古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

2022年03月

 古村治彦です。

 ロシアによるウクライナ侵攻が発生してから1カ月以上が経過し、4月になろうとしている。状況は膠着状態からウクライナ軍とウクライナ国民の頑強な抵抗によってロシア軍は押し返され、作戦範囲を縮小し、東部地区の制圧に注力するように変更するという報道がなされている。ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領はこの報道について信頼していないと述べている。

 一方で、ゼレンスキー大統領は西側諸国がゲーム・チェンジャーとなる措置を取っていないことに苛立ちを隠していない。飛行禁止区域設定や航空機供与があれば状況を一気に変化させて、ロシア軍を敗退させることは可能だ。今の状況では出血箇所の治療(止血)をしないままで、輸血をし、点滴で栄養を投与しているような状況だ。これでは根本的な解決にならないではないかというゼレンスキーの苛立ちは分かるが、一歩踏み込んだ措置は状況をさらに悪化させる可能性もある。

 このような踏み込んだ措置を取るにはアメリカが主体とならねばならない。飛行禁止区域設定では、アメリカ軍が区域を飛んだロシア軍機を撃墜するということになる。そうなれば、ロシア軍が報復ということで攻撃を仕掛けるということになり、米露間の直接戦闘に発展する。これが最終的に核ミサイルの撃ち合いにまで発展するのではないかというのが世界各国の政府の懸念となっている。

 アメリカ国民の多くはアメリカがロシアとの戦争に巻き込まれることを望んでいない。下の記事にあるように世論調査の結果では85%が懸念を表明している。これは太平洋戦争直前の状況に似ている。あの時も当時のフランクリン・D・ルーズヴェルト大統領は「皆さんの息子を戦争に送ることはない」という主張を繰り返し、大統領選挙に当選した。当時も戦争を忌避するアメリカ国民は多かった。それが一気に変わったのは真珠湾攻撃だ。これによってアメリカは日本に宣戦布告、日本と戦争状態に入り、これは三国同盟の朱子氏からドイツの対米宣戦布告とつながり、アメリカはアジア・太平洋地域で日本、ヨーロッパでドイツと戦うことになった。あれだけ戦争に反対していたアメリカ国民は熱狂のうちに戦争を支持するようになった。

 このような偶発的な(かつ仕組まれた)事件や出来事が起きれば、今回の状況もどうなるか分からない。ロシア軍の中にアメリカのネオコンや人道的介入主義派につながっている勢力がいて、ミサイルをポーランドに向けて発射すると言ったようなことを実行すれば、アメリカ軍は出動しなければならなくなる。

 アメリカのジョー・バイデン政権は非常に慎重な姿勢を堅持しているが、同時に非常に強い言葉遣いをしているので危険である。これ以上の事態の悪化を招かないためにも、感情的にならずに冷静に判断し、対処することが重要だ。ゼレンスキー大統領は私たちの感情に訴えてくる。これが非常に危険なことであることを理解しながら、彼の言葉を聞くということが防衛策ということになる。

(貼り付けはじめ)

ゼレンスキーが西側諸国の臆病さを非難し、ロシアが国家分裂を望んでいると警告を発する(Zelensky accuses West of cowardice, warns Russia wants to split nation

AP通信

2022年3月27日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/wire/599968-zelensky-accuses-west-of-cowardice-warns-russia-wants-to-split-nation

リヴィウ(ウクライナ)発。ヴォロディミール・ゼレンスキー大統領は日曜日、西側諸国の臆病さを非難し、別の高官はロシアがウクライナを北朝鮮と韓国のように国を2つに分割しようとしていると述べた。

ゼレンスキー大統領は、ロシアの侵攻軍から自国を守るために戦闘機や戦車を提供して欲しいと怒りを込めながら訴えた。ロシアは現在、東部のドンバス地域を支配することに主眼を置いているという。以前のより拡大した目標から明らかに後退しているが、これはウクライナの分裂を懸念させるものだ。

ジョー・バイデン米大統領が、ロシアのウラジミール・プーティン大統領は権力を維持できないと痛烈な演説をした後(ホワイトハウスはすぐにこの言葉の重要性を消そうと努力した)、ゼレンスキー大統領は、ロシアのミサイル攻撃が民間人を殺し、閉じ込める一方で、「誰が、どうやってジェット機やその他の武器を引き渡すべきかという綱引き」をしている西側諸国に怒りを向けた。

ゼレンスキーはヴィデオ演説の中で、戦争の最大の窮乏と恐怖に見舞われた南部の包囲都市マリウポリに向かって次のように述べた。「私は今日、マリウポリの守備隊と話した。私は彼らと常に連絡を取り合っている。彼らの決意、ヒロイズム、決意の堅さには驚かされるばかりだ。何十台ものジェット機や戦車をどう引き渡すか、31日間考え続けてきた人たちに、彼らの勇気の1%でもあればいいのだが」。

また、ゼレンスキー氏は日曜日にロシアの独立系ジャーナリストたちに対し、政府は中立を宣言し、ロシアに安全保障を提供することを検討すると述べ、以前の発言と同じことを繰り返した。これには、ウクライナの非核化も含まれるとも付け加えた。

ゼレンスキーは記者団に対し、中立の問題、そしてNATOへの加盟断念に同意することは、ロシア軍撤退後にウクライナの有権者による国民投票で問うべきであると語った。ロシア軍が撤退してから数カ月以内に投票が行われる可能性があるとも述べた。

ロシアはすぐにこのインタヴューの報道を禁止した。モスクワの通信を規制する連邦コミュニケーション・情報技術・マスメディア監視局(Roskomnadzor)は禁止令を出し、参加したロシアのメディアに対して行動を起こす(法的手段を取る)可能性があり、その容疑の中には「外国の代理人として行動している外国メディア」も含まれていると述べた。

