古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

2023年02月

 古村治彦です。

 日本の外交官の最高の出世は外務事務次官になって駐米大使になることだと聞いたことがある。世界各国の大使(ambassador)になるだけでも大変なことで、また、その手当なども大変な額で、数カ国の大使を務めれば都内の一等地に豪邸が建つということだそうだ。
 大使というのは海外で自分が属する国を代表する存在であり、特命全権大使(ambassador extraordinary and plenipotentiary)と正式には呼ばれるが、この大使の判断で戦争も始めることができる。西側の先進諸国ではほとんどの場合、職業外交官が昇進して大使に週にすることになるが、アメリカでは政治任用(political appointment)で大使になることが多い。

 駐日本アメリカ大使について見てみれば、職業外交官出身ではなく、古くは副大統領、連邦下院議長などを経験した大物政治家が就任しているし、エドィン・O・ライシャワーのような学者も登用された。現在のラーム・エマニュエル大使はバラク・オバマの側近で、2008年の米大統領選挙でオバマ陣営を取りまとめ、オバマ政権1期目前半では大統領首席補佐官を務め、それからオバマの本拠地シカゴの市長を務めた。

 下の記事では、ジョー・バイデン政権における政治任用の大使たちがどれくらいの献金を民主党とバイデンにしてきたかということをテーマにして記事にしている。これはバイデン政権だけではないのだが、歴代政権では、大口の献金者たちがアメリカ大使に登用されてきた。その割合はドナルド・トランプ政権では4割以上、オバマ政権で3割以上だったということだ。バイデン政権も同様に3割が政治任用だ。

 猟官制度(spoils system)とは公職の登用を政治的な理由でおこなうことだ。選挙で政権が変わると公務員が交代するということを意味する。アメリカでは民主、共和両党で政権交代(大統領の交代)が頻繁に起きるが、その度に公務員(幹部クラス)が交代になる。それはアメリカ大使にも及ぶ。その際に、選ばれる人物は各党に多大な「貢献」をした人物ということになる。その貢献とは具体的には政治献金ということになる。「spoils(スポイルズ)」とは英語で「獲物」という意味である。献金の「獲物」が大使職ということになる。

(貼り付けはじめ)

それで、あなたは大使職を買いたいのですね(So You Want to Buy an Ambassadorship

-アメリカ合衆国政府は西洋諸国の政府で唯一、最高の外交官職位で巨額の献金者たちを報いる政府である。

ロビー・グラマー筆

2023年1月24日

『フォーリン・ポリシー』誌.

https://foreignpolicy.com/2023/01/24/campaign-donor-ambassadors-biden-diplomacy/

それで、あなたはアメリカの大使職を買いたいのですね?大きく言って、そのためには2つの方法がある。

1つ目は、政策や外交の分野でキャリアを積み、外交に関わる経験をたくさん積むことだ。2つ目は、お金を持つことだ。多くの資金を保有することだ。

大統領選挙に出馬して戦うためには実に巨額の費用がかかる。両党の大統領選挙候補は、選挙運動を支えるために大規模な資金調達マシーンを必要とするが、その必要性はより高まっている。共和党政権でも民主党政権でも、大統領選挙候補に直接寄付をしたり、当選した大統領候補のために何十万ドル、何百万ドルもの資金を集める手助けをしたりする、「取りまとめ役(bundlers)」と呼ばれる懐の温かい選挙資金提供者たちを利用し、その見返りとして大使のポストを提供するというパターンが最近になってできている。

歴代政権は、これらの巨額の寄付をして大使職を手にした人々について、外交政策の分野以外の、慈善事業、金融、ビジネス、政治、その他のキャリアを通じて必要なスキルや経験を持っていると主張してきた。

元外交官を含むこの慣行に対する批判は、「薄っぺらな」汚職の一形態であると考えられている。

ジョー・バイデン米大統領は、ドナルド・トランプ前大統領ほどではないにせよ、巨額の政治資金寄付者たちを大使のポストに起用する傾向を続けている。2020年の選挙期間中において、大統領選挙民主党予備選挙に出馬した、ある候補者はこの慣習を完全に禁止するよう求めた。

トランプ時代の大使の約44%は政治任用者(political appointees)であり、その多くは懐の温かい選挙資金提供者たちであるのに対し、バラク・オバマ前米大統領時代は約31%、ジョージ・W・ブッシュ前米大統領時代は32%だった。バイデンは、政治任用大使の数を全体の30%程度に抑えると述べている。この慣行は、米国務省内でしばしば摩擦や怒りの種となっている。何十年も外交政策に携わってきたキャリアある外交官が、ハンドバッグの企業家や昼のメロドラマのプロデューサー、自動車ディーラーのオーナー、あるいは超富裕層の選挙資金提供者とたまたま結婚したコンサルタントなどに道を譲られ、大使としての重要な任務に就くことがある。

政治任用の献金者大使とキャリア外交官大使のどちらが優秀かについては、最も不満のあるキャリア外交官でさえもそのように述べているが、明確な答えはない。政治献金者大使の中には、ホワイトハウスとの密接な関係や、国務省のキャリア外交官大使にはほとんどない政治的コネクションを持ち、結果的に非常に有能で、外国政府から求められている人さえいる。それに比べ、キャリア外交官の中には、何十年も経験を積んで、最も人気のある上級職に就いたにもかかわらず、大使のポストで苦労している人もいる。

しかし、巨大な資金提供者に大使のポストを与えるというのは、他の西側諸国の政府にはない慣習であり、中国の台頭によりアメリカが紛れもないグローバルリーダーとしての役割から脱落するにつれ、より厳しく問われている。寄付者たちは通常、西ヨーロッパ、南アメリカ、カリブ海諸国の国々で知名度の高い重要な大使の任に就くが、キャリア外交官はサハラ以南のアフリカ、中東、中央アジアでそれほど重要でない任に就くことが多い。

ワシントンの最も近い同盟国は、この話の対照的な部分を提供している。最も重要な外交ポストである駐ワシントン大使あるカレン・ピアスは、40年以上にわたってイギリスの外交官を務め、過去には国連大使やアフガニスタンとパキスタンの特使を務めた。アメリカの駐英大使ポストには、投資銀行家、石油会社幹部、元提督、自動車ディーラーのオーナー、大統領の側近、億万長者の相続人などが就任してきた。アメリカはこれまで、外交官として本格的に駐英大使を務めたのは1人だけである。それは、レイモンド・サイツで、1991年から1994年まで在英大使を務めた。

『フォーリン・ポリシー』誌は、バイデンへの主要な寄付者が大使に任命された5カ国を調べるために、非営利の透明性専門団体「OpenSecrets.org」を通じた情報公開と選挙寄付の書類を精査し、彼らが寄付した既知の金額を合計したものである。

簡略化のため、2017年から2020年の選挙期間中において、各大使が民主党またはバイデンの選挙運動に直接寄付した確認金額のみを取り上げた。可能な限り、また情報が入手可能な場合に、本誌は過去20年間の民主党や選挙運動に寄付された、政治活動委員会(PAC)を通じて送られた、または取りまとめられた資金に関する情報を含め、さらなる内容を追加した。

注意点:アメリカの政治制度における選挙寄付は複雑なため、個人がいくら寄付したかを評価することが難しいケースがある。寄付者は、個人として候補者の選挙運動に直接寄付したり(法律で厳しく制限されている)、大統領の選挙運動を支援するPAC、無制限の政治支出を行えるいわゆるスーパーPAC、地方や国レベルの大統領の政党、あるいは大統領の就任初日に行われる豪華なイベントのための大統領就任資金にさえ寄付したりする。また、これらの寄付は大使の配偶者の名前で行われたり、個人として関連団体を通じて行われたりすることもある。

それでもバイデン政権は、他の政権と同様、大使のポストを「売り込む」のではなく、海外の適材適所をマッチングさせると主張している。バイデンは選挙期間中に「私は可能な限り最高の人材を任命する。誰も、実際には、彼らが貢献したものに基づいて、任命することになるだろう」と約束した。

ホワイトハウスの報道官は『フォーリン・ポリシー』誌に対し、バイデンは「世界中で私たちの外交政策課題を遂行する大使を選ぶことを非常に真剣に受け止めている」と述べ、以下の人物を含め、彼の選んだ全ての大使たちは「彼(バイデン)が長年共に働き、信頼してきた経験豊かな人物」であると特徴づけた。

ホワイトハウス報道官はまた、バイデンが大使に任命したキャリア外交官以外の大使の例として、トルコ大使には元米連邦上院議員のジェフ・フレーク、NATO大使には大西洋横断安全保障の専門家であるジュリアン・スミスを任命したことを挙げた。

それでも、バイデンが大使に選んだ他の20人近くは、「偶然にも」民主党に多額の資金を集めたり寄付をしたりした人々である。バイデン時代の大使のポストに値札をつけるとしたら、以下のようになる。

