古村治彦です。

 

 ドナルド・トランプに共和党エスタブリッシュメント側で反対した人々の代表と言えば、ポール・ライアン連邦下院議長(ウィスコンシン州選出、共和党)と、2012年共和党大統領選挙候補者ミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事です。他の人たちはともかく、この2人には「恩赦(アムネスティ、amnesty)」はない、というのは、トランプ支持者たちの共通認識です。

 

 ライアン下院議長に対して、トランプは人事で抑えを置くことに成功しました。大統領首席補佐官に、レインス・プリーバス共和党全国委員会委員長を抜擢しました。プリーバスはウィスコンシン州出身で、これまで議員選挙に出て落選した経験を持っています。プリーバスは、共和党全国委員長としてトランプ当選に貢献しました。また、プリーバスの出身州ウィスコンシン州では、トランプが勝利し、トランプ当選の原動力となりました。ライアンは当然のことながら、トランプ当選に貢献しませんでした。

 

 こうした状況を受けて、トランプはこれから脚光を浴びるポジションにまだ44歳のプリーバスを持ってきました。プリーバスはこれから4年勤め上げても、48歳、働き盛りです。2年後の中間選挙に出るとなると、ライアンにとっては大きな脅威となります。特に大統領首席補佐官として名前を売った後となると、ライアンにとっては危険極まりないライヴァルとなります。このようにして、トランプは人事でライアンに報復することに成功しました。

 

 今回、もう1人の「戦犯」であるミット・ロムニーについては、トランプ周辺では、「能力があり、既存の勢力との関係改善に効果があることは、認められるので国務長官として登用してやっても良いが、そのためには前非を悔い、謝罪する必要がある」という声が出ているようです。この主張がトランプの考えを反映したものなのかどうかは分かりません。

 

 トランプは何のしがらみもないし、周辺人物たちとの関係では自分の方が上ですから、彼らの意向を無視して、自分の思う通りに人事を行うことができるでしょう。これはこれまでの大統領になかった、トランプの強みです。トランプとしては、能力がありさえすれば、敵であっても登用することに躊躇しないでしょう。

 

 しかし、トランプがロムニーを何の謝罪もなく閣僚に、しかも重要閣僚に据えるとなると、彼の周辺、更には支持者たち、有権者たちが怒ってしまうでしょう。だから、ロムニーには、謝罪をしてもらって、ということになります。しかし、ここで謝罪をするということは、ロムニーにとっては、トランプの軍門に下り、トランプに忠誠を誓うということになりますから、彼としては大変な屈辱ということになります。ロムニーが謝罪する場合には、「アメリカの国益のために自分ができることは何でもする」という大義名分を立てるでしょうが、これで、彼は完全に政治的には死んでしまうことになります。

 

 それでも良くて、国務長官になりたいということであれば謝罪をするでしょうが、逆に言うと、謝罪をしてしまった後で、「話が変わりまして」ということになってしまって、国務長官になれなかった場合には最悪ですから、ロムニーが謝罪をする場合には、「ロムニーが国務長官になる可能性が高いな」ということになります。

 

(貼り付けはじめ)

 

トランプの政権移行ティームはロムニーに謝罪を望む(Report: Trump team wants Romney to apologize

 

ハーパー・ニーディグ筆

2016年11月25日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/news/307521-report-trump-team-wants-romney-to-apologize

 

フォックス・ニュースは、ドナルド・トランプの政権移行ティームがミット・ロムニーに、選挙期間にトランプ次期大統領に対して攻撃を行ったことについて公式の場で謝罪するように求めている、と報じた。

 

政権移行ティームの幹部は、フォックス・ニュースのエド・ヘンリーに対して、トランプ周辺人物の中には、ミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事を国務長官として起用することを考慮するにあたり、ロムニーに謝罪してもらいたいと考えている、と述べた。

 

トランプは、ロムニーかルディ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長のどちらかを国務長官に起用することを考えていると報じられている。

 

トランプに忠誠を誓う周辺人物と草の根運動の支持者たちは、ジュリアーニが望ましい候補者だと考えている。一方、ロムニーはエスタブリッシュメント系保守派にとって望ましい候補者である。

 

トランプの支持者マイク・ハッカビーフォックス・ニュースの水曜日の番組に出演した際に、「ミットについては個人的には何とも思っていない。しかし、ミットが、ドナルド・トランプを落選させようとして力を尽くしてくれたことに関しては面白くない」と語った。

 

ハッカビーは今年3月にミット・ロムニーが行った有名な「反トランプ演説」に言及して、次のように語った。「ロムニーが重要閣僚に就任するための唯一の方法は、公の場でマイクの前に立ち、彼がソルトレイク・シティーで行った有名な演説とそれ以降の発言の内容を全否定することだ」。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)