ロシアを拠点とするメディアは、インタヴューが海外で公開されたにもかかわらず、禁止措置に従ったようだ。

ゼレンスキー氏はこれに対し、モスクワはジャーナリストたちとの短い会話すらも恐れていると述べた。ウクライナの通信社RBKウクライナによると、「これは悲劇的でないとすれば、面白いことということになる」と彼は言ったという。

ロシアによるウクライナ侵攻は、多くの地域で行き詰まっている。首都キエフを素早く包囲し、降伏させるという目的は、アメリカや他の西側同盟国からの武器によって強化されたウクライナの頑強な抵抗に対して頓挫している。

モスクワは、2014年以来ロシアに支援された分離主義勢力によって部分的に支配されている東部ドンバス地域全体を奪取することに重点を置いていると主張している。金曜日にロシア軍の高官が、軍隊は国内の他の地域から東部に振り向けられていると述べた。

ロシアは、モスクワがウクライナからクリミア半島を併合した直後にルハンスクと隣接するドネツクで反乱が起きて以来、分離主義勢力の反乱軍を支援してきた。ウクライナとの会談で、モスクワはキエフにドネツクとルハンスクの独立を認めるよう要求している。

ウクライナ軍情報機関のトップであるキリロ・ブダノフは、ロシアがウクライナを2つに分割しようとしていると非難し、北朝鮮と韓国になぞらえた。

ブダノフは国防省が発表した声明の中で、「占領者は占領地を一つの準国家構造に引き込み、独立したウクライナと戦わせようとするだろう」と述べた。ブダノフは、ウクライナ人によるゲリラ戦がそのような計画を頓挫させるだろうとも述べている。

戦争終結に向けてロシアと協議しているウクライナ代表団の一員であるダヴィド・アラクハミアは、フェイスブックの投稿で、両国は月曜日からトルコで会談すると述べた。しかし、ロシア側はその後、会談を火曜日に開始すると発表した。両者は以前にも会談しているが、合意に至っていない。

ウクライナの優先事項は「主権と領土の保全」であるとゼレンスキーは毎晩の演説で国民に語っている。

ゼレンスキーは今回の演説で「我々は平和を求めている、本当にしかも遅滞なく、だ。トルコで直接会談を持つ機会と必要がある」と語った。

ゼレンスキーはまた、軍が発表していない、あるいは承認していない部隊や装備の移動に関する報道を禁止する法律に署名した。この法律に違反したジャーナリストは、3年から8年の禁固刑に処される可能性がある。この法律では、ウクライナ人記者と外国人記者を区別していない。

ウクライナは、ロシアに勝つためには、欧米諸国はミサイルなどの軍備だけでなく、戦闘機も提供しなければならないとしている。アメリカ経由でポーランド機をウクライナに譲渡する案は、直接戦闘に巻き込まれることへのNATOの懸念から、破棄された。

ゼレンスキーは、「西側諸国の政府がこの悲劇を防ぐことを恐れている。決断することを恐れているのだ」と非難した。

ゼレンスキーの訴えは、前日にロケット弾の直撃を受けた西部の都市リヴィウの司祭も同じように受け止めていた。空からの攻撃は、モスクワが、戦争を東に移すつもりだという主張にもかかわらず、ウクライナ国内の全ての場所が攻撃対象となり得ることを示唆している。

ユーリ・ヴァスキフ牧師は「外交がうまくいかない時は、軍事的な支援が必要だ」と語り、ギリシャ・カトリック教会から、恐怖に駆られた教会員たちが遠ざかっているとも述べた。

キエフに向かう道すがら、ある村の住民は、ロシアが続けている攻撃の残骸をかき集めていた。キエフから約22マイル(35キロ)離れたビシフの地元の人々は、本や棚、額に入った写真など、できる限りのものを引き揚げるために、砲撃によって引き裂かれ、破壊された建物の中を歩いていた。

かつて幼稚園の教室だった場所に立ったスベトラーナ・グリボフスカ先生は、あまりにも多くの子どもたちが犠牲になってしまったと語った。

グリボフスカはイギリスの放送局「スカイニュース」の取材に対し、「これは間違っている。子どもたちには何の罪もない」と述べた。

ロシアは、ポーランドとの国境に近いリヴィウの燃料貯蔵所と防衛施設を空から発射する巡航ミサイルで攻撃したことを確認した。ロシア国防省のイゴール・コナシェンコフ報道官は、海上発射ミサイルによる別の攻撃で、ウクライナが防空ミサイルを保管しているキエフの西にあるプレセツクの倉庫を破壊したと述べた。

ロシアの相次ぐ空爆は、爆撃を受けた町や都市から逃れた推定20万人の避難所となっているこの町を揺るがした。リヴィウは、ロシアが2月24日に侵攻して以来、ウクライナを離れた380万人の難民の大半にとって中継地となっており、爆撃をほとんど受けずに済んでいる。

最初の爆破地点に近い団地の下にある薄暗く混雑した防空壕で、34歳の情報技術者オラナ・ウクライナッツは、最も爆撃を受けた都市の一つである北東部のハリコフから逃げ出した後、再び隠れなければならないとは信じられなかったと語った。

彼女は「私たちは通りの片側にいて、反対側でそれを目撃した。火が見えた。私は友人に『これは何だ』と言いました。それから爆発音とガラスが割れる音が聞こえた」と語った。

ハリコフでは、ウクライナの消防士たちが斧やチェーンソーを使ってコンクリートやその他の瓦礫を掘り、ロシア軍の地方行政庁舎への攻撃による犠牲者を探しているところであった。消防士たちによると、土曜日に1人の遺体が発見された。3月1日の攻撃で少なくとも6人が死亡した。ロシア軍が150万人の人口を抱えるハリコフの中心部を攻撃したのは初めてだった。

日曜日の夜には、北西部のヴォリン州の石油基地がロケット弾で攻撃された。

ウクライナから非難した数百万人とともに、侵攻によって1000万人以上が故郷を追われ、これはウクライナの人口のほぼ4分の1にあたる。数千人の市民が殺害されたと見られている。