●スイス:41万9200ドル

バイデン政権のスイス大使であるスコット・ミラーとその夫は、2020年のバイデン当選を支援するファンドに36万5000ドルを寄付し、ミラー自身も2017年から2020年にかけて、民主党とバイデンの選挙運動に合計5万4200ドルを直接寄付していることが、各種報道と「OpenSecrets.org」の選挙寄付データから判明した。しかし、ミラーと夫の合計では、2010年以降、民主党の候補者や活動に対して約360万ドルを寄付している。ミラーは、デンヴァーに本拠を置くUBSウェルス・マネジメント会社の元副社長である。また、夫のティム・ギルは、LGBTQの権利に関する主要な活動家であり、慈善家でもある。2016年には、当時の民主党大統領候補ヒラリー・クリントンの選挙を支援するために、約110万ドルを寄付している。ミラーは2021年12月にバイデン政権のスイス大使に就任することが決定した。ホワイトハウスの報道官は、大使に指名された理由として、ミラーの「LGBTQ擁護活動や慈善活動のキャリア」を挙げている。

●イギリス:65万6980ドル

バイデンは、長年の民主党献金者で元駐フランス米大使のジェーン・ハートリーを駐イギリス米大使に起用した。「OpenSecrets.org」の選挙寄付データによると、ハートリーは2017年から2020年の選挙期間中において、民主党に64万5780ドルを寄付し、同時期にバイデンに特に1万1200ドル寄付した。しかし、この数字は、ハートリーが全体としてどれだけの資金を民主党に送金したり、取りまとめたりしたかを完全に網羅している訳ではない。バイデンが副大統領を務めていた2007年から2012年の間に、彼女はオバマの選挙運動のために約220万ドルを集めたと報じられた。ハートリーはバイデン政権では数少ない上級外交官の経験を持つ政治任用大使であり、ホワイトハウス報道官は彼女をロンドンでのポストに指名したバイデンの決定を擁護するためにこの点を挙げた。キャリアを通じて民主党、企業放送会社、コンサルティング会社で働いたハートリーは、2014年から2017年までオバマ大統領の駐フランス・駐モナコ大使を務めた。

●カナダ:51万4378ドル

コムキャストの元トップ幹部でロビイストのデイヴィッド・コーエンは、フィラデルフィアの政治と慈善活動で長年活躍していた。「OpenSecrets.org」のデータによると、2017年から2020年の選挙期間中で、コーエンは民主党とバイデンに51万4378ドルを寄付した。

ただし、この数字は上限ではなく下限であり、コーエンはバイデンの2020年の選挙運動のために、大統領選挙のために少なくとも10万ドルの資金調達に協力した個人のリスト、トップ「取りまとめ役」800人の1人としてリストアップされているが、彼がバイデンのためにどれだけの追加資金を取りまとめたかは明らかではない。

●ケニア:91万7599ドル

メグ・ホイットマンは、かつて『フォーブス誌』の「世界で最もパワフルな女性100人」に選ばれたこともある元企業トップで、現在、アフリカで最も経済力があり外交的に重要な国の1つとされるケニアにおいてバイデン政権下で大使を務めている。「eBay」とヒューレット・パッカードの元CEOであるホイットマンは、かつて共和党の献金者であり、2010年にカリフォルニア州知事選に共和党から立候補したが、トランプと大統領選挙の共和党候補者決定を否定し民主党への支援に切り替えた。2020年のホイットマンは、共同募金委員会である「バイデン勝利基金」に50万ドルを寄付し、それとは別に2017年から2020年の選挙期間中に民主党とバイデンに直接41万7599ドルを寄付した。

ホワイトハウスの報道官は、カナダのコーエン、ケニアのホイットマンの両氏について、「ビジネスにおける優れたキャリアと、海外でのアメリカの経済利益を促進する能力を持ち、それが大使職への抜擢に大きく影響した」と述べている。

●アルゼンチン:14万8630ドル

バイデンは、ダラスの著名な弁護士であるマーク・スタンレーをブエノスアイレスの大使に選んだ。『ダラス・モーニング・ニューズ』紙によると、スタンレーとその妻ウェンディは過去20年間に少なくとも150万ドルを民主党に寄付し、募金活動や選挙寄付の肝いりを通じてバイデンや他の民主党候補の主要な肝いりとして活動してきた。スタンレーはまた、バイデンの2020年大統領選挙の「バイデンのために働く法律家たち(Lawyers for Biden)」という部門を率いて、弁護士の組織化を支援し、大統領の選挙運動のために法的サーヴィスを担当した。2017年から2020年の選挙運動の期間中、スタンレーは民主党に14万8630ドルを直接寄付している。ホワイトハウスの報道官は、スタンレーがバイデンのアルゼンチン大使に選ばれたことについて、「40年にわたる一流の弁護士およびユダヤ人擁護者としてのキャリアを評価した」と説明している。

※ロビー・グラマー:『フォーリン・ポリシー』誌外交・国家安全保障担当記者。ツイッターアカウント:@RobbieGramer

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 旧聞に属する話で申し訳ないが、ジョー・バイデン大統領の首席補佐官ロン・クレインが退任し、後任にジェフ・ザイエンツが就任した。就任日は2月8日だ。ロン・クレインはバイデンとの関係が深かったが、ザイエンツはそこまでではない。クレインの後任には、ここは史上初の女性起用で行くべきだ、スーザン・ライス国内政策会議委員長やバラク・オバマ政権で大統領次席補佐官を務めたアリッサ・マストロモナコの名前が取り沙汰されていた。しかし、結局のところ、ジェフ・ザイエンツが大統領首席補佐官に就任した。
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クレインとバイデン
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バイデンとザイエンツ

 大統領首席補佐官は政権運営の要であり、最重要ポジションと言ってよいだろう。日本で言えば官房長官のようなものだ。大統領首席補佐官の事務室は大統領執務室のすぐ隣にあり、首席補佐官の前を通らなければ大統領執務室には入れない。政権課題の進め方とそれに関連して、連邦議会の民主、共和両党幹部との折衝など政治的手腕が問われるポジションだ。ロン・クレインは剛腕ぶりで知られてより、連邦議会共和党幹部からは「クレインが実質的に政権を動かしていてバイデン大統領はお飾りだ」と批判され、「総理大臣」と悪口を込めて呼ばれていたほどだ。

 前任者のロン・クレインと現職のジェフ・ザイエンツをつなぐ要素は、スーザン・ライスである。スーザン・ライスとロン・クレインの関係は拙著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』(秀和システム)で書いている通り、バラク・オバマ政権時代に、アフリカでエボラ出血熱の大規模感染が広がり、アメリカ国内でも感染者が確認された時まで遡る。国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めていたスーザン・ライスは、エボラ出血熱担当調整官としてロン・クレインを起用するように、オバマ大統領に求め、二人三脚でエボラ出血熱対応に当たった。その時の経験もあり、クレインはバイデン政権で大統領首席補佐官に就任した。国内政策委員会委員長兼大統領補佐官であるライスとまた一緒に仕事をすることになったのだ。
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スーザン・ライスとバイデン

 ザイエンツについては期せずして、下の論稿に次のような記載がある。

「教育とヘルスケアのコンサルティング会社アドヴァイザリー・ボード・カンパニーの会長兼CEOとしてビジネスで財を成した。それ以来、アメリカ政府への出入りを繰り返している。最近では、バイデンの新型コロナウイルス対応共同責任者としてワクチンの普及を担当していた。ザイエンツはクレインの政治経験には及ばないが、決してアウトサイダーではない。彼は、スーザン・ライスと同じようにワシントンD.C.で育ち、幼い頃からお互いを知っている。ザイエンツはバイデンの大統領首席補佐官として採用されるほどバイデンのことをよく知っているが、より大きな試練は、大統領が聞きたくないことを伝えられるだけの信頼を得られるかどうかであろう」

 このように、ザイエンツもまたスーザン・ライスと親しいということになる。新型コロナ対策が一段落してクレインは退任し(家族との時間や介護を理由にしている)、選挙に向けてザイエンツが就任した形になっている。しかし、実質的にはスーザン・ライスが指揮を執っていると考えた方が自然だ。

 ここからは私の予想であるが、バイデン政権は二期目の当選をどうしても果たさねばならない。それは、単純に言って、「大統領の犯罪行為(ノルドストリーム・パイプライン破壊やウクライナへの関与)を隠し通さねばならない」からだ。そうしなければバイデンだけではなく、その手下たち(権力者共同謀議に参加できるレヴェル)が逮捕されてしまうからだ。バイデンは再選のためにはなりふり構わず様々な手段を取って当選するだろう。

アメリカ大統領は二期目で終わりとなるから、バイデンはさらに年齢を重ね、判断力も体力もなくなっていき、お飾り状態になるだろう。その時に実質的に国家を動かすのはライスではないかと考える。現在の国家安全保障問題担当大統領補佐官であるサリヴァンは、ライスにしてみれば格下の人物だ。また、サリヴァンはまだ若いので次の出番がある。

 ライスは連邦議会の承認が必要な地位に就くのは難しい。それはベンガジ事件の際にみそを付けたからだ。ホワイトハウスの人事は大統領が決められるので、ライスが国家安全保障問題担当大統領補佐官や大統領首席補佐官に横滑りし、サリヴァンが国務長官になるということも考えられる。

 ライスという人物が非常に重要であると私は考える。

(貼り付けはじめ)

ロン・クレインがホワイトハウスで学んだこと(What Ron Klain Learned in the White House

-退任を表明したジョー・バイデンの大統領首席補佐官はゆっくりとした専門知識の蓄積を示すケーススタディだ。

エヴァン・オスノス筆

2023年2月1日

『ニューヨーカー』誌

https://www.newyorker.com/news/daily-comment/what-ron-klain-learned-in-the-white-house

