古村治彦です。
現在、トランプの支持率は低下し、選挙予測では、勝率が10%程度、獲得できる選挙人の数も180名(全部で538名、過半数は270名)程度となっています。共和党が強い州(レッド・ステイト)の中でも、アリゾナ州やジョージア州でもヒラリーが僅差でリードしているというようなことが起きています。
ただ、選挙戦は後80日以上残っていますし、一対一の討論会が9月と10月に3回予定されています。これで流れを変えることが出来るでしょうし、先週と今週でトランプが経済政策と外交政策についての演説を行いました。ここではトランプらしからぬ現実的で穏健な政策を発表しましたので、それで支持率が少し持ち直すことになるでしょう。ただ、「なんだよ、らしさがなくなったじゃないか」という失望も同時に出てくるでしょう。
私たちが注意すべきは、全国レヴェルの支持率の数字ではありません。そして、既に大勢が決まっている州の世論調査の結果ではありません。こうした州をひっくり返すことはほぼ不可能です。ですから、支持率が拮抗している、もしくは5%以内の差になっている激戦州の動向に注意すべきです。
現在の状況はトランプにとっては恐らく底ということになるでしょう。ここから持ち直すか、二番底に落ちてしまうか、注目されるところです。
=====
ドナルド・トランプのすでに厳しい勝利への道は消え去りつつある(Donald
Trump’s already-narrow path to victory is rapidly disappearing)
クリス・シリーザ筆
2016年8月15日
『ワシントン・ポスト』紙
https://www.washingtonpost.com/news/the-fix/wp/2016/08/15/donald-trumps-already-narrow-path-to-victory-is-rapidly-disappearing/?postshare=6721471270748586&tid=ss_tw
先月、ドナルド・トランプにとっては厳しい状況が続いた。ヒラリー・クリントンは民主党全国大会から大きな伸びを見せた。トランプは共和党全国大会からそのような伸びを見せなかった。トランプは、選挙運動を通じて常軌を逸する行動を繰り返し、問題をどんどん悪化させている。トランプのアドヴァイザーたちや共和党員たちの多くは、トランプは負けに向かっているのではなく、大敗に向かっている、トランプの言葉を借りればぼろ負けに向かっているのではないかと懸念している。
選挙情勢地図を見れば、トランプの勝利への道がどれほど狭まっているかが一目でわかる。そして、先月になって状況がどれほど悪化したかが分かる。2016年7月初めの段階の選挙情勢地図は次の通りだ。
地図では、ヒラリーが201名の選挙人、トランプが158名の選挙人獲得がそれぞれ確実な情勢であった。105名の選挙人が「伯仲」、33名が「共和党に有利」、41名が「民主党に有利」であった。
次に現在の情勢を見てみよう。
この最新の選挙情勢地図では、ヒラリーが273名の選挙人を獲得し、トランプが175名を獲得となっている。これが意味するところは、ヒラリーが地図では灰色になっている現在は「伯仲」となっている6つの州全てで負けても、大統領に当選するということだ。
先月からの変化は、そのほぼ全てがヒラリーに有利になるような変化であった。
ペンシルヴァニア州、ヴァージニア州、ニューハンプシャー州の3つの州全てが「伯仲」から「民主党有利」となった。ウェブサイト『リアル・クリア・ポリティックス』によると、ヒラリーは、ペンシルヴァニア州では9.2ポイント、ヴァージニア州では8ポイント、ニューハンプシャー州では8.2ポイントの差をつけてトランプをリードしている。ペンシルヴェニア州の状況はトランプにとっては大きな打撃となっている。それは、先月までは、ペンシルヴァニア州の世論調査の結果で、ヒラリーと大接戦を演じていたからだ。ペンシルヴァニア州がトランプ有利から移行したことは、ラストベルトの各州で何とか接戦に持ち込みたいとしながらうまくいっていないトランプの苦しい戦いを示しているもので、ミシガン州とウィスコンシン州ではトランプは大きくリードされている。