ハリコフのアンドレア・ローザ、キエフのネビ・ケーナ、リヴィウのキャラ・アンナ、および世界各地のAP通信記者がこのレポートに寄稿した。

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世論調査:アメリカ国民の85%はウクライナ・ロシア紛争にアメリカが引きずり込まれることを懸念(85 percent of Americans concerned US will be drawn into Ukraine, Russia conflict: poll

マイケル・シュニール筆

2022年3月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/599983-most-americans-concerned-us-will-be-drawn-into-ukraine-russia-conflict

アメリカ国民の圧倒的多数が、アメリカがウクライナとロシアの紛争に巻き込まれることを懸念していることが新しい世論調査で明らかになった。

AP通信とNORC・センター・フォ・パブリック・アフェアーズ・リサーチが実施した世論調査によると、アメリカの成人の85%が、アメリカがロシアとウクライナの紛争に巻き込まれることを懸念していることが分かった。

「非常に懸念している」と答えた人が21%、「とても懸念している」と答えた人が26%、「ある程度懸念している」と答えた人が38%だった。これに対し、調査対象の成人の11%が、アメリカがヨーロッパでの紛争に巻き込まれることをあまり心配していないと答え、4%が全く心配していないと答えた。

また、今回の世論調査では、ロシア・ウクライナ紛争がアメリカ国内の核に対する恐怖心を促していることも分かった。

調査対象の成人の71%が、ロシアのウクライナ侵攻により、世界のどこかで核兵器が使用される可能性が高まったと思うと回答した。また、25%の回答者は、モスクワの侵攻は世界中で核兵器が使用される可能性に影響を与えていないとし、4%は可能性を減らしたと答えた。

今回の世論調査は、ロシアがウクライナとの紛争で核兵器に頼る可能性を各国の指導者たちが議論している中で行われた。先進7か国(G7)の首脳たちは先週、ロシアに対し、ウクライナ紛争で化学兵器、生物兵器、核兵器を使用しないよう警告を発した。

G7首脳は「私たちは、化学兵器、生物兵器、核兵器、または関連物質の使用のいかなる脅威に対しても警告を発する。私たちは、ロシアが加盟している国際条約の下での義務を想起し、私たち全員を保護する」と声明に明記した。

G7首脳は「この点で、私たちは、国際的な不拡散協定を完全に遵守している国家であるウクライナに対するロシアの悪意ある、全く根拠のない偽情報キャンペーンを断固として非難する」と付け加えた。

今回の世論調査は、ロシア・ウクライナ紛争が2ヶ月目を迎えようとしていた3月17日から3月21日にかけて実施されたものだ。ロシアのウラジミール・プーティン大統領は2月24日にウクライナへの軍事作戦を指示し、侵攻のきっかけとなった。

しかし、ロシアの侵攻は、ウクライナ軍の頑強な抵抗により、多くの地域で阻まれている。

アメリカは、ウクライナ上空の飛行禁止区域の宣言を拒否し、ウクライナにアメリカ軍を派遣しないと宣言し、ドイツの米空軍基地へのMiG-29戦闘機の移送というポーランドの提案を拒否するなど、紛争を通じてロシアと直接対立することを避けるよう努力している。

しかし、バイデン大統領は先週、NATO条約と第5条(同盟国の1つに対する攻撃は全てに対する攻撃と見なす)に対するアメリカの関与を繰り返した。

今回の調査は1082名の成人を対処に実施され、誤差は4ポイントだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)


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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 ロシアによるウクライナ侵攻に伴う経済制裁として、欧米諸国を中心にロシアからの石油輸入を禁止する措置を取る国が多く出ている。一方で、中国、インド、メキシコ、中東諸国、イスラエル、南アフリカ、ブラジルといった国々は慎重な態度を保っている。結果として、石油価格が高騰し、物価高(インフレーション)に拍車をかけている。エネルギーや物流コストを押し上げることで、私たちの生活に大打撃を与えることになる。ロシアへの厳しい制裁に乗り出していない国々に対してはロシアも様々な方法で石油や天然資源を現在よりも安い価格で提供するということを行うだろう。欧米諸国はそうした動きを批判するだろうが、そうした国々にまで経済制裁を科すということになれば、世界経済の混沌はますます深刻化する。

 アメリカのジョー・バイデン政権は中東諸国に石油の増産を求めているが、アメリカとサウジアラビアとの関係は緊張関係にあり、この試みもうまくいっていない。民主党の一部議員は中東諸国における人権状況を批判しており、そうした国々にいざとなったら膝を屈して石油の増産をお願いしなければならないということに不満を高めているようだ。また、サウジアラビア出身のジャーナリストだったジャマル・カショギが殺害された事件もアメリカとサウジアラビアとの関係を悪化させる原因となっている。

 サウジアラビアは高みの見物を決め込んでいる。石油価格が高騰すれば利益は勝手に転がり込んでくる。何もわざわざ石油の増産によって石油価格を安くする必要などない。特にアメリカの今の政権は自分たちを批判してきた民主党だ。何を協力してやる必要があるのかということになる。

 国際関係は複雑であり、学級会的な正義感や単純な感情論では動かない。このことを私たちはよく理解しておく必要がある。

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アメリカ・サウジアラビア間の緊張関係は石油増産への動きを複雑化させている(US-Saudi tensions complicate push for more oil

ロウラ・ケリー、レイチェル・フラジン筆

2022年3月20日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/598828-us-saudi-tensions-complicate-push-for-more-oil

サウジアラビアとアメリカとの緊張関係は、バイデン政権がリヤドに石油生産の強化を説得する努力を複雑にしている。サウジアラビアが石油増産をすれば、ウクライナでのロシアの戦争によって悪化した物価高騰の中で、消費者にある程度の救済を与える可能性がある。