ホワイトハウスの大統領首席補佐官(White House Chief of Staff)が果たしている役割について、ほとんどのアメリカ人はほぼ何も意識していないが、このポジションはワシントンで最も強力であり、最も脆弱なポジションの1つである。ロナルド・レーガン大統領とジョージ・HW・ブッシュ大統領の大統領首席補佐官を務めたジェームズ・A・ベーカー3世は、「政府の中でおそらく最悪の仕事」と呼んだが、彼は歴代の大統領首席補佐官の中で最も成功した1人だと考えられている。(最も成功しなかったのは、ドナルド・トランプの4人の悩める大統領首席補佐官の最後の1人で、その在任中にはトランプが2020年の選挙を覆そうとしたこともあり、1月6日の議事堂襲撃に関する証言を拒否したマーク・メドウズかもしれない)

バイデン政権の最初の2年間、大統領首席補佐官室(ウエストウィングの角部屋)の主はロン・クレインであった。クレインは弁護士で郊外に住む3人の子供の父であり、有名人ではないが、ワシントンでの権力の使い方を知り尽くしているロン・クレインのものであった。バイデンの長年の側近で、現在はホワイトハウスの上級顧問を務めるマイク・ドニロンは、クレインについて「私にはない、また他の何人も知らない、政府のレヴァーを動かす能力を持っている」と評した。バイデン大統領の任期中、連邦議会との格闘、トランプ主義、アフガニスタン、ロシアのウクライナ侵攻など、クレインの担当は広範囲に及び、共和党は彼を総理大臣(prime minister)と呼んだほどである。先週金曜日、クレインが2月8日に退任する準備をしているとの報道を政権が認めた。

クレインはバイデン政権と密接な関係にあり、彼の在任期間を評価することは、バイデン政権の文化、作戦、功績、敗北を評価することと切り離せない。『ニューヨーク・ポスト』紙の右寄りの編集部は、「ジョー・バイデン大統領の悲惨な記録を白紙に戻し、国民を欺くことにかけては、クレインに右に出る者はいない」という理由でクレインの退任を祝った。

ホワイトハウスの大統領首席補佐官の在任期間は平均して1年半だが、難解な統計に精通しているクレインは2年の間そのポジションにとどまり、民主党から出ている大統領の初代大統領首席補佐官として最長の任期を務め、退任の発表直後にウェストウイングで会った私に、「大統領の人気の前半部を走り抜けた」ことを強調した。彼はまた「また、母が病気で、週6日ここで働き、毎週日曜日の朝にはインディアナへ帰るという生活を続けている。それが、ちょっと重荷になっていたのは事実だ」と述べた。

61歳のクレインは、濃い黒髪に終身在職権を手に入れた教授のような体格、そしてワシントンの不条理(absurdities)に対するユーモアのセンスを持っている。オフィスにある火のついていない暖炉を指さして、「マーク・メドウズが書類を燃やした場所だ」と言った。(メドウズの元側近キャシディ・ハッチンソンは、1月6日の議事堂襲撃事件検証委員会で、彼がそこで書類を燃やすのを「たぶん十数回」見たと証言した。)クレインは、「私は一度も火をつけたことはない」と付け加えた。政権によっては、大統領首席補佐官に対して陰口を叩かれることもある。クレインの退任の知らせに惜別と褒賞の声が上がったのは特筆すべきことだ。バイデンの国内政策会議の責任者であるスーザン・ライスは、「私はこれまで9人の大統領首席補佐官の下で働いてきた。そして、そのうちの1人が言ったように、ロンはその中で最高の大統領首席補佐官だった。一分一秒が甘美で明るいという訳ではないが、彼はとても優秀な人物だ」と述べた。

クレインは、鋭い人物であり、反対行動を取りたがる人物である。バイデンの国家安全保障問題担当大統領補佐官ジェイク・サリヴァンは、「彼は、“お前はしくじった”と言ってくれる。しかし、決して意地悪でも小馬鹿にしたような言い方はせず、本当のことを言う」。最も重要なことは、他の人が臆病になるような場合でも、バイデンには大胆に対応することだ。バイデン大統領は、その公的な人格が反映するよりもスタッフに厳しい態度を取ることがある。クレインは、ホワイトハウス内で大統領と正面からぶつかっても首を切られない数少ない人物の1人だ。

米連邦議会では、民主党と共和党の間は僅差であり、民主党の間に深い溝がある。そうした中でクレインは何十年も前からの人脈を駆使してきた。クレインがチャック・シューマー連邦上院議員(連邦上院多数党[民主党]院内総務)と初めて会ったのは1980年代で、シューマーがニューヨークから連邦下院議員に当選したばかりの頃で、クレインは連邦上院のスタッフだった。シューマーが連邦上院多数党(民主党)院内総務に就任したこの2年間は、1日に3、4回話すこともあったということだ。クレインは直接的でかつ冷静ということでシューマーからの尊敬を勝ち取っている。シューマーは「彼(クレイン)は、誰かがバカなことをやっていると、すぐにそれについて厳しい言葉を述べた。しかし、時折、よく考えてみたが、私の言ったことは正しいとは思えないと言い直すこともあった」と語った。

クレインは、若手政治家たちを指導したことでも知られている。2017年、カリフォルニア州選出でプログレッシブ議連のメンバーであるロウ・カンナ連邦下院議員(民主党)がワシントンに来た際、クレインは彼をコーヒーに連れ出した。カンナはその時のことを次のように述べた。「私は“ワオ!"と思った。どれほど凄いことなんだと考えた。そして、彼が首席補佐官になった後、ロンが他の60人、70人と一緒にそれをやっていたことを知った」。カンナはそれを教訓にした。カンナは「議員になってから、良くも悪くもヴィジョンは重要だが、人間関係も非常に重要だということを認識した」と述べた。

アメリカ人は、「スミス都へ行く(Mr. Smith Goes to Washington)」という神話を好むが、実際には、現代のスミスはアメリカ内陸部ではなく、ゴールドマン・サックスの出身であることがほとんどだ。それとは対照的に、クレインは、専門知識をゆっくりと蓄積することのできるケーススタディだ。インディアナポリスで育ったクレインは、1968年初め、配管工事を営むクレイン家を訪れたボビー・ケネディとの出会いをきっかけに、政治の世界に引き込まれた。ジョージタウン大学を卒業後、ハーヴァード大学で法学を学び、バイロン・ホワイト最高裁判事の下で書記官を務めた後、ジョー・バイデン上院議員(当時)が委員長を務める連邦上院司法委員会にスタッフとして所属した。ビル・クリントン政権では、ホワイトハウスの顧問弁護士、司法省、アル・ゴア副大統領の不育大統領首席補佐官として働き、2000年にはフロリダ州での再集計の戦いに携わった。その後、ジョー・バイデン副大統領の副大統領首席補佐官として復興法の支出を監督した後、政権を離れ、3年後にバラク・オバマ大統領の下でエボラ出血熱への対応を指揮するためにホワイトハウスに戻った。

クリントン政権とオバマ政権の間には、オメルヴェニー・アンド・マイヤーズ法律事務所のパートナーや、AOLの共同創業者で億万長者のスティーブ・ケースが立ち上げた投資会社レヴォリューションLLCで、政府以外の民間の仕事にも携わった。長年にわたり、クレインは民主党の大統領選挙候補者討論会の準備を支援することを得意としてきた。2015年、バイデンが出馬しないことを確信した彼は、ヒラリー・クリントンの大統領選挙キャンペーンに参加するために契約した。バイデンの関係者の中には、この動きを不誠実と受け止める者もおり、後に流出した電子メールの中でクレインは「彼らにとって自分は死んだような存在だ」と嘆いたが両者の間にあった溝は埋められた。2016年にトランプに敗れたことも含め、クレインの様々な経験は貴重なものとなり、バイデンの2020年の選挙運動の成功のために助言を行った。

ホワイトハウスにおいてクレインは、バイデン政権の本質的な課題を、宇宙開発、経済、気候、世界における米国の地位といったいくつかの問題に絞り込み、立法と安全保障政策が連動するような方法を模索することに貢献した。在任中の最悪の日は、2021年8月26日、アフガニスタンからの撤退の際、カブール空港の外で起きた爆弾テロで13人の米軍将兵と100人以上のアフガン人が死亡したことだったとクレインは語っている。この撤退はバイデン大統領の転機となり、彼の世論調査での支持率は低下し、新型コロナウイルス感染拡大やインフレに対する不満がさらに重荷となり、完全に回復することはなかった。当時、バイデンとクレインは、国家安全保障のリーダーシップを揺るがす圧力に抵抗していた。サリヴァンは、クレインについて次のように述べた。「単によく思われたい、高い評価を得たいと思って仕事をしていいなかったのだろう。長い目で見ようと思っていたのだろう。彼は、私たちがしてきたことに確信を持っていた」。

アフガニスタンからの撤退からほんの数カ月の後、バイデン政権はさらに大きな危機に直面することになった。ロシアのウクライナ侵攻である。しかし、ウクライナはNATOの支援を受けて抵抗し、これが政権のぼろぼろになったプライドを支える要素となった。

