画の成立は危うくなる。一方で、エリザベス・ウォレン上院議員(マサチューセッツ州)やアレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員(ニューヨーク州)など民主党内左派の議員はさらなる支出規模拡大を求めているとされ、今後党内での駆け引きが激しくなりそうだ。

(宮野慶太)

(米国)

(貼り付け終わり)

 一方、5年1兆2000億ドル(約132兆円)は今年8月に連邦上院で賭け悦されえた。採決結果は賛成69票、反対30票だった。これは共和党側の一部議員が「これくらいの穏当な内容なら良い」ということで賛成票を投じたためだ。

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●「米上院、110兆円インフラ法案可決 バイデン氏「団結」の成果」

202108110723分 時事通信

https://www.jiji.com/jc/article?k=2021081100043&g=int

 【ワシントン時事】米議会上院は10日、インフラ整備に5年間で総額約1兆ドル(約110兆円)を充てる法案を可決した。インフラ投資はバイデン政権が看板政策に掲げる経済成長戦略の柱で、上院の超党派グループが法案を提出。「与野党の団結」を訴えてきたバイデン氏にとって大きな成果となる。

 採決結果は賛成69、反対30。上院は与野党の勢力が50議席ずつで伯仲しているが、野党共和党の一部議員が支持に回り、インフラ投資は実現に向けて大きく前進した。

 今後、与党民主党が過半数を占める下院で審議される。ただ、下院民主党は子育て・教育支援や気候変動対策などを対象とした大型財政出動との同時実現を目指しており、インフラ法案の審議が順調に進まない可能性もある。

 バイデン大統領はホワイトハウスで演説し、「米国が将来を築き、世界との競争に勝てる歴史的な投資だ」と強調。上院通過によって「国民にとって大事なことを結束して実現できると証明した」と、与野党の団結をたたえた。

 インフラ投資は、予算手当て済みの改修費などを除く新規分が5500億ドル。内訳は、道路や橋が1100億ドル、公共交通機関が過去最大の390億ドルなど。国際競争力を高め、中国に対抗するための基盤強化が狙いだ。新型コロナウイルス経済対策の未利用分などを財源にする。

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 そこで今度は連邦下院で審議され採決ということになる。連邦下院では、民主党が過半数を占めているので、こちらも簡単に可決されるかと思えば、そうではない。拙著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』でも書いているが、民主党内部には進歩主義派勢力がおり、民主党内部での争いも激しくなっている。この人々は「連邦下院で可決された10年3兆5000億ドル(約385兆円)の法案について、連邦上院で中身を削るようなことがあったら、連邦下院で審議されている5年1兆2000億ドル(132兆円)規模のインフラ整備法案については反対に回る」という、一種の脅しをかけている状況だ。進歩主義派の領袖であるバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は連邦上院予算委員長を務めているが、彼は6兆ドル(約660兆円)規模の支出を求めている。それはいくら何でも、ということで実現性はないが、少なくとも現在の法案よりも減額することは阻止したいということになる。

 こうした中で、めったにメディアのインタヴューを受けないバラク・オバマ元大統領がバイデン大統領に助け舟を出し、これらの財政支出について全面的な支持を表明した。この動きは、財政支出を削減したいマンチン議員たち(中道派と表現される)、そして、財政支出を法案よりも増やしたい進歩主義派の両方を抑えて、バイデンの計画通りの支出をさせたいということである。

 アメリカの二大政党制は物事が何でもスムーズにかつスピーディーに決まる、と考え、「日本でも“決められる政治”のために、二大政党制を」という主張が今でもあるが、アメリカでもこれほどに苦労するものである。二大政党制になったからと言って、物事がサクサクと進むものではない。また、簡単に何でも嘖々と進むことはとても怖いことだ。

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オバマは重要な法案の採決を前にしてバイデンが進めている法案はアメリカにとって「極めて必要不可欠な内容」と述べた(Obama says US 'desperately needs' Biden legislation ahead of key votes