2018年に『ワシントン・ポスト』紙所属のジャーナリスト、ジャマル・カショギがイスタンブールのサウジ領事館に誘い込まれて殺害されて以来、アメリカ政府はサウジアラビアへの批判を強めてきた。

サウジアラビアの人権記録やイエメン内戦をめぐる緊張が、アメリカ連邦議会から超党派で批判され、アメリカとサウジアラビアの間での争いに拍車をかけている。

ジョー・バイデン政権はサウジアラビアとアラブ首長国連邦に増産を求めているが、アメリカとサウジアラビアとの間の緊張関係のために、苦境に追い込まれている。

バラク・オバマ政権で人権問題の最高責任者を務めたトム・マリノウスキー下院議員(ニュージャージー州選出、民主党)は今週、記者団に「サウジアラビアに石油の増産を求めなければならないのは嫌なことだ」と述べた。

マリノウスキー議員はまた「バイデン政権が、私の選挙区の有権者たちが給油所で搾取されないように、サウジアラビアとの関係をどう利用するかを考えなければならないのが嫌だ」とも述べた。

サウジアラビアが戦略的石油備蓄(strategic oil reserves)を支配しているため、中間選挙を前に、インフレーションとガソリン価格の高騰の中で消費者を少しでも救済するよう圧力を受けているバイデン政権は、リヤドに対する戦略を見直す必要に迫られるかもしれない。

バイデン大統領は、リヤドの人権記録に対する懸念を表明する一方で、安全保障上の利益とエネルギー需要の共有に焦点を当てた現実的な関係を再構築しようとしている。

これは、トランプ政権がリヤドに対して過度に友好的で個人的な取引を行い、イエメンの壊滅的な内戦でサウジアラビア主導の攻撃を無条件で支持したこと(carte blanche support)からの急反転を意味する。

しかし、バイデンの戦略は今、世界的に必要な時期に彼自身の政権を不利な立場に追い込んでいるように見える。

王国の実質的な支配者であり、後継者候補でもあるサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、ロシアのウクライナ侵攻の初期に、ロシアへの支援活動の一環としてバイデンからの電話を拒否したと報じられた。

ホワイトハウスはこの『ウォールストリート・ジャーナル』紙の報道に対して反論し、ジェン・サキ報道官は「不正確」と述べた。

サキ報道官は「大統領の関心は、今後、私たちの関係を前進させること、つまり、私たちがどこで協力できるのか、経済や国内の安全保障でどう協力できるかということにある。大統領は、この関係が続くことを期待している」と先週のブリーフィングで記者団に語った。

ロシアによるウクライナ衣侵略によって悪化したガソリン価格の高騰は、産油国の主要グループであるOPEC+のメンバーであるサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)を戦略的な立場に立たせることになった。

サウジアラビアとアラブ首長国連邦は「余剰生産能力(spare capacity)」を持っているため、原油を市場に対して即座に追加供給し、それを一時期維持することができる。

しかし、ワシントンのアラブ湾岸諸国研究所上級研究員のフセイン・イビッシュによれば、リヤドとアブダビは両国それぞれの経済を強化するためにロシアと交わした合意の一環として、供給量の増加を求める声に抵抗してきたという。

イビッシュは最新の論文の中で「サウジアラビアとUAEは、国家発展と経済移行計画の基礎として、ロシアと締結したOPEC+の石油生産協定に依存している」と書いている。

サウジとアラブ首長国連邦は、ロシアの侵攻を非難する露骨な声明を出すことにも抵抗している。その代わり、両国のトップはアメリカを批判している。

カショギを「捕獲または殺害」する計画を承認したとアメリカの情報機関が発表したムハンマド皇太子は、今月出版された『アトランティック』誌の長時間におよぶインタヴューで、バイデン大統領が自分をどう思っているかについて、「単純に」気にしないと述べ、アメリカがサウジ王政を遠ざけることがバイデン大統領を傷つけることになると示唆した。

「アメリカの国益を考えるのは彼次第だ」と同誌は彼の言葉を引用したが、ムハンマド皇太子は肩をすくめながら「まぁ頑張ってみれば」と述べた

アメリカ政府の高官たちは2月17日に最後にリヤドを訪問し、ロシアの侵攻を前にサウジアラビアに石油の増産を求めようとした。国務省のネッド・プライス報道官は今週、「私たちは日常的にサウジアラビアのパートナーと連絡を取り合っている」と述べた。

しかし、サウジアラビアとアラブ首長国連邦はアメリカへの不満を解消することに熱心なように思われる。

ユセフ・アル・オタイバ駐米アラブ首長国連邦大使は今月、ワシントンとアブダビが「ストレス耐性テスト」を受けていると述べたと報じられている。

「しかし、私たちはそこから抜け出し、より良い場所にたどり着くと確信している」とアブダビで開催された防衛会議で述べたとも報じられた。

アラブ首長国連邦は、アラブ首長国連邦へのF-35戦闘機の納入を承認するようバイデン政権に求めている。また、バイデン大統領が取り消したイエメンのフーシ派分離主義勢力を外国テロ組織として再指定するようバイデンに迫っている。

バイデン大統領はテロリストリストの再指定を検討していると述べたが、人権団体や民主党議員の一部は人道支援の提供を妨げることになると警告している。

ワシントン近東政策研究所の研究員で、財務省でイスラエルと湾岸諸国を担当の高官を務めたキャサリン・バウアーは、アメリカと湾岸諸国の間の特定の緊張は、この地域からのアメリカの後退という、より大きな感情の一部であると指摘する。

バウアーは「アメリカが十分な注意を払っていないという感覚がそうだ。アメリカが十分な注意を払っていないという感覚は、アメリカが過去に最も信頼できるパートナーでなかったという感覚に拍車をかけると思う」と述べた。

しかし、湾岸諸国との関係を改善し、石油の生産量を増やすことは、ロシアのエネルギー輸出を受け入れることに等しい、それは両者が重大な人権侵害に責任があるからだと考える人たちもいる。