一方、連邦議会では、民主党の内紛が激化していた。2021年秋、連邦上院の民主党穏健派が社会政策法案を成立させないのではないかという疑念から、連邦下院の民主党進歩派が超党派のインフラ法案への支持を留保したことが、その最たるものだった。バイデンの最初の2年間を描いた新刊『彼の人生における戦い(The Fight of His Life)』(クリス・ウィップル著)によると、ホワイトハウスは無様な姿になり、クレインは辞任を考えたということだ。その代わりに、彼はもう一度、古い人間関係に目を向けた。カンナは、クレインが「もう十分ではないか」と言い、自分に助けを求めてきたと述べた。

カンナもそう思った。私は、『ロン、私は、テレビ番組のフェイス・ザ・ネイションに出るつもりだ。私は進歩主義議連の主張から外れて、インフラ法案に賛成投票すると言うつもりだ。バイデンは、より多くのリベラル派に法案を支持するよう懇願し、その結果、2021年11月にホワイトハウス南庭で行われた式典で法案に署名した。その後、バイデン政権の野望を脅かすような緊迫した交渉が続いた。2021年12月、ウェストヴァージニア州選出のジョー・マンチン連邦上院議員(民主党)が、「ビルド・バック・ベター」法案は予算希望が大きすぎるとして、この法案に難色を示した。マンチン議員とクレインは、ジーナ・ライモンド商務長官の手料理を囲み、最終的に合意に達した。結局、連邦議会は一連の主要法案を可決し、2022年8月には、気候変動対策だけでなく、薬価引き下げを目的としたインフレ抑制法案で最高潮に達した。ドニロンはその法案について、「それまで世界の多くがバイデンは失敗だったと主張しようとしていたのに、成功の感覚を伝えてくれた」と述べている。昨秋の中間選挙では、バイデンは共和党の大勝利の予測を裏切り、民主党は連邦上院で過半数を維持し、中間選挙で失った議席数はジョン・F・ケネディ大統領以降のどの民主党大統領時代よりも少なかった。

こうした業績があるにもかかわらず、バイデンの人気が低いのは何故か、と私はクレインに質問してみた。クレインは次のように答えた。「国民がリーダーに対して非常に厳しくなっている時代だと考えている。ジョー・バイデンの支持率が43%か、その少し上か下の範囲に入っている。G7の中で、イタリアの新首相を除けば、どのリーダーよりも高い支持率だ。人々は二極化しており、反対の人々は、あなたが良い仕事をしているとは決して言わないし、真ん中の人々は、“えーと”と言う方が簡単だ。政治の成功の尺度は中間選挙の結果だ」。

クレインが大統領首席補佐官の仕事で学んだことは、「粘り強く、慌てない」ことだと述べている。クレインが担当した政権の中で、最初の2年間に閣僚が1人も辞めなかったのは、この政権が初めてだということだ。この日、政権の当面の問題は、バイデンの自宅と元事務所で機密文書が見つかった理由を調査する特別検察官であった。クレインをはじめとする補佐官たちは、発見から9週間以上、この文書について何も語らなかったが、その後、その沈黙は司法省の捜査の邪魔にならないようにするためだったと弁明している。この件に関して、何か違うことをしていたらどうだっただろうかと私が質問すると、クレインは「いや、私たちの弁護士、法務ティームが非常に責任を持って対処してくれたと思っている」と答えた。とはいえ、政権が直面しなければならない政治的な問題であることに変わりはない。

今後の2年間、バイデン政権の焦点は、署名済みの法案の実施に移る。連邦下院を共和党が支配し、バイデンは再選を目指す中で、新たな法案成立の見込みは大変に小さくなりつつある。クレインの後任には、オバマ政権で「HealthCare.gov」などの失敗していた政府プロジェクトに取り組み、「ミスター修理人」と呼ばれたジェフ・ザイエンツが就任する予定だ。ザイエンツは以前、教育とヘルスケアのコンサルティング会社アドヴァイザリー・ボード・カンパニーの会長兼CEOとしてビジネスで財を成した。それ以来、アメリカ政府への出入りを繰り返している。最近では、バイデンの新型コロナウイルス対応共同責任者としてワクチンの普及を担当していた。ザイエンツはクレインの政治経験には及ばないが、決してアウトサイダーではない。彼は、スーザン・ライスと同じようにワシントンD.C.で育ち、幼い頃からお互いを知っている。ザイエンツはバイデンの大統領首席補佐官として採用されるほどバイデンのことをよく知っているが、より大きな試練は、大統領が聞きたくないことを伝えられるだけの信頼を得られるかどうかであろう。

バイデンの次の2年間に立ちはだかるより大きな不安は、彼の年齢に関するものだ。先週発表された世論調査では、民主党と民主党寄りの無党派層は、バイデンが再出馬すべきかどうかに関して意見が真っ二つに割れている。しかし、クレインは、政府での仕事が長くなればなるほど、「経験が重要だ」と考えるようになったという。多くの人がバイデンは若手に道を譲るべきだと考えていることも知っている。「その年齢には、多くの経験が伴う。2022年2月には、ウラジミール・プーティンはウクライナを侵略する意図は持ってはいないと言っていた世界の指導者がたくさんいた。そうした中で、バイデンは「彼(プーティン)はウクライナに侵攻するつもりだ、私たちは備える必要がある、同盟を組み立てる必要がある」などと言っていた。これは、彼が時々言葉を間違えるかどうか、原稿を読む時に時々目を細めるかどうかよりも重要な洞察である。

更に言えば、クレインは、「ドナルド・トランプが2024年の共和党の大統領選挙候補者になると信じるだけの理由がある。ドナルド・トランプに勝ったのは1人しかいない、その名はジョー・バイデンだ」と述べた。そして、バイデンの立候補に疑問を持つ人々に対しては、「ジョー・バイデン以外に誰がドナルド・トランプに勝てるのか、ちゃんとした答えを出した方がいい」と述べた。

※エヴァン・オスノス:『ニューヨーカー』誌スタッフライター。最新刊『荒野:アメリカの怒りの進行』がある。

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ホワイトハウスは史上初の女性大統領首席補佐官を登用する機会を失う(White House Misses Opportunity For First Woman Chief Of Staff

エリン・スペンサー・サイラム筆

2023年2月8日

『フォーブス』誌

https://www.forbes.com/sites/erinspencer1/2023/02/08/white-house-misses-opportunity-for-first-woman-chief-of-staff/?sh=4f27faf142c5

任期半ばを迎えたジョー・バイデン大統領は、今週の一般教書演説で、これまでの政権の成果について強調し、更に重要なこととして、今後の展望について演説を行った。木曜日からは、この公約を実現するために、新しい大統領首席補佐官を登用する予定だ。

新型コロナウイルス感染拡大対策の責任者だったジェフ・ザイエンツ(Jeff Zients)がロン・クレインの職場だった場所に移り、ウエストウィングの運営責任が再び1人の男性に委ねられることになる。

ホワイトハウスの大統領首席補佐官という役職は、1946年に正式に創設されて以来、アメリカ政治の中心的な役割を担ってきた。その間に30人の大統領首席補佐官が誕生している。その中には「ジョン」が4人、「ジャック」が2人、「ドナルド」が2人いるが、女性は1人もいない。

政界関係者の間では、大統領首席補佐官の選択は極めて重要なものだと考えられている。大統領にとって最も重要な人事の決定であると考える人もいる。職務の詳細は政権によって異なるが、任命された大統領首席補佐官は大統領の右腕、門番、代理人、そして重要な政策決定過程の監督者として機能する。行政府の中で、ウエストウィングの動向を把握し、大統領に接近することができるのは、間違いなくこの人しかいない。結局のところ、大統領首席補佐官は選挙で選ばれたのではないが大きな力を持ち、誰がその力を持つかによって、ホワイトハウスで優先される課題が決まることが多い。

バイデン政権は「アメリカらしい」ホワイトハウスの重要性を何度も指摘し、そのために初の女性副大統領、初のジェンダーのバランスの取れた内閣、初のホワイトハウス・ジェンダー政策評議会を導入してきた。しかし、アメリカ国内の女性の収入が男性に比べて低く、リプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)に関する法律が全米で急速に変化する中、バイデン政権は大統領首席補佐官に女性を指名しなかった。

このポストに就いた女性はいないが、そのすぐ下の役職である実務担当の次席補佐官には、ごくわずかながら女性が就いてきた。このポストは主に舞台裏で活動するものだが、女性が副官を務めることによる直接的な影響は、よく知られている。

アリッサ・マストロモナコがバラク・オバマ政権の大統領次席補佐官だった際、ホワイトハウスの女性たちは「増幅」作戦を展開した。ある女性が会議で発言すると、別の女性がその発言を繰り返し、誰が最初に発言したかに言及して、その発言が確実に伝わり、正当な評価がなされるようにした。この作戦はすぐに評判となり、ウエストウィングの文化を超えて、アメリカ全土の会議へと広がっていった。

マストロモナコは、史上最年少の女性次席補佐官であり、ウエストウィングの女性用トイレに史上初めて生理用品処理箱を設置させたことでも有名である。「もし、もっと多くの女性を政治に参加させることを真剣に考えるなら、ウエストウィングには基本的な快適さが必要だ」と、マストロモナコは『ワシントニアン』誌に寄稿している。彼女は「私の提案に異論はなかったが、それまで誰も思いつかなかったようだ」と述べている。

