古村治彦です。
今回はヒラリー・クリントンが副大統領候補にヒスパニック系のジュリアン・カストロ住宅都市開発省長官を選ぶのではないかという記事をご紹介します。
アメリカ国内の人種や民族別の人口で急激な伸びを見せているのがヒスパニック系です。彼らの多くはカトリック信者で、スペイン語を話します。アメリカの地方自治体などでは公用語を英語とスペイン語と定めているところもあります。ヒスパニック系の平均年収は低く、子だくさんの大家族ということが多いので福祉に頼る傾向にあり、多くが民主党支持になります。ヒスパニック系が多いのはカリフォルニア州、アリゾナ州、テキサス州、フロリダ州といった大統領選挙で重要なしかも激戦州ばかりです。
選挙に立候補する人々にとってヒスパニック系の支持を得られるかどうかは重要になっています。今回の大統領選挙で言えば、共和党予備選立候補者のうち、マルコ・ルビオ連邦上院議員とテッド・クルーズ連邦上院議員は共にキューバ系移民を親世代に持つ人々であり、有力候補と言われているジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事は奥様がメキシコ生まれで、ジェブ氏がメキシコに英語を教えに行った時に出会って結婚しています。また、ジェブ氏自身もスペイン語に堪能です。
コルンバ夫人とジェブ・ブッシュ
この記事に出てくるジュリアン・カストロは民主党の期待の若手政治家の一人であり、双子のホアキン・カストロ(Joaquín Castro)も民主党所属の連邦下院議員を務めています。ホアキン・カストロは連邦議会内で超党派の議員組織であるジャパン・コーカスが結成された時の呼びかけ人となった人物でもあります。
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元住宅都市開発省長官:「ヒラリーはジュリアン・カストロを副大統領候補に選ぶだろう」と発言(Ex-HUD secretary: Hillary will likely pick Julian Castro as running
mate)
デイヴィッド・マカビー筆
『ザ・ヒル』誌
2015年5月16日
http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/news/242302-ex-hud-secretary-hillary-will-likely-pick-julian-castro-as
元住宅都市開発省長官ヘンリー・シスネロス(Henry Cisneros、1947年―)は、日曜日に放送される予定の番組のインタヴューで、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton、1947年―)の選挙陣営は、住宅都市開発省長官のジュリアン・カストロ(Julian Castro、1974年―)か彼以外のヒスパニック系アメリカ人の政治家を副大統領候補に選ぶだろう、と述べた。
シスネロス
シスネロスは、スペイゴ語放送テレビ局ウニヴィジョンの番組「アル・プント」に出演し、インタヴューを受けた。その中で「私は、ヒラリー・クリントン陣営の関係者たちから、そして多くのワシントンで働く人たちから様々な情報を得ているのですが、ヒラリー陣営が考えている副大統領候補のリストの第一番目にはジュリアン・カストロの名前があるそうです。彼は現在住宅都市開発省長官で、テキサス州サンアントニオ市の市長をしていた人です」と述べた。
ホアキン・カストロ(左)とジュリアン・カストロ
シスネロスは続けて次のように語った。「二番目の候補は今のところ考えられていないそうです。それは、カストロがこれまでの業績、性格。物腰と態度、ラティーノ(ヒスパニック)系という条件において飛び抜けた人物であるからです」
彼は最後に「私はヒラリー・クリントンがジュリアン・カストロを副大統領候補に選ぶ可能性は極めて高いと考えています」と述べた。
ジュリアン・カストロは1990年代にシスネロスが歩んだ政治的なキャリアパスによく似た道を歩んでいる。シスネロスもサンアントニオ市の市長を務めた後、ビル・クリントン政権時代に住宅都市開発省長官を務めた。
一時は民主党の期待の星となったシスネロスは、元愛人に支払ったお金のことがスキャンダルとして表面化したことでクリントン政権から去ることになってしまった。
彼は後にFBIに対して偽証を行ったことで有罪判決を受けたが、クリントン大統領によって恩赦が与えられた。
(終わり)
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