複数の人権団体は、サウジアラビア主導の空爆によって何千人もの民間人が犠牲になっており、この戦禍の国が世界最悪の人道危機と分類されていることに加え、無差別暴力が形成されているということを記録している。バイデン大統領は就任1カ月でイエメンにおけるサウジアラビアの攻撃作戦に対するアメリカからの軍事支援を終了した。

「クインシー・インスティテュート・フォ・レスポンシブル・ステイトクラフトの上級研究員であるウィリアム・ハートゥングは、「サウジアラビアがイエメンで行ってきたことは、実際にはもっと悪いことだと考えているが、あまり注目されていないのだ」と述べた。

ハートゥングは続けて「ロシアが感じている圧力のほんの一部でもサウジアラビアにかければ、イエメンでの殺害を食い止めるチャンスは十分にあると思う」と述べた。

一方で、共和党側は、ガソリン価格の高騰をバイデンの責任として非難することを重要な攻撃戦略としている。

バイデンの政策よりもむしろ、複数の国際的な要因が価格高騰の主な原因である。

共和党員も一部の政権関係者も、米国での掘削をもっと進めるよう求めている。

エネルギー省のジェニファー・グランホルム長官は、今月の業界会議で、「私たちは戦争状態にあり、緊急事態であり、責任を持って短期的な供給を増やさなければならない」と述べている。

これはギリシャを含むヨーロッパの一部のアメリカの同盟諸国から支持されている主張である。

ギリシャのバルヴィシオティス・ミルティアディス外務副大臣は今週ワシントンで行った、本誌とのインタヴューの中で、「石油の輸入をロシアやペルシア湾岸諸国に依存すべきではないと思う」と述べた。

ミルティアディスは更に、「私たちは、システムをより安定させるために、目に見える、身近なエネルギー資源を開発しなければならない」とも語った。

しかし、アメリカ企業がより多くの石油を増産化するには時間がかかるため、バイデン政権は最も即効性のある解決策を模索している。

NATO大使のカート・ヴォルカーは、ロシアによるウクライナ侵攻によるエネルギー不足の代替を湾岸諸国に求めるというバイデン政権の戦略は正しいと指摘する。彼は、ヨーロッパ連合とイギリスもバイデンに倣ってロシアの石油と天然ガスの輸入を禁止すべきだと主張した。

ヴォルカーは「私はそれが正しいことだと考える。石油と天然ガスの市場について全員と話し合うべきだ」と述べた。

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領は相手によって発言内容を変え、相手が一番聞きたい内容を話す天才だと私は考えている。彼の前職がコメディアン、俳優であり、こうした能力は前職であれば大いに称賛される能力である。政治家としてもまたその能力は活かされている。しかし、そのためにゼレンスキーの真意は、ロシアのウラジミール・プーティン大統領と同様に掴みがたい。

 ゼレンスキーは西側メディアに対しては「一人でも多くのウクライナ国民の命を救うことが勝利だ」「領土はただの領土に過ぎない」と述べながらも、「ウクライナ国民は最後の一都市まで戦う」とも述べた。前半の発言内容であれば、一刻も早い停戦を行って国民の命を救うという考えなのかと私は思ったが、後半部分では徹底抗戦するということを述べているので、停戦はすぐにはできないのではないかと思わされる。ブラフを言いながら、相手と交渉をするというのは常套手段であるが、ゼレンスキーが何を考えているのかはっきりしない。

 ロシアのジャーナリストとのインタヴューでは中立化、非核化、国内でのロシア語使用といった内容を話しており、これはロシア側が聞きたい内容そのものになっている。昨年であればこうした内容以上にウクライナにとって利益になる、有利な条件での合意がロシア側と結べていたということを考えると、ゼレンスキーの一国の指導者としての能力は低いと断じざるを得ない。また、世界各国の議会で戦争を焚きつけに回って、第三次世界大戦の棄権を招来するなどというのは、全くもって世界にとって危険極まりない人物だ。

一刻も早い停戦を望む。ウクライナ国民、ロシア国民の塗炭の苦しみを思い、世界中の人々の生活苦を考えるならば、ウクライナは頑強な抵抗でロシア軍を敗退させている今こそ、より良い条件で停戦ができ、和平交渉ができる時期だ。西側諸国がやっていることは、出血が続いている重傷者の出血を止める措置をしないのに、輸血だけはしているということと同じだ。これでは長期的に見て体が持つ訳がない。ウクライナを根本的に助けるという意思はない。ここは「耐えがたきを耐え忍び難きを忍び」である。

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ゼレンスキー:「勝利とは一人でも多くの命を救うことができることだ」(Zelensky: 'Victory is being able to save as many lives as possible'

マイケル・シュニール筆

2022年3月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/600001-zelensky-victory-is-being-able-to-save-as-many-lives-as-possible

ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領は、彼の国ウクライナの勝利は「できるだけ多くの命を救うことができること」だと述べた。

金曜日に行われた『エコノミスト』誌とのインタヴューの中で、ウクライナにロシアに勝つチャンスがあると思うかと聞かれ、ゼレンスキーは「私たちは勝利を信じる。それ以外を信じることはできない」と発言した。

ゼレンスキーは続けて「ここは私たちの家、私たちの土地、私たちの独立なのだから、私たちは最終的に必ず勝つだろう。あとは時間の問題だけのことだ」と述べた。

ウクライナにとっての勝利とは具体的にどのようなものかと続けて質問されたゼレンスキーはウクライナ国民の安全が最も重要であると強調した。

ゼレンスキーは「勝利とは、できるだけ多くの命を救うことだ。そう、できるだけ多くの命を救うことだ。ウクライナ国民なくしては、何も意味をなさない。私たちの土地は確かに重要だが、最終的にはただの領土に過ぎない」と語った。