マストロモナコの在任中は、複数の首席補佐官が交代で就任し、当時のオバマ大統領が、「政権がいかに女性登用に積極的であるかという話題提供のために」定期的に公の場に出ていたことを考えると、一見論理的に見える決断をなぜしなかったのかという疑問もある。

バイデン率いるホワイトハウスは、大統領首席補佐官のポジションに次席補佐官ポストにいる女性を選ぶこともできたはずだ。現在2人いる運営担当次席補佐官の1人であるジェン・オマリー・ディロンは、バイデンの選挙ティームを率いた経験があり、民主党の大統領選挙を成功させた最初の女性として歴史に名を残している。推測されるリストには、更に首席補佐官の女性候補として、大統領上級顧問のアニタ・ダンやホワイトハウスの国内政策補佐官であるスーザン・ライスの名前も挙がっていた。

しかし、結局のところ、ホワイトハウスの最高幹部は男性の手に渡り、大統領、最高裁長官、統合参謀本部議長など、連邦政府で女性が就任したことのないトップ職のリストにそのまま残ることになった。

エリン・スペンサー:ニューイングランド州を本拠とする作家。ジェンダー、政治、文化の国内議論に貢献している。2018年からフォーブス誌の寄稿者を務め、政治家、企業幹部、そして宇宙飛行士にもインタヴューを行っている。ツイッターアカウント:@erinspencer93

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 ウクライナ戦争開戦後、世界のエネルギー価格は高騰し、その影響は現在も続いている。日本の消費者物価指数は4.2ポイント上昇ということを盛んに報道されているが、特に電気代やガス代、ガソリン代や灯油代の高騰に驚き、不平不満を持っている人たちも多い。物価高、インフレ、生活コストの上昇ということで言えば、世界は第三次次世界大戦下にあると言える。

 ウクライナ戦争開戦後、欧米諸国はロシアへの制裁の一環として、天然資源の輸入を取り止めると発表した。しかし、実際にはロシアからの天然資源、特に天然ガスの輸出は続いていた。これまでロシアとドイツを結ぶノルドストリーム・パイプラインによって、安価な天然ガスが供給され、それがヨーロッパ諸国の生活を支えていた。それが急に途絶することはヨーロッパ諸国の人々の生活が成り立たないことを意味する。そのため、ロシアに制裁を科しながらも、「少しずつ輸入を減らしていきますからね」ということで、輸入が続いていた。

 しかし、昨年にノルドストリーム・パイプラインが物理的に破壊されたことで、ロシアからの天然ガス供給は望めなくなった。そのために北海油田を持っているイギリスやノルウェーの石油、アメリカからの液化天然ガス輸入に頼らざるを得なくなった。もちろん、これまでのロシアからの天然ガスよりも高価な買い物である。それでも背に腹は代えられないということで、ドイツをはじめとするヨーロッパ諸国は天然資源の供給源の変更を余儀なくされた。

 「高く買ってくれる人に売る」は人間の自然な性向である。エネルギー価格が高騰する中でもヨーロッパ諸国はまだ買えるから良い。貧しい国々は買いたくてもお金がない。そうなれば、買う量を減らして、耐乏生活に突入するしかない。新興国ならまだ良いが、貧困国では停電の頻発、停電時間の長期化が続いている。これらの国々に対して、先進諸国に援助できるほどの余裕はない。自分のところだって高い価格のエネルギーを買っていて他を助ける余裕はない。

 それではこうした国々に対して、エネルギー産出国、具体的にはロシアやサウジアラビアが値引きした値段でエネルギーを供給したらどうなるだろうか。これまでこのブログで散々書いてきているが、世界は「西洋(the West)」対「それ以外(the Rest)」で分裂している。中露が率いる「それ以外」が発展途上国、貧困国を助ければ、そちらの味方になるのは自明の理だ。実際にロシアはインドや中国に割引で天然資源を販売している。

 ウクライナ戦争が終結しなければ、こうした状況はこれまでも続いていくだろう。ウクライナ戦争が始まって1年、今こそ停戦に進むべきである。更に言えば、ノルドストリーム・パイプライン破壊を命じたジョー・バイデン大統領の「大統領の犯罪行為」と、手下たち(アントニー・ブリンケン米国務長官、ジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官、ヴィクトリア・ヌーランド国務次官)による「権力者共同謀議」による「戦争行為」は世界人類に対する罪である。

(貼り付けはじめ)

貧しい国々に負担を強いるヨーロッパのガスの深刻な不足(Europe’s Hunger for Gas Leaves Poor Countries High and Dry

-豊かな国々は、世界の他の国々の犠牲の上に、エネルギーの安全保障を追求している。

ヴィジャヤ・ラマチャンドロン筆

2023年2月1日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2023/02/01/europe-energy-natural-gas-lng-russia-africa-global-south-climate/

ロシア軍のウクライナ侵攻から約1年、モスクワのヨーロッパ向け天然ガス輸出は、パイプライン「ノルドストリーム」の妨害行為、ヨーロッパの購入量減少、欧米諸国のウクライナ支援に対する報復としてのモスクワの供給調整などにより、半分以下にまで減少している。天然ガスは、家庭や産業界の暖房用エネルギーとして、また化学製品の原料として重要な役割を果たしている。天然ガスは、家庭や産業の暖房に欠かせないエネルギー源であり、化学製品の原料として、肥料、セメント、鉄鋼、ガラスなど、多種多様な製品の製造に欠かせない要素となっている。また、発電にも広く利用されており、2021年のヨーロッパの発電量のうち、ガス火力発電所は34%を占めている(アメリカは38%)。

ロシアからの供給が失われたことへの反応として、ヨーロッパ各国はあらゆる天然ガス供給源に依存し、大量の備蓄を抱えることになった。ロシアからのパイプラインによる供給が激減したため、ヨーロッパは需要の多くを世界各国から船で輸送される(液化天然ガス(LNG)にシフトさせた。その結果、2022年半ばのガス備蓄のピーク時には、液化天然ガス(LNG)の世界価格は2年前の新型コロナウイルス感染拡大時の安値から1900%上昇した。

この天然ガスの価格高騰は、ヨーロッパの産業界にもダメージを与えたが、貧しい国々に住む何億人もの人々にとっては、まさに壊滅的な打撃となった。インドとブラジルは、自国の経済を十分に支えるだけの天然ガスを確保できず、輸入を控えるようになった。バングラデシュとパキスタンは、合わせて5億人近い人口を抱えているが、産業消費と発電のニーズを満たすことができず、停電に見舞われた。液化天然ガス供給者は、より高い価格を支払う富裕層向けの貿易にシフトすることを希望している。数ヶ月あるいは数年前に締結された契約にもかかわらず、貧困国向けの貨物がヨーロッパに迂回されたり、単に全く配達されなかったりしている状態だ。

停電は単なる不便な出来事と言うだけではない。パキスタンのように、毎年45度を超える熱波が襲い、国土の3分の1を水没させた洪水からの復興に苦闘している国では、電力は生死に関わる問題である。この数カ月間、連日連夜、企業、家庭、学校、病院が数時間電気がない状態に陥っている。それは、政府が、発電所の4分の1を占めるガス火力に十分な天然ガスを輸入できないからだ。パキスタン政府によると、主要な液化天然ガス供給会社は契約を履行せず、未納の違約金を払い、より高い利益を得るために富裕国へ供給を送ることを好んでいるとのことだ。

2022年7月、パキスタン政府が行った液化天然ガス72隻分(10億ドル相当)の入札には、供給会社からの入札が全くなかった。国際通貨基金(IMF)のプログラムからの現金支給が遅れたため、パキスタンはスポット市場でガスを購入するのに苦労し、工場やレストラン、その他の事業で働く人々は労働時間の短縮と低賃金を余儀なくされている。政府機関は電力消費量を30%削減するよう命じられ、国内の街灯の半分が消灯している。

貧しい国々にとって状況が好転する兆しはない。北半球の多くの地域で暖冬が続き、ガス価格が下がっているとはいえ、既に来年にも天然ガスが不足することが懸念されている。破壊工作が行われたノルドストリーム・パイプラインは2023年も使用できない可能性が高く、ヨーロッパ諸国はこの夏、重要な貯蔵施設に補充する液化天然ガスへの依存度を更に高めることになる。さらに、EU加盟諸国は既に、今後数年間に供給が開始される可能性のある新たなガス供給を賄うための長期契約締結に強い関心を示している。ドイツやその他のヨーロッパ諸国は、今後数年間に浮体式貯蔵・再ガス化設備に追加投資し、更に多くの液化天然ガス(LNG)を吸収できるようにしようとしている。一方、世界有数の液化天然ガス輸出国であるオーストラリアは、ガス不足の可能性を懸念し、自国でのガス供給量を増やすための対策をとっている。

貧しい国々が貧困から脱却し、干ばつや洪水、暴風雨、熱波に対して強靭になるためには、豊かな国々が享受しているのと同じように、信頼性が高く、豊富なエネルギー資源を必要としている。こうした国の多くは自然エネルギーに投資しており、さらに多くの投資を計画している。しかし、中期的なエネルギー安全保障の観点からは、富裕な国々と同様にガスが必要であることに変わりはない。発電だけでなく、農作物の収穫量を上げるための肥料や、耐震性の高い建物やあらゆるインフラのためのコンクリートや鉄などの工業生産にガスは欠かせない。また、暖房や調理にもガスは必要で、日照や天候に左右される風力や太陽光発電のバックアップ電源にもなっている。

