アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 ヨーロッパ中央銀行の金融緩和がバブルを生み出すかもしれないという内容の記事です。しかし、やっていることはアメリカでも日本でも同じで、つまり、バブルを生み出す危険性があるということです。

 

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あぶく銭のもたらす危険に気を付けろ(Beware the Perils of Easy Money

 

デイヴィッド・フランシス筆

2015年3月13日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2015/03/13/beware-the-perils-of-easy-money/

 

アメリカ経済はうまく回っている(rolling)。株価は上昇し、雇用も伸びている。しかし、専門家たちは、最終的には酷い結末が待っているかもしれないと警告を発している。

 

 その理由は、ヨーロッパ中央銀行が、連邦準備制度がアメリカ経済を不況から救い出すために行ったプログラムをそのまま真似をして、今週になって、経済成長を促すために、前代未聞の規模でヨーロッパ各国の国債を購入すると発表した。それによってヨーロッパ各国の国債は逆イールド(短期金利が長期金利を上回る)を起こす。このプログラムを実施すると望ましくない結果を生み出す可能性もある。それは、このプログラムが健全な経済の基本的な原理を蔑ろにしているからだ。その原理とは、「債券は投資に対して程補とではあるが一貫した利益をもたらすので、お金を投資するには安全なものである」というものだ。

 

 誰も次に何が起きるかをはっきり予測できない。それは、こうしたプログラムが過去に実施されたことがなかったからだ。しかし、良い結果がもたらされるだろうと考える人はほとんどいない。

 

 エンヴィジョン・キャピタル・マネイジメント会長のマリリン・コーエンはフォーリン・ポリシー誌の取材に対して、「私は衝撃を受け、恐怖感を持っている。このようなことはどれくらい継続できるのだろうか?」と述べた。

 

 彼女は『どのような結果となるか分からない。しかし、多くの金融機関が資金を失うことになると思う』と語った。

 

 イングランド銀行の通貨政策委員会委員のクリスティン・フォーブスによると、その理由はこうだ。利率が低く、利益がほとんどないということになると、投資家たちは安全な投資先から離れることになるからだ。そして、彼らは資金をリスクの高い商品に投資し、利益を上げようとするのだ。

 

 フォーブスは2015年2月24日にロンドンで行った講演の中で、「こうした資金の流れが起きると債券市場以外の市場を押し上げ、潜在的にバブルを生み出すことになる」と語った。

 

 アメリカ国民はバブルについては詳しいはずだ。バブルとは金儲けを楽にできるようにしてくれる経済サイクルのことだが、例外なく無残な結果に終わる。2008年の住宅バブルの崩壊は世界経済にまで波及し、大恐慌を引き起こす寸前までいった。そして、世界的な景気後退を引き起こし、ヨーロッパ国債危機を招来させた。ヨーロッパ中央銀行のプログラムはヨーロッパ連合(EU)を経済危機の淵から救い出そうとする試みなのである。

 

 経済アナリストであるジェシー・コロンボは、バブル経済に関する情報を追いかけている。コロンボは、現在の信用バブルの爆縮(implosion)が2008年に世界が経験したものよりも悪い状況をもたらすと確信している。彼は、自由市場に中央銀行が介入することが問題の根源であると述べた。

 

 コロンボはフォーリン・ポリシー誌の取材に対して、「これは人工的な、バブル主導の経済回復をもたらしつつある」と述べた。

 

 これまで挙げた警告は、ウォールストリートでも起きている。ここ最近、ファンドマネジャーたちはマイナス金利について警告を発している。

 

ヤヌス・グローバル・アンコストレインド・ボンド・ファンド会長ビル・グロースは、2015年3月に投資の先行きについて書いた文章の中で、「低い金利は世界中の金融のビジネスモデルを破壊する。金融ビジネスは現代の経済を機能させる上で重要な存在だ」と書いている。

 

パリに本拠を置くソシエテ・ジェネラルのヨーロッパ金利戦略部門の責任者シアラン・オヘイガン「ヨーロッパ中央銀行は自分のしっぽを追いかけているかのようだ」と述べている。

 

(終わり)





メルトダウン 金融溶解
トーマス・ウッズ
成甲書房
2009-07-31