ゼレンスキー大統領は、1カ月に及ぶウクライナでの紛争がいつまで続くか分からないとしながら、ウクライナ国民は「最後の1都市まで戦うだろう」と強調した。

「私たちの勝利は一時的なもので、全ての問題を解決することはできないかもしれないが、私たちは進むべき方向を選択した」と続けて述べた。

ロシアのウラジミール・プーティン大統領は2月24日、ウクライナにロシア軍を派遣したが、多くの地域でウクライナ軍の頑強な抵抗を受け、ロシア軍の活動は滞っている。

国連ウクライナ人権監視団によると、紛争が始まって以来、少なくとも1119人の民間人が死亡し、1790人が負傷したと報告されているということだ。しかし国連は、「敵対行為の影響を受けた複数の場所から情報を収集し、検証する能力が著しく阻害されている」と指摘し、実際の数字はもっと大きいとしている。

ゼレンスキー大統領は、紛争を通じて指導力を発揮し、激動の時代の中でキエフに留まり国の舵取りをしている若い大統領に世界中の多くの人々が賞賛を送っている。

ゼレンスキー大統領は、『エコノミスト』誌とのインタヴューの中で、ウクライナに留まるという決断について語り、この決断は「攻撃への対応について人々へのシグナル」であったと語った。

ゼレンスキーは「人は何をすべきか、何をすべきでないかという選択肢を最初から選ぶと、本格的な戦争がどういうものなのか、誰もが分からなくなってしまう。私の仕事は、人々がどう行動すべきかを知るためのシグナルを出すことだ」と述べた。

ゼレンスキーは次のように述べた。「そして、ウクライナがどう行動すべきかを示す時、自分たちもそれに従って行動しなければならない。残るべきか去るべきかの決断の時があった。私たちは皆、同じように傷ついている。残るという決断は攻撃に対してどう対応するべきかという、人々へのシグナルだった。重要なのは結局、戦争がどのように始まり、どのように終わるのか、ということだ。今回の戦争は、私たちがここに立って守っていることで終わる」。

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ゼレンスキーは和平合意の一部に中立の立場を入れる可能性を否定しない(Zelensky opens door to making neutral status part of peace deal

モニク・ビール筆

2022年3月27日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/599940-zelensky-opens-door-to-making-neutral-status-part-of-peace-deal

ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領は日曜日、和平合意の一部として、中立的な立場を第三者が保証し、国民投票にかけられるのであれば、検討すると述べた。

ロイター通信の報道によると、ゼレンスキーは「国家の安全の保障と中立、核兵器の非保有国の立場。私たちはそうした条件のための準備はできている。これが最も重要なポイントだ」と語ったということだ。

ゼレンスキーはまた、ウクライナがロシアとの交渉の一部として、ウクライナにおけるロシア語使用について検討していると述べたが、大統領はモスクワの他の要求については言及することを拒絶した。

ゼレンスキーの発言は、ロシアのジャーナリストとの90分間のヴィデオ通話の中で行われた。ロイター通信は、ロシア当局が事前にロシアのメディアに対し、この通話について報道しないよう警告していたと報じた。

ロシアによるウクライナ侵攻から1カ月以上が経過し、駐米ウクライナ大使のオクサナ・マルカロワは日曜日、ウクライナの主権を守ることができないということは、「残忍性、寡頭制、戦争犯罪者が私たちの住む惑星に充満する」ことを意味すると述べた。

マルカロワ大使は「ウクライナの領土に独立した共和国は存在しない。2014年にロシアが攻撃してきた。ロシアはクリミアとドネツクとルハンスクの一部を不法に占領した。ロシアは、不法に、今、独立国に本格的な戦争を仕掛けている」と述べた。

また、CNBCによると、日曜日、ウクライナのイリーナ・ベレシュチュク副首相は、ウクライナ東部のドネツクとルハンスク地域で2つの人道回廊設置が合意されたと発表した。

国連人権事務局は、2月24日の侵攻開始以来、1119人の民間人が侵攻で死亡し、更に1790人の民間人が負傷したと発表した。人道回廊設置合意の発表は国連人権事務局の発表後に行われた。

(貼り付け終わり)

(終わり)


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 古村治彦です。

 ロシアによるウクライナ侵攻発生以降の西側諸国の右往左往ぶりには辟易する。対ロシア制裁でロシアを締め上げて、ロシア軍を敗北させるぞと意気込んでみたものの、ロシアのウラジミール・プーティン大統領が核兵器を使用するかもしれないという考えにブルってしまい、急にトーンダウンしてしまっている。ロシア軍が敗北するということはプーティン大統領にとっては大打撃であって、失脚することになる。そうなればロシアの政治体制が大きく変更されるなどと言うことは誰でも予想できることで、そこまで見越して対ロシア制裁をやっているのかと思えば、ロシアの政治体制変更は困るという訳の分からない対応になる。ロシアに西洋流の民主政治体制を構築することはアメリカのネオコンや人道的介入主義派の願いである。その通りになりつつあるが、彼らの危険性に今頃になって気づきましたでは笑止千万、話にならない。勢い込んでロシア制裁をやって団結して頑張りましょう!とお調子者がやってみたら、はっと気づいたら世界大戦の危機になっていました、である。馬鹿じゃないの、の一言だ。小林信彦だったか、太平洋戦争末期、空襲で焼け野が原になった日本国内、特に東京で流行した言葉に「みっともなくってしゃーねーな(みったしゃねー)」というものがあったと書いていた記憶がある。まさに「みっともなくてしゃーねーな」だ。

 レジーム・チェンジ(regime change)という言葉が使われているが、ここが日本語のいい加減なところ(良い意味でも悪い意味でも)と言うべきか、「体制転換」と「政権交代」の2つの訳し方がある。政権が交代することはトランジション(transition)という言葉が使われることが多く、レジーム・チェンジは体制転換が主な意味である。比較政治学の世界、特に最近では、体制転換とは多くの場合、非民主的な体制から民主的な体制に転換するということを意味する。民主化(democratization)という言葉にもなる。民主化には、「非民主政治体制の崩壊(breakdown of nondemocracies)」、「民主政治への意向(democratic transition)、「民主政治の確立(democratic consolidation)」という段階を踏む。

