古村治彦です。

 

 日本でも報道されていますが、ドナルド・トランプ次期大統領がソフトバンクの孫正義社長と会談を行いました。会談後、トランプはソフトバンクがアメリカ国内に500億ドル(約5兆5000億円)に投資し、5万人分の雇用を創出することに合意した、という内容のツイートを行いました。そして、「私たち(トランプ)が選挙で勝利しなければ、マサはこのようなことをすることはなかっただろうと語った」というツイートも行いました。


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 トランプとアメリカにとってはなんとも景気の良い話です。孫氏とソフトバンクにとってはどの様な利益がある話なのでしょうか。

 

 ソフトバンクは2012年にアメリカの携帯電話会社スプリント社を買収しました。そして、現在はその株式の80%を保有しています。アメリカの携帯電話業界は、ヴェライゾン社とATT社が2強であり、その次にT-モバイル社、そして、スプリント社が続くという状況になっています。2014年にはT-モバイルとの合併話もありましたが、T-モバイル側が難色を示し、合併は進みませんでした。

 

 今回の合意は、スプリント社とT-モバイル社との間の合併を進めるための布石ではないかと思います。「アメリカに資金と雇用をもたらす人物」である孫正義にはそれ相応の見返りを渡すということは、ビジネスマンであるトランプにしてみれば当然の思考となります。「あなたが当選しなければこのようなことはしなかっただろう」とまで言われれば尚更です。

 

 ソフトバンクのスプリント買収は、失敗だったという評価になっているそうですが、T-モバイルと合併が出来れば一発逆転ということになります。そのための5兆円は賢い投資ということになるのでしょう。

 

(貼りつけはじめ)

 

トランプがソフトバンクからの500億ドルの投資を発表(Trump announces $50B investment by SoftBank

 

アリ・ブレランド筆

2016年12月6日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/policy/technology/309038-trump-announces-50b-investment-by-softbank

 

ドナルド・トランプ次期大統領は火曜日、日本のテクノロジー企業ソフトバンクは、アメリカに500億ドル(約5兆5000億円)に投資し、5万人の雇用を創出するだろうと発言した。

 

トランプは、ソフトバンクの創始者で最高経営責任者孫正義とニューヨークのトランプ・タワーで会談し、孫と合意したと発表した。

 

トランプは、「日本のマサ(ソフトバンク)はアメリカ国内に500億ドルを投資し、5万人分の雇用を創出することに合意した」「マサは私たち(トランプ)が選挙に勝利しなければこのようなことはしなかっただろうと述べた」とツイートした。

 

ソフトバンクは既に1000億ドル規模のテクノロジー向け投資ファンドの創設を計画している。

 

トランプは会談の後にトランプ・タワーのロビーに孫正義とともに姿を見せ、合意について発表し、孫正義を「テクノロジー産業における偉大な人物」と呼んだ。

 

会談の前、アナリストであるトモアキ・カワサキはブルームバーグ誌に対して、スプリント社とT-モバイル社の合併が実現する可能性があると語った。ソフトバンクはスプリント社の株式の80%を保有している。

 

カワサキは「トランプ次期政権はテレコミュニケーション分野の規制について、前政権とは違うアプローチを取る可能性がある。孫正義は以前、スプリント社は、アメリカ市場でトップ2と競争するためには、T-モバイル社との合併が必要だと語った」と述べた。

 

発表の後、スプリント社の株価は2%上昇した。

 

(貼りつけ終わり)

 

(終わり)