アメリカ政治の秘密
古村 治彦
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2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 来週火曜日にイスラエルで総選挙が行われます。日本の安倍首相と一緒になって、アメリカの反オバマ・ネオコン・人道主義的介入派ラインを支えている、ベンヤミン・ネタニヤフ首相を率いるリクードは敗北する可能性が高まっています。

 

 それに対して、苛立ったネタニヤフ首相は「外国からの影響」にまで言及するようになっているようです。それでも、ネタニヤフ首相は連立で政権を維持することが出来る可能性もあるようです。

 

 火曜日のイスラエル総選挙は注目です。

 

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ネタニヤフ首相は、彼を追い落とそうとする外国の権力者共同謀議理論の存在を主張(Netanyahu Claims Foreign Conspiracy Is Trying to Depose Him

 

エリアス・グロル(Elias Groll)筆

2015年3月13日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2015/03/13/netanyahu_claims_foreign_conspiracy_is_trying_to_depose_him/

 

 イスラエルでは来週火曜日に総選挙が行われる。ベンヤミン・ネタニヤフ首相にとっては先行きは良くない。ネタニヤフは世論調査で野党側の後塵を拝している。彼は退勢を挽回するための時代遅れの戦術を採用している。彼は自分の政治的な苦境を国際規模の権力者共同謀議理論(conspiracy)のせいにしているのだ。

 

 ネタニヤフは金曜日、「フェイスブック」に投稿した。その中で、彼は、リクードの指導者である自分を追い落とすために、外国からの資金が野党側に流れていると主張した。彼は競争相手のイザク・ヘルツォグとツィピ・リヴニに言及しながら、次のように書いた。「右派の支配は危機に瀕している。左派の有権者たちとイスラエル国内と国外のマスコミは、ツィピとボウギを権力の座に就けるために正しくない方法を使うための勢力に参加している」。

 

 ネタニヤフは、結果は悲惨なものとなるだろうと述べている。彼は「1967年時点の国境まで後退し、イェルサレムは分割され、テル・アヴィヴとベン・グリオン国際空港を見下ろす丘に第二のハマススタン(Hamas-stan)が建国されることになる」と述べている。ネタニヤフは、ガザ地区からイスラエルが撤退することで起きであろうと彼が考える結果に対して警告を発するために、かなり前から「ハマススタン」という言葉を使い始めた。イスラエルは、2005年にガザ地区から入植者と兵士たちを撤退させた。それでも航空と沿岸のコントロール権はイスラエルが維持している。それでも、ガザ地区は現在、ハマスによって統治されている。

 

 更に言えば、ネタニヤフはフェイスブックの投稿で、彼とリクードが外国政府と左派勢力、『イディット・アウロノット』紙のジャーナリスト、「イスラエル国内と外国の有力者たち」が共同した権力者共同謀議理論を主張した。

 

 今週金曜日、ネタニヤフは様々なマスコミに登場し、自分を追い落とすために暗躍している外国の政府を明らかにしている。彼はラジオ局コル・イスラエルに出演し、「北欧各国の政府は数百万ドルを投じて、私を権力の座から追い落とそうとしている」と語った。

 

 スウェーデンがパレスチナを承認する決定をしてから数カ月、スウェーデンとイスラエルの関係は冷え切っているが、スウェーデンがイスラエルの総選挙に資金を投じている証拠は存在しない。

 

 今週金曜日、イディット・アウロノット紙の世論調査によると、来週火曜日の総選挙では、ネタニヤフ率いるリクードはヘルツォグとリヴィニ率いるイスラエル労働党に負けているという結果が出た。世論調査では、イスラエル労働党が26議席、リクードが22議席を獲得するという結果が出た。テレビ局「チャンネル10」の世論調査によると、リクードは20議席、イスラエル労働党は24議席をそれぞれ獲得するという結果が出ている。

 

 リクードがイスラエル労働党に続いて第二党になっても、ネタニヤフはまだ権力を掌握することは可能だ。首相となるためには、クネセト(Knesset、イスラエルの国会)の120議席のうち、連立して最低61議席を取る必要がある。ネタニヤフは多数を占める連立を形成する上で、ライヴァルたちよりも有利な立場にある。

 

 各種世論調査で不利な状況に陥ると、ネタニヤフは自身の支持率の下落には不透明な外国の影響があると責任転嫁を始めた。今週火曜日、ネタニヤフ首相は陸軍ラジオに対して、「自分を追い落とすための世界中を巻き込んだ大規模の企てが行われている」と述べた。投票日が近付く中、ネタニヤフ首相は外国の権力者共同謀議理論についての告発を強めるだけしかできない。

 

 ネタニヤフにとって、この外国の権力者共同謀議理論(コンスピラシー)に対する適切な反応は次のようにあるべきだ。それは、「リクードに投票せよ」というものだ。

 

(終わり)





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