自国のエネルギー安全保障の確保を急ぐヨーロッパは、アフリカや南アジアなどの指導者たちが気づかないうちに、偽善をむき出しにしている。ヨーロッパのいくつかの国は、国際的な化石燃料プロジェクトに対する公的支援を全て打ち切ると公約している。これらのヨーロッパ諸国は、信頼できる電力と経済成長をもたらす可能性のある下流のガスインフラを建設するための資金を、貧しい国々に提供してはならないと主張している。その一方で、アメリカやEUを拠点とする多国籍企業は、東アジアやヨーロッパの富裕な国々に輸出するために、自らの資本で貧しい国々のガス埋蔵量を開発することを止めない。

この偽善の基盤は明らかだろう。EU諸国は、自国のエネルギー安全保障のために化石燃料を最大限柔軟に使用できるようにする一方で、貧しい国々が貧困と悲惨から抜け出すために不可欠なエネルギー供給を増やすための資金援助には厳しい制限を課すという、陰湿なグリーン・コロニアリズム(green colonialism、グリーン植民地主義)を推進し続けている。その一方で、自国のエネルギー安全保障のために化石燃料を使用する自由度は最大限に高めている。石炭使用量の急増による排出量の増加については、ドイツに質問してみるとよいだろう。つまり、豊かな国々がガスの備蓄や世界中の生産者との複数年の購入契約を自画自賛している間に、貧しい国々は家庭や学校、病院、工場に十分な燃料がない状態に置かれなければならない。ガスプロジェクトへの融資を阻止するヨーロッパの政策は、貧困を緩和するものでも、気候変動に対処するものでもない。

これは、欧州の政府がエネルギー転換の橋渡し燃料として天然ガスを利用することを非難するものではない。特に、石炭を代替する場合や再生可能エネルギーをバックアップする場合には、天然ガスを利用することは非常に理にかなっているのだ。しかし、アフリカやアジアの貧しい国々にとっても、自国と同様にエネルギーの安全保障と信頼性が最も重要であることを、自国の国民に配慮しているのと同様に認識すべきだ。富裕な国々は、天然ガスが豊富に埋蔵されているアフリカにおける基本的なインフラ投資のわずかな排出量にこだわるよりも、貧しい国々が経済成長できるような戦略を採用すべきだ。

パキスタンやバングラデシュのような国々は市場から値崩れし、ヨーロッパが来年も暖冬であることを祈るしかない。自国の消費者を高価なガスやガソリンから守ることには何のためらいもないのに、貧しい国々の高価なガス代を援助することは、化石燃料の補助金とみなされるため、ヨーロッパ政府はおそらく拒否するだろう。しかし、ヨーロッパ諸国は、燃料節約型の再生可能エネルギーの導入や暖房の電化にもっと力を入れることができるだろう。また、世界的なエネルギー危機の最中に原子力発電所を停止させるのではなく、既存の原子力発電所を稼働させるための緊急延長をもっと検討すべきだ。例えば、ベルギーは原子力発電所を停止しているため、より多くの天然ガスを使用する方向にあり、その代償を払うのは貧しい国々である。

最も重要なことは、ヨーロッパ諸国は、エネルギー安全保障、経済成長、貧困緩和、健康な生活に不可欠な、貧しい国々の下流ガスプロジェクトに反対することを止めることだ。

※ヴィジャヤ・ラムチャンドロン:「ブレイクスルー・インスティテュート」エネルギー・発展担当部長。ツイッターアカウント:@vijramachandran

※ジェイコブ・キンサー:「エナジー・フォ・グロウス・ハブ」上級政策アナリスト兼プログラム調整担当。ツイッターアカウント:@jakekincer

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 今日は、藤森かよこ著『
 いい子ぶりっ子の超偽善社会に備える』(秀和システム)をご紹介します。

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ニーチェのふんどし いい子ぶりっ子の超偽善社会に備える

 藤森氏は『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください』『馬鹿ブス貧乏な私たちを待つ ろくでもない近未来を迎え撃つために書いたので読んでください。』と言ったベストセラーを出しています。今回の本はニーチェの考えを下敷きにしながら、これから訪れる無菌志向の超偽善社会に備えていくという内容になっています。

 以下にまえがきの一部、目次、あとがきを貼り付けます。是非手に取ってお読みください。

(貼り付けはじめ)

0・1 私がニーチェの褌(ふんどし)を借りて書くことにした理由

ニーチェといっても、原作が松まつこま駒で、作画がハシモトによる漫画『ニーチェ先生』に登場するコンビニで深夜バイトをする大学生仁井智慧(にいともはる)のことではない。「お客様は神様だろ!」と理不尽なクレームをつける客を、「神は死んだ」と言って撃退したので、あだ名が「ニーチェ先生」になった仁井君のことではない。

「神は死んだ」というのは、ニーチェがいくつかの著書で何回も書いた文章だ。そのために、ニーチェは蛇蝎視(だかつし)されてきた。いるかいないかわからない神という存在について「死んだ」と書いたのだから、ニーチェほど神のことを考えていた人間はいないという逆説をわからない頭の悪い人々によって。かわいそうなニーチェ。

本書の目的は、現代と、来きたるべきろくでもないけど面白くないわけでもない超偽善社会を生き抜いて行くために知っておくべきだと私が思うことを、ニーチェの褌(ふんどし)を借りて書いたものだ。ここで「喰い込むばかり」と下品なツッコミを入れないように。「高く登ろうとするなら、自分の足を用いよ。引き上げてもらおうとするな。他人の背や頭に乗ってはならない」(『ツァラトゥストラかく語りき』佐々木中(ささきあたる)訳、河出文庫、2015、495頁)と言ったニーチェは、「他人の褌で相撲(すもう)を取るな」と、言うかもしれないが。

ところで、ニーチェなんて、そんな難しい本なんて読んでもわかりません!と思っているあなた! 読まずに、そういうこと言ってませんか!? ニーチェは難しくない。長いだけです。読めば、わかります。面白いです。

そもそも、今の日本で読書(漫画を含めて)習慣がある人は、人口の1割ほどだ(と思う)。1200万人ぐらいだ。この数字に「エビデンス」はない。私がそう思うだけだ。その中でも、書籍はもっぱら公立図書館で借りて読むだけではなく、またはアマゾンのKindle Unlimited に登録して無料の電子ブックで読むだけではなく、自腹で書籍なり電子ブックを購入して読む人は500万人もいない(と思う)。

これでは、日本の出版社の経営が難しいはずだ。書店もどんどん閉店するはずだ。現在の日本の出版社は、「人口1200万人で、500万人の消費者しかいない国」の中で競争しているのだから。

 今は、そこそこの偏差値の大学の学生でさえ、「こんな難しい本は読めません」とゼミの担当教授に向かって堂々と言う。いまどきの大学教員なら、いまどきの普通の日本の若者の読解(どっかい)力と、彼らや彼女たちが育った(1990年代以降の日本の経済状況下の)家庭の文化資本の蓄積の乏しさは良く知っている。橘玲(たちばなあきら)のベストセラー『バカと無知 人間、この不都合な生きもの』(新潮新書、2022)に書いてある「日本人のおよそ3分の1は「日本語」が読めない」(81頁)という調査結果に驚くこともない。

だから、無駄に難解な書籍など教科書として選ばない。それでも、大学生なら、これぐらいの程度のものは読んで欲しいと思うテキストをゼミで輪読(りんどく)する。なのに、数行も読まないうちに「こんな難しい本は読めません」である。じゃあ音読(おんどく)から始めるかと思って音読させたら、漢字が読めない。もう出版社の方々、書籍の漢字には全部ルビを振(ふ)ってください。

でも、あなたは違う。貴重な「日本の読書人1200万人」のひとりだ。「日本の読書人1200万人」のひとりに入るくらいに、あなたは運が強い。親ガチャに外はずれた人間こそ読書の習慣がないと無知不用心のままに生きるはめになり不幸不運必至なのに、そういう人間に限って読書の習慣がない。だから、遭遇(そうぐう)してもしかたがない類(たぐい)の人間に関わるはめになるし、重要な情報も入手できず、先人の知恵に触れることもなく、自己省察(せいさつ)もできず、さらに運が悪くなる。

しかし、こうして本書を開いているあなたは運がいい。だから、ニーチェも読めます。

=====

『ニーチェのふんどし いい子ぶりっ子の超偽善社会に備える』◆ 目次

第0章、あるいは「まえがき」 7

0・1 私がニーチェの褌ふんどしを借りて書くことにした理由 8

0・2 本書はごく少数者向き 11

0・3 仏教徒もイスラム教徒もみんなキリスト教徒 14

0・4 今や共通善は「弱者救済」だけ 19

0・5 大義を疑うためにニーチェを 24

0・6 本書の構成 28

第1章 ニーチェの思想をあなたが必要になる契機は「ホワイト革命」 35

1・1 岡田斗司夫の「ホワイト革命」論の衝撃 36

1・2「ホワイト革命」は、とりあえずは高度情報化社会の産物 40

1・3 道徳的であるという評価が個人だけではなく国や企業にも求められる 44

1・4 21世紀の「優しい良い子たち」は進化した人類か? 54

1・5 ホワイト革命の先駆としてのポリコレとキャンセルカルチャー 63

1・6 道徳化された社会形成のための段階としてのポリコレ・ヒステリー 69

1・7 岡田が予測するホワイト革命は起きると私が思う理由(その1) 72

1・8 岡田が予測するホワイト革命は起きると私が思う理由(その2)

