古村治彦です。

 

 今回は、アメリカ大統領選挙の本選挙について書きたいと思います。

 

 共和党はドナルド・トランプ、民主党はヒラリー・クリントンがそれぞれの党の大統領選挙の本選挙の候補者に内定しています。7月にそれぞれの塔が開く党大会で、正式に党の候補者に指名されます。この時までに、副大統領候補を決めることになります。

 

 アメリカ大統領選挙は、各州の人口に合わせて割り当てられた選挙人(Electorates)の取り合いとなります。1つの州で一番の得票を得た候補者がその選挙人を総取りします。これをウィナー・テイク・オールと言います。ネブラスカ州とメイン州だけは総取り方式ではありませんが、州に属さない首都ワシントンDCを含む他の州では総取りとなります。

 

 現在のアメリカでは、共和党が強い州は党のイメージカラーから「レッド・ステイト」、民主党が強い州は「ブルー・ステイト」と呼ばれています。大体これらの州が40ほどあって、固定化されています。レッド・ステイトはアメリカ中西部、農業が盛んな地方の州、ブルー・ステイトは、東海岸と西海岸の工業が発達した大都会を抱える州と言うことができます。人口で言えば、やはり大都市を抱える州が多くなり、選挙人の配分は多くなります。

 

 選挙人は全米で539名となりますので、過半数は270名となります。選挙人270名以上を獲得した候補者がアメリカの大統領となります。この選挙の動向を決めるが激戦州(Swing States)です。激戦州としては次の各州が挙げられます。

 

激戦州(Swing States

・フロリダ州:29名

・ジョージア州:16名

・ノースカロライナ州:15名

・ヴァージニア州:13名

・ペンシルヴァニア州:20名

・オハイオ州:18名

・ミシガン州:16名

・ウィスコンシン州:10名

・合計:139名


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 アメリカの政治情報サイト「リアルクリアポリティックス(Real Clear Politics)」では、現在の情勢を見やすい画像にして公開しています。この画像では、現在のところ、ヒラリーが優勢のようですが、灰色の激戦州の状況によってはこの数字が十分ひっくり返り、トランプが過半数の270名の選挙人を獲得する可能性があります。


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 激戦州の現在の動向を知りたくなるわけですが、昨日、マンモス・ユニヴァーシティの世論調査の結果が発表されました。この世論調査は、2016年6月15日から19日にかけて行われたものです。下記のアドレスに調査結果の詳細が書かれています。

 

http://www.monmouth.edu/assets/0/32212254770/32212254991/32212254992/32212254994/32212254995/30064771087/568faad2-81ab-4bd0-b373-8577326e76bd.pdf

 

 この世論調査では、前回2012年のアメリカ大統領選挙の結果で、民主党のオバマ、共和党のロムニーの差が7%以内だった州をマンモス・ユニヴァーシティは「激戦州(swing state)」と定義して世論調査結果を発表しています。激戦州として、コロラド州、フロリダ州、ルイジアナ州、ネヴァダ州、ニューハンプシャー州、ノースカロライナ州、オハイオ州、ペンシルヴァニア州、ヴァージニア州、ウィスコンシン州の10州が挙げられています。私がこの論稿で書いた激戦州とも符合します。2012年の選挙結果では、ロムニーがノースカロライナ州で勝利を収めましたが、それ以外の9州ではオバマが勝利を収めました。

 

 世論調査の結果では、激戦州では、「ヒラリー:47%対トランプ:39%」と言う結果が出ました。この数字は激戦州をすべて合わせた結果ですので、細かい数字でありませんが、大変参考になります。

 

 この世論調査では、「全てのイスラム教徒のアメリカ入国禁止を支持しますか」という質問には「支持:21%、不支持:70%」という結果が出ました。2015年12月の調査では「支持:26%、不支持:65%」という結果が出ていますから、不支持が伸びています。激戦州では「支持:14%、不支持:80%」となっています。

 

「西洋諸国に対するテロ攻撃を行った歴史を持つ国からの移民を禁止することを支持しますか」という質問には、「支持:34%、不支持:57%」となり、激戦州では、「支持:29%、不支持:63%」となりました。「オーランドの銃撃事件で使われたような攻撃力の高い武器の販売禁止を支持しますか」という質問の答えは「支持:52%、不支持:43%」となっています。激戦州では、「支持:55%、不支持:41%」となっています。

 

 本日、キュニピアック・ユニヴァーシティが激戦州のフロリダ州、ペンシルヴァニア州、オハイオ州に限定した世論調査の結果を発表しました。皆考えることは同じで、民主党や共和党がもともと強い州に関してはよほどのことがない限り結果は変わりませんので、関心が低く、激戦州の動向が知りたいわけです。

 

https://www.qu.edu/images/polling/ps/ps06212016_Sfw34kbm.pdf

 

 この3州は激戦州の中でも選挙人の配分が多い州ですから、特に気になります。結果としてはフロリダ州では「ヒラリー:47%、対トランプ:39%」、オハイオ州では「ヒラリー:40%、対トランプ:40%」、ペンシルヴァニア州では「ヒラリー:42%、対トランプ:41%」ということで、大接戦であるということが分かります。


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 激戦州は北米大陸五大湖沿岸の工業地帯で、「ラスト・ベルト(Rust Belt)」と呼ばれる地域にあります。Rustは油汚れやさびを意味します。トランプが共和党予備選挙で勝利を収めたのは、南部の保守的な州と共に、このラスト・ベルトに住む大学教育を受けていない労働者階級の白人男性たちの支持を獲得したことが理由に挙げられます。ですから、激戦州=ラスト・ベルトでトランプが勝利を収めることは十分に可能となります。

 

 11月の本選挙まで約5か月もある段階での本選挙の予測をすることは不可能ですが、ヒラリーがかなりリードしていたはずの選挙で、トランプが肉薄し、接戦になっているということが分かります。

 

(終わり)