古村治彦です。
ロシアによるウクライナ侵攻に対して欧米諸国を中心に様々な制裁措置が実施される。ロシアの国際金融からの締め出しや各国に持つ資産凍結などによって、ロシア経済はダメージを受けるだろうが、多くの人々が予想しているように、制裁が一枚岩ではないので、その効果は限定的になってしまうだろう。中国やインドが反対もしくは慎重姿勢を見せているので、それらの国々が制裁を行わない、もしくは制裁のレヴェルが低いとなると、ロシアにとっては抜け道となる。
アメリカで実施された世論調査の結果によると、アメリカ国民の圧倒的多数が制裁には賛成している。しかし、昨年からの高いインフレーション率と石油価格の高止まりで生活が苦しくなっている中で、経済制裁によって更なる価格上昇になるのであれば制裁に反対という人の数は増える。また、約半数がウクライナ問題はアメリカにとって関係ないとも答えている。だから、アメリカ軍の派遣や空爆に反対の割灰は過半数を超えている。
ロシア製品のボイコット、具体的にはアメリカの各州でウォッカの販売中止が続いているが、それがどれほどの効果を持つかと言われると正直それほどのことはないだろうと思われる。象徴的な行動ではあるが、実際の効果は期待できない。イラク戦争の際に、フランスが反対したことを受け、フレンチフライをフリーダムフライに改名したという哀しく滑稽エピソードを思い出す。
ロシアは憎いが自分たちの生活もあるというアメリカ国民の実感が今回の世論調査の結果に表れている。
(貼り付けはじめ)
ウクライナ危機の中、ロシアに対する否定的な見方は冷戦時代の水準に近づく:世論調査(Negative
views of Russia near Cold War levels amid Ukraine crisis: POLL)
-エネルギー価格が上昇するなら制裁への支持は半数に減少。
ゲイリー・ランゲ筆
2022年2月26日
ABCニューズ
https://abcnews.go.com/Politics/negative-views-russia-cold-war-levels-amid-ukraine/story?id=83108605
ロシアに対する否定的な見方は、冷戦時代終盤のレヴェルまで高まっており、ロシアのウクライナ攻撃に対する制裁をアメリカ国民の幅広い層が支持している。ただし、この制裁によってアメリカのエネルギー価格が上昇するということになると支持は半数にまで下がる。
一方、ジョー・バイデン大統領は、ABCニューズと『ワシントン・ポスト』紙の世論調査で、この状況への対応について肯定的な評価よりも否定的な評価を得た。33%が支持、47%が不支持で、残りは分からないと答えた。
より広い意味では、バイデン大統領の下で世界におけるアメリカの指導力が弱まったと答えた人の割合は48%と半数近くになった。強くなったと答えた人の2倍になった。また、危機管理に対する信頼度については、43%対52%となり、この1週間の情勢を考えると微妙な結果となった。
アメリカとヨーロッパの同盟諸国がロシアに経済制裁を行うことについて、67%が支持し、20%が反対、残りは分からないと答えた。しかし、バイデンが警告したように、制裁でエネルギー価格が上昇する場合、支持は51%に低下し、33%が反対となった。これは、過去40年近くで最も高いインフレーション率という経済面での不満を反映している。
今回の世論調査は、ロシアがウクライナを威嚇し、木曜日に実際に侵攻した期間を含む、日曜日(2月20日)から木曜日(2月24日)の夜にかけて実施された。危機の進展に伴い、人々の考えや態度も変化していく可能性がある。
最も顕著なのは、ロシアに対する見方である。ロシアが2014年にクリミアに侵攻した数カ月後には77%がロシアを非友好的もしくは敵として見ると答えた。今回もそれとほぼ同程度となり、80%がロシアはアメリカに対して非友好的もしくは敵だと考えており、1983年(当時はソ連として測定)以来最も高い数字となった。
今回の世論調査の結果では、ロシアをアメリカの敵と考える人が41%となっており、2000年代初頭と1990年代初頭の一桁台から同様に上昇している。
ランガー・リサーチ・アソシエイツがABCの依頼を受けて実施した今回の世論調査では、ロシアをアメリカに対して友好的(または同盟国)だと答えたのはわずか12%だった。これは、2002年(911事件後の連帯の時期)の62%や、ソヴィエト連邦崩壊の2年後の1993年の66%から大きく低下している。
●各グループ(Groups)
民主党支持者(86%)、無党派層(81%)、共和党(78%)と、大多数がロシアを「非友好国」または「敵国」と回答した。リベラル派、穏健派、保守派のいずれでも80から〜88%がロシアを敵視しており、通常なら意見が分かれる、各グループの間で異例の一致を見せている。
民主党支持者の79%が制裁を支持し、その数字は無党派層で63%、共和党支持者で62%と減少する。制裁がエネルギー価格の上昇をもたらす場合、制裁への支持は、インフレーションのために既に経済的苦境にある人々の間では、苦境にない人々に比べて15ポイント低くなっている。