 ―― SDGsだのESGだのニュー資本主義だの 83

第2章 ホワイト革命がもたらす7つの様相 107

2・1 歴史始まって以来の人間革命? 108

2・2 魔女狩り社会になる? 111

2・3 現実逃避社会になる? 114

2・4 バックラッシュ? 117

2・5 人間はより画一的になりルッキズムに至りアバターに身を隠す? 121

2・6 優しく良い人たちの人畜牧場完成? 129

2・7 現実逃避も魔女狩りもバックラッシュも身体性からの逃避もあるし権力者共同謀議もあるが、人間革命は起きない 131

第3章 ニーチェかく語りき 135

3・1「人とは恐ろしいモノだ」と覚悟しておく 136

3・2 ディオニュソスなくしてアポロは立ち上がらず、アポロなくしてディオニュソスは目覚めない 147

3・3 悲劇上等! 160

3・4 歴史は強くて利己的な野蛮人が作る 171

3・5 天国や彼岸の設定は生の否定であり敵視 177

3・6 善悪も道徳も正義も変わるもの 185

3・7 ルサンチマンから生まれる道徳もある 191

3・8 キリスト教は世界史初の奴隷道徳 196

3・9 末人(まつじん)なんて退屈だから超人をめざせ 200

3・10 ニーチェの独ひとり言 209

結語 ―― 来るべき超偽善社会の欺瞞と抑圧に汚染されないために 218

あとがき 225

紹介文献、引用文献リスト(本文で言及順) 229

私が読んだ範囲で面白いと思ったニーチェ入門書リスト(出版年順) 234

=====

あとがき

ニーチェに関することは書いてみたいと身の程知らずにも思いつつ、哲学科を出たわ

けでもない私がニーチェに関する書籍を出すことは無理だなあと思っていました。一時

期はアメリカ文学の研究者でしたので、アメリカの作家に関連した論文でニーチェに言

及したことはあったのですが。

ところが、2021年3月に秀和システムの編集者の小笠原豊樹さんから一冊書いて

みないかという嬉しいお申し出をいただきました。2022年に再度お話をいただきま

した。それならばと、そのお申し出に厚かましく乗っからせていただくことにしました。

この機会を逃すと、私のような人間がニーチェについて書いて本を出版するなどということは不可能だと思いました。また、今この時に書かないで、いつ書くのかとも思いました。ちょうど、その頃は、本書に書いた岡田斗司夫さんがオンラインセミナーで発表なさった「ホワイト革命」論について、「これはニーチェ的には嫌な展開になるかもしれないなあ」と思っていた時でしたから。

小笠原さんには、ニーチェについて書く機会を提供していただき感謝いたします。今どきの、この書籍の売れない時代に、ニーチェについて書かせてくださるなんて、この方は相当に「一本の綱」の上を歩いておられる方だと思いました。

いろいろいろいろお世話をおかけいたしました。ありがとうございました。

本書の表紙デザインについて、アイン・ランドの小説やエッセイ集の拙訳や、私が編著者を務めた文学関係の論文集や、単著4冊の装幀で、2004年以来お世話になっている大谷昌稔(おおたにまさとし)さんに、またお願いいたしました。ありがとうございました。

表紙のイラストは、私の「馬鹿ブス貧乏本」シリーズの表紙イラストを担当してくださった伊藤ハムスターさんにお願いいたしました。またもチャーミングなイラストをありがとうございました。

 同時に、今まで出版された拙著に関して率直なご感想を下さった読者の方々にお礼を申し上げます。その方々は、「フジモリさんがご自分のブログに書くよう書いてください。いっぱいの文献を紹介してくださるのは勉強になりますが、私が読みたいのはフジモリ

さんの言葉ですから」と、それぞれにおっしゃるのです。

中には、「本を読むことしかしていない人間の書いたもので、読むところがない」と匿名でSNSに書いていた読者もいました。この読者は拙著3冊を図書館で借りて読んだそうで、「読むところないなら3冊も読むな、批判するなら自腹で購入するぐらいはしろよ」と私は思いました。しかし、ニーチェもツァラトゥストラに「わたしは読んでばかりいる怠惰な者を憎む」(佐々木訳、64頁)と語らせています。だから少しは私も反省しました。

 というわけで、本書では、なるたけ自由に書いてみました。私は、長年、職業柄、自

分以外は誰も読まない類の大学の紀要(きよう)(大学に所属している教員の論文集)に載せる論文を書いてきました。論文というのは先行研究をちゃんと読んでいるかを示すことが要請されるので、ついつい資料を漁る癖が抜けず、かつその文献に言及するのが習慣となっていました。ですから、商業出版物に要求される読みやすさについて工夫(くふう)が足りなかったようです。そのことを読者の方々に指摘されて、あらためて気がつきました。

ここでその読者の方々のお名前を挙げることはいたしませんが、みなさん、貴重なご意見をありがとうございました。

ああ、それにしても本当は、本書のタイトルは「ニーチェの褌」にしたかったです。褌だと、漢字だと、しっかり締められている感じがしますが、ひらがなだと、ゆるい感じです。すぐに、ほどけそうです。

2023年2月

藤森かよこ

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古村治彦です。

2月上旬、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領はイギリスをサプライズ訪問した。イギリスではリシ・スーナク首相、リンジー・ホイル下院議長、更にはチャールズ国王と会談を持った。ウクライナ戦争が始まって以来、ウクライナを離れる機会がほぼなかったゼレンスキー大統領がイギリスを直接訪問し、これまでの支援を感謝し、更なる支援、特に戦闘機の支援を求めたことには重大な意味がある。それは、「ウクライナ戦争の停戦が困難なのはイギリスがいるからではないか」「日露戦争をアナロジーとして考えると、ウクライナを利用してロシアを消耗させようとしているのはイギリスではないか」ということが考えられるからだ。
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ウクライナ支援について見ていくと、アメリカが圧倒的な割合を占めている。イギリスは2番目だと威張っても、その割合は小さなものだ。NATO分で出しているという主張もあるだろうが、大英帝国だと威張っている割にはその額は少ない。しかし、戦争が始まって以来、イギリス政府関係者は声高に対ロシア憎悪を言葉にしている。
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 西洋諸国はウクライナ支援を行っているが、ウクライナが求めているジェット戦闘機の供与だけは行っていない。また、飛行禁止区域設定も行っていない。これはそのようなことをすれば、供与を行う国々が戦争当事国となり、ロシアから宣戦布告されて、戦争に巻き込まれ、ロシアからのミサイル攻撃(核兵器使用を含む)を受けるという懸念があるためだ。アメリカ国内ではウクライナ戦争の停戦を求める声、ウクライナへの支援を減額するように求める声、ロシアからの天然資源輸入を再開するように求める声が出ている。アメリカとイギリスの間にはウクライナ戦争をめぐる態度で温度差がある。
 戦争を継続してウクライナ領土の再獲得を目指しているヴォロディミール・ゼレンスキー大統領は今の状態で停戦すれば、国民からの批判に晒されることが考えられる。クリミア半島を含む1991年に独立した際の領土を全て再獲得するまでは戦争を止めることはできない。戦争を止めれば自身の政権も危うい。そうなると、頼るのはイギリスということになる。アメリカはいつ手の平を返すか分からない。イギリスは北海油田の産油を西ヨーロッパに売りつけたいという意向もある。戦争継続はイギリスとゼレンスキー政権の共通の「利益」である。

 戦争では誰が儲かるのか、利益を得るのかという視点から事態を見ていくことも大事だ。そうすれば戦争の別の側面も見えてくる。

(貼り付けはじめ)

ゼレンスキー大統領が訪英、英首相や国王と会談 議会で演説し戦闘機求める

202328

更新 202329

https://www.bbc.com/japanese/64567813

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が8日、イギリスを訪れ、首相官邸でスーナク首相と会談した。昨年2月にロシアがウクライナに侵攻して以降、ゼレンスキー氏の訪英は初めて。その後、議会で演説し、イギリスの支援に感謝するとともに、戦闘機の供与を求めた。

ゼレンスキー氏の訪英は、イギリス軍がウクライナ兵に実施してきた訓練を、ウクライナの戦闘機パイロットや海軍歩兵にも拡大するとの見方が出ているタイミングで行われた。

ウクライナのパイロットが将来的に北大西洋条約機構(NATO)水準の戦闘機を操縦できるようにする計画は、以前から発表されていた。ウクライナはかねて、これを主要な要請として掲げていた。

首相官邸は、スーナク氏がゼレンスキー氏に対し、ウクライナの重要な国家インフラを標的にするロシアの能力を削ぐ「長距離能力」の提供を申し出るとしていた。

また、イギリスによるウクライナ兵の訓練を拡大し、さらに2万人を対象とする見込みだとした。

イギリスの支援に感謝

ゼレンスキー氏はスーナク氏との会談後、議事堂のウェストミンスター・ホールに移動し、上下両院の議員らを前に英語で演説。「塹壕(ざんごう)の中にいて、ウクライナを敵のミサイルから守ってくれている、戦争の英雄たちの代理として」自分はやって来たのだと述べ、イギリスがウクライナ兵に装備と訓練を提供していることに感謝した。