 サミュエル・ハンチントンは『第三の波―20世紀後半の民主化』(原著1991年、翻訳1995年)という著書の中で、世界規模で見ると、世界はこれまで民主化の波(wave of democratization)と民主化の引き波(reverse wave of democratization)を繰り返しており、1974年のスペインとポルトガルでの民主化から第三の民主化の波が始まったとしている。民主化は多くの場合、その国の国民の自発的な動きという装いがなされるが、多くの場合、外国、特にアメリカの介入によって引き起こされている。

 こうした内容は拙著『アメリカ政治の秘密』で説明した。このブログを読んでいる皆さんが私の本に全く興味を持っていないということはよく分かっているので、内容をかいつまんで書いた。愚痴を言うと、まぁこれだけ情報や分析を書いても私の本の売上にはつながらない(アマゾンでの順位を見る限り)というのは、よほどケチで情報をただ見して恬として恥じない方が読んで下さっているんだろうことが分かる。考えや感性は人それぞれなのでそれはそれで構わないが、自分がやっていることとは何なのか、徒労感がおおきくなっている。全部は自己満足であり、ただ書いておきたいということでもあるのだが。以上、愚痴でした。

 噺を戻すと、ジョー・バイデンの外交音痴ぶりと頭の悪さにも驚かされる。あれだけの政治経験があり、連邦上院議員時代には外交委員長も務めたはずなのに、言葉が軽く、非常にハラハラさせられる。アメリカの終わりの始まりを象徴するにはこれ以上ないじんぶつではあるが。

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●「バイデン米大統領、プーチン氏巡る発言で釈明-同盟国からも苦言」

3/28() 7:25配信

Bloomberg

https://news.yahoo.co.jp/articles/b95b0090081cc6feaaaed6a3b861ae53580f4357?page=2

バイデン氏は、インフレ高進、ガソリン価格急騰、経済アジェンダの議会での行き詰まりなど、11月の中間選挙を前に国内の課題が山積している。そうした中で危険を招きかねないプーチン大統領との対立をさらにあおることはリスクを伴う。

バイデン氏の発言に対するロシア大統領府の公のコメントはほとんど出ていない。ただ、米国と同盟国はウクライナ侵攻をやめさせるだけではなく、プーチン政権の排除も目指しているとするロシア側の主張を後押ししかねないと、欧州の同盟国は警告した。

マクロン仏大統領は「言葉や行動で事態をエスカレートさせるべきではない」とフランスのテレビで発言。ザハウィ英教育相も、プーチン氏の将来は「ロシア国民が決めることだ」と述べた。

米外交問題評議会(CFR)のリチャード・ハース会長はツイッター投稿で、バイデン氏の発言が「難しい状況をさらに難しくし、危険な状況をさらに危険にした」と指摘。大統領はダメージの修復に動く必要があると述べた。

NBCニュースの世論調査によると、バイデン氏の支持率は欧州訪問前に過去最低の40%に低下。ウクライナ情勢に対するバイデン氏の対応を大いに信頼すると回答したのは12%にとどまった。80%余りはウクライナでの戦争が核兵器の使用につながるのではないかと心配しており、74%は米国がウクライナに戦闘部隊を派遣する可能性を懸念している。調査は成人1000人を対象に1822日に行われ、誤差率はプラスマイナス3.1ポイント。

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●「演説草稿になかった「権力の座に」発言 直後に波紋、軌道修正の実情」

3/27() 8:32配信

朝日新聞デジタル

https://news.yahoo.co.jp/articles/0950b1dcba7ce624c251e773770a5959b031d6e4

 ロシアのウクライナ侵攻をめぐり、バイデン米大統領は26日、訪問先のポーランドの首都ワルシャワで演説した。バイデン氏は「非難されるべき人物は、ウラジーミル・プーチンだ」などとロシアのプーチン大統領を厳しく批判したうえで、「この男が権力の座にとどまり続けてはいけない」と語った。

 バイデン氏は演説で、「帝国を再建しようと決心している独裁者であっても、人々の自由に対する愛を消し去ることは決してできない。ウクライナはロシアに絶対に敗北しない」と強調。「我々には民主主義に根差した明るい未来がある」と述べたうえで、プーチン氏について「権力の座にとどまり続けてはいけない」と語気を強めた。

 バイデン氏のこの発言は、米政権がプーチン政権の体制転換を目指しているとも受け取られかねず、演説直後から波紋が広がった。ロシアのペスコフ大統領報道官は、ロイター通信の取材に対し、プーチン氏が権力の座にとどまり続けるかどうかについては「バイデン氏が決めることではない。ロシア大統領はロシア人によって選ばれる」と反発した。

■「第3次世界大戦を招きかねない」

 米政権はウクライナを軍事支援しているものの、ロシアと直接対峙(たいじ)すれば第3次世界大戦が起きかねないとして米軍をウクライナに派遣していない。プーチン政権の体制転換も目指していないのが実情だ。

 波紋を広げた演説の直後、米ホワイトハウス当局者は声明を発表し、「バイデン氏の論点は、『プーチン氏は彼の隣国や地域で権力を行使することは許されていない』という点だった。バイデン氏は、プーチン氏の権力や体制転換について話していない」と軌道修正を図った。

 米メディアによると、バイデン氏の「この男が権力の座にとどまり続けてはいけない」という発言は、事前に用意されていた演説草稿にはなかったという。バイデン氏が故意で発言したのか、失言したのかは不明だが、ロシア側に「米政権はロシアの体制転換を図っている」という口実を与え、今後政治利用される恐れがある。

