古村治彦です。

 

 前回のブログ記事で、私は、トランプ新政権のインフラ整備に関する記事をご紹介しました。トランプ新政権は、アメリカ国内の壊れつつあるインフラ整備に力を入れるとしています。そして、その財源として、減税による民間投資の活発化と、官民パートナーシップ(PPP)を実施すると主張しています。しかし、これらがうまくいけばいいのですが、うまく回らないと、財政赤字と整備事業の頓挫という結果を招きかねません。トランプのインフラ整備には、どうしても財源の不安が付きまといます。

 


 そうした中、昨日、「2017年2月10日の日米首脳会談において、日本側・安倍晋三首相から、アメリカのトランプ大統領に対して、“日米成長雇用イニシアチブ”を提案する」というニュース速報が流れました。

 

 以下の記事にあるように、このイニシアチブ(政策パッケージ)については、2017年1月31日の段階で既に概要は決まっていたようです。日本政府が、アメリカのインフラ整備に投資し、数十万人分の雇用を創出する、というもので、昨日の報道では、「日米を中心に」70万人分の雇用を創出するということでした。そして、その原資として、日本の年金資金を出すということでした。

 


(貼りつけはじめ)

 

Business | 2017 01 31 16:36 JST

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「日米イニシアチブ」検討、数十万人の米雇用増目指す=政府筋

http://jp.reuters.com/article/japan-us-initiative-idJPKBN15F0KT

 

[東京 31日 ロイター] - 日本政府が米政府に説明する目的で、米国内での雇用創出を見据えた政策パッケージの検討を進めている。複数の政府筋が明らかにした。トランプ米大統領が雇用を優先課題に掲げる中、米国のインフラ投資活性化などを通じ、日米連携で数十万人規模の雇用増につなげることを目指す。名称は「日米成長雇用イニシアチブ」とする方向で、2月10日の日米首脳会談に向けて最終調整する。

 

新たに打ち出す枠組みでは、米国内のインフラ投資を含め、複数の分野で日米が協力し、米国内での雇用拡大とともに生産性向上を促す。

 

具体的には、米国内で発行されるインフラ事業テコ入れのための債券(インフラ債)への投資や、米東海岸、カリフォルニア州、テキサス州で構想されている高速鉄道プロジェクトへの資金供給も視野に入れる。

 

安倍晋三首相は30日の参院予算委員会で、米国との通商協議に関し「ウィンウィンの関係を作り、米国の雇用を増やし、日本も良くなっていく」と述べ、日米間での経済対話に意欲を示した。

 

ただ、トランプ大統領は雇用創出を求める一方、自動車貿易を巡って日本批判を展開しており、今後のトランプ氏の動向次第で、同計画の扱いが流動的になる可能性もある。

 

(貼りつけ終わり)

 

 トランプ新大統領は、「アメリカ・ファースト!」というスローガンを掲げて当選しました。この「アメリカ・ファースト!」という言葉については、このブログでもすでに書きましたが、私たち日本人に分かりやすく言うと、「国民の生活が第一」ということです。

 

 トランプ大統領の「アメリカ・ファースト!」に貢献するために、日本国民の大事な年金のお金を差し出す、と安倍首相は言っています。「“アメリカ”国民の生活が第一」で、日本国民が貯蓄してきた年金のお金を出す、ということになります。安倍首相はいったいどこの国の政治指導者なのでしょうか。アメリカ帝国のお代官で、日本国民のお金をアメリカに差し出させるのが安倍首相の仕事なのでしょうか?これまでの、そして現在の状況では、この疑問の答えは「はい、そうです」ということになります。

 

 戦後の日本の政治指導者たちは、敗戦国でありながらも、アメリカに対して、何とか取引材料を持って、交渉しようとしました。「社会党がうるさい」から憲法改正もできないし、再軍備も最低限しかできないと言いながら、社会党にはしっかり反対して欲しいと裏で言っていたり、アメリカが援助をしてくれないのなら、自助のために中国との関係を改善するなどと言ってみたり、というくらいの芸当はしました。

 

 安倍首相が70万人分の雇用を創出する、と提案するからには、こちらもアメリカ側から何かを引き出すということができるのでしょうか。これが出来なければ、ただ、孫正義氏がトランプと会った後に、「彼が5万人分の雇用を創出してくれる」とツイッターでお褒めの言葉にあずかったのと同じように、安倍首相がトランプのツイッターでほめてもらうためだけに、日本国民の年金資金を差し出すことになって終わりです。

 

 「日本がアメリカの属国なんてとんでもない、日米同盟は世界で最も重要で強固な同盟で、日米はイクオールパートナーだ」と安倍首相とその周辺は抗弁するでしょう。しかし、彼らの行動は彼らの言葉とは全く別のことをやっています。

 

 トランプ政権はドル安を望んでいます。これは、円高になるということになりますが、こうなると、日本が保有している米国債の円建てでの価値が下がることになります。ですから、それならば、日本が保有している米国債の一部を売り払ってその資金をアメリカに投資しますというくらいのことは言えばよいのに、と思います。年金資金を差し出せられるうえに、円高で資産の価値が減らされるなんて二重でマイナスのことをされても、ツイッター上でほめてほしいばかりに、お土産を持ってワシントンに「朝貢」に行くなんて、なんてバカで、マゾヒスティックなことでしょうか。


 日本といえば、「サムライ・ニッポン」ですが、今や「シハライ・ニッポン」になり果てました。

 

(終わり)