バイデン個人については、通常通りの深刻な党派による分裂に戻る。国政にとって重要なグループである無党派層はバイデンに対して否定的な見方をしている。民主党支持者の66%がバイデンの現在の状況への対処を支持しているが、無党派層で30%、共和党支持者で8%にとどまっている。その代わり、共和党支持者の75%と無党派層の54%が不支持で、民主党支持者の不支持は13%となった。残りは態度を未決定と答えた。
危機対処に対するバイデンへの信頼や、アメリカの世界規模での指導力についても、同様に意見が分かれている。後者については、共和党支持者の82%がバイデンの下で世界におけるアメリカの指導力が弱くなったと答え、無党派層の53%もそのように答えたのに対し、民主党支持者でそのように答えたのは11%だった。
2017年と2018年に、ドナルド・トランプ大統領の下での米国の指導力について同じ質問をしたところ、こうした分裂は基本的に逆転した。しかし全体としては、トランプ大統領時代に最も良かった数字が30%で、それだけの人々がアメリカの指導力は強くなったと答え、現在のバイデン大統領の23%よりも高い数字となった。
●方法論(Methodology)
今回のABCニューズとワシントン・ポスト紙の共同世論調査は、2022年2月20日から24日にかけて、全国の成人1011名の無作為サンプルで選び出し、固定電話および携帯電話を使って、英語とスペイン語で実施された。結果は、デザイン効果を含めて4ポイントの誤差がある。回答者の党派別の割合は、民主党・共和党・無党派がそれぞれ27・26・40となった。
今回の調査は、ニューヨーク州ニューヨーク市のランガー・リサーチ。アソシエイツがABCニューズのために制作し、サンプリングとデータ収集はマサチューセッツ州ロックビル市のアブト・アソシエイツが担当した。
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アメリカ国民の大多数が対ロシア制裁を支持:世論調査(Broad majority of
Americans support Russia sanctions – poll)
ジェイソン・ランゲ筆
2022年2月24日
ロイター通信
https://www.reuters.com/world/broad-majority-americans-support-russia-sanctions-poll-2022-02-24/
ワシントン発(2022年2月23日、ロイター通信)。アメリカ国民の3分の2以上が、アメリカは、ロシアがウクライナ国境沿いのロシア軍を増強するならば、追加の制裁を科すべきだと考えている。ロイター通信・イプソスが水曜日に発表した世論調査の結果、明らかになった。
世論調査に回答した人の約半数は、ジョー・バイデン大統領の危機への対処を支持しないと答え、全体的な支持率の低さと同程度の割合、48%がウクライナ問題はアメリカには関係ないと答えた。
バイデン大統領は、ロシアがウクライナへの侵攻を開始した場合、大きな代償を払うことになると宣言しているが、アメリカ軍を紛争に関与させることはないと表明し、約束している。
今回の世論調査は、火曜日と水曜日(2月22日と23日)にオンライン上で実施された。今回の世論調査の結果によると、アメリカ国民の約69%(共和党支持者と民主党支持者の過半数)がロシアへの追加の制裁を支持している。
バイデン大統領は火曜日、ロシアの企業や個人に対する措置を強化し、ロシアの銀行2行を事実上、米国の銀行システムから締め出した。
今回の世論調査の結果によると、ロシアの侵攻からウクライナを守るためにアメリカ軍を派遣することには62%が反対しており、共和党支持者の間で反対が最も強かった。また、空爆についても過半数が反対した。
2022年11月8日の中間選挙で連邦議会の過半数の議席獲得を目指す共和党所属の議員たちは、バイデン大統領のプーティン大統領への対応はあまりにも小規模すぎて、かつ、遅すぎたと批判している。
世論調査では、バイデン大統領の危機対応を支持した共和党支持者はわずか12%だった一方で、民主党支持者は58%に上った。
現在のところ、危機の原因がバイデンだという批判を行っているアメリカ国民は比較的少数にとどまっている。
世論調査によると、民主党支持者の過半数、共和党支持者の約半数を含む、国民の約半数が、火曜日にロシア軍にロシア民族分離主義勢力が独立を宣言下ウクライナ領土への侵攻を命じたプーティン大統領を非難している。バイデンに責任があると答えたのは、共和党支持者の間でも25%に過ぎなかった。
世論調査によると、制裁に対しては幅広い支持がある一方で、燃料やガスの価格を上昇するにしても、制裁は実行する価値があると答えたアメリカ国民は約半数にとどまった。ロシアは主要な石油・天然ガス生産国であり、紛争に対する懸念から、一部の石油契約の価格は2014年以来の高水準に達している。
世論調査は、全米においてオンライン上で、英語を使って実施された。民主党支持者420名、共和党支持者394名、無党派131名を含む成人1004人から回答を得た。結果の信頼性区間(精度の尺度)は4ポイントだ。
(貼り付け終わり)
(終わり)

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