ブレット・サミュエルズ筆

2021年9月27日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/574187-obama-says-us-desperately-needs-biden-legislation-ahead-of-key-votes

オバマ元大統領は月曜日、重要な法案を連邦議会で可決させる重要な週が始まるにあたりバイデン大統領の経済政策についての支持を行うように訴えた。彼は経済政策パッケージの総額や財源についての議論を封じ込めた形だ。

オバマは珍しくテレビ番組のインタヴューに応じた。ABCのロビン・ロバーツとのインタヴューの中で、バイデンが推進しているインフラ整備某案と経済回復パッケージについて、「アメリカ国民にとって極めて必要不可欠な法案」だと述べた。

オバマは、どの法案を優先するかをめぐって、進歩主義派と穏健派の間で起きている党内対立や闘争については言及しなかった。しかし、彼はアメリカの家族に対する利益について言及し、アメリカの富裕層に対する増税によって、経済刺激法案への財源を作るということへ支持を表明した。

オバマは次のように述べた。「経済政策パッケージに全部目を通してみれば、どうしても目が行ってしまうのはその総額で3兆5000億ドル規模ということになる。しかし、これは1年間でこれだけを支出するということではない。何年もかけて支出するということだ。そして、より重要なことは、財源は、富裕層の方々にお願いするということだ。この方々は数十年にわたり、大きな恩恵を被ってきた。そして、新型コロナウイルス感染拡大のさなかにあっても、彼らの富や資産は大幅に増え続けている。こうした方々にほんの数ポイントの増税をお願いすることで、全員にとって公正な経済を実現することが可能となる」。

富裕層への増税について、共和党や経済界から反撃が出ているとロバーツが指摘すると、オバマは次のように述べた。「増税にはそれだけの価値があると考えている。有効な手段だと思う。私は自分自身を富裕層だと考えているが、増税は実施する価値があると考えている」。

オバマは次のように述べた。「富裕層に対して今よりももう少しだけ課税をして、シングルマザーが子育て支援を受けたり、山火事や洪水への対策ができていない地域に何らかの対策ができるようになったり、次世代のために気候変動対策をしたりすることが大変なことだと騒ぎ立てる人たちがいる。このような議論はもう成り立たないと私は考えている」。

バイデンの経済政策に対するオバマの全面的な支持は重要な時期に表明された。連邦議会民主党指導者たちは、政府の予算執行維持、債務上限の引き上げ、インフラ関連法案の可決を今週中に完遂することを目指している。

連邦下院議長ナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は木曜日に、超党派による1兆2000億ドル規模のインフラ整備パッケージの採決を行う予定を設定した。リベラル派の一部は、バイデン大統領提案の3兆5000億ドル規模の社会・気候変動対策経済パッケージ法案に何らかの動きや進展がなければ、一反対すると表明している。

ジョー・マンチン連邦上院議員(ウエストヴァージニア州選出、民主党)は、3兆5000億ドル規模の経済パッケージの減額を求めている中道派の一人だ。マンチンは、連邦上院多数党(民主党)院内総務チャールズ・シューマー連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)の事務所を訪問した。進歩主義派議員連盟会長プラミラ・ジェイパル連邦下院議員(ワシントン州選出、民主党)は穏健派の重要人物たちと電話やEメールなどで話し合いを行った。その中には、クリステン・サイネマ連邦上院議員(アリゾナ州選出、民主党)とヘンリー・クエラー連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)が含まれていた。

バイデンは月曜日に、連邦議事堂内のペロシ連邦下院議長とシューマー連邦上院院内総務という民主党側の上下両院最高幹部2名とテレビ電話会議を行った。月曜日、連邦議会は膠着状態にあるバイデンが推進している法案について何らかの進展を起こそうとしていた。バイデンは月曜日、法案は週末までに可決する可能性ないだろうとしながらも、最終的には可決されるはずだという楽観論を示した。

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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