 バイデン氏は最近、プーチン氏への非難を強めており、「人殺しの独裁者」「悪党」「戦争犯罪人」と発言している。26日の演説に先立ち、ウクライナから逃れた難民たちが滞在しているワルシャワ国立競技場を訪問した際も、プーチン氏を「虐殺者(butcher)だ」と非難した。

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 古村治彦です。

 ロシアによるウクライナ侵攻によって世界は戦時管理体制に入っていく。戦時管理体制とは物資の配給も含めた統制経済ということだ。これは先進諸国では起きないだろうが、アフリカ諸国や中東諸国では食料を国民に行きわたらせるために、配給ということにもなりかねない。戦時中の日本やイギリスなどと同じような状況になっていく。戦争当事国であるロシアやウクライナでもそのようになっていくだろう。このような状況では食料を含む実物資産を生産している国々が相対的に強くなるが、そうした国々の多くは対ロシア制裁に慎重であり、この点で非常に懸命な動きをしていると考える。先進諸国は対ロシア制裁を主導しているが、そのためにそれぞれの国内に住む人々に物価高らスタグフレーションへというリスクを負わせることになっている。

これまでこのブログでもご紹介したように、ロシアはカナダと並んで安価な肥料の輸出大国であり、ロシアに対する制裁は世界規模での農業生産にも影響を与える。そもそも食料不足が予想されるからと言って、食料生産を急に倍増させるということはできない。耕作地には限界があるし、肥料が足りないとなれば収穫予想はそこまで増えない。そうなれば食料不足は世界規模で申告は問題になる。日本では食料品の価格が上昇していくことは確実で、これに石油の価格上昇も加われば、その上昇幅はより大きくなる。生活に困窮する人の割合が更に大きくなっていくだろう。

対ロシア制裁に慎重な国々が多く存在するのは当然のことだ。今はウクライナ国民支援で寄付金や義捐金が日本国内でもどんどん集まっているが、日本国民でそのような義捐金を上げたくても上げられないそんな人の数がこれからどんどん増えていく。そして自分たちが寄付金や義捐金を貰わねばならないという人たちも多くなっていく。更に言えば、石油価格の高騰によって全ての財の価格が上がっていく。全ての財には物流コストが含まれる。それを抑えようとすれば結局人件費を抑制するしかなくなる。そうなれば物価は上がっていくが賃金は上昇しないというスタグフレーションということになる。これまでは、賃金は上がらないが物価も上がらないというデフレーションの状況が平成時代から30年近く続いた。しかし、これからはコストプッシュ型インフレーションによるスタグフレーションの懸念が高まる。

 私たちはウクライナ戦争から遠く数千キロ離れた日本に暮らしている。しかし、既に戦争に巻き込まれている。戦時体制に組み込まれている。寄付や義捐金を直接払わなくても戦争によるコストを負担している状況だ。私たちはいつまでこの状況に耐えられるかだが、スタグフレーションに陥ってしまえば耐乏生活も長くは続けられない。

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●「最大1300万人栄養失調の恐れ 小麦などの価格高騰、供給不足で」

3/25() 15:53配信 共同通信

https://news.yahoo.co.jp/articles/dff9e81fb5643869147b9c01bd0fb5e865ba970b

 ロシアのウクライナ侵攻による混乱で小麦などが供給不足に陥り、202226年に世界で最大1300万人が栄養失調になる恐れがあることが国連食糧農業機関(FAO)の試算で25日までに明らかになった。小麦価格は2割超上昇する可能性があり、FAOは「一刻も早く農民が平和に働けるように助けてほしい」と戦闘の終結を訴えている。

 先進7カ国(G7)は24日、ベルギーで開いた首脳会合で、世界的な食料危機の予防・対応のために行動することを盛り込んだ声明を採択。FAOに対し、臨時理事会の開催を要請することを決めた。

 ロシアとウクライナ両国は、農業大国として知られる。

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ロシアによるウクライナ侵攻に伴う食糧不足の「真の」リスクをバイデンが警告(Biden warns of 'real' food shortage risk over Russia's invasion into Ukraine

アレックス・ガンギターノ筆

2022年3月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/599678-biden-warns-of-food-shortage-from-russias-invasion-into-ukraine

ジョー・バイデン大統領は木曜日、ロシアによるウクライナ侵攻を理由とする世界規模での食糧不足に警告を発し、潜在的な危機を防ぐための措置を発表した。

バイデン大統領は現在NATO諸国の指導者たちと会談を続けているブリュッセルにおいて記者会見を開き、「私たちは食料不足について話をした。そしてそれは現実に起こるだろう。ロシアに対する制裁の代償は、ロシアだけでなく、ヨーロッパ諸国や我が国を含む非常に多くの国々にも科せられている」と述べた。

例えば、ロシアとウクライナは共に小麦の供給国であるが、バイデン大統領は、アメリカとカナダも主要な小麦生産国であることを指摘した。

バイデン大統領は3月24日、ヨーロッパ連合(EU)のウルスラ・フォン・デア・ライエン大統領との共同声明で、食料危機を防ぐため、世界の食料安全保障を高め、必要な場合には直接食料援助を行うために、ヨーロッパ連合と協力し、努力を強化する意向を表明した。

バイデン大統領は、NATOの指導者たちが、ヨーロッパ諸国をはじめとする全ての人々に、「食料を海外に送る際の制限に関する貿易制限を終わらせるよう」促すことについて話し合ったと述べた。

バイデン大統領は、「アメリカと同盟諸国は、インフレーションの上昇と長引くサプライチェインの問題の中で、食糧不足の懸念を軽減する方法を模索している最中だ」と述べた。

バイデン政権高官たちは、ロシアの侵攻が特に中東とアフリカの食料安全保障を危うくする恐れがあると警告した。

政権高官たちは木曜日朝、「ロシアによる侵略戦争は、黒海地域からの重要な農産物の供給を中断させる恐れがあり、世界の食料安全保障、特に中東とアフリカの脆弱な人々のための食糧安全保障を危うくする」と述べた。

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