古村治彦です。

 

 昨日、ニューヨーク・タイムズ紙が、以下のような報道を行いました。先月、安倍晋三首相が世界の首脳に先駆けてドナルド・トランプ次期米大統領と会談を行いました。この時、トランプの娘イヴァンカとイヴァンカの夫ジャレッド・クシュナーも同席していました。この会談の時、イヴァンカが経営する企業が日本企業と契約締結の最終段階にあった、これは、利益の衝突に関わる可能性がある、というものです。ここで出てくる日本企業とは、サンエー・インターナショナルという会社で、私は女性のファッションに疎いものですから知らなかったのですが、多くの人気ブランドを展開するファッション界の大企業だということです。ニューヨーク・タイムズが問題にしているのは、サンエー・インターナショナルの筆頭株主の筆頭株主が日本政府系の日本開発銀行であるという点です。

 

 ニューヨーク・タイムズの筋立てですと、「安倍晋三首相はトランプとの会談を希望していた→何かつてを探す→イヴァンカと契約締結寸前の日本企業がある→この会社の大株主は日本政府系の日本開発銀行だ→この会社に契約を結んでもらうことの代りにイヴァンカに口をきいてもらって首脳会談実現」となった可能性があり、これが利益の衝突問題に関わる可能性があるというものです。

 

 今回のニューヨーク・タイムズの記事の内容は、ちょっと回り道が過ぎる筋立てだと思いますし、安倍首相とトランプ次期大統領の会談実現は、ニューヨークのアジア・ソサエティやトランプ政権のウィルバー・ロス商務長官の線から実現したと言われていますから、イヴァンカの線ということはないでしょう。

 

 しかし、イヴァンカとドナルド・ジュニア、エリックの3人の子供たちがこれからトランプ・オーガナイゼ―ションの各企業の経営や統轄を行っていかねばならないということになれば、父ドナルドが大統領にいる間は、この利益の衝突問題は常につつかれることになるでしょう。ですから、慎重を期して、「そこまでやらなくても」と言われるほどに、区別をはっきりつけるか、ビジネスからきっぱり手を引いて、父のサポート役としてホワイトハウスに入るが政策形成にはかかわらない、という形にしないと(しかし、これでも日本的に言えば側用人政治と言われてしまうでしょう)、トランプ政権のためにならないでしょう。

 

 現在、3人の子供たちは政権移行ティームに参加していますが、まぁここまでは良いとして、1月の新政権発足時には、政権内のポストに就かないようにするということが、トランプ政権のためになることだと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

イヴァンカはトランプと安倍の会談時に日本企業とビジネス契約を結びつつあった(Ivanka was finalizing Japanese business deal at time of Trump, Abe meeting: report

 

ブルック・シーペル筆

2016年12月4日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/in-the-know/in-the-know/308712-ivanka-was-finalizing-deal-with-japanese-apparel-giant-when-she

 

次期大統領の娘イヴァンカ・トランプは、ドナルド・トランプが日本の安倍晋三首相と会談し、そこに同席していたが、この時、日本のある企業とビジネス契約を締結寸前であった、と報じられた。

 

『ニューヨーク・タイムズ』紙はイヴァンカが首脳会談に同席した同時期、東京で別の話し合いが続けられていたと報じた。イヴァンカが経営するファッション企業が日本のサンエー・インターナショナルとライセンス契約を結ぶための話し合いを行っていた。サンエー・インターナショナルの最大の株主は日本政府所有の企業(訳者註:日本開発銀行)だ。

 

ニューヨーク・タイムズ紙によると、契約締結に向けては2年間の交渉が続けられたということだ。トランプ・タワーでの議論の中で、イヴァンカのビジネスについても話されたのかどうかについては報告されていない。しかし、同紙は、状況から見て、父ドナルド・トランプが行わないと誓約した、利益の衝突に抵触する可能性があると主張している。

 

先週、トランプは「国家運営に全精力を注力するために私の築き上げたビジネスから全て手を引く」とし、その期日を12月15日とした。トランプは、「ビジネスから手を引くことは大変に重要だ。それは、私が展開している様々なビジネスと大統領力の間で利益の衝突を起こさないためだ」と書いている。

 

ニューヨーク・タイムズ紙は記事の中で利益の衝突について言及しており、「トランプの3人の子供たちは政権移行ティームに参加しているが、彼らのこれまでのビジネスの歴史を調べてみると、トランプ一族、トランプのビジネス、トランプの政治が如何に深く関連し合っているかが分かる。トランプ氏とトランプ企業グループの経営に参加している子供たちの間に壁を作るという主張にどれほどの意味があるかということに重大な疑問は残る」と主張している。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)