また、ロシアが侵攻した「初日から」イギリスはウクライナを支援していると強調。ボリス・ジョンソン元首相を名指しし、「ボリス、あなたは絶対に、絶対に無理だと思われていた時に、諸外国を団結させた。ありがとう」と語りかけると、聴衆からは大きな拍手が湧いた。

ゼレンスキー氏はさらに、ウクライナとイギリスの国民は共に、第2次世界大戦で自由を守り抜いたと指摘。「私たちの国民は危機に見舞われた」ものの、粘り強さを発揮したとした。

その上で、「自由は勝利する」、「ロシアが負けるのは明らかだ」と強調し、拍手を浴びた。

戦闘機を求める

ゼレンスキー氏は演説で、戦闘機を「自由のための翼」と表現。ウクライナへの供与を、英議員らと世界に対して要望した。

ロシアが今月後半にも新たな攻勢をかける見通しの中、西側諸国はウクライナへの支援をどう増強するか検討している。

イギリスは戦闘機の供与について、「現実的ではない」としている。スーナク氏の報道官は先週、英軍の戦闘機は「極めて高度で、操縦を覚えるのに何カ月もかかる」と述べた。

一方でイギリスはすでに、主力戦車「チャレンジャー2」を14台供与すると発表している。ウクライナ軍に操作の訓練も提供する予定だ。

これを踏まえてゼレンスキー氏は、演説の中で戦車の供与に言及。「防衛面でのこの強力な一歩について、感謝しています、リシ」とスーナク氏に語りかけた。そして、「世界は本当に自由を守る勇者を助け、新たな歴史を作っていく」と述べた。

ゼレンスキー氏はまた、演説の途中で、リンジー・ホイル下院議長にウクライナの戦闘機パイロットのヘルメットを贈った。

ヘルメットには「私たちには自由がある。それを守るための翼を与えてください」と書かれていた。

英政府はこの日、ロシアへの新たな制裁を発表。IT企業や、ドローンやヘリコプターの部品などの軍事機器を製造する企業などを対象にした。

ゼレンスキー氏は演説で、「ロシアが戦争資金を調達する可能性がなくなるまで」制裁を続けるよう、イギリスと西側諸国に求めた。

英国王と会見

ゼレンスキー氏は議会での演説後、バッキンガム宮殿でチャールズ国王と会見した。

国王がゼレンスキー氏に会うのはこれが初めて。

ゼレンスキー氏は議会での演説で、国王はまだ皇太子だったころからウクライナを支援してくれたとし、全国民の感謝の気持ちを伝えるつもりだと述べていた。

フランス大統領府の報道官によると、ゼレンスキー氏はこの後、パリ・エリゼ宮に移動し、エマニュエル・マクロン大統領と、ドイツのオラフ・ショルツ首相と会談する予定だという。

ゼレンスキー氏は9日には、欧州連合(EU)首脳会合に参加する見込みとなっている。

ゼレンスキー氏は昨年3月、英下院でビデオ演説した

ゼレンスキー氏は昨年3月に、英議会にビデオリンクで参加。英下院で演説した初の外国人首脳となった。

同氏がロシアによる侵攻以降で外国を訪問するのは、昨年12月のアメリカとポーランドに続いて3カ国目となる。

昨年の訪米では議会で演説。「ウクライナは決して降参しない」と述べ、何回かスタンディングオベーションを受けた。

ジョー・バイデン大統領もその際、「パトリオット」ミサイル防衛システムの供与など、ウクライナへの支援拡大を約束した。

ゼレンスキー大統領をめぐっては、今週ベルギーのブリュッセルを訪問するとのうわさが流れていた。9日に欧州議会で演説し、欧州連合(EU)の首脳会談にも参加するとみられている。

ただ、この情報が今週初めに流出したため、セキュリティー上の懸念からブリュッセル訪問は中止になるとの見方も出ている。

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ウクライナでのロシアの戦争が1年近く経過した中で、ゼレンスキーはイギリスを訪問した理由(Why Zelenskyy visited the U.K. nearly 1 year into Russia's war on Ukraine

ウィレム・マルクス筆

2022年2月8日

NPR

https://www.npr.org/2023/02/08/1155360051/zelenskyy-russia-ukraine

ロンドン発。ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領は、約1年前にロシアがウクライナに侵攻して以来、ほぼ行ってこなかった国外訪問の1つとして、イギリスを訪問し、人々を驚かせた。

ゼレンスキー大統領は、予想されるロシアの攻勢と領土を取り戻すためのウクライナの反撃を準備するために、ウクライナの強力な国際的支援者からより高度な武器をウクライナ軍に供与するように求めている。

ウクライナの指導者はリシ・スーナク首相と会談し、イギリス議会で演説を行い、イギリスの支援と兵器に感謝した後、すぐに更なる支援(特に戦闘機)を要求した。また、チャールズ3世とも会談した。

フランス政府は、水曜日にゼレンスキーがパリを訪れ、エマニュエル・マクロン仏大統領とオラフ・ショルツ独首相と夕食を共にすることを確認したばかりで、今回の外遊はゼレンスキーの予告なしのヨーロッパツアーの最初の足取りとなる。木曜日には、EU理事会のシャルル・ミシェル議長が彼を招待したため、他のEU首脳との会談のためにブリュッセルに移動する可能性もある。

ゼレンスキー大統領がイギリスを訪問した理由は以下の通りだ。

●規模第2位のウクライナ支援者(Ukraine's second-biggest backer

イギリス議会によれば、イギリスはアメリカに次いでウクライナにとって2番目に大きな支援国であり、2022年2月以降、27億ドル相当の軍事支援を約束しており、今年もそれに匹敵する支援を約束するとしている。イギリスは、ロシアの侵攻に対して経済制裁を加える上で重要な役割を担っている。そしてスーナク首相もまた、前任者と同様にキエフを訪問している。

また、スーナク首相は先月、ウクライナにチャレンジャー2戦車を贈ることを約束したが、これは米国とドイツが戦車供与を発表する2週間前のことだった。ウクライナ軍の要因たちが1月29日にイギリスに到着し、イギリスの戦車で訓練を受けた。

しかし、ウクライナは更に一歩踏み込んで、戦闘機の提供を求めている。

ウクライナの防空は、ロシアがウクライナ領土の広い範囲を支配することをほぼ防いできた。しかし、自国の格納庫には、ソ連時代のスペアパーツに頼らない運用可能な航空機がほとんど残っていないと英国のシンクタンク「英国王立防衛安全保障研究所(Royal United Services Institute)」の国際安全保障担当部長ニール・メルビンは指摘している。メルビンによれば、西側の航空機システムの採用を拡大しなければ、ウクライナ軍は長期的に、陸上部隊の攻撃力に見合うだけの空戦力を身につけるのに苦労することになると主張した。

●イギリスは戦闘機の訓練を約束したが、今のところジェット機の提供はない(Britain promised warplane training, but so far no jets

ゼレンスキー大統領は、12月のアメリカのように、国防費を決定するイギリス議会から承認を求めるという他の国々で使ってきた戦術を継続した。

水曜日にウェストミンスター・ホールで行われた演説で、彼はリンゼイ・ホイル下院議長に象徴的な贈り物をした。その贈り物とは「我々は自由を持っている、それを守るために翼を与えよ」と書かれた戦闘機パイロットのヘルメットだった。

イギリス政府は、ウクライナ軍に対する軍事訓練を、戦闘機のパイロットまで拡大すると発表した。「この訓練によって、パイロットは将来的にNATO標準の高性能戦闘機を操縦できるようになる」とイギリス政府は声明の中で述べた。

この誓約には戦闘機の提供を約束するとまでは書かれていない。

しかし、ロイター通信は、イギリス政府報道官は記者団に対し、「スーナク首相は国防相に、どのようなジェット機を提供できるかを調査するよう命じたが、はっきり言って、これはウクライナが今最も必要としている短期の能力ではなく、長期の解決策である」と述べたと報じた。

●イギリス国民の支持を維持する(Maintaining public support

何世紀もの歴史を持つイギリス議会の衣装や儀式用ローブの中で、いつものアーミーグリーンのスウェットシャツを着たこの戦時大統領の姿は、イギリス国民にウクライナの軍事的必要性を思い起こさせるものとなるだろう。

ロシアと戦うウクライナに対するイギリス国民の支持は依然として高い。戦争が始まって数カ月、ウクライナ人の家族を家に迎え入れた何万人もの英国人に代表されるように、ウクライナの人々に対する関心も高いのである。

1月24日に発表されたイプソス社の世論調査の結果では、イギリス人はウクライナ人を助け、ロシアを孤立させる努力を続けることに、調査対象の他の国よりも強い支持を表明しているということになった。

ゼレンスキーは、この支持を当然とは考えていないようだ。今回の訪問は、政治家だけでなく、イギリス国民にも戦争がまだ終わっていないことを思い知らせるためのものなのかもしれない。

アレックス・レフがワシントンからこの記事の作成に貢献した。
(貼り付け終わり)

(終わり)

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