ジョージア州に目を向けてみよう。ジョージア州には16名の選挙人が割り当てられている。ジョージア州は「共和党有利」だったのが「伯仲」になっている。最近の世論調査の結果では大接戦となっている。リアル・クリア・ポリティックスでは、ヒラリーが0.3ポイントのリードなっている。ヒラリー陣営では、人員をジョージア州に割いて運動を展開している。
綿失態は、ミズーリ州(選挙人10名)を「共和党が有利な」激戦州に加えている。各種世論調査では、トランプが4から5ポイントの差をつけてリードしているが、セントルイスとカンザスシティの郊外に住む共和党支持者たちの支持率が伸びていない状況で、これからも注視すべき州となっている。
私たちのランク付けの中で唯一のトランプにとっての良い知らせは、最新の地図では、世論調査では数字が拮抗しているネヴァダ州を「民主党有利」から「伯仲」に移行させたことだ。悪い知らせは、ネヴァダ州の選挙人6名では、ペンシルヴァニア州の20名、ヴァージニア州の13名の穴埋めはできないということだ。
■ワシントン・ポスト紙による接戦州のランキング
●伯仲(選挙人90名)
・フロリダ州(29名)
・ジョージア州(16名):民主党有利に移行
・アイオワ州(6名)
・オハイオ州(18名)
・ネヴァダ州(6名):共和党有利に移行
・ノースカロライナ州(15名)
●民主党有利(72名)
・コロラド州(9名)
・ミシガン州(16名)
・ニューハンプシャー州(4名):民主党有利に移行
・ペンシルヴァニア州(20名):民主党有利に移行
・ヴァージニア州(13名):民主党有利に移行
・ウィスコンシン州(10名)
●共和党有利(27名)
・アリゾナ州(11名)
・ミズーリ州(10名):民主党有利に移行
・ユタ州(6名)
=====
NBCの選挙情勢地図でヒラリー・クリントンが270名の選挙人獲得(Clinton tops 270 electoral votes in NBC map)
ジェシー・バイルネス筆
2016年8月15日
『ザ・ヒル』誌
http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/291443-clinton-tops-270-electoral-votes-in-nbc-map
NBCは月曜日に激戦州の選挙情勢地図を更新した。この地図によると、ヒラリー・クリントンは大統領選挙当選に必要な270名以上の選挙人を獲得する見通しとなったことが分かった。
民主党大統領選挙候補者ヒラリー・クリントンはNBCの選挙情勢地図によると、現在288名の選挙人を固め、一方、共和党大統領選挙候補者ドナルド・トランプは174名を固め、76名が「伯仲」となっている。
選挙情勢地図は最近の各種世論調査を基礎にして、各州がそれぞれ民主党、共和党それぞれが有利、優勢と決めるものだ。
NBCの最新の選挙情勢地図では、フロリダ州、アイオワ州、オハイオ州を伯仲としている。これらの各州で行われたNBC、ウォールストリート・ジャーナル紙、マリスト大学の世論調査の結果では、ヒラリーがトランプをリードしている。
ジョージア州とネヴァダ州もまた伯仲となっている。一方、ペンシルヴァニア州、ノースカロライナ州、ヴァージニア州、コロラド州、ミシガン州は民主党有利となっている。
ウェブサイト「ファイヴサーティーエイト」の最新の選挙予測では、ヒラリー・クリントンの当選確率は89%、一方のドナルド・トランプは11%である。
トランプは、トランプ自身の発言から起きたいくつもの論争が起きている中で世論調査を行ったマスコミ各社を激しく非難した。世論調査の結果は、トランプがヒラリーに大差をつけられて負けていることを示している。
トランプ陣営は、熱心な支持者が集まる集会の場でも注意深く練られた演説原稿通りに話させようとしている。しかし、彼はこうした集会ではほとんどの場合、元弘にないことを話してしまう。
トランプは月曜日に外交政策に特化した演説を行う予定である。1週間前には経済に特化した演説を行った。
(終わり)
コメント